【課題を解決するための手段】
【0025】
この課題は、請求項1の前文の特徴を有する電気化学装置において、本発明によれば、少なくとも1つのバイポーラプレートが少なくとも1つの端縁ウェブを有しており、その端縁ウェブがバイポーラプレートの流れフィールドを少なくとも部分的に縁取り、かつ、バイポーラプレートに隣接するガス拡散層と接触しており、電気化学装置がさらに少なくとも1つの流れフィールドシール部材を有し、その流れフィールドシール部材が、端縁ウェブによって縁取られた流れフィールドを密閉し、かつ、端縁ウェブと接触し、かつ、ガス拡散層と接触することによって、解決される。
【0026】
したがって本発明の視点は、流れフィールドシール部材を直接、流れフィールドを縁取る端縁ウェブにかつ端縁ウェブに接するガス拡散層に結合することである。
【0027】
その場合に好ましくは、端縁ウェブは流れフィールドをぐるっと一周するように形成されており、かつ特に中断、へこみ又は貫流開口部をもたず、それによって端縁ウェブを通して媒体が案内される。
【0028】
好ましくはガス拡散層と流れフィールドシール部材は、唯一のプロセスステップにおいて一緒にバイポーラプレートに又はバイポーラプレートの個別層に結合される。唯一の取り扱い及び位置決めステップによってバイポーラプレート、ガス拡散層及び流れフィールド部材からなるユニットを組み立てることにより、必要なプロセスステップの数と手間及びそのために必要な取り扱い及び位置決めプロセスの数が最小限に抑えられ、それによって可能なエラー源も減少される。
【0029】
本発明の好ましい形態において、流れフィールドシール部材は、端縁ウェブと材料結合で結合されている。
【0030】
好ましくはさらに、流れフィールドシール部材はガス拡散層と材料結合で結合されている。特に、流れフィールドシール部材を形成するエラストマー材料は、流れフィールドシール部材を形成する間に多孔のガス拡散層内へ侵入することができ、それによってガス拡散層は流れフィールドシール部材と材料結合で結合される。
【0031】
流れフィールドシール部材は、特に、端縁ウェブに及び/又はガス拡散層に形成される射出成形部分として形成することができる。
【0032】
その代わりに又はそれに加えて、流れフィールドシール部材はパターン印刷方法によって端縁ウェブに及び/又はガス拡散層に形成することができる。
【0033】
本発明の好ましい形態において、バイポーラプレートはその陽極側に陽極側の端縁ウェブを有し、その陰極側に陰極側の端縁ウェブを有しており、陽極側の端縁ウェブと陰極側の端縁ウェブは、スタック方向に対して垂直に延びる変位方向に少なくとも部分的に互いに対して変位されている。
【0034】
その場合に、バイポーラプレートが、陽極側の端縁ウェブと陰極側の端縁ウェブとの間に位置する中間領域内に、流動媒体をバイポーラプレートを通して、あるいはバイポーラプレートの内部空間内へ通過させるために少なくとも1つの通過開口部を有していると、効果的である。
【0035】
この種の通過開口部は、好ましくは媒体通路と流体接続されており、その媒体通路はバイポーラプレートを通ってスタック方向に沿って延びている。
【0036】
本発明に係る電気化学装置内に、少なくとも1つの膜−電極配置に端縁補強配置(サブガスケット)を設けることができ、その端縁補強配置に流れフィールドシール部材が密閉するように接する。
【0037】
その代わりに、あるいはそれに加えて、電気化学装置のスタック方向に互いに連続する2つのバイポーラプレートが、互いに向き合った側にそれぞれ端縁ウェブを有することもでき、その端縁ウェブがそれぞれ流れフィールドシール部材と接触しており、バイポーラプレートの端縁ウェブと接触する流れフィールドシール部材が、互いに密閉するように接する。
【0038】
その場合に特に、スタック方向に互いに連続する2つのバイポーラプレートは、互いに実質的に等しく形成されているが、スタック方向に対して平行の回転軸を中心に互いに対して180°の角度だけ回動して配置することができる。
【0039】
流れフィールドシール部材と接触する端縁ウェブを有する少なくとも1つのバイポーラプレートは、2つのバイポーラプレート層を有することができ、それらは接合ラインに沿って、好ましくは流体密に、互いに接合されている。
【0040】
その場合に特に、バイポーラプレート層は接合ラインに沿って溶接によって及び/又は接着によって、互いに接合することができる。
【0041】
本発明の特に好ましい形態において、バイポーラプレートに配置された流れフィールドシール部材は、バイポーラプレートのバイポーラプレート層を互いに接合する接合ラインと、−スタック方向に見て−重ならない。
【0042】
特に、流れフィールドシール部材は接合ラインと交差せず、そしてまたスタック方向において接合ラインの1つの上方又は下方でそれに対して平行に延びない。
【0043】
本発明の特別な形態において、第1のバイポーラプレートの端縁ウェブと接触し、かつ第1のガス拡散層と接触している流れフィールドシール部材が、他の流れフィールドシール部材に密閉するように接することができ、その他の流れシールド部材は、第1のバイポーラプレートに対向する第2のバイポーラプレートの端縁ウェブと接触し、かつ第2のガス拡散層と接触している。
【0044】
その代わりに、あるいはそれに加えて、第1のバイポーラプレートの端縁ウェブと接触し、かつ第1のガス拡散層と接触している流れフィールドシール部材が、第1のバイポーラプレートに対向する第2のバイポーラプレートまで延びて、第1のバイポーラプレートに対向する第2のバイポーラプレートに、好ましくは密閉するように接することもできる。
【0045】
その場合に流れフィールドシール部材は、好ましくは、第1のバイポーラプレートの端縁ウェブによって縁取られた、第1のバイポーラプレートの流れフィールドに加えて、第2のバイポーラプレートの流れフィールドも密閉する。
【0046】
その場合に好ましくは、流れフィールドシール部材は第1のバイポーラプレートの陰極側と材料結合で結合されており、かつ第2のバイポーラプレートの陽極側に密閉するように接する。
【0047】
その場合に、流れフィールドシール部材が第2のバイポーラプレートの端縁ウェブと接触し、あるいは第2のバイポーラプレートに接する第2のガス拡散層と接触することは、不要である。
【0048】
電気化学装置のこの種の形態の代わりに、あるいはそれに加えて、第1のバイポーラプレートの端縁ウェブと接触し、かつ第1のガス拡散層と接触する、流れフィールドシール部材が他の流れフィールドシール部材に密閉するように接し、当該他の流れフィールドシール部材が第2のガス拡散層と接触し、かつ第1のバイポーラプレートに対向する第2のバイポーラプレートに密閉するように接することもできる。
【0049】
その場合に特に、第1の流れフィールドシール部材が第1のガス拡散層と材料結合で、そして他の流れフィールドシール部材が第2のガス拡散層と材料結合で結合することができる。
【0050】
その場合に第1の流れフィールドシール部材は、好ましくは第1のバイポーラプレートの陰極側と接触し、第2の流れフィールドシール部材が、第2のバイポーラの陽極側に好ましくは密閉するように接する。
【0051】
本発明は、さらに、電気化学装置のための電気化学ユニットを形成する方法に関するものであり、その電気化学装置内にスタック方向に沿って複数の電気化学ユニットが連続しており、電気化学ユニットが電気化学的にアクティブな膜−電極配置、少なくとも1つのガス拡散層及び、少なくとも1つの流動媒体のための少なくとも1つの流れフィールドを備えたバイポーラプレートを有している。
【0052】
本発明の他の課題は、少ない数のプロセスステップにおいて、かつ、そのために必要な取り扱い及び位置決めプロセスの数をできるだけ少なくして実施することができ、それにもかかわらず流れフィールドの確実な密閉を可能にする、電気化学ユニットを形成するためのこの種の方法を提供することである。
【0053】
この課題は、本発明によれば、以下のことを有する方法によって解決される:
−バイポーラプレートに又はバイポーラプレートのバイポーラプレート層に、ガス拡散層を配置し、
−バイポーラプレートに又はバイポーラプレート層に、かつ、ガス拡散層に、流れフィールドシール部材を、流れフィールドシール部材が、バイポーラプレート又はバイポーラプレート層と、さらにガス拡散層と、の双方と接触するように、形成する。
【0054】
好ましくはその場合に、流れフィールドシール部材はバイポーラプレートに又はバイポーラプレート層に形成され、ガス拡散層はバイポーラプレートに又はバイポーラプレート層に配置されている。
【0055】
本発明に係る方法の好ましい形態において、バイポーラプレートが少なくとも1つの端縁ウェブを有し、その端縁ウェブがバイポーラプレートの流れフィールドを少なくとも部分的に縁取り、ガス拡散層は、流れフィールドシール部材を形成する間、端縁ウェブと接触している。
【0056】
本発明に係る方法の他の好ましい特徴は、すでに、本発明に係る電気化学装置の好ましい実施形態に関連して上で説明されている。
【0057】
本発明によれば、ガス拡散層と流れフィールドシール部材は、唯一のプロセスステップにおいて共通にバイポーラプレートに又はバイポーラプレート層に結合される。
【0058】
電気化学ユニットの電気化学的にアクティブな領域の回りを一周する端縁ウェブは、好ましくはつながって形成される。
【0059】
端縁ウェブは、ガス拡散層のための結合面として用いられる。
【0060】
ガス拡散層は、端縁ウェブを部分的又は完全に覆い及び/又は端縁ウェブを越えて外側へ向かって、したがって流れフィールドの外部へ向かって、張り出す。
【0061】
好ましくは、流れフィールドシール部材は、ガス拡散層の外側の端縁を完全に包囲する。
【0062】
流れフィールドシール部材は、端縁ウェブの外側の側面において及び/又は頂上領域においてその外側に配置することができる。
【0063】
端縁ウェブによって、射出成形方法で流れフィールドシール部材を形成するための、閉成されたキャビティを形成することができる。
【0064】
その代わりに、あるいはそれを補って、端縁ウェブは、たとえばパターン印刷方法、特にスクリーン印刷方法のような、塗布方法において、あるいはCIP(”Cred in place”)方法において、流れフィールドシール部材を形成するための載置面として提供される。
【0065】
好ましくは、バイポーラプレートの−スタック方向に互いに対向する−2つの側に、それぞれ端縁ウェブが設けられている。
【0066】
バイポーラプレートの2つの側の端縁ウェブ(陰極側の端縁ウェブと陽極側の端縁ウェブ)は、好ましくはスタック方向に直交する平面内で、互いに対して部分的に変位して配置されている。
【0067】
それによってバイポーラプレートに中間領域が生じ、その中間領域はスタック方向に対して直交する平面内で2つの端縁ウェブの間に位置する。
【0068】
流動媒体を供給又は導出するための媒体流は、この種の中間領域内で端縁ウェブの下方を通って案内し、かつ、2つの端縁ウェブの間の中間領域内の通過開口部を通してバイポーラプレートの反対側へ案内することができ、そこには該当する流動媒体用の流れフィールドが配置されている。
【0069】
それによって、端縁ウェブをそれぞれつなげて及び/又は中断なしで及び/又は貫流開口部なしで、形成することが可能である。
【0070】
流動媒体、特に冷却剤は、端縁ウェブの体積を通して案内することができ、それによって流れフィールドの幅にわたって分配することができる。
【0071】
膜−電極配置の老化の加速に寄与することのある、膜−電極配置の電気化学的にアクティブな領域の片側への陽極液又は陰極液の供給を回避するために、膜−電極配置の周面に端縁補強配置(サブガスケット)を設けることができ、端縁補強配置は好ましくは、互いに変位された端縁ウェブの領域内に配置される。
【0072】
本発明の特別な形態において、バイポーラプレート、流れフィールドシール部材及びガス拡散層は、膜−電極配置の両側に位置する流れフィールドシール部材の密閉ライン及び、端縁ウェブがそれに沿って延びるラインが、スタック方向に見て互いに実質的に等しく重なり合うように、形成されている。
【0073】
この場合において、膜−電極配置の両側へ流動媒体を供給される電気化学的にアクティブな領域は、等しく重なり合うので、電気化学的にアクティブな領域の片側だけの媒体供給を回避するための端縁補強配置の使用は、不要である。
【0074】
スタック方向に互いに隣接する2つの膜−電極配置の電気化学的にアクティブな領域は、−スタック方向に見て−、媒体供給と媒体導出の領域内で互いに等しく重なり合わない。これらの部分において、流動媒体はバイポーラプレートの、それぞれの膜−電極配置に対向する平面を介し、かつバイポーラプレート内の通過開口部を通してそれぞれの媒体用の流れフィールドへ供給される。
【0075】
スタック方向に互いに連続する2つの膜−電極配置へ媒体を供給又は導出するための、バイポーラプレート内の通過開口部は、この場合において、スタック方向に対して直交する方向に互いに変位して配置されている。
【0076】
電気化学装置のこの実施形態において、2つの互いに隣接する電気化学ユニットのバイポーラプレート、流れフィールドシール部材、ガス拡散層及び膜−電極配置は、互いに同一に形成されているが、スタック方向に対して平行な回転軸を中心に互いに対して180°だけ回動されて、重ねられており、それによって媒体のための供給通路と導出通路の領域における端縁ウェブと流れフィールドシール部材の変位が達成される。
【0077】
これが、同一部品として真に同一に構成されたバイポーラプレートからなるスタックの形成を許す。
【0078】
この実施形態において、2つのバイポーラプレート層の間の中間領域内の冷却剤は、バイポーラプレートの内部空間内へ流入する。その場合にバイポーラプレートの内部空間への冷却剤の供給と、バイポーラプレートの内部空間からの冷却剤の導出は、好ましくは、2つのバイポーラプレートが、流れフィールドシール部材と冷却剤通路の通路シール部材が冷却剤の流れパスと交差する領域内で、互いに離隔していることを介して行われる。
【0079】
少なくとも1つの端縁ウェブは、流動媒体によって、好ましくは冷却剤によって貫流することができ、そのようにして電気化学ユニットの面にわたって流動媒体が分配される。
【0080】
1つより多い媒体を端縁ウェブの体積を通して流れフィールド内へ案内し、かつ分配することができるようにするために、端縁ウェブの体積は充填物によって分割することができる。
【0081】
この種の充填物は、特に流れフィールドシール部材と一体的に形成することができる。
【0082】
バイポーラプレートが2つのバイポーラプレート層から形成されている場合に、バイポーラプレート層は、溶接又は接着のような接合方法により、あるいはまた特にエラストマー材料からなるシールを形成することによって、バイポーラプレート層の少なくとも1つにおいて、周囲に対して密閉することができる。
【0083】
この種のシールは、第1のバイポーラプレート層上、第2のバイポーラプレート層上、あるいは一部は、第1のバイポーラプレート層上に、そして他の部分は第2のバイポーラプレート層上に形成することができる。
【0084】
バイポーラプレートの内部空間を密閉するためのシールは、流れフィールドシール部材を形成するのと共通のプロセスステップにおいて、形成することができる。
【0085】
バイポーラプレート層に凹部を、特に溝の形式で、設けることができ、その溝内にシール材が少なくとも部分的に収容され、それによってシール作用に必要なシール体積を収容することができる。
【0086】
本発明の特に好ましい形態において、バイポーラプレートのバイポーラプレート層がそれに沿って互いに接合される接合ライン、たとえば溶接継目又は接着継目は、バイポーラプレートに設けられているシール部材の密閉ラインと交差又は重畳しない。それによって特にバイポーラプレート層を接合するために溶接方法が使用される場合に、シール設計とプロセス安全性に関する利点が得られる。
【0087】
バイポーラプレート層が接着によって互いに接合されている場合には、バイポーラプレート層の接合ラインが、バイポーラプレート層に設けられているシール部材の密閉ラインと重なり交差することが可能である。それによって特に、バイポーラプレートにおける媒体供給と媒体導出の領域は、著しくコンパクトに形成することができる。さらに、媒体導出と媒体供給のこの領域内で、スタック内で互いに隣接する2つの膜−電極配置の互いに対する変位も、より小さく選択することができる。
【0088】
ガス拡散層、バイポーラプレート又はバイポーラプレート層及び流れフィールドシール部材からなるユニットを形成する場合に、好ましくはガス拡散層の外側の一周する部分が、バイポーラプレートに、あるいはバイポーラプレート層に設けられた端縁ウェブと接触される。
【0089】
好ましくはエラストマー材料からなる、流れフィールドシール部材は、それが、端縁ウェブの領域内でガス拡散層及びバイポーラプレート又はバイポーラプレート層と直接かつ間隙なしで結合されるように、形成される。
【0090】
流れフィールドシール部材の形成が射出成形方法で行われる場合に、射出成形工具の型取りエッジをガス拡散層上に載置することができ、ガス拡散層は弾性的又は可塑的な変形によって射出成形工具の誤差を補償する。
【0091】
本発明に係る電気化学装置及び本発明に係る形成方法において、端縁ウェブと流れフィールドシール部材との間に端縁通路が生じることは、流れフィールドシール部材を端縁ウェブに直接配置することによって防止される。それによって膜−電極配置の電気化学的にアクティブな領域の定められない媒体供給及びそれと結びついた老化効果が回避され、かつ、膜−電極配置の外側の端縁領域における端縁補強配置を省くことが可能である。
【0092】
本発明は、電気化学ユニットの端縁領域とシール領域の極めてコンパクトな構造を可能にする。
【0093】
さらに、バイポーラプレート又はバイポーラプレート層、ガス拡散層及び流れフィールドシール部材からなるユニットは、電気化学装置の組み立てプロセスにおいて、唯一の取り扱い及び位置決めプロセスによって組み立てることができる。
【0094】
膜−電極配置(端縁補強配置あり又はなし)は、ロール製品として設けることができ、スタックを組み立てる前のプロセスステップにおいて裁断して、組み立てることができる。
【0095】
それによって、必要なプロセスステップの数と手間及び必要な取り扱い及び位置決めプロセスの数と手間が著しく減少され、組み立てプロセスは不具合の発生が少なくなる。
【0096】
端縁ウェブは、流れフィールドシール部材を形成する場合に、成形及び/又は支持構造として用いられる。
【0097】
端縁ウェブは、バイポーラプレートの内部空間を周囲に対して密閉するためのシール部材を、少なくとも部分的に収容するためにも、用いられる。
【0098】
端縁ウェブの体積を、種々の媒体によって貫流可能な複数の部分に分割するための充填物は、たとえば、挿入部品、別に形成される部材、又は、共通のプロセスステップにおいて流れフィールドシール部材と共にバイポーラプレート又はバイポーラプレート層上に形成される部材、とすることができる。
【0099】
バイポーラプレートに、あるいはバイポーラプレート層に、流れフィールドシール部材が形成されてしまうまで、バイポーラプレートもしくはバイポーラプレート層にガス拡散層を一時的に固定するために用いられる、部材を設けることができる。
【0100】
この種の固定部材は、バイポーラプレート又はバイポーラプレート層と一体的に形成することができ、あるいはバイポーラプレートもしくはバイポーラプレート層とは別に形成される構成部品とすることができる。
【0101】
バイポーラプレート又はバイポーラプレート層にガス拡散層を固定することは、たとえば形状結合、材料結合又は摩擦結合によってもたらすことができる。
【0102】
流れフィールドシール部材によって密閉するために必要とされる弾性は、エラストマー材料を使用することにより及び/又は条溝構造とそれに配置されたシール材料を使用することにより得ることができる。条溝構造を使用する場合には、第1のプレスプロセスにおける可塑変形によって巨視的な凹凸が、そして条溝構造上に配置される、好ましくはエラストマー材料からなるシールによって微視的な凹凸が、補償される。
【0103】
流れフィールドシール部材は、シール作用に必要なシール力を低下させるために、フラットに、あるいはその、バイポーラプレートとは逆の上側においてプロフィールを有するように形成することができる。
【0104】
バイポーラプレートに複数の流れフィールドシール部材、たとえば陰極側の流れフィールドシール部材と陽極側の流れフィールドシール部材、が存在している場合に、これらの流れフィールドシール部材は同じやり方で構成して、形成することができるが、異なるように構成及び/又は形成することができる。
【0105】
たとえば、バイポーラプレートの一方の側に、凹凸を有する流れフィールドシール部材を、特に射出成形方法で、形成することができ、バイポーラプレートの対向する側には、パターン印刷方法、特にスクリーン印刷方法によって、フラットに形成される流れフィールドシール部材が形成される。
【0106】
流れフィールドシール部材を形成するために射出成形方法を適用する場合に、ガス拡散層は射出成形工具の型取りエッジによって、好ましくは電気化学装置の駆動の間にプレスされるよりも強く、プレスされる。
【0107】
好ましくは端縁ウェブは、充分に大きい載置面積を有しているので、射出成形工具の型取りエッジを介して、エラストマー材料の圧入の間に必要とされるシールを形成することができる。
【0108】
バイポーラプレートが複数のバイポーラプレート層から構成されている場合に、各バイポーラプレート層にガス拡散層を結合することと、流れフィールドシール部材を形成することは、別々に行うことができ、それに続いて他のステップにおいて、バイポーラプレート層を互いに接合することができる。この場合において、流れフィールドシール部材を形成する際に、バイポーラプレート層の、形成すべきシール部材に対向する側から他の射出成形工具によってバイポーラプレート層を支持することが可能である。
【0109】
しかし原則的に、少なくとも1つの流れフィールドシール部材は、複数のバイポーラプレート層からすでに接合されているバイポーラプレートに形成することもできる。
【0110】
その場合にバイポーラプレートの剛性は、発生するプロセス力に耐えるために、充分に高くなければならない。
【0111】
その場合に、バイポーラプレートの互いに対向する2つの側におけるガス拡散層と流れフィールドシール部材は、1つの共通のプロセスステップにおいて、あるいはシーケンシャルに相前後して、設けることもできる。
【0112】
その場合にシーケンシャルな形成は、流れフィールドシール部材がバイポーラプレートの2つの互いに対向する側において同一の工具によって形成することができる場合に、効果的であり得る。
【0113】
好ましくはバイポーラプレートの2つの互いに対向する側に、それぞれガス拡散層が流れフィールドシール部材によって結合される。
【0114】
しかし原則的に、バイポーラプレートの片側に1つのガス拡散層のみを流れフィールドシール部材によって結合することもでき、その場合に、電気化学装置の組み立てプロセスにおいて、第2のガス拡散層は別に、バイポーラプレートの対向する側で挿入される。
【0115】
バイポーラプレートの複数のバイポーラプレート層が溶接方法によって互いに接合される場合に、流れフィールドシール部材が溶接継目と重ならない場合には、バイポーラプレート層は流れフィールドシール部材の形成前又は後に互いに溶接することができる。この場合においては、流れフィールドシール部材の形成後も、まだ、バイポーラプレートの少なくとも一方の側からすべての接合箇所に接近することができる。
【0116】
複数のバイポーラプレート層が接着によって互いに接合される場合に、バイポーラプレート層は好ましくは、個々のバイポーラプレート層に流れフィールドシール部材が形成された後に、互いに接合される。その場合に接合ラインは、−スタック方向に見て−流れフィールドシール部材と、そしてバイポーラプレート層に設けられた通路シール部材と重なることができ、それが、シール部材の領域におけるバイポーラプレートの極めてコンパクトな構造を可能にする。
【0117】
本発明の更なる特徴と利点が、実施例についての以下の説明及び図面表示の対象である。