特許第6780764号(P6780764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780764
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】巻線型コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20201026BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   H01F27/29 G
   H01F17/04 A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-217952(P2019-217952)
(22)【出願日】2019年12月2日
(62)【分割の表示】特願2017-149600(P2017-149600)の分割
【原出願日】2017年8月2日
(65)【公開番号】特開2020-31244(P2020-31244A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2019年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085143
【弁理士】
【氏名又は名称】小柴 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】田村 優佳
【審査官】 佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−044858(JP,A)
【文献】 特開2016−086034(JP,A)
【文献】 特開平08−203720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部ならびに前記巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部を有する、ドラム状コアと、
前記巻芯部のまわりに所定の巻回方向で巻回された、ワイヤと、
前記第1および第2の鍔部における実装基板側に向く面にそれぞれ設けられた、第1および第2の端子電極と、
を備え、
前記ワイヤは、前記巻芯部のまわりで複数層をなして巻回された複数層部分を形成し、前記複数層部分は、前記ワイヤが下層側から上層側へと移行する乗り上げ開始部を有し、
前記巻回方向は、前記複数層部分の最下層において前記ワイヤが前記乗り上げ開始部側に向かう第1巻回方向であり、前記複数層部分の前記最下層の上層側の第2層では、前記乗り上げ開始部から前記第1巻回方向とは逆の第2巻回方向であり、前記ワイヤは、前記最下層において前記第1巻回方向に複数ターン巻回され、
前記第1の端子電極には、前記巻回方向における前記ワイヤの始端が接続され、前記第2の端子電極には、前記巻回方向における前記ワイヤの終端が接続され、
前記巻芯部は、前記第1および第2の鍔部間を連結する方向に延びる中心軸線を持つn角柱(nは3以上の自然数)形状であり、
前記巻芯部が与える前記n角柱形状が有するn個の側面につき、実装基板側に向く側面を第1側面と名付け、前記第1側面に対して前記巻回方向に連なる他の複数の側面を、順次、第2側面、…、第n側面と名付けたとき、前記ワイヤの前記乗り上げ開始部は、第2側面から第n−1側面までを覆う領域に存在する第1の乗り上げ開始部を含むことを特徴とする、
巻線型コイル部品。
【請求項2】
前記第1の乗り上げ開始部は、第2側面から第n−1側面までの前記n角柱形状が有する1つの側面を覆う領域の範囲内に存在するものを含む、請求項1に記載の巻線型コイル部品。
【請求項3】
前記第1の乗り上げ開始部は、第2側面から第n−1側面までの間であって、隣り合う前記側面間に位置する稜線部分に対向する位置に存在するものを含む、請求項1または2に記載の巻線型コイル部品。
【請求項4】
前記巻芯部は四角柱形状である、請求項1ないし3のいずれかに記載の巻線型コイル部品。
【請求項5】
前記第1の乗り上げ開始部は、第3側面を覆う領域に存在するものを含む、請求項4に記載の巻線型コイル部品。
【請求項6】
すべての前記乗り上げ開始部が、前記第1の乗り上げ開始部であり、第2側面から第n−1側面までを覆う領域に存在する、請求項1ないし5のいずれかに記載の巻線型コイル部品。
【請求項7】
巻芯部ならびに前記巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部を有する、ドラム状コアと、
前記巻芯部のまわりに所定の巻回方向で巻回された、ワイヤと、
前記第1および第2の鍔部における実装基板側に向く面にそれぞれ設けられた、第1および第2の端子電極と
を備え、
前記ワイヤは、前記巻芯部のまわりで複数層をなして巻回された複数層部分を形成し、前記複数層部分は、前記ワイヤが下層側から上層側へと移行する乗り上げ開始部を有し、
前記巻回方向は、前記複数層部分の最下層において前記ワイヤが前記乗り上げ開始部側に向かう第1巻回方向であり、前記複数層部分の前記最下層の上層側の第2層では、前記乗り上げ開始部から前記第1巻回方向とは逆の第2巻回方向であり、前記ワイヤは、前記最下層において前記第1巻回方向に複数ターン巻回され、
前記第1の端子電極には、前記巻回方向における前記ワイヤの始端が接続され、前記第2の端子電極には、前記巻回方向における前記ワイヤの終端が接続され、
前記第1の端子電極には、前記ワイヤの最下層の始端となる始端が接続され、前記第2の端子電極には、前記ワイヤの前記始端とは逆の終端が接続され、
前記ワイヤにおける前記巻芯部の周方向に沿った位置を、前記第1および第2の鍔部間を連結する方向に延びる中心軸線を中心として測定した角度であって、前記ワイヤの前記始端が前記第1の端子電極に接続された位置を起点として前記ワイヤの巻回方向に測定した角度で表わしたとき、前記ワイヤの前記乗り上げ開始部は、前記巻芯部の周面の45°以上かつ225°以下の範囲にある領域に存在する第1の乗り上げ開始部を含むことを特徴とする、
巻線型コイル部品。
【請求項8】
すべての前記乗り上げ開始部が、前記第1の乗り上げ開始部であり、巻芯部の周面の45°以上かつ225°以下の範囲にある領域に存在する、請求項7に記載の巻線型コイル部品。
【請求項9】
前記第1の乗り上げ開始部は、前記ワイヤのいずれかのターンにおける、前記ワイヤの前記始端が前記第1の端子電極に接続された位置を起点として、0ターン以上の領域に存在するものがある、請求項1ないし8のいずれかに記載の巻線型コイル部品。
【請求項10】
前記第1の乗り上げ開始部は、前記ワイヤのいずれかのターンにおける、前記ワイヤの前記始端が前記第1の端子電極に接続された位置を起点として、1/4ターン以上の領域に存在するものがある、請求項9に記載の巻線型コイル部品。
【請求項11】
前記第1の乗り上げ開始部は、前記ワイヤのいずれかのターンにおける、前記ワイヤの前記始端が前記第1の端子電極に接続された位置を起点として、1/2ターン以上の領域に存在するものがある、請求項10に記載の巻線型コイル部品。
【請求項12】
前記ワイヤは、複数の前記複数層部分を有し、複数の前記複数層部分が、前記巻芯部の中心軸線に沿って並んでいる、請求項1ないし11のいずれかに記載の巻線型コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、巻線型コイル部品に関するもので、特に、巻芯部を有するドラム状コアを備え、ドラム状コアの巻芯部のまわりでワイヤが複数層をなして巻回された構造を有する巻線型コイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開2011−82463号公報(特許文献1)には、ドラム状コアの巻芯部のまわりでワイヤが3層以上に重ねられて巻回された構造を有する巻線型コイル部品が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、共振周波数を低周波側にシフトさせ、これにより所望の周波数において高いインピーダンスを得ることを目的としている。そのため、ワイヤの巻回にあたっては、1層目のターン数より2ターン以上少ないターン数で2層目が巻回される。2層目のターン数は自己共振周波数に大きく影響しており、2層目のターン数を1層目よりも2ターン以上少ない適切なターン数とすることにより自己共振周波数が所望の周波数帯に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−82463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、巻芯部のまわりでワイヤが複数層に重ねて巻回された構造を有する巻線型コイル部品にあっては、ワイヤが下層側から上層側へと移行する乗り上げ開始部が必ず形成されなければならない。
【0006】
また、巻線型コイル部品にあっては、巻回されるワイヤの線間に浮遊容量が生じることは避けられない。
【0007】
本件発明者は、巻芯部のまわりにワイヤが巻回されるとき、上記の乗り上げ開始部が巻芯部の周方向における、どの位置に形成されるかによって、巻線型コイル部品全体での浮遊容量が変化するのではないかとの着想に至った。浮遊容量の変化は、巻線型コイル部品のQ値や共振周波数に影響を及ぼすと考えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献1では、上記の乗り上げ開始部の位置について、何らの示唆もない。
【0009】
そこで、この発明の目的は、Q値の向上を図り得る乗り上げ開始部を備える巻線型コイル部品を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、巻芯部ならびに巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部を有する、ドラム状コアと、巻芯部のまわりに所定の巻回方向で巻回された、ワイヤと、第1および第2の鍔部における実装基板側に向く面にそれぞれ設けられた、第1および第2の端子電極と、を備える、巻線型コイル部品に向けられる。
【0011】
ワイヤは、巻芯部のまわりで複数層をなして巻回された複数層部分を形成し、複数層部分は、ワイヤが下層側から上層側へと移行する乗り上げ開始部を有する。
【0012】
前述の巻回方向は、複数層部分の最下層においてワイヤが乗り上げ開始部側に向かう第1巻回方向であり、複数層部分の最下層の上層側の第2層では、上記乗り上げ開始部から第1巻回方向とは逆の第2巻回方向である。そして、ワイヤは、最下層において第1巻回方向に複数ターン巻回される。
【0013】
第1の端子電極には、上記巻回方向におけるワイヤの始端が接続され、第2の端子電極には、上記巻回方向におけるワイヤの終端が接続される。
【0014】
このような基本的構成を備える巻線型コイル部品において、この発明の第1の局面では、以下のような構成をさらに備えることを特徴としている。
【0015】
巻芯部は、第1および第2の鍔部間を連結する方向に延びる中心軸線を持つn角柱(nは3以上の自然数)形状である。そして、巻芯部が与えるn角柱形状が有するn個の側面につき、実装基板側に向く側面を第1側面と名付け、第1側面に対して上記巻回方向に連なる他の複数の側面を、順次、第2側面、…、第n側面と名付けたとき、ワイヤの乗り上げ開始部は、第2側面から第n−1側面までを覆う領域に存在する第1の乗り上げ開始部を含むことを特徴としている。
【0016】
この発明の第1の局面において、第1の乗り上げ開始部は、第2側面から第n−1側面までのn角柱形状が有する1つの側面を覆う領域の範囲内に存在するものも、第2側面から第n−1側面までの間であって、隣り合う側面間に位置する稜線部分に対向する位置に存在するものもあり得る。前者の構成によれば、ワイヤの安定な巻回状態を得ることができる。
【0017】
この発明の第1の局面において、巻芯部は、好ましくは、四角柱形状である。これにより、巻芯部を容易に成形することができる。
【0018】
巻芯部が四角柱形状である場合、Q値の向上の点で、第1の乗り上げ開始部は、第3側面を覆う領域に存在するものを含むことが特に好ましい。
【0019】
この発明の第1の局面において、すべての乗り上げ開始部が、第1の乗り上げ開始部であり、第2側面から第n−1側面までを覆う領域に存在することが好ましい。この構成によれば、Q値の向上効果をさらに高めることができる。
【0020】
この発明の第2の局面では、前述のような基本的構成を備える巻線型コイル部品において、以下のような構成をさらに備えることを特徴としている。
【0021】
ワイヤにおける巻芯部の周方向に沿った位置を、第1および第2の鍔部間を連結する方向に延びる中心軸線を中心として測定した角度であって、ワイヤの始端が第1の端子電極に接続された位置を起点としてワイヤの巻回方向に測定した角度で表わしたとき、ワイヤの乗り上げ開始部は、巻芯部の周面の45°以上かつ225°以下の範囲にある領域に存在する第1の乗り上げ開始部を含むことを特徴としている。
【0022】
上述した第2の局面での特徴的構成は、巻芯部が、周面に平面部分を有するn角柱形状である場合ばかりでなく、円柱形状や楕円柱形状のように、周面に平面部分を有しない形状である場合にも適用されることができる。
【0023】
この発明の第2の局面において、すべての乗り上げ開始部が、第1の乗り上げ開始部であり、巻芯部の周面の45°以上かつ225°以下の範囲にある領域に存在することが好ましい。この構成によれば、Q値の向上効果をさらに高めることができる。
【0024】
この発明において、第1の乗り上げ開始部は、ワイヤのいずれかのターンにおける、ワイヤの始端が第1の端子電極に接続された位置を起点として、0ターン以上、より好ましくは1/4ターン以上、さらに好ましくは1/2ターン以上の領域に存在するものがあることが好ましい。このように、ワイヤの乗り上げ開始部を、ワイヤのターンのなるべく後半に位置させることにより、浮遊容量がより減り、リアクタンスがより向上し、その結果、Q値をより向上させることができる。
【0025】
この発明に係る巻線型コイル部品において、ワイヤは、複数の複数層部分を有し、複数の複数層部分が、巻芯部の中心軸線に沿って並んでいてもよい。
【発明の効果】
【0026】
この発明によれば、後述するデータからわかるように、巻線型コイル部品のQ値を向上させることができる。その理由は、ワイヤの線間にもたらされる浮遊容量が減少し、リアクタンスが向上したためであると推測される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の第1の実施形態による巻線型コイル部品1を実装基板側から示す図である。
図2図1に示した巻線型コイル部品1におけるワイヤ8の巻回状態を説明するため、巻線型コイル部品1を模式的に示す断面図である。
図3図1に示した巻線型コイル部品1に備えるドラム状コア3を示す、図1の線III−IIIに沿う断面図である。
図4図1に示した巻線型コイル部品1を、図3に示した第2側面方向S2から示す図である。
図5図4の一部を拡大して示す図であり、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rを説明するためのものである。
図6】巻線型コイル部品について、(A)インダクタンス値の周波数特性および(B)Q値の周波数特性を示すもので、ワイヤの乗り上げ開始部を、図3に示した第1側面S1に位置させた試料ES1と、第2側面S2に位置させた試料ES2と、第4側面S4に位置させた試料ES4とで比較した図である。
図7】ワイヤ8の線間に形成される浮遊容量を説明するための模式的断面図であり、(A)は乗り上げ開始部が位置する側面の1つ前の側面でのワイヤ8の状態を示し、(B)は乗り上げ開始部Rが位置する側面でのワイヤ8の状態を示し、(C)は乗り上げ開始部が位置する側面の1つ後の側面でのワイヤ8の状態を示す。
図8】この発明の第2の実施形態による巻線型コイル部品1aを示す、図5に対応する図である。
図9】この発明の第3の実施形態による巻線型コイル部品1bを模式的に示す、図2に対応する図である。
図10】この発明の第4の実施形態による巻線型コイル部品1cを模式的に示す、図2に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1ないし図6を参照して、この発明の第1の実施形態による巻線型コイル部品1について説明する。
【0029】
巻線型コイル部品1は、図1によく示されているように、巻芯部2を有するドラム状コア3を備える。ドラム状コア3は、巻芯部2の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1および第2の鍔部4および5を備える。ドラム状コア3は、電気絶縁性材料、より具体的には、アルミナのような非磁性体、フェライトのような磁性体、または樹脂などから構成される。ドラム状コア3に備える巻芯部2ならびに第1および第2の鍔部4および5は、図3からわかるように、四角形の断面形状を有する四角柱形状をなしている。図示したように、四角柱形状の巻芯部2ならびに鍔部4および5の各々の稜線部分には、好ましくは、アール面取りが施されている。
【0030】
第1および第2の鍔部4および5における実装基板(図示せず。)側に向く面には、それぞれ、第1および第2の端子電極6および7が設けられる。通常、端子電極6および7は、たとえば銀を導電成分とする導電性ペーストの焼付けによって形成され、その上に、必要に応じて、Niめっき、CuめっきおよびSnめっきが順次施されてもよい。これに代えて、端子電極6および7は、導電性金属からなる端子金具を鍔部4および5に接着することによって設けられてもよい。
【0031】
巻線型コイル部品1は、巻芯部2のまわりに所定の巻回方向で巻回されたワイヤ8を備える。ワイヤ8は、たとえば、ポリエステルイミドで絶縁被覆された銅線からなる。ワイヤ8としては、通常、円形の断面を有するものが用いられるが、矩形の断面を有する平角線が用いられてもよい。
【0032】
ワイヤ8は、巻芯部2のまわりで複数層、たとえば3層をなして巻回された3つの複数層部分9a、9bおよび9cを形成している。図2には、巻線型コイル部品1におけるワイヤ8の巻回状態が示されている。なお、図2に示したワイヤ8のターン数は、図1に示したワイヤ8のターン数より少ない。よって、図2は、巻線型コイル部品1を簡略化して示したものと理解すべきである。
【0033】
図1に示すように、ワイヤ8の上記巻回方向における始端8aが第1の端子電極6に接続され、上記巻回方向におけるワイヤ8の終端8bが第2の端子電極7に接続される。ワイヤ8の始端8aは、第1の複数層部分9aにおける最下層である第1層の始端となる。
【0034】
図2を参照して、第1の複数層部分9aにおいて、まず、巻芯部2上で、ワイヤ8は、矢印A1で示すように、第1の鍔部4側から第2の鍔部5側に向かって巻回され、第1層を形成する。次いで、ワイヤ8は、矢印A2で示すように、第1層から第2層へと移行する。次いで、ワイヤ8は、矢印A1とは逆向きの矢印A3で示すように、第2の鍔部5側から第1の鍔部4側に向かって巻回され、第2層を形成する。次いで、ワイヤ8は、矢印A4で示すように、第2層から第3層へと移行する。次いで、ワイヤ8は、第3層において、1ターン未満のターン数をもって巻回された後、矢印A5で示すように、巻芯部2に接する位置まで導かれ、ここで、第2の複数層部分9bにおける始端を提供する。
【0035】
次に、ワイヤ8は、第2の複数層部分9bおよび第3の複数層部分9cにおいて、第1の複数層部分9aの場合と同様の態様で巻回が繰り返される。その後、ワイヤ8における第3の複数層部分9cの終端となるワイヤ8の端部8bは、第2の端子電極7(図1参照)に接続される。
【0036】
なお、ワイヤ8と端子電極6および7との接続には、たとえば、熱圧着による接合が適用される。
【0037】
上述した複数層部分9a、9bおよび9cでは、それぞれ、ワイヤ8がその巻回方向に沿って下層側から上層側へと移行する乗り上げ開始部を有している。この発明では、乗り上げ開始部を、巻芯部2の周面におけるいずれの位置に存在させるかが重要な要素となる。なお、ワイヤ8の巻回方向は、複数層部分9a〜9cの最下層においてワイヤ8が乗り上げ開始部側に向かう巻回方向である。
【0038】
図3を参照して、巻芯部2は、前述したように、四角柱形状をなしている。この四角柱形状は、第1および第2の鍔部4および5間を連結する方向に延びる中心軸線10を持っている。説明の便宜上、このような巻芯部2が与える四角柱形状が有する4個の側面につき、実装基板側に向く側面、すなわち鍔部4および5において端子電極6および7が設けられた側に位置する側面を第1側面S1と名付け、第1側面S1に対してワイヤ8の巻回方向11に連なる他の3つの側面を、順次、第2側面S2、第3側面S3、第4側面S4と名付けることにする。
【0039】
図4は、巻線型コイル部品1を第2側面S2方向から示している。図4において、鍔部4および5の、端子電極6および7が設けられた側とは反対側において、1対の鍔部4および5間を連結するように設けられたコーティング部材12が破線で示されている。コーティング部材12は、必要に応じて設けられるもので、コーティング部材12に代えて、予め用意された板状部材が1対の鍔部4および5間を連結するように取り付けられてもよい。図5は、図4の一部を拡大して示す図であり、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rを説明するためのものである。
【0040】
図4および図5を参照して、第1の複数層部分9aに注目すると、ワイヤ8の第1層側から第2層側へと移行する乗り上げ開始部Rは、第2側面S2を覆う領域に存在している。図5では、ワイヤ8の第1層と第2層とを明確に区別できるようにするため、第1層が点線で示され、第2層が実線で示されている。
【0041】
第2の複数層部分9bおよび第3の複数層部分9cにおいても、図4からわかるように、ワイヤ8の第1層側から第2層側へと移行する乗り上げ開始部Rは、第2側面S2を覆う領域に存在している。
【0042】
また、第1ないし第3の複数層部分9aないし9cにおいて、ワイヤ8の第2層側から第3層側へと移行する乗り上げ開始部Rは、図1に現れているように、第1側面S1を覆う領域に存在している。
【0043】
いずれにしても、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rの少なくとも1つは、第1側面S1および第4側面S4を覆う領域以外の領域、すなわち、第2側面S2および第3側面S3を覆う領域に存在していることが重要である。
【0044】
図6は、巻線型コイル部品1について、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rを、第1側面S1に位置させた試料ES1と、第2側面S2に位置させた試料ES2と、第4側面S4に位置させた試料ES4とで比較しながら、(A)インダクタンス値の周波数特性および(B)Q値の周波数特性を示している。
【0045】
図6に示したデータを得るために用意された巻線型コイル部品1に備えるドラム状コア3としては、平面寸法が2.0mm×1.5mmのアルミナからなるものを用いた。また、端子電極6および7を形成するため、銀ペーストを塗布し、ピーク温度700℃で焼き付けた後、電解めっきにより、厚さ3μmのNi膜、厚さ5μmのCu膜および厚さ16μmのSn膜を順次形成した。ワイヤ8としては、線径40μmのポリエステルイミドエナメル銅線を用い、ワイヤ8の端子電極6および7への接続には、510℃での熱圧着を適用した。また、コーティング部材12としては、UV硬化樹脂を用い、UV線で硬化させることによって、コーティング部材12を形成した。
【0046】
上記のような仕様の巻線型コイル部品1において、図1および図4に示すような態様でワイヤ8を巻回し、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rを、第1側面S1に位置させた試料ES1と、第2側面S2に位置させた試料ES2と、第4側面S4に位置させた試料ES4とを作製した。これら試料ES1、ES2およびES4では、ワイヤ8の全体のターン数を同じにするとともに、乗り上げ開始部R以降のターン数も同じとした。
【0047】
インダクタンス値の周波数特性については、図6(A)に示すように、試料ES1、ES2およびES4間でほぼ同等と見ることができる。他方、Q値の周波数特性については、図6(B)に示すように、乗り上げ開始部Rを第4側面S4に位置させた試料ES4に比べて、乗り上げ開始部Rを第1側面S1に位置させた試料ES1が、ほぼ全周波数域でより高いQ値を示し、乗り上げ開始部Rを第2側面S2に位置させた試料ES2が、ほぼ全周波数域でさらに高いQ値を示している。
【0048】
なお、図6(A)をより微視的に見れば、インダクタンス値は、試料ES4、試料ES1、試料ES2の順でより低くなっている。このことから、試料ES1およびES2は、試料ES4に比べて、Q値も低くなると考えるのが通常である。しかし、試料ES1およびES2は、試料ES4に比べて、インダクタンス値が低くなったにも関わらず、図6(B)に示すように、Q値が高くなっている。この現象から、試料ES1およびES2によれば、試料ES4に比べて、インダクタンス値が下がったことを克服できる程度以上に、Q値を上げることができたものと推測することができる。
【0049】
上述した試料ES1およびES2におけるQ値の上昇は、浮遊容量の低減に起因するものと考えられる。このことについて、図7を参照して考察する。
【0050】
図7において、(A)は乗り上げ開始部が位置する側面の1つ前の側面でのワイヤ8の状態を示し、(B)は乗り上げ開始部Rが位置する側面でのワイヤ8の状態を示し、(C)は乗り上げ開始部が位置する側面の1つ後の側面でのワイヤ8の状態を示している。図7(A)(B)(C)の各々には、ワイヤ8の4つのターン部分T1、T2、T3およびT4が図示され、また、ワイヤ8のターン部分T1に関連して形成される浮遊容量がC1、C2、C3およびC4の符号をもって図示されている。
【0051】
図7(A)に示すように、乗り上げ開始部が位置する側面の1つ前の側面では、これから乗り上げようとするワイヤ8のターン部分T1とそれに隣り合うターン部分T2との間に、浮遊容量C1が形成されている。
【0052】
次に、図7(B)に示すように、乗り上げ開始部Rが位置する側面では、上層側に位置する乗り上げ開始部Rを与えるターン部分T1と下層側に位置するターン部分T2との間に、浮遊容量C2が形成されている。ここで、浮遊容量C2は、上述の浮遊容量C1とほぼ等しい。
【0053】
次に、図7(C)に示すように、乗り上げ開始部が位置する側面の1つ後の側面では、乗り上げ後の上層側に位置するターン部分T1に隣接するものとして、下層側に位置する2つのターン部分T2およびT3が存在する。したがって、ターン部分T1とターン部分T2との間に、浮遊容量C3が形成されるとともに、ターン部分T1とターン部分T3との間に、浮遊容量C4が形成される。すなわち、乗り上げ開始部が位置する側面の1つ後の側面では、浮遊容量C1および浮遊容量C2のいずれかよりも大きな浮遊容量C3+C4が形成される。
【0054】
以上のことから、図7(B)に示す、ワイヤ8が上層側への乗り上げを開始した側面での浮遊容量C2は、図7(A)に示す、乗り上げ前の側面での浮遊容量C1に比べて増加していないが、図7(C)に示す、完全に乗り上げた後に来る側面では、より大きな浮遊容量C3+C4が形成されていることがわかる。
【0055】
したがって、前述した試料ES4のように、第4側面S4に乗り上げ開始部Rを位置させると、上層側の最初のターン部分では、巻回が開始される第1側面S1から浮遊容量が大きくなってしまう。すなわち、最初のターン部分の全周にわたって浮遊容量が大きくなってしまう。
【0056】
これに対して、試料ES1のように、第1側面S1に乗り上げ開始部Rを位置させると、上層側の最初のターン部分では、途中からしか、すなわち第2側面S2からしか浮遊容量が大きくならないため、上層側の最初のターン部分での浮遊容量を低減することができる。
【0057】
同様に、試料ES2のように、第2側面S1に乗り上げ開始部Rを位置させる場合も、上層側の最初のターン部分では、途中からしか浮遊容量が大きくならない。さらに、この場合には、上述の第2側面S2より後の第3側面S3からしか浮遊容量が大きくならないため、試料ES1の場合に比べて、浮遊容量をより低減することができる。
【0058】
以上の試料ES1と試料ES2との比較から、図示しないが、第3側面S3を覆う領域に乗り上げ開始部Rを位置させると、浮遊容量のより一層の低減が可能であることが容易に類推できる。また、乗り上げ開始部Rは、ワイヤ8のターンのできるだけ後半に位置すること、すなわち、ワイヤ8のいずれかのターンにおける、ワイヤ8の始端8aが第1の端子電極6に接続された位置を起点として、1/2ターン以上の領域に存在していることが浮遊容量のより一層の低減にとって効果的であることも容易に推測できる。
【0059】
なお、試料ES4における乗り上げ開始部Rの位置を採用しながら、乗り上げ開始部Rを1ターン分遅らせることも考えられるが、この場合には、下層側でターン数が単純に1ターン増えることになり、製品設計に与える影響が大きい。したがって、試料ES1や試料ES2のように、乗り上げ開始部Rを、第4側面S4を覆う領域以外の領域に存在させることは、ターン数を変えずに浮遊容量を低減するのに効果的であると言える。
【0060】
また、上記からわかるように、浮遊容量をどこか1箇所でも低減することができればQ値は向上する。すなわち、以上の説明では、すべての乗り上げ開始部Rが第4側面S4を覆う領域以外の領域に存在する第1の乗り上げ開始部であったが、これに限られず、第1の乗り上げ開始部は少なくとも1つ存在すればよい。以下、乗り上げ開始部Rのうち、第4側面S4を覆う領域以外の領域に存在する第1の乗り上げ開始部については、「R」と区別するため、「R1」の参照符号を付すことにする。
【0061】
つまり、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rは、第4側面S4を覆う領域以外の領域に存在する第1の乗り上げ開始部R1を含んでいればよい。この場合、すべての乗り上げ開始部Rが第4側面S4を覆う領域に存在する場合に比べて浮遊容量を低減することができる。
【0062】
浮遊容量低減の観点からは、乗り上げ開始部Rのうち、第1の乗り上げ開始部R1が多ければ多いほど浮遊容量を低減でき、上記の巻線型コイル部品1のようにすべての乗り上げ開始部Rが第1の乗り上げ開始部R1である場合は、Q値をさらに高めることができる。
【0063】
浮遊容量低減とは異なる観点からは、第1乗り上げ開始部R1は第1側面S1を覆う領域に存在することが好ましい。具体的には、この場合、浮遊容量は低減しつつも同じ下層側のターン数に対して、実質的な上層側のターン数を増やすことができ、巻芯部の長さに対するターン数を増やすことができる。
【0064】
以上の説明では、巻芯部2は、4つの側面S1〜S4を有する四角柱形状であったが、四角柱形状以外の角柱形状、または、円柱形状もしくは楕円柱形状であってもよい。
【0065】
角柱形状を一般化してn角柱(nは3以上の自然数)形状と表現した場合、この発明の特徴的構成は次のように規定することができる。すなわち、巻芯部が与えるn角柱形状が有するn個の側面につき、実装基板側に向く側面を第1側面と名付け、第1側面に対してワイヤの巻回方向に連なる他の複数の側面を、順次、第2側面、…、第n側面と名付けたとき、ワイヤの乗り上げ開始部は、第1側面および第n側面を覆う領域以外の領域、すなわち、第2側面から第n−1側面までを覆う領域に存在する第1の乗り上げ開始部を含むことが特徴的構成となる。
【0066】
また、この発明の特徴的構成は、図3に示す角度をもって規定することもできる。すなわち、巻芯部2の周面の周方向での位置を、第1および第2の鍔部4および5間を連結する方向に延びる中心軸線10を中心として測定した角度であって、ワイヤ8の始端8aが第1の端子電極6に接続された位置を起点(0°)としてワイヤ8の巻回方向11に測定した角度で表わしたとき、ワイヤの乗り上げ開始部Rは、巻芯部の周面の0°以上かつ45°以下の範囲、225°以上かつ315°以下の範囲および315°以上かつ360°以下の範囲にある領域以外の領域、すなわち、45°以上かつ225°以下の範囲にある領域に存在する第1の乗り上げ開始部を含むことが特徴的構成となる。
【0067】
上述した角度による規定内容は、巻芯部2が断面正方形の正四角柱形状である場合において、乗り上げ開始部R1を、第1側面S1および第4側面S4を覆う領域以外の領域、すなわち、第2側面から第3側面までを覆う領域に存在させることと一致する。しかしながら、図示した実施形態のように、巻芯部2の断面が正方形ではない場合にも、上述した角度による規定内容が近似的に当てはまる。
【0068】
また、上述した角度による規定内容は、巻芯部2が、周面に平面部分を有するn角柱形状である場合に限らず、円柱形状や楕円柱形状のように、周面に平面部分を有しない形状である場合にも適用されることができる。
【0069】
また、以上説明した実施形態では、図5によく示されているように、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rは、巻芯部2のたとえば第2側面S2というように、第1側面および第4側面以外の四角柱形状が有する1つの側面を覆う領域の範囲内に存在していた。また、巻芯部2がn角柱形状であると一般化された場合には、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rは、第1側面および第n側面以外のn角柱形状が有する1つの側面を覆う領域の範囲内に存在するということになる。この構成によれば、ワイヤの安定な巻回状態を得ることができる。
【0070】
しかしながら、巻芯部2がn角柱形状であると一般化された場合において、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rは、第2側面から第n−1側面までの間であって、隣り合う側面間に位置する稜線部分に対向する位置に存在していてもよい。この構成の一具体例を、図8を参照して説明する。
【0071】
図8は、図5に対応する図であって、この発明の第2の実施形態による巻線型コイル部品1aを示している。図8において、図5に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0072】
図8に示すように、ワイヤ8の乗り上げ開始部Rは、隣り合う第2側面S2と第3側面S3との間に位置する稜線部分13に対向する位置に存在している。その他の構成は、前述した第1の実施形態の場合と同様であるので、これ以上の説明は省略する。
【0073】
図9は、図2に対応する図であって、この発明の第3の実施形態による巻線型コイル部品1bを模式的に示している。図9において、図2に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
図9に示す実施形態では、ワイヤ8が形成する複数層部分9dは1つである。ワイヤ8は、その巻回方向での始端8aが第1の端子電極6(図1参照)に接続される。このワイヤ8の始端8aは、複数層部分9dにおける最下層である第1層の始端となる。
【0075】
複数層部分9dにおいて、まず、巻芯部2上で、ワイヤ8は、矢印A6で示すように、第1の鍔部4側から第2の鍔部5側に向かって巻回され、第1層を形成する。次いで、ワイヤ8は、矢印A7で示すように、第1層から第2層へと移行する。次いで、ワイヤ8は、矢印A6とは逆向きの矢印A8で示すように、第2の鍔部5側から第1の鍔部4側に向かって巻回され、第2層を形成する。次いで、ワイヤ8は、矢印A9で示すように、第2層から第3層へと移行する。次いで、ワイヤ8は、第3層において、1ターン未満のターン数をもって巻回された後、矢印A10で示すように、第2の鍔部5に向かって導かれ、ここで、複数層部分9dの終端となるワイヤ8の終端8bは、第2の端子電極7(図1参照)に接続される。
【0076】
図10は、図2に対応する図であって、この発明の第4の実施形態による巻線型コイル部品1cを模式的に示している。図10において、図2に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
図10に示す実施形態でも、図9に示した実施形態の場合と同様、ワイヤ8が形成する複数層部分9eは1つである。ワイヤ8は、その巻回方向での始端8aが第1の端子電極6(図1参照)に接続される。このワイヤ8の始端8aは、複数層部分9eにおける最下層である第1層の始端となる。
【0078】
複数層部分9eにおいて、まず、巻芯部2上で、ワイヤ8は、矢印A11で示すように、第1の鍔部4側から第2の鍔部5側に向かって巻回され、第1層を形成する。次いで、ワイヤ8は、矢印A11とは逆向きの矢印A12で示すように、第1層から第2層へと移行する。次いで、第2層において、1ターン未満のターン数をもって巻回された後、矢印A11とは逆向きであって、矢印A12と同方向の矢印A13で示すように、第2層から第3層へと移行する。次いで、ワイヤ8は、第3層において、矢印A11と同方向の矢印A14で示すように、第2の鍔部5に向かって巻回され、ここで、複数層部分9eの終端となるワイヤ8の終端8bは、第2の端子電極7(図1参照)に接続される。
【0079】
以上、図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他種々の変形例が可能である。
【0080】
たとえば、複数層部分におけるワイヤのターン数や層数は、必要な設計に応じて任意に変更することができる。
【0081】
また、巻芯部の軸線方向に分布する複数層部分の数は、図示した3個または1個以外の数であってもよい。
【0082】
また、ワイヤの乗り上げ開始部は、複数の複数層部分間で同じ位置になくてもよく、また、1つの複数層部分内の異なる層間で同じ位置になくてもよい。
【0083】
また、この発明に係る巻線型コイル部品に備えるワイヤは、2本以上であってもよく、たとえばコモンモードチョークコイルを構成するコイル部品にもこの発明を適用することができる。
【0084】
また、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1a,1b,1c 巻線型コイル部品
2 巻芯部
3 ドラム状コア
4,5 鍔部
6,7 端子電極
8 ワイヤ
8a 始端
8b 終端
9a,9b,9c,9d,9e 複数層部分
10 中心軸線
11 巻回方向
13 稜線部分
R 乗り上げ開始部
S1 第1側面
S2 第2側面
S3 第3側面
S4 第4側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10