(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781097
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】壁面のパネル構造
(51)【国際特許分類】
B66B 11/02 20060101AFI20201026BHJP
【FI】
B66B11/02 G
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-80391(P2017-80391)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-177474(P2018-177474A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592040826
【氏名又は名称】住友不動産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】山田 武仁
【審査官】
羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−127483(JP,A)
【文献】
特開2002−265171(JP,A)
【文献】
実開平04−082242(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3133046(JP,U)
【文献】
実開昭61−130575(JP,U)
【文献】
特開2016−106047(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3209797(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/00−13/30
B66B 7/00− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に取り付けられる装飾用のパネル構造であって、
装飾が施された装飾シート層と、前記壁面に固着される固着シート層と、前記装飾シート層の表面に施された保護層とを有する複数の側板パネルと、
前記壁面と磁力による固着される磁石板と、前記磁石板に取り付けられるガイド板とを有する複数の支持棒とを備え、
前記磁石板の幅は前記ガイド板の幅よりも狭く形成されており、前記側板パネルは、少なくとものその一部が、前記ガイド板と前記壁面との間に形成される窪みの中に入り込んだ状態で前記壁面に取り付けられることを特徴とする、パネル構造。
【請求項2】
前記固着シート層は、前記壁面と磁力により固着される磁石シート層であることを特徴とする、請求項1に記載のパネル構造。
【請求項3】
前記支持棒の磁石板は、その磁力が前記側板パネルの前記磁石シート層よりも強くされていることを特徴とする、請求項2記載のパネル構造。
【請求項4】
前記固着シート層は、前記壁面に対して吸盤のように作用して密着する吸着シート層であることを特徴とする、請求項1に記載のパネル構造。
【請求項5】
前記側板パネルの厚さが、前記支持棒の厚さとほぼ同一であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか記載のパネル構造。
【請求項6】
前記壁面は、エレベータのかご室の壁面であることを特徴とする,請求項1ないし5のいずれか記載のパネル構造。
【請求項7】
エレベータのかご室の壁面に取り付けられる装飾用のパネル構造であって、
装飾が施された装飾シート層と、前記壁面と磁力により固着される磁石シート層と、前記装飾シート層の表面に施された保護層とを有する複数の側板パネルと、
前記壁面と磁力による固着される磁石板と、前記磁石板に取り付けられるガイド板とを有する複数の支持棒とを備え、
前記磁石板の幅は前記ガイド板の幅よりも狭く形成されており、前記側板パネルは、少なくとものその一部が、前記ガイド板と前記壁面との間に形成される窪みの中に入り込んだ状態で前記壁面に取り付けられることを特徴とする、パネル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエレベータ内のかご室の壁面に取り付けられる装飾用のパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物(例えば、エレベータを備えたオフィスビル)において、例えば引っ越しの際に大型の荷物を搬送する場合に、荷物がエレベータの乗りかごの壁面に接触すると、当該壁面に施された装飾面が傷ついてしまうおそれがある。このため、荷物搬送時には、乗りかごの壁面に養生シートを取り付けることで、壁面を保護するようにしている。
【0003】
この養生シートを壁面に取り付けるにあたっては、かご室の壁面に設けられたフックに養生シートを架けるものや、養生シートの裏面に設けられたマグネットシートにより壁面に磁力により吸着させるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−182040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の養生シートを用いることでかご室の壁面を保護することができるものの、養生シートを別途用意し、保管しなければならなかった。また、養生シートはその使用場面が限られており、その表面には意匠が施されていないため、養生シートが用いられている間は、乗りかごの壁面の外観が見苦しいものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、養生シートを用いることなく、エレベータのかご室の壁面を保護することができるパネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパネル構造は、建築物の壁面に取り付けられる装飾用のパネル構造であって、装飾が施された装飾シート層と、壁面に固着される固着シート層と、装飾シート層の表面に施された保護層とを有する複数の側板パネルと、壁面と磁力による固着される磁石板と、磁石板に取り付けられるガイド板とを有する複数の支持棒とを備え、磁石板の幅はガイド板の幅よりも狭く形成されており、側板パネルは、少なくとものその一部が、ガイド板と壁面との間に形成される窪みの中に入り込んだ状態で前記壁面に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
上記のパネル構造において、固着シート層は、壁面と磁力により固着される磁石シート層であることが好ましく、支持棒の磁石板は、その磁力が側板パネルの前記磁石シート層よりも強くされていることが好ましい。あるいは、固着シート層を、壁面に対して吸盤のように作用して密着する吸着シート層として構成しても良い。
【0009】
上記のパネル構造において、側板パネルの厚さが、支持棒の厚さとほぼ同一であることを好ましい。また、上記のパネル構造を、エレベータのかご室の壁面に取り付けることが好ましい。
【0010】
本発明に係るエレベータかご壁面のパネル構造は、装飾が施された装飾シート層と、壁面と磁力により固着される磁石シート層と、装飾シート層の表面に施された保護層とを有する複数の側板パネルと、壁面と磁力による固着される磁石板とこの磁石板に取り付けられるガイド板とを有する複数の支持棒とを備え、磁石板の幅はガイド板の幅よりも狭く形成されており、側板パネルは、少なくとものその一部が、ガイド板と壁面との間に形成される窪みの中に入り込んだ状態で壁面に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の側板パネルと支持棒とを備え、側板パネルの少なくともその一部が、支持棒と壁面との間に形成される窪みの中に入り込んだ状態で壁面に取り付けられるようにしたから、養生シートを用いることなく壁面を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパネル構造を備えたエレベータの乗りかごを示す模式図である。
【
図2】パネル構造の構成の一例を示す断面図である。
【
図3】パネル構造の配置の一例を示す説明図である。
【
図4】パネル構造の配置の一例を示す説明図である。
【
図5】パネル構造の配置の一例を示す説明図である。
【
図6】パネル構造の配置の一例を示す説明図である。
【
図7】パネル構造の構成の一例を示す説明図である。
【
図8】パネル構造の構成の一例を示す説明図である。
【
図9】パネル構造の構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るエレベータのかご室について、図面を参照して説明する。なお、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータのかご室10の側壁11には、複数枚の側板パネル12〜14が取り付けられ、これら側板パネル12〜14の両端には、支持棒16〜19が取り付けられて、側板パネル12〜14を保持している。
【0015】
図2は、隣接する側板パネル12、13及び支持棒17からなるパネル構造の断面を示したものである。側板パネル12、13は、表面シート層21、装飾シート層22、難燃性シート層23及びマグネットシート層24からなる積層構造とされており、マグネットシート層24と金属製の側壁11との間の磁力により、側板パネル12が側壁11に取り付けられている。
【0016】
難燃性シート層23は、例えばガラスクロスからなる耐火性に優れたシートであり、かご室10を火災から保護するものである。装飾シート層22は、装飾デザインが施された印刷シート層であり、かご室10の外観に美観を与えるものである。表面シート層21は、例えばメラミン樹脂の耐傷性に優れたシートであり、エレベータに搬入される物資が接触しても装飾シート層22に傷が付かないように、装飾シート層22を保護している。これにより、物資搬送用の養生シートを別途容易することなく、かご室の美観を保護することができる。なお、難燃性シートを省略しても良い。
【0017】
支持棒17は、磁石板26とガイド板27とから構成され、磁石板26と側壁11との間の磁力により,支持棒17が側壁11に取り付けられる。磁石板26は、例えばネオジム磁石のような、磁力が側板パネル12のマグネットシート層24よりも高い材料で形成されており、これにより支持棒17を側壁11から取り外すのが困難になっている。また、ガイド板27は、例えばステンレスから形成されており、側板パネル12の装飾シート層22と組み合わされることで、かご室10の内部に美観を与えるものである。
【0018】
図2において、ガイド板27の幅に比べて、磁石板26の幅が狭くなっており、側板パネル12の幅方向の両端部がガイド板27とかご室の側壁11の間に形成された隙間に入り込む。これにより、支持棒17が取り外されない限りは、側板パネル12を容易に取り外すことができなくなるから、側板パネル12の盗難や落下を防止することができる。
【0019】
上記実施形態では、かご室の上下方向に延びた4本の支持棒と3枚の側板パネルについて説明したが、本発明において支持棒と側板パネルの組み合わせには特段の限定はなく、適宜変更することができる。例えば、
図3に示すように、6枚の側板パネル31〜36を用いて側壁11を覆うとともに、横方向に延びた支持棒37〜39を用いて上下に配設された側板パネルを支持するようにしても良い。これにより、個々の側板パネルのサイズが小さくなるため、側板パネルの設置が容易となる。
【0020】
また、
図4に示すように、横方向に延びた1本の支持棒41と、
図1の実施例よりも短い縦方向の支持棒42〜49により側板パネル31〜36を支持するようにしても良い。これにより、個々の支持棒の長さを短くすることができ、支持棒の取扱いが容易になる。
【0021】
さらに、
図5に示すように、台形ないし平行四辺形の側板パネル50〜52と、斜め方向に延びた支持棒53、54を用いて、かご室の側壁11を覆うようにしてもよい。また、支持棒の配置には特段の制限はなく、例えば
図6に示すように、サイズの異なる側板パネル71〜74と、中央に寄せた3本の支持棒75〜77を用いて、かご室の側壁11を覆うようにしても良い。
【0022】
上記実施形態では、支持棒を側壁の接合部分に配置しているが、支持棒の取付位置に制限はなく、例えば
図7に示すように、支持棒17,18を側壁11の接合部分から離れた位置に取り付けても良い。これにより、側壁を構成するパネルの目地を気にすることなく、建物の新築時のみならず、改修時においても本発明を同様に適用することができる。
【0023】
また、
図8に示すように、側板パネル60,61の厚さを支持棒17とほぼ同一とし、表面シート層62及び装飾シート層63の幅を、不燃シート層64及びマグネットシート層65よりも狭くするように構成しても良い。これにより、側板パネル60,61のマグネットシート層65側の一部の先端部分を、支持棒17の裏側の隙間に差し込んだ状態で、側板パネル60,61を支持棒17によって支持することができるとともに、側壁11の表面の凹凸をなくすことができる。
【0024】
上記の実施形態では、エレベータのかご室の側壁に側板パネルを設ける場合を例にして説明しているが、本発明はかご室の側壁に限られず、建築物の壁面に側板パネルを設ける場合にも適用することができる。
図9は、プラスターボード80に側板パネル81及び82を取り付けた実施例を示したものである。
【0025】
側板パネル81及び82は、前述した表面シート層21、装飾シート層22、難燃性シート層23と、吸着シート層84を備えている。吸着シート層84は、無数の微小なセルを備えた吸着層であり、被着体(プラスターボード80)に対して吸盤のように作用して密着するものである。
【0026】
プラスターボード80のうち、支持棒17が配置される部分には、粘着シートと鉄箔から構成される鉄箔テープ84が貼付されている。支持棒17は、鉄箔テープ84と磁石板26との間の磁力によりプラスターボード80に固着される。側板パネル81,82の幅方向の両端部がガイド板27とプラスターボード80の間に形成された隙間に入り込み、吸着シート層84によってプラスターボード80に取り付けられる。
【0027】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0028】
10 かご室
11 側壁
12〜14、31〜36、50〜52、60,61、71〜74、81,82 側板パネル
16〜19、37〜39、41〜49、53,54、75〜77 支持棒