(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
本実施形態に係る超音波診断装置を
図1のブロック図を参照して説明する。
超音波診断装置1は、超音波プローブ3、入力装置5、モニタ7、装置本体9を含む。装置本体9は、超音波送信回路11と、超音波受信回路13と、Bモード処理回路15と、ドプラ処理回路17と、画像生成回路19と、画像メモリ21と、画像合成回路23と、記憶回路25と、インターフェース回路27と、制御回路(中央演算処理装置:Central Processing Unit)29とを有する。加えて、超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測器、不図示の外部記憶装置およびネットワークが、インターフェース回路27を介して接続されてもよい。
【0010】
超音波プローブ3は、正面の音響放射面から走査面に沿って超音波走査を実行する。超音波プローブ3は、走査線の位置を操作面に沿って移動させながら超音波走査を実行する。超音波プローブ3は、複数の圧電振動子(単に振動子ともいう)と、整合層と、複数の振動子の背面側に設けられるバッキング材とを有する。複数の振動子は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子である。複数の振動子は並列され、超音波プローブ3の先端に装備される。以下、1つの振動子が1チャンネルを構成するものとして説明する。振動子は、後述する超音波送信回路11から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。超音波プローブ3を介して被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波(以下、送信超音波と呼ぶ)は、被検体内の生体組織における音響インピーダンスの不連続面で反射される。
【0011】
振動子は、反射された超音波を受信し、エコー信号を発生する。エコー信号の振幅は、超音波の反射に関する不連続面を境界とする音響インピーダンスの差に依存する。また、送信超音波が移動している血流、および心臓壁等の表面で反射された場合のエコー信号の周波数は、ドプラ効果により、移動体(血流および心臓壁の表面)の超音波送信方向の速度成分に依存して偏移する。
【0012】
整合層は、被検体Pに対する超音波の送受信を効率よくするために、複数の振動子の超音波放射面側に設けられる。バッキング材は、振動子の後方への超音波の伝搬を防止する。さらに、超音波プローブ3は、超音波走査を阻害しない位置にマーカを有する。マーカは、超音波プローブの向きを把握する上で指標になり得る。超音波プローブ3の詳細については、
図2を参照して後述する。
【0013】
以下、超音波プローブ3は、1次元的に配列された振動子により構成される1次元アレイにより、被走査領域を2次元的に走査するプローブとして説明する。なお、超音波プローブ3は、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブでもよいし、振動子が2次元的に配列された2次元アレイプローブでもよい。また、セクタプローブでもコンベックスプローブでもよい。
【0014】
入力装置5は、インターフェース回路27を介して装置本体9に接続される。入力装置は、ユーザからの各種指示、各種条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件、および設定指示等を装置本体9にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボールの他、マウス、キーボード等を有する。なお、入力装置5は、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、および表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ、マイク等を有していてもよい。
【0015】
入力装置5は、後述するインジケータ生成機能293と表示制御機能295を包括的に実行させる機能を実行するための開始指示を装置本体9に入力する。
なお、入力装置5は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力装置5の例に含まれる。
【0016】
モニタ7は、後述する画像生成回路19、画像合成回路等23から出力されたビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報などを画像として表示する。さらに、モニタ7は、インジケータを表示する。インジケータの詳細については後述する。モニタとしては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。モニタ7は、表示部や表示回路に相当する。
【0017】
超音波送信回路11は、パルス発生器111と、送信遅延回路113と、パルサ回路115とを有する。超音波送信回路11は、超音波送信部の一例であって、プロセッサを有していてもよい。パルス発生器111は、所定のレート周波数fr Hz(周期:1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。発生されたレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路113に送られる。
【0018】
送信遅延回路113は、複数のチャンネルごとに、送信超音波をビーム状に収束し、かつ送信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、送信遅延時間と呼ぶ)を、各レートパルスに与える。送信超音波の送信方向または送信方向に関する送信遅延時間(以下、送信遅延パターンと呼ぶ)は、記憶回路25に記憶される。記憶回路25に記憶された送信遅延パターンは、制御回路29により超音波の送信時に参照される。
【0019】
パルサ回路115は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ3の振動子ごとに電圧パルス(駆動信号)を印加する。これにより、超音波ビームが被検体Pに送信される。
【0020】
超音波受信回路13は、プリアンプ131、図示していないアナログディジタル(analog to digital(以下、A/Dと呼ぶ))変換器、受信遅延回路133、加算器135を有する。超音波受信回路は、超音波受信部の一例であって、プロセッサを有していてもよい。プリアンプ131は、超音波プローブ3を介して取り込まれた被検体Pからのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された受信エコー信号をディジタル信号に変換する。A/D変換される前のアナログ信号に対して、アナログゲインが、STC(sensitive time control)またはTGC(time gain control)として与えられる。
【0021】
受信遅延回路133は、ディジタル信号に変換された受信エコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間(以下、受信遅延時間と呼ぶ)を与える。受信遅延回路133は、例えば、ディジタルビームフォーマである。受信遅延回路133から出力されたディジタル信号に対して、ディジタルゲインが、STCまたはTGCとして与えられる。エコー信号の受信方向または受信方向に関する受信遅延時間(以下、受信遅延パターンと呼ぶ)は、後述する記憶回路25に記憶される。記憶回路25に記憶された受信遅延パターンは、送信時と同様に、制御回路29により参照される。
【0022】
反射波による信号は、被検体内における超音波の減衰によって、被検体内の深部ほど微弱になる。このため、アナログゲインおよびディジタルゲインは、この減衰を補うために、被検体内の深部において反射された超音波に起因する信号の振幅を増幅するゲインである。
【0023】
加算器135は、遅延時間が与えられた複数のエコー信号を加算する。この加算により、超音波受信回路13は、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号を生成する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される。この総合的な指向性により、超音波ビーム(いわゆる「超音波走査線」)が決まる。
【0024】
Bモード処理回路15は、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。Bモード処理回路15は、Bモード処理部の一例であって、プロセッサを有する。包絡線検波器は、超音波受信回路13から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモード処理回路15は、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線および各超音波送受信における深さごとの信号値(Bモードデータ)を生成する。
【0025】
Bモードデータは、対数変換器から出力された信号の強度を輝度の明るさとして表現されたデータに相当する。Bモード処理回路15からの出力は、画像生成回路19に出力される。Bモード処理回路15からの出力は、反射波の強度を輝度で表したBモード画像として、モニタ7に表示される。
【0026】
超音波プローブ3がメカニカル4次元プローブである場合や2次元アレイプローブである場合、Bモード処理回路15は、被走査領域におけるアジマス(Azimuth)方向、エレベーション(Elevation)方向、深さ方向(レンジ(Range)方向)にそれぞれ対応付けて配列された複数の信号値からなる3次元Bモードデータを生成してもよい。レンジ方向とは、走査線上の深さ方向である。アジマス方向とは、例えば、1次元アレイにおける振動子の配列方向に沿った電子走査方向である。エレベーション方向とは、例えば、1次元アレイの機械的揺動方向である。
【0027】
なお、3次元Bモードデータは、複数の画素値または複数の輝度値などを、走査線に沿って、アジマス方向、エレベーション方向およびレンジ方向にそれぞれ対応付けて配列させたデータであってもよい。また、3次元Bモードデータは、被走査領域において予め設定されたROIに関するデータであってもよい。また、Bモード処理回路15は、3次元Bモードデータの代わりにボリュームデータを生成してもよい。以下、Bモード処理回路15で生成されるデータをまとめて、Bモードデータと呼ぶ。
【0028】
ドプラ処理回路17は、超音波受信回路13からエコー信号を受け取り、受け取ったエコー信号に対して速度情報を周波数解析する。ドプラ処理回路17は、ドプラ処理部の一例であって、プロセッサを有する。ドプラ処理回路17は、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を、超音波受信回路13から受け取ったエコー信号から抽出する。ドプラ処理回路17は、平均速度、分散、パワー等の血流情報を、走査線上の多点について求める。ドプラ処理回路17は、得られた血流情報を画像生成回路19に出力する。ドプラ処理回路17からの出力は、ドプラ波形画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像、およびこれらの組み合わせ画像として、モニタ7にカラー表示される。
【0029】
例えば、ドプラ処理回路17は、図示していないミキサー、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:以下、LPFと呼ぶ)、速度/分散/Power演算回路等を有する。ミキサーは、超音波受信回路13から出力された受信信号に、送信周波数と同じ周波数f0を有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数fdの成分の信号と(2f0+fd)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除く。ドプラ処理回路17は、高い周波数成分(2f0+fd)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を生成する。
【0030】
なお、ドプラ処理回路17は、ドプラ信号を生成するために、直交検波方式を用いてもよい。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。ドプラ処理ユニット142は、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数fdの成分を有するドプラ信号を生成する。ドプラ信号は、例えば、血流、組織、造影剤によるドプラ成分である。
【0031】
速度/分散/Power演算回路は、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、LPFフィルタ、自己相関演算器等を有する。なお、自己相関演算器の代わりに相互相関演算器を有していてもよい。MTIフィルタは、生成されたドプラ信号に対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。MTIフィルタは、ドプラ信号から血流に関するドプラ成分(以下、血流ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。LPFは、ドプラ信号から組織の移動に関するドプラ成分(以下、組織ドプラ成分と呼ぶ)を抽出するために用いられる。
【0032】
自己相関演算器は、血流ドプラ成分及び組織ドプラ成分に対して自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度(パワー)等を算出する。速度/分散/Power演算回路は、複数のドプラ信号に基づく血流および組織の平均速度値、分散値、ドプラ信号の反射強度等に基づいて、所定領域の各位置におけるカラードプラデータを生成する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。
【0033】
画像生成回路19は、図示していないディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下、DSCと呼ぶ)等を有する。画像生成回路19は、画像生成部の一例であって、プロセッサを有する。画像生成回路19は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、Bモードデータ、およびドプラデータからなる超音波走査の走査線の信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する処理である。
【0034】
画像生成回路19は、座標変換処理により、表示画像としての超音波画像を生成する。具体的には、画像生成回路19は、Bモードデータに基づいてBモード画像を生成する。Bモード画像は、音波の集束などの超音波プローブの特性や超音波ビーム(例えば、送受信ビーム)の音場特性などが反映された画素値(輝度値)を有する。例えば、Bモード画像において、被走査領域において超音波のフォーカス付近では、非フォーカス部分よりも相対的に高輝度となる。画像生成回路19は、ドプラデータに基づいて、平均速度画像、分散画像、パワー画像などのドプラ画像を生成する。
【0035】
画像メモリ21は、生成された超音波画像(Bモード画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像)に対応するデータ(以下、画像データと呼ぶ)を記憶する。画像メモリ21に記憶された画像データは、入力装置5を介したユーザの指示により、読み出される。画像メモリ21は、例えば、フリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリに記憶されている画像を所定のフレームレートで連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像が、モニタ7に動画表示される。
【0036】
画像メモリ21は、例えば、集積回路記憶装置(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)等)により実現される。なお、画像メモリ21の実現は、上記集積回路記憶装置に限定されず、任意の記憶装置であってもよい。
【0037】
画像合成回路23は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報および目盛等を合成する。画像合成回路23は、画像合成部の一例であって、プロセッサを有する。画像合成回路23は、合成された超音波画像を後述するモニタ7に出力する。
【0038】
記憶回路25は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive:ハードディスクドライブ)やSSD(solid state drive:ソリッドステートドライブ)、集積回路記憶装置(RAM、ROM等)などの記憶装置である。記憶回路25は、記憶部に相当する。また、記憶回路25は、CD−ROMドライブやDVDドライブ等との間で、種々の情報を読み書きする駆動装置で実現されてもよい。また、記憶回路25は、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MOなど)、半導体メモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置で実現されてもよい。
【0039】
記憶回路25は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、および複数の送信遅延パターンを記憶する。記憶回路25は、超音波診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、および後述する医用解析プログラムを記憶する。記憶回路25は、超音波の送受信条件等の各種データ群、診断情報(患者ID、医師の所見等)を記憶する。記憶回路25は、超音波受信回路13により生成された受信信号、Bモード処理回路15により生成されたBモードデータ、ドプラ処理回路17により生成されたドプラデータを記憶する。
記憶回路25は、Bモード画像、平均速度画像、分散画像、パワー画像等の各種超音波画像(医用画像)を記憶する。
【0040】
インターフェース回路27は、入力装置5、不図示の操作パネル、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測器に関するインターフェースである。装置本体9によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、インターフェース回路27とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。なお、インターフェース回路27は、ネットワークを介して、図示していない他の医用画像診断装置で取得された被検体に関する超音波画像を、ダウンロードすることも可能である。インターフェース回路27は、インターフェース部に対応し、プロセッサを有していてもよい。
【0041】
制御回路29は、情報処理装置(計算機)としての機能を有し、超音波診断装置1の装置本体9の動作を制御する制御手段(プロセッサ)である。制御回路29は、記憶回路25から画像生成・表示等を実行するための制御プログラムを読み出して各種処理に関する演算・制御等を実行する。
【0042】
本実施形態では、設定機能291、インジケータ生成機能293、表示制御機能295および回転制御機能297にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路25へ記憶されている。制御回路29は、これら機能に対応するプログラムを記憶回路25から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
【0043】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0044】
プロセッサは、記憶回路25に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路25にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、超音波送信回路11、超音波受信回路13、Bモード処理回路15、ドプラ処理回路17、画像生成回路19、画像合成回路23、インターフェース回路27等の他の回路も同様に、上記のプロセッサなどの電子回路により構成される。
【0045】
設定機能291を実現する制御回路29は、例えば、超音波プローブ3の出力や超音波走査に関する各種条件など、一般的な条件を設定する。
【0046】
インジケータ生成機能293を実現する制御回路29は、超音波プローブ3から出力される超音波により形成される走査面と、超音波プローブ3が有するマーカとの間の位置関係を示すインジケータを生成する。
【0047】
表示制御機能295を実現する制御回路29は、超音波プローブ3の出力に基づいて生成された走査面の超音波画像と共に、インジケータをモニタ7などの表示部に表示させる。表示制御機能295を実現する制御回路29は、回転制御機能297の指示により走査面が回転した場合は、走査面の回転に応じてインジケータの表示を変更する。
【0048】
回転制御機能297を実現する制御回路29は、回転量を示す制御指示を出力し、超音波プローブの正面の音響放射面の法線方向に沿った軸を中心に、超音波プローブ3から出力される超音波の走査面の回転を制御する。走査面の回転は、一般的な電子走査による回転、または、メカニカルプローブの場合は図示しないモータなどにより振動子が回転することにより実現される一般的な回転であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
次に、本実施形態に係る超音波プローブ3の詳細について
図2を参照して説明する。
図2は、超音波プローブ3を簡略化した表示である。超音波プローブ3は、正面の超音波送受信面(音響放射面)201とは異なる超音波プローブ3の側面202の一部に、プローブ方向マーカ203を有する。ユーザは、プローブ方向マーカ203を参照することによって、超音波プローブ3がどの方向を向いているか把握することができる。
なお、プローブ方向マーカ203は、回転前における走査面の初期位置を示してもよい。
【0050】
なお、
図2の例では、プローブ方向マーカ203は凸構造の突起物により形成されている例を示すが、これに限らず、プローブ方向マーカ203が超音波プローブ3に凹構造で形成されてもよいし、超音波プローブ3にシールが貼り付けられてもよい。また、プローブ方向マーカ203の色とプローブ方向マーカ203の周辺の色とを異なるように配色することでプローブ方向マーカ203が形成されてもよいし、筐体にLED(Light Emitting Diode)などの発光部材を配置または埋め込み、発光部材を発光させることでプローブ方向マーカ203としての役割を果たしてもよい。すなわち、プローブ方向マーカ203は、超音波プローブ3の方向を規定するための指標となる形式であれば、どのような形式でもよい。
【0051】
また、本実施形態では、超音波プローブ3はプローブ方向マーカ203を1つ有する場合を示すが、複数のプローブ方向マーカ203を形成してもよい。但し、複数のプローブ方向マーカ203を形成する場合は、プローブ方向マーカ203が形成された位置と対向する位置に同じ配色または形状のプローブ方向マーカ203を形成すると紛らわしくなる可能性がある。よって、超音波プローブ3の方向が特定できるように異なる複数のプローブ方向マーカ203を形成すればよい。このように、複数のプローブ方向マーカ203が形成される場合は、プローブ方向マーカ203が互いに区別できる形式であることが望ましい。
【0052】
また、
図2の例では、プローブ方向マーカ203が超音波プローブ3の側面202に形成される場合を示すが、超音波送受信面201の一辺に形成されてもよい。例えば、超音波プローブ3の超音波送受信面201側にある筐体部分の一部(例えば、一辺)を、光透過性を有する構造とし、当該構造に発光部材をプローブ方向マーカ203として配置または埋め込み、発光部材を発光させてもよい。このようにすることで、ユーザは発光している部分を視認することで、超音波プローブ3の方向を認識することができる。
【0053】
次に、インジケータの詳細について
図3を参照して説明する。
図3に示すインジケータ300は、超音波プローブ3によって形成される走査面の位置を示す部分(以下、走査面マーカ301)と、超音波プローブ3においてプローブ方向マーカ203の位置を示す部分(以下、基準マーカ304)と、走査線の移動方向を示す部分(以下、走査位置マーカ302)を含む。
【0054】
例えば走査面マーカ301は、
図3では直線で示され、被検体Pの深さ方向(超音波送受信面側)からみた超音波の走査面の位置を示す。さらに、走査位置マーカ302は、走査面マーカ301の端部に「□(四角)」で示され、走査方向の開始位置または終了位置を示す。言い換えれば、走査位置マーカ302は、走査線の移動方向を示す。走査面マーカ301が回転する場合は、走査位置マーカ302も一体となって回転する。なお、走査位置マーカ302の図形は「□」でなくともよく、走査面マーカ301の端部(または走査線の移動方向)を示すことができれば、矢印などどのような表示でもよい。また、走査位置マーカ302を非表示にしてもよい。
【0055】
回転範囲マーカ303は、円で示され、走査面の回転範囲を示す。なお、回転範囲マーカ303は、超音波プローブ3を超音波送受信面に垂直な方向から見た筐体の形状に合わせた形状としてもよい。基準マーカ304は、回転範囲マーカ303の一部を指し示すように「△(三角)」で示され、超音波プローブ3の筐体にプローブ方向マーカ203が形成される位置を示す。なお、回転範囲マーカ303および基準マーカ304は、円形や三角に限らず、回転範囲マーカ303を四角で、回転範囲マーカ303を「○(点)」で表すなど、どのように表してもよい。
【0056】
プローブ方向マーカ203の位置を基準マーカ304として反映させる方法としては、例えば、超音波プローブ3の複数の振動子のうちの少なくとも1つの振動子の番号(ID)をプローブ方向マーカ203の位置として指定することで、指定された振動子の出力と走査面との位置関係から走査面に対する指定された振動子の位置が把握できるので、基準マーカ304の位置をインジケータ300に反映すればよい。または、超音波プローブ3に磁気センサを搭載し、プローブ方向マーカ203の位置をオフセットしておくことで、プローブ方向マーカ203の位置をインジケータ300に反映させてもよい。
【0057】
また、インジケータ300には、プローブ方向マーカ203に対する走査面の角度、すなわち走査面マーカ301と基準マーカ304との相対角度を数値で表示してもよい。
図3の例では、「45°」と表示される。
【0058】
なお、基準マーカ304は、プローブ方向マーカ203が形成される位置を示す代わりに、回転の初期位置に対応する走査面の位置を示してもよい。これは、超音波プローブ3の方向と超音波の走査方向の初期位置とは予め決まっていると考えられるためである。よって、インジケータ300が、走査面の初期位置と走査面の回転後の回転位置との位置関係を表すことで、基準マーカ304がプローブ方向マーカ203の位置を表す場合と同様の効果を得ることができる。
【0059】
さらに、インジケータ300は、超音波プローブ3の超音波送受信面側から見たときのインジケータであるか、超音波プローブ3の持ち手側からみたインジケータであるかを示すような表示を含んでもよい。
【0060】
次に、インジケータの表示制御処理について
図4のフローチャートを参照して説明する。表示制御処理は、制御回路29の各機能により実現される。
【0061】
ステップS401では、インジケータ生成機能293が、超音波の走査面と超音波プローブ3の方向を参照して、インジケータを生成する。
ステップS402では、表示制御機能295が、インジケータを表示部に表示させる。表示制御機能295は、併せて走査面に基づく超音波画像を表示してもよい。
【0062】
ステップS403では、表示制御機能295が、回転制御機能297により走査面が回転したかどうかを判定する。走査面が回転したどうかの判定は、例えば、回転制御機能297が制御指示を出力したかどうかにより判定すればよい。走査面が回転していればステップS404に進み、走査面が回転していなければ、インジケータの表示を変更せず、待機する(自身の処理ステップS403に戻る)。
【0063】
ステップS404では、表示制御機能295が、回転制御機能297が走査面を回転させたときの回転量に基づいて、走査面とマーカとの位置関係を保持しつつ、インジケータの走査面マーカまたは基準マーカを回転させる。
【0064】
なお、以下では、表示制御機能295が、既に表示させているインジケータの走査面マーカまたは基準マーカを回転させる動作を例に説明するが、これに限られない。例えば、インジケータ生成機能293が、走査面の回転量に応じて走査面マーカまたは基準マーカを回転させた新たなインジケータを生成し、表示制御機能295が、新たなインジケータを表示部に表示させてもよい。
【0065】
次に、超音波プローブ3における超音波走査面とインジケータとの対応関係について
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、プローブ方向マーカ203の位置と、走査面における走査線の終了位置とが一致している場合を示す。この場合は、プローブ方向マーカ203に対する走査面の角度は「0度」であるので、
図5に示すインジケータ501のように表示される。
【0066】
図6は、回転制御機能297により、プローブ方向マーカ203から時計回りに90度走査面が回転した場合を示す。この場合、表示制御機能295は、走査面の回転に応じて、超音波により形成される走査面とマーカとの位置関係を保持しつつ走査面マーカ301を時計回りに90度回転させるようにインジケータ601の表示を制御する。なお、回転は、反時計回りでも良い。
【0067】
なお、
図6では、インジケータ601の表示方法として、プローブ方向マーカ203に関する基準マーカ304は固定し、走査面マーカ301を回転させる場合を示すが、走査面マーカ301を固定し、基準マーカ304を回転させてもよい。なお、回転範囲マーカ303が超音波プローブ3の筐体の形状を表すような場合には、回転範囲マーカ303と基準マーカ304とを一体として回転させてもよい。すなわち、プローブ方向マーカ203と走査面との相対的な位置関係が把握できるように表示すればよい。
【0068】
次に、モニタ7に表示されるインジケータおよび超音波画像の表示例について
図7を参照して説明する。
図7に示すように、超音波画像701と、超音波画像701に関する超音波プローブ3の方向と走査面の方向とを示すインジケータ300とが併せてモニタ7に表示される。
【0069】
以上に示した第1の実施形態によれば、超音波プローブがマーカを有し、マーカと超音波の走査面との位置関係を表すインジケータを表示部に表示させ、走査面の回転量に応じてインジケータの走査面マーカまたは基準マーカを回転させる。このようにすることで、現在ユーザが被検体に当てている超音波プローブの方向と、電子走査により回転している走査面の方向とを容易に把握することができる。よって、ユーザは、超音波プローブの方向について意識することが少なくなるので、超音波診断装置の操作性を向上させることができる。
【0070】
(変形例)
変形例として、上述したインジケータの表示は、超音波プローブ3によって取得された超音波画像(横断面画像)と、MRI等の異なるモダリティで取得された横断面画像とを、座標位置を対応させて重ね合わせて表示する、いわゆるフュージョン表示においても利用することができる。
【0071】
フュージョン表示をする方法は、従来公知の方法を適宜選択することができるが、具体的には、以下のようにして行うことができる。まず、超音波プローブ3に位置検出手段を設け、他のモダリティで得られた画像間の位置合わせを行う。位置検出手段は、例えば、磁気センサが用いられ、磁気センサの近傍に磁気トランスミッタが設けられる。磁気トランスミッタからは、x,y,z方向の磁場が時系列で切り替えられて放射され、これに磁気センサが同期することで、x,y,z方向の位置と、それぞれの軸に対する回転を検知することができる。
【0072】
異なるモダリティ間の画像の位置合わせは、まず、ユーザは、超音波プローブ3によって表示される超音波画像が、他のモダリティによる横断面画像(以下、他のモダリティ画像という)とほぼ平行となるよう超音波プローブ3を操作する。
【0073】
次に、超音波画像上で目印となるような特徴のある部位を探し、その部位を目印位置としてマーキングする。次に、その画像を参照しながら他のモダリティ画像で同じ特徴を持つ部位を探索する。他のモダリティ画像で同一部位と思われる断層画像が得られたところで、その画像上において、目印位置に対応すると思われる部位にマーキングを行う。
【0074】
以上の作業により、超音波画像と他のモダリティ画像との対応する位置合わせに必要なパラメータが得られる。これ以降は、装置の中で両画像を一致させるための座標変換が自動的に行われ、超音波プローブ3によって得られるリアルタイム画像に追従して、それに対応した他モダリティの断層画像が表示される。
【0075】
フュージョン画像およびインジケータの表示例について
図8を参照して説明する。
図8は、左側の画像800は、超音波画像以外の他のモダリティ画像801と超音波プローブ3の走査に基づく超音波画像802とが重畳されたフュージョン画像である。右側の画像810は、フュージョン画像に用いられる超音波画像802およびインジケータ803である。
【0076】
ユーザが超音波プローブ3における走査面を回転させると、表示制御機能295を実現する制御回路29は、回転量に応じて、画像800に示されるフュージョン画像において図示される超音波プローブ画像804の走査面を回転するように制御する。また同様に、表示制御機能295を実現する制御回路29は、回転量に応じて、画像810に示されるインジケータ803の走査面マーカまたは基準マーカを回転させる。
【0077】
以上に示した本実施形態に係る変形例によれば、フュージョン画像を利用する場合でもインジケータを表示することで、現在ユーザが被検体に当てている超音波プローブの方向と、電子走査により回転している走査面の方向とを容易に把握することができる。
【0078】
なお、超音波プローブ3自体を回転させた場合に、インジケータの表示全体も併せて回転する様にしてもよい。例えば、表示制御機能295を実現する制御回路29が、測定の前に被検体に対する超音波プローブ3の位置を初期位置として決定する。その後、磁気センサなどを用いて初期位置からの超音波プローブ3の傾斜量および回転量を算出する。表示制御機能295を実現する制御回路29は、傾斜量及び回転量に応じてインジケータを初期位置に応じた位置からインジケータ全体が楕円となるように紙面奥側(または手前側)に傾けたように見える表示としてもよい。
【0079】
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。