(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、上述した移動体では、周囲に人がいない場合であっても、ビームを発光し続けるため、エネルギを無駄に消費し、発光部の寿命にも悪影響を及ぼす。
【0004】
本発明は、障害物の検知範囲に可視光を発光するものにおいて、発光部の省エネルギ化または長寿命化を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の移動体は、
前記移動体を基準とした第1領域内の障害物の検知と該第1領域よりも外側の第2領域内の障害物の検知とが可能な検知手段と、
可視光を発光する発光手段と、
前記検知手段により前記第2領域内で障害物が検知された場合に、前記第1領域に可視光が発光されるよう前記発光手段を制御し、前記検知手段により前記第2領域内で障害物が検知されなかった場合に、前記第1領域に可視光が発光されないよう前記発光手段を制御する発光制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この移動体では、移動体を基準として第1領域よりも外側に障害物を検知可能な第2領域を設けると共に、第1領域に発光可能な発光手段を設け、第2領域内で障害物が検知された場合に、第1領域に可視光が発光されるよう発光手段を制御し、第2領域内で障害物が検知されなかった場合に、第1領域に可視光が発光されないよう発光手段を制御する。これにより、第1領域の存在を作業者に認識させることができる。また、常時第1領域に可視光を発光する必要がないため、発光手段の省エネルギ化または長寿命化を図ることができる。
【0008】
こうした本発明の移動体において、前記検知手段により前記第1領域内で障害物が検知された場合に、移動を停止する移動停止手段を備えるものとすることもできる。
【0009】
また、本発明の移動体において、前記検知手段は、前記移動体の進行方向が変更されている間、該進行方向の変更に合わせて少なくとも前記第1領域を変更可能であるものとすることもできる。こうすれば、移動体の進行方向が変更されている間も、障害物の有無を適切に監視することができる。この態様の本発明の移動体において、前記移動体は、予め定められた移動ルートに沿って移動可能であり、前記発光制御手段は、前記移動体の進行方向が変更される前に、少なくとも変更後の前記第1領域となる領域に発光可能であるものとすることもできる。こうすれば、移動体の進行方向が変更されることを、周囲の人が事前に認識できるようになる。この場合、前記発光制御手段は、前記移動体の進行方向が変更される前に、変更後の前記第1領域となる領域と変更前の前記第1領域とに発光可能であるものとすることもできる。
【0010】
さらに、本発明の移動体において、前記移動体は、部品供給装置から供給される電子部品を基板に実装する電子部品実装機に、当該部品供給装置を搬送する搬送装置であるものとすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明する。
【0013】
図1は部品実装システム1の構成の概略を示す構成図であり、
図2は部品実装機10の構成の概略を示す構成図であり、
図3は部品実装機10と無人搬送車100の外観を示す外観斜視図である。
【0014】
部品実装システム1は、
図1に示すように、回路基板(以下、基板という)Sを搬送する基板搬送装置4A,4Bと、搬送された基板Sに半田を印刷して基板S上に配線パターンを形成する印刷機6や印刷機6によって基板Sに形成された配線パターン上に電子部品(以下、部品という)Pを実装する部品実装機10等の対基板作業機と、対基板作業機での作業に必要な部材を保管する保管庫2と、対基板作業機と保管庫2との間で部材の補給と使用済み部材の回収とを自動で行う補給装置としての無人搬送車100と、を備える。
【0015】
対基板作業機としての印刷機6と部品実装機10は、基板搬送方向(X軸方向)に沿って配置されて1の部品実装ラインを構成している。本実施例の部品実装システム1は、
図1に示すように、基板搬送方向に直交する方向(Y軸方向)に所定距離隔てた2列の部品実装ラインによって構成されている。また、部品実装システム1は、2列の部品実装ライン1に沿った2つの直線区間と両直線区間を結ぶ円弧区間とを有するU字状の走行ラインLが設定されている。無人搬送車100は、走行ラインLに沿って走行可能となっている。なお、本実施例では、無人搬送車100の走行ラインLとしてU字状のラインを設定したが、如何なる走行ラインを設定してもよいことは勿論である。
【0016】
部品実装機10は、
図3に示すように、基台11と、基台11に支持された本体枠12とを備える。また、部品実装機10は、
図2および
図3に示すように、本体枠12内に、部品Pを供給する部品供給装置20と、基板搬送装置4A,4Bから搬送されてきた基板Sを裏面側からバックアップするバックアップ装置22A,22Bと、部品供給装置20から供給された部品Pを吸着ノズルでピックアップ(吸着)して基板S上へ実装するためのヘッド30と、ヘッド30をXY方向へ移動させるXYロボット40等を備える。また、部品実装機10は、この他に、ヘッド30に設けられ基板Sに付された基準マークを上方から撮像可能なマークカメラ26や支持台14に設置され吸着ノズルに吸着された部品Pを下方から撮像可能なパーツカメラ28も備えており、撮像した画像を処理して撮像対象物の位置を認識することで、部品Pを基板S上に実装する際の実装位置の補正を行う。
【0017】
部品供給装置20は、例えば、部品Pが収容されたキャビティが所定間隔毎に形成されたテープを、モータにより回転駆動されるスプロケットによって間欠的に送り出すことで、部品を吸着位置へ供給可能なテープフィーダ21を備える。テープフィーダ21は、本体枠12の前面部に形成されたフィーダ保持台16に対して着脱可能に設けられている。
【0018】
XYロボット40は、
図2または
図3に示すように、基台11上に支持された支持枠12の上段にY軸方向に沿って設けられたY軸ガイドレール43と、Y軸ガイドレール43に沿って移動が可能なY軸スライダ44と、Y軸スライダ44の下面にX軸方向に沿って設けられたX軸ガイドレール41と、X軸ガイドレール41に沿って移動が可能なX軸スライダ42とを備える。X軸スライダ42にはヘッド30が設けられている。部品実装機10は、XYロボット40を駆動することで、XY平面上の任意の位置にヘッド30(吸着ノズル)を移動させることが可能である。
【0019】
ヘッド30は、図示しないが、吸着ノズルをZ軸方向に移動可能なZ軸アクチュエータや、吸着ノズルを回転可能なθ軸アクチュエータ等を備える。吸着ノズルは、図示しない真空ポンプからの負圧によって、部品Pを吸着する。
【0020】
こうして構成された部品実装機10は、基板搬送装置4A,4Bにより基板Sが搬送されると、搬送された基板Sを各バックアップ装置22A,22Bでバックアップし、部品供給装置20(テープフィーダ21)に部品Pを供給させる。続いて、部品実装機10は、供給された部品Pの真上に吸着ノズルが来るようにX軸スライダ42およびY軸スライダ44を移動させて、吸着ノズルを下降させ、吸着ノズルの吸引口に負圧を作用させることにより、吸着ノズルに部品を吸着させる。こうして部品Pを吸着ノズルに吸着させると、部品実装機10は、吸着ノズルを上昇させ、吸着させた部品Pが基板Sの実装位置の真上に来るよう各スライダ42,44を移動させる。そして、部品実装機10は、部品Pが基板Sの実装位置に押し当てられるまで吸着ノズルを下降させ、吸着ノズルの吸引口に正圧を作用させることにより、吸着ノズルによる部品の吸着を解除する。こうした動作を繰り返すことにより、部品実装機10は、各部品を基板S上に実装していく。
【0021】
次に、無人搬送車100について説明する。
図4は、無人搬送車100の監視領域を示す説明図であり、
図5は、無人搬送車100の制御装置120の構成の概略を示すブロック図である。
【0022】
無人搬送車100は、本実施例では、部品実装機10にテープフィーダ21を補給すると共に使用済みのテープフィーダ21を回収するテープフィーダ補給装置として構成されている。この無人搬送車100は、車輪101に走行用モータ104(
図5参照)が連結された走行台102(
図3参照)と、走行台102上に搭載された補給ユニット106(
図3参照)と、車両全体をコントロールする制御装置120(
図5参照)と、を備える。また、無人搬送車100は、
図3に示すように、車両進行方向前方に障害物が存在するか否かを監視するための監視部110と、監視部110の監視領域を切り替えるための切替部112と、車両進行方向前方を照らすための発光部114と、が設けられている。
【0023】
無人搬送車100は、走行ラインLを予め記憶し、走行ラインL上で走行距離や走行姿勢を計測して自己位置を推定しながら走行用モータ104を駆動制御することにより自動走行する。なお、無人搬送車100は、例えば、電磁誘導方式や光学誘導方式,レーザ誘導式等の周知の誘導方式によって誘導されるものとしてもよい。
【0024】
補給ユニット106は、テープフィーダ21をX軸方向に並んだ状態で複数収容可能である。この補給ユニット106は、ユニット内に収容されているテープフィーダ21を把持してY軸方向に送り出すことによりテープフィーダ21を部品実装機10のフィーダ支持台16の空きスロットに装着可能で、フィーダ支持台16に装着されている使用済みのテープフィーダ21をY軸方向に引き出してユニット内に回収する図示しないフィーダ送り機構を備える。
【0025】
監視部110は、例えば、監視領域にレーザを照射してレーザが返ってくるまでの時間を計測することで、障害物(オペレータ等)の検知と障害物までの距離とを計測するレーザスキャナとして構成されている。監視部110は、
図4に示すように、監視部110からの距離が第1距離までの障害物を監視する第1監視領域と、監視部110からの距離が第1距離から第2距離までの障害物を監視する第2監視領域と、を有する。第1監視領域は、障害物が検知されると、無人搬送車100の走行を停止させる停止領域であり、第2監視領域は、障害物が検知されると、所定の警告を発する警告領域である。
【0026】
切替部112は、監視部110を左右に移動可能な移動機構として構成されている。切替部112は、監視部110を右に移動させることで、監視領域(第1監視領域,第2監視領域)を車両進行方向右側に切り替えることができ、監視部110を左に移動させることで、監視領域を(第1監視領域,第2監視領域)を車両進行方向左側に切り替えることができる。
【0027】
発光部114は、例えば、可視光領域の光を増幅して放射する半導体レーザ装置として構成されており、
図3に示すように、車両進行方向右部を照らす右発光部114Rと、車両進行方向中央部を照らす中央発光部114Mと、車両進行方向左部を照らす左発光部114Lと、を備える。
【0028】
制御装置120は、CPU121を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU121の他に、ROM122やRAM123,入出力インタフェース124等を備える。これらは、バス125を介して互いに電気的に接続されている。制御装置120には、監視部110からの検知信号等が入出力インタフェース124を介して入力されている。また、制御装置120からは、中央発光部114M,右発光部114R,左発光部114Lへの各駆動信号や補給ユニット106への駆動信号、走行モータ104への駆動信号等が入出力インタフェース124を介して出力されている。
【0029】
こうして構成された無人搬送車100の動作、特に、監視処理と監視領域切替処理と発光制御処理と発光切替処理とを説明する。
図6は、制御装置120のCPU121により実行される監視処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0030】
図6の監視処理が実行されると、制御装置120のCPU121は、まず、監視部110により障害物が検知されたか否かを判定する(S100)。CPU121は、障害物が検知されたと判定すると、障害物が第1監視領域内にあるか否かを判定する(S102)。CPU121は、障害物が第1監視領域内にあると判定すると、走行中であるか否かを判定し(S104)、走行中であれば、非常停止して(S106)、監視処理を終了し、走行中でなければ(停止中であれば)、非常停止の状態を維持したまま監視処理を終了する。一方、CPU121は、S100で障害物が検知されなかったと判定したり、S102で障害物が第1監視領域でなく第2監視領域内であると判定すると、非常停止中であるか否かを判定し(S108)、非常停止中であると判定すると、所定時間(例えば、2秒間)が経過したか否かを判定する(S110)。即ち、CPU121は、第1監視領域内で障害物を検知して非常停止を行った後、第1監視領域内で障害物が検知されなくなってから所定時間が経過したか否かを判定する。CPU121は、所定時間が経過したと判定すると、走行を再開して(S112)、監視処理を終了する。なお、CPU121は、S108で非常停止中でないと判定したり、非常停止中であってもS110で所定時間が経過していないと判定すると、そのまま監視処理を終了する。
【0031】
次に、監視領域切替処理について説明する。
図7は、制御装置120のCPU121により実行される監視領域切替処理の一例を示すフローチャートである。
図7の監視領域切替処理が実行されると、CPU121は、無人搬送車100が右折中であるか否か(S120)、左折中であるか否か(S122)、をそれぞれ判定する。S120,S122の処理は、例えば、走行ラインL上の現在位置が円弧区間内であるか否かを判定することにより行うことができる。CPU121は、右折中であると判定すると、監視部110を右に移動させ(S124)、左折中であると判定すると、監視部110を左に移動させ(S126)、右折中でも左折中でもない、即ち直進中であると判定すると、監視部110を中央に移動させて(S128)、監視領域切替処理を終了する。
【0032】
図8は、無人搬送車100の進行方向を変更する際に監視領域を切り替える様子を示す説明図である。図示するように、無人搬送車100は、右折時には、切替部112により監視部110を右部に移動させることで、第1監視領域および第2監視領域を進行方向右部に切り替え、左折時には、切替部112により監視部110を左部に移動させることで、第1監視領域および第2監視領域を進行方向左部に切り替える。
【0033】
次に、発光制御処理について説明する。
図9は、制御装置120のCPU121により実行される発光制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9の発光制御処理が実行されると、CPU121は、まず、監視部110により障害物が検知されたか否かを判定する(S200)。CPU121は、障害物が検知されたと判定すると、障害物が第2監視領域内にあるか否かを判定する(S202)。CPU121は、障害物が第2監視領域内にあると判定すると、発光部114を発光中であるか否かを判定し(S204)、発光中でなければ、発光を開始して(S206)、発光制御処理を終了し、発光中であれば、発光中の状態を維持したまま発光制御処理を終了する。ここで、発光部114は、本実施例では、左発光部114Lと中央発光部114Mと右発光部114Rとがあり、後述する発光切替処理によって発光の切り替えが行われる。一方、CPU121は、S200で障害物が検知されなかったと判定したり、S202で障害物が第2監視領域でなく第1監視領域内であると判定すると、発光中であるか否かを判定し(S208)、発光中であると判定すると、所定時間(例えば、5秒間)が経過したか否かを判定する(S210)。即ち、CPU121は、第2監視領域内で障害物を検知して発光部114の発光を開始した後、第2監視領域内で障害物が検知されなくなってから所定時間が経過したか否かを判定する。CPU121は、所定時間が経過したと判定すると、発光を停止して(S212)、発光制御処理を終了する。本実施例では、第2監視領域内で障害物を検知して発光部114の発光を開始した後、障害物が第1監視領域内に侵入することとなっても、第2監視領域内で障害物が検知されなくなってから所定時間が経過すると、発光を停止するものとしたが(走行は停止)、第1監視領域内および第2監視領域内のいずれからも障害物が検知されなくなってから所定時間が経過したときに、発光を停止するものとしてもよい。なお、CPU121は、S208で発光中でないと判定したり、発光中であってもS210で所定時間が経過していないと判定すると、そのまま発光制御処理を終了する。
【0034】
図10は、障害物検知時における無人搬送車100の発光の様子を示す説明図である。無人搬送車100は、通常、発光部114の発光を停止させた状態で走行し(
図10(a)参照)、走行中に監視部110が第2監視領域内で障害物を検知すると、発光部114の発光を開始して、第1監視領域を照らす(
図10(b)参照)。前述したように、第1監視領域は障害物を検知すると、無人搬送車100が非常停止する停止領域として定めているから、オペレータは、無人搬送車100の第2監視領域に侵入した後、どこまで無人搬送車100が近づくと、無人搬送車100が非常停止するかを認識することができる。このように、無人搬送車100は、発光部114を必要な場合に限って発光することで、省エネルギ化と長寿命化とを図っているのである。
【0035】
次に、発光切替処理について説明する。
図11は、制御装置120のCPU121により実行される発光切替処理の一例を示すフローチャートである。
図11の発光切替処理が実行されると、CPU121は、まず、発光部114としての左発光部114L,中央発光部114M,右発光部114Rのいずれかが発光中であるか否かを判定する(S220)。CPU121は、左発光部114L,中央発光部114M,右発光部114Rのいずれも発光中でないと判定すると、そのまま発光切替処理を終了する。一方、CPU121は、左発光部114L,中央発光部114M,右発光部114Rのいずれかが発光中であると判定すると、無人搬送車100の現在の走行状態を判定し(S222)、判定の結果、右折0秒〜T秒(例えば、3秒)前であるか否か(S224)、右折中であるか否か(S226)、左折0秒〜T秒前であるか否か(S228)、左折中であるか否か(S230)、をそれぞれ判定する。ここで、S222の処理は、例えば、走行ラインL上の現在位置が円弧区間内であるか否か、円弧区間手前の所定距離以内にあるか否かを判定することにより行うことができる。CPU121は、右折0秒〜T秒前であると判定すると、中央発光部114Mと右発光部114Rとを発光し(S232)、右折中であると判定すると、右発光部114Rのみを発光し(S234)、左折0秒〜T秒前であると判定すると、中央発光部114Mと左発光部114Lとを発光し(S236)、左折中であると判定すると、左発光部114Lのみを発光し(S238)、右折0秒〜T秒前,右折中,左折0秒〜T秒前,左折中の何れでもないと判定すると、中央発光部114Mのみを発光して(S240)、発光切替処理を終了する。
【0036】
図12は、無人搬送車100が進行方向を変更する前に発光領域を切り替える様子を示す説明図である。無人搬送車100は、中央発光部114Mの発光により現在の第1監視領域を照らしている最中に、右折T秒(3秒)前となると、中央発光部114Mに加えて右発光部114Rも発光させて、現在(直進中)の第1監視領域と変更後(右折中)に第1監視領域となる領域の双方を照らす(
図12(a)参照)。また、無人搬送車100は、中央発光部114Mの発光により現在の第1監視領域を照らしている最中に、左折T秒(3秒)前となると、中央発光部114Mに加えて左発光部114Lも発光させて、現在(直進中)の第1監視領域と変更後(左折中)に第1監視領域となる領域の双方を照らす(
図12(b)参照)。これにより、オペレータは、無人搬送車100の右折や左折を事前に知ることができるため、無人搬送車100の第1監視領域内に侵入して、無人搬送車100が非常停止するのを抑制することができる。
【0037】
以上説明した実施例の無人搬送車100によれば、障害物を検知する監視領域として、第1監視領域と、第1監視領域よりも離れた障害物を検知可能な第2監視領域とを有する監視部110と、第1監視領域に発光する発光部114とを備え、第1監視領域内で障害物を検知すると、車両を非常停止させる。また、無人搬送車100は、通常は発光部114の発光を停止し、第2監視領域内で障害物を検知すると、発光部114を発光させる。これにより、オペレータは、第2監視領域内に侵入したときに、あとどれだけ無人搬送車100に近づくと、非常停止するのかを認識することができる。また、発光部114は、必要な場合に限って発光されるため、省エネルギ化と長寿命化とを図ることができる。また、無人搬送車100は、右折中には監視領域(第1監視領域,第2監視領域)と発光部114の発光とを進行方向右部に切り替え、左折中には監視領域(第1監視領域,第2監視領域)と発光部114の発光とを進行方向左部に切り替えるため、進行方向を変更している間も適切に障害物を検知すると共に第1監視領域を照らすことができる。さらに、無人搬送車100は、右折0秒〜T秒前には、現在(直進中)の第1監視領域と変更後(右折中)の第1監視領域となる領域の双方に照らし、左折0秒〜T秒前には、現在(直進中)の第1監視領域と変更後(左折中)の第1監視領域となる領域の双方に照らす。これにより、オペレータは、無人搬送車100の右折や左折を事前に知ることができるため、無人搬送車100の第1監視領域内に侵入して、無人搬送車100が非常停止するのを効果的に抑制することができる。
【0038】
実施例の無人搬送車100では、第1監視領域内の障害物の検知と第2監視領域内の障害物の検知とを、1つの監視部110(センサ)を用いて行うものとしたが、それぞれ別々の監視部(センサ)を用いて行うものとしてもよい。
【0039】
実施例の無人搬送車100では、進行方向の変更に伴って監視領域(第1監視領域,第2監視領域)を切り替えるものとしたが、監視領域を切り替えないものとしてもよい。また、進行方向を変更しない無人搬送車に適用するものとしてもよい。
【0040】
実施例の無人搬送車100では、切替部112による監視領域の左右の切り替えや発光部114(左発光部114L,右発光部114R)による発光領域の左右の切り替えを可能に構成するものとしたが、右折のみを行う無人搬送車では、監視領域の左部への切り替えや発光領域の左部への切り替えを不能に構成するものとしてもよく、左折のみを行う無人搬送車では、監視領域の右部への切り替えや発光領域の右部への切り替えを不能に構成するものとしてもよい。
【0041】
実施例の無人搬送車100では、右折0秒〜T秒前には、現在(直進中)の第1監視領域と変更後(右折中)の第1監視領域となる領域の双方を照らすものとし、左折0秒〜T秒前には、現在(直進中)の第1監視領域と変更後(左折中)の第1監視領域となる領域の双方を照らすものとしたが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の領域のみ、例えば、変更後の第1監視領域となる領域のみを照らすものとしてもよい。
【0042】
実施例の無人搬送車100では、発光部114として、3つの発光部114L,114M,114Rを設けるものとしたが、これに限定されるものではなく、1つの発光部を用いるものとし、監視領域の切り替えに合わせて発光方向を変更するものとしてもよい。また、実施例では、発光部114として、半導体レーザを用いるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、LED等、第1監視領域を照らすことができ且つ点灯と消灯とを切り替えることができるものであれば、如何なる光源を用いるものとしてもよい。
【0043】
実施例の無人搬送車100では、第2監視領域内で障害物が検知されない場合には発光部114を発光させず、第2監視領域内で障害物が検知された場合には発光部114を発光させるものとしたが、進行方向を変更している間や進行方向の変更前所定時間以内のときには、第2監視領域内で障害物が検知されたか否かに拘わらず発光部114を発光させるものとしてもよい。この場合、進行方向を変更している間や進行方向の変更前所定時間以内のときには、第2監視領域内での障害物の検知を行わないものとしてもよい。
【0044】
実施例では、無人搬送車100をテープフィーダ補給装置として構成するものとしたが、これに限定されるものではなく、トレイにより部品を供給するトレイフィーダを装着可能な部品実装機に対してトレイフィーダの補給と回収とが可能なトレイフィーダ補給装置として構成したり、テープから部品を取り出した後の廃テープを収容する廃テープボックスを基台11内に備える部品実装機10に対してはその廃テープを回収する廃テープ回収装置として構成したりする等、如何なる対基板作業機の部材の補給や回収に用いるものとしてもよい。また、対基板作業機の部材の補給や回収以外の用途にも適用することも可能である。
【0045】
ここで、本実施例の主要な要素と発明の開示の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、無人搬送車100が「移動体」に相当し、監視部110(レーザスキャナ)や切替部112が「検知手段」に相当し、発光部114(左発光部114L,中央発光部114M,右発光部114R)が「発光手段」に相当し、
図9の発光制御処理や
図11の発光切替処理を実行する制御装置120のCPU121が「発光制御手段」に相当する。また、
図6の監視処理を実行する制御装置120のCPU121が「移動停止手段」に相当する。
【0046】
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。