(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記紙幣共通搬送部は、前記両面の入出金部に共通の駆動部によって回転駆動されて前記紙幣一時保管部から紙幣を排出させる紙幣共通搬送ローラと、前記紙幣共通搬送ローラに対向する位置に設けられ、前記紙幣共通搬送ローラに向かって移動して前記紙幣を前記紙幣共通搬送ローラに接触させる可動板とをさらに備え、
前記制御部は、前記第1の搬出処理において、前記紙幣一時保管部から紙幣が正常に搬出されなかったと判断したとき、前記可動板を前記紙幣共通搬送ローラに向かって移動させて前記紙幣を前記紙幣共通搬送ローラに接触させた後、前記両面の入出金部に共通の駆動部で前記紙幣共通搬送ローラを回転駆動させることにより、前記第2の搬出処理を実行させる請求項1または2に記載の自動釣銭入出金機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(i)両面に入出金部を有する筐体を備えた自動釣銭入出金機であって、前記入出金部はそれぞれ、紙幣入出金口と、前記紙幣入出金口から入金された紙幣または前記紙幣入出金口に払い出すべき紙幣を一時的に保管する紙幣一時保管部と、前記入出金部に対応する駆動部により紙幣の搬送を行う紙幣個別搬送部と、前記紙幣一時保管部に保管された紙幣を検出する紙幣検出部とを備え、前記筐体は、両面の前記紙幣入出金口からそれぞれ入金された紙幣を共通に収納する紙幣収納部と、前記両面の入出金部に共通の駆動部により紙幣の搬送を行う紙幣共通搬送部と、前記入出金部、前記紙幣収納部および前記紙幣共通搬送部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記紙幣検出部の検出結果に基づき、前記紙幣入出金口から入金された紙幣が前記紙幣一時保管部内に正常に搬送されなかったと判断したとき、前記紙幣個別搬送部により前記紙幣を前記紙幣一時保管部から搬出する第1の搬出処理を実行させ、前記第1の搬出処理において、前記紙幣が前記紙幣一時保管部から正常に搬出されなかったと判断したとき、前記紙幣個別搬送部および前記紙幣共通搬送部の協働により前記紙幣を前記紙幣一時保管部から搬出する第2の搬出処理を実行させることを特徴とする。
【0016】
「自動釣銭入出金機」は、投入された紙幣を収容し、収容された紙幣を用いて払出しを行い、紙幣を金種別に収納する複数の紙幣収納室を有する紙幣収納排出装置が備えられた装置である。この発明の自動釣銭入出金機は、複数種類の硬貨を金種別に収納出金可能な硬貨収納出金装置を備えていてもよい。
なお、本願発明は、入出金部を両面(2つ)有する場合に限られず、3以上の入出金部を有する自動釣銭入出金機に対しても適用可能である。
「前記入出金部に対応する駆動部により紙幣の搬送を行う紙幣個別搬送部」は、他の面の入出金部とは独立に、ある面の入出金部の紙幣の搬送を行うために個別に駆動される紙幣の搬送部である。
なお、「駆動部」は必ずしもモータに対応するわけではない。例えば、1つのモータからの回転駆動力を各入出金部に伝達するか否かを可動式のギアを用いて決定する機構において、一方の面の入出金部のみにモータの回転駆動力を伝達する場合も「前記入出金部に対応する駆動部」に該当する。
「前記両面の入出金部に共通の駆動部により紙幣の搬送を行う紙幣共通搬送部」は、両面の入出金部に対して共通に駆動される紙幣の搬送部である。
【0017】
この発明の「紙幣個別搬送部」は、紙幣搬送ローラ32A,33A,32B,33Bおよび紙幣搬送ベルト39A,39Bおよび図示しないモータ等によって実現され、また、この発明の「紙幣検出部」は、紙幣検出センサ35A,35B,36A,36Bによって実現され、また、この発明の「紙幣共通搬送部」は、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bおよび図示しない搬送ベルトおよびモータ等によって実現される。
【0018】
また、本発明の自動釣銭入出金機は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0019】
(ii)エラーを報知するエラー報知部をさらに備え、前記制御部は、前記第2の搬出処理において、前記紙幣が前記一時保管部から正常に搬出されなかったと判断したとき、前記エラー報知部にエラーを報知させるものであってもよい。
【0020】
このようにすれば、エラー報知の回数を従来よりも低減できるため、ユーザーの利便性を高める自動釣銭入出金機を実現することができる。
【0021】
「エラー報知部」は、ディスプレイ等の表示部にエラーを報知するものであってもよいし、スピーカー等の音声発生部によりエラーを報知するものであってもよい。
【0022】
(iii)前記紙幣共通搬送部は、前記両面の入出金部に共通の駆動部によって回転駆動されて前記紙幣一時保管部から紙幣を排出させる紙幣共通搬送ローラと、前記紙幣共通搬送ローラに対向する位置に設けられ、前記紙幣共通搬送ローラに向かって移動して前記紙幣を前記紙幣共通搬送ローラに接触させる可動板とをさらに備え、前記制御部は、前記第1の搬出処理において、前記紙幣一時保管部から紙幣が正常に搬出されなかったと判断したとき、前記可動板を前記紙幣共通搬送ローラに向かって移動させて前記紙幣を前記紙幣共通搬送ローラに接触させた後、前記両面の入出金部に共通の駆動部で前記紙幣共通搬送ローラを回転駆動させることにより、前記第2の搬出処理を実行させるものであってもよい。
【0023】
このようにすれば、紙幣共通搬送部を用いた第2の搬出処理を搬送ローラおよび可動板を用いた簡単かつ安価な機構により実現することができる。
【0024】
(iv)前記紙幣検出部は、前記紙幣一時保管部において、紙幣の搬送方向の異なる位置に設けられた2以上の紙幣検出センサを備え、前記2以上の紙幣検出センサの全てが紙幣を検出したとき、前記制御部は、前記紙幣が前記紙幣一時保管部内に正常に搬送されたと判断するものであってもよい。
【0025】
このようにすれば、折れ曲がった紙幣が入ってきたり、または搬送路の途中で紙幣が引っかかってしまったりする不具合の発生を複数のセンサで精度よく検出することが可能になる。
【0026】
(v)前記入出金部に対し、前記紙幣共通搬送部を優先的に使用する優先権を取得できたか否かを決定する優先権決定部をさらに備え、前記制御部は、前記第1の搬出処理において、前記紙幣が前記紙幣一時保管部から正常に搬出されなかったと判断したとき、前記優先権決定部により、前記紙幣共通搬送部を使用する優先権が取得されたときに、第2の搬出処理を実行させるものであってもよい。
【0027】
このようにすれば、各入出金部は、紙幣共通搬送部を優先的に使用する優先権が与えられたときに紙幣共通搬送部を使用するため、例えば、両面の入出金部から同時に紙幣が入金された場合などの紙幣の排出処理がスムーズに行われるというメリットがある。
【0028】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0029】
(実施形態1)
<自動釣銭入出金機100の構成について>
図1は、この発明の実施形態1の両面型の自動釣銭入出金機100の構成を説明するブロック図であり、
図2は、
図1に示す自動釣銭入出金機100の内部構造を示す斜視図である。
【0030】
図1および
図2に示すように、この発明の両面型の自動釣銭入出金機100は、一方の面に紙幣入出金口11Aと、第1硬貨投入口13Aおよび硬貨払出口14Aとを有し、反対側の面に紙幣入出金口11Bと、第2硬貨投入口13Bおよび硬貨払出口14Bとを有する筐体(自動釣銭入出金機本体)10を備える。
【0031】
また、自動釣銭入出金機100は、筐体10に紙幣収納部20、紙幣収納部20に紙幣を搬送する紙幣搬送路40、紙幣搬送路40と紙幣入出金口11Aとの間に設けられた紙幣一時保管部30A、紙幣搬送路40と紙幣入出金口11Bとの間に設けられた紙幣一時保管部30Bを備える。
【0032】
また、自動釣銭入出金機100は、硬貨収納部50と、第1硬貨投入口13Aおよび第2硬貨投入口13Bにそれぞれ投入された硬貨を硬貨収納部50へ搬送する硬貨搬送部60A(
図2参照)および硬貨搬送部60B(
図2参照)とを備える。
【0033】
なお、この自動釣銭入出金機100は、紙幣搬送路40に搬送された紙幣の金種を識別する紙幣識別部(紙幣識別センサ41)と、硬貨搬送部の途中に設けられて硬貨の金種を識別する硬貨識別部と、紙幣識別部、紙幣収納部20、紙幣一時保管部30A、紙幣一時保管部30B、紙幣共通搬送部40、硬貨識別部、硬貨収納部50、硬貨搬送部60Aおよび硬貨搬送部60B等と接続される制御部101とをさらに備える。
【0034】
紙幣収納部20は、金種の異なる複数種類の紙幣、例えば、一万円札、五千円札および千円札を収納する第1、第2および第3紙幣収納部21、22、23を上下3段で備え、一万円札を収納する第1紙幣収納部21および五千円札を収納する第2紙幣収納室22は同じ大きさのスペースを有し、千円札を収納する第3紙幣収納部23が最も広いスペースを有する。
【0035】
紙幣共通搬送部40は、複数の紙幣共通搬送ローラ38A,38B(
図4参照)等が設けられた搬送通路と、第1〜第3紙幣収納部21〜23のうちのいずれか1つまたは紙幣入出金口11A,11Bのうちのいずれか1つへ紙幣が搬送されるように搬送通路を切り換える搬送通路切換機構とを有する。
【0036】
制御部101は、紙幣識別部からの紙幣識別信号を受信し、紙幣識別信号に応じて第1〜第3紙幣収納部21〜23のうちのいずれか1つへ紙幣を搬送する入金搬送指令信号を紙幣一時保管部30A、紙幣一時保管部30B、紙幣共通搬送部40等へ送信し、釣銭が必要となったときに所定の紙幣収納部21〜23から紙幣を紙幣入出金口11A,11Bのうちのいずれか1つへ搬送するよう紙幣一時保管部30A,30B、紙幣共通搬送部40等へ出金搬送指令信号を送信するように構成されている。
【0037】
<自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30A,30Bへの入金処理の流れ>
次に、
図3〜
図5に基づき、自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30A,30Bへの入金処理の流れについて説明する。
図3は、
図1に示す自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30A,30Bへの入金処理の流れを示すフローチャートであり、
図4は、
図1に示す自動釣銭入出金機100において、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bを使用しない場合の紙幣の入出金の流れを示す説明図であり、
図5は、
図1に示す自動釣銭入出金機100の紙幣共通搬送ローラ38A,38Bを使用する優先権の決定方法を示す説明図である。
【0038】
以下の説明では、紙幣入出金口11Aから紙幣を入金した場合を代表として説明するが、紙幣入出金口11Bから紙幣を入金した場合も同様である。
【0039】
図3のステップS101において、紙幣入出金口11Aから紙幣が入金されると(ステップS101)、制御部101は、続くステップS102において、紙幣入出金口11Aの近傍に設けられた光学センサ等の入出金口センサ31Aが当該紙幣を検出したか否かを判定する(ステップS102)。
【0040】
入出金口センサ31Aが当該紙幣を検出した場合(ステップS102の判定がYesの場合)、制御部101は、ステップS103において、紙幣一時保管部30Aに紙幣を搬送する(ステップS103)。
【0041】
図4に示すように、紙幣一時保管部30Aは、紙幣を一時的に保管する保管室と、保管室内に対して紙幣を出し入れするための紙幣出入り口と、紙幣出入り口に設けられた上下一対の紙幣搬送ローラ32A,33Aとを備える。
なお、破線BLは、紙幣一時保管部30A内に収納された紙幣を表す。
【0042】
入出金口センサ31Aが紙幣を検出すると、制御部101は、一対の紙幣搬送ローラ32A、33Aおよび紙幣搬送ローラ32A,33Aに連動したベルトを図示しないモータにて入金方向に回転駆動させ、紙幣一時保管部30Aに紙幣を搬送する。
その後、制御部101は、ステップS104の判定を行う(ステップS104)。
【0043】
一方、ステップS102において、入出金口センサ31Aが当該紙幣を検出していない場合(ステップS102の判定がNoの場合)、制御部101は、ステップS102の判定を繰り返す(ステップS102)。
【0044】
次に、ステップS104において、制御部101は、入出金口センサ31Aが紙幣を検出した後、予め定められた時間内に当該紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入ったか否かを判定する(ステップS104)。
【0045】
図4に示すように、紙幣一時保管部30Aは、紙幣搬送ローラ32A,33Aと、保管室の底部に紙幣検出センサ35A,36Aとを備える。
【0046】
ここで、保管室から見て、紙幣の搬送方向の紙幣出入り口の側(の方向)を前側(前方)、その反対側(の方向)を後側(後方)としたとき、紙幣検出センサ35A,36Aは、保管室の前半部分と後半部分にそれぞれ設けられる。
【0047】
制御部101は、入出金口センサ31Aが紙幣を検出した後、予め定められた時間内に紙幣検出センサ35A,36Aがいずれも当該紙幣の存在を検出した場合、紙幣一時保管部30A内に当該紙幣が正常に入ったものと判定する。
【0048】
予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入った場合(ステップS104の判定がYesの場合)、制御部101は、ステップS105の判定を行う(ステップS105)。
【0049】
一方、折れ曲がった紙幣が入ってきたり、または搬送路の途中で紙幣が引っかかってしまったりした場合は、紙幣検出センサ35A,36Aのいずれか一方、またはいずれのセンサも当該紙幣の存在を検出しないことがある。
このような場合、制御部101は、紙幣一時保管部30A内に当該紙幣が正常に入らなかったものと判定する。
【0050】
予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入らなかった場合(ステップS104の判定がNoの場合)、制御部101は、ステップS106において、紙幣一時保管部30Aからの当該紙幣の排出処理を実行する(ステップS106)。
【0051】
なお、紙幣一時保管部30Aからの当該紙幣の排出処理の詳細については、
図5および
図6の説明において後述する。
【0052】
次に、ステップS105において、制御部101は、紙幣搬送路を使用する優先権がとれたか否かを判定する(ステップS105)。
なお、紙幣搬送路40を使用する優先権は、図示しない優先権決定部により決定される。
【0053】
ここで、
図5に基づき、紙幣搬送路40を使用する優先権の決定方法について説明する。
図5の横軸は時間軸を示し、紙幣入出金口11Aの側をA側、紙幣入出金口11Bの側をB側としたとき、ある時間において、優先権フラグがA側およびB側のいずれの側に倒れているかを示す。
【0054】
図5に示すように、優先権決定部は、優先権フラグを予め定められた周期τ(ms)ごとに、A側およびB側の間を交互に切り替えるものとする。周期τの間隔は、例えば、10ms〜2000msであり、好ましくは100ms〜200msである。
例えば、P1の時点においては、優先権フラグはA側に倒れており、P2の時点においては、優先権フラグはB側に倒れている。
【0055】
ここで、紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入った時点、すなわち、紙幣検出センサ35A,36Aがいずれも当該紙幣の存在を検出した時点で、制御部101は、優先権フラグがA側およびB側のいずれの側に倒れているかを確認する。
【0056】
例えば、紙幣検出センサ35A,36Aがいずれも当該紙幣の存在を検出した時点を、
図5のP1の時点としたとき、A側に優先権フラグが倒れているので、A側に紙幣搬送路40を使用する優先権が与えられる。
それゆえ、A側は、紙幣搬送路40をすぐに使用することができる。
【0057】
一方、紙幣検出センサ35A,36Aがいずれも当該紙幣の存在を検出した時点を、
図5のP2の時点としたとき、B側に優先権フラグが倒れているので、その時点では、A側は、紙幣搬送路40を使用することができない。
【0058】
この場合、紙幣検出センサ35B,36Bがいずれも紙幣の存在を検出すると、B側に紙幣搬送路40を使用する優先権が与えられ、B側による紙幣搬送路40の使用が完了するまで、A側における紙幣の搬送処理は待機状態となる。
【0059】
一方、B側に優先権フラグが倒れている間に、紙幣検出センサ35B,36Bがいずれも紙幣の存在を検出せず、τms後にA側に再び優先権フラグが倒れると、A側が紙幣搬送路40を使用することができる。
【0060】
このように、優先権フラグが倒れている側に、紙幣搬送路40を使用する優先権が与えられるため、例えば、紙幣入出金口11A,11Bからほぼ同時に紙幣が入金された場合の紙幣の排出処理がスムーズになるというメリットがある。
【0061】
ステップS105において、紙幣搬送路40を使用する優先権がとれた場合(ステップS105の判定がYesの場合)、制御部101は、紙幣一時保管部30Aへの入金処理を終了させる。
【0062】
その後、制御部101は、図示しないモータにて紙幣共通搬送ローラ38Aを回転駆動させ、紙幣一時保管部30Aの紙幣を紙幣搬送路40に搬送させた後、光学センサ(または磁気センサ、もしくは両方のセンサ)を有する紙幣識別センサ41によって紙幣の金種を識別し、当該識別結果に基づいて紙幣収納部20のうち、第1、第2および第3紙幣収納部21〜23のいずれかの収納部に振り分けて収納させる。
【0063】
一方、ステップS105において、紙幣搬送路40を使用する優先権がとれない場合(ステップS105の判定がNoの場合)、制御部101は、紙幣搬送路40を使用する優先権がとれるまで、ステップS105の処理を繰り返す(ステップS105)。
【0064】
<自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30Aからの排出処理の流れ>
次に、
図6および
図7に基づき、自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30Aからの排出処理の流れについて説明する。
図6は、
図1に示す自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30Aからの排出処理の流れを示すフローチャートであり、
図7は、
図1に示す自動釣銭入出金機100において、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bを使用する場合の紙幣の入出金の流れを示す説明図である。
【0065】
以下の説明では、紙幣一時保管部30Aから紙幣を排出する場合を代表として説明するが、紙幣一時保管部30Bから紙幣を排出する場合も同様である。
【0066】
図3のステップS104において、予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入らなかった場合(
図3のステップS104の判定がNoの場合)、制御部101は、紙幣一時保管部30Aからの当該紙幣の排出処理を実行する。
【0067】
図6のステップS201において、制御部101は、紙幣搬送ローラ32A,33Aおよび紙幣搬送ローラ32A,33Aに連動したベルトを図示しないモータにて出金方向に回転駆動させ、紙幣一時保管部30Aから紙幣の排出を試みる(ステップS201)。
【0068】
次に、ステップS202において、制御部101は、予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出されたか否かを判定する(ステップS202)。
【0069】
ここで、制御部101は、紙幣の排出処理を開始した後、予め定められた時間内に紙幣検出センサ35A,36Aがいずれも当該紙幣の存在を検出しなかった場合、紙幣一時保管部30Aから当該紙幣が正常に排出されたものと判定する。
【0070】
予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出された場合(ステップS202の判定がYesの場合)、制御部101は、当該紙幣がユーザーに返却されたものとして、紙幣の排出処理を終了させる。
【0071】
一方、搬送路の途中で紙幣が引っかかってしまったりした場合は、紙幣検出センサ35A,36Aのいずれか一方で当該紙幣の存在を検出される。
このような場合、制御部101は、紙幣一時保管部30Aから当該紙幣が正常に排出されなかったものと判定する。
【0072】
この場合、従来は、エラーを報知して手動で紙幣を取り除くようにしていたが、この発明においては、以下のステップS203〜S205の処理を行うことにより、紙幣一時保管部30Aからの紙幣の排出力を高めている。
【0073】
ステップS202において、予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出されなかった場合(ステップS202の判定がNoの場合)、制御部101は、ステップS203において、紙幣搬送路40を使用する優先権がとれたか否かを判定する(ステップS203)。
優先権の決定方法は、
図5で説明した通りである。
【0074】
紙幣搬送路40を使用する優先権がとれた場合(ステップS203の判定がYesの場合)、制御部101は、可動板37Aを押し上げて、紙幣共通搬送ローラ38Aに紙幣を接触させ、紙幣共通搬送ローラ38Aを回転駆動させて紙幣一時保管部30Aから当該紙幣の排出を試みる(ステップS204)。
【0075】
具体的には、
図7に示すように、紙幣一時保管部30Aの底の一部に設けられた可動板37Aを図示しない可動部により押し上げて当該紙幣を、対向する紙幣共通搬送ローラ38Aに押し当てて接触させた後、紙幣共通搬送ローラ38Aを図示しないモータにて回転駆動させて当該紙幣を紙幣一時保管部30Aから排出させる。
【0076】
一方、紙幣搬送路40を使用する優先権がとれない場合(ステップS203の判定がNoの場合)、制御部101は、ステップS203の判定を繰り返す(ステップS203)。
【0077】
次に、ステップS205において、制御部101は、予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出されたか否かを判定する(ステップS205)。
【0078】
予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出された場合(ステップS205の判定がYesの場合)、制御部101は、当該紙幣がユーザーに返却されたものとして、紙幣の排出処理を終了させる。
【0079】
一方、予め定められた時間内に紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出されなかった場合(ステップS205の判定がNoの場合)、制御部101は、ステップS206において、図示しないエラー報知部によりユーザーにエラーを報知する(ステップS206)。その後、制御部101は、処理を終了させる。
【0080】
ところで、紙幣共通搬送ローラ38Aは、紙幣共通搬送ローラ38Bと共通のモータにより回転駆動されるが、これは紙幣搬送路40のモータを共通化することにより、コストの削減や省スペース化を図るためである。
紙幣搬送路40のモータを共通化していることから、紙幣共通搬送ローラ38Aを回転駆動中は、紙幣共通搬送ローラ38Bを使用することができず、その逆もしかりである。
【0081】
それゆえ、紙幣の排出処理を行う度に紙幣搬送路40のモータを使用すると、一方の面で紙幣が入出金されている間、反対面で紙幣の排出処理が行えなくなるため、紙幣が排出されるまでの間、利用者を待たせてしまい、かえって利便性が悪くなるおそれがある。
【0082】
そこで、この発明においては、紙幣の入金処理の際に紙幣が正常に紙幣一時保管部30A,30Bに入らず、かつ、通常の排出処理で排出されなかった場合(すなわち、従来、エラー報知がなされていた場合)に限り、紙幣搬送路40のモータにて紙幣共通搬送ローラ38A,38Bを回転駆動させることにより、排出処理を補助している。
【0083】
このようにすれば、紙幣の排出処理において、エラーの報知が、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bの使用が通常の排出処理により排出できない場合のみに限られるため、従来よりもエラー報知を減らすことができる。
また、通常の排出処理においては、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bを使用しないため、紙幣排出補助機構の共通化を図りつつ、ユーザーの利便性も高めることが可能となるというメリットもある。
【0084】
(実施形態2)
次に、
図8に基づき、この発明の実施形態2に係る自動釣銭入出金機100について説明する。
図8は、この発明の実施形態2の両面型の自動釣銭入出金機100において、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bを使用する場合の紙幣の入出金の流れを示す説明図である。
【0085】
図8に示すように、この発明の実施形態2に係る自動釣銭入出金機100の紙幣一時保管部30Aは、紙幣搬送ローラ32A,33Aとの間に紙幣通過センサ34Aを備えるものであってもよい。
【0086】
このようにすれば、紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入ったか、または、紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出されたか否かをより確実に検出することが可能となる。紙幣一時保管部30Bについても同様である。
【0087】
(実施形態3)
実施形態3において、紙幣搬送路40のモータにて紙幣共通搬送ローラ38A,38Bが回転駆動するとき、いずれのローラも出金方向のみに回転駆動するようにしてもよい。
【0088】
このようにすれば、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bは、通常の出金処理を含め、紙幣の排出処理のみに用いられるため、簡単な機構で済み、コストの削減や省スペース化を図ることが可能となる。
【0089】
(実施形態4)
実施形態4において、紙幣入出金口11A,11Bから複数枚の紙幣をまとめて入金した場合において、一部の紙幣のみが正常に紙幣一時保管部30A,30Bに入らなかった場合、制御部101は、紙幣通過センサ34A,34B、紙幣検出センサ35A,35B,36A,36Bに基づき、紙幣一時保管部30A,30Bに正常に入らなかった紙幣が正常に排出されたか否かを判定するものであってもよい。
【0090】
例えば、紙幣通過センサ34A、紙幣検出センサ35A,36Aがいずれも紙幣を検出している場合、制御部101は、一部の紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に搬送されていないと判断することができる。
【0091】
このようにすれば、紙幣入出金口11A,11Bから複数枚の紙幣をまとめて入金した場合においても、紙幣が正常に紙幣一時保管部30A内に入ったか、または、紙幣が正常に紙幣一時保管部30Aから排出されたか否かをより精度よく検出することが可能となる。
【0092】
(実施形態5)
実施形態5において、可動板37A,37Bの代わりに、可動可能な可動搬送ローラを押し上げて、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bに紙幣を接触させるようにしてもよい。
【0093】
このようにすれば、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bと可動搬送ローラに紙幣を挟み込んで搬送することができるため、紙幣の排出力をさらに高めることが可能となる。
なお可動搬送ローラは、紙幣共通搬送ローラ38A,38Bに従動するローラであってもよく、またモータにより紙幣の排出方向に回転することによって紙幣の排出力を高めるものであってもよい。
【0094】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。