【実施例】
【0026】
次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図8は、本発明の実施例に係る電圧生成回路の構成を示す図である。本実施例の電圧生成回路100は、NAND型フラッシュメモリに搭載され、読出しやプログラム等の動作時にビット線をチャージ(充電)する回路として利用することができる。
【0027】
電圧生成回路100は、外部から供給される外部電源電圧EXVDDを用いて内部電源電圧INTVDDを生成するINTVDD生成回路110と、外部電源電圧EXVDDを用いて内部電源電圧VDD_V1を生成するVDD_V1生成回路120と、内部電源電圧VDD_V1を用いてビット線をチャージするために利用される電圧V1を生成するV1_駆動回路130とを含んで構成される。外部電源電圧EXVDDは、例えば、3.3Vであり、内部電源電圧INTVDDおよびVDD_V1は、1.8Vである。
【0028】
INTVDD生成回路110は、先に説明した
図7(A)に示すレギュレータ30により構成される。レギュレータ30で生成された内部電源電圧INTVDDは、フラッシュメモリのロジックやその他の回路全体に供給される。また、VDD_V1生成回路120は、先に説明した
図7(B)に示すレギュレータ40により構成される。レギュレータ40で生成された内部電源電圧VDD_V1は、ビット線のチャージにのみに利用されるものであり、V1_駆動回路130に供給される。
【0029】
図9に、V1_駆動回路130の内部構成を示す。V1_駆動回路130は、内部電源電圧VDD_V1で動作され、内部電源電圧VDD_V1と出力ノードN5との間に並列に接続されたP型のプルアップトランジスタPU1、PU2と、出力ノードN5とGNDとの間に接続されたN型のプルダウントランジスタPDと、これらのトランジスタPU1、PU2、PDの各ゲートに出力が接続されたインバータ132、134、136と、インバータ132、134、136の入力に接続された駆動制御回路138とを有する。
【0030】
プルアップトランジスタPU1、PU2、プルダウントランジスタPD、インバータ132、134、136を構成するPMOS/NMOSトランジスタは、全て低電圧(1.8V)で駆動されるため、トランジスタの耐圧は小さくて済むため、ゲート長Lgは0.3μmである。これに対し、
図2および
図6に示すプルアップトランジスタQ1およびインバータIN1は、外部電源電圧EXVDDの高電圧(3.3V)で駆動されるため、それらのゲート長は0.5μmであり、さらにレベルシフタLSを必要とする。加えて、プルアップトランジスタQ1とQ2でソース側の電源電圧が異なるため、レイアウトする際にN型のWellを分離する必要もある。従って、本実施例のV1_駆動回路130の回路面積は、外部電源電圧EXVDDを用いる
図2および
図6に示す駆動回路よりも小さくすることができる。
【0031】
また、本実施例のV1_駆動回路130では、プルアップトランジスタPU2の駆動能力がプルアップトランジスタPU1の駆動能力よりも強く構成される。つまり、プルアップトランジスタPU2のW/L比は、プルアップトランジスタPU1のW/L比よりも大きく構成され、それ故、プルアップトランジスタPU2が導通したときに流れるドレイン電流は、プルアップトランジスタPU1が導通したときに流れるドレイン電流よりも大きい。
【0032】
駆動制御回路138は、図示しないコントローラまたはステートマシンにより制御され、ビット線をチャージするときのタイミングシーケンスに従い駆動信号S1、S2、S3をインバータ132、134、136に出力する。インバータ132、134、136は、駆動信号S1、S2、S3に応じて、HレベルまたはLレベルの信号をプルアップトランジスタPU1、PU2、プルダウントランジスタPDのゲートに出力する。
【0033】
駆動制御回路138は、ビット線のチャージを行うとき、例えば、Hレベルの駆動信号S1、Lレベルの駆動信号S2、Hレベルの駆動信号S3を出力すると、プルアップトランジスタPU1がオンし、プルアップトランジスタPU2がオフし、プルダウントランジスタPDがオフし、出力ノードN1には、駆動能力の弱い電圧W_V1が生成される。また、Lレベルの駆動信号S1、Hレベルの駆動信号S2、Hレベルの駆動信号S3を出力すると、プルアップトランジスタPU1がオフし、プルアップトランジスタPU2がオンし、プルダウントランジスタPDがオフし、出力ノードN1には、駆動能力の強い電圧S_V1が生成される。あるいは、Hレベルの駆動信号S1、Hレベルの駆動信号S2、Hレベルの駆動信号S3を出力すると、プルアップトランジスタPU1がオンし、プルアップトランジスタPU2がオンし、プルダウントランジスタPDがオフし、出力ノードN1には、駆動能力の弱い電圧W_V1と駆動能力の強い電圧S_V1とが生成される。ビット線へのチャージが行われない場合には、駆動制御回路138は、Lレベルの駆動信号S1、S2、S3を出力し、プルアップトランジスタPU1、PU2をオフし、プルダウントランジスタPDをオンし、出力ノードN5をGNDレベルにする。
【0034】
V1_駆動回路130の出力ノードN5に生成された電圧V1は、
図1に示すページバッファ/センス回路のプリチャージ用トランジスタのドレインに供給される。なお、ここには図示しないが、ビット線選択回路に接続された仮想電源VIRPWRの駆動回路は、
図9に示すV1_駆動回路130と同様に構成される。
【0035】
次に、ビット線をチャージするときのV1_駆動回路130の動作について説明する。
図10は、ビット線をチャージする時にセンスノードSNSに表れる充電電圧SNS_INTVDDとノードTOBLに表れるクランプ電圧VCLMPの波形と、V1_駆動回路による駆動能力との関係を示している。同図に示すように、駆動制御回路138は、ビット線を最初にチャージする期間t1、プルアップトランジスタPU1をオンし、プルダウントランジスタPU2をオフし、ビット線を弱い駆動能力の電圧W_V1でチャージする。次のチャージ期間t2、駆動制御回路138は、プルアップトランジスタPU1、PU2をオンし、ビット線を弱く駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1でチャージする。
【0036】
最初のチャージ期間t1、弱い駆動能力の電圧W_V1でビット線をチャージするため、その期間中のピーク電流を削減することができる。つまり、内部電源電圧VDD_V1の電圧降下により引き起こされる外部電源電圧EXVDDの電圧降下を低減することができ、内部電源電圧INTVDDへの影響を制限することができる。また、弱い駆動能力の電圧W_V1の期間t1を長くしても、内部電源電圧を用いてチャージするため、充電電圧SNS_INTVDDが内部電源電圧を超えることはなく、つまり、低電圧駆動で設計されたトランジスタBLPREやトランジスタBLCLAMPに耐圧違反を生じない。
【0037】
また、本実施例のV1_駆動回路130の全体の駆動能力(弱い駆動能力+強い駆動能力)は、おおよそ
図2の駆動能力と同じに設定され得る。なぜなら、全体の駆動能力は、電圧V1/SNS/TOBLの収束する能力によって決定されるためである。
【0038】
このように本実施例によれば、V1_駆動回路130は、外部電源電圧EXVDDを使用しないため、プルアップトランジスタPU1およびインバータ132を他のトランジスタと同様に低電圧駆動にすることができ、かつレベルシフタを使用しないため、外部電源電圧を利用する従来の駆動回路と比較して回路面積を削減することができる。加えて、プルアップトランジスタPU1とPU2でソース側の電源電圧が同じなので、レイアウトする際にN型のWellを共有できるため、レイアウト面積を削減することができる。これにより、ページバッファ周辺のエリアを有効に活用することができる。また、V1_駆動回路130が弱い駆動能力の充電電圧W_V1と強い駆動能力の充電電圧S_V1とを生成する機能を備え、これらの充電電圧を選択的に切替えることで、ビット線の充電時のピーク電流を削減することが可能である。
【0039】
次に、本発明の変形例について説明する。一般に、フラッシュメモリでは、プロセス等の変動による回路動作のバラツキを抑制するため、トリミングコード(動作設定情報)をヒューズメモリに格納している。トリミングコードは、出荷前のテスト時にヒューズメモリに格納され、出荷後、フラッシュメモリへの電源投入時、コントローラは、ヒューズメモリからトリミングコードを読出し、これに基づき回路等の動作パラメータを設定する。
【0040】
そこで、本実施例では、プロセス変動に応じたV1_駆動回路130の駆動能力のバラツキを調整するため、コントローラは、トリミングコードに基づき駆動制御回路138による駆動信号S1、S2、S3のタイミングを制御し、弱い駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1との間のレシオを調整する。ここで、本実施例では、V1_駆動回路130のPMOSトランジスタPU1、PU2は同一のゲート長であり、かつ同じ内部電源電圧VDD_V1をソース電源にしているため、トリミングコードを使用したトランジスタPU1、PU2の駆動能力の調整は容易に行うことができる。
【0041】
V1_駆動回路130は、PVT(Process/Voltage/Temperature)の変動によって、駆動能力にバラツキが生じ得る。この場合、早く充電できるバラツキならば、弱い駆動能力の電圧W_V1で可能な限り長く充電してピーク電流を削減することができる。ピーク電流が大きく見えるのは、プルアップトランジスタのドレイン電流が大きいとき、つまり早く充電できるバラツキの場合であるため、できるだけ弱い駆動能力の電圧W_V1で充電を行うことが望ましい。また、遅い充電になるバラツキならば、ビット線を充電するために許容されるターゲット時間までに充電が完了するように強い駆動能力S_V1で充電する期間を長くするようにしてもよい。
【0042】
また、フラッシュメモリが動作温度を検出する機能を備えている場合には、コントローラは、検出された動作温度に基づき駆動制御回路138による弱い駆動能力の電圧W_V1と強い駆動能力の電圧S_V1を生成するタイミングを調整するようにしてもよい。この場合、動作温度と駆動能力のバラツキとの関係は、回路シミュレーション等により既知とする。
【0043】
また、V1_の駆動回路の駆動能力の調整方法は、上記のようにプルアップトランジスタPU1、PU2のタイミングを調整する以外にも、ゲート幅Wが異なる複数のプルアップトランジスタを用意しておき、トリミングコードに基づき最適なプルアップトランジスタが選択されるようにしてもよい。例えば、4種類のプルアップトランジスタを用意し(ゲート幅W1=40μmに対応するコードが「0h」、ゲート幅W2=80μmに対応するコードが「1h」、ゲート幅W2=120μmに対応するコードが「2h」、ゲート幅W3=1160μmに対応するコードが「3h」)、初期値では、駆動能力が弱いプルアップトランジスタが「0h」、駆動能力が強いプルアップトランジスタが「2h」とする。
【0044】
PVTの変動またはトリミングコードに応じて、初期値「0h」、「2h」をそれぞれ、「1h」、「3h」に変更するようにしてもよい。選択の方法は任意であり、例えば、電気的な切替え回路によりコードに対応するプルアップトランジスタが電圧供給パスに接続されるようにしてもうよいし、レーザー等により配線を溶断することで恒久的な選択にしてもよい。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。