(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、部品実装装置10の構成の概略を示す構成図である。
図2は、実装ヘッド30の構成の概略を示す構成図である。
図3は、ノズルホルダ32の配列を説明する説明図である。
図4は、配管経路を説明する説明図である。なお、
図1の左右方向がX軸方向であり、前(手前)後(奥)方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0012】
部品実装装置10は、
図1に示すように、部品供給装置22と、基板搬送装置24と、XYロボット26と、実装ヘッド30と、制御装置(図示せず)と、を備える。また、部品実装装置10は、これらの他に、パーツカメラ28やマークカメラ(図示せず)なども備えている。なお、パーツカメラ28は、実装ヘッド30に吸着された部品Pの姿勢を下方から撮像するためのものである。また、マークカメラは、実装ヘッド30に設けられ、基板Sに付された位置決め基準マークを上方から撮像して読み取るためのものである。
【0013】
部品供給装置22は、所定間隔毎に部品Pが収容されたテープをリールから引き出してピッチ送りすることで、部品Pを部品供給位置に供給するテープフィーダとして構成されている。この部品供給装置22は、部品実装装置10の前側に、左右方向(X軸方向)に並ぶように複数設けられている。
【0014】
基板搬送装置24は、
図1の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sは、基板搬送装置24のコンベアベルトにより図中左から右へと搬送される。
【0015】
XYロボット26は、実装ヘッド30をXY軸方向に移動させるものである。このXYロボット26は、実装ヘッド30が取り付けられX軸モータの駆動によりX軸方向(左右方向)に移動可能なX軸スライダ26aと、X軸スライダ26aをX軸方向に移動自在に支持すると共にY軸モータの駆動によりY軸方向(前後方向)に移動可能なY軸スライダ26bと、を備える。
【0016】
実装ヘッド30は、
図2に示すように、ヘッド本体31と、保持部材(ホルダ)としてのノズルホルダ32と、採取部材としての吸着ノズル70と、R軸駆動装置40と、Q軸駆動装置45と、第1Z軸駆動装置50と、第2Z軸駆動装置60と、側面カメラ69と、を備える。
【0017】
ヘッド本体31は、R軸駆動装置40によって回転可能な回転体である。ノズルホルダ32は、
図3に示すように、ヘッド本体31に対して円周方向に所定角度間隔で配列され、且つ、ヘッド本体31に昇降自在に支持されている。ノズルホルダ32の先端部は、吸着ノズル70が着脱可能となっている。
【0018】
R軸駆動装置40は、複数のノズルホルダ32(複数の吸着ノズル70)をヘッド本体31の中心軸回りに円周方向に旋回(公転)させるものである。R軸駆動装置40は、
図2に示すように、R軸モータ41と、ヘッド本体31の中心軸から軸方向に延出されR軸モータ41により回転駆動されるR軸42と、を備える。また、R軸駆動装置40は、この他に、R軸モータ41の回転位置を検知するR軸位置センサ(図示せず)も備える。R軸駆動装置40は、R軸モータ41によりR軸42を回転駆動することにより、ヘッド本体31を回転させる。各ノズルホルダ32は、ヘッド本体31の回転によって、吸着ノズル70と一体となって円周方向に旋回(公転)する。
【0019】
Q軸駆動装置45は、各ノズルホルダ32(各吸着ノズル70)をその中心軸回りに回転(自転)させるものである。Q軸駆動装置45は、
図2に示すように、Q軸モータ46と、円筒ギヤ47と、伝達ギヤ48と、Q軸ギヤ49と、を備える。円筒ギヤ47は、R軸42に対して同軸かつ相対回転可能に挿通され、外周面に平歯のギヤが形成された円筒状の部材である。伝達ギヤ48は、Q軸モータ46の回転を円筒ギヤ47に伝達するものである。Q軸ギヤ49は、各ノズルホルダ32の上部に設けられ、円筒ギヤ47とZ軸方向(上下方向)にスライド可能に噛み合うものである。また、Q軸駆動装置45は、この他に、Q軸モータ46の回転位置を検知するQ軸位置センサ(図示せず)も備える。Q軸駆動装置45は、Q軸モータ46により伝達ギヤ48を介して円筒ギヤ47を回転駆動することにより、円筒ギヤ47と噛み合う各Q軸ギヤ49を回転させる。各ノズルホルダ32は、Q軸ギヤ49の回転によって、吸着ノズル70と一体となってその中心軸回りに回転(自転)する。
【0020】
第1および第2Z軸駆動装置50,60は、ノズルホルダ32の旋回(公転)軌道上の2箇所においてノズルホルダ32を個別に昇降可能に構成されている。本実施形態では、
図3に示すように、第1Z軸駆動装置50は、ヘッド本体31に支持されるノズルホルダ32のうち0度の方向にあるノズルホルダ32を昇降可能となっている。また、第2Z軸駆動装置60は、ヘッド本体31に支持されるノズルホルダ32のうち180度の方向にあるノズルホルダ32を昇降可能となっている。なお、0度の方向は、ヘッド本体31の中心軸に対して基板搬送方向(X軸方向)上流側の方向であり(
図3中、A)、180度の方向は、基板搬送方向下流側の方向である(
図3中、E)。
【0021】
第1Z軸駆動装置50は、
図2に示すように、Z軸モータ51と、Z軸方向(上下方向)に延出して回転自在に支持されたボールねじ54と、Z軸モータ51の回転を減速してボールねじ54に伝達する伝達ギヤ52と、ボールねじ54に螺合されたZ軸スライダ55と、を備える。また、第1Z軸駆動装置50は、この他に、Z軸スライダ55に作用する荷重すなわちノズルホルダ32(吸着ノズル70)に作用する荷重を検出するための圧力センサ57や、Z軸スライダ55の昇降位置を検知するZ軸位置センサ(図示せず)も備える。第1Z軸駆動装置50は、Z軸モータ51を駆動してZ軸スライダ55を下降させることにより、Z軸スライダ55に設けられた押下部55aがノズルホルダ32の上端面と当接して、当該ノズルホルダ32を吸着ノズル70と一体的に下降させることができる。なお、ノズルホルダ32は、ヘッド本体31に対してスプリング33によって上方に付勢されており、Z軸モータ51を駆動してZ軸スライダ55を上昇させることにより、スプリング33の付勢力によって吸着ノズル70と一体的に上昇する。
【0022】
第2Z軸駆動装置60は、
図2に示すように、Z軸モータ61と、Z軸方向(上下方向)に延出して回転自在に支持されたボールねじ64と、Z軸モータ61の回転を減速してボールねじ64に伝達する伝達ギヤ62と、ボールねじ64に螺合されたZ軸スライダ65と、を備える。また、第2Z軸駆動装置60は、この他に、Z軸スライダ65の昇降位置を検知するZ軸位置センサ(図示せず)も備える。第2Z軸駆動装置60は、Z軸モータ61を駆動してZ軸スライダ65を下降させることにより、Z軸スライダ65に設けられた押下部65aがノズルホルダ32の上端面と当接して、当該ノズルホルダ32を吸着ノズル70と一体的に下降させることができる。なお、ノズルホルダ32は、ヘッド本体31に対してスプリング33によって上方に付勢されているため、Z軸モータ61を駆動してZ軸スライダ65を上昇させることにより、スプリング33の付勢力によって吸着ノズル70と一体的に上昇する。また、第2Z軸駆動装置60の近傍には、側面カメラ69が設置されている。側面カメラ69は、第2Z軸駆動装置60により昇降される吸着ノズル70を用いて吸着動作や実装動作を行なった後に当該吸着ノズル70を撮像し、部品Pの吸着有無や吸着姿勢などを判定するためのものである。
【0023】
ノズルホルダ32の内部には、吸着ノズル70の吸着口と連通すると共に切替弁34を介して図示しない負圧源と正圧源とに選択的に連通するホルダ流路が形成されている。
図4に示すように、ヘッド本体31には、回転中心に形成され負圧源が連通する中心孔31aと、中心孔31aから放射状に延びて対応する切替弁34と接続される複数の放射状流路31bとが形成されている。本実施形態では、各ノズルホルダ32のうち一部のノズルホルダ32には、流路径が大径のホルダ流路32aが形成され、他のノズルホルダ32には、流路径がホルダ流路32aよりも小径のホルダ流路32bが形成されている。
【0024】
また、ノズルホルダ32は、
図2に示すように、その下端側面の互いに対向する位置に一対のガイド溝32cが形成されている。また、ノズルホルダ32の側面には、上側環状突起32dと下側環状突起32eとが上下方向に所定間隔を隔てて設けられている。さらに、ノズルホルダ32には、スリーブ36が被せられている。スリーブ36の上部開口の内径は、上側環状突起32dおよび下側環状突起32eの外径よりも小さくなっており、スリーブ36は、ノズルホルダ32から脱落することなく、上下動可能となっている。スリーブ36の上端面とノズルホルダ32の上側環状突起32dとの間には、スプリング37が配置されている。
【0025】
吸着ノズル70は、水平方向に張り出したフランジ部72と、フランジ部72の上方に直径方向に貫通したピン74と、を有する。ピン74は、ノズルホルダ32のガイド溝32cの終端とスプリング37により下向きに付勢されたスリーブ36の下端とに挟まれた状態で弾性的に固定される。即ち、吸着ノズル70は、ノズルホルダ32に対してスプリング37により下方に付勢された状態で支持されている。また、ガイド溝32cは、一部が終端から上向きに直線状に延びており、吸着ノズル70は、ノズルホルダ32に対して下向きに付勢された状態で相対的に上下動可能となっている。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態の部品実装装置10は、以下のようにして、吸着動作と実装動作を実行する。即ち、部品実装装置10の制御装置は、吸着動作として、まず、部品供給装置22により供給された吸着すべき部品Pの真上に当該部品Pを吸着すべき吸着ノズル70が来るようにXYロボット26を駆動制御する。続いて、制御装置は、吸着ノズル70が部品Pが下降するようZ軸駆動装置(第1Z軸駆動装置50または第2Z軸駆動装置60)を駆動制御する。制御装置は、第2Z軸駆動装置60を用いて吸着動作を実行した場合には、側面カメラ69により吸着動作を実行した吸着ノズル70を撮像し、吸着動作が適切に行なわれたか否かを判定する。そして、制御装置は、吸着ノズル70への負圧の供給により当該吸着ノズル70に部品Pが吸着されるよう切替弁34を駆動制御する。
【0027】
また、制御装置は、実装動作として、まず、吸着ノズル70に吸着された部品Pが基板Sの目標実装位置の真上に来るようXYロボット26を駆動制御する。続いて、制御装置は、吸着ノズル70に吸着され部品Pが下降するようZ軸駆動装置(第1Z軸駆動装置50または第2Z軸駆動装置60)を駆動制御する。そして、制御装置は、吸着ノズル70への正圧の供給により部品Pの吸着が解除されるよう切替弁34を駆動制御する。制御装置は、第2Z軸駆動装置60を用いて実装動作を実行した場合には、側面カメラ69により実装動作を実行した吸着ノズル70を撮像し、実装動作が適切に行なわれたか否かを判定する。
【0028】
ここで、実装ヘッド30は、Z軸駆動装置(第1Z軸駆動装置50,第2Z軸駆動装置60)毎に特性が異なり、ノズルホルダ32毎に特性が異なっている。
図5は、実装ヘッド30の各機構ごとの特性パターンを説明する説明図である。図示するように、Z軸駆動装置の特性を決定する要素として、圧力センサ57の有無や側面カメラ69の有無、昇降ストローク(Z軸ストローク)の長短、伝達ギヤ52,62のギヤ比(減速比)、Z軸モータ51,61(最大トルク)の大小などがある。また、ノズルホルダ32の特定を決定する要素として、ホルダ流路32a,32b(配管経路)の流路径やスプリング37の固さ(付勢力の大小)などがある。本実施形態の実装ヘッド30は、第1Z軸駆動装置50と第2Z軸駆動装置60とにそれぞれ異なるパターンの要素が組み合わされると共に、各ノズルホルダ32にそれぞれ異なるパターンの要素が組み合わされることにより、小型化や低コスト化を図りつつ、様々な種類の部品Pの実装に対応できるようにしている。
【0029】
本実施形態では、
図2に示すように、第1Z軸駆動装置50のZ軸モータ51は、第2Z軸駆動装置60のZ軸モータ61よりも、大型であり、最大トルクが大きい。また、第1Z軸駆動装置50の伝達ギヤ52は、第2Z軸駆動装置60の伝達ギヤ62よりも減速比が大きく、ボールねじ54により大きなトルクを伝達可能である。さらに、第1Z軸駆動装置50は、吸着ノズル70に作用する荷重を検出するための圧力センサ57を備えているのに対して、第2Z軸駆動装置60は、圧力センサを備えていない。このため、第1Z軸駆動装置50は、嵌め込み部品や圧入部品などのように部品実装時に基板Sに対して強い押し付け荷重が必要な部品Pの実装に適しており、第2Z軸駆動装置60は、強い荷重が不要な部品Pの実装に使用することができる。
【0030】
また、第1Z軸駆動装置50のボールねじ54は、第2Z軸駆動装置60のボールねじ64よりも、全長が長く、Z軸スライダの昇降ストロークが長い。このため、第1Z軸駆動装置50は、高背部品などのように長い昇降ストロークが必要な部品Pの実装に適しており、第2Z軸駆動装置60は、低背部品などのように長い昇降ストロークが不要な部品Pの実装に使用することができる。
【0031】
さらに、第2Z軸駆動装置60の近傍には、当該第2Z軸駆動装置60により吸着ノズル70を昇降させて吸着動作や実装動作を行なった後に、当該吸着ノズル70を撮像するための側面カメラ69を備えているのに対して、第1Z軸駆動装置50の近傍には、側面カメラを備えていない。このため、実装ヘッド30は、第2Z軸駆動装置60を用いて吸着や実装を行なった後に、吸着や実装が適切に行なわれたか否かの確認が可能である。
【0032】
また、各ノズルホルダ32には、流路径が大径のホルダ流路32a(配管経路)が形成されたノズルホルダ32と、流路径がホルダ流路32aよりも小径のホルダ流路32b(配管経路)が形成されたノズルホルダ32とが含まれている。このため、ホルダ流路32aが形成されたノズルホルダ32は、吸着ノズル70に強い負圧を作用させることができ、重量部品の吸着や搬送に適している。一方、ホルダ流路32bが形成されたノズルホルダ32は、吸着ノズル70に弱い負圧を、高い応答性で作用させることができ、軽量部品の吸着や搬送に適している。
【0033】
また、各ノズルホルダ32には、吸着ノズル70を下方に付勢する付勢力が強いスプリング37を有するノズルホルダ32と、吸着ノズル70を下方に付勢する付勢力が弱いスプリング37を有するノズルホルダ32とが含まれている。このため、付勢力が強いスプリング37を有するノズルホルダ32は、重量部品などのように衝撃に強い部品の吸着や実装に適している。一方、付勢力が弱いスプリング37を有するノズルホルダ32は、薄型部品や軽量部品などのように衝撃に弱い部品の吸着や実装に適している。
【0034】
部品実装装置10は、例えば、チップ部品などの表面実装型の部品を実装する場合には、側面カメラ69による吸着確認や実装確認が可能な第1Z軸駆動装置50を用いて吸着動作や実装動作を実行する。また、部品実装装置10は、例えば、DIP(Dual Inline Package) などの挿入型の部品を実装する場合には、部品Pに作用する荷重を検出可能な第2Z軸駆動装置60を用いて吸着動作や実装動作を実行する。このように、実装する部品Pの種類に応じての第1Z軸駆動装置50と第2Z軸駆動装置60とを使い分けることによって、様々な種類の部品Pの実装に対応することが可能となる。
【0035】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の吸着ノズル70が本開示の発明の「採取部材」に相当し、実装ヘッド30が「ヘッド」に相当し、複数のノズルホルダ32が「複数のホルダ」に相当し、第1および第2Z軸駆動装置50,60が「複数の昇降装置」に相当する。
【0036】
以上説明した本実施形態の部品実装装置10は、複数のノズルホルダ32と複数のZ軸駆動装置(第1Z軸駆動装置50,第2Z軸駆動装置60)とを有する実装ヘッド30を備える。各Z軸駆動装置(第1Z軸駆動装置50,第2Z軸駆動装置60)は、それぞれ、異なる特性を有するように異なる要素によって構成されている。各ノズルホルダ32は、それぞれ、異なる特性を有するように異なる要素によって構成されている。このため、部品実装装置10は、複数のZ軸駆動装置50,60や複数のノズルホルダ32のうち実装しようとする部品Pの種類に応じた特性のZ軸駆動装置昇降やノズルホルダを使い分けることで、1つのヘッドで異なる種類の部品Pの吸着動作や実装動作に適切に対応することが可能となる。また、複数のZ軸駆動装置50,60のうち一部のZ軸駆動装置や複数のノズルホルダ32のうち一部のノズルホルダを、簡易な要素で構成することにより、小型化や低コスト化を図ることができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、部品実装装置10は、実装ヘッド30として、単一のQ軸モータ46を用いて複数のノズルホルダ32を纏めて回転(自転)可能なロータリヘッドを採用するものとした。しかし、これに限定されるものではなく、実装ヘッドは、例えば、第1Z軸駆動装置により昇降可能な第1ノズルホルダと、第1ノズルホルダを回転可能な第1Q軸モータと、第2Z軸駆動装置により昇降可能な第2ノズルホルダと、第2ノズルホルダを回転可能な第2Q軸モータとを有するものとしてもよい。この場合、第1Q軸モータと第2Q軸モータは、互いに異なる大きさ(最大トルク)で構成されるものとしてもよい。また、第1Q軸モータの回転を第1ノズルホルダに伝達する第1伝達ギヤと第2Q軸モータの回転を第2ノズルホルダに伝達する第2伝達ギヤは、互いに異なるギヤ比(減速比)で構成されるものとしてもよい。
【0039】
このように、複数のノズルホルダ(第1ノズルホルダ,第2ノズルホルダ)が別個に動作する実装ヘッドを備える部品実装装置は、第1Z軸駆動装置の特性と第2Z軸駆動装置の特性とを以下のように異ならせることができる。即ち、第1Z軸駆動装置は、第2Z軸駆動装置よりも、昇降ストロークが短く、伝達ギヤの減速比が小さく、Z軸モータを小型にすることができる。また、部品実装装置は、第1ノズルホルダの特性と第2ノズルの特性とを以下のように異ならせることができる。即ち、第1ノズルホルダは、第2ノズルホルダよりも、配管経路の流路径を細く、吸着ノズルを下方に付勢するスプリングの付勢力を小さくすることができる。これにより、部品実装装置は、第1Z軸駆動装置および第1ノズルホルダを用いて吸着動作や実装動作を実行することで、応答性が高く部品に作用する衝撃を抑えた吸着や実装を可能とすることができる。また、部品実装装置は、第2Z軸駆動装置および第2ノズルホルダを用いて吸着動作や実装動作を実行することで、高背部品や重量部品を適切に対応することができる。
【0040】
上述した実施形態では、第1および第2Z軸駆動装置50,60は、それぞれZ軸モータ51,61とボールねじ54,64とを用いてZ軸スライダ55,65を昇降可能に構成されるものとした。しかしながら、第1および第2Z軸駆動装置は、それぞれリニアモータを用いてZ軸スライダを昇降可能に構成されるものとしてもよい。この場合、各リニアモータは、最大駆動力が互いに異なるように構成されてもよい。
【0041】
また、実装ヘッドは、
図6に示す他の実施形態に係る実装ヘッド130のように構成されてもよい。即ち、実装ヘッド130の第1Z軸駆動装置150は、第1Z軸モータ151と、第1Z軸モータにより昇降可能な第1Z軸スライダ155と、第1Z軸スライダの下端部に設けられた第2Z軸モータ156と、第2Z軸モータ156により第1Z軸スライダ155に対して相対的に昇降可能な第2Z軸スライダ157と、を備える。第2Z軸スライダ157には、当該第2Z軸スライダ157に作用する荷重を検出するための圧力センサ158が設けられている。ここで、吸着ノズル70は、図示しないスプリングにより上向きに付勢された状態でノズルホルダ32に対して上下動可能となっている。第1Z軸駆動装置150は、第1Z軸モータ151を駆動して第1Z軸スライダ155を下降させることにより、第1Z軸スライダ155に設けられた押下部155aがノズルホルダ32の上端部に当接し、ノズルホルダ32を吸着ノズル70と共に下降させることができる。また、第1Z軸駆動装置150は、第2Z軸モータ156を駆動して第2Z軸スライダ157を下降させることにより、第2Z軸スライダ157に設けられた押下部157aが吸着ノズル70のフランジ部72の上端面に当接し、ノズルホルダ32に対してスプリングの付勢力に抗して吸着ノズル70を相対的に下降させることができる。また、第2Z軸駆動装置160は、Z軸モータ161と、Z軸モータ161により昇降可能なZ軸スライダ165とを備える。第2Z軸駆動装置160は、Z軸モータ161を駆動してZ軸スライダ165を下降させることにより、Z軸スライダ165に設けられた押下部165aがノズルホルダ32の上端部に当接し、ノズルホルダ32を吸着ノズル70と共に下降させることができる。このように、第1Z軸駆動装置150は、2つのZ軸モータ151,156を備えており、一方のZ軸モータ151で吸着ノズル70を大まかに下降させた後、他方のZ軸モータ156で吸着ノズル70を細かく下降させることができる。したがって、実装ヘッド130は、部品Pの種類に応じて第1および第2Z軸駆動装置150,160を使い分けることにより、異なる種類の部品Pの実装に対応することができる。また、第2Z軸駆動装置160の要素を簡易な構成で実現することで、実装ヘッド130の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0042】
このように、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、荷重管理が必要な部品の実装動作を、圧力センサを有する昇降装置によって実行することができる。また、部品実装装置は、荷重管理が不要な部品の実装動作を、圧力センサを有しない昇降装置によって実行することにより、全ての昇降装置に圧力センサを搭載するものに比して、小型化や低コスト化を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、長い昇降ストロークが必要な部品の実装動作を、昇降ストロークが第1ストロークの昇降装置によって実行することができる。また、部品実装装置は、長い昇降ストロークが不要な部品の実装動作を、昇降ストロークが第1ストロークよりも短い第2ストロークの昇降装置によって実行することにより、全ての昇降装置の昇降ストロークを第1ストロークにするものに比して、小型化や低コスト化を図ることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、高い精度が必要な部品の実装動作を、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを有する昇降装置によって実行することができる。また、部品実装装置は、高い精度が不要な部品の実装動作を、1つのアクチュエータを有する昇降装置によって実行することにより、全ての昇降装置に第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを有するものに比して、小型化や低コスト化を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、部品の種類に応じて使用する昇降装置を使い分けることができ、全ての昇降装置で撮像装置によりノズルの状態を確認可能とするものに比して、小型化や低コスト化を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、異なるギヤ比のギヤを介してスライダを昇降可能に構成することで、昇降動作を高精度で行なう場合と高速度で行なう場合の双方に対応することができる。
【0047】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、対象物への強い押し付け荷重が必要な部品の実装動作を第1アクチュエータを用いて実行することができる。また、部品実装装置は、対象物への強い押し付け荷重が不要な部品の実装動作を第1アクチュエータよりも最大駆動力が小さい第2アクチュエータを用いて実行することにより、全ての昇降装置が第1アクチュエータを有するものに比して、装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、異なるギヤ比のギヤを介して複数のホルダをそれぞれ回転可能に構成することで、回転動作を高精度で行なう場合と高速度で行なう場合の双方に対応することができる。
【0049】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、流路径が大きい第1流路をもつホルダを用いて部品を吸着することにより、比較的重い部品の搬送に対応することができる。また、流路径が小さい第2流路をもつホルダを用いて部品を吸着することにより、比較的軽い部品を吸着する際の負圧供給のレスポンスを高めることができる。
【0050】
また、本実施形態の一態様によれば、部品実装装置は、第1付勢力により下方に付勢されるホルダを用いて採取動作や実装動作を行なうことにより、部品や対象物に対して必要な押し付け荷重を確保することができる。また、部品実装装置は、第2付勢力により下方に付勢されるホルダを用いて採取動作や実装動作を行なうことにより、部品や対象物に対する衝撃を緩和することができる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。