特許第6780496号(P6780496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780496
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】鉄道車両用ヨーダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   B61F 5/24 20060101AFI20201026BHJP
   B61F 5/12 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B61F5/24 Z
   B61F5/12
   B61F5/24 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-255488(P2016-255488)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-103952(P2018-103952A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 幸彦
【審査官】 岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−139100(JP,A)
【文献】 特開2007−069820(JP,A)
【文献】 特開2016−185727(JP,A)
【文献】 特開2015−178852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/24
B61F 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と該車体に連結された台車とを具備する鉄道車両に用いられるヨーダンパ装置であって、
前記車体の床面から垂下されたヨーダンパ受けと前記台車の台車枠との間に取り付けられたヨーダンパと、
前記ヨーダンパの伸縮方向の両端部のうち少なくとも何れか一方の端部に対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段と、を備え
前記ヨーダンパとして、前記台車の前後方向に並設された前位ヨーダンパ及び後位ヨーダンパを備え、
前記回転抵抗付与手段は、ロータリーダンパであり、
前記前位ヨーダンパの後端部と前記後位ヨーダンパの前端部とは、前記ロータリーダンパを介して接続されている、
ことを特徴とする鉄道車両用ヨーダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に用いられるヨーダンパ装置に関する。特に、本発明は、鉄道車両が軌道の直線区間を高速走行する際に、車体の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能な鉄道車両用ヨーダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両には、高速走行時の台車の蛇行動を抑制するためにヨーダンパが用いられる場合がある。ヨーダンパは、空気ばね近傍の車体の床面から垂下されたヨーダンパ受けと、台車の台車枠との間において、台車の左右それぞれに取り付けられ、軌道不整やレールの継ぎ目などの軌道からの加振によって発生するヨーイング(台車が車体に対して上下軸周りに回転振動する現象)を速やかに減衰させるために用いられている。ヨーダンパの減衰力は台車の前後方向にのみ作用し、高速走行時の台車の蛇行動が抑制される。
【0003】
ここで、鉄道車両の乗り心地には、軌道不整やレールの継ぎ目などの軌道からの加振や、車輪の偏心による加振によって、台車を介して発生する車体の上下方向の曲げ振動が大きく影響する。
【0004】
鉄道車両の乗り心地を向上させる方法として、特許文献1には、車体の上下方向の曲げ振動を低減するため、台車と輪軸の等価質量、軸箱前後支持剛性および車体と台車間の前後系結合剛性を所定の式に基づいて最適化することを特徴とする鉄道車両用車体の弾性振動低減方法が提案されている(特許文献1の請求項1等)。
具体的には、特許文献1の図2に示す鉄道車両モデルのパラメータのうち、台車の全等価質量と、回転慣性を考慮した輪軸の等価質量とを既知としたとき、軸箱の前後支持剛性、ヨーダンパとその緩衝ゴムや牽引リンクの緩衝ゴム等の車体と台車間の前後系合成結合剛性を調整して、特許文献1の[数1]の右辺に示す値を左辺に示す車体の曲げ振動の固有振動数fに一致させることで、車体の上下方向の曲げ振動を低減している。
この特許文献1に記載の方法は、ヨーダンパに関わる諸元のみならず、軸箱や牽引リンクの諸元についても適正化を考えなければならないため、パラメータの同定が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−203171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、鉄道車両が軌道の直線区間を高速走行する際に、車体の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能な鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、車体と該車体に連結された台車とを具備する鉄道車両に用いられるヨーダンパ装置であって、前記車体の床面から垂下されたヨーダンパ受けと前記台車の台車枠との間に取り付けられたヨーダンパと、前記ヨーダンパの伸縮方向の両端部のうち少なくとも何れか一方の端部に対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段と、を備え、前記ヨーダンパとして、前記台車の前後方向に並設された前位ヨーダンパ及び後位ヨーダンパを備え、前記回転抵抗付与手段は、ロータリーダンパであり、前記前位ヨーダンパの後端部と前記後位ヨーダンパの前端部とは、前記ロータリーダンパを介して接続されている、ことを特徴とする鉄道車両用ヨーダンパ装置を提供する。
【0008】
従来のヨーダンパのみを備えるヨーダンパ装置の場合、車体の上下方向の曲げ振動が発生すると、空気ばね近傍における車体の床面の角度(車体の床面と水平面との成す角度)が変化するため、車体の床面から垂下されたヨーダンパ受けの台車枠に対する相対角度も変化する。この際、ヨーダンパ受けはヨーダンパを介して台車枠と連結しているため、ヨーダンパ受けの相対角度の変化に伴い、ヨーダンパの伸縮方向の両端部のうち台車枠に取り付けられた端部を中心として、ヨーダンパの台車に対する相対的な回転運動が発生することになる。
これに対して、本発明に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置は、ヨーダンパの伸縮方向の両端部のうち少なくとも何れか一方の端部に対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段を備える。このため、例えば、本発明の回転抵抗付与手段がヨーダンパの両端部のうち台車枠に取り付けられた端部に対して回転抵抗を付与するとすれば、上記従来のヨーダンパの台車枠に取り付けられた端部を中心とする相対的な回転運動を容易に抑制可能である。これにより、車体の床面の角度変化が低減し、車体の上下方向の曲げ振動を容易に低減可能である。車体の上下方向の曲げ振動が低減すると、車体の床面の上下方向の加速度も低減するため、結果として鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
上記では、回転抵抗付与手段がヨーダンパの両端部のうち台車枠に取り付けられた端部に対して回転抵抗を付与する場合を例に挙げて説明したが、ヨーダンパの両端部のうちヨーダンパ受けに取り付けられた端部に対して回転抵抗を付与する場合や、ヨーダンパの両端部に回転抵抗を付与する場合も、同様の作用効果を奏する。すなわち、本発明の回転抵抗付与手段は、ヨーダンパの伸縮方向の両端部のうち少なくとも何れか一方の端部に対して回転抵抗を付与するため、車体の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【0010】
本発明におけるロータリーダンパとしては、例えば、特開2015−178852号公報等に記載の公知のロータリーダンパを適用可能である。ロータリーダンパは、外側に配置された軸部材と内側に配置された軸部材とが相対的に回転する際に回転抵抗が生じるように構成された機器である
【0012】
本発明におけるロータリーダンパとして、特開2015−178852号公報に記載のロータリーダンパを適用する場合には、例えば、上記公報に記載の外側に配置された軸部材(ハウジング10)を前位ヨーダンパの後端部に固定して取り付け、内側に配置された軸部材(軸33)に後位ヨーダンパの前端部を固定して取り付ければよい。
転抵抗付与手段として簡易な構成のロータリーダンパを用いることで、車体の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るヨーダンパ装置によれば、鉄道車両が軌道の直線区間を高速走行する際に、車体の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来の鉄道車両用ヨーダンパ装置の概略構成を説明する説明図である。
図2】車体の上下方向の曲げ振動が発生した状態を説明する説明図である。
図3】本発明の一実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置の概略構成を説明する説明図である。
図4】他の回転抵抗付与手段を備えたヨーダンパ装置の概略構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
<従来のヨーダンパ装置の構成>
まず、従来のヨーダンパ装置の構成について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、従来の鉄道車両用ヨーダンパ装置の概略構成を説明する説明図である。
図1に示すように、従来の鉄道車両用ヨーダンパ装置(以下、適宜、単に「ヨーダンパ装置」という)100’は、車体2と、車体2に連結された台車3とを具備する鉄道車両に用いられるものである。図1では、便宜上、1台の台車3のみを図示しているが、実際には、車体2に前後1対の台車3(前位台車3A、後位台車3B)が連結されている(後述の図2(a)参照)。
車体2には、その床面から垂下されたヨーダンパ受け21が取り付けられている。
台車3は、前後1対の輪軸3a、3bと、台車枠3cと、車体2と台車枠3cとを連結し車体2を支持する空気ばね3dとを備えている。
【0017】
従来のヨーダンパ装置100’は、各台車3の左右に取り付けられたヨーダンパ1を備えている(図1は、台車3の左側に取り付けられたヨーダンパ1のみを図示している)。具体的には、ヨーダンパ1は、ヨーダンパ受け21と台車枠3cとの間に取り付けられている。ヨーダンパ1は、内部で粘性流体が流通する際の粘性抵抗により、伸縮する際に抵抗力(減衰力)を付与するものである。
【0018】
図2は、車体の上下方向の曲げ振動が発生した状態を説明する説明図である。
図2(a)は鉄道車両全体の概略構成を示す図であり、図2(b)は前位台車3A近傍の概略構成を示す図である。
従来のヨーダンパ装置100’の場合、図2(a)に示すように、車体2の上下方向の曲げ振動が発生する(図2(a)に実線で示す車体2が破線で示す車体2の状態に変化する)と、空気ばね3d近傍における車体2の床面の角度α(車体2の床面と水平面との成す角度)が変化する。このため、車体2の床面から垂下されたヨーダンパ受け21の台車枠3cに対する相対角度も変化することになる(図2(b)に実線で示すヨーダンパ受け21が破線で示すヨーダンパ受け21の状態に変化する)。
この際、ヨーダンパ受け21はヨーダンパ1を介して台車枠3cと連結しているため、図2(b)に示すように、ヨーダンパ受け21の相対角度の変化に伴い、ヨーダンパ1の伸縮方向の両端部1a、1bのうち台車枠3cに取り付けられた端部1aを中心として、ヨーダンパ1の台車3に対する相対的な回転運動が発生することになる。
【0019】
<本実施形態に係るヨーダンパ装置の構成>
本実施形態に係るヨーダンパ装置は、図2を用いて説明したヨーダンパ1の台車3に対する相対的な回転運動を抑制することで、車体2の上下方向の曲げ振動を抑制するものである。
図3は、本発明の一実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置の概略構成を説明する説明図である。
図3に示すように、本実施形態に係る鉄道車両用ヨーダンパ装置(以下、適宜、単に「ヨーダンパ装置」という)100も、従来と同様に、車体2と、車体2に連結された台車3とを具備する鉄道車両に用いられるものである。図3では、便宜上、1台の台車3のみを図示しているが、実際には、車体2に前後1対の台車3が連結されている。
車体2には、その床面から垂下されたヨーダンパ受け21が取り付けられている。
台車3は、前後1対の輪軸3a、3bと、台車枠3cと、車体2と台車枠3cとを連結し車体2を支持する空気ばね3dとを備えている。台車3が備える上記の構成要素及びその他の構成要素は、周知慣用の台車と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0020】
本実施形態に係るヨーダンパ装置100は、従来と同様に、各台車3の左右に取り付けられたヨーダンパ1を備えている(図3は、台車3の左側に取り付けられたヨーダンパ1のみを図示している)。具体的には、ヨーダンパ1は、ヨーダンパ受け21と台車枠3cとの間に取り付けられている。ヨーダンパ1は、内部で粘性流体が流通する際の粘性抵抗により、伸縮する際に抵抗力(減衰力)を付与するものである。ヨーダンパ1の更に具体的な構成は、公知のヨーダンパと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
なお、ヨーダンパ1としては、減衰力可変型のヨーダンパを用いることも可能である。この場合、ヨーダンパ装置100は、ヨーダンパ1に加えて、ヨーダンパ1の減衰力を制御する制御手段(図示せず)を備えることになる。具体的には、この制御手段として、車体2に取り付けられたシーケンサ等から構成されるコントローラ(図示せず)と、ヨーダンパ1に取り付けられた電磁弁(図示せず)とを具備する構成を例示できる。電磁弁は、コントローラからの制御信号に基づき、ヨーダンパ1内部の粘性流体の流通をオン・オフすることで、ヨーダンパ1の減衰力を有効(減衰力が作用する状態)にしたり、無効(実質的に減衰力が作用しない状態)にする機能を果たす。
【0021】
本実施形態に係るヨーダンパ装置100は、ヨーダンパ1に加えて、ヨーダンパ1の伸縮方向の両端部1a、1bのうち少なくとも何れか一方の端部に対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段4を備えることを特徴としている。
具体的には、図3に示す例では、回転抵抗付与手段4は、ヨーダンパ1の両端部1a、1bのうち台車枠3cに取り付けられた端部1aに回転抵抗を付与するロータリーダンパである。ロータリーダンパは、外側に配置された軸部材と内側に配置された軸部材とが相対的に回転する際に回転抵抗が生じるように構成された機器である。例えば、ロータリーダンパの外側に配置された軸部材を台車枠3cに固定して取り付け、ロータリーダンパの内側に配置された軸部材にヨーダンパ1の端部1aを固定して取り付ければよい。
【0022】
上記のように、回転抵抗付与手段4によって、ヨーダンパ1の端部1aに回転抵抗が付与されることにより、図2(b)に示す従来のヨーダンパ装置100’のようなヨーダンパ1の端部1aを中心とする相対的な回転運動を容易に抑制可能である。これにより、図2(b)に示すような車体2の床面の角度αの変化が低減し、車体2の上下方向の曲げ振動を容易に低減可能である。車体2の上下方向の曲げ振動が低減すると、車体2の床面の上下方向の加速度も低減するため、結果として鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【0023】
図3に示す例では、ヨーダンパ1の両端部1a、1bのうち台車枠3cに取り付けられた端部1aに対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段4としてのロータリーダンパを備える構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、ヨーダンパ1の両端部1a、1bのうち少なくとも何れか一方の端部に対して回転抵抗を付与する限りにおいて、他の回転抵抗付与手段を採用することも可能である。
【0024】
図4は、他の回転抵抗付与手段を備えたヨーダンパ装置の概略構成を説明する説明図である。
図4(a)に示すヨーダンパ装置100Aは、ヨーダンパ1の両端部1a、1bのうちヨーダンパ受け21に取り付けられた端部1bに対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段4Aとしてのロータリーダンパを備えている。この場合、例えば、ロータリーダンパの外側に配置された軸部材がヨーダンパ受け21に固定して取り付けられ、ロータリーダンパの内側に配置された軸部材にヨーダンパ1の端部1bが固定して取り付けられる。
図4(a)に示すヨーダンパ装置100Aによっても、ヨーダンパ1の端部1bに対して回転抵抗を付与するため、車体2の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
図4(b)に示すヨーダンパ装置100Bは、ヨーダンパ1の両端部1a、1bのうち台車枠3cに取り付けられた端部1aに対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段4Bとしてのロータリーダンパと、ヨーダンパ受け21に取り付けられた端部1bに対して回転抵抗を付与する回転抵抗付与手段4Cとしてのロータリーダンパとの双方を備えている。
図4(b)に示すヨーダンパ装置100Bによっても、ヨーダンパ1の両端部1a、1bの双方に対して回転抵抗を付与するため、車体2の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【0025】
図4(c)に示すヨーダンパ装置100Cは、ロータリーダンパ以外の回転抵抗付与手段4Dを備えている例である。具体的には、回転抵抗付与手段4Dは、台車枠3cとヨーダンパ1の端部1aとの間に取り付けられたロッド部材41と、ロッド部材41とヨーダンパ1との間に取り付けられた直動ダンパ42とを具備する。ロッド部材41は、例えば、一方の端部が台車枠3cに固定して取り付けられ、他方の端部がヨーダンパ1の端部1aにヒンジを介して取り付けられる。直動ダンパ42は、例えば、一方の端部がロッド部材41にヒンジを介して取り付けられ、他方の端部がヨーダンパ1にヒンジを介して取り付けられる。直動ダンパ42は、伸縮する際に抵抗力が生じるように構成された機器であり、例えば、ヨーダンパ1と同様の構成からなるものを採用可能である。
この回転抵抗付与手段4Dによっても、図3に示す回転抵抗付与手段(ロータリーダンパ)4と同様に、ヨーダンパ1の端部1aに対して回転抵抗を付与することが可能である。このため、車体2の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
なお、図4(c)に示す例では、ヨーダンパ1の端部1aに対して回転抵抗を付与する場合を挙げたが、図4(a)に示す回転抵抗付与手段(ロータリーダンパ)4Aの代わりに、回転抵抗付与手段4Dのようなロッド部材41及び直動ダンパ42を具備する構成を採用して、ヨーダンパ1の端部1bに対して回転抵抗を付与することも可能である。また、図4(b)に示す回転抵抗付与手段(ロータリーダンパ)4B、4Cの代わりに、それぞれ回転抵抗付与手段4Dのようなロッド部材41及び直動ダンパ42を具備する構成を採用して、ヨーダンパ1の両端部1a、1bの双方に対して回転抵抗を付与することも可能である。
【0026】
図4(d)に示すヨーダンパ装置100Dは、ヨーダンパとして、台車3の前後方向に並設された前位ヨーダンパ1A及び後位ヨーダンパ1Bを備え、回転抵抗付与手段4Eとして、ロータリーダンパを備えている。そして、前位ヨーダンパ1Aの後端部と後位ヨーダンパ1Bの前端部1Baとは、回転抵抗付与手段(ロータリーダンパ)4Eを介して接続されている。例えば、ロータリーダンパの外側に配置された軸部材を前位ヨーダンパ1Aの後端部に固定して取り付け、ロータリーダンパの内側に配置された軸部材に後位ヨーダンパ1Bの前端部1Baを固定して取り付ければよい。
図4(d)に示すヨーダンパ装置100Dによっても、前位ヨーダンパ1Aの後端部と後位ヨーダンパ1Bの前端部1Baとに対して回転抵抗を付与するため、車体2の上下方向の曲げ振動を容易に低減して鉄道車両の乗り心地を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B・・・ヨーダンパ
2・・・車体
21・・・ヨーダンパ受け
3・・・台車
3c・・・台車枠
4、4A、4B、4C、4D、4E・・・回転抵抗付与手段
100、100A、100B、100C、100D・・・ヨーダンパ装置
図1
図2
図3
図4