(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781087
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20201026BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20201026BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20201026BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20201026BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20201026BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H01L27/32
H01L33/62
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-60428(P2017-60428)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-141944(P2018-141944A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年8月19日
(31)【優先権主張番号】特願2017-35829(P2017-35829)
(32)【優先日】2017年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横山 良一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 純男
【審査官】
村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−198145(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2014−0050549(KR,A)
【文献】
特開2014−174220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
H01L 27/32
H01L 33/62
H01L 51/50
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、
前記第1主面の側に配置された複数の発光部と、
前記第1主面の側に配置され、前記複数の発光部のそれぞれに発光制御信号線を介して発光制御信号を時分割で出力する時分割駆動回路と、
前記第2主面の側に配置され、前記時分割駆動回路を経由して前記複数の発光部に前記発光制御信号を供給する駆動信号線と、
前記第1主面から前記第2主面に至って配置され、前記時分割駆動回路と前記駆動信号線を電気的に接続する接続導体と、を有しており、
前記接続導体は、複数の前記発光制御信号線に電気的に接続されることによって、前記接続導体の数が前記発光制御信号線の数よりも少ない表示装置。
【請求項2】
前記接続導体は、前記基板を貫通する貫通導体である請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記接続導体は、前記基板の側面にある側面導体である請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記基板は、前記第1主面の側に前記複数の発光部を有する表示部があり、
前記時分割駆動回路および前記接続導体は、前記表示部に配置されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、
前記第1主面の側に配置された複数の走査信号線と、
前記第1主面の側に前記複数の走査信号線と交差させて配置された発光制御信号線と、
前記走査信号線と前記発光制御信号線の交差部に対応して配置された発光部と、
前記第1主面の側に配置され、前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、
前記第2主面の側に配置され、前記走査信号線駆動回路に駆動制御信号を供給する第1の駆動制御信号線と、
前記第1主面から前記第2主面に至って配置され、前記走査信号線駆動回路と前記第1の駆動制御信号線を電気的に接続する接続導通体と、を有しており、
前記接続導通体は、前記走査信号線駆動回路に接続されている第2の駆動制御信号線を介して前記走査信号線駆動回路に電気的に接続されており、前記第2の駆動制御信号線の数が前記走査信号線の数よりも少ないことによって、前記接続導通体の数が前記走査信号線の数よりも少ない表示装置。
【請求項6】
前記接続導通体は、前記基板を貫通する貫通導体である請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記接続導通体は、前記基板の側面にある側面導体である請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記基板は、前記第1主面の側に前記複数の発光部を有する表示部があり、
前記走査信号線駆動回路および前記接続導通体は、前記表示部に配置されている請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子を画素部に有する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の発光素子を含む画素部を複数有する、バックライト装置が不要な自発光型の表示装置が知られている。そのような表示装置の基本構成のブロック回路図を
図5に示す。表示装置は、ガラス基板等から成る基板51上に、発光素子73(LD11,LD12,LD13,LD21,LD22,LD23,LD31,LD32,LD33〜)のそれぞれに発光信号を入力するためのスイッチ素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)71と、発光制御信号(画像信号線SLを伝達する信号)のレベル(電圧)に応じた、正電圧(アノード電圧:3〜5V程度)と負電圧(カソード電圧:−3V〜0V程度)の電位差(発光信号)から発光素子73を電流駆動するための駆動素子としてのTFT72と、を含む発光部(画素部ともいう)74(P11,P12,P13,P21,P22,P23,P31,P32,P33〜)が多数配置されている。
【0003】
TFT71,72はpチャネル型TFTであり、それらのゲート電極にロー信号(L信号)が入力されることによって、ソース−ドレイン間が導通しオン状態となり電流が流れる。そして、TFT72は、そのゲート電極に発光制御信号が入力されており、その発光制御信号のレベルに応じた電位差(発光信号)が発光素子73の正電極(アノード電極)と負電極(カソード電極)に印加される。発光素子73の正電極には正電圧入力線75を介して正電圧が入力され、発光素子73の負電極には負電圧入力線76を介して負電圧が入力される。正電圧入力線75の入力端部にはスルーホール等から成る貫通導体78があり、貫通導体78を介して、基板51の裏面側にある駆動素子60あるいは電源部等に電気的に接続されている。負電圧入力線76の入力端部にはスルーホール等から成る貫通導体79があり、貫通導体79を介して、基板51の裏面側にある駆動素子60あるいは電源部等に電気的に接続されている。またTFT72は、ゲート電極にロー信号が入力されている間オン状態となり、発光素子73に電流を流す。また、TFT72のゲート電極とソース電極とを接続する接続線上には容量素子が配置されており、容量素子はTFT72ゲート電極に入力された発光制御信号の電圧を次の書き換えまでの期間(1フレームの期間)保持する保持容量として機能する。
【0004】
また、基板51上には、第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本のゲート信号線52(GL1,GL2,GL3〜)と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線52と交差させて形成された複数本の画像信号線(ソース信号線)53(SL1,SL2,SL3〜)と、ゲート信号線52と画像信号線53の各交差部に対応して形成された画素部74と、を有する構成である。なお、
図5において、70は表示部、60は、スルーホール等から成る貫通導体64を介して画像信号線53を駆動する画像信号線駆動用の駆動素子である。また61は、ゲート信号線52に順次ゲート信号を入力するゲート信号線駆動回路を有するゲート信号線駆動用の駆動素子である。61sは、基板51の裏面側にある駆動素子61から接続線61aを介してゲート信号を伝達するためのスルーホール等から成る貫通導体である。66は、駆動素子60の画像信号入力端子TS1,TS2,TS3〜と貫通導体64を電気的に接続する接続線である。なお、駆動素子60,61は、例えば、基板51の裏面にCOG(Chip On Glass)方式等の手段によって搭載される。また、基板51に裏面側には、駆動素子60,61との間で引き出し線を介して駆動信号、制御信号等を入出力するための回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)が設置されている場合がある。
【0005】
TFT71,72は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)等から成る半導体膜を有し、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3端子を有する構成である。そして、ゲート電極に所定電位の電圧を印加することにより、ソース電極とドレイン電極の間の半導体膜(チャネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。基板51がガラス基板から成り、駆動素子60,61は、LTPSから成る半導体膜を有するTFTを用いて構成された駆動回路である場合、基板51上にTFTをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって直接的に形成することができる。
【0006】
なお、発光部としての画素部74は、それぞれが赤色発光用の副画素、緑色発光用の副画素、青色発光用の副画素から成る場合がある。赤色発光用の副画素は赤色LED等から成る赤色発光素子を有し、緑色発光用の副画素は緑色LED等から成る緑色発光素子を有し、青色発光用の副画素は青色LED等から成る青色発光素子を有している。例えば、これらの副画素は、列方向に並んでいる。
【0007】
そして、発光制御信号は、貫通導体64から画像信号線(発光制御信号線ともいう)53を介して各発光部74に入力される。1本の画像信号線53に対して一つの貫通導体64が対応して設置されている。従って、選択された(オンされた)1本のゲート信号線52における一つの発光部74に対して、一つの貫通導体64から発光制御信号が入力される。また駆動素子60は、貫通導体64のそれぞれに対応する画像信号入力端子TS1,TS2,TS3〜を有している。
【0008】
また
図6は、
図5の表示装置を示す図であり、(a)は
図5の画像信号線53(SL1)における
図5のA方向(白抜き矢印で示す方向)からみた表示装置の断面図、(b)は(a)のB方向(白抜き矢印で示す方向)からみた表示装置の側面図である。
図6に示すように、複数の画像信号線53(SL1,SL2,SL3〜)のそれぞれに対応して、接続端子(接続パッド)等から成る接続部65が設けられている。接続部65のそれぞれは、スルーホール等から成る貫通導体64を介して、基板51の発光素子搭載面と反対側の面(裏面)の側に配置された駆動素子60の画像信号入力端子TS1,TS2,TS3〜に、電気的に接続されている。また、
【0009】
また、他の従来例として、一つの発光部に一つのスルーホールを対応させて設けたEL素子が知られている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、
図5の表示装置の場合であれば、複数の発光素子73のそれぞれに対応させて各画素部に貫通導体64を設ける構成であり、発光素子73の個数と同数の貫通導体64を設ける構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−224774号公報
【特許文献2】特開2016−186649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示されているような従来の表示装置においては、以下の問題点があった。一つの発光部に一つのスルーホールを対応させて設けた場合、高精細の表示を行うために多数の発光部を設けると、スルーホールの数が膨大になるとともにスルーホールに接続される配線の本数も膨大となる。その結果、配線構造が複雑化するという問題点があった。
【0012】
また、
図5、
図6に示す従来の表示装置においては、ガラス基板にレーザ光によって形成し得る、貫通導体64を形成するための貫通孔の直径は、最小でも50μm程度であり、各画素部74の幅130μm程度の範囲内に1個ずつ貫通孔を形成することは困難であった。すなわち、各画素部74にはTFT71,72が配置されており、一つの画素部74においてTFT71,72と貫通導体64を位置合わせして形成することは、きわめて困難であった。これは、基板51を治具等に突き当てて位置合わせした場合、基板51の位置決めの誤差が50μm程度以上であることに起因する。同様の理由で、貫通導体64と画像信号線53を精度良く位置合わせして形成することはむつかしいという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光部に発光制御信号を入力するための貫通導体の数を大幅に減少させることによって、配線構造を大幅に簡略化することである。また、貫通導体と画像信号線との位置合わせを容易なものとし、その結果それらの接続性を向上させて発光部に発光制御信号を確実に入力させることができる表示装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の表示装置は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、前記第1主面の側に配置された複数の発光部と、前記第1主面の側に配置され、前記複数の発光部のそれぞれに発光制御信号線を介して発光制御信号を時分割で出力する時分割駆動回路と、前記第2主面の側に配置され、前記時分割駆動回路を経由して前記複数の発光部に前記発光制御信号を供給する駆動信号線と、前記第1主面から前記第2主面に至って配置され、前記時分割駆動回路と前記駆動信号線を電気的に接続する接続導体と、を有しており、前記接続導体は、複数の前記発光制御信号線に電気的に接続されることによって、前記接続導体の数が前記発光制御信号線の数よりも少ない構成である。
【0015】
本発明の表示装置は、好ましくは、前記接続導体は、前記基板を貫通する貫通導体である。
【0016】
また本発明の表示装置は、好ましくは、前記接続導体は、前記基板の側面にある側面導体である。
【0017】
また本発明の表示装置は、好ましくは、前記基板は、前記第1主面の側に前記複数の発光部を有する表示部があり、前記時分割駆動回路および前記接続導体は、前記表示部に配置されている。
【0018】
また本発明の表示装置は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、前記第1主面の側に配置された複数の走査信号線と、前記第1主面の側に前記複数の走査信号線と交差させて配置された発光制御信号線と、前記走査信号線と前記発光制御信号線の交差部に対応して配置された発光部と、前記第1主面の側に配置され、前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、前記第2主面の側に配置され、前記走査信号線駆動回路に駆動制御信号を供給する第1の駆動制御信号線と、前記第1主面から前記第2主面に至って配置され、前記走査信号線駆動回路と前記第1の駆動制御信号線を電気的に接続する接続導通体と、を有しており、前記接続導通体は、前記走査信号線駆動回路に接続されている第2の駆動制御信号線を介して前記走査信号線駆動回路に電気的に接続されており、前記第2の駆動制御信号線の数が前記走査信号線の数よりも少ないことによって、前記接続導通体の数が前記走査信号線の数よりも少ない構成である。
【0019】
また本発明の表示装置は、好ましくは、前記接続導通体は、前記基板を貫通する貫通導体である。
【0020】
また本発明の表示装置は、好ましくは、前記接続導通体は、前記基板の側面にある側面導体である。
【0021】
また本発明の表示装置は、好ましくは、前記基板は、前記第1主面の側に前記複数の発光部を有する表示部があり、前記走査信号線駆動回路および前記接続導通体は、前記表示部に配置されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の表示装置は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、前記第1主面の側に配置された複数の発光部と、前記第1主面の側に配置され、前記複数の発光部のそれぞれに発光制御信号線を介して発光制御信号を時分割で出力する時分割駆動回路と、前記第2主面の側に配置され、前記時分割駆動回路を経由して前記複数の発光部に前記発光制御信号を供給する駆動信号線と、前記第1主面から前記第2主面に至って配置され、前記時分割駆動回路と前記駆動信号線を電気的に接続する接続導体と、を有しており、前記接続導体は、複数の前記発光制御信号線に電気的に接続されることによって、前記接続導体の数が前記発光制御信号線の数よりも少ない構成であることから、以下の効果を奏する。一つの接続導体は、複数の発光制御信号線に電気的に接続されることによって、接続導体の数が発光制御信号線の数よりも少ないので、一本の発光制御信号線に対して一つの接続導体を対応させて設ける構成と比較して接続導体の数が大幅に減少する。その結果、配線構造が大幅に簡略化される。また、接続導体の配置の範囲が拡がることから、接続導体と発光制御信号線との位置合わせが容易になり、それらの接続性が向上し、発光部に発光制御信号を確実に入力させることができる。
【0023】
本発明の表示装置は、前記接続導体は、前記基板を貫通する貫通導体である場合、貫通導体は配置の自由度が大きいために、貫通導体を時分割駆動回路に近接させて配置したり、時分割駆動回路に含まれるように配置することができる。その結果、配線構造がより簡略化される。
【0024】
また本発明の表示装置は、前記接続導体は、前記基板の側面にある側面導体である場合、側面導体と他の配線との接続状態を確認することが容易となり、接続性をより向上させ得る。
【0025】
また本発明の表示装置は、前記基板は、前記第1主面の側に前記複数の発光部を有する表示部があり、前記時分割駆動回路および前記接続導体は、前記表示部に配置されている場合、接続導体の数が大幅に減少するとともに、基板の第1主面における表示部の外側の額縁部をきわめて狭額縁化することができる。
【0026】
また本発明の表示装置は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板と、前記第1主面の側に配置された複数の走査信号線と、前記第1主面の側に前記複数の走査信号線と交差させて配置された発光制御信号線と、前記走査信号線と前記発光制御信号線の交差部に対応して配置された発光部と、前記第1主面の側に配置され、前記複数の走査信号線を駆動する走査信号線駆動回路と、前記第2主面の側に配置され、前記走査信号線駆動回路に駆動制御信号を供給する第1の駆動制御信号線と、前記第1主面から前記第2主面に至って配置され、前記走査信号線駆動回路と前記第1の駆動制御信号線を電気的に接続する接続導通体と、を有しており、前記接続導通体は、前記走査信号線駆動回路に接続されている第2の駆動制御信号線を介して前記走査信号線駆動回路に電気的に接続されており、前記第2の駆動制御信号線の数が前記走査信号線の数よりも少ないことによって、前記接続導通体の数が前記走査信号線の数よりも少ない構成であることから、以下の効果を奏する。マトリクス状(行列状)に配列された複数の発光部を列方向において順次駆動するための走査信号線(ゲート信号線)駆動回路を有する構成であり、走査信号線駆動回路を基板の発光部搭載面(第1主面)側に設けて、走査信号線駆動回路を、基板の裏面(第2主面)側の第1の駆動制御信号線と、走査信号線の数よりも大幅に少ない数の接続導通体を介して電気的に接続することができる。従って、配線構造の大幅な簡略化が達成される。
【0027】
また本発明の表示装置は、前記接続導通体は、前記基板を貫通する貫通導体である場合、貫通導体は配置の自由度が大きいという効果を有する。
【0028】
また本発明の表示装置は、前記基板は、前記第1主面の側に前記複数の発光部を有する表示部があり、前記走査信号線駆動回路および前記接続導通体は、前記表示部に配置されている場合、接続導通体の数が大幅に減少するとともに、基板の第1主面における表示部の外側の額縁部をきわめて狭額縁化することができる。
【0029】
また本発明の表示装置は、前記接続導通体は、前記基板の側面にある側面導体である場合、側面導体と他の配線との接続状態を確認することが容易であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の表示装置について実施の形態の1例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
【
図2】
図2は、本発明の表示装置について実施の形態の他例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
【
図3】
図3(a),(b)は、
図1の構成の表示装置を示す図であり、(a)は
図1の表示装置の画像信号線(SL2)におけるA方向からみた断面図、(b)は(a)のB方向からみた側面図である。
【
図4】
図4(a),(b)は、
図1の構成の表示装置において貫通導体に代えて側面導体を有する場合を示す図であり、(a)は表示装置の画像信号線(SL2)におけるA方向からみた断面図、(b)は(a)のB方向からみた側面図である。
【
図5】
図5は、従来の表示装置の一例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
【
図6】
図6(a),(b)は、
図5の表示装置を示す図であり、(a)は
図5の表示装置の画像信号線(SL1)におけるA方向からみた断面図、(b)は(a)のB方向からみた側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の表示装置について実施の形態の他例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の表示装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の表示装置の実施の形態における構成部材のうち、本発明の表示装置を説明するための主要部を示している。従って、本発明に係る表示装置は、図に示されていない回路基板、配線導体、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。
【0032】
図1〜
図4は、本発明の表示装置について各種実施の形態の例を示す図である。これらの図に示すように、本発明の表示装置は、第1主面1aおよびその反対側の第2主面1bを有する基板1と、第1主面1aの側に配置された複数の発光部(画素部ともいう)15と、第1主面1aの側に配置され、複数の発光部15のそれぞれに発光制御信号線(画像信号線ともいう)3を介して発光制御信号を時分割で出力する時分割駆動回路5と、第2主面1bの側に配置され、時分割駆動回路5を経由して複数の発光部15に発光制御信号を供給する駆動信号線10と、第1主面1aから第2主面1bに至って配置され、時分割駆動回路5と駆動信号線10を電気的に接続する接続導体としての貫通導体8と、を有しており、一つの貫通導体8は、複数の発光制御信号線3に電気的に接続されることによって、貫通導体8の数が発光制御信号線3の数よりも少ない構成である。なお、第2主面1bの側には、駆動信号線10に接続される駆動素子6が配置されているが、駆動素子6はなくてもよく、その場合、駆動信号線10はFPC等の回路基板に電気的に接続される構成であってもよい。
【0033】
本発明の表示装置は、上記の構成により以下の効果を奏する。一つの貫通導体8は、複数の発光制御信号線3に電気的に接続されることによって、貫通導体8の数が発光制御信号線3の数よりも少ないので、一本の発光制御信号線3に対して一つの貫通導体8を対応させて設ける構成と比較して貫通導体8の数が大幅に減少する。その結果、配線構造が大幅に簡略化される。また、貫通導体8の配置の範囲が拡がることから、貫通導体8と発光制御信号線3である画像信号線(SL)との位置合わせが容易になり、それらの接続性が向上し、発光部15に発光制御信号を確実に入力させることができる。
【0034】
また
図1に示すように、本発明の表示装置は、第1主面1aおよびその反対側の第2主面1bを有する基板1と、第1主面1aの側に配置された複数の走査信号線(ゲート信号線ともいう)2と、第1主面1aの側に複数の走査信号線2と交差させて配置された発光制御信号線3と、走査信号線2と発光制御信号線3の交差部に対応して配置された発光部15と、第1主面1aの側に配置され、複数の走査信号線2を駆動する走査信号線駆動回路(ゲート信号線駆動回路ともいう)7と、第2主面1bの側に配置され、走査信号線駆動回路7に駆動制御信号を供給する第1の駆動制御信号線10aと、第1主面1aから第2主面1bに至って配置され、走査信号線駆動回路7と第1の駆動制御信号線10aを電気的に接続する接続導通体としての貫通導体10sと、を有しており、貫通導体10sは、走査信号線駆動回路7に接続されている第2の駆動制御信号線10bを介して走査信号線駆動回路7に電気的に接続されており、第2の駆動制御信号線10bの数が走査信号線2の数よりも少ないことによって、貫通導体10sの数が走査信号線2の数よりも少ない構成である。
【0035】
この場合、以下の効果を奏する。
図5の従来の構成と比較して、マトリクス状(行列状)に配列された複数の発光部15を列方向において順次駆動するための走査信号線駆動回路7を有する構成であり、走査信号線駆動回路7を基板1の発光部15搭載面(第1主面1a)側に設けて、走査信号線駆動回路7を、基板1の裏面(第2主面1b)側の第1の駆動制御信号線10bと、走査信号線2の数よりも大幅に少ない数の貫通導体10sを介して電気的に接続することができる。すなわち、走査信号線駆動回路7は、基板1の発光部15搭載面側にある第2の駆動制御信号線10bと、貫通導体10sと、を介して基板1の裏面側にある第1の駆動制御信号線10aに電気的に接続されているが、第2の駆動制御信号線10bと貫通導体10sと第1の駆動制御信号線10aの数は、走査信号線2の数よりも非常に少なくなる。それは、走査信号線2の数が、数100本〜数1000本程度であるのに対して、第2の駆動制御信号線10bの数が、走査信号線駆動回路7を制御するための駆動開始線、電源線等の5本程度以下となるからである。すなわち、走査信号線駆動回路7は、第2の駆動制御信号線10bを介して駆動開始信号を受信すると、走査信号線駆動回路7に内蔵されたシフトレジスタによって複数の走査信号線2に駆動開始信号が順次転送されることから、第2の駆動制御信号線10bの数が走査信号線2の数よりも非常に少なくなるからである。従って、上記の構成により、配線構造のさらなる簡略化が達成される。なお、走査信号線駆動回路7は、例えばLTPSから成る半導体膜を有するTFTから構成されている。なお、接続導通体として、貫通導体10sに代えて側面導体を採用してもよい。
【0036】
なお、第1の駆動制御信号線10aは、駆動素子6がある場合は駆動素子6に接続されており、駆動素子6がない場合はFPC等の回路基板に接続されてもよい。
【0037】
図1は、本発明の表示装置の実施の形態の1例を示すものであり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
図1には、第1の方向(行方向)に3個、第2の方向(列方向)に3個の計9個の発光部(画素部)15(P11,P12,P13〜P33)および発光素子14を描いているが、これらの発光部15は全体の一部であり、その他の発光部15は省略している。この表示装置は、ガラス基板等から成る基板1上に、発光素子14(LD11,LD12,LD13,LD21,LD22,LD23,LD31,LD32,LD33)のそれぞれに発光信号を入力するためのスイッチ素子としてのTFT12と、発光制御信号(画像信号線SLを伝達する信号)のレベル(電圧)に応じた、正電圧(アノード電圧:3〜5V程度)と負電圧(カソード電圧:−3V〜0V程度)の電位差(発光信号)から発光素子14を電流駆動するための駆動素子としてのTFT13と、を含む発光部(画素部)15が多数配置されている。
【0038】
TFT12,13はpチャネル型TFTであり、それらのゲート電極にロー信号(L信号)が入力されることによって、ソース−ドレイン間が導通しオン状態となり電流が流れる。そして、TFT13は、そのゲート電極に発光制御信号が入力されており、その発光制御信号のレベルに応じた電位差(発光信号)が発光素子14の正電極(アノード電極)と負電極(カソード電極)に印加される。発光素子14の正電極には正電圧入力線16を介して正電圧が入力され、発光素子14の負電極には負電圧入力線17を介して負電圧が入力される。正電圧入力線16の入力端部にはスルーホール等から成る貫通導体18があり、貫通導体18を介して、基板1の裏面側にある駆動素子6あるいは電源部等に電気的に接続されている。負電圧入力線17の入力端部にはスルーホール等から成る貫通導体19があり、貫通導体19を介して、基板1の裏面側にある駆動素子6あるいは電源部等に電気的に接続されている。またTFT13は、ゲート電極にロー信号が入力されている間オン状態となり、発光素子14に電流を流す。TFT13のゲート電極とソース電極とを接続する接続線上には容量素子が配置されており、容量素子はTFT13のゲート電極に入力された発光制御信号の電圧を次の書き換えまでの期間(1フレームの期間)保持する保持容量として機能する。
【0039】
本発明の表示装置は、
図1に示すように、複数の正電圧入力線16が一つの貫通導体18に接続されていることが好ましい。この場合、貫通導体18の数が大幅に減少するので、配線構造が簡略化される。また、
図1に示すように、複数の負電圧入力線17が一つの貫通導体19に接続されていることが好ましい。この場合にも、貫通導体19の数が大幅に減少するので、配線構造が簡略化される。
【0040】
また、基板1上には、第1の方向(例えば、行方向)に形成された複数本のゲート信号線2(GL1,GL2,GL3)と、第1の方向と交差する第2の方向(例えば、列方向)にゲート信号線2と交差させて形成された複数本の画像信号線(ソース信号線)3(SL1,SL2,SL3)と、ゲート信号線2と画像信号線3の各交差部に対応して形成された画素部15と、を有している。なお、
図1において、11は表示部、6は、スルーホール等から成る貫通導体8を介して画像信号線3を駆動するとともに、貫通導体10sを介してゲート信号線52を駆動する駆動素子である。10は、駆動素子6の画像信号入力端子TS1〜と貫通導体8を電気的に接続する駆動信号線である。なお、駆動素子6は、例えば、基板1の裏面にCOG方式等の手段によって搭載される。また、基板1に裏面側には、駆動素子6との間で引き出し線を介して駆動信号、制御信号等を入出力するためのFPCが設置されていてもよい。
【0041】
TFT12,13は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)、低温多結晶シリコン(Low-Temperature Poly Silicon:LTPS)等から成る半導体膜を有し、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極の3端子を有する構成である。そして、ゲート電極に所定電位の電圧を印加することにより、ソース電極とドレイン電極の間の半導体膜(チャネル)に電流を流す、スイッチング素子(ゲートトランスファ素子)として機能する。基板1がガラス基板から成り、駆動素子6、ゲート信号線駆動回路7、画像信号線駆動回路5は、LTPSから成る半導体膜を有するTFTを用いて構成されている場合、基板1上にTFTをCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって直接的に形成することができ、好ましい。
【0042】
そして、発光制御信号は、画像信号線駆動回路5に備えられた貫通導体8から画像信号線3を介して各発光部15に入力される。3本の画像信号線3に対して一つの貫通導体8が対応して設置されている。また駆動素子6は、貫通導体8のそれぞれに対応する画像信号入力端子TS1〜を有している。発光制御信号Sig1,Sig2,Sig3は、画像信号線駆動回路5に備えられた貫通導体8から画像信号線3を介して各発光部15に入力される。
【0043】
図1に示すように、画像信号線3のそれぞれの入力端部には、CMOSトランスファゲート素子TG1,TG2,TG3がそれぞれ接続されており、CMOSトランスファゲート素子TG1,TG2,TG3の各ソース電極は、貫通導体8を介して駆動素子6の画像信号入力端子TS1に共通接続されている。接続部9(
図3に示す)は、駆動素子6の画像信号入力端子TS1と、画像信号線駆動回路(本発明における時分割駆動回路に相当する)5に備えられた貫通導体8と、を電気的に接続するものである。また、CMOSトランスファゲート素子TG1,TG2,TG3の各ドレイン電極は、それぞれ画像信号線SL1,SL2,SL3に接続されている。
【0044】
CMOSトランスファゲート素子TG1,TG2,TG3はそれぞれ、pチャネルTFTとnチャネルTFTが、それらのソース電極とドレイン電極が共通接続されて成り、pチャネルTFTのゲート電極とnチャネルTFTのゲート電極が制御入力電極とされている。即ち、pチャネルTFTのゲート電極にロー(L)の信号が入力されるとともにnチャネルTFTのゲート電極にハイ(H)の信号が入力されたときに、ソース電極とドレイン電極との間に電流が流れて画像信号が入力される。
【0045】
また、MUX1,XMUX1,MUX2,XMUX2,MUX3,XMUX3は、画像信号線SL1,SL2,SL3を時分割駆動するための時分割信号入力線である。時分割信号入力線MUX1は、CMOSトランスファゲート素子TG1のnチャネルTFTのゲート電極に接続され、時分割信号入力線XMUX1(MUX1の反転信号線)はCMOSトランスファゲート素子TG1のpチャネルTFTのゲート電極に接続されており、時分割信号入力線MUX1にHの信号が入力されるとともに時分割信号入力線XMUX1にLの信号が入力されたときに、画像信号入力端子TS1から入力された画像信号Sig1が、画像信号線SL1を伝送される。このとき、ゲート信号線GL1が選択されていれば、発光素子LD11に画像信号Sig1が入力される。同様に、ゲート信号線GL2が選択されていれば、発光素子LD21に画像信号Sig1が入力され、ゲート信号線GL3が選択されていれば、発光素子LD31に画像信号Sig1が入力される。
【0046】
時分割信号入力線MUX2は、CMOSトランスファゲート素子TG2のnチャネルTFTのゲート電極に接続され、時分割信号入力線XMUX2(MUX2の反転信号線)はCMOSトランスファゲート素子TG2のpチャネルTFTのゲート電極に接続されており、時分割信号入力線MUX2にHの信号が入力されるとともに時分割信号入力線XMUX2にLの信号が入力されたときに、画像信号入力端子TS1から入力された画像信号Sig2が、画像信号線SL2を伝送される。このとき、ゲート信号線GL1が選択されていれば、発光素子LD12に画像信号Sig2が入力される。同様に、ゲート信号線GL2が選択されていれば、発光素子LD22に画像信号Sig2が入力され、ゲート信号線GL3が選択されていれば、発光素子LD32に画像信号Sig2が入力される。
【0047】
時分割信号入力線MUX3は、CMOSトランスファゲート素子TG3のnチャネルTFTのゲート電極に接続され、時分割信号入力線XMUX3(MUX3の反転信号線)はCMOSトランスファゲート素子TG3のpチャネルTFTのゲート電極に接続されており、時分割信号入力線MUX3にHの信号が入力されるとともに時分割信号入力線XMUX3にLの信号が入力されたときに、画像信号入力端子TS1から入力された画像信号Sig3が、画像信号線SL3を伝送される。このとき、ゲート信号線GL1が選択されていれば、発光素子LD13に画像信号Sig3が入力される。同様に、ゲート信号線GL2が選択されていれば、発光素子LD23に画像信号Sig3が入力され、ゲート信号線GL3が選択されていれば、発光素子LD33に画像信号Sig3が入力される。このように、一つの貫通導体8は、ゲート信号線2の方向(行方向)において二つ以上の発光部15のそれぞれに電気的に接続されている構成であり、これにより、貫通導体8の数が発光部15の数よりも少ない構成となる。
【0048】
なお、時分割信号入力線MUX1,XMUX1,MUX2,XMUX2,MUX3,XMUX3は、例えば貫通導体あるいは側面導体を介して駆動素子6に電気的に接続される。
【0049】
また発光素子LD11〜LD33としては、マイクロチップ型の発光ダイオード(LED)、モノリシック型の発光ダイオード、有機EL、無機EL、半導体レーザ素子等の自発光型のものであれば採用し得る。
【0050】
本発明の表示装置において、接続部9は、例えば銅(Cu),アルミニウム(Al),銀(Ag),金(Au)等の導体材料から成る導体パッドであり、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法、導体ペーストを印刷塗布し焼成して形成する厚膜形成法等によって、形成される。
【0051】
本発明の表示装置は、
図1に示すような複数の発光素子14を搭載した基板1の複数を、同じ面上において縦横に配置するとともにそれらの側面同士を接着材等によって結合(タイリング)させることによって、複合型かつ大型の表示装置、所謂マルチディスプレイとすることができる。
【0052】
図2は、本発明の表示装置について実施の形態の他例を示す図であり、表示装置の基本構成のブロック回路図である。
図2に示すように、発光部としての画素部15は、それぞれが赤色発光用の副画素、緑色発光用の副画素、青色発光用の副画素から構成されていてもよい。この場合、フルカラー表示が可能な表示装置となる。赤色発光用の副画素は赤色LED等から成る赤色発光素子(例えばLD11R)を有し、緑色発光用の副画素は緑色LED等から成る緑色発光素子(例えばLD11G)を有し、青色発光用の副画素は青色LED等から成る青色発光素子(例えばLD11B)を有している。これらの副画素(例えばLD11R,LD11G,LD11B)は、列方向に並んでいるが、行方向に並んでいてもよい。
【0053】
図2の構成の場合、画素部15(P11)が以下のように駆動される。まず、CMOSトランスファゲート素子TG1がオン状態であり、ゲート信号線GL1Rが選択されているときに、発光素子LD11Rに画像信号Sig1が入力される。次に、CMOSトランスファゲート素子TG1がオン状態であり、ゲート信号線GL1Gが選択されているときに、発光素子LD11Gに画像信号Sig1が入力される。次に、CMOSトランスファゲート素子TG1がオン状態であり、ゲート信号線GL1Bが選択されているときに、発光素子LD11Bに画像信号Sig1が入力される。このとき、画像信号Sig1は、発光素子LD11R,LD11G,LD11Bのそれぞれに対応する信号とされている。またこのとき、他のCMOSトランスファゲート素子TG2,TG3はオフ状態である。
【0054】
次に、画素部15(P12)が駆動される。まず、CMOSトランスファゲート素子TG2がオン状態であり、ゲート信号線GL1Rが選択されているときに、発光素子LD12Rに画像信号Sig2が入力される。次に、CMOSトランスファゲート素子TG2がオン状態であり、ゲート信号線GL1Gが選択されているときに、発光素子LD12Gに画像信号Sig2が入力される。次に、CMOSトランスファゲート素子TG2がオン状態であり、ゲート信号線GL1Bが選択されているときに、発光素子LD12Bに画像信号Sig2が入力される。このとき、画像信号Sig2は、発光素子LD12R,LD12G,LD12Bのそれぞれに対応する信号とされている。またこのとき、他のCMOSトランスファゲート素子TG1,TG3はオフ状態である。
【0055】
次に、画素部15(P13)が駆動される。まず、CMOSトランスファゲート素子TG3がオン状態であり、ゲート信号線GL1Rが選択されているときに、発光素子LD13Rに画像信号Sig3が入力される。次に、CMOSトランスファゲート素子TG3がオン状態であり、ゲート信号線GL1Gが選択されているときに、発光素子LD13Gに画像信号Sig3が入力される。次に、CMOSトランスファゲート素子TG3がオン状態であり、ゲート信号線GL1Bが選択されているときに、発光素子LD13Bに画像信号Sig3が入力される。このとき、画像信号Sig3は、発光素子LD13R,LD13G,LD13Bのそれぞれに対応する信号とされている。またこのとき、他のCMOSトランスファゲート素子TG1,TG2はオフ状態である。
【0056】
以上のようにして、行方向においてすべての画素部15の駆動が完了すると、列方向における次段の駆動が開始される。この動作を繰り返すことによって1画面(1フレーム)の駆動が完了する。
【0057】
図3(a),(b)は、
図1の構成の表示装置を示す図であり、(a)は
図1の表示装置の画像信号線3(SL2)における
図1のA方向からみた断面図、(b)は(a)のB方向からみた側面図である。駆動素子6は、第2主面1bの側に配置されており、駆動素子6は貫通導体8と駆動信号線10を介して電気的に接続されている。
図3に示すように、一つの貫通導体8は、1組の発光素子LD11,LD12,LD13,LD21,LD22,LD23,LD31,LD32,LD33に対応して設置されている。従って、個々の発光素子14に一ずつの貫通導体8を対応させて設置する構成と比較して、大幅に貫通導体8の数を減少させることができる。また貫通導体8は配置の自由度が大きいために、貫通導体8を時分割駆動回路5に近接させて配置したり、時分割駆動回路5に含まれるように配置することができる。その結果、配線構造がより簡略化される。
【0058】
貫通導体8は、基板1にレーザ加工法、エッチング法等によって貫通孔を形成し、次に貫通孔の側面に、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法等によって導体層を成膜する方法で形成される。または、貫通孔に、導体ペーストを充填し焼成して柱状導体を作製する厚膜形成法等によって形成される。また貫通導体8は、銅(Cu),アルミニウム(Al),銀(Ag),モリブデン(Mo)等の導体材料から成る。なお、基板1にレーザ加工法によって貫通孔を形成する場合、基板1として感光性のガラス基板等を採用することが好ましい。この場合、透光性を有する基板1に貫通孔を容易に形成することができる。
【0059】
本発明の表示装置は、接続部9は、それに接続される貫通導体8を平面視で覆っていることが好ましい。この場合、製造時の誤差によって貫通導体8の位置がずれたとしても、接続部9と貫通導体8とを確実に接続させることができる。平面視において、接続部9の最大幅が貫通導体8の最大幅(50μm〜100μm程度)の1.5倍乃至3倍程度であることが良い。1.5倍未満では、製造時の誤差によって貫通導体8の位置がずれた場合、接続部9と貫通導体8との導通接続がとりにくくなることが生じる傾向がある。3倍を超えた場合、接続部9のサイズが大きくなりすぎて、隣接するもの同士が接触し短絡するおそれが生じる傾向がある。また、平面視において、接続部9の中心と貫通導体8の中心が合致していることが良い。この場合、製造時の誤差によって貫通導体8の位置がずれたとしても、接続部9と貫通導体8とを確実に接続させる効果がより向上する。例えば、平面視において貫通導体8が円形状である場合、接続部9は貫通導体8に同心状の円形状であり、接続部9の直径が貫通導体8の直径の1.5倍乃至3倍であることが好ましい。
【0060】
図4(a),(b)は、
図1の構成の表示装置において貫通導体8に代えて側面導体8aを有する場合を示す図であり、(a)は表示装置の画像信号線3(SL2)における
図1のA方向からみた断面図、(b)は(a)のB方向からみた側面図である。側面導体8aは、基板1の側面の所定部位に、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法等によって導体層を成膜する方法で形成される。あるいは基板1の側面の所定部位にエッチング法等によって溝を形成し、次にその溝に、メッキ法、蒸着法、CVD法等の薄膜形成法等によって導体層を成膜する方法で形成される。あるいは、側面導体8aは、基板1の側面の所定部位に、導体ペーストを塗布し焼成して導体層を作製する厚膜形成法等によって形成される。あるいは基板1の側面の所定部位にエッチング法等によって溝を形成し、次にその溝に導体ペーストを塗布し焼成して導体層を作製する厚膜形成法等によって形成される。
【0061】
また側面導体8aは、銅(Cu),アルミニウム(Al),銀(Ag),モリブデン(Mo)等の導体材料から成る。さらに側面導体8aは、その幅が10μm〜1000μm程度である。なお、側面導体8aは、接続線8a1を介して駆動素子6に電気的に接続され、接続線8a2を介して画像信号線駆動回路5に電気的に接続される。
【0062】
図4の構成の表示装置において、側面導体8aと接続線8a1を接続する接続部8s1と側面導体8aと接続線8a2を接続する接続部8s2は、それぞれ平面視で側面導体8aを覆っていることが好ましい。この場合、製造時の誤差によって側面導体8aの位置がずれたとしても、接続部8s1,8s2と側面導体8aとを確実に接続させることができる。平面視において、接続部8s1,8s2の最大幅が側面導体8aの最大幅(100μm程度)の1倍を超え3倍以下程度であることが良い。1倍以下では、製造時の誤差によって側面導体8aの位置がずれた場合、接続部8s1,8s2と側面導体8aとの導通接続がとりにくくなることが生じる傾向がある。3倍を超えた場合、接続部8s1,8s2のサイズが大きくなりすぎて、隣接するもの同士が接触し短絡するおそれが生じる傾向がある。
【0063】
また本発明の表示装置は、
図7に示すように、基板1は、第1主面1aの側に複数の発光部14を有する表示部11があり、時分割駆動回路および接続導体としての貫通導体8,20s,21s,22s,23s,24s,25sは、表示部11に配置されていることが好ましい。この場合、貫通導体8,20s,21s,22s,23s,24s,25sの数が大幅に減少するとともに、基板1の第1主面1aにおける表示部11の外側の額縁部をきわめて狭額縁化することができる。
【0064】
また本発明の表示装置は、
図7に示すように、基板1は、第1主面1aの側に複数の発光部14を有する表示部11があり、走査信号線駆動回路7および接続導通体としての貫通導体10sは、表示部11に配置されていることが好ましい。この場合、貫通導体10sの数が大幅に減少するとともに、基板1の第1主面1aにおける表示部11の外側の額縁部をきわめて狭額縁化することができる。
【0065】
さらに本発明の表示装置は、
図7に示すように、正電圧入力線16に正電圧を入力するための貫通導体18と、負電圧入力線17に負電圧を入力するための貫通導体19は、表示部11に配置されていることが好ましい。この場合、発光素子14に正電圧を入力するための貫通導体の数および発光素子14に負電圧を入力するための貫通導体の数が大幅に減少するとともに、基板1の第1主面1aにおける表示部11の外側の額縁部をきわめて狭額縁化することができる。
【0066】
図7に示す本発明の表示装置は、時分割駆動回路を構成する、CMOSトランスファゲート素子TG1,TG2,TG3と、CMOSトランスファゲート素子TG1,TG2,TG3に接続される貫通導体8と、CMOSトランスファゲート素子TG1に接続される貫通導体20s,21sと、CMOSトランスファゲート素子TG2に接続される貫通導体22s,23sと、CMOSトランスファゲート素子TG3に接続される貫通導体24s,25sと、が表示部11に配置されている。CMOSトランスファゲート素子TG1は、発光部(画素部)15(P11)に配置され、CMOSトランスファゲート素子TG2は、発光部(画素部)15(P12)に配置され、CMOSトランスファゲート素子TG3は、発光部(画素部)15(P13)に配置されている。なお、一本の発光制御信号線3に対して、複数のCMOSトランスファゲート素子を並列的に接続してもよい。その場合、トランスファゲート素子が小型化されているために、そのオン電流値が小さなものであっても、発光制御信号の電流値が低下することを抑えることができる。
【0067】
また
図7に示す本発明の表示装置は、走査信号線駆動回路(GD)7およびそれに接続される貫通導体10sが表示部11に配置されている。走査信号線駆動回路(GD)7は、発光部15のそれぞれに配置されていてもよいが、必ずしもすべての発光部15に配置されていなくてもよい。例えば、一部の発光部15に走査信号線駆動回路(GD)7を配置することによってすべての走査信号線GL1R,GL1G,GL1B〜を駆動する公知の構成(例えば、特許文献2に開示された構成)を適用することができる。
【0068】
また、表示部11に配置される、時分割駆動回路および走査信号線駆動回路(GD)7は、断面構造において、発光部15と同層にあってもよいが、発光部15の下層にあってもよい。
【0069】
なお、本発明の表示装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の設計的な変更、改良を含んでいてもよい。例えば、基板1は透明なガラス基板であってもよいが、不透明なものであってもよい。基板1が不透明なものである場合、基板1は着色されたガラス基板、摺りガラスから成るガラス基板、プラスチック基板、セラミック基板、金属基板、あるいはそれらの基板を積層した複合基板であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の表示装置は、各種の電子機器に適用できる。その電子機器としては、複合型かつ大型の表示装置(マルチディスプレイ)、自動車経路誘導システム(カーナビゲーションシステム)、船舶経路誘導システム、航空機経路誘導システム、スマートフォン端末、携帯電話、タブレット端末、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子手帳、電子書籍、電子辞書、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム機器の端末装置、テレビジョン、商品表示タグ、価格表示タグ、産業用のプログラマブル表示装置、カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー、ファクシミリ、プリンター、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、デジタル表示式腕時計、スマートウォッチなどがある。
【符号の説明】
【0071】
1 基板
2 走査信号線(ゲート信号線)
3 発光制御信号線(画像信号線)
5 画像信号線駆動回路(時分割駆動回路)
6 駆動素子
7 走査信号線駆動回路(ゲート信号線駆動回路)
8、10s、18、19 貫通導体
8a 側面導体
8s1、8s2、9 接続部
10 駆動信号線
10a 第1の駆動制御信号線
10b 第2の駆動制御信号線
12、13 TFT
14 発光素子
15 発光部(画素部)