特許第6780562号(P6780562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780562
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20201026BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   H04N5/64 511A
   G02B27/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-65806(P2017-65806)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-170607(P2018-170607A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】下田 恒史郎
(72)【発明者】
【氏名】楠田 美佑紀
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−319440(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3205359(JP,U)
【文献】 特開平05−011707(JP,A)
【文献】 特開2002−004126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00−7/00
A63B69/00−69/40
A63F 9/24
A63F13/00−13/98
G02B27/00−27/64
G09F 9/00
H04N 5/64−5/655
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に着用される着用具と、
前記着用具を装着した前記使用者にとって左右方向の位置である前記着用具の側面に装着される装着部と、
画像を表示する表示部と、
前記装着部と前記表示部とを接続するアームと、
前記装着部と前記アームとを、第1軸を中心として回転可能に連結する第1調整部と、
前記表示部と前記アームとを、第2軸を中心として回転可能に連結する第2調整部と、
前記第1軸の向きを調整する角度調整部と、
前記装着部に前記角度調整部を着脱可能に装着する着脱部と
を備え、
前記角度調整部が、前記装着部及び前記着用具の側面の間に配置されるとともに、前記着用具の側面に接触する第1平面及び、前記装着部に対向する面となる第2平面を有し、
前記第1平面は、前記第2平面に対して第1方向に第1傾斜角度分傾斜し、且つ、
前記第1平面及び前記第2平面は、何れも、前記第1軸の方向と交差することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記第1平面は、前記第2平面に対して、前記第1方向と異なる第2方向に第2傾斜角度分更に傾斜したことを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記着脱部は、
前記装着部及び前記角度調整部の一方に設けられ、前記第1方向と直交する方向に沿って延びる溝部と、
前記装着部及び前記角度調整部の他方に設けられ、前記溝部に係合可能な係合部と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記第1平面と前記第2平面とのなす角度がそれぞれ異なる複数の角度調整部の何れかを、前記着脱部によって前記装着部に装着可能であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
屈曲した板状の引掛部であって、
前記装着部から、前記第1方向と直交する方向の一方側に延びる第1延伸部、
前記第1延伸部のうち前記装着部側と反対側の端部に設けられ、前記装着部に対して前記第1調整部が設けられる側と反対側に延びる屈曲部、及び、
前記屈曲部のうち、前記第1延伸部側と反対側の端部から、前記第1方向と直交する方向の他方側に延びる第2延伸部
を有する引掛部を更に備え、
前記第2延伸部に対して、前記他方側に、前記着脱部によって前記装着部に装着された前記角度調整部が配置されたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記角度調整部と引掛部との間の距離が伸縮可能であることを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
アームの一端側を使用者の頭部等に保持し、アームの他端側に固定された表示装置をユーザの眼前に配置させて使用されるヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、HMD)が知られている。特許文献1は、ハウジング、連結軸、第一の球継手、第二の球継手、及び、画像表示部を備えたヘッドマウントディスプレイを開示する。ハウジングは、使用者の頭部に装着される。連結軸は、ハウジングと画像表示部とを連結し、使用者の眼の前に画像表示部を保持する。第一の球継手及び第二の球継手は、それぞれ、ユニバーサルボールジョイントである。第一の球継手は、ハウジングと連結軸とを回動可能に連結する。第二の球継手は、画像表示組部と連結軸とを回動可能に連結する。連結軸に対する画像表示部の回動は、第二の球継部によって所定角度内に制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−319440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像表示部の位置を調整する過程で、使用者の顔に対する画像表示部の接触を防止したいという要求がある。これに対し、特許文献1に記載されたヘッドマウントディスプレイにおいて、ヘルメット状のハウジング側の球継部(第一の球継部)を動かしたときの方が、回動中心から画像表示部までの距離が大きくなるので、画像表示部側の球継部(第二の球継部)を動かしたときよりも、画像表示部の可動範囲が大きくなる。このため、ハウジング側の球継部(第一の球継部)の回動が制限された方が、画像表示部側の球継部(第二の球継部)の回動が制限される場合よりも、使用者の顔に対する画像表示部の接触を効果的に防止できるため好ましい。しかし、上記のヘッドマウントディスプレイでは、画像表示部側の球継部の回動が制限されるため、使用者の顔に対する画像表示部の接触が防止できない場合がある。一方、画像表示部を大きく動かして位置調整をするなど、球継部の回動範囲を変更したい場合もある。
【0005】
本発明の目的は、使用者の顔に表示部が接触することを効果的に防止できるヘッドマウントディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヘッドマウントディスプレイは、使用者の頭部に着用される着用具と、前記着用具を装着した前記使用者にとって左右方向の位置である前記着用具の側面に装着される装着部と、画像を表示する表示部と、前記装着部と前記表示部とを接続するアームと、前記装着部と前記アームとを、第1軸を中心として回転可能に連結する第1調整部と、前記表示部と前記アームとを、第2軸を中心として回転可能に連結する第2調整部と、前記第1軸の向きを調整する角度調整部と、前記装着部に前記角度調整部を着脱可能に装着する着脱部とを備え、前記角度調整部が、前記装着部及び前記着用具の側面の間に配置されるとともに、前記着用具の側面に接触する第1平面及び、前記装着部に対向する面となる第2平面を有し、前記第1平面は、前記第2平面に対して第1方向に第1傾斜角度分傾斜し、且つ、前記第1平面及び前記第2平面は、何れも、前記第1軸の方向と交差することを特徴とする。
【0007】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、使用者の頭部に装着部が装着された状態で、アーム、第1調整部、及び、第2調整部によって、使用者の眼前に表示部を保持させて使用される。角度調整部は、第1平面を使用者の頭部に沿って配置させることによって、使用者の頭部に対して第2平面の向きを傾斜させることができる。つまり、HMDは、角度調整部が装着されない状態における第1軸の延びる方向に対して、角度調整部が装着された状態における第1軸の延びる方向を傾斜させることができる。なお、第1調整部によるアームの回転範囲は、第1軸が傾斜した状態で規制されるので、装着部側及び表示部側のそれぞれの調整部のうち、装着部側の回転範囲が規制されることになる。このため、使用者の顔に表示部が当たり難くなる。また、角度調整部を着脱可能に装着する着脱部を備えることで、第1調整部の回転範囲を必要に応じて変更することができる。従って、HMDは、使用者の顔に表示部が接触することを、角度調整部によって効果的に防止できる。
【0008】
本発明において、前記第1平面は、前記第2平面に対して、前記第1方向と異なる第2方向に第2傾斜角度分更に傾斜してもよい。この場合、角度調整部は、第1平面を使用者の頭部に沿って配置させることによって、第2平面の向きを、第1平面に対して第1方向及び第2方向に傾斜させることができる。これによってHMDは、使用者の顔に表示部が接触することを更に適切に抑制できる。
【0009】
本発明において、前記着脱部は、前記装着部及び前記角度調整部の一方に設けられ、前記第1方向と直交する方向に沿って延びる溝部と、前記装着部及び前記角度調整部の他方に設けられ、前記溝部に係合可能な係合部とを備えてもよい。この場合、HMDは、着脱部の溝部に係合部を係合させることによって、装着部に角度調整部を装着できる。又、HMDの着脱部の溝部は、第1方向と直交する方向(直交方向)に延びる。このため、直交方向と交差する方向の力が角度調節部に作用しても、溝部から係合部が外れ難い。従って、HMDは、角度調整部が装着部から外れることを、着脱部によって適切に防止できる。
【0010】
本発明において、前記第1平面と前記第2平面とのなす角度がそれぞれ異なる複数の角度調整部の何れかを、前記着脱部によって前記装着部に装着可能であってもよい。この場合、HMDは、装着部が装着される対象(例えば、ヘルメット)の形状に応じて複数の第2規制部の何れかを選択し、装着部に装着できる。
【0011】
本発明において、屈曲した板状の引掛部であって、前記装着部から、前記第1方向と直交する方向の一方側に延びる第1延伸部、前記第1延伸部のうち前記装着部側と反対側の端部に設けられ、前記装着部に対して前記第1調整部が設けられる側と反対側に延びる屈曲部、及び、前記屈曲部のうち、前記第1延伸部側と反対側の端部から、前記第1方向と直交する方向の他方側に延びる第2延伸部を有する引掛部を更に備え、前記第2延伸部に対して前記他方側に、前記着脱部によって前記装着部に装着された前記角度調整部が配置されてもよい。この場合、HMDは、例えば装着部がヘルメットの側面に装着された状態で、引掛部の屈曲部をヘルメットの下端部に引っ掛けるこができる。このため、HMDは、装着部をヘルメット等に安定的に保持できる。又、引掛部は、角度調整部と対向する位置でヘルメットに引っ掛けられることになるので、ヘルメットに対するHMDの位置を更に安定化できる。
【0012】
本発明において、前記角度調整部と引掛部との間の距離が伸縮可能であってもよい。この場合、HMDは、装着部が装着される対象(例えば、ヘルメット)の形状に応じて、角度調整部と引掛部との間の長さを調節できるので、装着部を更に安定的に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】HMD1Aの正面図である。
図2】HMD1A(表示部76を除く)を前側から見た斜視図である。
図3図2の状態において、装着部71から角度調整部2を脱離させた場合の図である。
図4】HMD1A(表示部76を除く)を後側から見た斜視図である。
図5】HMD1A(表示部76を除く)の平面図である。
図6】角度調整部2が脱離した状態のHMD1A(表示部76を除く)の平面図である。
図7】HMD1B(表示部76を除く)を前側から見た斜視図である。
図8】HMD1C(表示部76を除く)を前側から見た斜視図である。
図9】HMD1C(表示部76を除く)を後側から見た斜視図である。
図10】HMD1Cの正面図である。
図11】HMD1D(表示部76を除く)を前側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について説明する。図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display、以下、「HMD」という。)1Aは、ビデオ透過型のHMDである。HMD1Aは、使用者Uが被ったヘルメットHに取り付けられるバンドBに装着されて使用される。バンドBは環状であり、ヘルメットHの側面に沿って配置される。HMD1Aは、装着部71、アーム72、第1ボールジョイント73、第2ボールジョイント74(図2参照)、表示部76、角度調整部2、着脱部3、及び、引掛部5を備える。以下、図の説明の理解を助けるため、HMD1Aの上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側を定義する。HMD1Aの上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側は、例えば、図1の上側、下側、左側、右側、手前側、及び、奥側にそれぞれ対応する。HMD1Aの上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側は、それぞれ、HMD1Aが着用された使用者Uにとって、上側、下側、右側、左側、前側、及び、後側に対応する。図2図6において、表示部76は省略されている。
【0015】
<装着部71>
図1に示すように、装着部71は、ヘルメットHに取り付けられたバンドBにHMD1Aを固定する。図2に示すように、装着部71は、屈曲した板状の部材である。装着部71は、第1部分71A、第2部分71B、第3部分71C、及び、第4部分71Dを有する。
【0016】
第1部分71Aは上下方向に延びる。第1部分71Aの主平面は、左右方向と直交する。第2部分71Bは、第1部分71Aの上端部から左側に向けて延びる。第3部分71Cは、第2部分71Bの左端部から下側に向けて延びる。第3部分71Cの主平面は、左右方向を向く。第3部分71Cは、第1部分71Aに対して左側に離隔する。第3部分71Cの上下方向の長さは、第1部分71Aの上下方向の長さよりも長い。第3部分71Cは、第1部分71Aの下端部よりも下側に突出する。第3部分71Cの上下方向略中央よりも上側の部分(「特定部710」という。)は、下側の部分よりも板厚が大きい。第4部分71Dは、第3部分71Cの下端部から右側に向けて延びる。第4部分71Dの左右方向の長さは、第2部分71Bの左右方向の長さと略等しい。
【0017】
図1に示すように、装着部71の第1部分71A及び第3部分71Cの間に形成される隙間に、バンドBが挿通される。このとき、装着部71の第3部分71Cは、ヘルメットHの右側の側面とバンドBの内面との間に挟まれる。これによって、装着部71はヘルメットHを被った使用者Uの頭部の位置に装着される。
【0018】
<引掛部5>
図2に示すように、引掛部5は、装着部71の第4部分71Dの右端部に接続される。引掛部5は、屈曲した板状の部材である。引掛部5は、第1延伸部5A、屈曲部5B、及び、第2延伸部5Cを有する。第1延伸部5Aは、装着部71の第4部分71Dの右端部から下側に向けて延びる。屈曲部5Bは、第1延伸部5Aの下端部、即ち、第1延伸部5Aのうち装着部71と接続する側と反対側の端部から、左側に向けて延びる。第2延伸部5Cは、屈曲部5Bの左端部、即ち、屈曲部5Bのうち第1延伸部5Aと接続する側と反対側の端部から、上側に向けて延びる。第2延伸部5Cの上下方向の長さは、第1延伸部5Aの上下方向の長さよりも短い。装着部71の第3部分71Cと第4部分71Dとの接続部分と、第2延伸部5Cの上端部との間には、隙間が形成される。
【0019】
図1に示すように、装着部71がヘルメットHに装着された状態で、引掛部5の第2延伸部5Cと装着部71との間の隙間から内側に向けて、ヘルメットHの下端部が進入する。これによって、引掛部5はヘルメットHの下端部に引っ掛けられる。
【0020】
<アーム72、第1ボールジョイント73、第2ボールジョイント74>
図2に示すように、アーム72は略棒状であり、樹脂や金属などで構成される。アーム72は上下方向に延びる。アーム72の上端部は、後述する第1ボールジョイント73及び引掛部5を介して装着部71に接続される。アーム72の下端部は、後述する第2ボールジョイント74を介して表示部76(図1参照)に接続される。つまり、アーム72は、装着部71と表示部76とを接続する。
【0021】
第1ボールジョイント73は、ボールスタッド73A及びソケット73Bを備える。図1に示すように、ボールスタッド73Aは、アーム72の上端部から延びる。ボールスタッド73Aの非図示の球体部は、ボールスタッド73Aのうちアーム72側と反対側の端部に設けられる。図2に示すように、ソケット73Bは、引掛部5の第1延伸部5Aの右側面に接続する。このため、第1ボールジョイント73は、引掛部5の第1延伸部5Aに対して屈曲部5Bが延びる側と反対側に配置される。ボールスタッド73Aの棒部は、ソケット73Bに設けられた開口部73Cを左右方向に通過する。ソケット73Bは、ボールスタッド73Aの球体部を摺動可能に支持する。ボールスタッド73Aの球体部がソケット73Bに対して摺動することによって、第1ボールジョイント73は、引掛部5を介して装着部71とアーム72とを回転可能に連結する。第1ボールジョイント73の回転軸(「第1軸」という。)73Rは、ボールスタッド73Aの棒部に沿って延びる。
【0022】
第2ボールジョイント74は、ボールスタッド74A及びソケット74Bを備える。ボールスタッド74Aは、アーム72の下端部から延びる。ボールスタッド74Aの非図示の球体部は、ボールスタッド74Aのうちアーム72側と反対側の端部に設けられる。ソケット74Bは表示部76(図1参照)に接続する。ボールスタッド74Aの棒部は、ソケット74Bに設けられた開口部74Cを左右方向に通過する。し、ボールスタッド74Aの球体部を摺動可能に支持する。ボールスタッド74Aの球体部がソケット74Bに対して摺動することによって、第2ボールジョイント74は、表示部76とアーム72とを回転可能に連結する。第2ボールジョイント74の回転軸(「第2軸」という。)74Rは、ボールスタッド74Aの棒部に沿って延びる。
【0023】
アーム72、第1ボールジョイント73、及び、第2ボールジョイント74は、表示部76と装着部71との間に介在する。第1ボールジョイント73及び第2ボールジョイント74は、装着部71に対する表示部76の位置を調整することによって、使用者Uの左眼に対する表示部76(図1参照)の位置を調整できる。
【0024】
<表示部76>
図1に示すように、表示部76は筐体76Aを備えている。筐体76Aは中空箱状である。筐体76Aの左側は開放する。筐体76Aの内部に収容されたレンズユニットの左側は露出する。筐体76Aの開口部にハーフミラー76Bが設けられる。筐体76Aの内部に、レンズユニット、ピント調節機構、及び、液晶ユニットが収容される。ハーフミラー76B、レンズユニット、及び、液晶ユニットは、左側から右側に向けて順番に並ぶ。ピント調節機構は、操作部材76Cを有する。操作部材76Cは、筐体76Aの前面に配置される。
【0025】
液晶ユニットは、画像を表示させることによって、画像光を射出する。レンズユニットは、液晶ユニットから射出された画像光をハーフミラー76Bに導く。ピント調節機構は、操作部材76Cの回転に応じて、レンズユニットを左右方向に移動させる。使用者Uは、操作部材76Cを回転させることによって、表示部76のピント調節を行うことができる。
【0026】
ハーフミラー76Bは矩形板状である。ハーフミラー76Bの両面のうち一方の面は、右斜め後方を向く。ハーフミラー76Bの両面のうち他方の面は、左斜め前方を向く。ハーフミラー76Bは、入射した光の一部(例えば50%)を反射させ、他部を透過させることができる。ハーフミラー76Bは、レンズユニットを通過して右側から入射する画像光を後側に反射させることができる。使用者Uの左眼は、ハーフミラー76Bによって後側に反射された画像光に基づいて、虚像を視認できる。又、ハーフミラー76Bは、外界の光を後側に透過させることができる。以下、ハーフミラー76Bによって後側に反射させる画像光を、「反射光」という。ハーフミラー76Bを後側に透過する外界の光を、「透過光」という。
【0027】
<角度調整部2>
図2に示すように、角度調整部2は、装着部71の特定部710に、後述する着脱部3によって着脱可能に装着される(図3参照)。図2図5に示すように、角度調整部2は、底面が直角三角形となる三角柱である。角度調整部2は、第1平面21(図4参照)、第2平面22(図3参照)、第3平面23、第1底面24、及び、非図示の第2底面25を有する。第1平面21、第2平面22、及び、第3平面23は、それぞれ、三角柱の3つの側面に対応する。第1底面24は上側の底面に対応する。第2底面25は下側の底面に対応する。第1底面24及び第2底面25はそれぞれ、直角三角形である。
【0028】
図3に示すように、第2平面22は左右方向と直交する。第3平面23は前後方向と直交する。第2平面22と第3平面23とのなす角度は90度である。図4に示すように、第1平面21は、第2平面22(図3参照)の後端部と、第3平面23(図2図3参照)の左端部との間に亘って延びる。図5に示すように、第2平面22に対して第1平面21は、角度調整部2を上側から見た状態で、仮想的な中心線C1を中心として時計回り方向に略30度傾斜する。以下、角度調整部2を上側から見た場合における時計回りの方向を、「第1回転方向D1」という。第1回転方向D1と直交する方向は、上下方向に対応する。第2平面22に対する第1平面21の第1回転方向D1の傾斜角度を、「第1傾斜角度θ1」という。第1平面21から垂直方向に延びるベクトルを、「法線ベクトルY1」という。法線ベクトルY1は、左斜め後側を向く。
【0029】
第1ボールジョイント73のボールスタッド73Aの球体部がソケット73Bに対して摺動することに応じ、第1軸73Rの方向は変化する。ここで、第1平面21に沿って延びる仮想平面21P、及び、第2平面22に沿って延びる仮想平面22Pを定義する。この場合、仮想平面21P、22Pの交線は、中心線C1に対応する。つまり、中心線C1は、仮想平面21P、22Pに対して平行となる。仮想平面21P、22Pは何れも、第1軸73Rの全ての方向に対して交差する。ソケット73Bの開口部73Cの中心と、ボールスタッド73Aの球体部の中心とを結ぶ直線に沿って延びる方向は、第1軸73Rの方向の範囲の中心に対応する。第1軸73Rの方向の範囲の中心は、中心線C1に対して直交する。
【0030】
<着脱部3>
図2図4図5に示すように、着脱部3は、装着部71に対して角度調整部2を着脱可能に装着する。着脱部3は、係合部3A及び溝部3B(図3参照)を有する。図3に示すように、係合部3Aは、角度調整部2に設けられる。溝部3Bは、装着部71の特定部710に設けられる。
【0031】
係合部3Aは、第1係合部31A及び第2係合部32Aを有する。第1係合部31A及び第2係合部32Aは、角度調整部2の第2平面22に設けられる。第1係合部31A及び第2係合部32Aは、角度調整部2の上下両側の底面(第1底面24及び第2底面25)のそれぞれの右端部の間に亘って、上下方向に延びる。第1係合部31A及び第2係合部32Aは、第2平面22から右側に突出する。第1係合部31A及び第2係合部32Aは、前後方向に間隔を空けて配列される。第1係合部31Aは、第2係合部32Aに対して前側に配置される。第1係合部31Aは、右端部から前側に向けて突出する突出部36Aを有する。突出部36Aの上端部及び下端部のそれぞれから前側に向けて、突出部360が更に突出する。第2係合部32Aは、右端部から後側に向けて突出する突出部37Aを有する。突出部37Aの上端部及び下端部のそれぞれから後側に向けて、突出部370が更に突出する。
【0032】
第1係合部31A及び第2係合部32Aの形状は、それぞれ、上下対称である。第1係合部31Aは、後述する第1溝部31Bに係合可能である。第2係合部32Aは、後述する第2溝部32Bに係合可能である。
【0033】
溝部3Bは、第1溝部31B及び第2溝部32Bを有する。第1溝部31B及び第2溝部32Bは、それぞれ、装着部71の特定部710の左側面に設けられた溝である。第1溝部31B及び第2溝部32Bの上端部はそれぞれ、特定部710の上端部に連通する。第1溝部31B及び第2溝部32Bはそれぞれ、上端部から下側に向けて直線状に延びる。また、第1溝部31B及び第2溝部32Bはそれぞれ、第1軸73R(図2参照)の方向に直交する方向に延びる。特定部710の前側面に設けられた穴70は、後側に向けて延び、第1溝部31Bに連通する。特定部710の後側面にも同様の穴70が設けられる(図4参照)。特定部710の後側面の穴70は、前側に向けて延び、第2溝部32Bに連通する。
【0034】
第1係合部31Aは第1溝部31Bに対して上側から挿通し、第2係合部32Aは第2溝部32Bに対して上側から挿通する。第1係合部31A及び第2係合部32Aのそれぞれの下側の突出部360は、特定部710の穴70に内側から嵌合する。これによって、図2図4に示すように係合部3Aは溝部3Bに係合され、角度調整部2は装着部71に装着される。係合部3Aの突出部360、370が溝部3Bの穴70に嵌合するため、係合部3Aは溝部3Bから脱離し難くなる。図4に示すように、引掛部5の第2延伸部5Cの上側に角度調整部2が配置される。
【0035】
<HMD1Aの使用方法>
装着部71に角度調整部2が装着された状態のHMD1Aが用意される。図1に示すように、HMD1Aの装着部71の第1部分71Aと第3部分71Cとの間に、環状のバンドBが通される。第1部分71AはバンドBの外側の面に沿って配置され、第3部分71CはバンドBの内側の面に沿って配置される。角度調整部2は、バンドBの内側に配置される。引掛部5は、バンドBの下端部よりも下側に配置される。
【0036】
次に、ヘルメットHにバンドBが装着される。バンドBは、ヘルメットHの側面を覆う。装着部71の第3部分71C及び角度調整部2は、ヘルメットHの側面とバンドBとの間に挟まれる。図5に示すように、角度調整部2の第1平面21は、ヘルメットHの側面のうち右斜め前側の部分に接触する。第1平面21から垂直に延びる法線ベクトルY1は、第2平面22から垂直に延びる方向(左方向)に対し、後側に第1傾斜角度θ1分傾斜する。一方、第2平面22はヘルメットHの側面から右側に離隔し、左右方向と直交する。なお、第2平面22の主平面の向く方向(左右方向)は、第1ボールジョイント73のソケット73Bが接続される引掛部5の第1延伸部5Aの主平面の向く方向(左右方向)と一致する。
【0037】
ここで、角度調整部2が装着されない場合とされた場合とにおける、第1軸73Rの方向の範囲の違いを説明する。図6に示すように、角度調整部2が装着されない場合、引掛部5の第1延伸部5A(図4参照)は左右方向に対して傾斜する。このため、第1軸73Rの方向の範囲の中心は、右斜め前方向を向く。一方、図5に示すように、角度調整部2が装着された場合、第1軸73Rの方向の範囲の中心は、右方向を向く。つまり、図5(A)に示すように、角度調整部2が装着された場合の第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲は、角度調整部2が装着されない場合の第1軸73Rの方向の範囲に対し、第1回転方向D1と反対方向(反時計回り方向)に第1傾斜角度θ1分傾斜する。つまり、第1軸73Rの方向は、使用者U(図1参照)の正面方向(前方向)に対して、より後側の範囲に規制される。このため、表示部76(図1参照)は使用者Uの顔に近付き難くなる。
【0038】
図1に示すように、引掛部5の屈曲部5Bは、ヘルメットHの側部の下端部に接触する。引掛部5の第2延伸部5Cは、ヘルメットHの内側に配置される。引掛部5はヘルメットHの下端部に引掛けられる。これによって、装着部71の下端部は引掛部5によってヘルメットHに固定されるので、装着部71はヘルメットHに安定的に保持される。
【0039】
次に、使用者Uは表示部76を持ち、表示部76のハーフミラー76Bが使用者Uの左眼の前側に対向して配置されるように、表示部76の位置を調節する。第1ボールジョイント73及び第2ボールジョイント74が自在に回動するため、使用者Uは表示部76を容易に移動させることができる。表示部76の液晶パネルに画像が表示される。表示された画像に基づく画像光は、筐体76Aの開口を介してハーフミラー76Bに出射される。ハーフミラー76Bは、画像光を後側に反射させる。又、使用者Uの前方の外界光は、ハーフミラー76Bを後側に透過させる。ハーフミラー76Bから出射される反射光及び透過光は、使用者Uの左眼に進入する。これによって、使用者Uは、画像が重ねられた状態の外界の景色を認識できる。
【0040】
<第1実施形態の主たる作用、効果>
HMD1Aは、使用者Uが被ったヘルメットHに装着部71が装着された状態で、アーム72、第1ボールジョイント73、及び、第2ボールジョイント74によって、使用者Uの眼前に表示部76を保持させて使用される。角度調整部2は、第1平面21をヘルメットHの側面に沿って配置させることによって、ヘルメットHの側面に対して第2平面22の向きを第1傾斜角度θ1分傾斜させることができる。このため、HMD1Aは、角度調整部2が装着されない状態における第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲に対して、角度調整部2が装着された状態における第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲を、使用者Uの正面方向に対して後向きに傾斜させることができる。又、装着部71側及び表示部76側のそれぞれのボールジョイントのうち、装着部71側のボールジョイントである第1ボールジョイント73の移動可能な範囲が、角度調整部2によって規制されることになる。この場合、表示部76は、使用者Uの顔に当たり難くなる。また、HMD1Aは、着脱部3に対して角度調整部2を着脱できる。このため、使用者Uは、第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲を必要に応じて変更できる。このため、HMD1Aは、使用者Uの顔に表示部76が接触することを、角度調整部2によって効果的に防止できる。
【0041】
HMD1Aは、角度調整部2を装着部71に着脱可能に装着するための着脱部3を備える。着脱部3は、角度調整部2に設けられた係合部3Aと、装着部71に設けられた溝部3Bとを有する。この場合、HMD1Aは、溝部3Bに係合部3Aを係合させることによって、装着部71に角度調整部2を装着できる。又、HMD1Aの着脱部3の溝部3Bは、上下方向に沿って延びる。このため、装着部71又は角度調整部2に対して上下方向と交差する方向(例えば、前後方向や左右方向)の力が作用しても、溝部3Bから係合部3Aが外れ難い。従って、HMD1Aは、角度調整部2が装着部71から外れることを、着脱部3によって適切に防止できる。
【0042】
HMD1Aは、装着部71の下端部に引掛部5を有する。HMD1Aは、装着部71がヘルメットHの側面に装着された状態で、引掛部5の屈曲部5BをヘルメットHの下端部に引っ掛けるこができる。なお、装着部71の上側部はバンドBによってヘルメットHに保持される。このためHMD1Aは、装着部71の上下方向の全域に亘ってヘルメットHに安定的に保持できる。又、HMD1Aにおいて、引掛部5の第1延伸部5Aの右側面に第1ボールジョイント73が接続される。この場合、表示部76に作用する重力に応じた力が第2ボールジョイント74に作用した場合でも、HMD1Aは引掛部5によって表示部76を安定的に保持できる。更に、角度調整部2と第2延伸部5Cとは、上下方向に対向する。この場合、HMD1Aは、角度調整部2と対向する位置で引掛部5によってヘルメットHに支持されるので、ヘルメットHに対するHMD1Aの位置を更に安定化できる。
【0043】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るHMD1Bについて、図7を参照して説明する。図7において、表示部76は省略されている。HMD1Bが第1実施形態に係るHMD1Aと異なる点は、角度調整部2の上下方向が反転された状態で装着部71に装着される点である。各構成は、HMD1Aと同一である。なお、着脱部3の係合部3Aは上下対称の形状を有する。このため、角度調整部2が上下反転された状態でも、溝部3Bに係合する。図7に示すように、角度調整部2の第2底面25は上側に配置される。第3平面23は後側に配置される。第1平面21から垂直に延びるベクトルを、「法線ベクトルY2」という。法線ベクトルY2は左斜め前側を向く。
【0044】
<第2実施形態の主たる作用、効果>
HMD1Bは、角度調整部2のヘルメットHの側面のうち左斜め前側の部分に第1平面21を接触させた状態で使用される。この場合、使用者Uの右眼の前側に表示部76が配置されることになる。又、HMD1A(図1参照)の場合と同様、第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向は、使用者U(図1参照)の正面方向(前方向)に対して、より後側の範囲に規制されるので、表示部76(図1参照)は使用者Uの顔に当たり難くなる。このため、HMD1Bは、使用者Uの顔に表示部76が接触することを、角度調整部2によって効果的に防止できる。このように、HMD1A、1Bは、角度調整部2を装着部71に装着する場合の上下方向の向きを反転させて使用することによって、使用者Uの右眼又は左眼の何れに表示部76が近接されて使用される場合でも、使用者Uの顔に表示部76が接触することを適切に防止できる。
【0045】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るHMD1Cについて、図8図9を参照して説明する。図8図9において、表示部76は省略されている。第1実施形態に係るHMD1Aと異なる点は、角度調整部2の代わりに角度調整部6が使用される点である。角度調整部6を除く構成は、HMD1Aと同様である。
【0046】
図9に示すように、角度調整部6は、矩形板状の板状部65を有する。板状部65の主平面は、左右方向を向く。板状部65の右側面(「第2平面62」という。)に、着脱部3の係合部3A(図3参照)が設けられる。角度調整部6が着脱部3を介して装着部71に装着された状態で、装着部71の特定部710の左側面と板状部65の第2平面62とは対向する。
【0047】
板状部65の左側面の上側部分から左側に向けて、突出部6Aが突出する。突出部6Aは三角錐である。突出部6Aは、第1平面61(図9参照)、第3平面63(図8参照)、第4平面64(図8参照)を有する。第1平面61、第2平面62の上側部分、第3平面63、及び、第4平面64は、それぞれ、三角錐の4つの平面に対応する。第3平面63は前後方向と直交する。第3平面63は、第2平面62の前端部から左側に向けて延びる。第4平面64は上下方向と直交する。第4平面64は、第2平面62の上端部から左側に向けて延びる。第3平面63の上端部と第4平面64の前端部とは接続する。
【0048】
図9に示すように、第1平面61は、第3平面63、第4平面64のそれぞれの斜辺を2辺として有する三角形である。第1平面61から垂直に延びるベクトルを、「法線ベクトルY3」という。法線ベクトルY3は、左斜め後方向に対して下側に更に傾斜した方向を向く。つまり、第2平面62に対して第1平面61は、図9に示すように、角度調整部6を上側から見た状態で時計回り方向(第1回転方向D1)に略30度(第1傾斜角度θ1)傾斜し、更に、図8に示すように、角度調整部6を前側から見た状態で、仮想的な中心線C2を中心として反時計回り方向に略30度傾斜する。以下、角度調整部6を前側から見た場合における反時計回りの方向を、「第2回転方向D2」という。第2回転方向D2は、第1回転方向D1と相違する。第2回転方向D2の軸方向は、前後方向に対応する。第2平面62に対する第1平面61の第2回転方向D2の傾斜角度を、「第2傾斜角度θ2」という。
【0049】
第1平面61に沿って延びる仮想平面23Pを定義する。この場合、仮想平面21P(図5参照)、23Pの交点は、中心線C2に対応する。つまり、中心線C2は、仮想平面21P、23Pに対して平行となる。仮想平面23Pは、第1軸73Rの全ての方向に対して交差する。
【0050】
つまり、角度調整部6は、第1実施形態に係るHMD1Aの角度調整部2の第1平面21に対し、第2平面22に対して第2回転方向D2に第2傾斜角度θ2更に傾斜した形状を有するといえる。このため、図10に示すように、装着部71がヘルメットH(図1参照)に装着され、角度調整部6の第1平面61がヘルメットHの側面に接触した場合、第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲の中心は、右斜め上方向を向く。つまり、第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲は、第1実施形態に係るHMD1Aにおける第1軸73Rの方向に対し、上側に第2傾斜角度θ2分傾斜する。この場合、表示部76の位置は上側に移動する。
【0051】
<第3実施形態の主たる作用、効果>
HMD1Cにおいて、角度調整部6は、第1平面61をヘルメットHの側面に沿って配置させることによって、ヘルメットHの側面に対して第2平面62の向きを、第1回転方向D1に第1傾斜角度θ1分傾斜させ、且つ、第2回転方向D2に第2傾斜角度θ2分傾斜させることができる。このため、HMD1Cは、第1ボールジョイント73の第1軸73Rの方向の範囲を、使用者Uの顔の正面方向に対して後向きに傾斜させつつ上向きに傾斜させることができる。これによって、HMD1Cは、使用者Uの顔に表示部76が接触することを更に適切に抑制しつつ、表示部76の上下方向の位置を角度調整部6によって調整できる。
【0052】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態に係るHMD1Dについて、図11を参照して説明する。図11において、表示部76は省略されている。第1実施形態に係るHMD1Aと異なる点は、装着部71の形状である。装着部71を除く構成は、HMD1Aと同一である。装着部71は、第1部分71A、第2部分71B、第3部分71C、第4部分71Dに加えて、第5部分81、及び、凹部82を更に有する。第5部分81及び凹部82を、「伸縮部8」という。
【0053】
凹部82は、装着部71の第3部分71Cの右側面に設けられる。凹部82は、第3部分71Cの右側面の上下方向略中央から下側に向けて、第3部分71Cの下端部まで延びる。凹部82の底部に、上下方向に長い長穴82Aが貫通する。
【0054】
第5部分81は板状を有し、上下方向に延びる。第5部分81の主平面は、左右方向を向く。第5部分81には、上下方向に長い長穴83が設けられる。第5部分81の下端部に、第4部分71Dが接続する。第4部分71Dは、第5部分81の下端部から右側に向けて延びる。第4部分71Dに接続する引掛部5の形状は、HMD1A(図2参照)と同一である。
【0055】
第5部分81は、凹部82に右側から嵌合する。第5部分81は、凹部82に沿って上下方向に移動可能である。第3部分71Cに対して第5部分81が上下方向に移動することによって、装着部71の第3部分71Cは伸縮する。つまり、角度調整部2と引掛部5との間の上下方向の距離は、伸縮部8によって伸縮する。角度調整部2と引掛部5との間の上下方向の距離が伸縮部8によって伸縮することに応じ、引掛部5に接続するアーム72、第1ボールジョイント73、第2ボールジョイント74、及び、表示部76も、角度調整部2に対して上下方向に移動する。
【0056】
第5部分81の長穴83、及び、凹部82の長穴82Aに対して、螺子84が右側から挿通される。螺子84は、第3部分71Cに対する第5部分81の上下方向の移動を規制する。このため、螺子84は、表示部76を所定の高さに維持できる。
【0057】
第4実施形態において、HMD1Dは、伸縮部8を伸縮させることによって、角度調整部2と引掛部5との間の上下方向の距離をヘルメットHの形状に合わせて調整できる。このため、HMD1Dは、ヘルメットHの形状に関わらず、装着部71をヘルメットHに適切に保持できる。又、HMD1Dは、引掛部5をヘルメットHに引っ掛けない状態で使用することもできる。この場合、HMD1Dは、装着部71がヘルメットHの側面に装着された状態で伸縮部8を伸縮させることによって、角度調整部2から第1ボールジョイント73までの間の上下方向の長さを変更できる。従って、HMD1Dは、アーム72に保持された表示部76の高さを、伸縮部8によって調整できる。
【0058】
<変形例>
本発明は上記の各実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。HMD1A〜1Dのそれぞれの表示部76は、ハーフミラー76Bを有しない構成であってもよい。表示部76は後側に開口を有してもよい。液晶ユニットは、開口を介して画像光を後側に射出し、使用者Uの左眼に入射させてもよい。HMD1A〜1Dが装着される対象は、ヘルメットHに限定されず、使用者Uの頭部に着用される他の着用具(例えば、帽子等)であってもよい。HMD1A〜1Dは、バンドBを更に備えた構成であってもよい。この場合、例えばバンドBは、装着部71に直接接続されていてもよい。又、例えば、装着部71の第1部分71Aの下端部が第4部分71Dまで下側に延び、第4部分71Dに接続してもよい。これによって、装着部71にループ状の部位が形成されてもよい。バンドBは、このループ状の部位に挿通されていてもよい。第1ボールジョイント73は、装着部71の第1部分71Aの右側面に接続されていてもよい。角度調整部2は、装着部71の第3部分71Cの左端部の全域に亘って設けられてもよい。
【0059】
上記の各実施形態において、角度調整部2に着脱部3の係合部3Aが設けられ、装着部71に着脱部3の溝部3Bが設けられた。これに対し、角度調整部2に着脱部3の溝部3Bが設けられ、装着部71に着脱部3の係合部3Aが設けられてもよい。係合部3A及び溝部3Bの延びる方向は上下方向に限定されず、水平方向(前後方向又は左右方向)であってもよいし、上下方向及び水平方向の何れとも交差する方向であってもよい。着脱部3は、係合部3A及び溝部3B以外の構成で、角度調整部2を装着部71に着脱可能に装着されてもよい。例えば角度調整部2は、装着部71に螺子によって着脱可能に装着されてもよい。
【0060】
角度調整部2の第1傾斜角度θ1が上記の具体例(略30度)に限定されないことは言うまでもない。角度調整部6の第1傾斜角度θ1及び第2傾斜角度θ2が上記の具体例(略30度)に限定されないことは言うまでもない。又、第1傾斜角度θ1及び第2傾斜角度θ2がそれぞれ異なる複数の角度調整部2、6が予め用意されてもよい。複数の角度調整部2、6は、何れも、着脱部3によって装着部71に装着可能であってもよい。この場合、使用者Uは、装着部71が装着されるヘルメットHの形状や、装着部71がヘルメットHに取り付けられる場合の部位に応じて、適切な第1傾斜角度θ1及び第2傾斜角度θ2を有する角度調整部2、6を選択し、装着部71装着して使用できる。
【0061】
装着部71に第4部分71Dは設けられていなくてもよい。引掛部5の第1延伸部5Aは、装着部71の第3部分71Cの下端部から更に下側に向けて延びていてもよい。引掛部5の屈曲部5Bは、第1延伸部5Aの下端部から左側に向けて、角度調整部2の真下に左端部が配置されるまで更に延びてもよい。引掛部5は、第2延伸部5Cを有しない構成であってもよい。装着部71に引掛部5は設けられていなくてもよい。
【0062】
<その他>
第1ボールジョイント73は、本発明の「第1調整部」の一例である。第2ボールジョイント74は、本発明の「第2調整部」の一例である。第1回転方向D1は、本発明の「第1方向」の一例である。第2回転方向D2は、本発明の「第2方向」の一例である。
【符号の説明】
【0063】
1A、1B、1C、1D :HMD
2 :角度調整部
3 :着脱部
3A :係合部
3B :溝部
5 :引掛部
5A :第1延伸部
5B :屈曲部
5C :第2延伸部
6 :角度調整部
8 :伸縮部
21、61 :第1平面
22、62 :第2平面
71 :装着部
72 :アーム
73 :第1ボールジョイント
74 :第2ボールジョイント
76 :表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11