特許第6781301号(P6781301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6781301
(24)【登録日】2020年10月19日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20201026BHJP
   G11C 16/24 20060101ALI20201026BHJP
   G11C 16/30 20060101ALI20201026BHJP
   G11C 7/12 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   G11C16/10 140
   G11C16/24 110
   G11C16/30
   G11C7/12
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-111694(P2019-111694)
(22)【出願日】2019年6月17日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】岡部 翔
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−223398(JP,A)
【文献】 特開平09−161485(JP,A)
【文献】 特開平09−147580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/10
G11C 16/24
G11C 16/30
G11C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源電圧を用いて第1の内部電源電圧を生成する第1の回路と、
前記第1の内部電源電圧を用いてビット線を充電するための充電電圧を出力ノードに生成する第2の回路とを含み、
前記第2の回路は、第1の駆動能力を有する充電電圧を生成する第1の生成回路と、
前記第1の駆動能力よりも高い第2の駆動能力を有する充電電圧を生成する第2の生成回路と、
前記第1および第2の生成回路による充電電圧の生成を制御する制御手段とを含む、電圧生成回路。
【請求項2】
前記制御手段は、ビット線の最初の充電期間に前記第1の生成回路により第1の駆動能力を有する充電電圧を生成させ、ビット線の次の充電期間に前記第2の生成回路により第2の駆動能力を有する充電電圧を生成させる、請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項3】
前記制御手段は、前記次の充電期間に前記第1および第2の生成回路により第1の駆動能力を有する充電電圧と第2の駆動能力を有する充電電圧を生成させる、請求項に記載の電圧生成回路。
【請求項4】
電圧生成回路はさらに、前記第1の回路とは独立して、外部電源電圧を用いて第2の内部電源電圧を生成する第3の回路を含み、当該第3の回路は、前記第2の内部電源電圧をビット線の充電とは異なる他の回路に供給する、請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項5】
前記第1の生成回路は、第1の内部電源電圧と前記出力ノードとの間に第1のプルアップトランジスタを含み、前記第2の生成回路は、第1の内部電源電圧と前記出力ノードとの間に第2のプルアップトランジスタを含み、第2のプルアップトランジスタのW/L比は第1のプルアップトランジスタのW/L比よりも大きい、請求項1ないし4いずれか1つに記載の電圧生成回路。
【請求項6】
第1のプルアップトランジスタのゲート長は、第2のプルアップトランジスタのゲート長に等しい、請求項5に記載の電圧生成回路。
【請求項7】
前記第2の回路はさらに、第1および第2のプルアップトランジスタに直列に接続されたプルダウントランジスタを含み、
前記制御手段は、第1および第2のプルアップトランジスタおよびプルダウントランジスタを駆動するための駆動制御信号を出力する、請求項5に記載の電圧生成回路。
【請求項8】
前記制御手段は、トリミングコードに基づき第1の駆動能力を有する充電電圧と第2の駆動能力を有する充電電圧との間のレシオを調整する、請求項1に記載の電圧生成回路。
【請求項9】
前記トリミングコードは、少なくとも製造プロセスの変動に基づき設定される、請求項8に記載の電圧生成回路。
【請求項10】
前記第2の回路で生成された充電電圧は、内部電源電圧で動作されるトランジスタを介してページバッファ/センス回路に供給される、請求項1ないし9いずれか1つに記載の電圧生成回路。
【請求項11】
請求項1ないし10いずれか1つに記載の電圧生成回路と、当該電圧生成回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含み、前記第2の回路は、ページバッファ/センス回路の周囲に配置される、半導体記憶装置。
【請求項12】
半導体記憶装置におけるビット線を充電する方法であって、
外部電源電圧からビット線の充電にのみ使用される内部電源電圧を生成し、
ビット線の最初の充電期間に、前記内部電源電圧から生成された第1の駆動能力を有する充電電圧で前記ビット線を充電し、
ビット線の次の充電期間に、前記内部電源電圧から生成された前記第1の駆動能力よりも大きな第2の駆動能力を有する充電電圧で前記ビット線を充電する、方法。
【請求項13】
前記次の充電期間に、第1の駆動能力の充電電圧と第2の駆動能力の充電電圧で前記ビット線を充電する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置に関し、特に動作時のピーク電流の抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリの読出し動作では、偶数ビット線からなるページまたは奇数ビット線からなるページが交互に読出される。偶数ページの読出しが行われている間、奇数ページがセンスアンプから切り離されてシールド電位が供給され、奇数ページの読出しが行われている間、偶数ページがセンスアンプから切り離されてシールド電位が供給され、これにより隣接するビット線間の容量結合によるノイズを低減している(例えば、特許文献1)。また、ページ読出しでは、ビット線をプリチャージし、選択メモリセルの記憶状態に応じてビット線を放電させ、その後にビット線の電位をセンスするが、ページ数の増加に伴いビット線容量が増加すると、ビット線の充放電に要する時間が長くなる。そこで、ブロック間にプリチャージ回路を配置しビット線のプリチャージ時間の短縮を図ることが開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−176177号公報
【特許文献2】特許第5631436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、偶数ビット線と奇数ビット線の2つのビット線によって共有される1つのページバッファ/センス回路の一部の構成とビット線選択回路とを示す図である。ページバッファ/センス回路は、電圧V1とセンスノードSNSとの間に接続され、ビット線をプリチャージするためのNMOSトランジスタBLPREと、ビット線の電圧をクランプするためのNMOSトランジスタBLCLAMPと、ビット線選択回路との接続を行うためのNMOSトランジスタBLCNとを含む。トランジスタBLCLAMPとトランジスタBLCNはノードTOBLを介して接続される。トランジスタBLPREとトランジスタBLCLAMPは、それぞれゲート長がLg=0.3μmであり、低電圧で駆動される。なお、ページバッファ/センス回路は、ここには図示しないが、センスノードSNSに接続されたラッチ回路を含む。
【0005】
ビット線選択回路は、偶数ビット線GBLeを選択するためのトランジスタBLSe、奇数ビット線GBLoを選択するためのトランジスタBLSo、仮想電源VIRPWRを偶数ビット線GBLeに接続するためのトランジスタYBLe、仮想電源VIRPWRを奇数ビット線GBLoに接続するためのトランジスタYBLoを含んで構成される。これらのトランジスタは、高電圧で駆動されるNMOSトランジスタである。例えば、読出し動作時に、偶数ビット線GBLeが選択されるとき、トランジスタYBLeがオフし、トランジスタTBLoがオンし、奇数ビット線GBLoには、仮想電源VIRPWRから0Vが供給され、奇数ビット線GBLoが選択されるとき、トランジスタYBLeがオンし、トランジスタYBLoがオフし、偶数ビット線GBLeには仮想電源VIRPWRから0Vが供給され、シールド読出しが行われる。プログラム動作時には、非選択のビット線には、仮想電源VIRPWRからバイアス電圧が印加され、メモリセル間のFGカップリングが抑制される。
【0006】
電圧V1を生成するためのV1_駆動回路V1_DRVや仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRVは、図4に示すようにページバッファPBの周囲に配置される。図2に、V1_駆動回路V1_DRVの構成を示す。V1_駆動回路V1_DRVは、外部から供給された外部電源電圧EXVDD(例えば、3.3V)と内部電源電圧INTVDD(例えば、1.8V)とを用いて電圧V1を生成する。駆動回路は、インバータIN1、IN2、IN3、プルアップトランジスタQ1、Q2、プルダウントランジスタQ3を含み、プルアップトランジスタQ1が外部電源電圧EXVDDと出力ノードN1との間に接続され、プルアップトランジスタQ2が内部電源電圧INTVDDと出力ノードN1との間に接続され、トランジスタQ3が出力ノードN1とGNDとの間に接続される。トランジスタQ1およびインバータIN1のゲート長(Lg=0.5μm)は、高電圧駆動による耐圧のために他のトランジスタのゲート長(Lg=0.3μm)よりも大きく、また、インバータIN1には、レベルシフタLSでレベルシフトされた駆動信号が供給される。
【0007】
トランジスタQ1がオンされるとき、トランジスタQ2、Q3はオフされ、出力ノードN1には、外部電源電圧EXVDDレベル(ここでは、3.3V)の電圧V1が生成される。トランジスタQ2がオンされるとき、トランジスタQ1、Q3はオフされ、出力ノードN1には、内部電源電圧INTVDDレベル(ここでは、1.8V)の電圧V1が生成される。トランジスタQ3がオンされるとき、トランジスタQ1、Q2がオフされ、出力ノードN1はGNDレベルである。また、仮想電源VIRPWRのための駆動回路VIRPWR_DRVは、ここには図示しないが、図2に示すV1_駆動回路V1_DRVと同様に構成される。
【0008】
図3に内部電源電圧INTVDDを生成するレギュレータの構成例を示す。同図に示すように、レギュレータ10は、外部電源電圧EXVDDと出力ノードN2の間に接続されたPMOSトランジスタQ4と、出力ノードN2とGNDとの間に接続された抵抗分割器と、抵抗分割器で分圧されたノードN3の電圧と基準電圧Vrefとを比較し、その比較結果に基づきトランジスタQ4を制御するオペアンプ(差動増幅器)OPとを含み、出力ノードN2からは、外部電源電圧EXVDDを降圧した1.8Vの内部電源電圧INTVDDが出力される。この内部電源電圧INTVDDは、V1_駆動回路V1_DRVや仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRVで使用されるだけでなく、ロジックや他の回路においても使用される。
【0009】
図4に示すように、一般に、V1_駆動回路V1_DRVや仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRVは、配線等のRC負荷のためにページバッファPBの回りに他の駆動回路20と一緒に配置される。言い換えれば、これらのV1_駆動回路V1_DRV、VIRPWR_DRV、他の駆動回路20は、ページバッファPBから遠く離れて配置することができない。
【0010】
図5に、ビット線をチャージするときのセンスノードSNSに表れる充電電圧SNS_INTVDDとノードTOBLに表れるクランプ電圧VCLMPの波形と、V1_駆動回路との関係を示す。ビット線をチャージするとき、トランジスタBLPRE、トランジスタBLCLAMPおよびトランジスタBLCNがオンされ、電圧V1が選択されたビット線に供給される。V1_駆動回路V1_DRVは、図2に示したように、外部電源電圧EXVDDによる電圧供給パスと内部電源電圧INVDDによる電圧供給パスとを備えており、ビット線を最初にチャージする期間t1、外部電源電圧EXVDDの電圧供給パスを介してビット線がチャージされる。センスノードSNSは、外部電源電圧EXVDDの電圧V1で充電を開始され、ノードTOBLには、トランジスタVCLAMPのゲート電圧によりクランプされたクランプ電圧VCLMPが表れる。次のチャージ期間t2で内部電源電圧INTVDDの電圧供給パスを介してビット線をチャージする。外部電源電圧EXVDDから内部電源電圧INTVDDへの電圧供給パスの切替えは、トランジスタBLPREおよびトランジスタBLCLAMPが内部電源電圧で動作される耐圧であるため、センスノードSNSに表れる充電電圧SNS_INTVDDが内部電源電圧INTVDDに到達する前に行われなければならない。従って、V1_駆動回路は、この条件を、すべてのPVT(プロセス/電圧/温度)の状況下で満足するように調整されなければならない。
【0011】
しかしながら、もし、外部電源電圧EXVDDによるチャージ期間t1が最も早い条件で調整されてしまうと、これが最も遅い条件のデバイスに適用された場合、内部電源電圧INTVDDに切替えられた時点でビット線の電圧レベルが低くなりすぎ、内部電源電圧INTVDDに大きな電圧降下が生じてしまう。内部電源電圧INTVDDの電圧降下は、内部電源電圧INTVDDが全体の回路の制御に使用されるので、できるだけ避けるべきである。
【0012】
こうした事態を回避するため、電圧V1のためだけに使用される専用の内部電源電圧と、それ以外のロジック等の回路で使用される内部電源電圧との2つの内部電源電圧を利用する方法がある。図6に示すV1_駆動回路V1_DRVは、外部電圧EXVDDによる電圧供給パスと、電圧V1に専用の内部電源電圧VDD_V1による電圧供給パスとを備えている。それ以外の構成は、図2のV1_駆動回路V1_DRVと同じである。
【0013】
図7(A)は、内部電源電圧INTVDDを生成するレギュレータを示す。このレギュレータ30は、図3に示すレギュレータ10と同様に構成される。レギュレータ30で生成された内部電源電圧INTVDDは、上記したようにロジックやその他の回路において使用される。図7(B)は、内部電源電圧VDD_V1を生成するレギュレータを示す。このレギュレータ40で生成された内部電源電圧VDD_V1は、上記したように、図6に示すV1_駆動回路V1_DRVにおいてのみ使用される。
【0014】
このようにV1_駆動回路V1_DRVに使用される内部電源電圧VDD_V1を専用にすることで、ビット線のチャージ中に、もし、外部電源電圧EXVDDの電圧供給パスによるビット線の電圧レベルが最も遅い条件で適用されたデバイスにおいて低くなり過ぎ、内部電源電圧VDD_V1の電圧降下が生じたとしても、内部電源電圧INTVDDは、内部電源電圧VDD_V1とは独立しているため、内部電源電圧VDD_V1の電圧降下が内部電源電圧INTVDDに与える影響は限定的である。さらに、この方法の場合、V1_駆動回路V1_DRVや仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRVに追加する回路はない。言い換えれば、内部電源電圧VDD_V1のレギュレータ40(仮想電源VIRPWRの駆動回路で使用されるレギュレータも同様)は、ページバッファPBから離れて配置することができ、それ故、ページバッファPBの周囲の面積を増加させない。
【0015】
しかしながら、V1_駆動回路V1_DRV(および仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRV)には、依然として外部電源電圧EXVDDの電圧供給パスを有し、V1_駆動回路V1_DRVおよび仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRVは、ページバッファPBの周囲に配置されるが、外部電圧EXVDDの電圧供給パスは、ページバッファPBの周囲の占有面積を増加させる。特に、データまたはアドレススクランブルスキーム、あるいは連続読出しスキームが実施されると、これらの駆動回路の数が増加するため、できるだけ、V1_駆動回路V1_DRVおよび仮想電源VIRPWRの駆動回路VIRPWR_DRVは縮小されることが望ましい。
【0016】
本発明は、このような従来の課題を解決し、電力効率およびピーク電流を考慮しつつ回路面積を削減可能な電圧生成回路および半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る電圧生成回路は、外部電源電圧を用いて第1の内部電源電圧を生成する第1の回路と、前記第1の内部電源電圧を用いてビット線を充電するための充電電圧を出力ノードに生成する第2の回路とを含み、前記第2の回路は、第1の駆動能力を有する充電電圧を生成する第1の生成回路と、前記第1の駆動能力よりも高い第2の駆動能力を有する充電電圧を生成する第2の生成回路と、前記第1および第2の生成回路による充電電圧の生成を制御する制御手段とを含む。
【0018】
ある実施態様では、前記制御手段は、ビット線の最初の充電期間に前記第1の生成回路により第1の駆動能力を有する充電電圧を生成させ、ビット線の次の充電期間に前記第2の生成回路により第2の駆動能力を有する充電電圧を生成させる。ある実施態様では、前記制御手段は、前記次の充電期間に前記第1および第2の生成回路により第1の駆動能力を有する充電電圧と第2の駆動能力を有する充電電圧を生成させる。ある実施態様では、電圧生成回路はさらに、前記第1の回路とは独立して、外部電源電圧を用いて第2の内部電源電圧を生成する第3の回路を含み、当該第3の回路は、前記第2の内部電源電圧をビット線の充電とは異なる他の回路に供給する。ある実施態様では、前記第1の生成回路は、第1の内部電源電圧と前記出力ノードとの間に第1のプルアップトランジスタを含み、前記第2の生成回路は、第1の内部電源電圧と前記出力ノードとの間に第2のプルアップトランジスタを含み、第2のプルアップトランジスタのW/L比は第1のプルアップトランジスタのW/L比よりも大きい。ある実施態様では、第1のプルアップトランジスタのゲート長は、第2のプルアップトランジスタのゲート長に等しい。ある実施態様では、前記第2の回路はさらに、第1および第2のプルアップトランジスタに直列に接続されたプルダウントランジスタを含み、前記制御手段は、第1および第2のプルアップトランジスタおよびプルダウントランジスタを駆動するための駆動制御信号を出力する。ある実施態様では、前記制御手段は、トリミングコードに基づき第1の駆動能力を有する充電電圧と第2の駆動能力を有する充電電圧との間のレシオを調整する。ある実施態様では、前記トリミングコードは、少なくとも製造プロセスの変動に基づき設定される。ある実施態様では、前記第2の回路で生成された充電電圧は、内部電源電圧で動作されるトランジスタを介してページバッファ/センス回路に供給される。
【0019】
本発明に係る半導体記憶装置は、上記記載の電圧生成回路と、当該電圧生成回路に接続されたページバッファ/センス回路とを含み、前記第2の回路は、ページバッファ/センス回路の周囲に配置される。
【0020】
本発明に係る半導体記憶装置におけるビット線を充電する方法は、外部電源電圧からビット線の充電にのみ使用される内部電源電圧を生成し、ビット線の最初の充電期間に、前記内部電源電圧から生成された第1の駆動能力を有する充電電圧で前記ビット線を充電し、
ビット線の次の充電期間に、前記内部電源電圧から生成された前記第1の駆動能力よりも大きな第2の駆動能力を有する充電電圧で前記ビット線を充電する。ある実施態様では、前記次の充電期間に、第1の駆動能力の充電電圧と第2の駆動能力の充電電圧で前記ビット線を充電する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外部電源電圧を用いて生成された第1の内部電源電圧からビット線を充電するための充電電圧を生成し、かつ第1の駆動能力を有する充電電圧と第1の駆動能力よりも高い駆動能力を有する充電電圧とを選択的に用いてビット線を充電するようにしたので、従来よりもビット線を充電する時の電力効率およびピーク電流が改善され、かつビット線を充電するための回路面積を縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】フラッシュメモリのページバッファ/センス回路の一部とビット線選択回路を示す図である。
図2】従来のビット線のチャージに用いられる電圧の駆動回路を示す図である。
図3】内部電源電圧を生成するレギュレータを示す図である。
図4】ページバッファ/センス回路の周囲に配置される駆動回路のレイアウト例を示す図である。
図5】従来のビット線をチャージするときのクランプ電圧および内部電源電圧の波形とV1_駆動回路の動作との関係を説明するグラフである。
図6】従来の他の方法によるV1_駆動回路の構成を示す図である。
図7】従来の他の方法による内部電源電圧を2分割する例を示す図である。
図8】本発明の実施例に係る電圧生成回路の構成を示すブロック図である。
図9】本発明の実施例に係るV1_駆動回路の構成を示す図である。
図10】本発明の実施例によりビット線をチャージするときのクランプ電圧および内部電源電圧の波形とV1_駆動回路の動作との関係を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について説明する。一般に、NAND型フラッシュメモリは、ビット線に電圧を印加するとき、電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路を使用する。従来のフラッシュメモリでは、ピーク電流を削減するため、ビット線をチャージするときに外部電源電圧EXVDDを利用する。つまり、外部電源電圧EXVDDでビット線を一定期間チャージした後、外部電源電圧EXVDDから内部電源電圧INTVDDによるチャージに切替えられる。
【0024】
従来の方法は、外部電源電圧EXVDDが用いられるため電力効率の点で優れているが、電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路は、図6に示すうように、レベルシフタLS、ゲート長Lg=0.5μmのLVP/LVNトランジスタを含む回路に専用の外部電源電圧EXVDDを必要とする。さらに、電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路やページバッファのブレークダウン電圧を保護するために設計や動作の制御に注意を払う必要がある。それ故、ページバッファ周辺のエリアやフレキシビリティの問題がある。
【0025】
本実施の形態では、新規な電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路は、外部電源電圧EXVDDを必要としない。さらに本実施の形態では、ビット線をチャージするときに、ピーク電流の増加、電力効率の低下、内部電源電圧INTVDDの降下を抑制する。本実施の形態は、次のような特徴を備える。
1.電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路は、外部電源供給EXVDDを必要としない。
2.電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路に供給される電圧は、内部電源電圧INTVDDと異なる専用のレギュレータにより発生された内部電源電圧VDD_V1である。
3.電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路は、駆動能力を切替え可能な制御ユニット/機能を有する。
4.電圧V1の駆動回路/仮想電源VIRPWRの駆動回路は、ビット線をチャージするとき、最初に弱い駆動能力でチャージし、その後、強い駆動能力のチャージに切替えられる。
【実施例】
【0026】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図8は、本発明の実施例に係る電圧生成回路の構成を示す図である。本実施例の電圧生成回路100は、NAND型フラッシュメモリに搭載され、読出しやプログラム等の動作時にビット線をチャージ(充電)する回路として利用することができる。
【0027】
電圧生成回路100は、外部から供給される外部電源電圧EXVDDを用いて内部電源電圧INTVDDを生成するINTVDD生成回路110と、外部電源電圧EXVDDを用いて内部電源電圧VDD_V1を生成するVDD_V1生成回路120と、内部電源電圧VDD_V1を用いてビット線をチャージするために利用される電圧V1を生成するV1_駆動回路130とを含んで構成される。外部電源電圧EXVDDは、例えば、3.3Vであり、内部電源電圧INTVDDおよびVDD_V1は、1.8Vである。
【0028】
INTVDD生成回路110は、先に説明した図7(A)に示すレギュレータ30により構成される。レギュレータ30で生成された内部電源電圧INTVDDは、フラッシュメモリのロジックやその他の回路全体に供給される。また、VDD_V1生成回路120は、先に説明した図7(B)に示すレギュレータ40により構成される。レギュレータ40で生成された内部電源電圧VDD_V1は、ビット線のチャージにのみに利用されるものであり、V1_駆動回路130に供給される。
【0029】
図9に、V1_駆動回路130の内部構成を示す。V1_駆動回路130は、内部電源電圧VDD_V1で動作され、内部電源電圧VDD_V1と出力ノードN5との間に並列に接続されたP型のプルアップトランジスタPU1、PU2と、出力ノードN5とGNDとの間に接続されたN型のプルダウントランジスタPDと、これらのトランジスタPU1、PU2、PDの各ゲートに出力が接続されたインバータ132、134、136と、インバータ132、134、136の入力に接続された駆動制御回路138とを有する。
【0030】
プルアップトランジスタPU1、PU2、プルダウントランジスタPD、インバータ132、134、136を構成するPMOS/NMOSトランジスタは、全て低電圧(1.8V)で駆動されるため、トランジスタの耐圧は小さくて済むため、ゲート長Lgは0.3μmである。これに対し、図2および図6に示すプルアップトランジスタQ1およびインバータIN1は、外部電源電圧EXVDDの高電圧(3.3V)で駆動されるため、それらのゲート長は0.5μmであり、さらにレベルシフタLSを必要とする。加えて、プルアップトランジスタQ1とQ2でソース側の電源電圧が異なるため、レイアウトする際にN型のWellを分離する必要もある。従って、本実施例のV1_駆動回路130の回路面積は、外部電源電圧EXVDDを用いる図2および図6に示す駆動回路よりも小さくすることができる。
【0031】
また、本実施例のV1_駆動回路130では、プルアップトランジスタPU2の駆動能力がプルアップトランジスタPU1の駆動能力よりも強く構成される。つまり、プルアップトランジスタPU2のW/L比は、プルアップトランジスタPU1のW/L比よりも大きく構成され、それ故、プルアップトランジスタPU2が導通したときに流れるドレイン電流は、プルアップトランジスタPU1が導通したときに流れるドレイン電流よりも大きい。
【0032】
駆動制御回路138は、図示しないコントローラまたはステートマシンにより制御され、ビット線をチャージするときのタイミングシーケンスに従い駆動信号S1、S2、S3をインバータ132、134、136に出力する。インバータ132、134、136は、駆動信号S1、S2、S3に応じて、HレベルまたはLレベルの信号をプルアップトランジスタPU1、PU2、プルダウントランジスタPDのゲートに出力する。
【0033】
駆動制御回路138は、ビット線のチャージを行うとき、例えば、Hレベルの駆動信号S1、Lレベルの駆動信号S2、Hレベルの駆動信号S3を出力すると、プルアップトランジスタPU1がオンし、プルアップトランジスタPU2がオフし、プルダウントランジスタPDがオフし、出力ノードN1には、駆動能力の弱い電圧W_V1が生成される。また、Lレベルの駆動信号S1、Hレベルの駆動信号S2、Hレベルの駆動信号S3を出力すると、プルアップトランジスタPU1がオフし、プルアップトランジスタPU2がオンし、プルダウントランジスタPDがオフし、出力ノードN1には、駆動能力の強い電圧S_V1が生成される。あるいは、Hレベルの駆動信号S1、Hレベルの駆動信号S2、Hレベルの駆動信号S3を出力すると、プルアップトランジスタPU1がオンし、プルアップトランジスタPU2がオンし、プルダウントランジスタPDがオフし、出力ノードN1には、駆動能力の弱い電圧W_V1と駆動能力の強い電圧S_V1とが生成される。ビット線へのチャージが行われない場合には、駆動制御回路138は、Lレベルの駆動信号S1、S2、S3を出力し、プルアップトランジスタPU1、PU2をオフし、プルダウントランジスタPDをオンし、出力ノードN5をGNDレベルにする。
【0034】
V1_駆動回路130の出力ノードN5に生成された電圧V1は、図1に示すページバッファ/センス回路のプリチャージ用トランジスタのドレインに供給される。なお、ここには図示しないが、ビット線選択回路に接続された仮想電源VIRPWRの駆動回路は、図9に示すV1_駆動回路130と同様に構成される。
【0035】
次に、ビット線をチャージするときのV1_駆動回路130の動作について説明する。図10は、ビット線をチャージする時にセンスノードSNSに表れる充電電圧SNS_INTVDDとノードTOBLに表れるクランプ電圧VCLMPの波形と、V1_駆動回路による駆動能力との関係を示している。同図に示すように、駆動制御回路138は、ビット線を最初にチャージする期間t1、プルアップトランジスタPU1をオンし、プルダウントランジスタPU2をオフし、ビット線を弱い駆動能力の電圧W_V1でチャージする。次のチャージ期間t2、駆動制御回路138は、プルアップトランジスタPU1、PU2をオンし、ビット線を弱く駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1でチャージする。
【0036】
最初のチャージ期間t1、弱い駆動能力の電圧W_V1でビット線をチャージするため、その期間中のピーク電流を削減することができる。つまり、内部電源電圧VDD_V1の電圧降下により引き起こされる外部電源電圧EXVDDの電圧降下を低減することができ、内部電源電圧INTVDDへの影響を制限することができる。また、弱い駆動能力の電圧W_V1の期間t1を長くしても、内部電源電圧を用いてチャージするため、充電電圧SNS_INTVDDが内部電源電圧を超えることはなく、つまり、低電圧駆動で設計されたトランジスタBLPREやトランジスタBLCLAMPに耐圧違反を生じない。
【0037】
また、本実施例のV1_駆動回路130の全体の駆動能力(弱い駆動能力+強い駆動能力)は、おおよそ図2の駆動能力と同じに設定され得る。なぜなら、全体の駆動能力は、電圧V1/SNS/TOBLの収束する能力によって決定されるためである。
【0038】
このように本実施例によれば、V1_駆動回路130は、外部電源電圧EXVDDを使用しないため、プルアップトランジスタPU1およびインバータ132を他のトランジスタと同様に低電圧駆動にすることができ、かつレベルシフタを使用しないため、外部電源電圧を利用する従来の駆動回路と比較して回路面積を削減することができる。加えて、プルアップトランジスタPU1とPU2でソース側の電源電圧が同じなので、レイアウトする際にN型のWellを共有できるため、レイアウト面積を削減することができる。これにより、ページバッファ周辺のエリアを有効に活用することができる。また、V1_駆動回路130が弱い駆動能力の充電電圧W_V1と強い駆動能力の充電電圧S_V1とを生成する機能を備え、これらの充電電圧を選択的に切替えることで、ビット線の充電時のピーク電流を削減することが可能である。
【0039】
次に、本発明の変形例について説明する。一般に、フラッシュメモリでは、プロセス等の変動による回路動作のバラツキを抑制するため、トリミングコード(動作設定情報)をヒューズメモリに格納している。トリミングコードは、出荷前のテスト時にヒューズメモリに格納され、出荷後、フラッシュメモリへの電源投入時、コントローラは、ヒューズメモリからトリミングコードを読出し、これに基づき回路等の動作パラメータを設定する。
【0040】
そこで、本実施例では、プロセス変動に応じたV1_駆動回路130の駆動能力のバラツキを調整するため、コントローラは、トリミングコードに基づき駆動制御回路138による駆動信号S1、S2、S3のタイミングを制御し、弱い駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1との間のレシオを調整する。ここで、本実施例では、V1_駆動回路130のPMOSトランジスタPU1、PU2は同一のゲート長であり、かつ同じ内部電源電圧VDD_V1をソース電源にしているため、トリミングコードを使用したトランジスタPU1、PU2の駆動能力の調整は容易に行うことができる。
【0041】
V1_駆動回路130は、PVT(Process/Voltage/Temperature)の変動によって、駆動能力にバラツキが生じ得る。この場合、早く充電できるバラツキならば、弱い駆動能力の電圧W_V1で可能な限り長く充電してピーク電流を削減することができる。ピーク電流が大きく見えるのは、プルアップトランジスタのドレイン電流が大きいとき、つまり早く充電できるバラツキの場合であるため、できるだけ弱い駆動能力の電圧W_V1で充電を行うことが望ましい。また、遅い充電になるバラツキならば、ビット線を充電するために許容されるターゲット時間までに充電が完了するように強い駆動能力S_V1で充電する期間を長くするようにしてもよい。
【0042】
また、フラッシュメモリが動作温度を検出する機能を備えている場合には、コントローラは、検出された動作温度に基づき駆動制御回路138による弱い駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1を生成するタイミングを調整するようにしてもよい。この場合、動作温度と駆動能力のバラツキとの関係は、回路シミュレーション等により既知とする。
【0043】
また、V1_の駆動回路の駆動能力の調整方法は、上記のようにプルアップトランジスタPU1、PU2のタイミングを調整する以外にも、ゲート幅Wが異なる複数のプルアップトランジスタを用意しておき、トリミングコードに基づき最適なプルアップトランジスタが選択されるようにしてもよい。例えば、4種類のプルアップトランジスタを用意し(ゲート幅W1=40μmに対応するコードが「0h」、ゲート幅W2=80μmに対応するコードが「1h」、ゲート幅W2=120μmに対応するコードが「2h」、ゲート幅W3=1160μmに対応するコードが「3h」)、初期値では、駆動能力が弱いプルアップトランジスタが「0h」、駆動能力が強いプルアップトランジスタが「2h」とする。
【0044】
PVTの変動またはトリミングコードに応じて、初期値「0h」、「2h」をそれぞれ、「1h」、「3h」に変更するようにしてもよい。選択の方法は任意であり、例えば、電気的な切替え回路によりコードに対応するプルアップトランジスタが電圧供給パスに接続されるようにしてもうよいし、レーザー等により配線を溶断することで恒久的な選択にしてもよい。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
100:電圧生成回路
110:INTVDD生成回路
120:VDD_V1生成回路
130:V1_駆動回路
132、134、136:インバータ
138:駆動制御回路
Q1、Q2、PU1、PU2:プルアップトランジスタ
Q3、PD:プルダウントランジスタ
W_V1:弱い駆動能力の電圧
W_V1:強い駆動能力の電圧
【要約】
【課題】 電力効率およびピーク電流を考慮しつつ回路面積を削減可能な電圧生成回路を提供する。
【解決手段】 本発明の電圧生成回路100は、外部電源電圧EXVDDから内部電源電圧INTVDDを生成するINTVDD生成回路110と、外部電源電圧EXVDDから内部電源電圧VDD_V1を生成するVDD_V1生成回路120と、内部電電電圧VDD_V1を用いてビット線を充電するための充電電圧を出力ノードに生成するV1_駆動回路130とを含む。V1_駆動回路130は、弱い駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1とを生成することが可能である。V1_駆動回路130は、ビット線の最初の充電期間に弱い駆動能力の電圧W_V1でビット線を充電し、その後の充電期間に強い駆動能力の電圧S_V1でビット線を充電する。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10