(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周囲カバー部の入れ子式の蛇腹形状は、先端面カバー部側から漸次拡径されて小径、中径、大径の段部を備え、前記各段部間に薄肉の折り畳み線を形成されて構成され、前記大径の段部から前記中径の段部が伸展されるとともに前記中径の段部から前記小径の段部が伸展されて、前記周囲カバー部は伸長状態を取り、前記小径の段部の外周に前記中径の段部が折り畳まれ、前記小径、中径の各段部が前記大径の段部の内周内に折り畳み収容されて、前記周囲カバー部は収縮状態を取る請求項1又は2に記載の絶縁キャップ。
被覆状態固定部の筒形形状は相互に対向する2面が前記筒形形状の中心を対称中心として点対称の断面略円弧状に形成され、これら2面間の各面に変形部が設けられ、前記各変形部は前記筒形形状の中心を対称中心として点対称の断面略への字状に形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の絶縁キャップ。
先端面カバー部の他方の面の中心に凸部を備え、前記凸部の先端縁部にフランジ及び/又は前記凸部の周面に貫通孔を有し、前記フランジ又は前記凸部に2つの絶縁キャップを連結するための絶縁性及び伸縮性を有するコードが取り付けられる請求項1乃至6のいずれかに記載の絶縁キャップ。
【背景技術】
【0002】
電話局や通信基地局などの重要施設には、地震その他の災害により、商用電源からの電力供給が停止された場合に、電力供給をできる限り長く持続させるため、バックアップ用電源として数多くの蓄電池が設置されている。特に電話局や通信基地局では、数百個もの蓄電池がラックや架台などに縦横に並べて設置され、必要とされる蓄電容量により、多数の蓄電池がそれぞれ、縦方向又は横方向に隣接する各蓄電池の正極端子と負極端子を導電板により電気的に接続されて、直列に接続される。
このような蓄電池の接続状態が特許文献1に記載されている。この文献1は据置鉛蓄電池の性能改善方法に関するもので、そこに例示された据置鉛蓄電池の構成を
図7及び
図8に示している。
この据置鉛蓄電池では、
図7に示すように、複数の鉛蓄電池61が架台に縦横に並べて搭載され、縦又は横に隣接する各鉛蓄電池61の電極端子62間が導電板63により接続されて電気的に導通され、全体として直列に連結される。この場合、鉛蓄電池61の各電極端子62は軸心に雌ねじを有し、鉛蓄電池61の上面に埋設され、電極端子62の先端が上面から突出される。また、各導電板63は、両端にボルト挿通孔を有し、隣接する各鉛蓄電池61の電極端子62間に架け渡され、導電板63の各ボルト挿通孔からボルトが通され各電極端子の雌ねじに締結されて取り付けられる。なお、これら導電板63の表面には端子カバー64が被せられる。
また、この据置鉛蓄電池においては、
図8に示すように、非接続の電極端子62に絶縁体65を被せて、短絡、感電防止のための養生が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような多数の蓄電池を設置された施設では、蓄電池の非接続の電極端子、つまり、導電板が接続されていない電極端子はむき出しのままで絶縁されていないことが多く、このままでは、蓄電池の取り付けや交換などこの施設での各種の作業の際に、不意に、工具などが正極端子と負極端子との間に触れて、短絡の危険性がある、という問題がある。
また、上記従来(特許文献1)の据置鉛蓄電池においては、電極端子の上にケース状の絶縁体(以下、絶縁ケースという。)を被せて、短絡、感電防止のための養生が行われているが、数百個もの蓄電池が設置される施設では、すべての蓄電池が同一メーカーの同一仕様のものばかりでなく、異なるメーカーの異なる仕様のものが混在されており、
図9に示すように、蓄電池B1、B2、B3の種類毎に、電極端子T1、T2、T3のサイズ、特に、端子径(電極端子の直径)、端子高さ(蓄電池の上面又は正面から突出される電極端子の高さ)、雌ねじ径(電極端子の軸心に設けられる雌ねじの呼び径)が異なるため、これらの電極端子T1、T2、T3に絶縁ケースを被せ付けようとすると、各種の電極端子T1、T2、T3の端子径や端子高さに応じて、異なる大きさ、形状を有する数種類の絶縁ケースが必要で、非接続の電極端子T1、T2、T3への絶縁ケースの取り付けや絶縁ケースの管理が煩雑になって容易ではない、という問題がある。
さらに、数多くの蓄電池になると、電極端子間の接続作業も多いため、電極端子間の接続に当たって、誤った電極端子間に導電板を取り付けてしまうといった接続ミスの恐れもある、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、蓄電池を設置された施設において、蓄電池の非接続の電極端子に被せ付けて、非接続の電極端子の短絡、感電を防止する絶縁キャップを提供すること、しかもこの絶縁キャップをメーカーによって異なるサイズの電極端子でも共通に使用できるようにして、絶縁キャップの電極端子への取り付けや管理を簡易にすること、さらに、この絶縁キャップを利用して適切な電極端子間の接続を事前に示し、電極端子間の接続ミスを防止すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の絶縁キャップは、
各種の蓄電池に設けられ、軸心に雌ねじを有し端子径、端子高さが異なる各種の電極端子に被着して、前記各種の電極端子を絶縁する絶縁キャップであって、
絶縁性及び弾性を有する素材により一体に形成され、
前記各種の電極端子の中で最も端子径の大きい電極端子の端子径よりも大きい径を有し、前記各種の電極端子の先端面を被覆する先端面カバー部と、
前記先端面カバー部の周囲から、前記各種の電極端子の中で最も端子高さの小さい電極端子の端子高さから最も端子高さの大きい電極端子の端子高さまでの高さに合せて伸縮可能に入れ子式の蛇腹形状に延び、前記各種の電極端子の周囲を被覆する周囲カバー部と、
前記先端面カバー部の前記電極端子の先端面に対向する一方の面の中心に、前記各種の電極端子の中で最も前記雌ねじ径の大きい電極端子の雌ねじ径よりも大きい径を有し、前記雌ねじ内で加圧されて前記各種の電極端子の中で最も前記雌ねじ径の小さい電極端子の雌ねじに挿入可能な径まで縮径可能な変形部を有する略筒形形状に突出され、前記各種の電極端子の前記雌ねじに挿入し弾性係合される被覆状態固定部と、
を備え、
前記各種の電極端子の端子高さに応じて前記周囲カバー部を伸縮し、前記被覆状態固定部を前記各種の電極端子の雌ねじに挿入することにより前記各種の電極端子に装着固定して、前記先端面カバー部及び前記周囲カバー部で前記各種の電極端子を被覆絶縁する、
ことを要旨とする。
【0007】
また、この絶縁キャップは各部が次のように構成されることが好ましい。
(1)素材は半透明の色付きとし、黒、青、赤以外の色とする。
(2)周囲カバー部の入れ子式の蛇腹形状は、先端面カバー部側から漸次拡径されて小径、中径、大径の段部を備え、前記各段部間に薄肉の折り畳み線を形成されて構成され、前記大径の段部から前記中径の段部が伸展されるとともに前記中径の段部から前記小径の段部が伸展されて、前記周囲カバー部は伸長状態を取り、前記小径の段部の外周に前記中径の段部が折り畳まれ、前記小径、中径の各段部が前記大径の段部の内周内に折り畳み収容されて、前記周囲カバー部は収縮状態を取る。
(3)被覆状態固定部の筒形形状は相互に対向する2面が前記筒形形状の中心を対称中心として点対称の断面略円弧状に形成され、これら2面間の各面に変形部が設けられ、前記各変形部は前記筒形形状の中心を対称中心として点対称の断面略への字状に形成される。
(4)被覆状態固定部は断面略円弧状の2面の先端に溝を有し、各変形部の先端がペン先形に形成される。
(5)被覆状態固定部は雌ねじ内で加圧される面に前記雌ねじ内に係合する係止突起を有する。
(6)先端面カバー部の他方の面の中心に凸部を備え、前記凸部の先端縁部にフランジ及び/又は前記凸部の周面に貫通孔を有し、前記フランジ又は前記凸部に2つの絶縁キャップを連結するための絶縁性及び伸縮性を有するコードが取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の絶縁キャップによれば、絶縁性及び弾性を有する素材により一体に形成され、
各種の電極端子の先端面を被覆する先端面カバー部と、各種の電極端子の周囲を被覆する入れ子式の蛇腹形状からなる周囲カバー部と、各種の電極端子の雌ねじに挿入し弾性係合される被覆状態固定部とを備え、各種の電極端子の端子高さに応じて周囲カバー部を伸縮し、被覆状態固定部を各種の電極端子の雌ねじに挿入することにより各種の電極端子に装着固定して、先端面カバー部及び周囲カバー部で各種の電極端子を被覆絶縁するので、蓄電池を設置された施設において、蓄電池の非接続の電極端子に被せ付けて、非接続の電極端子の短絡、感電を防止することができ、しかもこの絶縁キャップをメーカーによって異なるサイズの電極端子でも共通に使用でき、絶縁キャップの電極端子への取り付けや管理を簡易にすることができ、さらに、この絶縁キャップを2つ絶縁性及び伸縮性を有するコードで繋いでおくことにより、この絶縁キャップを利用して適切な電極端子間の接続を事前に示し、電極端子間の接続ミスを防止することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に絶縁キャップを示している。
図1に示すように、絶縁キャップCは、各種の蓄電池に設けられ、軸心に雌ねじを有し端子径、端子高さが異なる各種の電極端子に被着して、各種の電極端子を絶縁するもので、全体が絶縁性及び弾性を有する素材により一体に形成され、各種の電極端子の先端面を被覆する先端面カバー部1と、各種の電極端子の周囲を被覆する周囲カバー部2と、各種の電極端子の雌ねじに挿入し弾性係合される被覆状態固定部3とを備えて構成される。
この絶縁キャップCにあっては、
図9に示したサイズ(特に、端子径(電極端子の直径)、端子高さ(蓄電池の上面部又は正面部から突出される電極端子の高さ寸法)、雌ねじ径(電極端子の軸心に形成される雌ねじの呼び径))の異なる3種類の電極端子T1、T2、T3に共通に使用できるものとしてある。なお、
図9(a)の蓄電池B1はメーカーAのもので、電極端子T1の端子径は22mm、端子高さは3mm、雌ねじ径はM10、
図9(b)の蓄電池B2はメーカーBのもので、電極端子T2の端子径は29mm、端子高さは15mm、雌ねじ径はM10、
図9(c)の蓄電池B3はメーカーCのもので、電極端子T3の端子径は34mm、端子高さは3mm、雌ねじ径はM12になっている。
【0011】
この絶縁キャップCは、全体が、絶縁性及び弾性を有し、半透明で色付きの素材により一体に形成される。
この素材としては、エラストマーが好適であり、ウレタンゴムなどのゴムであってもよい。
また、素材の色は、黒、青、赤以外の色が好ましい。一般的に、電気コードで言えば、赤はプラスの電極、黒又は青はマイナスの電極と認識されており、また、蓄電池の電極端子のプラスは赤、マイナスは黒と色分けされる場合があり、電極の極性とは関係がないことを示すためである。
【0012】
先端面カバー部1は、
図2及び
図3に示すように、各種の電極端子の中で最も端子径の大きい電極端子の端子径よりも大きい径を有し、各種の電極端子の先端面を被覆可能に形成され、この先端面カバー部1の電極端子の先端面に対向する一方の面の中心に被覆状態固定部3を備え、他方の面の中心に凸部11を備える。
この場合、先端面カバー部1は
図9(c)に示す電極端子T3の端子径よりも所定の寸法だけ大きい径の略円板状に形成される。被覆状態固定部3については後述する。凸部11は略円柱形に形成され、先端縁部にフランジ111、凸部11の周面に貫通孔110を併せて形成される。なお、この凸部11は絶縁キャップCを使用する際のつまみとして用いられ、また、後述するコード4の連結に用いられる。
【0013】
周囲カバー部2は、
図2及び
図3に示すように、先端面カバー部1の周囲(全周縁)から、各種の電極端子の中で最も端子高さの小さい電極端子の端子高さから最も端子高さの大きい電極端子の端子高さまでの高さに合せて伸縮可能に入れ子式の蛇腹形状2Sに延び、各種の電極端子の周囲を被覆可能に形成される。
この場合、周囲カバー部2は
図9(b)に示す電極端子T2の端子高さよりも少し大きい高さの入れ子式の蛇腹形状に形成される。
また、この場合、入れ子式の蛇腹形状2Sは、先端面カバー部1側から漸次拡径されて小径、中径、大径の段部21、22、23を備え、各段部21、22、23間に薄肉の折り畳み線L1、L2を形成されて構成される。なお、この蛇腹形状2Sでは、小径の段部21は先端面カバー部1の外周縁部に断面略直角三角形状に形成されて、外周面が先端面カバー部1に対して略直角に下方に向けて円筒状に形成され、内周面が下方に向けて漸次拡径するテーパ状に形成される。中径の段部22は小径の段部21の下端に薄肉の折り畳み線L1を介して断面略平行四辺形状に形成され、外周面、内周面が共に下方に向けて漸次拡径するテーパ状に形成される。大径の段部23は中径の段部22の下端に薄肉の折り畳み線L2を介して上端側が断面略直角三角形、下端側が断面略長方形の複合形状に形成され、外周面が上端側を下方に向けて漸次拡径するテーパ状に、下端側を小径の段部21の外周面と平行の複合形状に形成され、内周面が外周面の下端側と平行の円筒状に形成される。また、これら小径の段部21、中径の段部22、大径の段部23は高さが若干異なっており、小径の段部21の高さが最も小さく、中径の段部22の高さが小径の段部21の高さよりも少し大きく、大径の段部23の高さよりも少し小さく、大径の段部23の高さが最も大きくなっている。
このようにして大径の段部23から中径の段部22が伸展されるとともに中径の段部22から小径の段部21が伸展されて、周囲カバー部2は伸長状態を取り、小径の段部21の外周に中径の段部22が折り畳み線L1を介して折り畳まれ、小径、中径の各段部21、22が大径の段部23の内周内に折り畳み収容されて、周囲カバー部2は収縮状態を取る。
【0014】
被覆状態固定部3は、
図2及び
図3に示すように、先端面カバー部1の電極端子の先端面に対向する一方の面の中心に、各種の電極端子の中で最も雌ねじ径の大きい電極端子の雌ねじ径よりも大きい径を有し、雌ねじ内で加圧されて各種の電極端子の中で最も雌ねじ径の小さい電極端子の雌ねじに挿入可能な径まで縮径可能な変形部31を有する略筒形形状に突出され、各種の電極端子の雌ねじに挿入し弾性係合される。
この場合、被覆状態固定部3は、
図9(c)に示す電極端子T3の雌ねじ径よりも少し大きい径の略筒形形状に形成され、その一部に
図9(a)又は
図9(b)に示す電極端子T1又はT2の雌ねじに挿入可能な径まで縮径可能に変形部31が形成される。この被覆状態固定部3の筒形形状は相互に対向する2面30が筒形形状の中心を対称中心として点対称の断面略円弧状に形成され、これら2面30間の各面に変形部31が設けられ、各変形部31は筒形形状の中心を対称中心として点対称の断面略への字状に形成される。
また、この場合、被覆状態固定部3は断面略円弧状の2面30の先端に略逆U字形の溝300を有し、各変形部31の先端がペン先形311(言い換えると、上底が長く、下底が短い略台形状)に形成される。
なお、この絶縁キャップCの素材にもよるが、比較的滑りやすい素材を用いる場合は、被覆状態固定部3の周面、特に雌ねじ内で加圧される面(断面円弧状の面30)に雌ねじ内に係合する係止突起を設けられることが好ましい。
【0015】
また、この絶縁キャップCには、
図4に示すように、付属部品として、2つの絶縁キャップCを連結するための絶縁性及び伸縮性を有するコード4が併せて設けられる。このコード4は、2つの絶縁キャップCを繋ぐことにより、導電板で電気的に接続される正極端子と負極端子を事前に示すもので、この場合、絶縁性素材(ポリウレタンなど)からなるコードをコイル状に巻いた伸縮式のコードになっており、このコード4の両端部には絶縁キャップCの凸部11に係止可能なリング40が設けられる。これらのリング40はコイル状の部分41の両端部にストレートの部分42を介して絶縁キャップCの先端面カバー部1の凸部11の周囲を一周する略円形に巻かれて形成され、コード4の各端末4eはこのリング40により折り返されてストレートの部分42に沿って当接され合わせられる。このようにしてこれらのリング40はリング40を開き拡径して、先端面カバー部1の凸部11の周囲に係止され、凸部11のフランジ111により抜け止めされるようになっている。また、このコード4と絶縁キャップCとの連結形式は、コード4の両端部にリング40に代えてフック(図示省略)が設けられ、このフックが凸部11の貫通孔110に係止されるものとすることもできる。また、この場合、コード4(の素材)の色は、絶縁キャップCと同様に、黒、青、赤以外の色にしてある。
【0016】
このようにして絶縁キャップCは構成され、各種の電極端子T1−T3の端子高さに応じて周囲カバー部2を伸縮し、被覆状態固定部3を各種の電極端子T1−T3の雌ねじに挿入することにより各種の電極端子T1−T3に装着固定して、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で各種の電極端子T1−T3を被覆絶縁するようになっている。
【0017】
図5にこの絶縁キャップCの各種の蓄電池B1−B3の電極端子T1−T3における使用例を示している。なお、
図5に例示する各種の蓄電池B1−B3の電極端子T1−T3は
図9に示したものと同じである。
この絶縁キャップCをメーカーAの蓄電池B1の電極端子T1に取り付ける場合、
図5(a)に示すように、まず、蓄電池B1の電極端子T1の端子高さに合せて周囲カバー部2を収縮させる。この場合、周囲カバー部2の入れ子式の蛇腹形状2Sを収縮状態とする。すなわち、小径の段部21の外周に中径の段部22を折り畳み、小径、中径の各段部21、22を大径の段部23の内周内に折り畳み収容する。そして、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で電極端子T1を被覆しながら、被覆状態固定部3を電極端子T1の雌ねじに挿入する。この被覆状態固定部3の雌ねじへの挿入により、
図6の(a)、(c)に示すように、筒形形状の断面略円弧状の各面30が雌ねじの内周面により加圧されて、各変形部31の変形により、すなわち、各への字状の溝が相互に反対の溝側へ押し込まれ(逃がされ)、全体として電極端子T1の雌ねじ径まで縮径されて、雌ねじ内に弾性係合される。このようにして絶縁キャップCを蓄電池B1の電極端子T1に装着固定し、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で電極端子T1を被覆絶縁する。
この絶縁キャップCをメーカーBの蓄電池B2の電極端子T2に取り付ける場合、
図5(b)に示すように、まず、蓄電池B2の電極端子T2の端子高さに合せて周囲カバー部2を伸長させる。この場合、周囲カバー部2の入れ子式の蛇腹形状2Sを伸長状態とする。すなわち、大径の段部23の内周から中径の段部22を伸展させるとともに中径の段部22から小径の段部21を伸展させる。そして、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で電極端子T2を被覆しながら、被覆状態固定部3を電極端子T2の雌ねじに挿入する。この被覆状態固定部3の雌ねじへの挿入により、
図6の(a)、(c)に示すように、筒形形状の断面略円弧状の各面30が雌ねじの内周面により加圧されて、各変形部31の変形により、すなわち、各への字状の溝が相互に反対の溝側に押し込まれ(逃がされ)、全体として電極端子T2の雌ねじ径まで縮径されて、雌ねじ内に弾性係合される。このようにして絶縁キャップCを蓄電池B2の電極端子T2に装着固定し、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で電極端子T2を被覆絶縁する。
この絶縁キャップCをメーカーCの蓄電池B3の電極端子T3に取り付ける場合、
図5(c)に示すように、まず、蓄電池B3の電極端子T3の端子高さに合せて周囲カバー部2を収縮させる。この場合、周囲カバー部2の入れ子式の蛇腹形状2Sを収縮状態とする。すなわち、小径の段部21の外周に中径の段部22を折り畳み、小径、中径の各段部21、22を大径の段部23の内周内に折り畳み収容する。そして、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で電極端子T3を被覆しながら、被覆状態固定部3を電極端子T3の雌ねじに挿入する。この被覆状態固定部3の雌ねじへの挿入により、
図6の(a)、(b)に示すように、筒形形状の断面略円弧状の各面30が雌ねじの内周面により加圧されて、各変形部31の変形により、すなわち、各への字状の溝が相互に反対の溝側に押し込まれ(逃がされ)、全体として電極端子T3の雌ねじ径まで縮径されて、雌ねじ内に弾性係合される。このようにして絶縁キャップCを蓄電池B3の電極端子T3に装着固定し、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で電極端子T3を被覆絶縁する。
なお、絶縁キャップは、既述のとおり、半透明の色付きになっているので、非接続の各電極端子に取り付けられた絶縁キャップは視認性に優れ、各電極端子が絶縁キャップにより絶縁処理されたことを(ユーザーが)容易に確認できる。また、絶縁キャップの色は黒、青、赤以外の色としてあるので、この絶縁キャップの色によって電極端子間の接続形式(言い換えれば、どの電極端子とどの電極端子を繋ぐか)について誤った認識を(ユーザーに)生じることはない。
【0018】
また、
図5(c)に2つの絶縁キャップを伸縮式のコードで繋ぎ、これら2つの絶縁キャップで非接続の電極端子を被覆絶縁した状態を併せて示している。
図5(c)に示すように、非接続の各電極端子T3を絶縁キャップCで被覆絶縁する際に、各蓄電池B3、B3間の適切な(電気的)接続となる一方の蓄電池B3の電極(正極)端子T3と他方の蓄電池B3の電極(負極)端子T3とを確認し、これらの電極端子T3、T3を伸縮式のコード4で繋がれた2つの絶縁キャップC、Cで被覆絶縁することにより、その後各蓄電池B3、B3間を電気的に接続する場合に、2つの絶縁キャップC、C間の伸縮式のコード4により、適切な電極端子T3、T3間の接続、つまり、どの電極端子とどの電極端子とを導電板で接続するかを視覚的に示すことができる。また、このコード4は伸縮式になっているので、各種の蓄電池B1、B2、B3毎に各電極端子間の間隔(寸法)が異なっていても、このコード4の伸縮により、各電極端子間の間隔に対応することができる。さらに、このコード4は両端部のリング40が各電極端子の凸部11に係止されているので、コード4をこの凸部11を中心に回すことができ、これにより、コード4の伸ばす方向が自由になり、各種の蓄電池B1、B2、B3毎に各電極端子の位置が異なっていても、コード4の回転方向の動きにより、各電極端子の位置に対応することができる。
なお、伸縮式のコード4の色もまた、黒、青、赤以外の色としてあるので、このコード4の色によって電極端子T3、T3間の接続形式(言い換えれば、どの電極端子T3とどの電極端子T3をどのように繋ぐか)について誤った認識を(ユーザーに)生じることはない。
【0019】
以上説明したように、この絶縁キャップCは、絶縁性及び弾性を有する素材により一体に形成され、各種の電極端子の先端面を被覆する先端面カバー部1と、各種の電極端子の周囲を被覆する入れ子式の蛇腹形状2Sからなる周囲カバー部2と、各種の電極端子の雌ねじに挿入し弾性係合される被覆状態固定部3とを備え、各種の電極端子の端子高さに応じて周囲カバー部2を伸縮し、被覆状態固定部3を各種の電極端子の雌ねじに挿入することにより各種の電極端子に装着固定して、先端面カバー部1及び周囲カバー部2で各種の電極端子を被覆絶縁するので、各種の蓄電池を設置された施設において、各蓄電池の非接続の電極端子に被せ付けて、非接続の電極端子の短絡、感電を防止することができ、しかもこの絶縁キャップCはメーカーによって異なるサイズの電極端子に共通に使用できるので、絶縁キャップCの電極端子への取り付けや管理を簡易にすることができる。さらに、この絶縁キャップCには、付属部品として、絶縁性を有する伸縮式のコード4が設けられているので、2つの絶縁キャップCをこの伸縮式のコード4で繋いでおくことにより、この2つの絶縁キャップCで適切な電極端子間の接続を事前に示すことができ、電極端子間の接続ミスを確実に防止することができる。
【0020】
なお、この実施の形態では、絶縁キャップCは、円形の先端面カバー部1の全周縁に小径、中径及び大径の段部21、22、23からなる周囲カバー部2を形成して、全体としてテーパを付けた略円筒形状としたが、先端面カバー部を例えば四角形の平板状とし、この先端面カバー部の全周縁に小径、中径及び大径の段部からなる周囲カバー部を形成して、全体としてテーパを付けた略角筒形状としてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0021】
また、この実施の形態では、絶縁キャップCを蓄電池の上面又は正面から所定の高さに突出された電極端子に被着するものとして例示したが、この絶縁キャップCは被覆状態固定部3を電極端子の雌ねじに挿入し雌ねじ内に弾性係合させて、電極端子に装着固定するので、この絶縁キャップを、電極端子全体が蓄電池の上面又は正面に埋設され、電極端子が蓄電池の上面又は正面から突出されていない場合でも、かかる電極端子に同様に装着固定して被覆絶縁することができる。