【文献】
都築正則他,石灰石骨材および膨張材を使用したコンクリートにおける一軸拘束ひび割れ試験,コンクリート工学年次論文集,日本,2012年,Vol.34, No.1,pp.400-405
【文献】
中川隆夫 ほか,コンクリートの自己収縮応力試験方法に関する実験,コンクリート工学年次論文報告集,1998年,Vol. 20, No. 2,751-756
【文献】
黒岩秀介 ほか,コンクリートの乾燥収縮ひび割れ対策に関する検討,大成建設技術センター報,2009年,第42号,05-1 - 05-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
両端部に位置する平面視矩形の拘束部と、前記2つの拘束部を結ぶ方向を長さ方向としたとき、前記拘束部間に位置する前記拘束部よりも幅の狭い自由収縮部と、前記拘束部と前記自由収縮部とを連結する幅が前記自由収縮部から前記拘束部に行くにしたがって広がる連結部とを備えた平板状のコンクリート部材と、前記拘束部の幅方向外側にそれぞれ取付けられて前記長さ方向に延長する2本の拘束形鋼と、一端が前記2本の拘束形鋼のうちの一方の拘束形鋼の、前記拘束部のうちの一方の拘束部側と、他方の拘束形鋼の前記一方の拘束部側とにそれぞれ接続され、他端が前記一方の拘束部内に埋設された2本の一方側連結棒と、一端が前記2本の拘束形鋼のうちの一方の拘束形鋼の、前記拘束部のうちの他方の拘束部側と、他方の拘束形鋼の前記他方の拘束部側とにそれぞれ接続され、他端が前記他方の拘束部内に埋設された2本の他方側連結棒とを備えた一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体であって、
前記一方の拘束部側にて、前記2本の一方側連結棒間に配置され、前記他方の拘束部側にて、前記2本の他方側連結棒間に配置されて、前記コンクリート部材の中心に埋設される、前記長さ方向に延長する棒状の鋼材を備え、
前記棒状の鋼材は、
前記拘束部側に位置する両端部が前記コンクリート部材のコンクリートに定着され、
前記自由収縮部側に位置する中央部が前記コンクリート部材のコンクリートに接触しない状態で前記コンクリート部材に埋設され、
かつ、前記拘束部の一方側と他方側にて、前記2本の一方側連結棒の他端と前記2本の他方側連結棒の他端とにそれぞれ固定されていることを特徴とする一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体。
前記棒状の鋼材が、断面積が、前記コンクリート部材の中央部の断面積の2.8%〜16.1%である丸鋼であることを特徴とする請求項1に記載の一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のJIS法では、一般的なコンクリートの乾燥収縮ひずみである、600×10
-6〜800×10
-6の範囲の測定には適しているが、乾燥収縮ひずみを400×10
-6以下に低減させたコンクリートについては、乾燥収縮ひび割れの測定自体が困難であったり、測定可能な場合でも、測定期間が長くなってしまうなどの問題点があった。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、乾燥収縮ひずみが小さなコンクリートであっても、比較的短い時間で乾燥収縮ひび割れを評価することのできる一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体とその作製具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、両端部に位置する平面視矩形の拘束部と、前記2つの拘束部を結ぶ方向を長さ方向としたとき、前記拘束部間に位置する前記拘束部よりも幅の狭い自由収縮部と、前記拘束部と前記自由収縮部とを連結する幅が前記自由収縮部から前記拘束部に行くにしたがって広がる連結部とを備えた平板状のコンクリート部材と、前記拘束部の幅方向外側にそれぞれ取付けられて前記長さ方向に延長する2本の拘束形鋼と、
一端が前記2本の拘束形鋼
のうちの一方の拘束形鋼の前記拘束部のうちの一方の拘束部側と、他方の拘束形鋼の前記一方の拘束部側とにそれぞれ接続され、他端が前記
一方の拘束部内に埋設され
た2本の
一方側連結棒と
、一端が前記2本の拘束形鋼のうちの一方の拘束形鋼の、前記拘束部のうちの他方の拘束部側と、他方の拘束形鋼の前記他方の拘束部側とにそれぞれ接続され、他端が前記他方の拘束部内に埋設された2本の他方側連結棒とを備えた一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体であって、
前記一方の拘束部側にて、前記2本の一方側連結棒間に配置され、前記他方の拘束部側にて、前記2本の他方側連結棒間に配置されて、前記コンクリート部材の中心に埋設される
、前記長さ方向に延長する棒状の鋼材を備え、前記棒状の鋼材は、前記拘束部側に位置する両端部が前記コンクリート部材のコンクリートに定着され、前記自由収縮部側に位置する中央部が前記コンクリート部材のコンクリートに接触しない状態で前記コンクリート部材に埋設され、かつ、前記拘束部
の一方側と他方側にて、前記2本の
一方側連結
棒の他端と前記2本の他方側連結棒の他端とにそれぞれ固定されていることを特徴とする。
このように、コンクリート部材の中心に、棒状の鋼材を、中央部がコンクリート部材に接触しないようにして埋設するとともに、棒状の鋼材を連結棒と一体化して補強することで、コンクリート部材の拘束度を高めてひび割れを発生しやすくしたので、コンクリートの乾燥収縮ひび割れを短期間で評価することができる。また、乾燥収縮ひずみが小さなコンクリートの乾燥収縮ひび割れについても精度よく評価することができる。
また、前記棒状の鋼材を、断面積が、前記コンクリート部材の中央部の断面積の2.8%〜16.1%である丸鋼としたので、コンクリートの乾燥収縮ひび割れを効率よく評価できる。
【0007】
また、本発明は、長方形板状の底板と、底板の長辺に平行な方向である長さ方向の両端部に立設された端板と、長辺に平行な直線から成る直線部とこの直線部の両端部から直線から徐々に離れる直線もしくは曲線から成る曲り部とを備え、端板から所定距離隔てた位置に、曲り部の間隔が長さ方向端部に行くにしたがって広がるように、底板に立設される2枚の側板とを備えた型枠と、底板の側板の外側に、それぞれが、側板に当接するように配置される、長さ方向に延長する2本の拘束形鋼と、一端が2本の拘束形鋼の、2枚の側板のうちの一方の側板の一方の端部よりも端板
のうちの一方の端板側、
及び、他方の側板の一方の端部よりも
一方の端板側にそれぞれ接続さ
れ、他端が
各一端が接続された拘束形鋼
から底板の幅方向に延長する2本の一方側連結棒と、一端が2本の拘束形鋼の、2枚の側板のうちの一方の側板の他方の端部よりも端板
のうちの他方の端板側、
及び、他方の側板の他方の端部よりも
他方の端板側にそれぞれ接続さ
れ、他端が
各一端が接続された拘束形鋼
から底板の幅方向に延長する2本の他方側連結棒とを備えた一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体作製具であって、2つの側板の幅方向中心で、かつ、側板の一方の端部よりも
一方の端板側にて、2本の一方側連結棒間に配置され、側板の他方の端部よりも
他方の端板側にて、2本の他方側連結棒間に配置される、長さ方向に延長する棒状の鋼材と、棒状の鋼材の、側板の直線部、もしくは、直線部と前記曲り部の少なくとも一部に囲まれた部分を覆う、棒状の鋼材がコンクリートと接触することを防止するための接触防止材とを備え、棒状の鋼材が、側板の
一方の端部よりも
一方の端板側にて、2本の一方側連結棒の
それぞれの他端
に固定され、側板の他方の端部よりも他方の端板側にて、2本の他方側連結棒の
それぞれの他
端に固定されていることを特徴とする。
このような一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体作製具を用いれば、コンクリート部材の中心に棒状の鋼材が埋設された一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体を確実に作製できる。
【0008】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1(a)〜(c)は、本実施の形態に係る一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体10を示す図で、(a)図は平面図、(b)図は側面図、(c)図は(a)図のA−A断面図である。
一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体(以下、供試体)10は、平板状のコンクリート部材11と、コンクリート部材11を拘束する拘束器具12と、コンクリート部材11の中心に埋設される丸鋼13と、拘束器具12を構成する2本の拘束形鋼121にそれぞれ取付けられた外側歪ゲージ14と、丸鋼13の中心部を外側から覆うテフロンシート15(テフロン:登録商標)と、丸鋼13に取付けられた内側歪ゲージ16とを備える。
コンクリート部材11は、拘束部111と自由収縮部112と連結部113とを備えた平板状の部材である。以下、平板の厚さ方向を厚さ方向、2つの拘束部111を結ぶ方向を長さ方向、長さ方向と厚み方向とに垂直な方向を幅方向とする。
拘束部111は、平面視矩形で、コンクリート部材11の両端部に位置している。
自由収縮部112は、平面視長さ方向に長い、幅が拘束部111の幅よりも狭い長方形状でコンクリート部材11の中央部に位置している。拘束部111と自由収縮部112とは、それぞれ、幅が自由収縮部112側から拘束部111側に行くにしたがって滑らかに広がっている連結部113により連結されている。本例では、自由収縮部112の長さを拘束部111の長さよりも長く設定している。自由収縮部112の幅と厚さとは同寸法である。
なお、後述するように、拘束部111と自由収縮部112と連結部113とは、一体に形成される。
【0011】
拘束器具12は、コンクリート部材11の長さ方向に延長する2本の拘束形鋼121と、拘束形鋼121の拘束部111側にそれぞれ溶接される厚さ方向に延長する複数本の補強棒122と、2本の拘束形鋼121を拘束部111側にて連結する連結棒123とを備え、コンクリート部材11を、拘束部111にて拘束する。補強棒122と連結棒123とは、拘束部111のコンクリート内に埋設されている。
拘束形鋼121は、コンクリート部材11の厚さ方向に伸びる垂直片121aと、この垂直片121aの端部からそれぞれ外側(他方の拘束形鋼121と対向する側とは反対側)に延長する水平片121bとを備えた長さ方向に延長するコの字型の鋼材で、拘束形鋼121の両端側にて、互いに対向する垂直片121a同士が連結棒123により連結される。
また、2本の拘束形鋼121の長さ方向中心には、それぞれ、ワイヤストレインゲージ(外側歪ゲージ14)が取り付けられている。
丸鋼13は、コンクリート部材11に埋設される長さ方向に延長する断面が円形の棒材で、長さ方向の両端部にそれぞれ位置してコンクリート部材11のコンクリートに固着される、ねじ加工が施されている定着部131と、テフロンシート15により覆われて、コンクリート部材11のコンクリートとは接触しない非定着部132とを備える。このテフロンシート15は、丸鋼13の表面がコンクリートと接触することを防止するための接触防止材として機能する。
定着部131は、コンクリート部材11の端部から拘束部111よりも中心側で、自由収縮部112よりも端部側の領域に位置し、非定着部132は、自由収縮部112と連結部113のほぼ中央までの領域に位置している。なお、非定着部132の長さとしては、定着部131の長さのほぼ2倍以上の長さとすることが好ましい。
また、非定着部132の中央である丸鋼13の長さ方向中心のテフロンシート15の内側には、ワイヤストレインゲージ(内側歪ゲージ16)が取り付られている。
本例では、
図1(c)に示すように、丸鋼13の定着部131を、溶接等により、拘束器具12の連結棒123
と一体化して補強しているので、定着部131とコンクリート部材のコンクリートとの
接触長さが短くても、丸鋼13がコンクリート部材11の拘束部111を確実に拘束することができる。
【0012】
試供体10の歪測定は、拘束形鋼121に取付けられた外側歪ゲージ14と、丸鋼13に取付けられた内側側歪ゲージ16の両方を用いて、1〜4時間ごとに行う。
本例では、外側歪ゲージ14と内側歪ゲージ16いずれか一方の歪ゲージで測定された歪の値が急激に減少した時点をひび割れ発生時とした。なお、目視によって乾燥ひび割れの確認も同時に行うことが好ましい。
このように、本発明の一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体10は、コンクリート部材11を拘束部111の両側だけでなく、中心においても拘束しているので、拘束度を高めることができる。したがって、コンクリートの乾燥収縮ひび割れを短期間で評価することができるとともに、乾燥収縮ひずみが小さなコンクリートの乾燥収縮ひび割れについても精度よく評価することができる。
なお、丸鋼13は、断面積がコンクリート部材11の自由収縮部112の断面積の2.8%〜16.1%であるものを用いることが好ましい。具体的には、自由収縮部112の断面が100mm×100mmである場合には、丸鋼13の好ましい径は、19mmφ〜48mmφとなる。
丸鋼13の断面積が自由収縮部112の断面積の2.8%未満である場合には、コンクリート部材11に対する拘束が小さくなるので、ひび割れ発生時までの期間を十分に短縮することができないからである。また、丸鋼13の断面積が自由収縮部112の断面積の16.1%を超えると、自由収縮部112のコンクリートの体積が少なくなるため、不要なひび割れが発生し、その結果、コンクリートの乾燥収縮ひび割れを精度よく評価することが困難となる(直径の最大値を限定する要素が粗骨材の径であるとの説明では、自由収縮部112が断面積が100mm×100mmであることが必要なので、上記の理由としました)。
【0013】
次に、一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体10の作製方法について説明する。
はじめに、
図2(a)に示すように、型枠20を組み立てる。
なお、型枠20の寸法長さは、JISに準じたものとした。
型枠20は、長方形板状の底板21と端板22と側板23とを備える。
底板21は、960mm(長さ)×250mm(幅)×10mm(厚さ)の長方形板状の部材で、長辺に平行な方向を長さ方向、短辺に平行な方向を幅方向とする。
端板22は、250mm(幅)×100mm(長さ)×10mm(厚さ)の長方形板状の部材で、底板21の長さ方向の両端部にそれぞれ立設される。
側板23は、長辺に平行な直線から成る直線部23aと、直線部の両端部から直線から徐々に離れる滑らかな曲線から成る曲り部23bとを備えたもので、2枚の側板23は、端板22から底板21の中央部に所定距離隔てた位置に、それぞれの曲り部23bの間隔が端板22方向に行くにしたがって広がるように、底板21に立設される。
本例では、側板23の直線部23aの長さは300mm、曲り部23bのRを350mm、端部間の長さ方向の長さを600mmとした。
底板21と側板23とは、試供体を作製する際に変形がないように、鋼製とすることが好ましい。なお、端板22は、合板性であってもよい。
型枠20の組み立て方法としては、底板21に2枚の側板23を立設した後、端板22を底板21の長さ方向端部に取付ければよい。
【0014】
次に、
図2(b)に示すように、側板23の外側に、2本の拘束形鋼121を、垂直片121aの水平片121bとは反対側の面が側板23に当接するように、かつ、互いに平行になるよう配置した後、2本の拘束形鋼121を、それぞれ、一方の水平片121bにて、底板21にボルト・ナット等で固定する。
拘束形鋼121の長さは960mm、垂直片121aの長さである厚さは100mm、水平片121bの長さである幅は40mmである。
拘束形鋼121の長さは、底板21の長さと同じなので、2本の拘束形鋼121の長さ方向の両端部は、それぞれ、端板22に当接する。
拘束形鋼121同士は、2本の拘束形鋼121が互いに平行で、かつ、距離が同じになるように、側板23よりも端板22側で連結棒123により連結される。連結棒123の両端部にはそれぞれねじ切りがされており、拘束形鋼121と連結棒123とは、垂直片121aの内側と外側とからナットにより連結される。
また、拘束形鋼121の内側の側板23と端板22との間には、厚さ方向に延長する複数本の補強棒122が溶接により取付けられている。
なお、拘束形鋼121間の距離が同じになるようにするには、拘束形鋼121同士を連結した後に、底板21の拘束形鋼121へ固定することが好ましい。
【0015】
次に、
図2(c)に示すように、非定着部132をテフロンシート15で覆い、このテフロンシート15の内側に内側歪ゲージ16が取り付られた丸鋼13を、型枠20内に配置するとともに、拘束形鋼121に外側歪ゲージ14を取付けることで、供試体10を作製するための作製具である一軸拘束ひび割れ試験用コンクリート供試体作製具(以下、作製具1という)を得る。
丸鋼13は、定着部131を、拘束器具12の連結棒123
に溶接等により固定することで、型枠20内に配置される。
具体的には、連結棒123を棒の真ん中で切断し、この切断された空間に丸鋼13の定着部131を配置し、連結棒123の切断された両端と溶接して一体化する。
連結棒123は、両端部で、それぞれ、拘束形鋼121の垂直片121aに内側と外側とからナットにより連結されているので、切断及び溶接による拘束形鋼121の歪を最小限に抑えることができる。
丸鋼13の取付け後には、2本の拘束形鋼121の長さ方向中心に、それぞれ、外側歪ゲージ14を取付ける。
【0016】
次に、
図2(c)の太枠で囲んだ空間(作製具1の型枠20と拘束形鋼121とで囲まれた空間)にコンクリートを打設する。そして、所定期間(例えば、7日)養生した後、脱型することで、内部に丸鋼13が埋設された平板状のコンクリート部材11と、コンクリート部材11を拘束する拘束器具12とから成る試供体10を得ることができる。
【0017】
[実施例]
埋設される丸鋼の直径の異なる供試体10を作製し、そのひび割れ発生日数を調べた結果を
図3の表に示す。なお、調査日数は半年とし、半年を過ぎた時点でひび割れが発生していない場合には「発生せず」とした。
使用材料以下の通りである。
水 (W);水道水
セメント (C);普通ポルトランドセメント
細骨材 (S1);川砂
細骨材 (S2);砕砂
粗骨材 (G1);石灰石砕石
粗骨材 (G2);硬質砂岩砕石
収縮低減剤(Sr);ポリエーテル誘導体系
また、コンクリートの調合条件を以下の表1に示す。
なお、水セメント比(W/C)は50%、細骨材率(s/a)は47.4%、単位水量(W)は170kg/cm
3である。
【表1】
【0018】
試供体1−1〜1−4のコンクリートは、粗骨材が硬質砂岩砕石(G2)で、実収縮率が787×10
-6である。なお、収縮低減剤(Sr)は調合していない。
試供体1−5〜1−8のコンクリートは、粗骨材が石灰岩(G1)で、いずれも、収縮低減剤(Sr)を10kg/cm
3調合したもので、実収縮率は434×10
-6とである。
試供体1−1及び試供体1−5は、丸鋼を配置していない従来の試供体で、試供体1−2〜1−4及び試供体1−6〜1−8は、それぞれ、直径が13mm,19mm,32mmの丸鋼を配置した本発明による試供体である。
図3の表からわかるように、実収縮率が787×10
-6である試供体では、本発明による試供体のひび割れ発生までの期間が、従来の試供体に比較して短くなっていることがわかる。
また、丸鋼の径が大きいほどひび割れ発生までの期間が短い。
一方、実収縮率が434×10
-6である試供体は、丸鋼の直径が32mmの場合のみひび割れが発生し、直径が13mm,19mmにはひび割れが発生しなかったが、これは、調査日数が少なかったからで、調査日数を伸ばせば、実収縮率が787×10
-6である試供体と同様の結果が得られることが推定される。
これにより、コンクリート部材の中心に、棒状の鋼材を、両端部がコンクリートに固着され、中央部がコンクリートに接触ない状態で埋設した試供体を用いれば、ひび割れが発生しやすくなり、その結果、コンクリートの乾燥収縮ひび割れを短期間で評価することができることが確認された。
【0019】
また、丸鋼の直径を一定(32mm)にしてコンクリートの収縮率を変化させたときのひび割れ発生日数を調べた結果を
図4の表に示す。
なお、この実験では、膨張材を使用した調合も実施した。また、ひび割れ発生を加速するため、コンクリート部材の中央に深さ10mmの切欠を入れている。
図4の表からわかるように、丸鋼を配置することで、コンクリートの種類によらず、ひび割れを発生させることができることも確認された。
【0020】
以上、本発明を実施の形態及び実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。