(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記施肥装置の肥料が所定の量を下回るとこれを検知する肥料減少検知センサと、前記苗植付部に載置された苗が所定の量を下回るとこれを検知する苗減少検知センサとを備え、
前記制御部は、肥料減少検知センサが肥料の減少を検知した場合または苗減少検知センサが苗の減少を検知した場合に、直進制御を開始することを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の作業車両は、作業者が苗の補充等の別の作業を行うために操縦席から離席すると、圃場の変化によって作業車両の姿勢が不安定となった場合に、作業者の安全性が低下する問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、作業者の安全性を向上することができる作業車両を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的は、圃場を走行する走行車体と、前記走行車体を操舵操作する操舵部材と、前記操舵部材の操作を検出する操作検出部材と、走行車体の機体の傾斜を検知する傾斜検知部材と、前記傾斜検知部材により所定角度以上の傾斜が検知されると傾斜方向に応じて前記操舵部材を自動操舵することで前記走行車体を直進制御する制御部とを備える作業車両において、内燃機関の出力を制御する内燃機関制御装置と、作業車両の車速を規制する車速規制手段とをさらに備え、前記制御部は、直進制御中に所定時間前記操舵部材の操作が検出されない場合、前記車速規制手段によって、車速を規制するとともに、車速規制後、さらに所定時間前記操舵部材の操作が検出されない場合、内燃機関制御装置を制御して、内燃機関を停止することを特徴とする作業車両によって達成される。
【0007】
本発明によれば、直進制御中に所定時間前記操舵部材の操作が検出されない場合、前記車速規制手段によって、車速を規制するとともに、車速規制後、さらに所定時間前記操舵部材の操作が検出されない場合、内燃機関制御装置を制御して、内燃機関を停止することによって、作業者が操縦席から離席している場合に自動で車速を規制できるため安全性が向上し、さらに、離席状態が長く続くと危険性が増すため、所定時間の経過により内燃機関を停止することで、安全性がより向上する。
【0008】
本発明の好ましい実施態様においては、さらに前記作業車両における機体の左右の圃場の深度を検出する深度センサを備え、前記制御部は、直進制御中に、前記作業車両の機体の左右の深度の差が所定値以上の場合、内燃機関制御装置を制御して車速を下げるように構成されてある。
【0009】
本発明の好ましい実施態様によれば、直進制御中に、前記作業車両の機体の左右の深度の差が所定値以上の場合、内燃機関制御装置を制御して車速を下げるため、運転者の安全性をさらに向上させることができる。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記制御部は、前記作業車両の走行中において、所定時間操舵部材の操作が検出されない場合、直進制御するよう構成されている。
【0011】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記作業車両の走行中において、所定時間操舵部材の操作が検出されない場合、直進制御するため、作業者が操縦席から離れている場合に、直進制御を開始して、安全性を向上させることができる。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、さらに圃場内に肥料を散布する施肥装置と、前記走行車体の車輪の回転数を同調にするデフロック装置とを備え、前記制御部は、直進制御中、前記深度センサが検知した深度が所定値以上の場合、前記内燃機関制御装置によって車速を下げるとともに、デフロック装置により車輪の回転数を同調にするよう構成されている。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば直進制御中、前記深度センサが検知した深度が所定値以上の場合、前記内燃機関制御装置によって車速を下げるとともに、デフロック装置により車輪の回転数を同調にするため、深度が深いことにより直進性が低下する事態に対して、直進性を向上し、散布する肥料が重複する事態を回避し、肥料の散布効率が向上する。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、さらに、前記作業車両に設けられた操縦席の着座を検知する重量センサを備え、前記制御部は、直進制御中に重量センサが所定時間以上検知しない場合、直進制御を開始し、さらに、内燃機関制御装置によって車速を下げるよう構成されている。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記制御部は、直進制御中に重量センサが所定時間以上検知しない場合、直進制御を開始し、さらに、内燃機関制御装置によって車速を下げるため、作業者が苗や肥料の補充のため、操縦席から離れている場合に、直進制御を開始することにより、安全性が向上する。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、さらに、圃場に苗を受け付け、作業位置と非作業位置に切替え可能な苗植付部と、GPSにより作業車両の位置情報を取得するGPS制御装置と、圃場の畦の位置情報を記憶した記憶装置を備え、前記制御部は、直進制御中に重量センサが所定時間以上検知しない場合、前記GPS制御装置から取得した位置情報と、圃場の畦の位置情報を比較して、作業車両と畦との距離が所定値以下のときに内燃機関制御装置によって作業車両を停止し、さらに、苗植付部を非作業位置とするよう構成されている。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記制御部は、直進制御中に重量センサが所定時間以上検知しない場合、前記GPS制御装置から取得した位置情報と、圃場の畦の位置情報を比較して、作業車両と畦との距離が所定値以下のときに内燃機関制御装置によって作業車両を停止し、さらに、苗植付部を非作業位置とするため、施肥装置の泥詰まりを防止し、内燃機関の停止により不要な燃料の消費を抑えることができる。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、さらに、前記施肥装置の肥料が所定の量を下回るとこれを検知する肥料減少検知センサと、前記苗植付部に載置された苗が所定の量を下回るとこれを検知する苗減少検知センサとを備え、前記制御部は、肥料減少検知センサが肥料の減少を検知した場合または苗減少検知センサが苗の減少を検知した場合に、直進制御を開始するよう構成されている。
【0019】
本発明のさらに好ましい実施態様によれば、前記制御部は、肥料減少検知センサが肥料の減少を検知した場合または苗減少検知センサが苗の減少を検知した場合に、直進制御を開始するため、作業者は、苗または肥料の補充の際に、作業車両を停止することなく直進制御されるため、作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、作業者の安全性を向上することができる作業車両が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施の形態にかかる作業車両につき詳細に説明を加える。なお、以下においては、本発明の好ましい実施の形態として、作業車両が苗移植機である場合につき説明を加える。
【0023】
図1は、本発明の好ましい実施の形態にかかる苗移植機1の全体側面図である。
ここに、以下の説明において、前後、左右の方向基準は、作業車両1の操縦席11からみて、車体の進行方向を前方とし、その反対方向を後方という。また、進行方向を向いて、右側を右方といい、左側を左方という。
【0024】
苗移植機1は、車輪の駆動により走行する走行車体2を備えている。
図1に示されるように、走行車体2は、車体の略中央に配置されたメインフレーム3と、このメインフレーム3に搭載されたエンジン4と、車体の前部に配置された左右一対の前輪5,5と、車体の後部に配置された左右一対の後輪6,6と、を備えている。走行車体2の前部とエンジン4の後部との間にわたって、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ19が、メインフレーム3上に取り付けられている。
【0025】
走行車体2の前部には、開閉可能なフロントカバー10が設けられており、走行車体2の中間部には、作業者が着座するための操縦席11が設けられている。フロントカバー10の後部でかつ操縦席11の前方には、作業車両1を操作するための操作装置や計器類が配設された操縦部12が設けられている。操作装置としては、走行操作レバー16、ハンドル17、後述する直進制御スイッチ12bを含む各種スイッチ類などがある。
【0026】
ハンドル17は、走行車体2を操舵操作する操舵部材であり、ハンドル17の操舵操作が、操縦部12内の電動機構を介して、前輪ファイナルケース13に伝達され、前輪5を転舵させることが可能になっている。また、ハンドル17の操舵は、後述する制御部Cにより制御可能に構成されている。また、操作装置の操作は各種センサによって検出され、後述する制御部Cがその検出情報を取得する構成となっている。
【0027】
エンジン4から出力された駆動力は、動力伝動装置であるミッションケース7によって、走行用動力と、外部取出動力とに分離されて各部に伝達される。ミッションケース7は、メインフレーム3の前部に取り付けられており、その内部に、路上走行時や植付時等における走行車体2の作業速度を切り替える副変速機構(図示せず)が設けられている。
【0028】
ミッションケース7は、エンジン4から伝達される駆動力を変速する変速装置である油圧式無段変速機8と、油圧式無段変速機8にエンジン4からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構9とを備えている。
【0029】
油圧式無段変速機16は、HST(Hydro Static Transmission)といわれる静油圧式の無段変速装置として構成されており、エンジン10からの動力で駆動する油圧ポンプによって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータで機械的な力(回転力)に変替して出力する。これにより、油圧式無段変速機16は、エンジン10出力された駆動力を、走行車体2を走行させる走行用動力に変換する。
【0030】
また、油圧式無段変速機8は、後述するフロントカバー10の上側側方に設けられている走行操作レバー12の操作に対応して、トラニオン軸31の開度を変更することにより、開度が大きくなると、前進または後進方向に加速し、開度が小さくなると、前進または後進方向に減速するように構成されている。この構成によって、作業者が、走行操作レバー12を操作することにより、苗移植機1の前後進及び走行速度が変更される。
【0031】
走行用動力は、ミッションケース7から左右の前輪ファイナルケース13,13に伝達されて、左右の前輪5,5を回転駆動させると共に、残りの走行用動力は前記左右の後輪ギアケース14,14に伝達されて、左右の後輪6,6を回転駆動させる。
【0032】
前輪ファイナルケース13は、ハンドル17の操舵操作に応じ、前輪5を転舵するように構成されている。また、前輪ファイナルケース13,13及び後輪ギアケース14,14は、デファレンシャルギア機構を内装し、フロアステップ19に設けられたデフロックペダル(図示省略)の操作によって、左右の前輪5,5及び後輪ギアケース6,6の回転をそれぞれ同調させるように構成されている。
【0033】
外部取出動力は、ミッションケース7から走行車体2の後部に設けられた植付クラッチ(図示省略)に伝達され、植付クラッチの係合時に、植付伝動軸(図示省略)を介して、後述する苗植付部20へ伝達される。
【0034】
苗植付部20は、昇降リンク装置Rを介して走行車体2に連結されている。この昇降リンク装置Rは、上部リンクアーム21と左右一対の下部リンクアーム22,22によって構成される平行リンクによって、苗植付部20が昇降可能となるように構成されている。詳細には、メインフレーム3に固着した支持部材と上部リンクアーム21に一体形成したスイングアーム(図示省略)の先端部の間に、昇降油圧シリンダ23を伸縮自在に設け、制御部Cにより制御される電子油圧バルブ23aによって、昇降油圧シリンダ23を油圧で伸縮させることにより、前記上部リンクアーム21が上下に回動して、苗植付部20が一定姿勢のまま昇降するように構成されている。これにより、昇降リンク装置Rは、苗植付部20を非作業位置まで上昇させたり、対地作業位置(対地植付位置)まで下降させたりすることができる。
【0035】
なお、
図1では、対地作業位置に配置された苗移植部20が図示されている。対地作業位置では、苗移植部20の苗植付装置20aが地面と近接し、圃場に苗を植付けるのに好適な位置となっている。一方、非作業位置の状態では、苗移植部20の下端がメインフレーム3の底部と略同一の高さまで上昇しており、これにより、作業車両1の走行時において、苗移植部20が地面と接触して走行を妨げることを防止する構成となっている。
【0036】
苗植付部20は、外部取出動力により駆動力を得て、苗を複数の区画、或いは複数の列に植え付けることができる。苗植付部20は、苗植付装置20aと、苗載置台20b及びフロート20cを備えている。このうち、苗載置台51は、走行車体2の後部に複数条の苗を積載する苗載置部材として設けられており、走行車体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載せ面20bを有し、それぞれの苗載せ面20bに土付きのマット状苗を載置することが可能になっている。
【0037】
苗載せ面20bには、積載された苗が所定の量を下回った場合に、苗の減少を検知する苗減少検知センサ20dが設けられている。苗減少検知センサ20dが検知した情報は、制御部Cに送信されるように構成されている。
【0038】
苗植付装置20aは、植付体(図示せず)の駆動により、苗載置台51に載置された苗を苗載置台20bから取って圃場に植え付けるように構成されており、植付伝動ケース20eから植付体(図示せず)に駆動力を供給することができるように構成されている。
【0039】
操縦席11の後方には、施肥装置24が設けられている。施肥装置24は、肥料を貯留する貯留ホッパ24aと、貯留ホッパ24aから供給される肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し装置24bと、繰出し装置24bにより繰り出される肥料を圃場に供給する施肥通路である施肥ホース24cと、施肥ホース24cに搬送風を供給することにより、施肥ホース24c内の肥料を苗植付部20側に移送するブロワ24dとを有している。
【0040】
貯留ホッパ21aには、貯留された肥料が所定の量を下回った場合に、肥料の減少を検知する肥料減少検知センサ21eが設けられている。肥料減少検知センサ21eが検知した情報は、制御部Cに送信されるように構成されている。
【0041】
図2は、
図1に示す苗移植機の平面図である。
図2に示されるように、走行操作レバー16として、走行車体2の前後進と走行出力を切替操作する変速操作部材である主変速レバー16aと、走行車体2の走行速度を、走行する場所に応じた速度に切り替える副走行操作部材である副変速レバー16bとが、走行車体2の機体右側と左側に配設されている。また、苗移植機1は、副変速レバー16bの操作によって、ミッションケース7内の副変速機構を操作し、作業車両1の作業速度を切り替えることが可能になっている。
【0042】
図3は、
図1に示される苗移植機1の制御系、検出系、出力系および駆動系のブロックダイアグラムである。本実施形態に係る苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能になっており、このため、苗移植機1には、各部を制御する制御部Cが備えられている。
【0043】
図示されていないが、制御部Cは、CPU等の演算処理を行う処理部と、RAM等の処理結果を記憶する記憶部と、各部と情報の入出力を行う入出力部とを備えている。制御部Cは、処理部と記憶部と入出力部とが互いに接続され、互いに情報の受け渡しが可能である。制御部Cの記憶部には、接続された各部を制御するコンピュータプログラムが格納されている。
【0044】
図3に示されるように、制御部Cの入力側には、走行操作レバー16に設けられたポテンショメータ16aと、直進制御スイッチ12bと接続された傾斜検知センサ39と、ハンドル切角センサ25と、昇降操作スイッチ12aと、昇降リンク装置Rが備えるリンクセンサ26と、深度センサ27と、重量センサ28と、苗減少検知センサ20dと、肥料減少検知センサ21eと、GPS制御部38とがそれぞれ情報伝達可能に接続されている。
【0045】
また、制御部Cの出力側には、HSTサーボモータ29と、ハンドル14を操舵するための電動パワーステアリング32と、苗植付部20を昇降するために昇降油圧シリンダ23の油圧を制御する電子油圧バルブ23aと、内燃機関制御装置18と、変速規制ソレノイド33と、デフロック切替バルブ15aを備えるデフロック装置15と、記憶装置34と、情報端末36と情報の送受信を行うための通信部35とがそれぞれ情報伝達可能に接続されている。
【0046】
走行ポテンショメータ16aは、走行操作レバー16の操作量を検出するものである。詳細には、走行ポテンショメータ16aは、走行操作レバー16の下端部に設けられ、走行操作レバー16の操作角度を検出することにより、走行操作レバー16の操作量を検出するように構成されている。
【0047】
傾斜検知センサ39は、作業車両1の左右方向への傾斜動作を検知するもので、三軸方向の加速度を検出可能な加速度センサによって、圃場の凹凸等により機体が左または右方向に傾くと、その傾斜量を信号として制御部Cに発信するように構成されている傾斜検知部材である。なお、傾斜検知センサ39は、ボンネット32の内部に設けられている。
【0048】
ハンドル切角センサ25は、ハンドル17の操作量を検出するもので、検出した前記ハンドル17の左右方向の操舵量をコントローラ100に発信するように構成されている。なお、ハンドル切角センサ25は、ハンドル17の下部に設けられている。
【0049】
深度センサ27は、走行車体2の左右両側にそれぞれ配置され、圃場の耕盤までの深さ(深度)を検出し、検出結果を制御部Cに発信するものである。深度センサ27は、フロアステップ19におけるフロントカバー10の左右それぞれの側方に位置する部分に設けられ、走行車体2の左右両側それぞれの深度を検出するように構成されている。これにより、制御部Cは、走行車体2の機体右側と左側の深度を取得するとともに、機体右側と左側の深度の差を計算することによって、作業車両1の左右両側の深度の差(深度差)を取得することができる。
【0050】
重量センサ28は、操縦席11に配置された感圧センサによって、作業者の操縦席11への着座を検知するもので、検知結果を制御部Cに発信するように構成されている。
【0051】
苗減少検知センサ20dは、苗植付部4における苗の減少を検知するもので、苗植付部4の苗載置台51に載置された苗が所定の量を下回った場合に、これを検知し、制御部Cに発信するように構成されている。苗減少検知センサ20dは、苗の減少を検知するために、苗植付部20の適宜の位置に設けられるが、例えば、苗載置台51に配置される。
【0052】
肥料減少検知センサ21eは、施肥装置24に貯留された肥料が減少したことを検知するもので、水分を含む肥料等に覆われると通電し易くなる通電体からなり、貯留ホッパ24内に設けられている。このように設けられた肥料減少センサ21eは、肥料に覆われていると通電し、貯留ホッパ24内の肥料が減少して空気に晒されると通電が弱まることで肥料の減少を検知するように構成されている。これにより、肥料減少検知センサ21eは、施肥装置24に貯留された肥料が所定の量を下回った場合に、これを検知し、制御部Cに発信するように構成されている。
【0053】
GPS制御部38は、GPSを用いることにより、苗移植機1の位置情報を取得するもので、所定の時間的な間隔でGPS座標を取得する受信アンテナを備えており、地球上における位置情報を所定間隔で取得するように構成されている。また、GPS制御部38で取得した位置情報は、制御部Cに伝達可能になっている。
【0054】
HSTサーボモータ29は、トラニオン軸31の開度を操作するトラニオンアーム24と連結されており、トラニオンアーム24を介して、トラニオン軸31の開度を変更するもので、制御部Cによって駆動制御され、走行ポテンショメータ16aにより取得した走行操作レバー16の操作量に基づいて、制御部Cが算出した出力信号を取得し、トラニオン軸31の開度を変更するように構成されている。
【0055】
電動パワーステアリング32は、制御部Cからの制御信号を取得して、ハンドル17を回動制御し、これによりハンドル17を自動操舵するための機構である。制御部Cは、ハンドル切角センサ25が検出する角度から、ハンドル17の中立位置に対する回動角度を取得し、これに基づいて、ハンドル17の操舵量を決定することで、苗移植機1の直進制御に必要なハンドル17の操舵が可能となっている。
【0056】
電子油圧バルブ23aは、前述のように、昇降油圧シリンダ23の油圧を制御する機構であり、制御部Cにより制御される。制御部Cによって、昇降油圧シリンダ23の伸縮が制御され、前記上部リンクアーム21が上下に回動して、苗植付部20が昇降動作される。
【0057】
内燃機関制御装置18は、エンジン4に配設され、かつ、制御部Cからの制御信号を取得可能な構成となっており、これにより、エンジン4の出力を制御可能とする機構である。内燃機関制御装置18には、エンジン4の点火プラグ、燃料噴射弁、スロットルバルブを開閉するスロットルアクチュエータが接続されており、制御部Cから取得する制御信号に基づいて、内燃機関制御装置18がエンジンの点火プラグの点火時期、燃料噴射弁の燃料噴射量、スロットルアクチュエータでスロットルバルブのスロットル開度を制御することで、エンジン4の出力が制御されるように構成されている。
【0058】
変速規制ソレノイド33は、制御部Cから制御信号に基づき、作業車両1の車速の規制をするものである。制御部Cからの制御信号を取得して作動するように構成されており、変速規制ソレノイド33が作動されると、操作規制アーム(図示省略)により主変速レバー16aが挟み込まれ、これにより主変速レバー16aの操作が規制される。このようにして、変速を規制することで、作業車両1の車速が規制可能となっている。
【0059】
デフロック装置15は、ミッションケース7内に配設され、「入」状態と「切」状態を切替え可能に構成されたデフロック切替部材であるデフロック切替バルブ15aを備えている。デフロック切替えバルブ15aは、前輪ファイナルケース13,13及び後輪ギアケース14,14のデファレンシャルギア機構と連動しており、これにより、デフロック装置15が、「入」状態のときは、後輪(または前後輪)の左右車軸の差動回転をロックして一体的に回転させ、「切」状態のときは、標準の差動回転とするように構成されている。また、デフロック切替えバルブ15aは、制御部Cと電気的に接続されており、これにより、デフロック装置15は、制御部Cからの制御信号に基づいて、「入」状態と「切」状態とが切替えられるように構成されている。
【0060】
記憶装置34は、制御部Cと情報の送受が可能に構成され、各種情報を記憶する記憶媒体によって構成されている。詳細には、後述する通信部35を介して、制御部Cと情報を送受可能に構成された、汎用のクラウド上に設けられたサーバ装置である。なお、本実施形態における「クラウド」とは、例えば通信経路上に存在するコンピュータ群を意味する。また、記憶装置34は、各種情報を記憶するもので、任意の方法または技術で実現される揮発性および不揮発性の、制御部Cと接続された取り外し可能および取り外し不可能な記憶媒体であってもよく、これらの記録媒体としては、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。なお、記憶装置34には、圃場における畦の位置情報が予め記憶されている。ここで、記憶装置34に記憶された畦の位置情報は、例えば、二次元座標によって圃場における畦の位置が座標で管理されており、制御部Cが、GPS制御部38から取得したGPS座標と畦の位置情報を比較することで、苗移植機1の現在位置と圃場の畦との位置関係を把握できる構成となっている。
【0061】
通信部35は、例えば、IEEE802.11規格の無線LANの方式無線通信媒体を用いて、制御部Cと、苗移植機1の外部に配設された情報端末との間で、情報を送受信可能とする通信装置である。
【0062】
情報端末36は、情報を表示する表示部と、各種の入力操作を行う入力操作部と、情報を記憶する記憶部とを有している。このうち、表示部と入力操作部とは、別体で構成されていてもよく、タッチパネル式のディスプレイによって一体で構成されていてもよい。情報端末36は、表示部と入力操作部を備えたスマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、ウェアラブル・コンピューティング・デバイス、ラップトップ、その他の携帯型コンピューティング・デバイスによって構成されている。このような構成によって、情報端末36は、通信部35を介して、苗移植機1と情報の送受が可能となっており、苗移植機1から送信された情報を表示部に表示可能に構成されている。
【0063】
図4は、制御部Cが直進制御を開始する条件を説明するフローチャートである。なお、
図4に示した制御フローにおいて、苗移植機1は走行状態であり、苗移植部20は対地作業位置にあり、苗植付装置20aの植付体は駆動しているものとする。また、制御部Cは、エンジン4が始動され、苗移植機1が走行状態となったことを条件として、
図4に示される制御を開始するものとする。
【0064】
ここで、直進制御とは、制御部Cが操舵部材であるハンドル17を電動パワーステアリング32により適宜操舵して、作業車両1の進行方向を直進方向へ自動修正する制御である。この直進制御中は、制御部Cによって自動でハンドル17が操舵されるため、作業者はハンドル17の操舵から解放され、苗の植付や施肥が正常に行われているか確認したり、苗や肥料の残量を確認したり、走行状態の設定の見直しを行ったりすることができる。
【0065】
直進制御に関する制御部Cの制御フローは、公知であるため、詳細の説明は省略するが、制御部Cは以下のように制御を行う。制御部Cは、傾斜検知センサ39から走行車体2の傾斜量に関する情報を取得して、走行車体2の機体の左右の傾斜量に合わせて、電動パワーステアリング32を作動させ、ハンドル17を走行車体2の傾斜方向の反対方向に所定量回動させる。次に、左右の傾きが無い状態を傾斜検知センサ39が検出すると、制御部Cは、電動パワーステアリング32を再度作動させ、ハンドル17が中立位置になるまで回転させる。制御部Cは、このような基本動作を繰り返すことによって、苗移植機1の進行方向を適宜修正し、苗移植機1が直進するように制御する。
【0066】
図4に示されるように、制御部Cは、操作装置に設けられたセンサから直進制御スイッチ12bスイッチの操作情報を取得することにより、直進制御スイッチ12bが「入」状態であるか判断する(ステップS1)。そして、直進制御スイッチ12bが「入」状態のとき、直進制御を実行する構成となっている(ステップS2)。
【0067】
直進制御スイッチ12bの「入」状態と「切」状態の切替えは、作業者による直進制御スイッチ12bの操作により行われる他、以下の所定の条件を満たすことにより、制御部Cによって、自動で切替えが行われる。
【0068】
制御部Cは、苗移植機1の走行中において、操作装置の操作が所定時間検出されない場合(ステップS2)、直進制御スイッチ12bを「入」状態として(ステップS6)、直進制御を開始する(ステップS7)。すなわち、制御部Cは走行中、操作装置に設けられたセンサの検出情報を取得することで、操作装置が最後に操作されてから現在までの時間をカウントしており、このカウントが所定の値以上であるとき、直進制御を開始する構成となっている。この構成によれば、作業者が苗の補充等の別の作業を行うために、操縦席11から離れた場合であっても、苗移植機1は、操作装置が所定時間操作されないことにより、自動で直進制御に切替わり直進走行するため、離席を原因とする苗移植機1の進行方向の乱れによる畦への衝突が防止されて、作業者の安全性が向上する。
【0069】
また、制御部Cは、苗移植機1の走行中、重量センサが所定時間検知されない場合(ステップS3)、直進制御スイッチ12bを「入」状態として(ステップS6)、直進制御を開始する(ステップS7)。すなわち、制御部Cは走行中、重量センサ28の検知情報を取得することで、最後に検知されてからの時間をカウントしており、このカウントが所定の値以上であるとき、直進制御を開始する構成となっている。この構成によれば、作業者が苗の補充等の別の作業を行うために、操縦席11から離れた場合であっても、ステイ時間の経過後に、苗移植機1は、自動で直進制御に切替わり直進走行するため、離席を原因とする苗移植機1の進行方向の乱れによる畦への衝突が防止され、作業者の安全性が向上する。
【0070】
また、制御部Cは、苗移植機1の走行中、苗減少検知センサ20dによって、苗移植部20に積載された苗の減少が検知されると(ステップS4)、直進制御スイッチ12bを「入」状態として(ステップS6)、直進制御を開始する(ステップS7)。この構成によれば、作業者が苗の補充をする必要が生じた場合に、自動で直進制御が開始されて苗移植機1が直進するため、作業者は円滑に苗補充作業に移行でき、作業効率が向上する。
【0071】
また、制御部Cは、苗移植機1の走行中、肥料減少検知センサによって施肥装置24の肥料の減少が検知されると(ステップS5)、直進制御スイッチ12bを「入」状態として(ステップS6)、直進制御を開始する(ステップS7)。この構成によれば、作業者が肥料の補充をする必要が生じた場合に、自動で直進制御が開始されて苗移植機1が直進するため、作業者は円滑に肥料補充作業に移行でき、作業効率が向上する。
【0072】
図4に示されるように、制御部Cはまず、走行車体2の機体の左右の傾斜量に合わせて、電動パワーステアリング32を作動させ、ハンドル17を機体の傾斜方向の反対方向に所定量回動させる。左右の傾きが無い状態を傾斜検知センサ39が検出すると、制御部Cは、電動パワーステアリング32を再度作動させ、ハンドル17が中立位置になるまで回転させる。ここに、制御部Cは、ハンドル17の中立位置をハンドル切角センサ25が検出する角度から判断するように構成されている。
【0073】
図5は、直進制御時の制御部Cの動作を示すフローチャートである。直進制御が開始されると、制御部Cは、直進制御に加えて、
図5の制御フローに示される制御を行う。
図5に示されるように、制御部Cは、まず、深度センサ27から検出された深度情報を取得する(ステップS11)。その結果、作業車両2の機体の左右のいずれかの深度が所定値以上であると判断すると(ステップS12)、デフロック切替えバルブ15aを制御して、デフロック装置15を「入」状態とする(ステップS14)。ここで、圃場の深度が深いと直進性が低下するため、施肥装置24によって散布する肥料が重複する恐れや無散布区間が発生する。この構成によれば、深度センサが検出する深度が所定値以上の場合、デフロック装置15を「入」状態として、後輪6,6(または前後輪)の左右車軸の差動回転をロックして一体的に回転させることで、苗移植機1の直進性を向上し、肥料の散布性を向上できるため、肥料の重複散布や無散布区間の発生を防止できる。
【0074】
制御部Cは、デフロック装置15を「入」状態とした後、内燃機関制御装置18及びHSTサーボモータ29を制御して、速度規制を行う。すなわち、内燃機関制御装置18の制御によって車速を規定速度以下にするとともに、HSTサーボモータ29の制御によって最大速度を規制する構成となっている(ステップS16)。このように、圃場の深度が所定値以上の場合に、車速を規制することで、圃場の深度が深いために直進性が低下する状況であっても直進性を向上できるとともに、走行の安定化により作業者の安全性も向上する。なお、制御部Cは、速度規制の際、変速規制ソレノイド33を作動して、主変速レバー16aの操作を規制してもよい。これにより、最大速度をより確実に規制することが可能となる。
【0075】
また、制御部Cは、走行車体2の機体の左右の深度差が所定値以上であると判断すると(ステップS13)、同様に、デフロック装置15を「入」状態とし(ステップS14)、車速を規定速度以下とするとともに、最大速度を規制する構成となっている(ステップS16)。この構成によれば、走行車体2の機体の左右の深度差が大きいために、苗移植機2の走行が不安定となり、直進性が低下する状況であっても直進性を向上できるとともに、走行の安定化により作業者の安全性も向上する。
【0076】
なお、制御部Cは、圃場の深度が所定値以上または深度差が所定値以上でない場合であっても、操作装置が最後に操作されてから現在まで所定時間操作されていないと判断すると(ステップS15)、車速を規定速度以下とするとともに、最大速度を規制する構成となっている(ステップS16)。この構成によれば、直進制御中に作業者が操縦席11から離席して苗の補充等の別の作業を行う場合に、制御部Cが、操作装置が最後に操作されてから現在まで所定時間操作されていないことを判断して、車速を規定速度以下とするとともに、最大速度を規制するため、離席時の作業者の安全性を向上できる。
【0077】
また、制御部Cは、圃場の深度が所定値以上または深度差が所定値以上でない場合、操作装置が操作されると、デフロック装置15を「切」状態とし、上記の速度規制を解除する(ステップS16)。これにより、苗移植機1が畦際に到達し、作業者が苗移植機1を旋回しようとする場合に、操作装置の操作を検知することによりデフロック装置15を「切」状態として、円滑に旋回に移行できるため、圃場を荒らすことなく旋回が可能となる。なお、圃場の深度にかかわらず、操作装置が操作されると、即座に、デフロック装置15を「切」状態とし、上記の速度規制を解除する構成としてもよい。これにより、制御部Cは、作業者が操作装置を操作している間は、デフロック装置15によるデフロックや速度制限をしないことで、苗移植機1の操作性が向上する。
【0078】
図5に示されるように、制御部Cは、速度規制後に、重量センサ28が所定時間検知されない場合(ステップS19)、苗移植機作業車両1を畦際で停止させるための畦際停止処理を開始する。なお、畦際停止処理の詳細については、後述する。
【0079】
畦際停止処理が実行されると、制御部Cは、苗移植機1を苗際で停止するように制御すするとともに、直進制御スイッチ12bを「切」状態とする。次に、直進制御スイッチ12bが「切」状態になっていることを判断し(ステップS21)、デフロック装置15が「入」状態であれば、これを「切」状態として(ステップS22)、速度規制がされている状態であればこれを解除し(ステップS23)、直進制御を終了して処理を終了する(ステップS24)。
【0080】
図6は、制御部Cの畦際停止処理時における動作を示すフローチャートである。
図6に示されるように、制御部Cは、畦際停止処理が開始されると、GPS制御装置38から苗移植機1の位置情報を取得する(ステップS31)。次に、制御部Cは、記憶装置34から、圃場の畦の位置情報を取得し、苗移植機1の位置と畦との位置との距離が所定値以内にあるか判断する(ステップS32)。所定値以内にある場合、すなわち、苗移植機1が畦際にあると判断される場合、変速規制ソレノイド33を駆動して、主変速レバー16aを中立位置に移動させ、内燃機関制御装置18を制御して、苗移植機1を停止させる。この構成により、作業者が操縦席11から離れていると判断される場合に、苗移植機1を畦際で停止させることができ、苗移植機1の畦への衝突を回避して安全性を向上できる。
【0081】
さらに、
図7に示されるように、苗移植機1の停止後、さらに、操作装置の操作が所定時間検出されない場合(ステップS35)、制御部Cは、電子油圧バルブ23aを制御して、昇降リンク装置Rを介して、苗植付部20を非作業位置まで上昇させ、苗植付装置20aの植付体の駆動を停止する(ステップS36)。ここで、一般に、苗移植機1を停止したまま、苗植付部20を対地作業位置として、苗植付装置20aの植付体を駆動すると、植付体によって飛散した泥が、施肥装置24に付着して泥詰まりが生じやすいが、本実施形態においては、苗植付部20を非作業位置まで上昇させ、施肥装置24の泥詰まりを防止できるため利便性が高い。さらに、制御部Cは、内燃機関制御装置18を制御して、エンジン4を停止する(ステップS37)。これにより、不要な燃料消費を抑えるとともに、誤操作による発進を防止することで作業者の安全性がさらに向上する。
【0082】
本発明は、以上の実施態様(実施形態)に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。例えば、
(1)上記実施形態では、制御部Cは、
図5のステップS15で示されるように、直進制御時に、操作装置の操作が所定時間検知されない場合、速度規制する構成としたが、これを、重量センサ28が所定時間検知されない場合に速度規制する構成としてもよい。この構成によれば、作業者が所定時間、操縦席11から離れた場合に、速度規制されるため、作業者の安全性が向上する。
(2)上記実施形態では、制御部Cは、
図5のステップ19に示されるように、直進制御時に、重量センサ28が所定時間検知しない場合、制御部Cが畦際停止処理を開始して、苗移植機1を停止させるよう構成したが、苗移植機1にかかった外力を検知する外力検知装置を苗移植機1の適宜の位置に設け、直進制御中、何らかの外力が加わったことを外力検知装置が検知すると、畦際停止処理を開始して苗移植機1を停止する構成としてもよい。この構成によれば、苗移植機1の機体にかかる負荷を軽減することができる。外力検知装置は、例えば、角速度センサなどを用いて、苗移植機1にかかる外力を検出する。
(3)上記実施形態では、
図5において、制御部Cの直進制御時における動作を示したが、これに加え、苗移植機1を、GPS制御装置38を利用した作業車両1の自動運転を行う構成とし、さらに、自動運転中、走行車体1の燃料タンクに残量センサを設け、燃料の残量が規定値以下になると、通信部35により、情報端末36にメッセージ情報を送信して、作業者に通知する制御を加えた構成としてもよい。これにより、GPS制御装置38を利用した作業車両1の自動運転中、離れた位置に作業者がいても、燃料の残量が減少したことを知ることができ、作業効率が向上する。また、制御部Cは、自動運転中、操作装置の操作が検出されると、内燃機関制御装置18を制御して、苗移植機1のエンジン4を停止する構成としてもよく、さらに、通信部35により、情報端末36にメッセージ情報を送信して、作業者に通知する制御を加えた構成としてもよい。さらに、苗移植機1の停止後の再起動は、操縦部12からパスワード等のロックを解除しなければ、再起動できない構成としてもよい。この構成により、自動運転中、作業者は苗移植機1から離れて別の作業を行う可能性があるため、自動運転中に第三者により操作装置が不正に操作された場合に、苗移植機を停止し、さらに、ロックを解除しなければ、再起動できないようにすることで、盗難等に対する防犯性が向上する。
(4)上記実施形態では、
図6において、制御部Cの直進制御時の基本動作を示したが、これに加え、GPS制御装置38を利用した作業車両1の自動運転を行う場合に、自動運転中、操作装置の操作が検出されると、制御部C内燃機関制御装置18を制御して、作業車両1のエンジンを停止するとともに、通信部35により、情報端末36にメッセージ情報を送信して、作業者に通知する制御を加えた構成としてもよい。さらに、作業車両1の停止後の再起動は、パスワード等のロックを解除しなければ再起動できない構成としてもよい。この構成によれば、自動運転中、作業者は、作業車両1の機体から離れて別の作業をする可能性がある。盗難防止のために自動運転中に何らかの操作があった場合に、エンジン4を停止して、第三者が再起動できない構成にすることで、防犯性が向上する。
(5)上記実施形態では、制御部Cは、
図5のステップ19において、直進制御中に重量センサ28が所定時間検知しない場合、畦際停止処理を開始する(ステップS20)構成を示したが、制御部Cは、重量センサ28が検知しない時間が長時間にわたる場合、通信部35により、情報端末36に警告のメッセージ情報を送信して、情報端末36の表示部に警告を出力する制御を加えた構成としてもよい。これにより、作業者が作業車両から転落している場合等に、関係者に警告を報知することができる。