特許第6780708号(P6780708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780708
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】色測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20201026BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   G01J3/50
   G01J3/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-556576(P2018-556576)
(86)(22)【出願日】2017年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2017043393
(87)【国際公開番号】WO2018110333
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2020年6月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-240172(P2016-240172)
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 慶司
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−75332(JP,A)
【文献】 特開平9−33350(JP,A)
【文献】 特開2013−211176(JP,A)
【文献】 特開2006−47307(JP,A)
【文献】 特表2003−532888(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0233884(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0333681(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00−3/52
G01J 1/00−1/60
G01J 5/00−5/62
G09G 3/00−3/38
G01M 11/00
H04N 17/04
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nが2以上の整数であり、第1から第Nまでの温度センサーをそれぞれ備え、前記第1から第Nまでの温度センサーが第1から第Nまでの内部温度をそれぞれ検出する第1から第Nまでの色測定機器と、
前記第1から第Nまでの色測定機器が接続され、前記第1から第Nまでの内部温度からそれぞれ取得される第1から第Nまでの温度変動量の一部でも許容値を超えた場合に前記第1から第Nまでの色測定機器の全部において同時に校正が行われるように前記第1から第Nまでの色測定機器を制御する制御装置と、
を備える色測定システム。
【請求項2】
前記第1から第Nまでの色測定機器は、第1から第Nまでの取得部をそれぞれ備え、
前記第1から第Nまでの取得部は、前記第1から第Nまでの内部温度から、前記第1から第Nまでの温度変動量をそれぞれ取得し、前記第1から第Nまでの温度変動量を前記制御装置にそれぞれ送信する
請求項1に記載の色測定システム。
【請求項3】
前記第1から第Nまでの色測定機器は、第1から第Nまでの駆動動作をそれぞれ実行し、第1から第Nまでの色測定をそれぞれ実行し、
前記第1から第Nまでの駆動動作は、それぞれ前記第1から第Nまでの色測定の準備のための駆動動作であり、
前記第1から第Nまでの色測定は、それぞれ前記第1から第Nまでの色測定機器における校正のためのものであり、
前記制御装置は、前記第1から第Nまでの色測定機器の全部において同時に校正が行われる場合に、前記第1から第Nまでの色測定が同時に実行され、前記第1から第Nまでの駆動動作に含まれる第1の少なくともひとつの駆動動作が実行されるタイミングが、前記第1から第Nまでの駆動動作に含まれ前記第1の少なくともひとつの駆動動作と異なる第2の少なくともひとつの駆動動作が実行されるタイミングと異なるように、前記第1から第Nまでの色測定機器を制御する
請求項1または2に記載の色測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光源色測定機器は、光源の輝度および色を測定する機器である。
【0003】
複数の光源色測定機器が制御装置に接続され制御装置に制御される光源色測定システムが知られている。特許文献1に記載された測色計は、その一例である。特許文献1に記載された測色計においては、複数の光源色測定機器の一例である複数のプローブ部が制御装置の一例である本体部に接続され、複数のプローブ部が本体部に制御される(要約)。
【0004】
複数の光源色測定機器は、必要に応じて校正される。特許文献1に記載された測色計においても、本体部に接続される複数の刺激値直読型のプローブ部が本体部に接続される分光型のプローブ部の測定結果に基づいて校正される(要約)。
【0005】
光源色測定機器の特性は、温度依存性を有する。このため、光源色測定機器の内部温度の変動が許容値を超えた場合は、内部温度の変動の影響を解消するために光源色測定機器において校正が行われる。
【0006】
一方、複数の光源色測定機器の内部温度は、互いに異なることが多い。
【0007】
したがって、複数の光源色測定機器の各々である各光源色測定機器の内部温度の変動が許容値を超えるのに同期して各光源色測定機器において校正が行われた場合は、複数の光源色測定機器において校正が互いに異なるタイミングで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/021258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
複数の光源色測定機器において校正が互いに異なるタイミングで行われる場合は、複数の光源色測定機器において校正に要する時間が長くなり、複数の光源色測定機器により実行される光源色測定が中断される時間が長くなる。
【0010】
この問題は、複数の光源色測定機器が同時に光源色測定を行い光源色測定を連続的に行う場合に特に顕著になる。
【0011】
また、この問題は、光源色測定以外の色測定が実行される場合等にも生じる。
【0012】
発明の詳細な説明に記載された発明は、この問題を解決することを目的とする。発明の詳細な説明に記載された発明が解決しようとする課題は、内部温度の変動の影響を解消するために行われる複数の色測定機器における校正に要する時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の詳細な説明に記載された発明においては、色測定システムが第1から第Nまでの色測定機器および制御装置を備える。Nは、2以上の整数である。
【0014】
第1から第Nまでの色測定機器は、第1から第Nまでの温度センサーをそれぞれ備える。第1から第Nまでの温度センサーは、第1から第Nまでの内部温度をそれぞれ検出する。
【0015】
第1から第Nまでの内部温度からは、第1から第Nまでの温度変動量がそれぞれ取得される。
【0016】
制御装置には、第1から第Nまでの色測定機器が接続される。制御装置は、第1から第Nまでの温度変動量の一部でも許容値を超えた場合に第1から第Nまでの色測定機器の全部において同時に校正が行われるように第1から第Nまでの色測定機器を制御する。
【発明の効果】
【0017】
発明の詳細な説明に記載された発明によれば、内部温度の変動の影響を解消するために行われる複数の色測定機器における校正が行われるタイミングが時間的に分散せず、当該校正に要する時間が短縮される。
【0018】
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の光源色測定システムを図示するブロック図である。
図2】第1実施形態の光源色測定システムによる測定例を図示する模式図である。
図3】第1実施形態の光源色測定システムに備えられる光源色測定機器の構成を示す図である。
図4】第1実施形態の光源色測定システムにおける電力および情報の流れを図示するブロック図である。
図5A】第1実施形態の光源色測定システムの第1実施例における温度変動量の時間変化を図示するタイミングチャートである。
図5B】第1実施形態の光源色測定システムの第1実施例における校正が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図6A】第1比較例における温度変動量の時間変化を図示するタイミングチャートである。
図6B】第1比較例における校正が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図7A】第1実施形態の光源色測定システムの第2実施例における温度変動量の時間変化を図示するタイミングチャートである。
図7B】第1実施形態の光源色測定システムの第2実施例における校正が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図8A】第2比較例における温度変動量の時間変化を図示するタイミングチャートである。
図8B】第2比較例における校正が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図9A】第1実施形態の光源色測定システムにおける諸動作が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図9B】第1実施形態の光源色測定システムにおける諸動作が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図9C】第1実施形態の光源色測定システムにおける諸動作が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図9D】第1実施形態の光源色測定システムにおける諸動作が実行されるタイミングを図示するタイミングチャートである。
図10】第1実施形態の光源色測定システムにおける電源電流の時間変化を図示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1 第1実施形態
1.1 序
第1実施形態は、光源色測定システムに関する。
【0021】
1.2 光源色測定システム
図1は、第1実施形態の光源色測定システムを図示するブロック図である。
【0022】
図1に図示される光源色測定システム1000は、N個の光源色測定機器P,P,P,・・・,Pおよび制御装置1020を備える。Nは、2以上の整数である。光源色測定システム1000がこれらの構成物以外の構成物を備えてもよい。
【0023】
光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの各々は、受光プローブ等であり、光源からの光を受光し光源色を測定する。光源色の測定とは、光源からの光の強度および色に関する情報を取得し光源の輝度および色を特定することである。光源色測定機器P,P,P,・・・,PがN個の物体色測定機器に置き換えられ光源色測定システム1000が物体色測定システムに置き換えられることも許される。N個の物体色測定機器の各々は、光源からの光を反射する反射体または光源からの光を透過する透過体からの光を受光し物体色を測定する。
【0024】
制御装置1020には、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pが電気的に接続される。制御装置1020は、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pに電力を供給し、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pを制御し、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pから光源色の測定値を収集する。
【0025】
制御装置1020は、コマンド、データーおよび信号を光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの各々に送信し、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの各々は、送信されたコマンド、データーおよび信号を制御装置1020から受信する。光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの各々は、コマンド、データーおよび信号を制御装置1020に送信し、制御装置1020は、送信されたコマンド、データーおよび信号を光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの各々から受信する。コマンドおよびデーターが信号の形態をとってもよい。
【0026】
1.3 測定例
図2は、第1実施形態の光源色測定システムによる測定例を図示する模式図である。
【0027】
図2に図示される測定例は、Nが4である場合のものである。
【0028】
図2に図示される測定例においては、ディスプレイ1030の生産の途上においてディスプレイ1030の表示面の4点の光源色が4個の光源色測定機器P,P,PおよびPによりそれぞれ測定される。4点が測定されるのは、表示面が大きいためである。3点以下または5点以上が測定されてもよい。光源色測定機器P,P,PおよびPによる測定は、同時に行われる。測定が同時に行われるのは、ディスプレイ1030を駆動する信号が周期性を有するためである。測定により得られる測定値は、ディスプレイ1030の表示面における輝度および色度の均一性および時間変化を検査するために用いられる。
【0029】
このように4点同時測定が行われる場合は、例えば1個の光源色測定機器Pにおいて校正を行う必要が生じたときに、残余の3個の光源色測定機器P,PおよびPにおいて校正を行う必要が生じていなくても、4個の光源色測定機器P,P,PおよびPの全部において光源色測定が中断され、当該1個の光源色測定機器Pにおいて校正が行われなければならない。したがって、光源色測定機器P,P,PおよびPにおける校正が互いに異なるタイミングで行われる場合は、各校正が行われるたびに連続測定が中断され、ディスプレイ1030の生産性が低下する。
【0030】
このため、光源色測定システム1000においては、1個の光源色測定機器Pにおいて校正を行う必要が生じたときは、残余の3個の光源色測定機器P,PおよびPにおいて校正を行う必要が生じていなくても、4個の光源色測定機器P,P,PおよびPの全部において校正が行われる。これにより、光源色測定機器P,P,PおよびPにおける校正が行われるタイミングが時間的に分散されることにより懸念される連続測定が中断される頻度が抑制される。
【0031】
1.4 光源色測定機器
図3は、第1実施形態の光源色測定システムに備えられる光源色測定機器の構成を示す図である。
【0032】
図3に図示される光源色測定機器Pは、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの各々であり、シャッター1040、モーター1041、光センサー1042、温度センサー1043、取得部1044および記憶素子1045を備える。
【0033】
光源色測定機器Pの動作は、光源色測定機器Pのモードにより変化する。光源色測定機器Pのモードには、通常測定モード、校正モードおよび温度情報出力モードがある。
【0034】
光源色測定機器Pのモードが通常測定モードである場合は、光源色測定機器Pが、通常測定の光源色測定を実行し、通常測定の光源色測定値を示すデーターを制御装置1020に送信し、温度測定を実行し、温度変動量を示すデーターを制御装置1020に送信する。通常測定の光源色測定においては、光源色測定に使用される光センサー1042に入射する光の光路1060がシャッター1040により開放され、光源色測定の対象となる光が光センサー1042に入射し、入射した光の強度および色に応じた信号が光センサー1042から出力される。通常測定の光源色測定においては、例えば液晶パネル等の発光体の輝度および色が特定される。温度測定においては、温度センサー1043が光センサー1042の温度を検出し、取得部1044が検出された温度から温度変動量を取得する。取得部1044は、取得した温度変動量を示すデーターを制御装置1020に送信する。温度変動量は、記憶素子1045に記憶されている前回校正時に検出された光センサー1042の温度からの新たに検出された光センサー1042の温度の変動である。光センサー1042の温度以外の光源色測定機器Pの内部温度が検出されてもよい。
【0035】
光源色測定機器Pのモードが校正モードである場合は、光源色測定機器Pが、校正のための光源色測定を実行し、校正のための光源色測定の測定値を示すデーターを記憶素子1045に記憶させる。校正のための光源色測定においては、光路1060がシャッター1040により遮断され、光源色測定の対象となる光が光センサー1042に入射しないようにされ、光源色測定の対象となる光が光センサー1042に入射しない場合の信号が光センサー1042から出力され、温度変動量がリセットされる。したがって、校正のための光源色測定が実行される前には、シャッター1040が光路1060を遮断するようにモーター1041がシャッター1040を駆動する事前の駆動動作が実行される。事前の駆動動作は、校正のための光源色測定の準備のための駆動動作である。また、校正のための光源色測定が実行され測定値を示すデーターが記憶された後には、シャッター1040が光路1060を開放するようにモーター1041がシャッター1040を駆動する事後の駆動動作が実行される。したがって、事前の駆動動作、光源色測定および事後の駆動動作は、シリアルに実行される。校正時に温度変動量がリセットされるのは、校正時は温度変動量の計測が開始される開始点であるためである。
【0036】
光源色測定機器Pのモードが温度情報出力モードである場合は、光源色測定機器Pが温度測定を実行する。温度測定においては、温度センサー1043が光センサー1042の温度を検出し、取得部1044が検出された温度から温度変動量を取得する。取得部1044は、取得した温度変動量を示すデーターを制御装置1020に送信する。
【0037】
1.5 温度変動量を検出する意義
光センサー1042の特性は、温度依存性を有する。例えば、光センサー1042がシリコン素子である場合は、光センサー1042の感度は極めて小さい温度係数しか有しないが、光センサー1042のオフセット電圧は約−2mV/℃のやや大きい温度係数を有する。また、光源色測定の対象となる光の輝度の範囲は概ね10−3から10cd/mであり、光源色測定の対象となる光の輝度が当該範囲の下限である10−3cd/mである場合は、光センサー1042から出力される信号の信号レベルは電圧変換された時点で数mVにしかならない。したがって、温度が変化する環境下において微弱光に対して十分な測定精度を維持するためには、取得された温度変動量が要求される測定精度を維持できる温度変動量を超えた場合に、オフセット成分が測定値に基づく演算により取り除かれる。なお、オフセット成分を取り除く手段は演算だけではなく回路による補償も含まれる。
【0038】
1.6 制御装置
制御装置1020は、図1に図示されるように、本体1080および電源1081を備える。本体1080は、インターフェース1100、制御部1101および判定部1102を備える。
【0039】
インターフェース1100には、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pが接続される。
【0040】
制御部1101は、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pを制御する。
【0041】
判定部1102は、1台のモーター1041を駆動するのに必要な電力と電源1081の容量との比率から、同時に駆動できるモーター1041の数を判定する。第1実施形態においては、同時に駆動できるモーター1041の数が1個であると判定されている。
【0042】
電源1081は、ACアダプター、電池等であり、本体1080に電力を供給し、本体1080を経由して光源色測定機器P,P,P,・・・,Pに電力を供給する。したがって、本体1080は、電源1081により駆動され、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pに電力を供給する。
【0043】
1.7 制御装置と光源色測定機器との間の通信
図4は、第1実施形態の光源色測定システムにおける電力および情報の流れを図示するブロック図である。
【0044】
光源色測定機器Pのモードが通常測定モードである場合は、制御部1101が通常測定のための測定コマンドを光源色測定機器Pに送信する。光源色測定機器Pは、送信された通常測定のための測定コマンドを制御部1101から受信し、通常測定のための測定コマンドの受信に応答して光源色測定を実行し、光源色測定の測定値を示すデーターを制御部1101に送信する。
【0045】
光源色測定機器Pのモードが校正モードである場合は、制御部1101が校正のための測定コマンドを光源色測定機器Pに送信する。光源色測定機器Pは、送信された校正のための測定コマンドを制御部1101から受信し、校正のための測定コマンドの受信に応答して光源色測定を実行し、校正が完了したことを示す完了信号を制御部1101に送信する。光源色測定の測定値を示すデーターが制御装置1020に送信されてもよい。また、制御部1101は、モーター1041にシャッター1040を駆動させるタイミングで制御信号を光源色測定機器Pに送信する。光源色測定機器Pは、送信された制御信号を制御部1101から受信し、制御信号の受信に応答してモーター1041にシャッター1040を駆動させる駆動動作を実行し、駆動動作が完了した時に完了信号を制御部1101に送信する。制御部1101は、送信された完了信号を光源色測定機器Pから受信する。
【0046】
光源色測定機器Pのモードが温度情報出力モードである場合は、制御部1101が温度変動量を要求するコマンドを光源色測定機器Pに送信する。光源色測定機器Pは、送信された温度変動量を要求するコマンドを制御部1101から受信し、温度変動量を要求するコマンドの受信に応答して温度測定を実行し、温度変動量を示すデーターを制御部1101に送信する。制御部1101は、送信された温度変動量を示すデーターを光源色測定機器Pから受信する。温度変動量に代えてまたは温度変動量に加えて、あらかじめ設定された許容値と温度変動量との比較の結果を示す比較情報を示すデーターが比較情報を要求するコマンドの受信に応答して送信されてもよい。温度変動量に代えて温度そのものを示すデーターが送信されてもよい。この場合は、制御装置1020が光源色測定機器Pから受信した互いに異なる複数の時刻における複数の温度から温度変動量を取得する。
【0047】
光源色測定機器Pにおいては、光センサー1042の温度が連続的に検出される。このため、温度変動量が許容値を超えた場合に、光源色測定機器Pが任意のタイミングで校正を推奨する信号を制御部1101に送信してもよい。
【0048】
制御部1101は、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおける校正が連続測定を阻害しないタイミングで行われるように、温度変動量を取得するタイミングを制御する。例えば、先の測定と当該先の測定の次に行われる後の測定との間の時間間隔が十分である場合は、先の測定の前後および後の測定の待ち時間に温度変動量が取得され、後の測定までに校正が完了させられる。
【0049】
1.8 校正タイミング制御
制御部1101は、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおける温度変動量の一部でも許容値を超えた場合に光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの全部において同時にゼロ校正が行われるように光源色測定機器P,P,P,・・・,Pを制御する。
【0050】
1.9 校正タイミング制御の第1実施例
図5Aおよび図5Bは、第1実施形態の光源色測定システムにおける温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングの第1実施例を図示するタイミングチャートである。
【0051】
図5Aおよび図5Bに図示される温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングは、Nが4であり、事前の駆動動作、光源色測定および事後の駆動動作の実行に要する時間がそれぞれ約0.25秒、3秒および約0.25秒であり、校正を行うのに要する時間が約3.5秒である場合のものである。この時間は、送受信処理等を除く、校正を行うのに要する最短の時間である。また、図5Aおよび図5Bに図示される温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングは、光源色測定機器P,P,PおよびPが設置される環境の温度が数℃だけ変化した場合のものである。
【0052】
光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合は、光源色測定機器P,P,PおよびPに備えられる光センサー1042の温度は、概ね同様に時間変化する。このため、光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合は、光源色測定機器P,P,PおよびPにおける温度変動量は、図5Aに図示されるように、概ね同様に時間変化する。
【0053】
しかし、光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合であっても、光源色測定機器P,P,PおよびPに備えられる光センサー1042の温度の時間変化は、わずかではあるが互いに相違する。このため、光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合であっても、光源色測定機器P,P,PおよびPにおける温度変動量の時間変化は、図5Aに図示されるように、わずかではあるが互いに相違する。
【0054】
したがって、光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合であっても、図5Aに図示されるように、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えたタイミングTで、光源色測定機器P,PおよびPにおける温度変動量が許容値である3℃をまだ超えていないことが起こりうる。
【0055】
第1実施例においては、光源色測定機器P,P,PおよびPにおいて校正が必要になるタイミングが互いに近接していることが想定されるため、図5Aおよび図5Bに図示されるように、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器P,P,PおよびPにおいてそれぞれ行われる校正C,C,CおよびCが同時に開始される。このため、校正C,C,CおよびCが同時に行われる。したがって、校正C,C,CおよびCを行うのに要する時間は、約3.5秒である。
【0056】
1.10 校正タイミング制御の第1比較例
図6Aおよび図6Bは、温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングの第1比較例を図示するタイミングチャートである。
【0057】
第1実施例と対比される第1比較例においては、図6Aおよび図6Bに図示されるように、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始され、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始され、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始され、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始される。このため、校正C,C,CおよびCが同時に行われない。したがって、例えばタイミングT,T,TおよびTにおける隣接する2個のタイミングの間の間隔が3から4秒であり校正C,C,CおよびCが時間をほとんどおかずにシリアルに実行される場合は、校正C,C,CおよびCを行うのに要する時間は、約14秒である。
【0058】
1.11 校正タイミング制御の第2実施例
図7Aおよび図7Bは、第1実施形態の光源色測定システムにおける温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングの第2実施例を図示するタイミングチャートである。
【0059】
図7Aおよび図7Bに図示される温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングは、Nが4であり、事前の駆動動作、光源色測定および事後の駆動動作の実行に要する時間がそれぞれ約0.25秒、3秒および約0.25秒であり、校正を行うのに要する時間が約3.5秒である場合のものである。また、図7Aおよび図7Bに図示される温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングは、光源色測定機器P,P,PおよびPが設置される環境の温度が数℃だけ変化した場合のものである。
【0060】
光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合は、光源色測定機器P,P,PおよびPにおける温度変動量は、図7Aに図示されるように、概ね同様に時間変化する。しかし、光源色測定機器P,P,PおよびPが同じ温度環境下において使用される場合であっても、光源色測定機器P,P,PおよびPにおける温度変動量の時間変化は、図7Aに図示されるように、わずかではあるが互いに相違する。
【0061】
第2実施例においては、図7Aおよび図7Bに図示されるように、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器P,P,PおよびPにおいてそれぞれ行われる校正C,C,CおよびCが同時に開始される。このため、校正C,C,CおよびCが同時に行われる。校正C,C,CおよびCを行うのに要する時間は、約3.5秒である。
【0062】
第2実施例によれば、生産工程において連続測定が行われる場合に、校正C,C,CおよびCのために約3.5秒だけ連続測定が中断された後は光源色測定機器P,P,PまたはPにおける温度変動量が許容値を超えるまで連続測定が継続される。したがって、校正C,C,CおよびCが生産工程に与える影響は小さい。
【0063】
1.12 校正タイミング制御の第2比較例
図8Aおよび図8Bは、温度変動量の時間変化および校正が実行されるタイミングの第2比較例を図示するタイミングチャートである。
【0064】
第2実施例と対比される第2比較例においては、図8Aおよび図8Bに図示されるように、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始され、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始され、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始され、光源色測定機器Pにおける温度変動量が許容値である3℃を超えるタイミングTで光源色測定機器Pにおいて行われる校正Cが開始される。このため、校正C,C,CおよびCが同時に行われず断続的に行われる。
【0065】
第2比較例によれば、生産工程において連続測定が行われる場合に、校正Cのために連続測定が中断された後に校正C,CおよびCの各々のために連続測定がさらに中断される。したがって、校正C,C,CおよびCが生産工程に与える影響は大きい。生産工程がディスプレイ1030の生産工程等である場合は、連続測定の中断が作業のやり直しを強いることがあり、校正C,C,CおよびCが生産工程に与える影響はさらに大きい。
【0066】
1.13 校正が同時に行われることの利点
第1実施形態の校正タイミング制御によれば、光センサー1042の温度の変動の影響を解消するために行われる光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおける校正が同時に行われ、当該校正に要する時間が短縮される。
【0067】
また、第1実施形態の校正タイミング制御によれば、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pが同じ温度環境下において使用され光源色測定機器P,P,P,・・・,Pの特性が同じ温度係数を有する場合には、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおいて校正が同時に行われた後に、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおける温度変動量の時間変化がほぼ均一になり、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおいてほぼ同時に再び校正が必要になり、連続測定が阻害されにくい。このような状況は、ディスプレイの検査等において同じ型の光源色測定機器P,P,P,・・・,Pが使用される場合に生じる。
【0068】
これに対して、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおける温度変動量が許容値を超えるタイミングが時間的に分散し校正が行われるタイミングが時間的に分散する場合は、連続測定が阻害されやすい。
【0069】
1.14 駆動/測定タイミング制御
図9A図9Dおよび図10は、第1実施形態の光源色測定システムにおける諸動作が実行されるタイミングおよび電源電流の時間変化を図示するタイミングチャートである。
【0070】
図9A図9Dおよび図10に図示される諸動作が実行されるタイミングおよび電源電流の時間変化は、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pのモードが校正モードであり光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおいてゼロ校正が同時に行われる場合のものである。図10に図示される電源電流は、事前の駆動動作および事後の駆動動作のために電源1081から光源色測定機器P,P,P,・・・,Pに供給される電流の時間変化である。
【0071】
図9A図9Dおよび図10に図示されるように、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおいて同時にゼロ校正が行われる場合には、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pが、事前の駆動動作B,B,B,・・・,Bをそれぞれ実行し、ゼロ校正のための光源色測定M,M,M,・・・,Mをそれぞれ実行し、事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aをそれぞれ実行する。事前の駆動動作B,B,B,・・・,Bは、光源色測定M,M,M,・・・,Mの前にそれぞれ実行される。事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aは、光源色測定M,M,M,・・・,Mの後にそれぞれ実行される。したがって、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pは、事前の駆動動作B,B,B,・・・,B、光源色測定M,M,M,・・・,Mおよび事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aをそれぞれシリアルに実行する。
【0072】
事前の駆動動作Bは、光源色測定機器Pに備えられるモーター1041の駆動を含む。光源色測定機器Pに備えられるシャッター1040は、事前の駆動動作Bにおいて光源色測定機器Pに備えられるモーター1041の駆動が行われる場合に、光源色測定機器Pにおいて光路1060を遮断するように光源色測定機器Pに備えられるモーター1041より駆動される。iは、整数1,2,3,・・・,Nの各々である。
【0073】
事後の駆動動作Aは、光源色測定機器Pに備えられるモーター1041の駆動を含む。光源・BR>F測定機器Pに備えられるシャッター1040は、事後の駆動動作Aにおいて光源色測定機器Pに備えられるモーター1041の駆動が行われる場合に、光源色測定機器Pにおいて光路1060を開放するように光源色測定機器Pに備えられるモーター1041より駆動される。iは、整数1,2,3,・・・,Nの各々である。
【0074】
事前の駆動動作B,B,B,・・・,Bは、互いに異なるタイミングTB,TB,TB,・・・,TBでそれぞれ実行される。光源色測定M,M,M,・・・,Mは、タイミングTMで同時に実行される。事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aは、互いに異なるタイミングTA,TA,TA,・・・,TAでそれぞれ実行される。
【0075】
したがって、制御部1101は、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおいてゼロ校正が同時に行われ光源色測定M,M,M,・・・,Mが同時に実行される場合に、事前の駆動動作Bが実行されるタイミングTBが、事前の駆動動作B,・・・,Bi−1,Bi+1,・・・,Bがそれぞれ実行されるタイミングTB,・・・,TBi−1,TBi+1,・・・,TBと異なるように、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pを制御する。iは、整数1,2,3,・・・,Nの各々である。事前の駆動動作Bは、事前の駆動動作B,B,B,・・・,Bに含まれる。事前の駆動動作B,・・・,Bi−1,Bi+1,・・・,Bは、事前の駆動動作B,B,B,・・・,Bに含まれるが、事前の駆動動作Bと異なる。これにより、制御部1101は、事前の駆動動作Bが実行される場合に電源1081から供給される電力が電源1081の容量を超えないように光源色測定機器P,P,P,・・・,Pを制御する。
【0076】
制御部1101は、事前の駆動動作B,B,B,・・・,B、および事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aにおいて同時に実行される駆動動作の数を、判定部1102により判定された同時に駆動できるモーター1041の数に一致させる。したがって、同時に実行される駆動動作の数は、電源1081から供給される電力が電源1081の容量を超えないように変化させられる。第1実施形態においては、同時に実行される駆動動作の数は1個である。しかし、同時に実行される駆動動作の数が2個以上であってもよい。
【0077】
第1実施形態の駆動/測定タイミング制御によれば、事前の駆動動作B,B,B,・・・,B、および事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aが実行される場合に、電源電流の最大値が1個のモーター1041を駆動するのに必要な電源電流に制限され、電源電流が時間的に均一化され、電源電流に大きなピークが生じない。このことは、光源色測定機器P,P,P,・・・,Pにおいてゼロ校正が同時に行われる場合に、事前の駆動動作B,B,B,・・・,B、および事後の駆動動作A,A,A,・・・,Aが実行されるときに光源色測定機器P,P,P,・・・,Pに供給される電力により電源1081から供給される電力が電源1081の容量を超えないようにすることに寄与する。この利点は、電源1081がACアダプター、電池等であり電源1081の容量が限定されている場合に特に顕著になり、そのような場合に電源電圧の低下を抑制し回路を安定して動作させることに寄与する。
【0078】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る色測定システムは、複数の色測定機器により色測定を実行する色測定分野において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0080】
1000 光源色測定システム
1020 制御装置
1040 シャッター
1041 モーター
1081 電源
,P,P,P,・・・,P 光源色測定機器
P 光源色測定機器
,C,C,C 校正
,B,B,・・・,B 事前の駆動動作
,M,M,・・・,M 光源色測定
,A,A,・・・,A 事後の駆動動作
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10