(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁性コンポジット体の前記無機フィラーは、平均粒径が5μm以下の、FeSi系合金、FeCo系合金、FeNi系合金またはそれらのアモルファス合金である、請求項2に記載のインダクタ部品。
前記磁性コンポジット体における前記無機フィラーの含有率は、前記磁性コンポジット体に対して、20Vol%以上70Vol%以下である、請求項3に記載のインダクタ部品。
前記スパイラル配線の積層方向の上部に位置するコンポジット体の厚みと、前記スパイラル配線の積層方向の下部に位置するコンポジット体の厚みとは、同じであり、それぞれ10μm以上50μm以下である、請求項1から5の何れか一つに記載のインダクタ部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PC、サーバーの高性能化やモバイル機器の普及に伴い省電力化技術への要求が高まっているなか、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)の低消費電力化技術としてIVR(Integrated Voltage Regulator:統合電圧調整器)技術が注目されている。
【0005】
ここで、従来のシステムでは、
図12に示すように、IC(integrated circuit:集積回路)チップ100内にあるN個のCPU101に対し、1つのVR(Voltage Regulator:電圧調整器)103を介して、電源105から電圧を供給していた。
【0006】
一方、IVR技術のシステムでは、
図13に示すように、CPU101毎に電源105からの電圧を調整する個別のVR113を備え、各CPU101のクロック動作周波数に応じて、当該CPU101に供給する電圧を個別にコントロールする。
【0007】
CPU101の動作周波数の変化に対応するように供給電圧を制御するためには、高速で供給電圧を変化させる必要があり、VR113では、10〜100MHzといった高速スィッチング動作を行うチョッパー回路が必要となる。
【0008】
これに伴い、チョッパー回路の出力側リップルフィルタに使用されるインダクタも、10〜100MHzといった高速スィッチング動作に適応でき、かつ、CPU101の動作上コアへの充分な電流として数Aレベルを通電できる、高周波パワーインダクタが必要となっている。
【0009】
加えて、IVRでは、ICチップ110に上述のシステムを統合することで、省電力化と同時に小型化をはかることも目的としており、ICパッケージ内に内蔵可能な小型の高周波パワーインダクタが求められる。特に、SiP(System in Package)やPoP(Package on Package)といった3次元実装によるシステムの小型化が進む中、ICパッケージ基板への内蔵や、当該基板のBGA(Ball Grid Array)サイドへの実装が可能な、例えば0.33mm厚み以下の薄型の高周波パワーインダクタが必要である。
【0010】
しかしながら、従来のインダクタ部品では、ガラスエポキシ基板の両面にスパイラル配線を設けているため、ガラスエポキシ基板の厚みが阻害要因となり、薄型化が困難である。ガラスエポキシ基板は、ガラスクロスの厚みの限界により、薄くとも80μm程度の厚みを有するため、2層のスパイラル配線の層間ピッチをこれ以上小さくできない。また、無理にこの基板を薄くした場合、基板の強度が保てず、配線加工等が困難になる。
【0011】
また、コアに平均粒径が20〜50μmの金属磁性粉が含まれているので、金属磁性粉のサイズが大きい。これにより、絶縁樹脂の上下のコアの厚みが厚くなり、薄型化が困難である。また、例えば、L値を向上させるために、スパイラル配線を覆う絶縁樹脂に金属磁性粉を含有させるためには、配線ピッチを金属磁性粉の平均粒径より十分大きく確保する必要があり、小型化も困難である。
【0012】
また、金属磁性粉のサイズが大きいので、金属磁性粉の内部での渦電流損が大きくなり、50MHzから100MHzといった高速スイッチング動作では、損失が大きく高周波対応が困難となる。
【0013】
そこで、本発明の課題は、強度を保持しつつ、高周波に対応可能となり、低背小型化を図ることができるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明のインダクタ部品は、
無機フィラーおよび樹脂のコンポジット材料からなる複数層のコンポジット層から構成されるコンポジット体と、
それぞれが前記コンポジット層に積層されると共に、当該コンポジット層より上層の前記コンポジット層に覆われた複数層のスパイラル配線と
を備え、
前記無機フィラーの平均粒径は、5μm以下であり、
前記スパイラル配線の配線ピッチは、10μm以下であり、
前記スパイラル配線の層間ピッチは、10μm以下である。
【0015】
本発明のインダクタ部品によれば、複数層のスパイラル配線は、無機フィラーおよび樹脂のコンポジット材料からなるコンポジット層に積層される。当該コンポジット層は薄膜化してもクラック等の物理的欠損が発生せず、ガラスエポキシ基板などを設けなくても十分な強度を保持でき、ガラスエポキシ基板の厚みを省くことで、低背化を図ることができる。
【0016】
無機フィラーの平均粒径は、5μm以下であるので、スパイラル配線の配線ピッチおよび層間ピッチを小さくでき、さらに、スパイラル配線の配線ピッチおよび層間ピッチは、10μm以下であるので、低背小型化を図ることができる。
【0017】
無機フィラーの平均粒径は、5μm以下であるので、無機フィラーが磁性体である場合、磁性体内部での渦電流損は小さくなり、50MHzから100MHzといった高速スイッチング動作に対しても、損失が小さく高周波対応が可能となる。
【0018】
したがって、強度を保持しつつ、高周波に対応可能となり、低背小型化を図ることができる。
【0019】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記コンポジット体は、前記無機フィラーが金属磁性材料からなる磁性コンポジット体から構成される。
【0020】
前記実施形態によれば、コンポジット体は、磁性コンポジット体から構成されるので、無機フィラーを5μm以下と微粒化しても、高い透磁率を確保でき、高周波でのインダクタのQ値を高くすることができる。
【0021】
また、インダクタ部品の一実施形態では、
前記コンポジット体は、
前記スパイラル配線を覆うと共に、前記無機フィラーが絶縁体である絶縁コンポジット体と、
前記絶縁コンポジット体を覆うと共に、前記無機フィラーが金属磁性材料からなる磁性コンポジット体とから構成される。
【0022】
前記実施形態によれば、コンポジット体は、絶縁コンポジット体と磁性コンポジット体とから構成されるので、絶縁コンポジット体により、スパイラル配線の配線間および層間の絶縁性が向上し、さらなる小型低背化またはスパイラル配線の低抵抗化を可能とするとともに、高周波でのQ値を維持できる。また、磁性コンポジット体により、高いインダクタンス値を得ることができる。
【0023】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記絶縁コンポジット体の前記無機フィラーは、平均粒径が0.5μm以下のSiO
2である。
【0024】
前記実施形態によれば、絶縁コンポジット体の無機フィラーは、平均粒径が0.5μm以下のSiO
2であるので、スパイラル配線の配線間および層間の絶縁性を高くすることができ、より小型低背化を図ることができる。
【0025】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記絶縁コンポジット体における前記無機フィラーの含有率は、前記絶縁コンポジット体に対して、20Vol%以上70vol%以下である。
【0026】
前記実施形態によれば、無機フィラーの含有率は、20Vol%以上70vol%以下であるので、コンポジット体の流動性及び線膨張係数が適正化され、小型低背化及び高信頼性化と絶縁性を両立できる。
【0027】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記磁性コンポジット体の前記無機フィラーは、平均粒径が5μm以下の、FeSi系合金、FeCo系合金、FeNi系合金またはそれらのアモルファス合金である。
【0028】
前記実施形態によれば、磁性コンポジット体の無機フィラーは、平均粒径が5μm以下のFeSi系合金、FeCo系合金、FeNi系合金またはそれらのアモルファス合金であるので、高周波でのインダクタのQ値を高くすることができる。
【0029】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記磁性コンポジット体における前記無機フィラーの含有率は、前記磁性コンポジット体に対して、20Vol%以上70Vol%以下である。
【0030】
前記実施形態によれば、無機フィラーの含有率は、20Vol%以上70Vol%以下であるので、流動性及び線膨張係数が適正化され、小型低背化及び高信頼性と高周波における高いQ値を両立できる。
【0031】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記複数層のスパイラル配線によって構成されるインダクタのターン数は、10ターン以下である。
【0032】
前記実施形態によれば、複数層のスパイラル配線によって構成されるインダクタのターン数は、10ターン以下であるので、高速スイッチング動作において必要なL値を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0033】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記スパイラル配線の積層方向の上部に位置するコンポジット体の厚みと、前記スパイラル配線の積層方向の下部に位置するコンポジット体の厚みとは、同じであり、それぞれ10μm以上50μm以下である。
【0034】
前記実施形態によれば、上部のコンポジット体の厚みと下部のコンポジット体の厚みとは、同じであり、それぞれ10μm以上50μm以下であるので、高速スイッチング動作において必要なL値を薄い厚みで得ることができ、薄型化を図ることができる。
【0035】
また、インダクタ部品の一実施形態では、
前記スパイラル配線の積層方向の上下の少なくとも一方に設けられ、前記スパイラル配線に電気的に接続される一対の外部端子を有し、
前記一対の外部端子の前記積層方向の端面は、前記コンポジット体の前記積層方向の端面と同一平面上に位置する。
【0036】
ここで、外部端子は、Cu配線などの配線をいい、配線を被覆するメッキを含まない。
【0037】
前記実施形態によれば、外部端子の端面は、コンポジット体の端面と同一平面上に位置するので、外部端子は、コンポジット体の端面から突出せず、低背化を図ることができる。
【0038】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記一対の外部端子は、前記コンポジット体に埋め込まれている。
【0039】
前記実施形態によれば、外部端子は、コンポジット体に埋め込まれているので、小型化を図ることができる。また、外部端子をコンポジット体の積層方向の端面の任意の位置に配置でき、接続する配線や端子のレイアウトの設計自由度が増す。
【0040】
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記一対の外部端子の一方は、前記スパイラル配線の積層方向の上下の両方に設けられ、前記上下の外部端子は、互いに電気的に接続され、前記一対の外部端子の他方は、前記スパイラル配線の積層方向の少なくとも上側に設けられている。
【0041】
前記実施形態によれば、一対の外部端子の一方は、スパイラル配線の積層方向の上下の両方に設けられているので、基板にインダクタ部品を埋め込んだとき、基板の上下面に、上下の外部端子に導通される配線を設けることができる。したがって、チョッパー回路の出力側を、互いに電気的に接続される上下の外部端子によって、引き回すことなく最短に接続することができる。このため、出力側の平滑コンデンサのESR、ESLを低くすることができ、出力のリップル電圧を小さくできる。
【0042】
また、パッケージ部品の一実施形態では、
基板と、
前記基板に埋め込まれた前記インダクタ部品と
を備え、
前記インダクタ部品の上側の外部端子は、前記基板の上面側に配置され、前記インダクタ部品の下側の外部端子は、前記基板の下面側に配置され、
前記基板の上面には、前記上側の外部端子に電気的に接続される配線が設けられ、前記基板の下面には、前記下側の外部端子に電気的に接続される配線が設けられている。
【0043】
前記実施形態によれば、基板にインダクタ部品が埋め込まれ、基板の上面に、上側の外部端子に電気的に接続される配線が設けられ、基板の下面に、下側の外部端子に電気的に接続される配線が設けられている。したがって、チョッパー回路の出力側を、互いに電気的に接続される上下の外部端子によって、引き回すことなく最短に接続することができる。このため、出力側の平滑コンデンサのESR、ESLを低くすることができ、出力のリップル電圧を小さくできる。
【0044】
また、スィッチングレギュレータの一実施形態では、
前記パッケージ部品と、
外部電源と前記インダクタ部品との電気的な接続を開閉するスイッチング素子と、
前記インダクタ部品からの出力電圧を平滑する平滑コンデンサと
を備え、
前記スイッチング素子が、前記パッケージ部品の前記基板の上面側に配置されると共に、前記一対の外部端子の他方に接続された前記配線に電気的に接続され、
前記平滑コンデンサが、前記パッケージ部品の前記基板の下面側に配置されると共に、前記一対の外部端子の一方に接続された前記配線のうち、下側の前記配線に電気的に接続され、
前記一対の外部端子の一方に接続された前記配線のうち、上側の前記配線が出力端子となる。
【0045】
前記実施形態によれば、平滑コンデンサは、パッケージ部品の基板の下面の配線に接続され、例えば中央処理装置などの負荷が接続される出力端子側は、スイッチング素子と同じくパッケージ部品の基板の上面の配線に接続される。これにより、パッケージ部品のインダクタ部品と、負荷および平滑コンデンサとを、上下の外部端子によって、引き回すことなく最短に接続することができる。このため、平滑コンデンサのESR、ESLを低くすることができ、出力のリップル電圧を小さくできる。
【発明の効果】
【0046】
本発明のインダクタ部品によれば、強度を保持しつつ、高周波に対応可能となり、低背小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0049】
(第1実施形態)
図1Aは、本発明のインダクタ部品の第1実施形態を示す分解斜視図である。
図1Bは、インダクタ部品の断面図である。なお、図面は模式的なものであり、部材の縮尺や寸法の関係が実際のものとは異なる場合がある。
図1Aと
図1Bに示すように、インダクタ部品1は、例えば、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に搭載される。
【0050】
インダクタ部品1は、2層のスパイラル配線21,22と、2層のスパイラル配線21,22をそれぞれ覆う(コンポジット体の一例である)磁性コンポジット体30とを有する。この明細書において、対象物を覆うとは、対象物の少なくとも一部を覆うことをいう。
図1Aでは、磁性コンポジット体30において、スパイラル配線21,22が埋め込むまれる部分32,33を、一体に描いている。
【0051】
第1、第2スパイラル配線21,22は、下層から上層に順に、配置される。なお、本明細書においては、インダクタ部品1における上下を、
図1Bの紙面上下と一致するものとして記載する。第1、第2スパイラル配線21,22は、積層方向に電気的に接続されている。ここで、積層方向とは、層が積み重なる方向を指し、具体的には
図1Bの紙面上下に沿った方向を意味する。第1、第2スパイラル配線21,22は、それぞれ、平面においてスパイラル状に形成されている。第1、第2スパイラル配線21,22は、例えば、Cu、Ag、Auなどの低抵抗な金属によって構成される。好ましくは、セミアディティブ工法によって形成されるCuめっきを用いることで、低抵抗でかつ狭ピッチなスパイラル配線を形成できる。
【0052】
第1、第2スパイラル配線21,22の積層方向の上方に、外部端子11,12が設けられる。第1外部端子11は、第1スパイラル配線21に電気的に接続され、第2外部端子12は、第2スパイラル配線22に電気的に接続される。外部端子11,12は、例えばスパイラル配線21,22と同じ材料から構成される。外部端子11,12は、Cu配線などの配線をいい、配線を被覆するメッキを含まない。
【0053】
磁性コンポジット体30は、第1から第4コンポジット層31〜34から構成される。第1から第4コンポジット層31〜34は、下層から上層に順に、配置される。磁性コンポジット体30は、無機フィラーおよび樹脂のコンポジット材料からなる。樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂やビスマレイミド、液晶ポリマ、ポリイミドなどからなる有機絶縁材料である。無機フィラーの平均粒径は、5μm以下である。なお、ここでいう平均粒径とは、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%に相当する粒径のことである。無機フィラーは、磁性体である。無機フィラーは、例えば、平均粒径が5μm以下の、FeSiCrなどのFeSi系合金、FeCo系合金、NiFeなどのFe系合金、または、それらのアモルファス合金である。無機フィラーの含有率は、好ましくは、磁性コンポジット体30に対して、20Vol%以上70Vol%以下である。
【0054】
第1スパイラル配線21は、第1コンポジット層31上に積層される。第2コンポジット層32は、第1スパイラル配線21に積層され、第1スパイラル配線21を覆う。第2スパイラル配線22は、第2コンポジット層32上に積層される。第3コンポジット層33は、第2スパイラル配線22に積層され、第2スパイラル配線22を覆う。第4コンポジット層34は、第3コンポジット層33上に積層される。このように、第1、第2スパイラル配線21,22のそれぞれは、コンポジット層上に積層されると共に、当該コンポジット層より上層のコンポジット層に覆われる。そして、磁性コンポジット体30は、内磁路に相当する第1、第2スパイラル配線21,22の内径部分にも設けられる。
【0055】
第1、第2スパイラル配線21,22は、同一軸を中心として、配置されている。第1スパイラル配線21と第2スパイラル配線22とは、軸方向(積層方向)からみて、同一方向に巻き回されている。
【0056】
第2スパイラル配線22は、積層方向に延在するビア配線27を介して、第1スパイラル配線21に電気的に接続される。ビア配線27は、第2コンポジット層32内に設けられる。第1スパイラル配線21の内周部21aと第2スパイラル配線22の内周部22aとは、ビア配線27を介して、電気的に接続される。これにより、第1スパイラル配線21及び第2スパイラル配線22は一つのインダクタを構成する。
【0057】
第1スパイラル配線21の外周部21bと第2スパイラル配線22の外周部22bは、積層方向からみて、磁性コンポジット体30の両端側に位置する。第1外部端子11は、第1スパイラル配線21の外周部21b側に位置し、第2外部端子12は、第2スパイラル配線22の外周部22b側に位置する。
【0058】
第1スパイラル配線21の外周部21bは、第2コンポジット層32内に設けられたビア配線27と、第2コンポジット層32上に設けられた第1接続配線25と、第3コンポジット層33内に設けられたビア配線27とを介して、第1外部端子11に電気的に接続される。第2スパイラル配線22の外周部22bは、第3コンポジット層33内に設けられたビア配線27を介して、第2外部端子12に電気的に接続される。第2スパイラル配線22の外周部22bは、第2コンポジット層32内に設けられたビア配線27を介して、第1コンポジット層31上に設けられた第2接続配線26に電気的に接続される。
【0059】
第1、第2スパイラル配線21,22のそれぞれの高さ方向の厚みは、40μm以上であり、好ましくは、120μm以下である。なお、高さ方向は、インダクタ部品1の上下方向に沿った方向である。第1、第2スパイラル配線21,22のそれぞれの配線ピッチは、10μm以下であり、好ましくは、3μm以上である。スパイラル配線の層間ピッチは、10μm以下であり、好ましくは、3μm以上である。なお、配線ピッチ及び層間ピッチは設計値であり、製造ばらつきとしては±約20%である。
【0060】
配線厚みを40μm以上にすることで直流抵抗を十分に下げることができる。さらに、配線厚みを120μm以下にすることで、配線の高さ方向と幅方向の厚みの比である配線アスペクトを極端に大きくすることを防ぎ、プロセスばらつきを抑制することができる。また、配線ピッチを10μm以下にすることで配線幅を大きくとることができ、直流抵抗を確実に下げることができる。さらに、配線ピッチを3μm以上にすることで配線間の絶縁性を十分に確保できる。また、層間ピッチを10μm以下にすることで低背化が可能となる。さらに、層間ピッチを3μm以上にすることで層間ショートを抑制することができる。
【0061】
第1、第2スパイラル配線21,22によって構成されるインダクタのターン数は、1ターン以上10ターン以下であり、好ましくは、1.5〜5ターン以下である。この実施形態では、2.5ターンである。
【0062】
第2スパイラル配線22の積層方向の上部に位置する磁性コンポジット体30の厚みH1と、第1スパイラル配線21の積層方向の下部に位置する磁性コンポジット体30の厚みH2とは、同じであり、10μm以上50μm以下である。ここで、「同じである」とは、完全同一に加えて、略同じであることを含む。
【0063】
第1、第2外部端子11,12の積層方向の上端面11a,12aは、磁性コンポジット体30の積層方向の上端面30aと同一平面上に位置する。第1、第2外部端子11,12は、磁性コンポジット体30に埋め込まれている。なお、第1、第2外部端子11,12の積層方向の上端面11a,12aを、半田実装における半田濡れ性を向上させるために、SnNiメッキにて被覆してもよい。
【0064】
次に、インダクタ部品1の製造方法について説明する。
【0065】
図2Aに示すように、基台50を準備する。基台50は、絶縁基板51と、絶縁基板51の両面に設けられたベース金属層52とを有する。この実施形態では、絶縁基板51は、ガラスエポキシ基板であり、ベース金属層52は、Cu箔である。基台50の厚みは、インダクタ部品1の厚みに影響を与えないため、加工上のそりなどの理由から適宜取り扱いやすい厚さのものを用いればよい。
【0066】
そして、
図2Bに示すように、基台50の一面上にダミー金属層60を接着する。この実施形態では、ダミー金属層60は、Cu箔である。ダミー金属層60は、基台50のベース金属層52と接着されるので、ダミー金属層60は、ベース金属層52の円滑面に接着される。このため、ダミー金属層60とベース金属層52の接着力を弱くすることができて、後工程において、基台50をダミー金属層60から容易に剥がすことができる。好ましくは、基台50とダミー金属層60を接着する接着剤は、低粘着接着剤とする。また、基台50とダミー金属層60の接着力を弱くするために、基台50とダミー金属層60の接着面を光沢面とすることが望ましい。
【0067】
その後、基台50に仮止めされたダミー金属層60上に第1コンポジット層31を積層する。このとき、第1コンポジット層31を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。
【0068】
そして、
図2Cに示すように、第1コンポジット層31上に、第1スパイラル配線21および第2接続配線26を積層する。第1スパイラル配線21および第2接続配線26は、互いに接触していない。第2接続配線26は、外周部21bと反対側に設ける。詳しくは、第1コンポジット層31上に無電解メッキやスパッタリング、蒸着などによりSAP(Semi Additive Process;セミアディティブ工法)のための給電膜を形成する。給電膜の形成後、給電膜上に感光性のレジストを塗布や貼り付け、フォトリソグラフィーにより配線パターンを形成する。その後、SAPによって、配線21,26に相当するメタル配線を形成する。メタル配線の形成後、感光性レジストを薬液により剥離除去し、給電膜をエッチング除去する。その後、さらにこのメタル配線を給電部として、追加のCu電解メッキを施すことでより狭スペースな配線21,26を得ることが可能である。本実施形態においては、L(配線幅)/S(配線スペース(配線ピッチ))/t(配線厚み)が50/30/60μmのCu配線をSAPにて形成後、10μm厚み分の追加Cu電解メッキを実施することで、L/S/t=70/10/70μmの配線を得ることができる。
【0069】
そして、
図2Dに示すように、第1スパイラル配線21に第2コンポジット層32を積層して、第1スパイラル配線21を第2コンポジット層32で覆う。第2コンポジット層32を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。この際、第1スパイラル配線21の上方における第2コンポジット層32の厚みを10μm以下とする。これにより、第1、第2スパイラル配線21,22の層間ピッチを、10μm以下とできる。
【0070】
ここで、第1スパイラル配線21の配線ピッチ(例えば10μm)への充填性を確保するため、第2コンポジット層32に含まれる無機フィラー(磁性体粉)は、第1スパイラル配線21の配線スペースより充分に粒径が小さいものである必要がある。また、部品の薄型化を実現するためには、続く上部の配線との層間ピッチを、例えば10μm以下に薄くする必要があることから、同じく磁性体粉は充分に粒径が小さいものである必要がある。
【0071】
そして、
図2Eに示すように、第2コンポジット層32に、レーザ加工などにより、ビア配線27を充填するためのビアホールを形成する。その後、ビアホールにビア配線27を充填し、第2コンポジット層32上に、第2スパイラル配線22および第1接続配線25を積層する。第2スパイラル配線22および第1接続配線25は、互いに接触していない。第1接続配線25は、外周部22bと反対側に設ける。このとき、ビア配線27、第2スパイラル配線22および第1接続配線25は、第1スパイラル配線21と同様の処理にて設けることができる。
【0072】
そして、
図2Fに示すように、第2スパイラル配線22に第3コンポジット層33を積層して、第2スパイラル配線22を第3コンポジット層33で覆う。第3コンポジット層33を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。
【0073】
そして、
図2Gに示すように、第3コンポジット層33に、レーザ加工などにより、ビア配線27を充填するためのビアホールを形成する。その後、ビアホールにビア配線27を充填し、第3コンポジット層33上に、柱状の第1、第2外部端子11,12を積層する。このとき、ビア配線27及び第1、第2外部端子11,12は、第1スパイラル配線21と同様の処理にて設けることができる。
【0074】
そして、
図2Hに示すように、第1、第2外部端子11,12に第4コンポジット層34を積層して、第1、第2外部端子11,12を第4コンポジット層34で覆う。第4コンポジット層34を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。
【0075】
その後、基台50(ベース金属層52)の一面とダミー金属層60との接着面で基台50をダミー金属層60から剥がす。そして、ダミー金属層60をエッチングなどにより除去して、
図2Iに示すように、インダクタ基板5を形成する。
【0076】
そして、
図2Jに示すように、インダクタ基板5の最上層の第4コンポジット層34を研削工法により薄層化する。このとき、第1、第2外部端子11,12の一部を露出させることで、第1、第2外部端子11,12の上端面11a,12aは、磁性コンポジット体30の上端面30aと同一平面上に位置する。このとき、インダクタンス値が得られるのに充分な厚みまで第4コンポジット層34を研削することで、部品の薄型化を図ることができる。本実施形態では、第2スパイラル配線22の積層方向の上部に位置する磁性コンポジット体30の厚み(
図1Bの厚みH1に相当)を40μmとできる。
【0077】
その後、インダクタ基板5をダイシングやスクライブにより個片化して、
図1Bに示すインダクタ部品1を形成する。なお、個片化後、第1、第2外部端子11,12に実装性を高めるため、NiSnなどのメッキ皮膜をバレルメッキ等の方法で形成してもよい。
【0078】
なお、基台50の両面のうちの一面にインダクタ基板5を形成しているが、基板50の両面のそれぞれにインダクタ基板5を形成するようにしてもよい。これにより、高い生産性を得ることができる。
【0079】
前記インダクタ部品1によれば、第1、第2スパイラル配線21,22は、磁性コンポジット体30のコンポジット層に積層されるので、当該コンポジット層は薄膜化してもクラック等の物理的欠損が発生せず、ガラスエポキシ基板などを設けなくても十分な強度を保持でき、ガラスエポキシ基板の厚みを省くことで、低背化を図ることができる。
【0080】
磁性コンポジット体30の無機フィラーの平均粒径は、5μm以下であるので、第1、第2スパイラル配線21,22の配線ピッチおよび層間ピッチを小さくでき、さらに、第1、第2スパイラル配線21,22の配線ピッチおよび層間ピッチは、10μm以下であるので、低背小型化を図ることができる。
【0081】
磁性体である無機フィラーの平均粒径は、5μm以下であるので、磁性体内部での渦電流損は小さくなり、50MHzから100MHzといった高速スイッチング動作に対しても、損失が小さく高周波対応が可能となる。
【0082】
磁性コンポジット体30は、無機フィラーと樹脂のコンポジット材料からなるので、低背化としてもクラック等の物理的欠損が発生しない。
【0083】
したがって、強度を保持しつつ、高周波に対応可能となり、低背小型化を図ることができる。
【0084】
前記インダクタ部品1によれば、コンポジット体は、磁性コンポジット体30から構成されるので、磁性体の無機フィラーを5μm以下と微粒化しても、高い透磁率を確保でき、高周波でのインダクタのQ値を高くすることができる。
【0085】
前記インダクタ部品1によれば、磁性コンポジット体30の無機フィラーは、平均粒径が5μm以下のFeSi系合金、FeCo系合金またはそれらのアモルファス合金であるので、高周波でのインダクタのQ値を高くすることができる。
【0086】
無機フィラーに、Fe系材料を用いることで、その他の軟磁性材料に比して、磁気モーメントが高く、粒径を小さくしても、比較的高い透磁率がえられる。なお、磁性コンポジット体30の絶縁性を高めるため、無機フィラーの表面を、リン酸塩処理やシリカコートなどにより、絶縁化の処理をしてもよい。絶縁性が低いと渦電流損失による高周波性能の劣化が生じる。
【0087】
前記インダクタ部品1によれば、無機フィラーの含有率は、20Vol%以上70Vol%以下であるので、流動性と高いQ値を両立できる。ここで、
図3は、無機フィラーの充填量(含有率)に対する周波数特性を示すグラフである。
図3では、ある無機フィラーの充填量[Vol%]において誘電正接(tanδ)が0.01となる周波数[MHz]をプロットした際の近似直線を示している。
【0088】
なお、充填量(含有率)は{無機フィラーの体積/(無機フィラーの体積+樹脂の体積)}×100で表されるものである。具体的には、JIS K 7250(2006)「プラスチック-灰分の求め方」に準拠している。または簡易的には、FIB-SEMを用いて深さ方向のSEM観察を行うことでフィラーの立体的な分散状態を取得している。本データはFIB-SEMを用いたデータである。
【0089】
図3に示すように、無機フィラーの含有率を70Vol%以下とすることで、動作周波数10MHzの高速スイッチング動作に対しても損失を抑制でき、高周波においても特性を維持できる。また、無機フィラーの含有率は65Vol%以下であることが好ましく、特に60Vol%以下であることがより好ましい。
図3より、当該含有率が65Vol%以下である場合は50MHzまで、60Vol%以下である場合は100MHzまでの高速スイッチング動作に対しても損失を抑制でき、高周波においても特性を維持できる。
【0090】
なお、無機フィラーの含有率は20Vol%以上であることが好ましく、この場合、コンポジット体の流動性及び線膨張係数を適正に確保でき、小型低背化及び高信頼性を図ることができるコンポジット体を得ることができる。
【0091】
前記インダクタ部品1によれば、第1、第2スパイラル配線21,22によって構成されるインダクタのターン数は、10ターン以下であるので、高速スイッチング動作において必要なL値を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0092】
前記インダクタ部品1によれば、上部の磁性コンポジット体30の厚みH1と下部の磁性コンポジット体30の厚みH2とは、同じであり、それぞれ10μm以上50μm以下であるので、高速スイッチング動作において必要なL値を薄い厚みで得ることができ、薄型化を図ることができる。
【0093】
ここで、
図4に、スパイラル配線のターン数ごとに、インダクタンス値(L値)と、スパイラル配線の上下の磁性コンポジット体の厚みとの関係を示す。なお、
図4は、本願の条件を満たす磁性コンポジット体に関する電磁界シミュレーションによって測定した値である。実線は、2.5ターンを示し、点線は、4.5ターンを示す。
図4に示すように、厚みに対しL値は飽和することから、上下の厚みは、50μm以下とすることにより、高速スイッチング動作において必要なL値を確保しつつ部品の低背化を図ることができる。
【0094】
前記インダクタ部品1によれば、第1、第2外部端子11,12の上端面11a,12aは、磁性コンポジット体30の上端面30aと同一平面上に位置するので、第1、第2外部端子11,12は、磁性コンポジット体30の上端面30aから突出せず、低背化を図ることができる。
【0095】
前記インダクタ部品1によれば、第1、第2外部端子11,12は、磁性コンポジット体30に埋め込まれているので、小型化を図ることができる。
【0096】
(第1実施例)
第1実施形態の実施例について説明する。インダクタ部品は、用途として、スィッチング周波数100MHzの降圧スィッチングレギュレータに用いられ、サイズは1mm x 0.5mm、厚さ0.23mmのパワーインダクタである。スパイラル配線によって構成されるインダクタのターン数は、2層構造で、2.5回巻きであり、インダクタンス値は100MHzでおよそ5nHである。
【0097】
スパイラル配線のターン数はスィッチング周波数に合わせ、必要なインダクタンス値を得られるよう設定する。スィッチング周波数が50MHz〜100MHzに対し、5ターン以下で設定される。
【0098】
スパイラル配線は、L/S/t=70/10/70μmであるが、チップサイズとインダクタに通電する許容電流に応じてL、tを設定している。各スパイラル配線の層間ピッチは、配線ピッチと同じく10μmであり、スパイラル配線の配線間ピッチと層間ピッチを10μm以下と非常に狭くすることにより、スパイラル配線を密に周回させ、インダクタの小型化、低背化を可能としている。
【0099】
(第2実施形態)
図5は、本発明のインダクタ部品の第2実施形態を示す断面図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、コンポジット体の構成のみが相違する。この相違する構成のみを以下に説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の符号は、第1実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0100】
図5に示すように、インダクタ部品1Aのコンポジット体は、第1、第2スパイラル配線21,26を覆う絶縁コンポジット体40と、絶縁コンポジット体40を覆う磁性コンポジット体30Aとから構成される。磁性コンポジット体30Aの材料は、第1実施形態の磁性コンポジット体30の材料と同じである。
【0101】
絶縁コンポジット体40は、無機フィラーおよび樹脂のコンポジット材料からなる。樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂やビスマレイミド、液晶ポリマ、ポリイミドなどからなる有機絶縁材料である。無機フィラーの平均粒径は、5μm以下である。無機フィラーは、SiO
2などの絶縁体である。好ましくは、無機フィラーは、平均粒径が0.5μm以下のSiO
2である。好ましくは、無機フィラーの含有率は、絶縁コンポジット体40に対して、20Vol%以上70Vol%以下である。
【0102】
絶縁コンポジット体40は、第1、第2スパイラル配線21,22の内径部分に対応する位置に、孔部40aを有する。磁性コンポジット体30Aは、内磁路に相当する絶縁コンポジット体40の孔部40aと、外磁路に相当する絶縁コンポジット体40の上下とに設けられている。
【0103】
絶縁コンポジット体40は、第1から第3コンポジット層41〜43から構成される。第1から第3コンポジット層41〜43は、下層から上層に順に、配置される。第1スパイラル配線21は、第1コンポジット層41上に積層される。第2コンポジット層42は、第1スパイラル配線21に積層され、第1スパイラル配線21を覆う。第2スパイラル配線22は、第2コンポジット層42上に積層される。第3コンポジット層43は、第2スパイラル配線22に積層され、第2スパイラル配線22を覆う。
【0104】
第1、第2外部端子11,12の上端面11a,12aは、磁性コンポジット体30Aの上端面30aと同一平面上に位置する。第1、第2外部端子11,12は、磁性コンポジット体30Aに埋め込まれている。
【0105】
次に、インダクタ部品1Aの製造方法について説明する。
【0106】
図6Aに示すように、基台50を準備する。基台50は、絶縁基板51と、絶縁基板51の両面に設けられたベース金属層52とを有する。この実施形態では、絶縁基板51は、ガラスエポキシ基板であり、ベース金属層52は、Cu箔である。基台50の厚みは、インダクタ部品1Aの厚みに影響を与えないため、加工上のそりなどの理由から適宜取り扱いやすい厚さのものを用いればよい。
【0107】
そして、
図6Bに示すように、基台50の一面上にダミー金属層60を接着する。この実施形態では、ダミー金属層60は、Cu箔である。ダミー金属層60は、基台50のベース金属層52と接着されるので、ダミー金属層60は、ベース金属層52の円滑面に接着される。このため、ダミー金属層60とベース金属層52の接着力を弱くすることができて、後工程において、基台50をダミー金属層60から容易に剥がすことができる。好ましくは、基台50とダミー金属層60を接着する接着剤は、低粘着接着剤とする。また、基台50とダミー金属層60の接着力を弱くするために、基台50とダミー金属層60の接着面を光沢面とすることが望ましい。
【0108】
その後、基台50に仮止めされたダミー金属層60上に第1コンポジット層41を積層する。このとき、第1コンポジット層41を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。その後、内磁路(磁芯)に相当する第1コンポジット層41の部分を、レーザ等により除去し、開口部41aを形成する。
【0109】
そして、
図6Cに示すように、第1コンポジット層41上に、第1スパイラル配線21および第2接続配線26を積層する。第1スパイラル配線21および第2接続配線26は、互いに接触していない。第2接続配線26は、外周部21bと反対側に設ける。詳しくは、第1コンポジット層41上に無電解メッキやスパッタリング、蒸着などによりSAP(Semi Additive Process;セミアディティブ工法)のための給電膜を形成する。給電膜の形成後、給電膜上に感光性のレジストを塗布や貼り付け、フォトリソグラフィーにより配線パターンを形成する。その後、SAPによって、配線21,26に相当するメタル配線を形成する。メタル配線の形成後、感光性レジストを薬液により剥離除去し、給電膜をエッチング除去する。その後、さらにこのメタル配線を給電部として、追加のCu電解メッキを施すことでより狭スペースな配線21,26を得ることが可能である。また、第1コンポジット層41の開口部41a内のダミー金属層60上に、内磁路に対応する第1犠牲導体71を設ける。第1犠牲導体71をSAPにより形成する。本実施例においては、L(配線幅)/S(配線スペース(配線ピッチ))/t(配線厚み)が50/30/60μmのCu配線をSAPにて形成後、12.5μm厚み分の追加Cu電解メッキを実施することで、L/S/t=75/5/73μmの配線を得ることができる。
【0110】
そして、
図6Dに示すように、第1スパイラル配線21に第2コンポジット層42を積層して、第1スパイラル配線21を第2コンポジット層42で覆う。第2コンポジット層42を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。この際、第1スパイラル配線21の上方における第2コンポジット層42の厚みを5μm以下とする。これにより、第1、第2スパイラル配線21,22の層間ピッチを、5μm以下とできる。
【0111】
ここで、第1スパイラル配線21の配線ピッチ(例えば5μm)への充填性を確保するため、第2コンポジット層42に含まれる無機フィラー(絶縁体)は、第1スパイラル配線21の配線ピッチより充分に粒径が小さいものである必要がある。また、部品の薄型化を実現するためには、続く上部の配線との層間ピッチを、例えば5μm以下に薄くする必要があることから、同じく絶縁体は充分に粒径が小さいものである必要がある。
【0112】
そして、
図6Eに示すように、第2コンポジット層42に、レーザ加工などにより、ビア配線27を充填するためのビアホール42bを形成する。また、内磁路(磁芯)に相当する第2コンポジット層42の部分を、レーザ等により除去し、開口部42aを形成する。
【0113】
そして、
図6Fに示すように、ビアホールにビア配線27を充填し、第2コンポジット層42上に、第2スパイラル配線22および第1接続配線25を積層する。第2スパイラル配線22および第1接続配線25は、互いに接触していない。第1接続配線25は、外周部22bと反対側に設ける。このとき、第2スパイラル配線22を第1スパイラル配線21と同様の処理にて設ける。また、第2コンポジット層42の開口部42a内の第1犠牲導体71上に、内磁路に対応する第2犠牲導体72を設ける。このとき、ビア配線27、第2スパイラル配線22、第1接続配線25及び第2犠牲導体72は、第1スパイラル配線21と同様の処理にて設けることができる。
【0114】
そして、
図6Gに示すように、第2スパイラル配線22に第3コンポジット層43を積層して、第2スパイラル配線22を第3コンポジット層43で覆う。第3コンポジット層43を、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。
【0115】
そして、
図6Hに示すように、内磁路(磁芯)に相当する第3コンポジット層43の部分を、レーザ等により除去し、開口部43aを形成する。
【0116】
その後、基台50(ベース金属層52)の一面とダミー金属層60との接着面で基台50をダミー金属層60から剥がす。そして、ダミー金属層60をエッチングなどにより取り除き、第1、第2犠牲導体71,72をエッチングなどにより取り除いて、
図6Iに示すように、絶縁コンポジット体40に、内磁路に対応する孔部40aを設ける。その後、第3コンポジット層43に、レーザ加工などにより、ビア配線27を充填するためのビアホール43bを形成する。さらに、ビアホール43bにビア配線27を充填し、第3コンポジット層43上に、柱状の第1、第2外部端子11,12を積層する。このとき、ビア配線27及び第1、第2外部端子11、12は第1スパイラル配線21と同様の処理にて設けることができる。
【0117】
そして、
図6Jに示すように、第1、第2外部端子11,12および絶縁コンポジット体40を磁性コンポジット体30Aで覆って、インダクタ基板5Aを形成する。磁性コンポジット体30Aを、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。磁性コンポジット体30Aは、絶縁コンポジット体40の孔部40aにも充填される。
【0118】
そして、
図6Kに示すように、インダクタ基板5Aの上下の磁性コンポジット体30Aを研削工法により薄層化する。このとき、第1、第2外部端子11,12の一部を露出させることで、第1、第2外部端子11,12の上端面11a,12aは、磁性コンポジット体30Aの上端面30aと同一平面上に位置する。このとき、インダクタンス値が得られるのに充分な厚みまで磁性コンポジット体30Aを研削することで、部品の薄型化を図ることができる。例えば、本実施形態では、厚みを35μmとできる。
【0119】
その後、インダクタ基板5Aをダイシングやスクライブにより個片化して、
図5に示すインダクタ部品1Aを形成する。なお、個片化後、第1、第2外部端子11,12に実装性を高めるため、NiSnなどのメッキ皮膜をバレルメッキ等の方法で形成してもよい。
【0120】
なお、基台50の両面のうちの一面にインダクタ基板5Aを形成しているが、基板50の両面のそれぞれにインダクタ基板5Aを形成するようにしてもよい。これにより、高い生産性を得ることができる。
【0121】
前記インダクタ部品1Aによれば、コンポジット体は、絶縁コンポジット体40と磁性コンポジット体30Aとから構成されるので、絶縁コンポジット体40により、第1、第2スパイラル配線21,22の配線間および層間の絶縁を確保でき、また、磁性コンポジット体30Aにより、高いインダクタンス値を得ることができる。
【0122】
前記インダクタ部品1Aによれば、絶縁コンポジット体40の無機フィラーは、平均粒径が0.5μm以下のSiO
2であるので、第1、第2スパイラル配線21,22の配線間および層間の絶縁性を高くすることができ、より小型低背化を図ることができる。また、第1実施形態に比べ、無機フィラーを絶縁体とすることで、配線間および層間の絶縁性がより高められ、第1、第2スパイラル配線21,22の配線ピッチおよび層間ピッチをより狭くすることが可能となる。
【0123】
前記インダクタ部品1Aによれば、絶縁コンポジット体40の無機フィラーの含有率は、20Vol%以上70Vol%以下であるので、流動性と絶縁性を両立できる。
【0124】
(第2実施例)
第2実施形態の実施例について説明する。インダクタ部品は、用途として、スィッチング周波数100MHzの降圧スィッチングレギュレータに用いられ、サイズは1mm x 0.5mm、厚さ0.23mmのパワーインダクタである。スパイラル配線のターン数は、2層構造で、2.5回巻きであり、インダクタンス値は100MHzでおよそ5nHである。
【0125】
スパイラル配線の巻き数はスィッチング周波数に合わせ、必要なインダクタンス値を得られるよう設定する。スィッチング周波数が40MHz〜100MHzに対し、10ターン以下で設定される。
【0126】
スパイラル配線は、L/S/t=75/5/73μmの実施例を図示するが、チップサイズとインダクタに通電する許容電流に応じてL、tを設定している。各スパイラル配線の層間ピッチは、配線ピッチと同じく5μmであり、スパイラル配線の配線ピッチと層間ピッチを10μm以下と非常に狭くすることにより、スパイラル配線を密に周回させ、インダクタの小型化、低背化を可能としている。
【0127】
(第3実施形態)
図7は、本発明のインダクタ部品の第3実施形態を示す断面図である。第3実施形態は、第2実施形態とは、外部端子の数量のみが相違し、パッケージ基板への内蔵に対応したものである。この相違する構成のみを以下に説明する。なお、第3実施形態において、第2実施形態と同一の符号は、第2実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0128】
図7に示すように、インダクタ部品1Bでは、外部端子11〜14は、第1、第2スパイラル配線21,22の積層方向の上下の両方に設けられている。つまり、インダクタ部品1Bは、第2実施形態の第1、第2外部端子11,12に加えて、第3、第4外部端子13,14を有する。
【0129】
第3、第4外部端子13,14は、第1、第2スパイラル配線21,22の積層方向の下方に設けられる。第3外部端子13は、第1外部端子11に対向し、ビア配線27を介して、第1外部端子11に電気的に接続される。第4外部端子14は、第2外部端子12に対向し、ビア配線27を介して、第2外部端子12に電気的に接続される。
【0130】
第3、第4外部端子13,14の積層方向の下端面13a,14aは、磁性コンポジット体30Aの積層方向の下端面30bと同一平面上に位置する。第3、第4外部端子13,14は、磁性コンポジット体30Aに埋め込まれている。
【0131】
次に、インダクタ部品1Bの製造方法について説明する。
【0132】
まず、第2実施形態の
図6A〜
図6Hに示す方法と同一の方法を行う。
【0133】
そして、
図8Aに示すように、絶縁コンポジット体40に、内磁路に対応する孔部40aを設ける。その後、絶縁コンポジット体40の上下面のビアホール43bにビア配線27を充填する。第3コンポジット層43の上面に、柱状の第1、第2外部端子11,12を設け、第1コンポジット層41の下面に、柱状の第3、第4外部端子13,14を設ける。このとき、ビア配線27及び第1、第2、第3、第4外部端子11、12、13,14は第1スパイラル配線21と同様の処理にて設けることができる。
【0134】
そして、
図8Bに示すように、第1から第4外部端子11〜14および絶縁コンポジット体40を磁性コンポジット体30Aで覆って、インダクタ基板5Bを形成する。磁性コンポジット体30Aを、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着し熱硬化する。磁性コンポジット体30Aは、絶縁コンポジット体40の孔部40aにも充填される。
【0135】
そして、
図8Cに示すように、インダクタ基板5Bの上下の磁性コンポジット体30Aを研削工法により薄層化する。このとき、第1から第4外部端子11〜14の一部を露出させることで、第1、第2外部端子11,12の上端面11a,12aは、磁性コンポジット体30Aの上端面30aと同一平面上に位置し、第3、第4外部端子13,14の上端面13a,14aは、磁性コンポジット体30Aの下端面30bと同一平面上に位置する。このとき、インダクタンス値が得られるのに充分な厚みまで磁性コンポジット体30Aを研削することで、部品の薄型化を図ることができる。
【0136】
その後、インダクタ基板5Bをダイシングやスクライブにより個片化して、
図7に示すインダクタ部品1Bを形成する。なお、個片化後、第1、第2外部端子11,12に実装性を高めるため、NiSnなどのメッキ皮膜をバレルメッキ等の方法で形成してもよい。
【0137】
なお、基台50の両面のうちの一面にインダクタ基板5Bを形成しているが、基板50の両面のそれぞれにインダクタ基板5Bを形成するようにしてもよい。これにより、高い生産性を得ることができる。
【0138】
前記インダクタ部品1Bによれば、外部端子11〜14は、スパイラル配線11,12の積層方向の上下の両方に設けられているので、基板にインダクタ部品1Bを埋め込んだとき、基板の上下面に、インダクタ部品1Bの上下の外部端子11〜14に導通される配線を設けることができる。したがって、負荷接続側と、平滑コンデンサを介した接地側の2方向に分岐されるチョッパー回路の出力側を、互いに電気的に接続される上下の外部端子によって、引き回すことなく最短に接続することができる。このため、出力側の平滑コンデンサのESR、ESLを低くすることができ、出力のリップル電圧を小さくできる。
【0139】
なお、上記のように、2つの端子を用いるのは出力側の外部端子のみであるため、入力側の外部端子は1つであってもよく、例えばインダクタ部品1Bにおいて、外部端子13、14のいずれか一方は設けられていなくてもよい。ただし、外部端子13、14の両方が設けられることにより、インダクタ部品1B内の対称性が向上し、特性の非対称性の低減や、配線自由度及び部品全体のコプラナリティなどの向上を図ることができる。
【0140】
(第3実施例)
第3実施形態の実施例について説明する。インダクタ部品は、用途として、スィッチング周波数100MHzの降圧スィッチングレギュレータに用いられ、サイズは1mm x 0.5mm、厚さ0.23mmのパワーインダクタである。スパイラル配線のターン数は、2層構造で、2.5回巻きであり、インダクタンス値は100MHzでおよそ5nHである。
【0141】
(第4実施形態)
図9は、本発明のパッケージ部品の一実施形態を示す断面図である。なお、第4実施形態において、第3実施形態と同一の符号は、第3実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0142】
図9に示すように、パッケージ部品2は、ICパッケージ内の基板を含んだモジュールであって、基板80と、基板80に埋め込まれた第3実施形態のインダクタ部品1Bとを有する。基板80は、例えば、FR4、CES3などから構成される。インダクタ部品1Bの上側の第1、第2外部端子11,12は、基板80の上面80a側に配置される。インダクタ部品1Bの下側の第3、第4外部端子13,14は、基板80の下面80b側に配置される。
【0143】
基板80の上面80aには、絶縁樹脂85を介して、配線81,82が設けられている。第1配線81は、絶縁樹脂85の開口部を介して第1外部端子11に電気的に接続される。第2配線82は、絶縁樹脂85の開口部を介して第2外部端子12に電気的に接続される。
【0144】
基板80の下面80bには、絶縁樹脂85を介して、配線83,84が設けられている。第3配線83は、絶縁樹脂85の開口部を介して第3外部端子13に電気的に接続される。第4配線84は、何れの外部端子11〜14に電気的に接続されていない。
【0145】
次に、パッケージ部品2の製造方法について説明する。
【0146】
図10Aに示すように、基板80を用意する。基板80としては、例えば、ICの小型化、低背化のため、0.33mmや0.23mmなどの薄い基板を用いる。
【0147】
そして、
図10Bに示すように、基板80にドリルやレーザなどにより貫通孔80cを形成する。
【0148】
そして、
図10Cに示すように、基板80の下面80bに低粘着の仮貼りテープ86を貼り付ける。なお、仮貼りテープ86の代わりに、熱発泡シートなどを用いてもよい。
【0149】
そして、
図10Dに示すように、貫通孔80cにインダクタ部品1Bを設置する。その後、ビルドアップシートやプリプレグなどの絶縁樹脂85を基板80の上面80aにラミネートし、インダクタ部品1Bと基板80を封止して、仮貼りテープ86を除去する。
【0150】
そして、
図10Eに示すように、基板80の下面80bに絶縁樹脂85をラミネートし、その後、絶縁樹脂85を熱硬化させて、インダクタ部品1Bを埋め込んだ基板80を得る。
【0151】
そして、
図10Fに示すように、インダクタ部品1Bの外部端子11〜13と回路の接点となる絶縁樹脂85の部分に、レーザにてビアホールを形成する。この際、磁性コンポジット体30Aの表面と外部端子11〜13の表面が、平滑な同一平面に形成されていることから、レーザの焦点ズレなどによる加工不良などが生じ難くなり、生産性を良くすることができる。その後、レーザのスミアを除去したのち、無電解メッキや電解メッキ等の手法で配線層87を形成する。
【0152】
そして、配線層87をレジストパターン等でエッチング加工し、必要なランドや配線を基板80上に形成することで、
図9に示すように、パッケージ部品2を得ることができる。
【0153】
前記パッケージ部品2によれば、基板80にインダクタ部品1Bが埋め込まれ、基板80の上面80aに、上側の外部端子11,12に電気的に接続される配線81,82が設けられ、基板80の下面80bに、下側の外部端子13に電気的に接続される配線83が設けられている。したがって、チョッパー回路の出力側を、互いに電気的に接続される上下の外部端子11,13によって、引き回すことなく最短に接続することができる。このため、出力側の平滑コンデンサのESR、ESLを低くすることができ、出力のリップル電圧を小さくできる。
【0154】
(第5実施形態)
図11Aは、本発明のスィッチングレギュレータの一実施形態を示す断面図である。
図11Bは、スィッチングレギュレータの等価回路図である。なお、第5実施形態において、第4実施形態と同一の符号は、第4実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0155】
図11Aと
図11Bに示すように、スィッチングレギュレータ3は、外部電源(不図示)からの電源電圧を中央処理部121に適した電圧に変換し、中央処理部121に供給する電圧調整器(VR)の役割を有する。
【0156】
スィッチングレギュレータ3は、第4実施形態のパッケージ部品2と、外部電源とインダクタ部品1Bとの電気的な接続を開閉するスイッチング素子123aと、インダクタ部品1Bからの出力電圧を平滑する平滑コンデンサ90とを有する。
【0157】
スイッチング素子123aは、パッケージ部品2の基板80の上面80a側に配置されると共に、一対(入力側と出力側)の外部端子の他方(入力側)の外部端子12に接続された第2配線82に電気的に接続される。平滑コンデンサ90は、パッケージ部品2の基板80の下面80b側に配置されると共に、一対(入力側と出力側)の外部端子の一方(出力側)の外部端子11,13に接続された配線81,83のうち、下側の配線83に電気的に接続される。一対(入力側と出力側)の外部端子の一方(出力側)の外部端子11,13に接続された配線81,83のうち、上側の配線81が、出力端子となる。
【0158】
電圧調整部123と中央処理部121は、1つのICチップ120内に統合されている。ICチップ120は、パッケージ部品2の基板80の上面80aに実装される。電圧調整部123は、スイッチング素子123aと、スイッチング素子123aを駆動するドライバ123bとを有する。スイッチング素子123aは、内部接続電極91を介して、パッケージ部品2の第2配線82に接続される。中央処理部121は、内部接続電極91を介して、パッケージ部品2の第1配線81に接続される。
【0159】
平滑コンデンサ90は、パッケージ部品2の基板80の下面80bに実装される。平滑コンデンサ90の入力部は、パッケージ部品2の第3配線83に接続される。平滑コンデンサ90の出力部は、パッケージ部品2の第4配線84に接続される。第4配線84は、外部接続電極92を介して、グランドに接地される。
【0160】
このように、インダクタ部品1Bの入力部に、スイッチング素子123aが接続され、インダクタ部品1Bの出力部に、中央処理部121と平滑コンデンサ90が接続される。なお、図示は省略するが、ICチップ120及び基板80はモールド成型されたエポキシ樹脂などによって一体化され、単体のICパッケージを構成する。
【0161】
前記スィッチングレギュレータ3によれば、平滑コンデンサ90は、パッケージ部品2の基板80の下面80bの配線83,84に接続され、スイッチング素子123aと中央処理部121は、パッケージ部品2の基板80の上面80aの配線81,82に接続される。これにより、パッケージ部品2のインダクタ部品1Bと、中央処理部121および平滑コンデンサ90とを、上下の第1、第3外部端子11,13によって、引き回すことなく最短に接続することができる。このため、平滑コンデンサ90のESR、ESLを低くすることができ、出力のリップル電圧を小さくできる。なお、出力端子となる第1配線81に、中央処理部121以外の負荷を接続するようにしてもよい。
【0162】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第5実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。前記実施形態では、インダクタ部品は、2層のスパイラル配線を含んでいるが、3層以上のスパイラル配線を含んでいてもよい。
【0163】
また、前記実施形態では、複数層のスパイラル配線によって構成されるインダクタの数は1つであったが、インダクタ部品が有するインダクタの数は1つに限られない。例えば同一平面に複数の螺旋を有するスパイラル配線によって、複数のインダクタが構成されていてもよい。