(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルアンテナは、ループ状の第1アンテナと、平面視において第1アンテナの内側に配置されたループ状の第2アンテナとを含み、前記第1アンテナと前記第2アンテナとは一部において接続される、
請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯型無線通信装置。
前記コイルアンテナは、ループ状の第1アンテナと、前記第1アンテナに重畳して配置されたループ状の第2アンテナとを含み、前記第1アンテナと前記第2アンテナとは一部において接続される、
請求項1乃至3のいずれか記載の携帯型無線通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後に−1、−2等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0022】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0023】
また、本明細書において、「導電層」、「電極」、「配線」という言葉とは、同様の意味を有し、状況に応じて入れ替えることが可能である。
【0024】
<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態の携帯型無線通信装置(以下、ICタグと記す)およびICタグを含む情報識別装置について説明する。
【0025】
図1は、情報識別装置10の模式図である。情報識別装置10は、ICタグ100およびリーダ/ライタ300を含む。
【0026】
(1−1.ICタグの構成)
図1に示すように、ICタグ100は、ICチップ110、コイルアンテナ130、支持部140、および基材145を含む。ICチップ110およびコイルアンテナ130は、基材145に設けられる。ICチップ110とコイルアンテナ130とは、一部において電気的に接続される。
【0027】
ICチップ110は、リーダ/ライタ300(後述)からの命令に従い、信号を生成するように構成される。信号は、コイルアンテナ130によってリーダ/ライタ300へ送信される。
【0028】
支持部140は、ICチップ110、コイルアンテナ130および基材145を支持する機能を有する。支持部140には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)または紙などの材料が用いられる。支持部140の厚さは、特に限定されないが、数百μmから数cmの間で目的に応じて適宜選択される。
【0029】
(1−2.アンテナ部の構成)
図2は、ICタグ100の上面図およびコイルアンテナ130のA1−A2間の断面図である。
図3は、コイルアンテナ130の斜視図である。コイルアンテナ130は、電磁誘導方式のアンテナであり、ループ状に配置されている。コイルアンテナ130は、平面視において円形状を有する。コイルアンテナ130に囲まれた領域を通過する磁束密度の変化に応じた大きさの起電力(電圧)がコイルアンテナ130に発生する。この起電力はコイルアンテナ130に電気的に接続されたICチップ110に与えられ、ICチップ110が駆動する。コイルアンテナ130は、例えば短波(HF)や極超短波(UHF)の周波数帯域で共振するように構成される。具体的には、短波は13.56MHzの周波数帯域に相当する。また、極超短波は、860〜960MHzの周波数帯域に相当する。
【0030】
図2(B)および
図3に示すように、コイルアンテナは、電極133、電極137および貫通電極135を含む。電極133および電極137は、貫通電極135を介して電気的に接続される。なお、電極133は第1電極、電極137は第2電極という場合がある。
【0031】
基材145は、第1面145Aおよび第2面145Bを有する板状の部材である。基材145には、高抵抗な絶縁性材料が用いられる。例えば、基材145にはガラス・エポキシ樹脂基板が用いられる。なお、基材145は、ガラス・エポキシ樹脂に限定されず、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂材料が用いられてもよいし、紙基材にフェノール樹脂を含有させて硬化させた紙フェノール樹脂基板が用いられてもよい。
【0032】
また、基材145は、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、無アルカリガラス基板、サファイア基板、シリコン基板、炭化シリコン基板、アルミナ(Al
2O
3)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板、ジルコニア(ZrO
2)基板などの無機材料が用いられてもよい。
【0033】
電極133は、基材145の上面(第1面145A)側に複数個配置される。例えば、電極133には銅が用いられる。
【0034】
なお、電極133には、銅に限定されず、アルミニウム、銀、金などの抵抗率が低い材料が用いられてもよい。また、電極133は、鉄、ニッケル、コバルト、フェライトなどの磁性を有する導電体を含んでもよい。また、磁性を有する導電体は、単体でもよいし、合金でもよい。また、電極133は、磁性を有する導電体にホウ素を含んでもよい。また、電極133には、磁性体に限定されずに、チタンニッケル合金などの形状記憶合金、さらにステンレスなどが用いられてもよい。
【0035】
電極137は、基材145の下面(第2面145B)側に複数個配置される。電極137には、電極133と同様の材料が用いられる。
【0036】
貫通電極135は、基材145に複数個設けられる。貫通電極135には、銅が用いられる。なお、貫通電極135は、銅に限定されず、金、銀、銅、ニッケルまたは錫を含む材料が用いられてもよい。
【0037】
図2(A)、
図2(B)、および
図3に示すように、複数の電極133の各々は、放射状に配置される。複数の電極137の各々は、電極133の配置される方向に対して所定の角度で傾いて配置される。電極133は、一方の端に部分133Aおよび他方の端に部分133Bを有する。同様に、第2電極137は、一方の端に部分137Aおよび他方の端に137Bを有する。このとき、電極133の部分133Aは、複数の貫通電極135のうち貫通電極135−1を用いて複数の電極137のうち電極137−1の部分137Bと接続される。同様に、電極133の部分133Bは、複数の貫通電極135のうち貫通電極135−2を用いて複数の電極137のうち電極137−2の部分137Aと接続される。上記の接続が他の電極133、他の貫通電極135および他の電極137において、繰り返される。これにより、コイルアンテナ130は、一つのつながった配線として構成される。(具体的には、一筆書きのように構成される)。なお、このとき、コイルアンテナ130は全体としてらせん状の形状を有するということもできる。
【0038】
(1−3.ICチップの構成)
次に、
図4(A)に、ICチップ110の構成例を示す。
【0039】
ICチップ110は、主な構成として、電圧リミット回路111、整流回路113、復調回路115、変調回路117、制御回路119、記憶部121、および抵抗123などを有することができる。さらに、ICチップ110は、共振周波数調整用の容量を含んでもよい。
【0040】
電圧リミット回路111は、コイルアンテナ130において過大な電圧が誘起された場合に入力される電圧からICチップ110を保護する機能を有する。過大な電圧が誘起された場合、発生する電流のうち不要な部分は抵抗123を用いて熱に変換され、外部へ放出される。
【0041】
整流回路113は、コイルアンテナ130において誘起される交流電流を直流電流へ変換する機能を有する。整流回路113により直流となった電源電圧は、ICタグ100を構成するすべての回路に供給される。
【0042】
復調回路115は、リーダ/ライタ300から入力される搬送波に重ねられた情報(信号)を1または0の信号列に変換する機能を有する。
【0043】
制御回路119は、リーダ/ライタ300間の送受信、命令の解釈、記憶部121からの情報の読出しや記憶部121への書込みなどを制御する機能を有する。制御回路119は種々の論理回路によって構成される。制御回路119には、CPU(Central Processing Unit)などが用いられてもよい。
【0044】
また、制御回路119は、リーダ/ライタ300から受信した命令に対する返答を生成し、このデータを変調回路117へ送る。変調回路117は、送信するデータに基づいて搬送波を変調し、送信用の信号を生成する。生成された信号は、搬送波としてコイルアンテナ130から送信される。
【0045】
記憶部121には、データを記憶するためのメモリ素子が備えられる。記憶部121には、固有の情報や書き換え可能な様々な情報が保存される。
【0046】
(1−4.リーダ/ライタの構成)
図4(B)にリーダ/ライタ300の構成例を示す。リーダ/ライタ300は、制御回路310、記憶部313、変調回路320、送信回路330、アンテナ340、受信回路350、復調回路360、および発振回路370などを含む。
【0047】
制御回路310は、リーダ/ライタ300全体を制御するものであり、受信したデータやコマンドの解釈、データの記憶部313への書き込み、記憶部313からのデータの読出し、受信した命令に適合する返答の生成などを行う。
【0048】
変調回路320は、制御回路310から送られる命令やデータを発振回路370で生成された搬送波に重ねて変調する。変調された搬送波は送信回路330へ送られ、信号の増幅、不要な周波数の減衰などを行い、送信すべき周波数のみを取り出す。このように処理された信号がアンテナ340を介してICタグ100へ送信される。
【0049】
受信回路350は、アンテナ340によって受信されたICタグ100から送信される搬送波を受信する機能を有する。受信回路350は、搬送波に含まれるノイズを取り除き、必要な信号を増幅する。増幅された信号は復調回路360へ送られ、必要な命令やデータへ復調される。
【0050】
発振回路370は、交信するために必要な搬送波を生成する機能を有する。搬送波として、例えば13.56MHzの高周波が生成される。
【0051】
(1−5.情報識別装置10の動作)
次に、情報識別装置10の動作について説明する。
図5は、リーダ/ライタ300を駆動させたときのICタグ100の情報識別方法を説明する断面図である。
【0052】
図5に示すように、まずリーダ/ライタ300を駆動させる。リーダ/ライタ300が駆動すると、リーダ/ライタ300から搬送波380がICタグ100のコイルアンテナ130に送られる。このとき、コイルアンテナ130の環の内側に磁力線M130が生じる。磁力線M130により、電磁誘導が生じ、誘導起電力がICチップ110に供給される。これにより、ICチップ110が起動し、リーダ/ライタ300との送受信が可能となる。
【0053】
このとき、コイルアンテナ130には電流が流れるため、磁力線M131が生じる。
図6は、コイルアンテナ130における磁力線を示す模式図である。
図6において、コイルアンテナ130は上述した形状を有することにより、生じた磁力線M131は、コイルアンテナ130の内側に留まることとなる。
【0054】
図7は、ICタグ100を複数枚重ねた状態でリーダ/ライタ300を駆動させたときのICタグ100の情報識別方法を説明する断面図である。比較例として、
図23に従来の一般的なICタグ99を重ねた場合の例を示す。
図23のように、一般的なICタグ99を重ねてしまうと、ICタグ99から生じる磁界M99により相互干渉が起こるため(具体的には、相互インダクタンスが変化する)、共振周波数が変わってしまう場合がある。この場合、ICタグ99において起電力が発生せずに、ICタグ99の情報を読み取ることができない場合がある。
【0055】
一方で、本実施形態の場合、
図6に示したように、磁力線M131がコイルアンテナの内側に留まることにより、一つのICタグの上に他のICタグ100が重ねて配置された場合においても、相互干渉することが抑えられる。これにより、ICタグ100の共振周波数の変化が抑えられ、ICタグ100を複数枚重ねても、ICタグ100の読み取りが可能となる。
【0056】
(1−6.コイルアンテナの製造方法)
次に、コイルアンテナ130の製造方法について
図8乃至
図11を用いて説明する。
【0057】
まず、
図8に示すように、基材145に貫通孔147を形成する。
【0058】
基材145には、高抵抗な材料が用いられる。例えば、基材145にはガラス・エポキシ樹脂などの樹脂材料が用いられる。
【0059】
貫通孔147は、基材145に対してドリルなどを用いた機械的加工により形成される。貫通孔147の直径は、特に限定されないが、10μm以上1000μm以下で適宜設定される。
【0060】
なお、貫通孔147は、レーザー照射法(レーザーアブレーション法と呼ぶことができる)により形成されてもよい。レーザーには、エキシマレーザー、ネオジウム:ヤグレーザー(Nd:YAG)等が用いられる。例えば、エキシマレーザーにおいて塩化キセノンを用いる場合、波長が308nmの光が照射される。また、貫通孔147は、シリコン基板やガラス基板を用いた場合にはフォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて形成されてもよい。
【0061】
次に、
図9に示すように貫通孔147に貫通電極135を形成する。貫通電極135には、銅が用いられる。貫通電極135は、電解めっき法または無電解めっき法により形成されてもよい。例えば、銅を用いて、貫通電極135を形成する場合、貫通孔147の側壁にスパッタリング法により銅の薄膜を形成する。次に、銅薄膜をシード層として、電解めっき法により銅膜を形成する。最後に、基材145の第1面145Aおよび第2面145Bに形成された銅膜を化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法により、基材145の第1面145Aおよび第2面145B上の銅を除去することにより、貫通電極135が充填形成される。
【0062】
次に、
図10に示すように、基材145の第1面145A側に電極133を形成する。電極133には、銅が用いられる。電極133は、例えばめっき法により形成される。電極133がめっき法により形成される場合、例えば以下の方法が用いられてもよい。まず、銅の薄膜(シード層)をスパッタリング法により形成する。次に、シード層上にレジスト膜を形成後、レジスト膜をフォトリソグラフィ法などにより所定の形状に加工する。次に、露出したシード層上に電極133を形成する。電極133は、電解めっき法により銅膜が形成される。最後に、レジスト膜およびレジスト膜下のシード層が除去される。
【0063】
なお、電極133は、めっき法に限定されず、印刷法、スパッタリング、CVD法、塗布法などにより形成されてもよい。このとき、電極133は、フォトリソグラフィ法およびエッチング法により所定の形状に加工されればよい。
【0064】
次に、
図11に示すように、基材145の第2面145Bに電極137を形成する。電極137は、電極133と同様の材料および方法により形成されてもよい。
【0065】
以上の方法により、コイルアンテナ130が製造される。本実施形態を用いることにより、チップインダクタを用いずに、複数枚重ねても読み取り可能なICタグを提供することができる。また、本実施形態を用いることにより、チップインダクタを用いない分、チップインダクタに依存する性能のばらつきが抑えられ、品質の優れたICタグを提供することができる。また、上述の製造方法により、複数の第1電極、複数の第2電極および複数の貫通電極が一度に形成されるため、一つずつ巻線機などを用いて製造するよりも、コイルアンテナの製造タクトを向上させることができる。また、本実施形態の場合、既存の設備を利用して製造可能である。そのため、コイルアンテナの製造に用いられる巻線機と比べて設備を新たに設ける必要がない。また、製造設備は高度な機能を有するものでなくてもよい。つまり、コイルアンテナは、一般的な電子部品製造装置を用いて製造可能である。
【0066】
また、上記製造方法を用いることにより、コイルアンテナ130を基材145の厚さで制御することができる。つまり、基材145の厚さを薄くすることでコイルアンテナ130をさらに小さくすることができる。よって、コイルアンテナ130が小さくなることにより、ICタグの小型化、薄型化を図ることができる。
【0067】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と形態の異なるコイルアンテナを有する携帯型無線通信装置について説明する。
【0068】
図12は、ICタグ100−1の上面図である。なお、
図12において、ICタグ100−1のコイルアンテナ130−1の電極133−1を視認しやすくするために、電極137および貫通電極135は、図示せず省略されているが、第1実施形態と同様に第1電極133−1、電極137および貫通電極135は、全体として一つの配線となるように接続される。
【0069】
図12に示すように、電極133−1は、外側に配置された電極133−1−1および内側に配置された電極133−1−2を含む。このとき、コイルアンテナ130−1は、電極133−1−1を用いて形成されたループ状のアンテナ(第1アンテナと呼ぶ場合がある。)と、電極133−1−2を用いて形成された平面視において第1アンテナの内側に配置されたループ状のアンテナ(第2アンテナと呼ぶ場合がある)を含む。第1アンテナと第2アンテナとは一部において電気的に接続される。コイルアンテナ130−1は、電極133−1−1および内側に配置された電極133−1−2を含むことにより、コイルアンテナ全体として巻き数を増やすことができる。このとき、コイルの巻き数N、コイルを貫いた磁束Φ、および時間tは、数式1の関係を有する。つまり、コイルの巻き数を増やすことができるため、コイルアンテナ130−1において生じる誘導起電力を高めることができる。これは、ICタグ100−1が、リーダ/ライタ300に対する感度を高めることにつながる。
【数1】
【0070】
図13は、ICタグ100−2の上面図である。
図13において、ICタグ100−2のコイルアンテナ130−2の電極133−2を視認しやすくするために、電極137および貫通電極135は、図示せず省略されている。
図13に示すように、電極133−2は、蛇行形状を有する。なお、電極137においても同様に蛇行形状を有してもよい。これにより、電極133−2および電極137の少なくともいずれかにおいて電極間の容量を増やすことができる。
【0071】
このとき、特定の共振周波数f(例えば13.56MHz)に必要なインダクタンス値Lおよび容量値Cは、数式2に示される関係にある。数式2に基づき、ICタグ100−2における容量を増やすことができるため、インダクタンス値Lを下げることができる。
【数2】
【0072】
さらに、インダクタンス値L、コイルの断面積S、コイルアンテナの巻き数N、およびコイルの長さlには、数式3の関係がある。上記に基づき、インダクタンス値Lを小さくすることができることから、コイルアンテナ130−2の巻き数を減らすことができる。つまり、コイルアンテナをより簡易に形成することができる。
【数3】
【0073】
以上より、本実施形態を用いることにより、コイルアンテナの製造精度を下げることができる。これにより、スペックの低い製造装置を用いても上記コイルアンテナを含むICタグを製造することができ、製造コストを下げることができる。
【0074】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態および第2実施形態とは異なる形態を有するコイルアンテナを含む携帯型無線通信装置について説明する。
【0075】
図14は、ICタグ100−3の上面図およびコイルアンテナ130−3のA1−A2間の断面図である。
図14(A)において、ICチップ110は、コイルアンテナ130−3と電気的に接続されている。コイルアンテナ130−3は、ループ状に配置されている。
【0076】
図14(B)に示すように、A1−A2間において、コイルアンテナ130−3は、基材145の第1面145A上に複数の電極133に加えて、複数の電極151(電極151−1、電極151−2、電極151−3、電極151−4、電極151−5、電極151−6)、複数の絶縁層153(絶縁層153−1、絶縁層153−2、絶縁層153−3、絶縁層153−4、絶縁層153−5、絶縁層153−6)、および複数の貫通電極155(貫通電極155−1、貫通電極155−2、貫通電極155−3、貫通電極155−4、貫通電極155−5、貫通電極155−6)を含む。
【0077】
このとき、電極151−1は、基材145の第1面145Aに配置される。絶縁層153−1は、基材145および電極151−1上に配置される。電極151−2は、絶縁層153−1上に配置される。絶縁層153−2は、絶縁層153−1および電極151−2上に配置される。電極151−3は、絶縁層153−2上に配置される。絶縁層153−3は、絶縁層153−2および電極151−3上に配置される。電極151−4は、絶縁層153−3上に配置される。絶縁層153−4は、絶縁層153−3および電極151−4上に配置される。電極151−5は、絶縁層153−4上に配置される。絶縁層153−5は、絶縁層153−4および電極151−5上に配置される。電極151−6は、絶縁層153−5上に配置される。絶縁層153−6は、絶縁層153−5および電極151−6上に配置される。電極133は、絶縁層153−6上に配置される。
【0078】
複数の貫通電極155は、複数の電極151の各々を接続する。具体的には、貫通電極155−1は、電極151−3と、電極151−4とを接続する。貫通電極155−2は、電極151−3と、電極151−5とを接続する。貫通電極155−3は、電極151−2と、電極151−5とを接続する。貫通電極155−4は、電極151−2と、電極151−6とを接続する。貫通電極155−5は、電極151−1と、電極151−6とを接続する。貫通電極155−6は、電極151−1と、電極133(
図3の部分133Aに相当)とを接続する。このとき、貫通電極155−1乃至貫通電極155−6は、絶縁層153−1乃至絶縁層153−6の少なくともいずれかの絶縁層の中に配置されている。また、
図14(A)に示すように、電極151−4は、電極133(
図3の部分133Bに相当)と貫通電極(図示されず)により接続される。
【0079】
図14(B)に示すように、コイルアンテナ130−3は、断面視において、渦巻き形状を有している。この形状を有することにより、少ない面積の中でインダクタンスを増やすことができる。
【0080】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1実施形態乃至第3実施形態とは異なる形態を有するコイルアンテナを含む携帯型無線通信装置について説明する。
【0081】
図15は、ICタグ100−4の斜視図である。
図16は、ICタグ100−4のコイルアンテナ130−4の一部を示す断面模式図である。
図15および
図16に示すように、コイルアンテナ130−4は、アンテナ130−4−1およびアンテナ130−4−2を含む。アンテナ130−4−1は、基材145-4-1に配置され、ループ形状を有している。アンテナ130−4−2は、基材145-4-2に配置され、ループ形状を有している。アンテナ130−4−1と、アンテナ130−4−2とは重畳して配置される。基材145−4−1と基材145-4-2との間には、絶縁層160が配置される。絶縁層160の材料は、特に限定されないが、無機絶縁材料、有機絶縁材料、または無機絶縁材料および有機絶縁材料を含むものが用いられてもよい。例えば、絶縁層160には、繊維状のガラス基材にエポキシ樹脂を含むプラスチック成形材料が用いられてもよい。基材145−4−1および基材145−4−2と絶縁層160との間には接着剤を設けてもよい。
【0082】
アンテナ130−4−1は、複数の電極133−4−1、複数の電極137−4−1および複数の貫通電極135−4−1を有する。電極133−4−1の部分133−4−1Aは、一つの電極137−4−1の部分137−4−1Bと一つの貫通電極135−4−1を介して接続される。電極133−4−1の部分133−4−1Bは、他の一つの電極137−4−1の部分137−4−1Aと他の一つの貫通電極135−4−1を介して接続される。
【0083】
同様に、アンテナ130−4−2は、複数の電極133−4−2、複数の電極137−4−2および複数の貫通電極135−4−2を有する。電極133−4−2の部分133−4−2Aは、一つの電極137−4−2の部分137−4−2Bと一つの貫通電極135−4−2を介して接続される。電極133−4−2の部分133−4−2Bは、他の一つの電極137−4−2の部分137−4−2Aと他の一つの貫通電極135−4−2を介して接続される。
【0084】
基材145−4−1の第1面145−4−1Aに配置された電極133−4−3と基材145−4−2の第2面145−4−2Bに配置された電極137−4−3は貫通電極135−4−3を介して接続される。つまり、アンテナ130−4−1と、アンテナ130−4−2とは一部において接続される。
【0085】
上記構造を有することにより、
図1や
図3に示したコイルアンテナを2つ重ねたものが一つのコイルアンテナとして形成される。これにより、コイルアンテナ全体として巻き数を増やすことができるため、誘導起電力を増やすことができる。さらに、コイルアンテナの開口面積を大きく維持したまま、外径を小さくすることができる。よって、ICタグの形状を小さくしつつ、コイルアンテナの感度を高めることができる。
【0086】
以下に、第1〜第4実施形態において説明したICタグ100を搭載した具体例について説明する。
【0087】
図17は、ICタグ100を搭載した携帯可能な媒体を説明する図である。ICタグ100は、例えば、商品管理や個人識別、セキュリティ対策、電子乗車券、遊戯用カード、商取引決裁などの様々な場面において用いられる。
図17(A)は、コイン1000の模式図である。
図17(B)は、トランプ2000の模式図である。
図17(C)は、ID(Identification)カード3000の模式図である。
【0088】
これらの媒体において、ICタグ100が複数枚重ねられても情報を得ることができる。
【0089】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0090】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【0091】
(変形例1)
なお、本発明の第1実施形態においては、平面視において円形状を有するICタグについて説明したが、これに限定されない。
図18は、ICタグ100−5の上面図である。ICタグ100−5は、ICチップ110、コイルアンテナ130−5、基材145を含む。ICチップ110、およびコイルアンテナ130−5は基材145に設けられる。
図18に示すように、コイルアンテナ130−5は、平面視において矩形の形状を有してもよい。
【0092】
(変形例2)
また、ICタグ100はさらに、遮蔽材を有してもよい。
図19は、ICタグ100−6の上面図および遮蔽体180の上面図である。
図20は、ICタグ100−6のA1−A2間の断面図である。
図19(B)に示すように、遮蔽体180は、環状であるが、一部切り欠きを有する。(これにより、遮蔽体180は、Cのような形状を有するということができる。)
図20において、ICタグ100−6は、基材145の第1面145A側に絶縁層170(絶縁層170−1)および遮蔽体180(遮蔽体180−1)を含む。また、ICタグ100−6は、基材145の第2面145B側に絶縁層170(絶縁層170−2)および遮蔽体180(遮蔽体180−2)を含む。このとき、遮蔽体180はコイルアンテナ130に重畳して配置されているということができる。絶縁層170(絶縁層170−1および絶縁層170−2)には、絶縁層160と同様の材料が用いられる。遮蔽体180(遮蔽体180−1および遮蔽体180−2)には、磁性体材料が用いられる。具体的には、遮蔽体180として、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、フェライトなど、磁性を有する磁性体が用いられる。遮蔽体180には、磁性体に限定されず、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの導電体が設けられてもよい。なお、遮蔽体180は、第1面145Aおよび第2面145Bのいずれかに配置されてもよい。
【0093】
図21は、ICタグ100−6を複数枚重ねた場合の断面図である。
図21において、ICタグ100−6は、遮蔽体180を有することにより、各々のコイルアンテナ130が発する磁界が遮蔽される。複数枚重ねた場合においても、相互干渉することが防止される。これにより、複数枚のICタグが重ねられても安定してICタグの情報を読み取ることができる。
【0094】
(変形例3)
本発明の第1実施形態において、貫通電極は、めっき法により形成される例を示したが、これに限定されない。例えば、基材145の第1面145Aおよび第2面145Bにアルミニウムなどの展延性の高い材料で配線パターンを形成し、開口部において第1面145Aおよび第2面145Bの両側から物理的に圧力をかける(かしめるという場合がある)ことにより、貫通電極となる接続部分を設けて第1電極と第2電極とが接続されてもよい。
【0095】
(変形例4)
本発明の第1実施形態〜第4実施形態では、絶縁性基材に上部電極、下部電極、および貫通電極を有するコイルアンテナについて説明したが、これに限定されない。
図22は、ICタグ100−7の上面図である。ICタグ100−7は、ICチップ110、コイルアンテナ130−7および支持体149を含む。なお、支持体149は、コイルアンテナ130−7の形態を支持するために用いられるものであり、必ずしも設けられなくてもよい。
【0096】
図22において、コイルアンテナ130−7は、周回方向にらせん形状を有する。コイルアンテナ130−7は、巻線機を用いて形成されてもよい。ICタグ100−7においても、コイルアンテナ130−7により生じる磁界が外側に出ていかないため、ICタグ100−7を複数重ねて配置した場合においても、ICタグの読み取りが可能である。