(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6780904
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】霜検出器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20201026BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20201026BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
G01N27/00 G
F25B47/02 570E
G01N27/22 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-63881(P2017-63881)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-165704(P2018-165704A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】角川 修
(72)【発明者】
【氏名】藤田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】萩原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】和賀 聡
【審査官】
吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−146410(JP,A)
【文献】
特開平01−009352(JP,A)
【文献】
特開平01−023149(JP,A)
【文献】
特開昭59−083044(JP,A)
【文献】
特開平10−197135(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0235679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−10
14−24
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース部材と、
該ベース部材の一面側に設けられ霜の付着状態によって電気特性が変化するセンサ部と、を備えた霜検出器において、
前記ベース部材よりも熱伝導率の高い平板部を有する金属部材を具備し、前記ベース部材の他面が前記平板部に固定されていることを特徴とする霜検出器。
【請求項2】
前記金属部材がアルミニウムを主成分とする材質からなることを特徴とする請求項1に記載の霜検出器。
【請求項3】
前記センサ部に対応した部分における前記ベース部材の他面が前記金属部材の平板部に固定されており、前記金属部材の前記平板部の面積が前記センサ部が設けられた領域の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の霜検出器。
【請求項4】
前記金属部材は、前記平板部の一端部に折り曲げて設けられた屈曲部と、該屈曲部に繋がり前記平板部と対向する対向部と、を備えたクリップ状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の霜検出器。
【請求項5】
前記センサ部は、互いに離間した一対の櫛歯状の電極部を有しており、
前記電極部が絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の霜検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫や冷凍庫に使用される熱交換器等に付着する霜の量を検出するのに用いることができる霜検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷蔵庫や冷凍庫等に使用される熱交換器(冷却器)において、水蒸気が冷却され霜となって熱交換器に付着し、この霜が付着することにより、熱交換器の効率が落ちてしまうという課題があった。
【0003】
この課題を解消するために、種々の除霜方法が提案されてきた。例えば、熱交換器の近傍にヒータを備え、タイマーを用いて適当な時間間隔でヒータを駆動し、熱交換器を加熱することにより、除霜を行う方法があった。しかし、この方法では、除霜を確実に行うために、霜の有無や量に関係なく、ヒータの駆動時間の間隔を短くして行わなければいけなかった。このため、無駄な電力の消費が行われるという課題があった。一方、この課題を解決するために、熱交換器に発生した霜の量をセンサによって検知し、霜が発生した時にヒータを駆動して、除霜することが提案されている。これにより、ヒータの駆動時間を短くすることができ、熱交換器が使用される冷蔵庫や冷凍庫等の省エネルギー化が図れることとなる。
【0004】
このような霜の発生を検出する装置として、特許文献1では、冷蔵庫または冷凍庫等における熱交換器(冷却器RP)の着霜状態を監視して霜取りを的確に行うために利用される着霜状態検出装置901が提案されている。
図5は、従来例の着霜状態検出装置901を説明する図であって、
図5(a)は、着霜状態検出装置901の構成を示す図であり、
図5(b)は、着霜センサ913の外形を示す正面図である。
【0005】
図5(a)に示す着霜状態検出装置901は、冷却器RPの表面に取り付けられる着霜センサ913と、着霜センサ913に交流信号を印加する駆動部911と、着霜センサ913の出力電圧の大きさに応じて2値化を行って着霜状態であるか否かを判断する判定部912と、を備えて構成されている。また、
図5(b)に示す着霜センサ913は、基板921の表面上に、くし歯状パターンで互いに対向するように配設された第1のパターン電極922及び第2のパターン電極923を有して構成されている。
【0006】
このように構成された着霜状態検出装置901は、霜が第1のパターン電極922と第2のパターン電極923との間に付着すると、第1のパターン電極922と第2のパターン電極923との間における抵抗値が増大しかつ静電容量が減少するようになる。この抵抗値及び静電容量の変化で交流信号に基づく出力電圧が増大し、出力電圧が閾値よりも大きくなった時に、着霜状態検出装置901は、着霜状態であると判定している。そして、着霜状態検出装置901の判定部912が着霜状態であることを示す検出信号を出力し、この検出信号に基づいて、冷却器RPの除霜ヒータに電流を流して除霜動作を行わせている。その後、除霜ヒータの駆動によって冷却器RPの霜が溶解して水滴になると、着霜センサ913における出力電圧が低下し、出力電圧の大きさが閾値以下になると、判定部912が着霜状態でないことを示す検出信号を出力し、冷却器RPの除霜ヒータへの電流の供給が停止される。このようにして、従来例の着霜状態検出装置901は、着霜センサ913で着霜状態を検出でき、冷却器RPの除霜ヒータのON/OFFを制御できる旨の記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−233619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来例のような着霜センサ913を用いて着霜状態を検出する方法では、冷却器RPに接近しまたは接触した状態で、ネジや接着剤などを用いて、直接またはスペーサを介して取り付けられているので、その取り付けられ方によって、冷却器RPからの熱の伝わり方が異なることとなる。つまり、冷却パイプ等の冷却器RPは図示されているように表面が曲面形状をしているため、着霜センサ913の取り付けられ方によって、基板921と冷却器RPとの接触状態(接触面積)が異なり、この接触状態の違いによって、基板921に設けられたセンサ部分である櫛歯パターン(第1のパターン電極922及び第2のパターン電極923)の冷却のされ方(温度)が異なることになる。このため、センサ部分の着霜状態と冷却器RPの着霜状態とが異なり、着霜センサ913から得られる出力(検出信号)が、冷却器RPの着霜状態を必ずしも反映していないという課題があった。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するもので、冷却器への取り付けられ方によって着霜状態の検出に影響を受け難い霜検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明の霜検出器は、板状のベース部材と、該ベース部材の一面側に設けられ霜の付着状態によって電気特性が変化するセンサ部と、を備えた霜検出器において、前記ベース部材よりも熱伝導率の高い平板部を有する金属部材を具備し、前記ベース部材の他面が前記平板部に固定されていることを特徴としている。
【0011】
これによれば、本発明の霜検出器は、ベース部材と金属部材とが対向する面積のバラツキが抑制され、この霜検出器が冷却器の被着霜部に装着された際に、ベース部材の冷やされ方と金属部材の冷やされ方とが同程度となる。このため、ベース部材の一面に設けられたセンサ部の温度を、霜検出器が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができ、センサ部の着霜状態と冷却器の着霜状態とが同等となる。このことにより、冷却器への取り付けられ方によって、着霜状態の検出(検出信号)が、影響を受け難いものとすることができる。
【0012】
また、本発明の霜検出器は、前記金属部材がアルミニウムを主成分とする材質からなることを特徴としている。
【0013】
これによれば、熱伝導率が高く、冷蔵庫の熱交換器(冷却器)等のフィン(被着霜部)に用いられる材質と同じであるので、被着霜部の冷やされ方と金属部材の冷やされ方との差が小さくなる。このことにより、センサ部の温度を冷却器の被着霜部の温度に近づけることができ、センサ部に被着霜部と同様な霜を確実につけることができる。
【0014】
また、本発明の霜検出器は、前記センサ部に対応した部分における前記ベース部材の他面が前記金属部材の平板部に固定されており、前記金属部材の前記平板部の面積が前記センサ部が設けられた領域の面積よりも大きいことを特徴としている。
【0015】
これによれば、センサ部に対応した部分全体のベース部材を金属部材に固定することができる。このため、よりセンサ部の温度を霜検出器が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができる。このことにより、センサ部への着霜状態で、霜検出器が配設される被着霜部の着霜状態を確実に検出することができる。
【0016】
また、本発明の霜検出器は、前記金属部材は、前記平板部の一端部に折り曲げて設けられた屈曲部と、該屈曲部に繋がり前記平板部と対向する対向部と、を備えたクリップ状に形成されていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、このクリップ形状を利用して、フィン等の冷却器の被着霜部への取り付けが容易となる。
【0018】
また、本発明の霜検出器は、前記センサ部は、互いに離間した一対の櫛歯状の電極部を有しており、前記電極部が絶縁膜で覆われていることを特徴としている。
【0019】
これによれば、霜が直接、電極部に付着することを防止することができる。このことにより、一対の櫛歯状のパターンの腐食等を防止することができ、電極部の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の霜検出器は、ベース部材と金属部材とが対向する面積のバラツキが抑制され、この霜検出器が冷却器の被着霜部に装着された際に、ベース部材の冷やされ方と金属部材の冷やされ方とが同程度となる。このため、ベース部材の一面に設けられたセンサ部の温度を、霜検出器が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができ、センサ部の着霜状態と冷却器の着霜状態とが同等となる。このことにより、冷却器への取り付けられ方によって、着霜状態の検出(検出信号)が、影響を受け難いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態の霜検出器を説明する図であって、
図1(a)は、上方斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示すZ2側から見た下方斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の霜検出器を説明する図であって、
図2(a)は、
図1(a)に示すZ1側から見た上面図であり、
図2(b)は、
図1(b)に示すZ2側から見た底面図であり、
図2(c)は、
図1(a)に示すY1側から見た側面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の霜検出器を説明する図であって、
図3(a)は、
図1(a)に示す金属部材を省略した上方斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)をZ2側から見た底面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係わる霜検出器の金属部材を説明する図であって、
図4(a)は、
図1(b)に示すZ2側から見た下方斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)に示すZ2側から見た底面図である。
【
図5】従来例の着霜状態検出装置を説明する図であって、
図5(a)は、着霜状態検出装置の構成を示す図であり、
図5(b)は、着霜センサの外形を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の霜検出器101は、冷蔵庫や冷凍庫等に使用される熱交換器(冷却器)に取り付けられて、冷却器の着霜状態を監視して霜取りを的確に行うために利用される。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態の霜検出器101を説明する図であって、
図1(a)は、上方斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)に示すZ2側から見た下方斜視図である。
図2(a)は、
図1(a)に示すZ1側から見た上面図であり、
図2(b)は、
図1(b)に示すZ2側から見た底面図であり、
図2(c)は、
図1(a)に示すY1側から見た側面図である。
図3は、本発明の第1実施形態の霜検出器101を説明する図であって、
図3(a)は、
図1(a)に示す金属部材M5を省略した上方斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)をZ2側から見た底面図である。なお、
図3(b)では、説明を分かり易くするために、絶縁膜R3を取り除いており、絶縁膜を二点鎖線で示している。
図4は、本発明の第1実施形態に係わる霜検出器101の金属部材M5を説明する図であって、
図4(a)は、
図1(b)に示すZ2側から見た下方斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)に示すZ2側から見た底面図である。なお、
図4(b)では、説明を分かり易くするために、ベース部材1とセンサ部3と検出回路16を二点鎖線で示している。
【0025】
本発明の第1実施形態の霜検出器101は、
図1及び
図2に示すように、板状のベース部材1と、ベース部材1の一面1a側に設けられたセンサ部3(
図1(b)を参照)と、ベース部材1の他面1zに固定された金属部材M5と、を備えて構成されている。また、センサ部3には、
図3(b)に示すように、互いに離間した一対の櫛歯状の電極部13(13A、13B)を有しており、電極部13が絶縁膜R3で覆われている(
図2(b)及び
図3(b)を参照)。
【0026】
他に、第1実施形態の霜検出器101では、
図3(b)に示すように、電極部13A及び電極部13Bのそれぞれと接続された検出回路16と、検出回路16と電気的に接続された3つの端子(第1端子18、第2端子28、第3端子38)と、を有している。そして、この3つの端子と図示しない外部配線とが接続されて、センサ部3からの出力信号の取り出し等ができるようになっている。なお、3つの端子と外部配線との接続は、図示はしていないが、
図1及び
図3に示すスルーホールに外部配線のピン端子を挿入し、ベース部材1の他面1zに露出したピン端子と、他面1zに形成されたランド88と、をはんだ付けすることにより行っている。
【0027】
先ず、霜検出器101のベース部材1は、
図1ないし
図3に示すように、矩形で厚みが1(mm)前後と薄い板状をなしており、ガラス繊維入りのエポキシ樹脂を用いている。この合成樹脂は、耐熱性に優れている。なお、この合成樹脂の材質、形状に限るものでは無く、例えば、フェノール樹脂やポリイミド樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂(Bismaleimide-Triazine Resin)であっても良く、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET、Polyethylene terephthalate)のフィルム状であっても良い。また、合成樹脂に限らず、金属材料や無機材料でも良い。
【0028】
次に、霜検出器101のセンサ部3は、
図3(b)に示すように、ベース部材1の一面1a側に設けられ、互いに離間した一対の櫛歯状の電極部13(13A、13B)と、電極部13と検出回路16、及び検出回路16と3つの端子(第1端子18、第2端子28、第3端子38)とを接続している配線部33と、電極部13と配線部33の一部を覆っている絶縁膜R3と、から主に構成されている。そして、電極部13A及び電極部13Bは、検出回路16の一対の測定用端子部のそれぞれに電気的に接続され、第1端子18、第2端子28及び第3端子38のそれぞれが検出回路16の対応する端子部に電気的に接続されている。なお、検出回路16は、静電容量を電圧に変換する機能を備えたIC(集積回路)で構成されおり、第1端子18は一対の測定用端子部間の静電容量を電圧に変換した出力信号を取り出す端子(出力端子)として、第2端子28は駆動電圧を入力する端子(電源端子)として、第3端子38はグランド用の端子(グランド端子)として、用いている。
【0029】
霜検出器101では、このセンサ部3に霜が付着すると、その霜の付着状態によって、センサ部3の電気特性、すなわち静電容量値が変化するようになっている。つまり、一対の櫛歯状のパターンの間に霜が付着すると、電極部13Aと電極部13B間の静電容量が変化するので、この静電容量値を検出回路16が電圧値に変換して、電圧の変化として第1端子18へ出力している。この変化の度合いは、霜の付着量(霜の付着状態)によって、変化することとなる。この第1実施形態では、一対の櫛歯状の電極部13(13A、13B)を覆う絶縁膜R3上に付着した霜の量に応じて、電極部13Aと電極部13Bとの間の静電容量が変化するものである。なお、静電容量の変化を検知する電極として、一対の櫛歯状のパターンを好適に用いているが、これに限るものではない。但し、本発明の第1実施形態では、一対の櫛歯状のパターンを好適に用いているので、センシングする電極部13、ひいてはセンサ部3を片面の一層で形成することができる。
【0030】
センサ部3の電極部13、配線部33及び3つの端子(第1端子18、第2端子28、第3端子38)は、銅箔をパターニングしたものに、ニッケルめっきが施されているものを用いている。また、第1端子18、第2端子28及び第3端子38には、更に金めっきが施されており、耐久性及びはんだ付け性が良好となっている。なお、電極部13及び配線部33には、銅箔の替わりに、フェノール樹脂等の合成樹脂からなるバインダ樹脂中に、カーボンや銀等の導電体粒子が分散された膜を用いても良い。
【0031】
センサ部3の絶縁膜R3は、耐熱性を有したエポキシ樹脂等の合成樹脂を用いており、数ミクロン程度の厚みを有して、電極部13を覆っている。これにより、霜が直接、電極部13に付着することを防止することができる。このことにより、一対の櫛歯状のパターンの腐食等を防止することができ、電極部13の耐久性を向上させることができる。また、霜が水に変化した際に、電極部13Aと電極部13Bとの間の極端な抵抗値の低下を防止することもできる。
【0032】
次に、霜検出器101の金属部材M5は、ベース部材1よりも熱伝導率の高い材料、例えば、アルミニウムを主成分とする材質を用い、
図2(c)に示すように、ベース部材1の他面1zに接着剤で固定されている。そして、センサ部3に対応した部分におけるベース部材1の他面1zが金属部材M5の平板部15に固定されることとなる。なお、ベース材1と金属部材M5との固定は、接着剤に代えて、両面粘着テープで行っても良い。但し、接着剤や両面粘着テープの層の厚さは、極めて薄いものとして、ベース部材1と金属部材M5とを、ほぼ密着した状態とする。
【0033】
これにより、この霜検出器101が冷却器の被着霜部に装着された際に、ベース部材1の冷やされ方と金属部材M5の冷やされ方とが同程度となる。特に、アルミニウムは、熱伝導率が高く、冷蔵庫の熱交換器(冷却器)等のフィン(被着霜部)に用いられる材質と同じであるので、被着霜部の冷やされ方と金属部材M5の冷やされ方との差が小さくなる。このため、ベース部材1の一面1aに設けられたセンサ部3の温度を、霜検出器101が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができ、センサ部3の着霜状態と冷却器の着霜状態とが同等となる。このことにより、冷却器への取り付けられ方によって、着霜状態の検出(検出信号)が、影響を受け難いものとすることができる。
【0034】
更に、
図2(c)に示すように、センサ部3が設けられたベース部材1の一面1a側と反対の他面1z側に、この金属部材M5が配置されているので、着霜の状況に影響を与えることなく、金属部材M5がベース部材1と霜検出器101が配設される被着霜部との熱伝導を行うことができる。このことにより、センサ部3に被着霜部と同様な霜を確実につけることができる。
【0035】
また、金属部材M5は、
図4(a)に示すように、クリップ状に形成されており、平板状に形成された平板部15と、平板部15の一端部に連続して折り返されて形成された屈曲部35と、屈曲部35に繋がって形成され平板部15と対向する対向部55と、対向部55に平板部15から離れる方向に傾斜して延設された傾斜部75と、を備えて構成されている。そして、この平板部15には、ベース部材1の他面1zが接着剤で固定されている。この金属部材M5では、アルミニウム製の金属板に、切断加工、折り曲げ加工等を施して、容易にクリップ形状に形成することができる。
【0036】
このように、金属部材M5がクリップ状に形成されているので、このクリップ形状を利用して、フィン等の冷却器の被着霜部への取り付けが容易となる。なお、云うまでもないが、平板部15の他端部(一端部の反対側)と傾斜部75側からフィン等の板状部分を挟み込むようにして挿入することにより、断面形状がR状に形成された屈曲部35を支点として平板部15と対向部55とが離間して板状部分を挟持することとなる。そして、このクリップ形状の弾性力を利用して、フィン等の冷却器の被着霜部に確実に留めることができる。
【0037】
また、クリップ状に重ねて金属部材M5が設けられているので、金属部材M5の体積(容量)が大きくなり、熱に対する容量も大きくなっている。このため、熱をセンサ部3により伝えやすくなると云う効果も奏する。
【0038】
更に、本発明の第1実施形態では、
図4(b)に示すように、センサ部3が設けられた領域の面積よりも金属部材M5の平板部15の面積の方がより大きくなっている。これにより、センサ部3に対応した部分全体のベース部材1を金属部材M5に固定することができる。特に、配線部33や検出回路16に対応した部分のベース部材1も金属部材M5と接着剤で固定されている。このため、よりセンサ部3の温度を霜検出器101が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができる。このことにより、センサ部3への着霜状態で、霜検出器101が配設される被着霜部の着霜状態を確実に検出することができる。
【0039】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の霜検出器101における、効果について、以下に纏めて説明する。
【0040】
本発明の第1実施形態の霜検出器101は、ベース部材1の他面1zが熱伝導率の高い金属部材M5の平板部15に固定されているので、ベース部材1と金属部材M5とが対向する面積のバラツキが抑制され、この霜検出器101が冷却器の被着霜部に装着された際に、ベース部材1の冷やされ方と金属部材M5の冷やされ方とが同程度となる。このため、ベース部材1の一面1aに設けられたセンサ部3の温度を、霜検出器101が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができ、センサ部3の着霜状態と冷却器の着霜状態とが同等となる。このことにより、冷却器への取り付けられ方によって、着霜状態の検出(検出信号)が、影響を受け難いものとすることができる。
【0041】
また、金属部材M5がアルミニウムを主成分とする材質からなるので、熱伝導率が高く、冷蔵庫の熱交換器(冷却器)等のフィン(被着霜部)に用いられる材質と同じである。このため、被着霜部の冷やされ方と金属部材M5の冷やされ方との差が少なくなり、センサ部3の温度を冷却器の被着霜部の温度に近づけることができる。このことにより、センサ部3に被着霜部と同様な霜を確実につけることができる。
【0042】
また、金属部材M5の平板部15の面積がセンサ部3が設けられた領域の面積よりも大きいので、センサ部3に対応した部分全体のベース部材1を金属部材M5に固定することができる。このため、よりセンサ部3の温度を霜検出器101が装着される冷却器の被着霜部の温度に近づけることができる。このことにより、センサ部3への着霜状態で、霜検出器101が配設される被着霜部の着霜状態を確実に検出することができる。
【0043】
また、金属部材M5がクリップ状に形成されているので、このクリップ形状を利用して、フィン等の冷却器の被着霜部への取り付けが容易となる。
【0044】
また、電極部13が互いに離間した一対の櫛歯状のパターンなので、静電容量の変化を検知する電極として好適であり、しかもセンシングする電極部13、ひいてはセンサ部3を片面の一層で形成することができる。また、電極部13が絶縁膜R3で覆われているので、霜が直接、電極部13に付着することを防止することができる。このことにより、一対の櫛歯状のパターンの腐食等を防止することができ、電極部13の耐久性を向上させることができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0046】
<変形例1>
上記第1実施形態では、金属部材M5として、アルミニウムを主成分とする材質を用いたが、これに限るものではなく、例えば、金、銀、銅やタングステンを主成分とする材質を用いても良い。
【0047】
<変形例2>
上記第1実施形態では、金属部材M5をクリップ状に形成し、冷却器の被着霜部に装着し易いように構成したが、この形状に限るものではない。例えば、装着する冷却器のフィンの間隔に合わせたスリットを金属部材に設けるようにし、隣合うフィンに装着するようにしても良い。
【0048】
<変形例3>
上記第1実施形態では、センサ部3として、一対の櫛歯状のパターンを用いて静電容量の変化を検出するように構成したが、これに限るものではない。例えば、水分によって抵抗値が変化する感湿体パターンを用いても良い。具体的には、吸湿性の高いポリビニルピロリドン(PVP、Polyvinylpyrrolidone)からなるバインダ樹脂中に、導電体であるカーボン粒子が分散されて形成された膜を用いることができる。これにより、より多くの水分をバインダ樹脂中に吸収して、バインダ樹脂がより膨潤することとなり、感湿体パターンにおける水分吸収による大きな抵抗値変化が得られるようになる。このことにより、霜検出器101の感度が向上し、より容易に着霜状態を検出することができる。また、導電体としてカーボン粒子を用いているので、水分を吸収したバインダ樹脂中でも水分による悪影響を受けることがない。このことにより、感湿体パターンにおける安定した抵抗値変化を得ることができる。
【0049】
<変形例4>
上記第1実施形態に、更に発熱部を設ける構成でも良い。その際には、ベース部材1の他面1z側に形成し、ベース部材1を挟んで電極部13と対向する位置に配置されるのがより好適である。これにより、ベース部材1の厚みが1(mm)以下と非常に薄いので、電極部13(センサ部3)の近傍に発熱部が設けられることなり、電極部13(センサ部3)に発熱部からの熱を確実且つ効率的に伝えることができる。このことにより、電極部13(センサ部3)の位置に付着した霜及び水分を蒸発させることができ、測定に際し、初期状態に戻すことができる。なお、発熱体として、フェノール樹脂からなるバインダ樹脂中に銀の導電体粒子が分散された皮膜を用いることができる。
【0050】
<変形例5>
上記第1実施形態では、一対の櫛歯状のパターンの腐食等を防止するため、電極部13を絶縁膜R3で覆うように好適に構成したが、更に、配線部33や検出回路16をシリコーン樹脂等で覆うようにしても良い。これにより、霜検出器101の耐久性を向上させることができる。
【0051】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ベース部材
1a 一面
1z 他面
3 センサ部
13、13A、13B 電極部
R3 絶縁膜
M5 金属部材
15 平板部
35 屈曲部
55 対向部
101 霜検出器