(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記所定範囲としての許容範囲、警告範囲及び異常範囲のうちどの範囲に前記差分値が含まれるかを判定し、前記シリンジ部材の状態として、許容状態、警告状態及び異常状態のうちいずれかであるかを判定する、請求項2に記載の作業ヘッドユニット。
回転軸を中心に回転可能であり円筒部を有し部品を採取する採取部材と円筒部を有し前記採取部材を装着及び取外し可能であるシリンジ部材とを有し部品の保持に用いられる部品保持部と、前記採取部材の円筒部に対向する位置と前記シリンジ部材の円筒部に対向する位置とに配設され該部品保持部の姿勢を検出する検出部と、前記検出部に電気的に接続された制御部と、を備えた作業ヘッドユニットの制御方法であって、
(a)前記検出部から取得した、前記採取部材の円筒部の回転位置と前記シリンジ部材の円筒部の回転位置とに基づいて前記シリンジ部材の状態を判定するステップ、
を含む作業ヘッドユニットの制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1、2に記載された実装ヘッドでは、実装ヘッドの回転位置を検出することができるが、保持した部品の姿勢に直結する情報については、十分に考慮されていなかった。実装処理において、実装ヘッドで保持した部品の姿勢が、例えば、ノズルの回転軸を中心として回転してしまった状態では、実装処理を適切に行うことができないことがあった。このため、作業用ヘッドでは、部品の回転位置など、保持された部品の姿勢に関する情報を精度よく取得することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、保持された部品の姿勢に関する情報をより精度よく取得することができる作業ヘッドユニット、実装装置及び作業ヘッドユニットの制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の作業ヘッドユニットは、
回転軸を中心に回転可能であり部品の保持に用いられる部品保持部と、
前記部品保持部に対向する位置に配設され該部品保持部の姿勢を検出する検出部と、
を備えたものである。
【0008】
この作業ヘッドユニットでは、検出部が部品を保持する部品保持部に対向する位置で部品保持部の姿勢を検出する。このように、部品を保持した部位の姿勢を検出するため、例えば、部品保持部以外の姿勢を検出するものに比して部品の姿勢をより反映した情報が得られる。したがって、保持された部品の姿勢に関する情報をより精度よく取得することができる。ここで、「部品保持部の姿勢」は、部品保持部の所定軸における回転位置としてもよい。
【0009】
本発明の作業ヘッドユニットの制御方法は、
回転軸を中心に回転可能であり部品の保持に用いられる部品保持部と、前記部品保持部に対向する位置に配設され該部品保持部の姿勢を検出する検出部と、を備えた作業ヘッドユニットの制御方法であって、
(a)前記検出部が検出した前記部品保持部の姿勢の情報に基づいて前記部品保持部の姿勢を補正するステップ、を含むものである。
【0010】
この制御方法では、部品を保持した部品保持部の姿勢を検出するため、例えば、部品保持部以外の姿勢を検出するものに比して部品の姿勢をより反映した情報が得られる。したがって、保持された部品の姿勢に関する情報をより精度よく取得することができる。また、部品を保持した部位の姿勢を検出した結果を用い、部品保持部の姿勢を補正するため、部品の姿勢をより正しく補正することができる。なお、この制御方法において、上述した作業ヘッドユニットの種々の態様を採用してもよいし、また、上述した作業ヘッドユニットの各機能を実現するような構成を追加してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、実装システム10の概略説明図である。
図2は、実装ヘッドユニット17の概要の説明図である。
図3は、実装ヘッド50を有する実装ヘッドユニット17の説明図であり、
図3(a)が実装ヘッド50の側面側の図、
図3(b)が下面側の図である。
図4は、実装装置11の電気的な接続関係を表すブロック図である。本実施形態の実装システム10は、実装処理ユニット12を備え部品P(
図2参照)を基板Sに実装処理する実装装置11と、実装処理に関する情報(例えば生産ジョブデータ)の管理を行う管理コンピュータ90とを備えている。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1〜3に示した通りとする。また、実装処理とは、部品Pを基板S上に配置、装着、挿入、接合、接着する処理などを含む。
【0013】
実装装置11は、基板Sを搬送する基板搬送ユニット14と、基板Sを下面側から支持する基板支持ユニット15と、部品Pを吸着(採取)し基板S上へ配置する実装ヘッドユニット17と、実装ヘッドユニット17をX−Y方向へ移動させるヘッド移動ユニット16とを備えている(
図1参照)。また、実装装置11は、部品Pを収容したリールが装着された供給ユニット18と、表示画面を表示する表示部24と作業者による各種入力操作が可能な操作部25とを備える操作パネル19と(
図4参照)、各種制御を実行する制御装置80と(
図4参照)を備えている。
【0014】
基板搬送ユニット14は、前後一対の支持板21,21にそれぞれ取り付けられたコンベアベルト22,22により基板Sを左から右へと搬送する。基板支持ユニット15は、基板Sを下方から支える複数の支持ピン23とを備えており、基板搬送ユニット14により搬送、固定された基板Sの裏面側から基板Sを支持する。
【0015】
ヘッド移動ユニット16は、X軸スライダ26、Y軸スライダ30などを備えている。X軸スライダ26は、前後方向にスライド可能なY軸スライダ30の前面に、左右方向にスライド可能となるように取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。なお、ガイドレール32,32は、実装装置11の内部に固定されている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられ、このガイドレール28,28にX軸スライダ26が左右方向にスライド可能に取り付けられている。実装ヘッドユニット17は、X軸スライダ26が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ26,30は、それぞれ図示しない駆動モータにより駆動される。
【0016】
実装ヘッドユニット17は、X軸スライダ26の前面に取り付けられている。実装ヘッドユニット17は、X軸スライダ26に配設され実装ヘッド50を保持するヘッド保持体40と、部品Pを吸着する吸着ノズル42と、吸着ノズル42を1以上装着、取り外し可能な実装ヘッド50と、を備えている。ヘッド保持体40は、
図3に示すように、X軸スライダ26に取り付けられる保持体本体45と、保持体本体45から下方に配設された係合軸46とを備えている。係合軸46は、軸回転可能に保持体本体45に配設されており、実装ヘッド50(Q軸ギア53)の中心に形成された有底孔に挿入され実装ヘッド50を係合する。保持体本体45には、実装ヘッド50を回転駆動するR軸モータ60、Q軸モータ63及びZ軸モータ66が配設されている。R軸モータ60には、エンコーダ61が配設されており(
図3参照)、このエンコーダ61により基本的な回転位置の制御が行われる。なお、エンコーダ61は、透過式の光学エンコーダとしてもよい。Q軸モータ63は、R軸モータ60と同様でありエンコーダ64を備えている。Z軸モータ66は、鉛直下方に伸延されたZ軸ガイド67に沿って水平部68を移動することにより、吸着ノズル42を昇降させる。なお、実装ヘッド50(ロータリー部51)の回転軸をR軸と称し、吸着ノズル42(部品保持部55)の回転軸をQ軸と称する。
【0017】
ヘッド保持体40は、実装ヘッド50を保持している。実装ヘッド50は、例えば、16個の部品保持部55を備えており、16個の吸着ノズル42を装着可能である(
図2、3参照)。この実装ヘッド50は、回転可能な状態でヘッド保持体40に保持されるロータリー型の作業ヘッドとして構成されている。実装ヘッド50は、円柱状の部材であるロータリー部51と、ロータリー部51の下方に配設されたR軸ギア52と、ロータリー部51の上方に配設されたQ軸ギア53と、下端に吸着ノズル42を装着する長尺円筒状の複数のシリンジ部材56とを備えている。実装ヘッド50は、部品Pを採取する吸着ノズル42と吸着ノズル42を装着及び取外し可能であるシリンジ部材56とを有する部品保持部55を昇降可能に配設している。実装ヘッド50は、回転軸(R軸)を中心に回転可能にヘッド保持体40に保持され、この回転軸と同じ中心軸を有するロータリー部51を備えている。ロータリー部51は、例えば、シリンジ部材56の中心軸を中心に回転可能に且つ上下動可能に16本のシリンジ部材56を支持する部材である。R軸ギア52は、ロータリー部51よりも大きな外径を有している円板状の部材であり、外周面にギア溝が形成されている。このR軸ギア52は、R軸モータ60の回転軸に接続された小ギア62に噛み合っており、この小ギア62を介してR軸モータ60により回転駆動される。Q軸ギア53は、ロータリー部51よりも小さな外径を有している円筒状の部材であり、外周面にギア溝が形成されている。シリンジ部材56は、その上端側に小ギア57が配設され、下端側に吸着ノズル42を装着する部材である。小ギア57は、Q軸ギア53の外周に形成されたギア溝に噛み合っている。シリンジ部材56は、Q軸ギア53の外周に沿って等間隔に配設されている。
【0018】
吸着ノズル42は、圧力を利用して、ノズル先端に部品Pを吸着したり、ノズル先端に吸着している部品Pを放したりするものである。この吸着ノズル42は、円板状のフランジ43と、先端側に形成された管状部44とを有している(
図2,3参照)。この吸着ノズル42とシリンジ部材56とにより部品保持部55が構成されている。部品保持部55は、回転軸(Q軸)を中心に回転可能であり部品Pの保持に用いられる。部品保持部55(吸着ノズル42)は、Q軸モータ63に接続された小ギア65、Q軸ギア53及びシリンジ部材56の上端側に配設された小ギア57を介して伝達されたQ軸モータ63の駆動力により回転軸を中心に回転(自転)し、吸着した部品Pの角度を調整可能となっている。この部品保持部55は、水平部68を介して伝達されたZ軸モータ66の駆動力により、Z軸ガイド67に沿ってZ軸方向(上下方向)に昇降される。実装ヘッド50では、実装ヘッドユニット17のY軸方向の前端側に位置する1カ所の昇降位置(
図3参照)において、部品保持部55をZ軸方向に昇降する。なお、部品Pを採取する採取部材は、ここでは吸着ノズル42として説明するが、部品Pを採取可能であれば特に限定されず、部品Pを挟持して採取するメカニカルチャックなどとしてもよい。
【0019】
保持体本体45の前方には、検出部としての、R軸エンコーダ70、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76などを支持する角柱状の支持部材47が下方に向かって配設されている。支持部材47は、吸着ノズル42に対向する位置まで延在されている。支持部材47の下端側には、吸着ノズル42側へ向かって水平部48が形成されており、この水平部48の先端に第1Q軸エンコーダ73が配設されている。R軸エンコーダ70は、実装ヘッド50(ロータリー部51)の回転位置を直接検出する検出部であり、反射式の光学式エンコーダとして構成されている。このR軸エンコーダ70は、実装ヘッド50の円筒部としてのロータリー部51に対向する位置に配設されている。このR軸エンコーダ70は、ロータリー部51の外周の中央部に亘って形成されたコード部71と、支持部材47におけるコード部71に対向する位置に配設された素子部72とを備えている。コード部71は、素子部72から照射された光を反射する領域と反射しない領域とを有している。素子部72は光を照射する照射部とコード部71で反射した光を受光する受光部とを備えている。R軸エンコーダ70は、コード部71へ素子部72から光を照射し、コード部71からの反射光のパターンを検出することにより、ロータリー部51の回転位置を把握する。
【0020】
第1Q軸エンコーダ73は、部品保持部55のうち下端に装着された吸着ノズル42の回転位置を直接検出する検出部であり、反射式の光学式エンコーダとして構成されている。この第1Q軸エンコーダ73は、吸着ノズル42のフランジ43に対向する位置に配設されている。この第1Q軸エンコーダ73は、フランジ43の外周に亘って形成されたコード部74と、支持部材47におけるコード部74に対向する位置に配設された素子部75とを備えている。この第1Q軸エンコーダ73は、部品保持部55を昇降する際の、吸着ノズル42の初期位置(
図3の吹出しでの実線参照)と、吸着ノズル42の伸延位置(同点線参照)とのいずれにおいてもフランジ43と対向するよう吸着ノズル42の移動方向に長く形成された素子部75が支持部材47に固定されている。第2Q軸エンコーダ76は、部品保持部55のうち上端の小ギア57近傍のシリンジ部材56の回転位置を直接検出する検出部であり、反射式の光学式エンコーダとして構成されている。第2Q軸エンコーダ76は、シリンジ部材56の上端側の円筒部に配設されている。この第2Q軸エンコーダ76は、シリンジ部材56の外周に亘って形成されたコード部77と、支持部材47におけるコード部77に対向する位置に配設された素子部78とを備えている。なお、コード部74、コード部77や、素子部75及び素子部78は、それぞれコード部71及び素子部72と構成が同じなので、その説明を省略する。R軸エンコーダ70の素子部72、第1Q軸エンコーダ73の素子部75及び第2Q軸エンコーダ76の素子部78は、実装ヘッドユニット17(実装ヘッド50)の外周側から部品保持部55やロータリー部51に対向して配設されている。
【0021】
実装ヘッドユニット17は、情報を記憶する記憶部41aを有し、この実装ヘッドユニット17の全体を制御する制御部41を備えている(
図4参照)。制御部41は、CPU、ROM、RAMなどを備えている。記憶部41aには、実装ヘッド50の情報や吸着ノズル42の情報などが記憶される。制御部41は、R軸エンコーダ70、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76などの検出部と電気的に接続され、これらの検出部からの信号を取得する。
【0022】
制御装置80は、
図4に示すように、CPU81を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM82、各種データを記憶するHDD83、作業領域として用いられるRAM84、外部装置と電気信号のやり取りを行う入出力インタフェース85などを備えており、これらはバスを介して接続されている。この制御装置80は、基板搬送ユニット14、基板支持ユニット15、ヘッド移動ユニット16、実装ヘッドユニット17、供給ユニット18、操作パネル19などと双方向通信可能に接続されており、これらのユニットなどと信号をやりとりする。
【0023】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、まず実装装置11の実装処理について説明する。実装処理ルーチンは、制御装置80のHDD83に記憶され、作業者による生産開始指示により実行される。このルーチンが実行されると、CPU81は、基板Sを装置内へ搬送させ、実装位置で固定するよう基板搬送ユニット14及び基板支持ユニット15を制御する。次に、CPU81は、生産ジョブデータを読み出し、基板Sに配置する部品Pを設定し、この部品Pを採取する実装ヘッド50及び吸着ノズル42をヘッド保持体40に装着する処理を行う。次に、CPU81は、ヘッド移動ユニット16及び実装ヘッドユニット17を制御し、部品Pを吸着ノズル42に採取させ、基板Sに配置する処理を実行させる。そして、現在の基板Sの実装処理が完了すると、この基板Sを排出させ、次の基板Sを搬入させ、実装位置で固定する。CPU81は、全基板Sの生産が完了するまで上述した処理を繰り返し実行する。
【0024】
次に、実装処理ルーチンで実行される部品Pを吸着ノズル42に採取させ、基板Sに配置する処理について説明する。
図5は、実装ヘッドユニット17が備える制御部41のCPUが実行する部品採取配置処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、制御部41の記憶部41aに記憶され、所定のタイミングで実行される。このルーチンでは、部品Pの回転位置の補正や、シリンジ部材56のねじれなど変形の程度を検出する処理を行う。このルーチンが開始されると、制御部41のCPUは、昇降操作の対象となる部品保持部55が所定の昇降位置に配置されるよう、R軸モータ60を駆動して、ロータリー部51の回転軸であるR軸の粗位置決めを行う(ステップS100)。この粗位置決めは、R軸モータ60に設けられたエンコーダ61の値を用いて、ロータリー部51が設定されている回転位置となるようR軸モータ60を駆動制御する。次に、CPUは、R軸エンコーダ70の値を取得し、この値に基づいてR軸の回転位置を補正し、ロータリー部51が正しい回転位置で位置決めされるようR軸モータ60を駆動制御する(ステップS110)。
【0025】
次に、制御部41のCPUは、部品保持部55(吸着ノズル42)の回転軸であるQ軸の粗位置決めを行う(ステップS120)。この粗位置決めは、Q軸モータ63に設けられたエンコーダ64の値を用いて、吸着ノズル42が設定されている回転位置となるようQ軸モータ63を駆動制御する。次に、CPUは、第1Q軸エンコーダ73の値を取得し、この値に基づいてQ軸の回転位置を補正し、シリンジ部材56が正しい回転位置で位置決めされるようQ軸モータ63を駆動制御する(ステップS130)。このとき、制御部41は、吸着ノズル42を下降した伸延位置で第1Q軸エンコーダ73の値を取得するものとしてもよい。こうすれば、制御部41は、部品Pを配置する状態での吸着ノズル42の回転位置を取得することができる。
【0026】
次に、制御部41のCPUは、第2Q軸エンコーダ76から値を取得し(ステップS140)、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76の値を現在用いている部品保持部55に対応づけて記憶部41aに記憶する(ステップS150)。このように、CPUは、部品保持部55の状態を履歴として保存しておくのである。続いて、CPUは、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76の値の差分値を求め、この差分値が許容範囲、警告範囲及び異常範囲のうちどの範囲に含まれるかを判定する(ステップS160)。許容範囲は、例えば、部品保持部55のねじれなどの変形度合いのうち、実装処理に大きな影響を与えない範囲として経験的に定められているものとしてもよい。警告範囲は、例えば、部品保持部55の変形度合いが比較的大きく注意を要する範囲として経験的に定められているものとしてもよい。異常範囲は、例えば、部品保持部55を交換すべき範囲として経験的に定められた範囲としてもよい。
【0027】
第1Q軸エンコーダ73と第2Q軸エンコーダ76との差分値が許容範囲であるときには、制御部41のCPUは、そのままステップS190以降の処理を実行する。一方、差分値が警告範囲であるときには、CPUは、メンテナンスを要する旨の警告などを操作パネル19に表示させる指令を制御装置80へ出力する(ステップS170)。これを受けた制御装置80は、部品保持部55のメンテナンスを要する旨のメッセージを操作パネル19の表示部24に表示させる。一方、差分値が異常範囲であるときには、CPUは、実装処理の中断指令及び、その旨のエラー表示を操作パネル19に表示させる指令を制御装置80へ出力し(ステップS180)、そのままこのルーチンを終了する。この指令を受けた制御装置80は、実装処理を中断すると共に、部品保持部55の部品交換を要する旨のメッセージを操作パネル19の表示部24に表示させる。
【0028】
ステップS170のあと、または、ステップS160で差分値が許容範囲内であるときには、制御部41のCPUは、部品Pの採取処理を行う(ステップS190)。この処理において、CPUは、指定された供給ユニット18の部品採取位置に実装ヘッドユニット17が配置されたあと、吸着ノズル42を伸延位置まで下降するようZ軸モータ66を駆動し、吸着ノズル42に負圧を与えて部品Pをこの先端に吸着させる。続いて、CPUは、実装ヘッド50で採取すべき部品Pの採取が完了したか(すべて採取済みであるか)否かを判定し(ステップS200)、採取完了していないときには、ステップS100以降の処理を実行する。一方、部品Pの採取が完了したときには、CPUは、基板Sに配置すべき部品Pを保持している部品保持部55を昇降位置に移動するようR軸モータ60を駆動させ、部品Pの回転位置が正しい回転位置になるようQ軸モータ63を駆動させる(ステップS210)。このとき、CPUは、上述したステップS100〜S140と同等の処理を行ってもよいし、上述したステップS100〜S140で用いた補正値を再度用いてR軸及びQ軸の回転位置の補正及び位置決めを行うものとしてもよい。
【0029】
続いて、制御部41のCPUは、基板Sに部品Pを配置する配置位置まで実装ヘッドユニット17が移動済みであるか否かを判定し(ステップS220)、配置位置まで移動済みでないときには、待機する。実装ヘッドユニット17が配置位置に移動済みになったときには、CPUは、部品保持部55を下降させ、部品Pの配置処理を実行する(ステップS230)。そして、CPUは、実装ヘッド50に採取済みで且つ未配置である部品Pが実装ヘッド50にあるか否かを判定し(ステップS240)、採取済みで且つ未配置の部品Pが実装ヘッド50にあるときには、ステップS210以降の処理を繰り返し実行する。一方、採取済みで且つ未配置の部品Pがないときには、CPUは、そのままこのルーチンを終了する。CPUは、すべての基板Sに対して部品Pの配置が終了するまで、このような処理を繰り返し実行する。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76が検出部に相当し、吸着ノズル42が採取部材に相当し、フランジ43が採取部材の円筒部に相当し、実装ヘッド50が作業ヘッドに相当し、支持部材47が支持部材に相当し、ロータリー部51が作業ヘッドの円筒部に相当し、R軸エンコーダ70が位置検出部に相当する。なお、本実施形態では、実装装置11の動作を説明することにより本発明の実装装置の制御方法の一例も明らかにしている。
【0031】
以上説明した本実施形態の実装ヘッドユニット17によれば、第1Q軸エンコーダ73が部品Pを保持する吸着ノズル42に対向する位置で吸着ノズル42の回転位置を検出する。このように、部品Pを保持した部位の回転位置を直接検出するため、吸着ノズル42に保持された部品Pの回転位置に関する情報をより精度よく取得することができる。また、例えば、吸着ノズル42から離れているエンコーダ64を用いるのに比して、より正確な位置に吸着ノズル42を位置決めすることができる。また、部品Pを保持した部位の姿勢を検出した結果を用い、部品保持部55の姿勢を補正するため、部品Pの姿勢をより正しく補正することができる。更に、第1Q軸エンコーダ73は、フランジ43に対向する位置に配設されているため、保持された部品Pに最も近い吸着ノズル42の回転位置を検出することができ、部品Pの回転位置を更に精度よく取得することができる。更にまた、第2Q軸エンコーダ76は、シリンジ部材56の円筒部に対向する位置に配設されているため、径が比較的細い吸着ノズル42で回転位置を検出するのに比して部品保持部55の回転位置をより検出しやすい。そしてまた、実装ヘッドユニット17では、吸着ノズル42とシリンジ部材56との2箇所で部品保持部55の姿勢を検出するため、シリンジ部材56の状態(例えば、変形)や、シリンジ部材56と吸着ノズル42とのずれなどを検出することができる。
【0032】
また、実装ヘッドユニット17は、制御部41が、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76から取得した、吸着ノズル42の回転位置とシリンジ部材56の円筒部の回転位置とに基づいて、シリンジ部材の状態(例えばねじれなどの変形)に関する情報を記憶部41aに記憶させる。このため、実装ヘッドユニット17では、シリンジ部材56の状態をも管理することができる。更に、実装ヘッドユニット17は、部品保持部55を昇降する際の、吸着ノズル42の初期位置と、伸延位置とのいずれにおいてもフランジ43(コード部74)と対向するよう形成された素子部75を備える。このため、実装ヘッドユニット17は、部品保持部55が部品Pを保持した状態で昇降する場合などに、部品保持部55の昇降位置に応じた部品Pの姿勢を検出することができる。更にまた、実装ヘッドユニット17は、ロータリー部51(円筒部)に対向する位置にロータリー部51の回転位置を検出するR軸エンコーダ70の素子部72が配設されているため、実装ヘッド50の回転位置を直接取得することができ、ロータリー部51から離れているエンコーダ64を用いるのに比して、より正確な位置にロータリー部51を位置決めすることができる。また、実装ヘッドユニット17は、吸着ノズル42側(一端側)に対向して配設された第1Q軸エンコーダ73と、シリンジ部材56の他端側に対向して配設された第2Q軸エンコーダ76とを備えるため、シリンジ部材56のねじれなどの変形をより詳しく検出することができる。そしてまた、実装ヘッドユニット17は、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76などの検出部が、実装ヘッド50の外周側から部品保持部55に対向して配設されているため、検出部を比較的容易に配設することができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、吸着ノズル42に対向する位置に第1Q軸エンコーダ73を配設し、シリンジ部材56の円筒部に対向する位置に第2Q軸エンコーダ76を配設するものとしたが、特にこれに限定されず、第1Q軸エンコーダ73及び第2Q軸エンコーダ76のいずれかを省略するものとしてもよい。こうしても、部品保持部55の回転位置を直接検出することができるから、吸着ノズル42に保持された部品Pの回転位置に関する情報をより精度よく取得することができる。なお、検出部が1つである場合、実装ヘッドユニット17は、上述したシリンジ部材56の変形に関する情報の管理を省略するものとする。
【0035】
上述した実施形態では、第1Q軸エンコーダ73のコード部74は、フランジ43に形成されているものとしたが、吸着ノズル42の円筒状の外表面に形成されるものとすれば特にこれに限定されず、例えば、コード部が管状部44に形成されるものとしてもよい。こうしても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。また、第2Q軸エンコーダ76のコード部77は、シリンジ部材56の上端側に形成されるものとしたが、シリンジ部材56のどの部分に形成されるものとしてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、部品保持部55の下端側と上端側とで回転位置を検出し、部品保持部55の変形などを検出するものとしたが、この処理を省略してもよい。こうしても、吸着ノズル42に保持された部品Pの回転位置に関する情報をより精度よく取得することができる。
【0037】
上述した実施形態では、第1Q軸エンコーダ73は、初期位置と伸延位置とのいずれにおいても吸着ノズル42の回転位置を検出可能に形成された素子部75を備えているものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、吸着ノズル42の昇降に応じて素子部75を昇降させる構成としてもよい。こうしても、吸着ノズル42の昇降位置に応じた部品Pの回転位置をより精度よく取得することができる。
【0038】
上述した実施形態では、R軸エンコーダ70を備えるものとしたが、これを省略してもよい。こうしても、ロータリー部51の回転位置の補正は省略されるが、吸着ノズル42に保持された部品Pの回転位置に関する情報をより精度よく取得することはできる。
【0039】
上述した実施形態では、回転可能な状態でヘッド保持体40に保持されるロータリー型の実装ヘッド50を例に説明したが、回転不能な状態でヘッド保持体40に保持される固定型の作業ヘッドを備えているものとしてもよい。また、上述した実施形態では特に説明しなかったが、実装装置11は、複数種類の実装ヘッドを交換可能にヘッド保持体40が保持する実装ヘッドユニットを備えるものとしてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、各検出部は、反射式の光学式エンコーダであるものとして説明したが、部品保持部55の姿勢を検出するものとすれば特にこれに限定されず、透過式の光学式エンコーダとしてもよいし、磁気式エンコーダとしてもよい。また、各検出部は、部品保持部55の回転位置を検出するものとしたが、これに限定されない。
【0041】
上述した実施形態では、実装ヘッドユニット17を備えた実装装置11として説明したが、特にこれに限定されず、実装ヘッドユニット17としてもよい。また、上述した実施形態では、実装装置11として説明したが、実装ヘッドユニット17の制御方法としてもよい。