(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、第1の取引対象と同時購入される取引対象が分類された組に前記所定の取引対象が分類されている場合は、前記利用者が前記第1の取引対象を購入予定であるかを判定し、購入予定であると判定した場合は、前記所定の取引対象を利用者に提示すると判定する
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の判定装置。
前記判定部は、第1の取引対象の後で購入される取引対象が分類された組に前記所定の取引対象が分類されている場合は、前記利用者が前記第1の取引対象を購入済みであるかを判定し、購入済みであると判定した場合は、前記所定の取引対象を利用者に提示すると判定する
ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1つに記載の判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る判定装置、判定方法および判定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る判定装置、判定方法および判定プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
[実施形態]
〔1−1.判定装置の一例〕
まず、
図1を用いて、判定装置が実行する判定処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る判定装置が実行する判定処理の一例を示す図である。
図1では、判定装置10は、インターネット等の所定のネットワークNを介して、EC(Electronic Commerce)サーバ100や利用者U01が使用する端末装置200(例えば、
図2)と通信可能である。なお、判定装置10は、任意の数のECサーバ100や任意の数の端末装置200と通信可能であってよい。
【0012】
ECサーバ100は、電子商取引に関する各種サービスを提供する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、ECサーバ100は、任意の商品やサービス(以下、「取引対象」と記載する。)を提供する電子商店街のサービスを利用者U01に対して提供する。なお、ECサーバ100は、オークションに関するサービスを提供するサーバであってもよい。すなわち、ECサーバ100は、電子商取引に関するサービスであれば、任意のサービスの提供を行ってよい。
【0013】
端末装置200は、利用者U01が使用する端末装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット等といった携帯移動端末装置やPC(Personal Computer)端末、サーバ装置等により実現される。例えば、端末装置200は、任意のコンテンツを表示可能な画面を有し、判定装置10から配信を受付けたコンテンツを表示することで、利用者U01にコンテンツに関する情報を提供することが可能である。
【0014】
判定装置10は、端末装置200が利用者U01に対して提供するコンテンツ、すなわち、取引対象に関するコンテンツ(例えば、広告等)の選択を行う。例えば、判定装置10は、各取引対象について、利用者U01にコンテンツを提示するか否か判定する。そして、判定装置10は、利用者U01に対して取引対象を提示すると判定した場合は、その取引対象に関するコンテンツを端末装置200へと配信する。
【0015】
〔1−2.判定処理について〕
ここで、取引対象の閲覧機会や購買機会を向上させるため、各取引対象の購買履歴に基づいて、利用者U01が購買する可能性が高い取引対象を推定し、推定した取引対象に関するコンテンツを配信するといった手法が考えられる。例えば、判定装置10は、利用者U01の性別、年代、居住地域といったデモグラフィック属性や、価値観や好みなどといったサイコグラフィック属性等、コンテンツの配信対象となる利用者の属性情報を特定する。また、判定装置10は、購買履歴に基づいて、どのような属性を有する利用者が購買しているか、どのような日時にどれくらい購買されているかといった購買傾向を取引対象ごとに特定する。
【0016】
そして、判定装置10は、取引対象のうち、購買傾向がコンテンツの配信先となる利用者の属性情報と合致する取引対象を選択し、選択した取引対象のコンテンツを配信するといった処理が考えられる。例えば、判定装置10は、コンテンツの配信先となる利用者が女性である場合には、女性が良く購買する購買傾向を有する取引対象のコンテンツを配信する。
【0017】
しかしながら、このような手法では、新規に登録された取引対象等、購買履歴が存在しない取引対象については、どのような購買傾向を有するのかが解らない。このため、従来技術では、利用者に提案する取引対象の選択精度が悪化する恐れがある。例えば、従来技術では、新規に登録された取引対象が男性に人気がある取引対象であったとしても、その取引対象を女性に対して提案してしまう恐れがある。
【0018】
そこで、判定装置10は、以下の判定処理を実行する。まず、判定装置10は、取引対象に関する情報に基づく分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。そして、判定装置10は、特定された他の取引対象の購買履歴に基づいて、所定の取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。例えば、判定装置10は、所定の取引対象の説明文または写真の少なくともいずれか1つに基づく分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。また、例えば、判定装置10は、所定の取引対象と購買傾向が類似すると推定される他の取引対象を特定する。そして、判定装置10は、特定した他の取引対象の購買履歴に基づいて、所定の取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。
【0019】
ここで、同様の購買傾向を有する取引対象は、取引対象が属するカテゴリ、外観、性能、価格帯等といった属性が類似すると予測される。このため、購買履歴が無い取引対象の購買傾向は、属性が類似する他の取引対象の購買傾向と類似すると予測される。そこで、判定装置10は、所定の取引対象の属性に基づいて、購買傾向が類似すると予測される他の取引対象を選択し、選択した他の取引対象の購買傾向に基づいて、所定の取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。
【0020】
より具体的な例を挙げると、判定装置10は、購買履歴を有する取引対象を、購買履歴が示す購買傾向に応じて複数の組に予め分類する。また、判定装置10は、各取引対象の中から、属性が新たに登録された取引対象の属性と類似する取引対象を特定する。そして、判定装置10は、特定した取引対象の購買履歴を取得し、取得した購買履歴に応じて、所定の取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。例えば、判定装置10は、購買傾向に応じて複数の組に分類された取引対象のうち、属性が所定の取引対象の属性と類似する取引対象を特定し、特定した取引対象と同じ組に分類された取引対象の購買履歴を取得する。
【0021】
〔1−3.取引対象の属性について〕
ここで、判定装置10は、購買履歴以外の情報であって、取引対象に関する情報であるならば、任意の情報を取引対象の属性として採用可能である。例えば、判定装置10は、情報処理装置であるか、食品であるか、飲料であるか等といった取引対象の種別(すなわち、カテゴリ)を取引対象の属性としてよい。また、判定装置10は、取引対象の価格、メーカ、取引対象を電子商店街で販売する店舗等を取引対象の属性としてもよい。また、判定装置10は、取引対象の外観、素材、色彩、大きさ(サイズ)、重量等を属性情報としてもよい。また、判定装置10は、取引対象の性能や購買が開始された日時である購買時期等を属性情報としてもよい。
【0022】
ここで、電子商店街やオークション等といった電子商取引においては、取引対象の状態や性能等といった属性を示す説明文が登録される場合がある。このような説明文は、取引対象がどのような属性を有しているかを示すと考えられる。また、このような説明文の内容によっては、男性が頻繁に購買したり、女性が頻繁に購買するというように、購買する利用者の傾向が変化するとも考えられる。そこで、判定装置10は、取引対象の説明文を取引対象の属性情報としてもよい。
【0023】
また、電子商取引においては、取引対象の画像が登録される場合がある。このような画像には、取引対象の色や形状といった外観や雰囲気等といった取引対象の特徴が含まれていると考えられる。また、判定装置10は、取引対象の画像を属性情報としてもよい。
【0024】
また、電子商取引においては、取引対象の販売を行う販売者の別や販売者の信用等によって、購買する利用者の傾向が変化するとも考えられる。そこで、判定装置10は、取引対象の販売を行う販売者、販売者の信用を示す情報、販売者に対する評価やレビュー等を取引対象の属性情報としてもよい。
【0025】
なお、判定装置10は、上述した情報以外にも、取引対象に関する任意の情報を取引対象の属性として採用してよい。例えば、判定装置10は、取引対象の販売を行う販売者が、取引対象を電子商店街やオークション等に登録した際に、その取引対象を説明する情報として登録した任意の情報を、取引対象の属性情報として採用してよい。後述するように、このような属性情報は、属性情報の内容や特徴を示す分散表現に変換され、取引対象と対応付けて保持される。そして、判定装置10は、このような分散表現を用いて、新規に登録された取引対象等、所定の取引対象と類似する他の取引対象を選択することとなる。
【0026】
〔1−4.利用者の属性について〕
ここで、判定装置10は、取引対象の提示先となる利用者に関する任意の情報を、利用者の属性として採用可能である。例えば、判定装置10は、利用者のデモグラフィック属性やサイコグラフィック属性を利用者の属性情報としてもよい。また、判定装置10は、利用者が過去に購買した取引対象の履歴を示す購買履歴を、利用者の属性情報としてもよい。すなわち、判定装置10は、利用者が購買する可能性が高い取引対象を選択する際に有用であるならば、任意の情報を利用者の属性情報として採用可能である。
【0027】
〔1−5.購買傾向について〕
ここで、判定装置10は、任意の購買傾向に基づいて、取引対象の分類を行ってよい。より具体的には、判定装置10は、電子商取引においてどのような利用者が購買しているかといった分類、すなわち、利用者の属性に応じた分類を行えばよい。例えば、判定装置10は、男性が頻繁に購買している取引対象、女性が頻繁に購買している取引対象、30代の利用者が頻繁に購買している取引対象等というように、頻繁に購買する利用者の属性の種別に応じた分類を行ってよい。また、判定装置10は、10代男性が頻繁に購買している取引対象等というように、複数の属性の種別に応じた分類を行ってよい。
【0028】
また、判定装置10は、利用者の情報のみならず、他の情報を組み合わせた分類を行ってもよい。例えば、判定装置10は、日曜日に男性が頻繁に購買している取引対象等というように、取引対象が購買される日時に応じた分類を行ってもよい。また、判定装置10は、ある取引対象と同時に購買される取引対象(例えば、プリンターとインク等)というように、取引対象が購買されるタイミングに応じた分類を行ってもよい。ここで、判定装置10は、例えば、プリンターが購入された後に購買される取引対象として、インクや紙を同じグループに分類するが、インクや紙が購入された後に購買される取引対象にはプリンターを分類しないというように、取引対象が購買される順番を考慮した分類を行ってもよい。
【0029】
このように、判定装置10は、各取引対象の属性のみならず、曜日、日時、天気、気温、気圧等といった取引対象が購買されるシチュエーションを購買傾向に含めてもよく、同時購入されやすい取引対象や、取引対象が購買される順番等といった条件を購買傾向に含めてもよい。すなわち、判定装置10は、取引対象の購買行為に関する傾向を示す情報であれば、任意の情報を考慮した購買傾向に基づいて、各取引対象の分類を行えばよい。
【0030】
〔1−6.分散表現を用いた処理について〕
ここで、判定装置10は、上述した処理を実現する手法として、取引対象の属性を示す分散表現を用いた判定処理を実行する。より具体的には、判定装置10は、購買傾向が類似する取引対象の分散表現が類似するように、登録済みの取引対象の属性を分散表現に変換する。そして、判定装置10は、新規に登録された取引対象等、所定の取引対象の属性を分散表現に変換し、登録済みの取引対象の中から、分散表現が所定の取引対象の分散表現と類似する取引対象を選択する。すなわち、判定装置10は、各取引対象の属性に基づいて、登録済みの取引対象のうち、新規に登録された取引対象と購買傾向が類似すると推定される取引対象を選択する。そして、判定装置10は、選択した取引対象の購買履歴に基づいて、新規に登録された取引対象がどのような属性を有する利用者に購買されやすいかを特定し、特定結果に基づいて、新規に登録された取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。
【0031】
ここで、判定装置10は、所定の学習処理によって学習が行われたモデルを用いて、取引対象の属性を示す分散表現を算出する。このようなモデルは、例えば、DNN(Deep Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)等により実現が可能である。
【0032】
例えば、判定装置10は、登録済みの取引対象のうち、購買履歴が十分に存在する取引対象を学習対象として選択する。また、判定装置10は、選択した取引対象の購買履歴に基づいて、学習対象の購買傾向をそれぞれ特定する。そして、判定装置10は、学習対象として選択した取引対象の属性からその取引対象の分散表現を決定するモデルであって、購買傾向が所定の傾向を有する取引対象の分散表現として、類似する分散表現を決定するモデルの学習を行う。すなわち、判定装置10は、購買傾向が類似する取引対象を同じグループに分類するモデルの学習を行う。
【0033】
例えば、判定装置10は、学習対象として選択された取引対象の購買傾向を、その取引対象の分類先を示す情報(例えば、教師信号)とし、その取引対象の属性を示す属性情報を入力情報とする。そして、判定装置10は、購買傾向が類似または同じ複数の取引対象の属性情報を入力した際に、類似する分散表現をモデルが出力するように、任意の学習手法を用いてモデルの学習を行う。例えば、判定装置10は、DNNをモデルとして採用する場合は、同様の属性を有する利用者によって購入された取引対象等、購買傾向が類似する取引対象の写真や説明文を入力した際に、類似する分散表現を出力し、購買傾向が類似しない取引対象の写真や説明文を入力した際に、類似しない分散表現を出力するように、バックプロパゲーション法等の学習手法を用いて、モデルの学習を行う。
【0034】
なお、例えば、判定装置10は、ある取引対象が購買された後で、頻繁に購買されている取引対象の分類を行う場合等、時系列を考慮した購買傾向に基づく分類を行う場合は、RNNをモデルとして採用してもよい。例えば、判定装置10は、先に購買される取引対象の属性情報をモデルに入力し、続いて、後に購買される取引対象の属性情報をモデルに入力し、先に購買される取引対象が同一または類似する取引対象の分散表現が類似するように、後に購買される取引対象の分散表現を得るモデルの学習を行う。このような学習により得られるモデルは、所定の取引対象の前に良く購買される取引対象が存在する場合や、所定の取引対象の前に良く購買される取引対象が学習対象とは異なる取引対象である場合には、分散表現が類似しなくなる。このため、判定装置10は、ある取引対象が購買された後で、頻繁に購買されている取引対象の分類を行う場合等、時系列を考慮した購買傾向に基づく分類を行うモデルを学習することができる。
【0035】
このようなモデルにより算出される分散表現には、利用者等が外観や性能等といった取引対象が有する明確な特徴のみならず、購買傾向が共通する取引対象が暗示的に共有している特徴(例えば、購買傾向が共通する取引対象を示す概念)を示すと予測される。そこで、判定装置10は、上述した学習処理により得られたモデルを用いて、新規な取引対象と購買傾向が類似する取引対象を選択する。例えば、判定装置10は、新たに登録された取引対象の画像や説明文等といった属性情報をモデルに入力し、分散表現を得る。このようにして得られる分散表現は、購買傾向が類似すると推定(予測)される他の取引対象と類似すると考えられる。そこで、判定装置10は、登録済みの取引対象のうち、新たに登録された取引対象と分散表現が類似する取引対象を選択することで、新たに登録された取引対象と購買傾向が類似する取引対象を特定し、特定した取引対象の購買傾向に基づいて、新たに登録された取引対象を利用者に提示するかを判定する。
【0036】
より具体的には、判定装置10は、利用者U01からコンテンツの配信要求を受付けた場合、購買履歴が無い取引対象と購買傾向が類似する取引対象を選択し、選択した取引対象の購買傾向と、利用者U01の属性とのマッチング結果に基づいて、購買履歴が無い取引対象を利用者U01に提示するか否かを判定する。そして、判定装置10は、購買履歴が無い取引対象を利用者U01に提示すると判定した場合は、購買履歴が無い取引対象の広告コンテンツ等を生成し、生成した広告コンテンツを利用者U01へと配信する。この結果、判定装置10は、購買履歴が存在しない取引対象が存在する場合であっても、利用者が購買する可能性が高い取引対象を提示することができるので、利用者に提案する取引対象の選択精度を向上させることができる。
【0037】
〔1−7.判定処理の一例について〕
次に、
図1を用いて、判定装置10が実行する判定処理の一例について説明する。なお、以下の説明では、判定装置10は、上述した学習処理によって学習を行ったモデルを用いて、購買履歴が存在する取引対象の分散表現を算出し、算出した分散表現を用いて、取引対象を購買傾向に応じて分類済みであるものとする。
【0038】
例えば、
図1に示す例では、判定装置10は、購買傾向#1を有するグループ#1に、取引対象#1−1〜取引対象#1−3を分類済みであり、購買傾向#2を有するグループ#2に、取引対象#2−1〜取引対象#2−3を分類済みであるものとする。このようなグループ#1に分類された取引対象#1−1〜取引対象#1−3の分散表現#1−1〜分散表現#1−3は、相互に類似し、グループ#2に分類された取引対象#2−1〜取引対象#2−3の分散表現#2−1〜分散表現#2−3は、相互に類似することとなる。なお、判定装置10は、グループ#1およびグループ#2以外にも、購買傾向に応じたグループを複数記憶しているものとする。
【0039】
例えば、判定装置10は、ECサーバ100等から、新たに登録された取引対象(以下、「新規取引対象」と記載する。)である取引対象#Aの名称、属性情報、購買履歴といった取引対象情報を取得する(ステップS1)。このような場合、判定装置10は、購買傾向ごとに分類が行われた各取引対象の中から、新規取引対象である取引対象#Aと購買傾向が類似すると予測される取引対象のグループを選択する(ステップS2)。すなわち、判定装置10は、取引対象#Aと分散表現が示す属性が類似する取引対象を特定する。
【0040】
例えば、判定装置10は、上述した学習処理によって学習を行ったモデルを用いて、取引対象#Aの属性情報から取引対象#Aの分散表現#Aを取得する。そして、判定装置10は、分散表現が分散表現#Aと類似する取引対象を検索する。すなわち、判定装置10は、取引対象#Aの属性情報に基づいて、取引対象#Aと購買傾向が類似する取引対象を選択する。例えば、判定装置10は、実線矢印で示すように、分散表現#2−1〜分散表現#2−3のいずれかが、取引対象#Aの分散表現#Aと類似する場合は、取引対象#Aと購買傾向が類似すると予測される取引対象のグループとして、グループ#2を選択する。
【0041】
なお、上述した検索においては、分散表現#2−1〜分散表現#2−3の全てが分散表現#Aと類似する必要はない。例えば、判定装置10は、分散表現#2−1〜分散表現#2−3のいずれかが、取引対象#Aの分散表現#Aと類似している場合は、取引対象#Aと購買傾向が類似すると予測される取引対象のグループとして、グループ#2を選択してもよい。また、例えば、判定装置10は、各グループのうち、分散表現#Aと類似する分散表現が含まれる数が最も多いグループを選択してもよい。また、類似する分散表現の検索においては、ハミング距離やコサイン距離を用いた任意の検索手法が採用可能である。
【0042】
続いて、判定装置10は、新規取引対象である取引対象#Aの購買履歴が、選択したグループに含まれる取引対象の購買履歴に基づいた購買傾向と類似すると推定する(ステップS3)。例えば、判定装置10は、グループ#2の購買傾向#2が、年代「30代」、性別「女性」、地域「北海道」等といった属性を有する利用者によって頻繁に購買されているという傾向である場合、取引対象#Aの購買傾向が、購買傾向#2であると推定する。
【0043】
ここで、判定装置10は、利用者U01から取引対象の提示を要求するリクエストを受付ける(ステップS4)。例えば、利用者U01が使用する端末装置200は、電子商店街やオークションにおける検索時や、ウェブコンテンツの閲覧時において、取引対象の広告配信をリクエストする。このような場合、判定装置10は、購買傾向が利用者U01の属性と類似する取引対象を選択する(ステップS5)。例えば、判定装置10は、利用者U01の属性を示す利用者情報#1と、推定された取引対象#Aの購買傾向#2とを比較する。そして、判定装置10は、利用者情報#1と、購買傾向#2とがマッチする場合、例えば、購買傾向#2が示す利用者の属性と、利用者情報#1が示す利用者U01の属性とが類似或いは一致する場合、取引対象#Aを利用者U01に対して提示すると判定する。なお、判定装置10は、グループ#2に分類した取引対象#2−1〜取引対象#2−3についても、利用者U01に対して提示すると判定してもよい。
【0044】
そして、判定装置10は、取引対象#Aを紹介するコンテンツを生成し、生成したコンテンツを利用者U01の端末装置200に対して配信する(ステップS6)。この結果、判定装置10は、取引対象#Aに購買履歴が無い場合であっても、購入する可能性が高い利用者U01に対して提示することができる。
【0045】
〔2.判定装置の構成〕
以下、上記した判定処理を実現する判定装置10が有する機能構成の一例について説明する。
図2は、実施形態に係る判定装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、判定装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0046】
通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ECサーバ100や端末装置200との間で情報の送受信を行う。
【0047】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、取引対象データベース31、購買履歴データベース32、分類結果データベース33、およびモデルデータベース34(以下、「各データベース31〜34」と総称する場合がある。)を記憶する。
【0048】
取引対象データベース31には、取引対象の属性情報が格納される。例えば、
図3は、実施形態に係る取引対象データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図3に示すように、取引対象データベース31には、「取引対象ID(Identifier)」、「属性情報」および「分散表現」等といった項目を有する情報が登録されている。また、「属性情報」には、「カテゴリ」、「価格」、「メーカ」、「画像」、「説明文」、「購買時期」などといった情報、すなわち、属性情報の各項目が含まれる。なお、取引対象データベース31には、取引対象の属性を示す他の任意の情報が登録されているものとする。
【0049】
ここで、「取引対象ID」とは、取引対象の識別子である。また、「属性情報」とは、対応付けられた取引対象IDが示す取引対象の属性情報であり、カテゴリ、価格、メーカ、画像、説明文、購買時期等を示す情報である。また「分散表現」とは、対応付けられた属性情報からモデルが算出した分散表現である。
【0050】
例えば、
図3に示す例では、取引対象ID「ID#1」、カテゴリ「カテゴリ#1」、価格「価格#1」、メーカ「メーカ#1」、画像「画像#1」、説明文「説明文#1」、購買時期「購買時期#1」、分散表現「分散表現#1」といった情報が対応付けて登録されている。このような情報は、取引対象ID「ID#1」が示す取引対象が属するカテゴリがカテゴリ「カテゴリ#1」であり、価格が価格「価格#1」であり、メーカがメーカ「メーカ#1」であり、画像が画像「画像#1」であり、説明文が説明文「説明文#1」であり、購買時期が購買時期「購買時期#1」である旨を示す。また、このような情報は、、取引対象ID「ID#1」と対応付けられた属性情報の分散表現が分散表現「分散表現#1」である旨を示す。
【0051】
なお、
図3に示す例では、「ID#1」、「カテゴリ#1」、「価格#1」、「メーカ#1」、「画像#1」、「説明文#1」、「購買時期#1」、「分散表現#1」等といった概念的な値を記載したが、実際には、各項目を示すテキストや数値、画像データ等が登録されることとなる。
【0052】
図2に戻り、説明を続ける。購買履歴データベース32は、各取引対象の購買履歴を示す情報が格納される。例えば、
図4は、実施形態に係る購買履歴データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図4に示すように、購買履歴データベース32には、「取引対象ID」と「購買履歴」とが対応付けて登録されている。ここで、「購買履歴」とは、対応付けられた取引対象IDが示す取引対象の購買履歴であり、取引対象を購買した利用者の識別子や利用者の属性、購買が行われた日時や数量等を示す情報が格納される。
【0053】
例えば、
図4に示す例では、取引対象ID「ID#1」と購買履歴「N/A」とが対応付けて登録されており、取引対象ID「ID#2」と購買履歴「購買履歴#2」とが対応付けて登録されている。このような情報は、取引対象ID「ID#1」が示す取引対象に購買履歴が存在せず、取引対象ID「ID#2」が示す取引対象の購買履歴が購買履歴「購買履歴#2」である旨を示す。なお、
図4に示す例では、「購買履歴#2」等といった概念的な値を記載したが、実際には、購買履歴を示す詳細なデータ等が登録されることとなる。
【0054】
図2に戻り、説明を続ける。分類結果データベース33は、購買傾向に基づいて各取引対象を分類した分類結果が登録される。例えば、
図5は、実施形態に係る分類結果データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図5に示すように、分類結果データベース33には、「分類ID」と「取引対象ID」と「購買傾向」とが対応付けて登録されている。ここで、「分類ID」とは、同様または類似する購買傾向を有する取引対象が含まれるグループを示す識別子である。また、「購買傾向」とは、対応付けられた取引対象IDが示す取引対象の購買履歴に基づく購買傾向を示す情報である。
【0055】
例えば、
図5に示す例では、分類ID「グループ#1」と取引対象ID「ID#1、ID#2」、購買傾向「購買傾向#1」とが対応付けて登録されている。このような情報は、取引対象ID「ID#1」および取引対象ID「ID#2」が示す取引対象の購買傾向が購買傾向「購買傾向#1」であり、分類ID「グループ#1」が示すグループに分類されている旨を示す。
【0056】
図2に戻り、説明を続ける。モデルデータベース34には、学習処理によって学習が行われたモデルのデータが登録される。例えば、モデルデータベース34には、モデルとして用いられるDNNのノードの情報や、ノード間の接続経路における接続係数等が登録されている。
【0057】
制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、判定装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0058】
図2に示すように、制御部40は、収集部41、算出部42、分類部43、特定部44、判定部45、および学習部46を有する。収集部41は、取引対象の属性情報や購買履歴を収集する。例えば、収集部41は、所定の時間間隔で、ECサーバ100から、取引対象の属性情報を含む取引対象情報や購買履歴を収集し、収集した取引対象情報に含まれる属性情報を取引対象データベース31に登録し、購買履歴を購買履歴データベース32に登録する。
【0059】
算出部42は、学習部46によって学習されたモデルを用いて、各取引対象の属性情報を示す分散表現を算出する。すなわち、算出部42は、取引対象の属性からその取引対象の属性を示す分散表現を決定するモデルであって、購買傾向が類似する取引対象の分散表現が類似するように学習が行われたモデルを用いて、各取引対象の分散表現を算出する。
【0060】
例えば、算出部42は、モデルデータベース34からモデルを読み出す。そして、算出部42は、読み出したモデルを用いて、取引対象データベース31に登録された取引対象ごとに、属性情報を示す分散表現を算出する。すなわち、算出部42は、同様の購買傾向を有する取引対象の分散表現が類似するように、各取引対象の属性に基づく分散表現を算出する。そして、算出部42は、算出した分散表現を取引対象データベース31に登録する。
【0061】
分類部43は、分散表現を用いて、取引対象を購買傾向に応じた組に分類する。例えば、分類部43は、購買履歴データベース32を参照し、各取引対象の購買傾向を特定する。そして、分類部43は、購買傾向が類似する取引対象を同じグループに分類し、分類結果と購買傾向とを対応づけて分類結果データベース33に登録する。ここで、分類部43は、購買履歴が存在しない取引対象、すなわち、新規取引対象が存在する場合は、新規取引対象の取引対象IDを特定部44に通知する。
【0062】
特定部44は、取引対象に関する情報に基づく分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。例えば、特定部44は、所定の取引対象の説明文または写真の少なくともいずれか1つに基づく分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。すなわち、特定部44は、所定の取引対象と購買傾向が類似すると推定される他の取引対象を特定する。
【0063】
また、例えば、特定部44は、他の取引対象として、購買傾向に応じて複数の組に分類された取引対象のうち、属性が所定の取引対象の属性と類似する取引対象と同じ組に分類された取引対象を特定する。また、例えば、特定部44は、他の取引対象として、取引対象の属性を示す分散表現が、所定の取引対象と類似する取引対象を特定する。
【0064】
例えば、特定部44は、取引対象データベース31を参照し、新規取引対象の分散表現を特定し、特定した分散表現と類似する他の分散表現を検索する。すなわち、特定部44は、分散表現が新規取引対象と類似する取引対象を検索する。このような処理により、特定部44は、新規取引対象と購買履歴が類似すると予測される取引対象を特定することができる。そして、特定部44は、分散表現が新規取引対象と類似する取引対象が属するグループを分類結果データベース33から特定し、特定したグループに新規取引対象を分類する。
【0065】
判定部45は、特定部44により特定された他の取引対象の購買履歴に基づいて、所定の取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。例えば、判定部45は、端末装置200からリクエストを受信すると、分類結果データベース33に登録された各購買傾向が、端末装置200を利用する利用者U01の利用者情報とマッチするか否かを判定する。そして、判定部45は、ある購買傾向について、利用者U01の利用者情報とマッチすると判定した場合は、その購買傾向と対応付けられた取引対象IDを抽出し、抽出した取引対象IDが示す取引対象を利用者に提示すると判定する。
【0066】
ここで、分類結果データベース33には、特定部44が実行する処理により、購買履歴が存在しない新規取引対象が、類似する購買傾向を有する取引対象と同じグループに登録されている。また、各グループには、グループに分類された取引対象のうち、新規取引対象以外の取引対象の購買履歴に基づいた、購買傾向が対応付けて登録されている。このため、判定部45は、分類結果データベース33に登録された各購買傾向が、利用者U01の属性とマッチするか否かを判定することで、新規取引対象と類似する他の取引対象の購買履歴に基づいて、新規取引対象を利用者U01に提示すべきか否かを精度良く判定することができる。
【0067】
また、判定部45は、抽出した取引対象IDが示す取引対象を広告するコンテンツを生成する。そして、判定部45は、生成したコンテンツを端末装置200へと配信する。なお、判定部45は、抽出した取引対象IDが示す取引対象からコンテンツの配信対象となる取引対象を、任意のリスティングロジックに基づいて選択し、選択した取引対象のコンテンツのみを配信してもよい。
【0068】
また、判定部45は、取引対象の購買順序や同時購入を考慮した分類が行われている場合には、利用者U01の購買履歴を考慮して、提示対象となる取引対象を選択してもよい。例えば、分類部43は、第1の取引対象と同時購入される傾向がある取引対象を所定のグループ(以下、「同時購入グループ」と記載する。)に分類する。また、特定部44は、新規取引対象の属性が、同時購入グループの取引対象と類似する場合は、新規取引対象を同時購入グループに分類する。
【0069】
このような場合、判定部45は、利用者U01のショッピングカート内に投入されている取引対象をECサーバ100に問い合わせ、第1の取引対象がショッピングカート内に投入されているか、すなわち、第1の取引対象が購入予定であるか否かを判定する。そして、判定部45は、第1の取引対象が購入予定であると判定した場合は、同時購入グループに分類された取引対象を利用者に提示すると判定し、同時購入グループに分類された取引対象を利用者U01に対して提示する。このような処理を実行することで、判定装置10は、例えば、プリンタを購入しようとする利用者に対し、新商品となるインクや紙等といった同時購入される可能性が高い取引対象であって、購買履歴が存在しない新規取引対象を提示することができる。
【0070】
また、例えば、分類部43は、第1の取引対象の後で購入される傾向がある取引対象を所定のグループ(以下、「逐次購入グループ」と記載する。)に分類する。また、特定部44は、新規取引対象の属性が、逐次購入グループの取引対象と類似する場合は、新規取引対象を逐次購入グループに分類する。
【0071】
このような場合、判定部45は、利用者U01の購買履歴をECサーバ100等に問い合わせ、利用者U01が第1の取引対象を購入済みであるか否かを判定する。そして、判定部45は、第1の取引対象が購入済みであると判定した場合は、逐次購入グループに分類された取引対象を利用者に提示すると判定し、逐次購入グループに分類された取引対象を利用者U01に対して提示する。このような処理を実行することで、判定装置10は、例えば、プリンタを購入済みである利用者に対し、新商品となるインクや紙等といった取引対象を提示することができる。また、判定装置10は、インクや紙等を購入済みの利用者に対して、新商品のプリンタを提示するといった不確実な提示を防ぐことができる。
【0072】
学習部46は、モデルの学習を行う学習処理を実行する。例えば、学習部46は、購買履歴が示す傾向が類似する取引対象の分散表現が類似するように、取引対象の属性からその取引対象の分散表現を決定するモデルを学習する。また、例えば、学習部46は、取引対象の購買履歴が示す傾向をその取引対象の分類先を示す情報とし、その取引対象の属性が有する特徴をモデルに学習させる。また、例えば、学習部46は、取引対象を購入した利用者の属性を、取引対象の分類先を示す情報、すなわち、購買傾向とする。
【0073】
例えば、学習部46は、購買履歴データベース32を参照し、購買履歴が十分に存在する取引対象を学習対象として選択する。また、学習部46は、分類部43と同様に、購買傾向が類似する学習対象を同じグループに分類する。なお、学習部46は、分類結果データベース33を参照し、同じグループに分類する学習対象を特定してもよい。
【0074】
そして、学習部46は、同一のグループに分類した学習対象の分散表現が類似するように、各学習対象の属性から分散表現を算出するモデルの学習を行う。この際、学習部46は、購買傾向が類似するグループに分類された学習対象の分散表現の類似度が第1の閾値以上、第2の閾値以下となり、同一のグループに分類された学習対象の分散表現の類似度が第2の閾値よりも大きくなるように、モデルの学習を行ってもよい。また、学習部46は、類似しないグループに分類した学習対象の分散表現の類似度が所定の閾値以下となるように、モデルの学習を行ってもよい。
【0075】
すなわち、学習部46は、購買傾向が類似する取引対象の属性から、類似する分散表現を算出することができるモデルであれば、任意の学習を行ってよい。この結果、学習部46は、購買傾向を考慮した属性の類似性に基づいて、購買履歴が無い新規取引対象を購買傾向が類似するグループに分類可能なモデルを生成することができる。
【0076】
〔3.判定処理の流れの一例〕
続いて、
図6を用いて、判定装置10が実行する判定処理の流れについて説明する。
図6は、実施形態にかかる判定装置が実行する判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。例えば、判定装置10は、各取引対象の情報と共に、新規な取引対象の情報を収集する(ステップS101)。このような場合、判定装置10は、購買傾向が類似する取引対象の分散表現が類似するように、取引対象の属性から分散表現を算出するモデルを用いて、新規な取引対象の属性を分散表現に変換する(ステップS102)。そして、判定装置10は、分散表現が類似する他の取引対象を特定し(ステップS103)、処理を終了する。
【0077】
次に、
図7を用いて、判定装置10が取引対象を提示する処理の一例について説明する。
図7は、実施形態にかかる判定装置が取引対象を提示する処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図7に示す例では、新規取引対象について行われる処理の流れについて記載した。例えば、判定装置10は、利用者から取引対象のリクエストを受付けた場合は、新規取引対象について選択した他の取引対象の購買履歴に基づいて、新規取引対象を利用者に提示するか判定する(ステップS104)。すなわち、判定装置10は、新規取引対象と同じグループに分類された他の取引対象の購買履歴が示す購買傾向に基づいて、新規取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。
【0078】
また、判定装置10は、提示すると判定した場合は(ステップS105:Yes)、利用者に新規取引対象の情報を配信し(ステップS106)、処理を終了する。また、判定装置10は、提示しないと判定した場合は(ステップS105:No)、他の取引対象の情報を配信し、処理を終了する。
【0079】
〔4.変形例〕
上記では、判定装置10による判定処理の一例について説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。以下、判定装置10が実行する判定処理のバリエーションについて説明する。
【0080】
〔4−1.装置構成〕
判定装置10は、ECサーバ100と同一視可能なサーバ装置やクラウドシステム等により実現されてもよく、ECサーバ100のバックエンドサーバとして動作してもよい。また、判定装置10が発揮する機能は、ECサーバ100内に含まれていてもよい。
【0081】
また、判定装置10は、複数の装置が協調することにより、上述した判定処理や学習処理を実現してもよい。例えば、判定装置10は、収集部41、算出部42、分類部43、特定部44、判定部45を有する判定サーバと、学習部46を有する学習サーバにより実現されてもよい。また、記憶部30に格納された各データベース31〜34は、判定装置10の内部ではなく、例えば、外部のストレージサーバ等に格納されていてもよい。
【0082】
〔4−2.配信タイミング〕
判定装置10は、取引対象に関するコンテンツを、任意のタイミングで端末装置200に配信してもよい。例えば、判定装置10は、ポータルサイトやウェブページ等、任意のウェブコンテンツを閲覧する際に表示される広告コンテンツとして、取引対象に関するコンテンツを配信してもよい。
【0083】
また、判定装置10は、取引対象の検索結果を表示する際に、取引対象に関するコンテンツを配信してもよい。このような処理を実行する場合、判定装置10は、利用者が入力した検索クエリを考慮したコンテンツの分類を行えばよい。例えば、判定装置10は、購買傾向として、どのような検索クエリが入力された際に購買されているかといった分類を行うようにモデルの学習を行い、利用者U01が入力した検索クエリに応じて、利用者U01に提示する取引対象のグループを選択すればよい。
【0084】
〔4−3.モデルについて〕
ここで、配信装置10は、取引対象の属性から散表現を決定するモデルであって、購買履歴が示す傾向が所定の傾向を有する取引対象の分散表現が類似するように学習が行われたモデルを用いて、新規取引対象および他の取引対象の分散表現を算出し、算出結果に基づいて、新規取消対象と購買傾向が類似する他の取引対象を特定した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。
【0085】
例えば、判定装置10は、取引対象に関する情報の分散表現と、取引対象を購買した利用者に関する情報の分散表現とが類似するように、取引対象に関する情報または利用者に関する情報から分散表現の値を決定するモデルの学習を行う。そして、判定装置10は、新規取引対象を含む各取引対象に関する情報から分散表現を生成し、類似する分散表現のクラスタリングを行うことで、新規取引対象と購買傾向が類似する他の取引対象を選択してもよい。また、判定装置10は、新規取引対象の分散表現と、利用者の分散表現とを比較し、各分散表現が類似する場合は、新規取引対象の情報を利用者に対して提供すると判定してもよい。
【0086】
また、判定装置10は、モデルを用いて利用者の分散表現を算出し、算出した分散表現と類似する分散表現の取引対象を特定することで、利用者が購入する可能性が高い取引対象を特定してもよい。このように、判定装置10は、モデルを取引対象と利用者との両方に一般化するとともに、取引対象の販売傾向に応じたクラスタリングを実現するように、モデルの学習を行う。この結果、判定装置10は、利用者に対して提案する取引対象の精度を向上させることができる。
【0087】
〔4−4.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0088】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0089】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0090】
〔5.プログラム〕
また、上述してきた実施形態に係る判定装置10は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0091】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。
【0092】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0093】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0094】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0095】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0096】
例えば、コンピュータ1000が判定装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部40の機能を実現する。
【0097】
〔6.効果〕
上述したように、判定装置10は、取引対象に関する情報に基づく分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。そして、判定装置10は、特定された他の取引対象の購買履歴に基づいて、所定の取引対象を利用者に提示するか否かを判定する。この結果、判定装置10は、取引対象に購買履歴が無い場合であっても、購入する可能性が高い利用者U01に対して提示することができる。このため、判定装置10は、利用者に提案する取引対象を精度良く選択することができる。
【0098】
また、判定装置10は、所定の取引対象の説明文または写真の少なくともいずれか1つまたは両方に基づく分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。この結果、判定装置10は、取引対象に購買履歴が無い場合であっても、利用者に提案する取引対象を精度良く選択することができる。
【0099】
また、判定装置10は、所定の取引対象と購買傾向が類似すると推定される他の取引対象を特定する。より具体的には、判定装置10は、他の取引対象として、購買傾向に応じて複数の組に分類された取引対象のうち、属性が所定の取引対象の属性と類似する取引対象と同じ組に分類された取引対象を特定する。この結果、判定装置10は、取引対象に購買履歴が無い場合であっても、購買傾向に基づいた提案を実現することができる。
【0100】
また、判定装置10は、他の取引対象として、取引対象の属性を示す分散表現が、所定の取引対象と類似する取引対象を特定する。例えば、判定装置10は、取引対象の属性からその取引対象の属性を示す分散表現を決定するモデルであって、購買履歴が示す傾向が所定の傾向を有する取引対象の分散表現が類似するように学習が行われたモデルを用いて、所定の取引対象および他の取引対象の分散表現を算出する。そして、判定装置10は、算出された分散表現を用いて、所定の取引対象と類似する他の取引対象を特定する。具体的には、判定装置10は、所定の取引対象と分散表現が類似する取引対象を特定する。
【0101】
また、例えば、判定装置10は、購買履歴が示す傾向が類似する取引対象の分散表現が類似するように、取引対象の属性からその取引対象の分散表現を決定するモデルを学習する。そして、判定装置10は、モデルを用いて、取引対象の分散表現を算出する。そして、判定装置10は、取引対象の購買履歴が示す傾向をその取引対象の分類先を示す情報とし、その取引対象の属性が有する特徴をモデルに学習させる。
【0102】
このように、判定装置10は、取引対象の属性を示す分散表現であって、購買傾向に応じた類似性を有する分散表現を用いて、所定の取引対象と購買傾向が類似する他の取引対象を選択する。このため、判定装置10は、所定の取引対象に購買履歴が無い場合であっても、購買傾向が類似すると推定される他の取引対象の購買傾向に基づいて、取引対象を利用者に提示するか判定することができるので、利用者に提案する取引対象の精度を向上させることができる。
【0103】
また、判定装置10は、取引対象を購入した利用者の属性を、その取引対象の分類先を示す情報とする。また、判定装置10は、分散表現を用いて、各取引対象を、その取引対象の購買傾向に応じた組に分類し、所定の取引対象と属性が類似する取引対象が分類された組から他の取引対象を特定する。このため、判定装置10は、利用者に提案する取引対象の精度を向上させることができる。
【0104】
また、判定装置10は、第1の取引対象と同時購入される取引対象が分類された組に所定の取引対象が分類されている場合は、利用者が第1の取引対象を購入予定であるかを判定し、購入予定であると判定した場合は、所定の取引対象を利用者に提示すると判定する。このため、判定装置10は、取引対象の同時購入を考慮して、利用者に提案する取引対象を選択することができる。
【0105】
また、判定装置10は、第1の取引対象の後で購入される取引対象が分類された組に所定の取引対象が分類されている場合は、利用者が第1の取引対象を購入済みであるかを判定し、購入済みであると判定した場合は、所定の取引対象を利用者に提示すると判定する。このため、判定装置10は、取引対象が購入される順序を考慮して、利用者に提案する取引対象を選択することができる。
【0106】
また、判定装置10は、取引対象に関する情報の分散表現と、取引対象を購買した利用者に関する情報の分散表現とが類似するように、取引対象に関する情報または利用者に関する情報から分散表現の値を決定するモデルを用いて、所定の取引対象の分散表現または所定の利用者の分散表現を算出する。そして、判定装置10は、算出した分散表現が、所定の取引対象または所定の利用者と類似する他の取引対象または他の利用者を特定する。このため、判定装置10は、例えば、購買履歴がない取引対象の情報を適切な利用者に配信することができる。また、判定装置10は、購買履歴がない利用者に対して適切な取引対象の情報を配信することができる。
【0107】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0108】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、分類部は、分類手段や分類回路に読み替えることができる。