特許第6781041号(P6781041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781041
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20201026BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   A61M39/10
   A61M39/22
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-526318(P2016-526318)
(86)(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公表番号】特表2016-540545(P2016-540545A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2014002946
(87)【国際公開番号】WO2015067359
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】102013018639.0
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルリヒ ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】メイガー ゲルハルト
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04619640(US,A)
【文献】 特開平10−290842(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/158756(WO,A1)
【文献】 特開2008−073530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 39/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1コネクタ部品と、少なくとも1つの第2コネクタ部品とを備えるコネクタであって、
前記第1および第2コネクタ部品は、液密態様で互いに接続可能であり少なくとも1つの固定要素を介して互いにロック可能であり、
前記第1および第2コネクタ部品の一方は固定状態において流通をブロックし且つ開口可能である少なくとも1つのシール要素、特に隔膜またはシーリングディスクを有し、前記第1および第2コネクタ部品の他方は前記シール要素を開く開口要素を有し、
前記第1および第2コネクタ部品の一方は少なくとも1つの突起を有し、前記第1および第2コネクタ部品の他方は少なくとも1つの収容部を備えているコネクタであって、
前記開口要素と前記シール要素は、前記突起が前記収容部に導入されたとき前記開口要素のみが前記シール要素を開くように互いに配置され、
前記固定要素が少なくとも1つのピンと該ピンのための少なくとも1つの溝とによって形成され、
前記少なくとも1つの突起が、コネクタ部品の長手方向および周方向に延びる隆起部分として設計され、且つ/又は、
前記収容部が、前記コネクタ部品の一方の長手方向および周方向に延び、
互いに相補的なコネクタ部品では、前記収容部が前記少なくとも1つの突起を中に受入れるように寸法決めされ、
互いに相補的でないコネクタ部品では、前記収容部が前記少なくとも1つの突起を中に受入れられないように寸法決めされ、
前記溝は、前記コネクタ部品の軸方向において部分領域にわたって延びかつ前記コネクタ部品の周方向において部分領域にわたって延びるように構成され、前記2つのコネクタ部品の互いに対する摺動動作およびこれに引き続く回転運動がロッキングに必要であるように構成され
前記開口要素は、好ましくは、前記コネクタ部品が接続された状態において流体が流通する領域を形成する円錐テーパ状突出部として構成されている、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記溝に、両方の前記コネクタ部品がロック位置に到達したときに前記ピンが接触する1または2以上の係止要素が設けられている、
請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記溝は、前記ピンがロック位置に到達したとき該ピンを視認できるように設けられている、
請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記開口要素が、前記コネクタ部品の開口端領域に対して引っ込んで設けられている、
請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
両方の前記コネクタ部品は、該コネクタ部品のロック状態においては共通領域に位置しかつ前記コネクタ部品のアンロック状態においては共通領域に位置しないグリップ面を有している、
請求項1〜のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1コネクタ部品と少なくとも1つの第2コネクタ部品とを備え、当該コネクタ部品は液密態様で互いに接続され得かつ少なくとも1つの固定要素を介して互いにロックされ得、一方のコネクタ部品は固定状態において流通をブロックしかつ好ましくはシール状態で開口させられる少なくとも1つのシール要素、特に隔膜またはシーリングディスクを有し、他方のコネクタ部品はシール要素を開口させるための少なくとも1つの開口要素を有し、一方のコネクタ部品は少なくとも1つの突起を有し、他方のコネクタ部品は少なくとも1つの収容部を有する、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
処理流体は、体外血液処理において典型的には袋で提供される。この点において、治療のタイプや患者のニーズに応じて、組成および個々の溶液成分の濃度において異なり得る複数の異なる処理流体が提供される。
【0003】
袋は、概して、処理流体を処理のために袋から取り出してそれを例えば相補的なコネクタ部品が設けられたホースシステムに移動させるために、相補的なコネクタ部品に対して、すなわち袋コネクタ部品が接続され得るコネクタ部品に対して接続され得るコネクタ部品を有している。
【0004】
特に治療において複数の処理流体が同時に使用される場合、混合のために個々の袋がこの目的のために設けられたホースシステムの接続部に接続されない危険性が存在する。このことは、誤った流体が、血液処理または他の処理のために用いられ、最悪の場合には患者に注入されるという結果をもたらし得、そのことは大きな健康リスクを伴う。
【0005】
したがって、混同を防ぐために、ある種類の処理流体の袋が正確にこの目的のために設けられた1つの接続部とのみ関連付けられることを可能とするコネクタを提供する必要がある。特許文献1に係る従来技術から、2つのコネクタ部品を備え、一方のコネクタ部品に固定突起が設けられ、他方のコネクタ部品に接続状態において協働する相補的な突起が設けられ、この態様において接続信号を「発する」コネクタを提供することが知られている。さらに特許文献2から、コネクタを介して薬剤容器を注射装置に接続することが知られている。同文献では、相補的なコネクタ部品の接続をコード分類することが開示されている。溝に係合するコーディング突起が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許公開第2009/024807号明細書
【特許文献2】国際特許公開第2011/131783号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、最初に挙げた種類のコネクタを、特にミスのために患者に誤った処理流体が供給されるのを確実に防止できるようにさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するコネクタによって達成される。したがって、開口要素と流通をブロックしかつ開放され得る、すなわち開口させられ得るシール要素、特に隔膜、シーリングディスク等とが、突起が収容部内に案内されたときにのみ開口要素がシール要素、特に隔膜等を開口させるように互いに関連して設けられている。
【0009】
2つのコネクタ部品は、好ましくは、差し込み接続の態様で互いに接続され得るコネクタ部品である。
【0010】
収容部と突起とは、好ましくは、コネクタ部品の周縁部に配置されている。
【0011】
コネクタ部品が、隔膜等、例えばスリットシールと協働するコーンのような開口要素を有しており、コネクタ部品の互いに対する特定の位置において開口要素が隔膜を開口させることがさらに考えられる。しかしながら、このことは突起が収容部に収容されたときにのみ可能であり、それは2つのコネクタ部品が互いに適合する、すなわち相補的である場合であって、コネクタ部品が互いに適合しない場合ではない。この態様では、互いに相補的でないコネクタ部品において隔膜が開口させられることが防止される。この場合、突起が、開口要素が隔膜を開口させるように収容部内に案内され得ないか、あるいは収容部内に少なくとも案内され得ないためである。
【0012】
このことは、隔膜等がこの場合において閉じられたままとなり、誤った流体の患者への投与が防止されることを意味する。
【0013】
突起と収容部とは、コーディング要素として機能するものであって、2つのコネクタ部品を例えば形状適合態様において互いに保持するという目的またはコーディング要素としての機能を有するのみでなく、安全性の要求に対する解決策をも提供するものであり、それらによると誤った接続における、すなわち非相補的なコネクタ部品の接続における誤った処理流体の投与が確実に回避される。
【0014】
よって本発明によると、コネクタ部品における突起と収容部とが相補的である場合、すなわちコネクタ部品が互いに適合する場合にのみ、一方のコネクタ部品の開口要素が隔膜等、好ましくは他方のコネクタ部品のスリット隔膜をこじ開けまたは貫通できる。これ以外の場合には、処理流体の誤った混同または投与が確実に防止されるように、開口要素は隔膜をこじ開けまたは開口させることができない。
【0015】
開口要素は、好ましくは、一方のコネクタ部品の流路である。
【0016】
本発明は、さらに、少なくとも1つの第1コネクタ部品と少なくとも1つの第2コネクタ部品とを備えるコネクタであって、コネクタ部品は、液密態様で互いに接続され得かつ少なくとも1つの固定要素を介して互いにロックされ得、一方のコネクタ部品は、開口を有する少なくとも1つのシール要素、特にシールリングと、少なくとも1つの突起とを有し、他方のコネクタ部品は、シール要素のための少なくとも1つの接触面と、少なくとも1つの収容部とを有しており、シール要素と接触面とは、突起が収容部内に案内されたときにのみ第1および第2コネクタ部品の間において液密接続が実現されるように互いに関連して設けられているコネクタに関する。
【0017】
2つのコネクタ部品の接続が正しく実行されなかった場合、このことは、この状態における2つのコネクタ部品の間に液密接続が存在しないため、漏れによって示される。本発明のこの実施形態では、外部への漏れが生じない液密接続は、接続が正しく確立されたときにのみ、すなわち上記突起が収容部内に案内されたときにのみ実現される。
【0018】
シールリングに代えて、他の任意の適当なシール要素が使用されてもよく、そのため「シールリング」の語はリングシールのみを意味するものではなく、接続突出部を受け入れるための開口を有する周縁シール要素(例えば、シーリングカフ、穴の開いたディスク、環状リング、等)をも意味するものである。
【0019】
本発明は、さらに、少なくとも1つの第1コネクタ部品と少なくとも1つの第2コネクタ部品とを備えるコネクタであって、コネクタ部品は、液密態様で互いに接続され得かつ少なくとも1つの固定要素を介して互いにロックされ得、一方のコネクタ部品は、少なくとも1つの突起を有し、他方のコネクタ部品は、少なくとも1つの収容部を有し、突起は、相補的なコネクタ部品において収容部内に案内され得るコネクタに関する。
【0020】
本発明によると、この点において、突起または収容部は、コネクタ部品の一部に、好ましくはコネクタ部品の基体に取り付けられる少なくとも1つの補助部品に、好ましくはリング状またはスリーブ状の補助部品に設けられている。この場合、突起および/または収容部は、基体に押し込まれる別個の部品に設けられている。この設計は、複数のコーディング手段および固定手段と組み合わせられ得るただ1つの種類の基体を製造するだけでよいので、経済的理由から特に有利である。
【0021】
請求項1〜3に係る発明の3つのアイデアのうち2つまたは全ての組み合わせがまた考えられ、そしてまた本発明に含まれる。よって、請求項1もしくは請求項2の特徴を取り入れて、または請求項1および併せて請求項2の特徴を取り入れて、請求項3のとおりにコネクタを構成することが考えられる。請求項1の特徴に係るコネクタを、追加的に請求項2の特徴のとおりに構成することもまた考えられる。
【0022】
本発明の別の実施形態では、固定要素が、少なくとも1つのピンと当該ピンに対応する少なくとも1つの溝状の受け部とによって形成され、好ましくは、溝は、2つのコネクタ部品の互いに対するスライド移動および当該スライド移動に続く回転移動がロックのために必要となるように、コネクタ部品の軸方向において部分領域にわたって延びかつコネクタ部品の周方向において部分領域にわたって延びるように構成されている。この場合、2つのコネクタ部品の接続は、よって、差し込み接続と類似の態様において行われる。
【0023】
溝に、両方のコネクタ部品がロック位置に到達したときにピンが接触する1つ以上の係止要素が設けられていてもよい。これらの係止要素は、ロックを安定させるように機能し得、さらにピンの通過の際に音を生じさせてそれによりロック位置に到達したことをユーザに聴覚的に感知させ得る。その代わりにまたは加えて、ロック位置に到達したときの、すなわち係止要素を越えてピンがはまったときの触覚的フィードバックが考えられ、また本発明に含まれている。
【0024】
好ましくは、ロック位置の視覚的コントロールが可能となるように、ピンはロック位置に到達したときに視認できる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、補助部品または、コネクタ部品に配置された他のカラーマーキングが、第2コネクタ部品とカラーコーディネートされている。したがって、同じことが第2コネクタ部品にも当てはまる。よって、2つのコネクタ部品またはリング等のような追加要素のカラーデザインを介して、2つのコネクタ部品が相補的であること、すなわち互いに接続され得ることを示すことが可能である。
【0026】
好ましくは、補助部品または他のマーキング要素は、コネクタ部品の接続状態において視認できるように設けられており、それにより相補的なコネクタ部品の視覚的コントロールがまた可能である。
【0027】
本発明の別の実施形態では、補助部品が、リングシールまたは隔膜のようなシール要素のための押圧面を有し、補助部品が取り付けられるコネクタ部品は、リングシールまたは隔膜のようなシール要素が接触するシール面を有している。この場合、補助部品は突起または収容部を支持するという機能を有するのみでなく、シール要素、特にリングシールまたは隔膜をコネクタ部品に固定するという機能をも加えて有する。
【0028】
以下で用いる「シール要素」という語は包括的なものとして理解されるべきである。それは隔膜の態様におけるシーリングディスクを意味するのみでなく、シール態様で開口させられるか、あるいは突出部のシール面を受け入れるための開口を既に有している、任意のあらゆる所望のシール要素をも意味している。
【0029】
本発明の別の実施形態では、第1コネクタ部品または第2コネクタ部品は、補助部品が取り付けられる基体を有し、基体は、補助部品における少なくとも1つの開口に係合する1つ以上の係止ノーズを有し、係止ノーズと開口との接続は、好ましくは手作業で開放され得ないように構成されている。よって、例えば、補助部品を基体または基体の一部の上に配置してそれを例えばラッチ接続により固定することが考えられ、好ましくは補助部品は、ラッチ接続が確立された後には基体から取り外せないか、あるいは大きな力を加えた場合にのみ取り外せる。
【0030】
また、少なくとも1つの突起が、一方のコネクタ部品の長手方向および周方向に延びる凸部として設計され、および/または、収容部が、他方のコネクタ部品の長手方向および周方向に延びていてもよい。
【0031】
好ましくは、相補的なコネクタ部品における突起および収容部は、少なくとも1つの突起が収容部内に収容され得るように、かつ互いに相補的でないコネクタ部品の場合にはそうならないように、形成されている。よって、例えば、相補的なコネクタ部品の場合には突起が収容部内に完全に押し入れられ得ることや、非相補的なコネクタ部品の場合にはそうならないことが考えられる。このため、詳しくは上述したように、非相補的なコネクタ部品の場合には、開口要素が隔膜を開口させない程度までにしかコネクタ部品を一体的に押さえることができない。
【0032】
本発明の別の実施形態では、開口要素は、好ましくは、コネクタ部品が接続された状態において流体が流通する領域を形成する円錐テーパ状突出部として構成されている。この突出部は、接触保護部として、他のコネクタ部品との接続が実行されるコネクタ部品の開口端領域に対して引っ込んで設けられている。
【0033】
さらに、両方のコネクタ部品は、当該コネクタ部品のロック状態においては共通領域に位置しかつコネクタ部品のアンロック状態においては共通領域に位置しないグリップ面を有していてもよい。よって、2つのコネクタ部品が所望の位置にロックされたか否かについての視覚的コントロールがまた容易にできる。その代わりにまたは加えて、この場合、コネクタ部品の所望の位置に到達したことについての触覚的コントロールが可能であり、それもまた同様に本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、コネクタ部品の基体の斜視図である。
図2図2は、隔膜の斜視図である。
図3図3は、補助部品の斜視図である。
図4a図4aは、第2コネクタ部品を示す図である。
図4b図4bは、別の方向から見た第2コネクタ部品を示す図である。
図5a図5aは、単体部品としての保護キャップを示す図である。
図5b図5bは、取り付けられた状態の保護キャップを示す図である。
図6図6は、カラーコーディングリングを有する第2コネクタ部品の斜視図である。
図7a図7aは、ロック状態にあるコネクタを示す図である。
図7b図7bは、アンロック状態にあるコネクタを示す図である。
図8図8は、ロック状態にあるコネクタの断面図である。
図9a図9aは、相補的でない2つのコネクタ部品を示す図である。
図9b図9bは、相補的でない2つのコネクタ部品を示す図である。
図9c図9cは、相補的でない2つのコネクタ部品を示す図である。
図10図10は、互いに相補的なコネクタ部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のさらなる細部および利点について、図面に示す実施形態を参照しつつより詳細に説明する。
【0036】
図1は、図3に示す補助部品(後述するコーディングリング)とともに第1コネクタ部品を形成する基体10を示している。
【0037】
第2コネクタ部品は、図4aおよび図4bに示すホースコネクタ40によって形成される。
【0038】
図1に示す基体は、全ての変形例に係るコネクタにおいて同じものである。
【0039】
このことは、医療溶液または医薬との起こり得る接触が常に1つの構成要素においてのみ存在するという利点をもたらす。
【0040】
カラーコーディングが他のコネクタ構成要素を介して、すなわちコーディングリング30およびホースコネクタ40を介して実行されるため、任意の溶出可能なまたは接触活性のカラー微粒子が図1に係る基体10内に分配されてもよい。この態様では、医薬または溶液との直接接触における物質変化が無いため、任意のカラー微粒子と医療溶液との間の相互作用が最小限に抑えられる。
【0041】
図1では、参照符号12はブレークオフコーンを示し、参照符号13はホースに接続するための(溶液側の)ホースシートを示している。これらの2つの部分は、溶液接触側を形成している。
【0042】
参照符号14は、平らにされていて触覚および視覚によって直感的に正しい接続位置を予め規定する、基体のまたは第1コネクタ要素のグリップ面を表している。
【0043】
図3に示すコーディングリングに対応する好ましい周縁部の係止ノーズは参照符号15によって示されている。溶着接続がまた任意に可能である。
【0044】
参照符号16は、例えば図2に示すシール要素に対応するシール面を表している。
【0045】
参照符号20で示される図2に係るシール要素は、例えば、スリット開口22を有するシリコン製のシーリングディスクであってもよい。任意のシール要素は、Oリング、シーリングディスクまたは他の弾性要素である。
【0046】
異なる設計のシール要素がまた概して実現されてもよく、あるいはさらなるシール要素の導入によって二重シールがまた実現されてもよいが、それは労力の増大およびコストの増大を伴う。
【0047】
図3における参照符号30は、基体のうち図1において左側に示されている部分に配置されるコーディングリングを表している。
【0048】
コーディングリングは図4aおよび図4bに示すホースコネクタとの機械的コーディング、カラーコーディング、ならびにシール要素の押圧および保持の機能を、好ましくは溶着または接着なしで果たす。
【0049】
コーディングリング30の回転に対する固定は、係止ノーズ15または溶着ノーズとコーディングリングの開口32との外形によってもたらされる。コーディングリングは、好ましくは、基体10に取り外し不能にはめられているか、あるいは基体の係止ノーズの対応する形状によりそこに溶着されまたは固定されている。
【0050】
図3では、参照符号31はコーディングピン、すなわち本発明の意味におけるその位置がコネクタごとに変わり得る突起を示している。
【0051】
これらのコーディングピンは、図3に示すように、一方でコーディングリング30の長手方向に、他方で周方向に延びている。
【0052】
参照符号32は、基体10の係止ノーズ15のためのものであって、同時にコーディングリング30の回転止めの役割をする開口を表している。
【0053】
差し込みコネクタのためのピンは参照符号33で示されていて、図4aおよび図4bに係るホースコネクタ40の溝と協働しかつ固定要素を形成している。
【0054】
接続状態においても視認できる、カラーコーディングに役立つコーディングリング30のリングは参照符号34により示されている。コーディングリング30は、好ましくは全体が色付けされている。
【0055】
参照符号35は、内側に配置されていて図1に係る基体10のシール面16に接触するシール要素を押圧するのに役立つ押圧面を示している。シール要素は、よって、基体とコーディングリングとの間で押さえられる。
【0056】
シール要素の接触保護として機能するくぼみは参照符号36によって示されている。
【0057】
接続は、カラーリングおよび機械的コーディングのために明白でありかつ紛らわしくない。
【0058】
上述したように、図4aおよび図4bは基体10およびコーディングリング30と対を成すホースコネクタを示している。
【0059】
それぞれ正しいホースコネクタのみが、好ましくは対応するコーディングリング30に適合する。実行される固定接続のフィードバックは視覚的ならびに聴覚的および触覚的に行われる。
【0060】
図4aに見られるように、コーディングリングは、正しい接続位置を直感的に予め規定する平らにされたグリップ面41を有している。接続状態では、これらのグリップ面は基体10の対応する面14と同一平面上に位置する。
【0061】
参照符号42は、本発明の意味における、周方向に延びる内側に配置された切り欠きとして構成された収容部を表している。
【0062】
この切り欠きは、コーディングリング30のコーディングピン31を受け入れるのに役立つ。コーディングピン31の位置はコネクタごとに変わり得る。
【0063】
コーディングリング30の差し込み接続のためのピン33に対応する開口は参照符号43により示されている。図4aおよび図4bに見られるように、ピン33を収容するための溝は、一方でホースコネクタの長手方向において、他方で半径方向において延びている。
【0064】
接続の自己解放に対する接続の固定、ならびに視覚的および触覚的フィードバックに役立つ係止要素は参照符号44により示されている。よって、係止および十分なロックが行われたことがユーザによって容易に確認され得る。
【0065】
ホースコネクタと基体またはコーディングリング30との間の明白な関連性をもたらすカラーコーディングは、例えば、コーディングリング30と同じ色を有する全体が色付けされたホースコネクタ40を介して、あるいはまたある位置にはめられ、または色付けされたリングを介して実現され得る。重要なのは、一方におけるホースコネクタと他方における第1コネクタ部品、すなわち基体またはコーディングリング30との間の色の関連性である。
【0066】
コーン、すなわち本発明の意味における開口要素は、参照符号46により表されている。このコーンは、図2に係る弾性シール要素の助けにより基体における接続部のシールを提供する。
【0067】
接触保護部としてのコーンのくぼみは参照符号47で示されており、より容易な正しい位置決めのための面取り部は参照符号48で示されている。
【0068】
図5aおよび図5bにおける参照符号50は、コーディングリング30が取り付けられた基体10に取り付けられ得る保護キャップを表している。図5aに見られるように、保護キャップ50は、当該保護キャップ50が任意のコーディングリング30に取り付け可能であって汎用的であるように、周縁コーディング切り欠き51を有している。汎用アダプタの使用は、また、この原理を用いて実現され得るだろうし、汎用アダプタは、例えば全てのコネクタにおける標準ルアー接続を提供する可能性を有している。
【0069】
図5bは断面図を示していて、図2に係るシーリングディスクを閉状態に保持して不使用時に漏れないようにするために位置52において当該シーリングディスクの支持が行われることを図示している。
【0070】
ホースコネクタ、すなわち本発明に係る第2コネクタ部品が図6に示されている。図6に見られるように、ホースコネクタ自体とは異なる色を有するはめられたカラーコーディングリング60が設けられている。単色のコーディングまたはホースコネクタ自体の色付けが十分でない場合、1つ以上のそのようなカラーコーディングリング60によって望むように色の範囲を広げることができる。このことは、当然、ホースコネクタの側のみでなく、基体またはコーディングリングの側にも当てはまる。
【0071】
このリングの形態におけるカラーコーディングにより、コネクタ全体の溶液接触領域において色付きプラスチックを完全に分配することも可能だろう。
【0072】
2つのコネクタ部品の接続の原理が図7aおよび図7bから見て取れる。
【0073】
図7aでは、係止接続またはロックは解除されている。また図7bではそれは閉じられている。
【0074】
図7bに見られるように、第1コネクタ部品のグリップ領域と第2コネクタ部品のグリップ領域とはロックまたは固定位置において同一平面上に位置している。コネクタのグリップ領域は、握るときに人間工学的に指における好ましい位置がもたらされるように、すなわち図7aのように予備位置決めされるように設計されている。図7bの状態は、その後の回転運動により到達される。
【0075】
係止要素の位置決めは予備位置決めにより大いに容易化される。
【0076】
図7aおよび図7bにさらに見られるように、第1および第2コネクタ部品の両方ともが、コネクタ軸に対するその半径がコネクタ軸に対するグリップ領域の間隔よりも大きくかつ丸みを帯びて設計された隆起領域を有している。両コネクタ部品は、グリップ領域を形成しかつ湾曲領域の外縁部から後退した1つ以上の平坦領域をさらに有している。グリップ領域における溝削りは、また、湿ったコネクタにグリップを提供する。キャップにおける案内スロープは正しい位置決めを容易化する。
【0077】
図7bに見られるように、コーディングリング30のピン33は、ロック位置においてホースコネクタ40の溝の端部領域に収容され、上記係止要素によりそこに固定される。完全なロックの視覚的コントロールは、この態様においても可能である。
【0078】
図8は、コネクタにおける流通が可能となるように、接続およびロック状態においてコーン46がシーリングディスク20を貫通してそれを位置Aにおいて開口させている断面図を示している。
【0079】
コネクタは、よって適切に接続される。
【0080】
図9a〜図9cは、2つの非相補的なコネクタ部品、すなわち「誤った」コネクタ部品が互いに接続されようとしている状況を示している。
【0081】
図9aに見られるように、この場合には箇所Bにおいてギャップが存在しており、またピン33が周方向に延びる溝の部分にまだ収容されていないために回転が妨げられている。
【0082】
図9bに見られるように、コーンはこの場合にはシーリングディスクを貫通せず(参照符号Cを参照)、そのため流通が不可能である。
【0083】
図9cに示すように、コーディングピン、すなわち突起がコーディングリングにおいて収容部よりも幅広に作られており、そのために案内が不可能であるために接続が妨げられている。
【0084】
対照的に、図10は、ギャップBが乗り越えられて2つのコネクタ部品が共に完全に押されてそして回転させられるようにコーディングピン31が切り欠き42に適合する、相補的なコネクタ部品の実施形態を示している。
【0085】
本発明に係るコネクタの別の好ましい特性および利点についてより詳細に説明する。
【0086】
混合に対する最大限の機械的セキュリティが存在している。すなわち、コーンまたは開口要素がシーリングディスクまたは隔膜の手間で止まるため、不適切なコネクタ部品による接続および流通は不可能である。
【0087】
カラーコーディングと、(概して既知の差し込みコネクタの)グリップ面による位置決め補助を伴う直感的な取り扱いとによって安全な取り扱いが可能である。
【0088】
既知の差し込みコネクタのようにピンに直接的に係合する弾性要素が好ましくは存在しない。この意味において、隔膜によってもたらされる弾性は弾性要素として理解されるべきではない。
【0089】
分離において、シーリングディスクの使用により滴下保護および流通バリアが存在する。
【0090】
くぼんだシール面による接触保護が存在する。
【0091】
カラーコーディングは可変であり得、かつ例えばリングまたは他のマーキングにより形成され得る。
【0092】
不変の構成要素のみが、当該構成要素が色または材料の変化を有することなく、長期にわたって接触製品として設計され得る。
【0093】
係止要素およびシール要素が単独の後戻りを防止するため、偶発的な分離が防止される。急に生じる張力による分離に対する最大セキュリティが差し込み接続の原理により確保されている。ねじ止めとは対照的に、コネクタの固定において好ましくは全周にわたる係合が不要である。少量の回転で十分である。
【0094】
このことは、また、ホースがしたがって少ししか捻れないという事実において有利である。
【0095】
係止接続の規定された端部位置、規定された係止力およびコネクタの内部におけるシール要素に対する係止位置が存在する。
【0096】
接続はあまりに容易になされて、またそんなに堅固でないかも知れない。それは自己解放的でないように、そして概して解放不能となるほど堅固ではないように作られるべきである。
【0097】
閉じられたコネクタのフィードバックは、グリップ面の位置により、および視認できる差し込みコネクタにより視覚的に帰還され得る。聴覚的および触覚的フィードバックも考えられ、かつ固定部の係止によって有利である。
【0098】
コネクタは正しい接続のためにカラーコーディングを使用することを絶対的に必要とはしないため、視力の低い人でもほとんど「目隠し」でコネクタを操作することができる。これらの人は、例えば、自身の注意をグリップ面に向けるか、あるいは完全なロックにおける聴覚的または触覚的フィードバックに向ければよい。
【0099】
図1に係る基体と図5aおよび図5bに係る汎用保護キャップとは、全てのコネクタにおいて好ましくは同じである。その場合、存在している安全性を妥協させることなく、非常に多い生産量による低コスト化が可能である。
【0100】
同じ構成要素が、好ましくは常に溶液と接触する。
【0101】
図5aおよび図5bに係る汎用保護キャップの原理は、また、全てのコネクタに適合する汎用アダプタに適用され得る。
【0102】
図3に係るコーディングリングと図2に係るシール要素とは、好ましくはそれらの位置に接着や溶着でなく、解放不能なはめ込み要素によって固定される。溶着および接着は、それでもなお、接続の任意の可能性として残されている。
【0103】
可能な置換物の数は、コーディングピンの自由な数および配置のために理論的には制限されておらず、最終的にはコネクタの大きさにより決定されるコネクタが存在できるスペースによってのみ制限される。
【0104】
例えば、第3コーディングピンを挿入することにより、全てではないが複数のサブグループに適合するより高いランクの解決策がまた考えられる。よって、例えば、コネクタAとコネクタBとは明らかに互いに互換性がないが、「メインキーC」はコネクタAとコネクタBとの両方に適合することが考えられる。そして、「一般キーD」は全ての対を成す部品と適合する。
【0105】
本発明の実施形態および好ましい側面は、弾性要素を必要としない差し込み式の固定ユニットと、コーディングピンによる接続の機械的コーディングに関する。
【0106】
コネクタの操作は自明であり、直感的であり、混合に対して安全であり、また接続が正しく閉じられたか否かについてユーザへの複数のフィードバックオプションを有している。誤った操作は、また、訓練されていない技術者によってもほとんど防止される。操作は、また、素人によって、視覚障害者によって、または例えば家庭透析において自身で接続する患者によって直感的に実行され得る。
【0107】
上述したように、可能なコーディングの数はコネクタの大きさによってのみ制限されている。このタイプのコーディングにおけるサブグループを有する複数のメインキーを実装するために、コネクタを一般キーとして使用することが可能である。
【0108】
透析の使用領域については上述した。本発明は、しかしながら、この使用領域に制限されない。医学的適応に対する制限も絶対的には設けられない。本発明に係る接続は、混合および接触に対する安全を伴う低圧領域において、液体および/または気体が通って流れるラインの接続が必要とされる場所がどこであれ考えられる。この点において、コネクタにより適用される原理が一度使用されるか複数回使用されるかは重要ではない。
【0109】
コネクタの利点は実施形態に依存して次のように挙げられる。
・最大限の機械的交換可能性、すなわちコーンがシーリングディスクの手前で止まるため誤った接続相手との接続および流通は不可能である。
・カラーコーディング
・直感的な取り扱い(差し込みコネクタの原理は誰にでもよく知られていて、一目でわかる。ユーザは所定のグリップ面により位置決め補助を有している。)
・分離設計の弾性要素が不要である(シーリングディスクの使用によって不要となる。しかしながら、全ての手段によりコネクタの取り扱いのための利点となり得るわずかな弾性効果は生じる。)
・分離における滴下保護および流通ブロック(シーリングディスクの使用による)
・くぼんだシール面による接触保護(標準ルアー接続に対して)
・可変のカラーコーディング(任意)
・1つの構成要素のみが長期の製品接触を伴って存在し、かつ異なる色および/または材料の変形物を伴う異なるコネクタに対して常に同じ設計を有し得る。
・係止ノーズおよびシール要素が単独の後戻りを防止するため、偶発的な分離が生じない。差し込み接続の原理により、急に生じる張力による分離に対する最大限の安全性が確保されている。
・ねじ止めとは対照的に、コネクタの固定において全周にわたる係合が不要である。
・ホースが少量しか捻れない
・係止接続の規定された端部位置、規定された係止力およびコネクタの内部におけるシール要素に対する係止位置が存在する。
・グリップ面の並んだ位置および視認できる差し込み接続による閉じたコネクタの視覚的なフィードバック
・聴覚的なフィードバック、すなわち固定部は聞こえるようにはまる。
・触覚的なフィードバック、すなわち固定部は触れてわかるようにはまる。
・視力の低い人でもコネクタを「目隠し」で操作できる。コネクタのカラーコーディングを認識することは、正しい接続のために絶対には必要ではない。
・基体と汎用保護キャップまたは補助部品とは全てのコネクタにおいて同じであり、そのため安全性を損なうことなく非常に多い生産量によるコスト低減が可能である。
・汎用保護キャップまたは汎用アダプタの設計が、全ての色およびコーディングの変形例に対して可能である。
・コーディングリングおよびシール要素が、接着および溶着でなく、解放不能なはめ込み要素によってそれらの位置に固定され得る。(しかしながら、溶着および接着は接続のための任意の可能性として残されている。)
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図9c
図10