(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、上記成型工程で形成された上記第1便器本体又は上記第2便器本体の内側下方に対して調整部材を接着することにより上記排出部の形状を調整する接着工程を有する請求項1記載の便器製造方法。
上記第1便器本体及び上記第2便器本体のそれぞれは、胴部及びリム部を備え、これらの胴部及びリム部のそれぞれは、上記成型工程において一体に形成される請求項1乃至3の何れか1項に記載の便器製造方法。
上記第1便器本体及び上記第2便器本体のそれぞれは、胴部及びリム部を備え、これらの胴部及びリム部のそれぞれは、上記成型工程において別々に形成された後、互いに接着される請求項1乃至3の何れか1項に記載の便器製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態による便器製造方法について説明する。
まず、
図1〜
図9を参照して、本発明の第1実施形態による便器製造方法について、この便器製造方法で用いられる成形型や製造される水洗大便器について具体的に説明しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器、及び、この第1水洗大便器の製造に使用される成形型(複数種類の水洗大便器共通の上型及び側型、第1水洗大便器専用に選択した特有の第1下型)を示す斜視図である。
また、
図2は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器の第1便器本体において、成型工程中に第1下型、並びに、共通の上型及び側型によって形成されている状態を示す概略側面断面図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態による便器製造方法おいては、製造すべき水洗大便器1の便器本体2の下方に形成される排出部4の形状が異なる複数種類の水洗大便器1(第1水洗大便器1A及び第2水洗大便器1B)を製造可能にする。
具体的には、
図1及び
図2に示すように、本実施形態による便器製造方法では、まず、排出部4の形状が異なる少なくとも2種類の第1水洗大便器1A及び第2水洗大便器1Bのそれぞれにおける第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの外側側面の形状について、左右の側型6,8で形成して画定するために、側型準備工程において、一対の左側型6及び右側型8について、排出部4の形状が異なる複数種類の水洗大便器同士で共通(同一)の一対の側型6,8として準備する。
すなわち、一対の側型6,8は、第1便器本体2A及び第2便器本体2Bの各排出部4A,4Bの形状に関わらず共通に用いられるものであり、これらの共通な側型6,8により、第1便器本体2A及び第2便器本体2B同士で互いに共通(同一)な外側側面の形状S1が画定可能になる。
【0016】
また、
図1及び
図2に示すように、これらの第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの内側上方の形状S2について、上型10で形成して画定するために、上述した側型準備工程と並行して、上型準備工程において、排出部4の形状が異なる複数種類の水洗大便器同士で共通(同一)の上型10を準備する。
すなわち、上型10は、第1便器本体2A及び第2便器本体2Bの各排出部4A,4Bの形状に関わらず共通に用いられるものであり、これらの共通な上型10により、第1便器本体2A及び第2便器本体2B同士で互いに共通(同一)な内側上方の形状S2が画定可能になる。
【0017】
さらに、
図1及び
図2に示すように、例えば、本実施形態による便器製造方法により製造すべき水洗大便器1が第1水洗大便器1Aである場合には、第1便器本体2Aの内側下方の形状S3を下型12Aで形成して画定するために、上述した側型準備工程及び上型準備工程と並行して、下型準備工程において、下型12Aを準備する。このとき、排出部4の形状が異なる複数種類の水洗大便器1のそれぞれに対応する複数の第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの内側下方の形状S3,S4について、それぞれ画定可能な第1下型12A及び第2下型12Bを含む複数種類の下型の中から、製造すべき第1水洗大便器1Aの第1便器本体2Aにおける排出部4Aの形状に応じて第1水洗大便器1A専用に選択した特有の下型(第1下型12A)を準備する。
すなわち、第1便器本体2Aの排出部4Aの形状に応じた特有の第1下型12Aを選択することにより、第1便器本体2Aに特化した内側下方の形状S3が画定可能になる。
【0018】
つぎに、
図2に示すように、例えば、本実施形態による便器製造方法により製造すべき水洗大便器1が第1水洗大便器1Aである場合には、側型準備工程で準備した共通の一対の側型6,8、上型準備工程で準備した共通の上型10、及び、下型準備工程で選択して準備した特有の第1下型12Aが互いに組み付けられた後、成型工程において、これらすべての成形型6,8,10,12Aによって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第1便器本体2Aを形成する。
【0019】
なお、
図2に示すように、成型工程において第1便器本体2Aが形成された際、第1便器本体2Aの胴部16A、及び、この胴部16Aの上方のリム部18Aは、互いに一体に形成されている。
【0020】
つぎに、
図3は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器の第1便器本体が成型工程で形成された後、第1下型及び共通の上型が脱型される状態を示す概略側面断面図である。また、
図4は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器において、第1便器本体が成型工程で形成された後、すべての成形型が脱型されている状態を示す背面図である。
上述した成型工程において、
図2にように、すべての成形型6,8,10,12Aによって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第1便器本体2Aが形成された後、
図3に示すように、上型10及び第1下型12Aが脱型される。
そして、
図4に示すように、成型工程において、左右の側型6,8についても脱型される。
なお、本実施形態の便器製造方法では、成型工程において形成された脱型後の第1便器本体2Aのリム部18Aについては、
図3に示すように、製造後の第1水洗大便器1Aにおいて通水路等として利用することができるように内部空間A1が形成されており、この内部空間A1を形成するリム部18Aの内周壁20Aの下方部分が開放されたリム形態(いわゆる、「オープンリム形態」)となっている。
しかしながら、本実施形態の便器製造方法では、このような「オープンリム形態」のリム部18Aに限られず、リム部については、その内周壁の下端が便器本体の一部と接着することにより閉じた内部空間を形成するリム形態や、通水路用として利用される空間を形成するリム部の底面に複数の水出し穴が形成されたリム形態(いわゆる「ボックスリム形態」)等であってもよい。また、リム部が便器本体の内側に突出されておらず、リム(縁)自体が形成されていない形態(いわゆる、「縁なし形態」)であってもよい。
【0021】
ちなみに、オープンリム形態の第1便器本体2Aを形成する場合、
図2に示すように、脱型前の状態のリム部18Aは、その内周壁20Aの下端が便器本体2Aの一部と接着し、袋形状の開口(内部空間A1)を形成している。
そして、脱型後において、袋形状の開口(内部空間A1)を形成しているリム部18Aの内周壁20Aについて、その下方部分を切削することにより、
図3に示すようなオープンリム形態のリム部18Aが形成される。
【0022】
また、
図3に示すように、成型工程において形成された第1便器本体2Aには、そのボウル部22の下方に入口部が接続される排水トラップ管路24が形成されている。
そして、第1便器本体2Aの排出部4Aの形状については、実質的には、排水トラップ管路24の下流側の領域に形成された下流側管路26Aとその出口28Aの形状となっており、この出口28Aが下方に差し向けられている。
ちなみに、本実施形態の便器製造方法の成型工程において形成された第1便器本体2Aの排出部4Aについては、その出口28Aが、第1水洗大便器1Aの製造後の完成品において床下の排水管(図示せず)に接続される、いわゆる、「床排水」の形態の水洗大便器の排出部として機能する。
【0023】
つぎに、
図5は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器の第1便器本体において、成型工程から乾燥工程を経て焼成工程までの一連の工程が終了した状態を示す概略側面図である。
図4に示すように、成型工程においてすべての成形型6,8,10,12Aが脱型された第1便器本体2Aについて、乾燥工程において乾燥させた後、施釉工程において施釉を行う。
そして、この施釉を行った第1便器本体2Aについて、焼成工程において焼成を行って、この焼成工程が終了すると、
図5に示すように、第1水洗大便器1Aの製造工程が終了となり、陶器製の第1水洗大便器1Aの第1便器本体2Aが完成する。
【0024】
つぎに、
図6は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体において、第2水洗大便器専用に特有の第2下型を選択し、成型工程中に第2下型、並びに、第1便器本体と共通の上型及び側型によって形成されている状態を示す概略側面断面図である。
また、
図7は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体が成型工程で形成された後、第2下型及び共通の上型が脱型される状態を示す概略側面断面図である。
【0025】
図6及び
図7に示すように、例えば、本実施形態による便器製造方法により製造すべき水洗大便器1が、第1水洗大便器1Aの排出部4Aの形状と異なる第2水洗大便器1Bである場合には、上述した第1水洗大便器1Aを製造する場合と同様に、側型準備工程及び上型準備工程のそれぞれの工程において、第2便器本体2Bを成型する一対の側型及び上型として、第1便器本体2Aと共通(同一)の一対の側型6,8及び上型10をそれぞれ準備する。
そして、側型準備工程及び上型準備工程と並行して、下型準備工程において、排出部4の形状が異なる複数種類の水洗大便器1のそれぞれに対応する複数の第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの内側下方の形状S3,S4について、それぞれ画定可能な第1下型12A及び第2下型12Bを含む複数種類の下型の中から、製造すべき第2水洗大便器1Bの第2便器本体2Bにおける排出部4Bの形状に応じて、第2水洗大便器1B専用に選択した特有の下型(第2下型12B)を準備する。
すなわち、第2便器本体2Bの排出部4Bの形状に応じた特有の第2下型12Bを選択することにより、第2便器本体2Bに特化した内側下方の形状S4が画定可能になる。
【0026】
つぎに、
図6に示すように、例えば、本実施形態による便器製造方法により製造すべき水洗大便器1が第2水洗大便器1Bである場合には、第1便器本体2Aと同様に、側型準備工程で準備した共通の一対の側型6,8、上型準備工程で準備した共通の上型10、及び、下型準備工程で選択して準備した特有の第2下型12Bが互いに組み付けられた後、成型工程において、これらすべての成形型6,8,10,12Bによって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第2便器本体2Bを形成する。
これにより、第2便器本体2Bの外側側面の形状S1(第1便器本体2Aの外側側面の形状S1と同一形状)、第2便器本体Bの内側上方の形状S2(第1便器本体2Aの内側上方の形状S2と同一形状)、及び、第2便器本体2Bの内側下方の形状S4(第1便器本体2Aの内側下方の形状S1とは異なる形状)のそれぞれが画定される。
【0027】
なお、
図6に示すように、成型工程において第2便器本体2Bが形成された際、第2便器本体2Bの胴部16B、及び、この胴部16Bの上方のリム部18Bは、互いに一体に形成されている。
また、
図6に示すように、脱型前の状態のリム部18Bは、その内周壁20Bの下端が便器本体2Bの一部と接着し、袋形状の開口(内部空間A2)を形成している。
【0028】
つぎに、上述した成型工程において、製造すべき第2便器本体2Bが形成された後、
図7に示すように、上型10及び第2下型12Bが脱型される。そして、成型工程において、左右の側型6,8についても脱型され、すべての成形型6,8,10,12Bが脱型される。
そして、
図7に示すように、脱型後の第2便器本体2Bの排出部4Bの形状については、実質的には、排水トラップ管路24の下流側の領域に形成された下流側管路26Bとその出口28Bの形状となっており、この出口28Bが概ね下方且つ前方に差し向けられている。
また、
図7に示す脱型後において、袋形状の開口(内部空間A2)を形成しているリム部18Bの内周壁20Bについて、その下方部分を切削することにより、オープンリム形態のリム部18Bが形成される。
【0029】
つぎに、
図8は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体において、成型工程で形成された後、すべての成形型が脱型され、接着工程で第2便器本体の内側下方に対して排出部調整部材が接着される前の状態を示す概略側面断面図である。
また、
図9は、本発明の第1実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体において、成型工程から乾燥工程を経て焼成工程までの一連の工程が終了した状態を示す概略側面断面図である。
図8に示すように、成型工程ですべての成形型6,8,10,12Bが脱型された後の第2便器本体2Bについては、排水トラップ管路24の下流側管路26Bの出口28Bよりも下流側の管路を追加的に形成して、排出部4Bの形状を調整するために、接着工程において、第2便器本体2Bの内側下方の排出部4Bの出口28Bに対して、貼板等の複数の調整部材30,32を接着し、また、複数の調整部材30,32,34同士についても互いに接着させる。
そして、この接着工程が終了すると、乾燥工程において、第2便器本体2B及びその排出部4Bの出口28Bに接着された複数の調整部材30,32,34を乾燥させる。
そして、施釉工程において施釉が行われ、焼成工程が終了すると、
図9に示すように、第2水洗大便器1Bの製造工程が終了となり、陶器製の第2水洗大便器1Bの第2便器本体2Bが完成する。
ここで、完成した第2水洗大便器1Bの第2便器本体2Bの外観については、
図5に示す完成した第1水洗大便器1Aの第1便器本体2Aの外観と同一であり、排出部4A,4Bの形状が互いに異なる水洗大便器1A,1Bの異なる形状同士の間で外観の意匠性が低下することはない。その理由としては、便器本体2の内側下方の形状を画定する特有の第1下型12A又は第2下型12Bを変更したとしても、水洗大便器1の外観の意匠性にも影響し易い便器本体2の外側側面の形状S1や内側上方の形状S2には影響を及ぼさないからである。
ちなみに、本実施形態の便器製造方法の成型工程において形成された第2便器本体2Bの排出部4Bについては、調整部材30,32,34が接着されることにより形成された追加排出路36の出口36aが、第2水洗大便器1Bの製造後の完成品において床下の排水管(図示せず)に接続される、いわゆる、「床排水」の形態の水洗大便器の排出部として機能する。
【0030】
上述した本発明の第1実施形態の便器製造方法によれば、便器本体2の下方に形成される排出部4の形状が異なる少なくとも2種類の第1水洗大便器1A及び第2水洗大便器1Bのいずれかの水洗大便器1を製造する際、排出部4A,4Bの形状に関わらず、第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの外側側面の形状S1を画定可能な共通の側型6,8を用いることができると共に、第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの内側上方の形状S2,S2を画定可能な共通の上型10を用いることができる。
さらに、第1便器本体2A及び第2便器本体2Bのそれぞれの内側下方の形状S3,S4についてそれぞれ画定可能な第1下型12A及び第2下型12Bを含む複数種類の下型の中から、製造すべき第1便器本体2A又は第2便器本体2Bにおける排出部4A又は4Bの形状に応じて特有の下型12A又は12Bを選択して用いることができる。
したがって、水洗大便器1の製造時において、製造すべき水洗大便器1の便器本体2の排出部4の形状に関わらず側型6,8及び上型10を共通化して、排出部4A又は4Bの形状に応じて特有の下型12A又は12Bのみを取り替えるだけで、製造コストを抑制しつつ、様々な排出部4の形状にも対応することができる。よって、様々な排出部4の形状に応じた複数種類の形状の水洗大便器1を製造することができる。
また、製造すべき水洗大便器1の排出部4の形状を変更したとしても、水洗大便器1の外観の意匠性にも影響し易い便器本体2の外側側面の形状S1及び内側上方の形状S2のそれぞれを画定する側型6,8及び上型10のそれぞれについては、排出部4A,4Bの形状に関わらず共通化しており、水洗大便器1の外観の意匠性にも影響し難い便器本体2の内側下方の形状を画定する特有の下型12A又は12Bのみについて取り替えることになるため、排出部4A,4Bの形状が互いに異なる水洗大便器1A,1Bの異なる形状同士の間で完成品の外観の意匠性が低下することはない。
【0031】
また、本実施形態の便器製造方法によれば、第2便器本体2Bが成型工程で形成された後、接着工程において、便器本体2Bの内側下方の排出部4Bの出口28Bに対して調整部材30,32,34を接着することにより排出部4Bの下流側の形状を調整することができるため、製造コストを抑制しつつ、様々な排出部4Bの形状にも確実に対応することができる。
よって、様々な排出部4Bの形状に応じた水洗大便器を確実に製造することができる。
また、水洗大便器1Bの外観の意匠性にも影響し難い第2便器本体2Bの内側下方の排出部4Bに対して様々な調整部材30,32,34を適宜接着することにより、便器本体2Bの内部に隠蔽されて外観の意匠性が影響し難い排出部4Bの形状だけを調整することができるため、排出部4Bの形状が異なる水洗大便器1Bの異なる形状同士の間でも外観の意匠性が低下することはない。
【0032】
さらに、本実施形態の便器製造方法によれば、成型工程で便器本体2A,2Bの胴部16A,16B及びリム部18A,18Bを一体に形成することができるため、成形型の個数等を抑制して製造コストをより効果的に抑制することができる。
【0033】
なお、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法においては、「上型10」及び「下型12A,12B」の互いの上下関係については、便宜上、完成品の水洗大便器1が設置された状態の上下関係と対応するように定義している。
したがって、便器製造工程によっては、「上型10」及び「下型12A,12B」の互いの上下関係が工程の途中で入れ替わる場合でも適用可能である。
【0034】
つぎに、
図10〜
図18を参照して、本発明の第2実施形態による便器製造方法について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器、及び、この第1水洗大便器の製造に使用される成形型(複数種類の水洗大便器共通の上型及び下型、第1水洗大便器専用に選択した特有の第1側型)を示す斜視図である。
また、
図11は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器の第1便器本体において、成型工程中に共通の上型及び下型、並びに、第1側型によって形成されている状態を示す概略側面断面図である。
【0035】
図10及び
図11に示すように、本発明の第2実施形態による便器製造方法おいては、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法と同様に、製造すべき水洗大便器100の便器本体102の下方に形成される排出部104の形状が異なる複数種類の水洗大便器100(第1水洗大便器100A及び第2水洗大便器100B)を製造可能にする。
具体的には、まず、
図10及び
図11に示すように、本実施形態による便器製造方法により製造すべき水洗大便器100が第1水洗大便器100Aである場合には、第1便器本体102Aの外側側面の形状S101について、左右の側型106A,108Aで形成して画定するために、側型準備工程において、第1便器本体102A及び第2便器本体102Bのそれぞれの外側側面の形状S101,S104について、それぞれ画定可能な一対の第1側型(第1左側型106A及び第1右側型108A)、並びに、一対の第2側型(第2左側型106B及び第2右側型108B)を含む、複数の左側型106及び右側型108の中から、製造すべき第1水洗大便器100Aの第1便器本体102Aにおける排出部104Aの形状に応じて第1水洗大便器100A専用に選択した特有の一対の第1側型(第1左側型106A及び第1右側型108A)を準備する。
すなわち、
図10及び
図11に示すように、第1便器本体102Aの排出部104Aの形状に応じた特有の一対の第1左側型106A及び第1右側型108Aを選択することにより、第1便器本体102Aに特化した外側側面の形状S101が画定可能になる。
【0036】
また、
図10及び
図11に示すように、これらの第1便器本体102A及び第2便器本体102Bのそれぞれの内側上方の形状S102について、上型110で形成して画定するために、上述した側型準備工程と並行して、上型準備工程において、排出部104の形状が異なる複数種類の水洗大便器同士で共通(同一)の上型110として準備する。
すなわち、上型110は、第1便器本体102A及び第2便器本体102Bの各排出部104A,104Bの形状に関わらず共通に用いられるものであり、これらの共通な上型110により、第1便器本体102A及び第2便器本体102B同士で互いに共通(同一)な内側上方の形状S102が画定可能になる。
【0037】
さらに、
図10及び
図11に示すように、第1便器本体102Aの内側下方の形状S103を下型112で形成して画定するために、上述した側型準備工程及び上型準備工程と並行して、下型準備工程において、排出部104の形状が異なる複数種類の水洗大便器同士で共通(同一)の下型112を準備する。
すなわち、下型112は、第1便器本体102A及び第2便器本体102Bの各排出部104A,104Bの形状に関わらず共通に用いられるものであり、これらの共通な下型112により、第1便器本体102A及び第2便器本体102B同士で互いに共通(同一)な内側下方の形状S103が画定可能になる。
【0038】
つぎに、
図11に示すように、本実施形態による便器製造方法により第1水洗大便器100Aを製造するために、側型準備工程で準備した特有の一対の第1左側型106A及び第1右側型108A、上型準備工程で準備した共通の上型110、並びに、下型準備工程で準備した共通の下型112が互いに組み付けられた後、成型工程において、これらすべての成形型106A,108A,110,112によって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第1便器本体102Aを形成する。これにより、第1便器本体102Aの外側側面の形状S101、第1便器本体102Aの内側上方の形状S102、及び第1便器本体102Aの内側下方の形状S103のそれぞれが画定される。
なお、
図11に示すように、成型工程において第1便器本体102Aが形成された際、第1便器本体102Aの胴部116A、及び、この胴部116Aの上方のリム部118Aは、互いに一体に形成されている。
【0039】
つぎに、
図12は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器の第1便器本体が成型工程で形成された後、共通の上型及び下型が脱型される状態を示す概略側面断面図である。
また、
図13は、
図12に示す本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器において、第1便器本体が成型工程で形成されて、共通の上型及び下型が脱型された後、第1側型が脱型される状態を示す概略背面図である。
上述した成型工程において、
図11にように、すべての成形型106A,108A,110,112によって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第1便器本体102Aが形成された後、
図12に示すように、上型110及び下型112が脱型される。
そして、
図13に示すように、成型工程において、左右の側型106A,108Aについても脱型される。
なお、本実施形態の便器製造方法では、
図12に示すように、成型工程において形成された脱型後の第1便器本体102Aのリム部118Aについては、上述した本発明の第1実施形態の便器製造方法の成型工程で形成される便器本体2A,2Bのリム部18A,18Bと同様に、リム部118Aの内周壁120Aの下方部分が開放されたリム形態(いわゆる、「オープンリム形態」)となっているが、いわゆる「ボックスリム形態」や「縁なし形態」等であってもよい。
【0040】
ちなみに、オープンリム形態の第1便器本体102Aを形成する場合、
図11に示すように、脱型前の状態のリム部118Aは、その内周壁120Aの下端が便器本体102Aの一部と接着し、袋形状の開口(内部空間A101)を形成している。
そして、脱型後において、袋形状の開口(内部空間A101)を形成しているリム部118Aの内周壁120Aについて、その下方部分を切削することにより、
図12に示すようなオープンリム形態のリム部118Aが形成される。
【0041】
つぎに、
図14は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器の第1便器本体において、成型工程から乾燥工程を経て焼成工程までの一連の工程が終了した状態を示す概略側面断面図である。
図12〜
図14に示すように、本実施形態の便器製造方法では、上述した本発明の第1実施形態の便器製造方法と同様に、成型工程においてすべての成形型106A,108A,110,112が脱型された第1便器本体102Aについて、乾燥工程において乾燥させた後、施釉工程において施釉を行う。
そして、この施釉を行った第1便器本体2Aについて、焼成工程において焼成を行って、この焼成工程が終了すると、
図14に示すように、第1水洗大便器100Aの製造工程が終了となり、陶器製の第1水洗大便器100Aの第1便器本体102Aが完成する。
【0042】
また、
図12〜
図14に示すように、本実施形態の便器製造方法では、上述した本発明の第1実施形態の便器製造方法と同様に、成型工程において形成された第1便器本体102Aには、そのボウル部122の下方に入口部が接続される排水トラップ管路124が形成されている。
そして、第1便器本体102Aの排出部104Aの形状については、実質的には、排水トラップ管路124の下流側の領域に形成された下流側管路126Aとその出口128Aの形状となっており、この出口128Aが後方に向かって斜め下方に差し向けられている。
ちなみに、本実施形態の便器製造方法の成型工程において形成された第1便器本体102Aの排出部104Aについては、第1便器本体102Aの後方に形成されている。そして、第1水洗大便器100Aの製造後の完成品の排出部104Aの出口128Aついては、便器設置場所における第1便器本体102Aの後方の壁面の裏側から延びた排水管D1(
図14参照)に接続される、いわゆる、「壁排水」の形態の水洗大便器の排出部として機能する。
なお、この排出部104Aの出口128Aに接続される排水管D1の下流側については、便器設置場所の床面から上方に延びた排水管(図示せず)と接続される、いわゆる、「床上排水」の形態にも適用可能である。
【0043】
つぎに、
図15は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体において、第2水洗大便器専用に特有の第2側型を選択し、成型工程中に第2側型、並びに、第1便器本体と共通の上型及び下型によって形成されている状態を示す概略側面断面図である。
図15に示すように、例えば、本実施形態による便器製造方法により製造すべき水洗大便器100が、第1水洗大便器100Aの排出部104Aの形状と異なる第2水洗大便器100Bである場合には、上述した第1水洗大便器100Aを製造する場合と同様に、側型準備工程において、複数の左側型106及び右側型108の中から、製造すべき第2水洗大便器100Bの第2便器本体102Bにおける排出部104Bの形状に応じて第2水洗大便器100B専用に選択した特有の一対の第2側型(第2左側型106B及び第2右側型108B)を準備する。
すなわち、
図15に示すように、第2便器本体102Bの排出部104Bの形状に応じた特有の一対の第2左側型106B及び第2右側型108Bを選択することにより、第2便器本体102Bに特化した外側側面の形状S104が画定可能になる。
【0044】
また、
図15に示すように、第2便器本体102Bの内側上方の形状S102について、上型110で形成して画定するために、上述した側型準備工程と並行して、上型準備工程において、排出部104の形状が異なる複数種類の水洗大便器同士で共通(同一)の上型110として準備する。
さらに、
図15に示すように、第2便器本体102Bの内側下方の形状S103を下型112で形成して画定するために、上述した側型準備工程及び上型準備工程と並行して、下型準備工程において、排出部104の形状が異なる複数種類の水洗大便器同士で共通(同一)の下型112を準備する。
【0045】
つぎに、
図15に示すように、本実施形態による便器製造方法により第2水洗大便器100Bを製造するために、側型準備工程で準備した特有の一対の第1左側型106B及び第1右側型108B、上型準備工程で準備した共通の上型110、並びに、下型準備工程で準備した共通の下型112が互いに組み付けられた後、成型工程において、これらすべての成形型106B,108B,110,112によって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第1便器本体102Bを形成する。これにより、第2便器本体102Bの外側側面の形状S104(第1便器本体102Aの外側側面の形状S101とは異なる形状)、第2便器本体102Bの内側上方の形状S102(第1便器本体102Aの内側上方の形状S102と同一形状)、及び、第2便器本体102Bの内側下方の形状S103(第1便器本体102Aの内側下方の形状S103と同一形状)のそれぞれが画定される。
なお、
図15に示すように、成型工程において第2便器本体102Bが形成された際、第2便器本体102Bの胴部116B、及び、この胴部116Bの上方のリム部118Bは、互いに一体に形成されている。
また、
図15に示すように、脱型前の状態のリム部118Bは、その内周壁120Bの下端が便器本体102Bの一部と接着し、袋形状の開口(内部空間A102)を形成している。
【0046】
つぎに、
図16は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体が成型工程で形成された後、共通の上型及び下型が脱型される状態を示す概略側面断面図である。
また、
図17は、
図16に示す本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器において、第2便器本体が成型工程で形成されて、共通の上型及び下型が脱型された後、第2側型が脱型される状態を示す概略背面図である。
上述した成型工程において、
図15にように、すべての成形型106B,108B,110,112によって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき第2便器本体102Bが形成された後、
図16に示すように、上型110及び下型112が脱型される。
そして、
図17に示すように、成型工程において、左右の側型106B,108Bについても脱型される。
さらに、
図16に示す脱型後において、袋形状の開口(内部空間A102)を形成しているリム部118Bの内周壁120Bについて、その下方部分を切削することにより、オープンリム形態のリム部118Bが形成される。
なお、本実施形態の便器製造方法では、
図16に示すように、成型工程において形成された脱型後の第2便器本体102Bのリム部118Bについては、共通の上型110を用いて形成されているため、上述した第1便器本体102Aのリム部118Aと同一のリム形態となっている。
【0047】
つぎに、
図18は、本発明の第2実施形態の便器製造方法により製造される第2水洗大便器の第2便器本体において、成型工程から乾燥工程を経て焼成工程までの一連の工程が終了した状態を示す概略側面断面図である。
図12〜
図14に示すように、本実施形態の便器製造方法では、上述した本発明の第1実施形態の便器製造方法と同様に、成型工程においてすべての成形型106A,108A,110,112が脱型された第1便器本体102Aについて、乾燥工程において乾燥させた後、施釉工程において施釉を行う。
そして、この施釉を行った第1便器本体2Aについて、焼成工程において焼成を行って、この焼成工程が終了すると、
図14に示すように、第1水洗大便器100Aの製造工程が終了となり、陶器製の第1水洗大便器100Aの第1便器本体102Aが完成する。
【0048】
また、
図16〜
図18に示すように、本実施形態の便器製造方法により形成される第2便器本体102Bについては、上述した第1便器本体102Aと同様に、そのボウル部122の下方に入口部が接続される排水トラップ管路124が形成されている。
そして、第2便器本体102Bの排出部104Bの形状については、実質的には、排水トラップ管路124の下流側の領域に形成された下流側管路126Bとその出口128Bの形状となっており、この出口128Bが後方に向かって水平方向に差し向けられている点で、第1便器本体102Aの排出部104Aの形状と異なっている。
ちなみに、本実施形態の便器製造方法の成型工程において形成された第2便器本体102Bの排出部104Bについては、第2便器本体102Bの後方に形成されている。そして、第2水洗大便器100Bの製造後の完成品の排出部104Bの出口128Bついては、便器設置場所における第2便器本体102Bの後方の壁面の裏側から延びた排水管D2(
図18参照)に接続される、いわゆる、「壁排水」の形態の水洗大便器の排出部として機能する。
なお、この排出部104Bの出口128Bに接続される排水管D2の下流側については、便器設置場所の床面から上方に延びた排水管(図示せず)と接続される、いわゆる、「床上排水」の形態にも適用可能である。
【0049】
上述した本発明の第2実施形態の便器製造方法によれば、便器本体100の後方に形成される排出部104の形状が異なる少なくとも2種類の第1水洗大便器100A及び第2水洗大便器100Bのいずれかの水洗大便器100を製造する際、排出部104A,104Bの形状に関わらず、第1便器本体102A及び第2便器本体102Bのそれぞれの内側上方の形状S102,S102を画定可能な共通の上型110を用いることができると共に、第1便器本体102A及び第2便器本体102Bのそれぞれの内側下方の形状S103,S103を画定可能な共通の下型112を用いることができる。
さらに、第1便器本体102A及び第2便器本体102Bのそれぞれの外側側面の形状S101,S104についてそれぞれ画定可能な第1側型106A,108A及び第2側型106B,108Bを含む複数の側型106,108の中から、製造すべき第1便器本体102A又は第2便器本体102Bにおける排出部104A又は104Bの形状に応じて特有の側型106A,108A又は106B,108Bを選択して用いることができる。
したがって、水洗大便器100の製造時において、製造すべき水洗大便器100の便器本体102の排出部104の形状に関わらず上型110及び下型112を共通化して、排出部104の形状に応じて特有の側型106,108のみを取り替えるだけで、製造コストを抑制しつつ、様々な排出部104の形状にも対応することができる。よって、様々な排出部104の形状に応じた複数種類の形状の水洗大便器100を製造することができる。
【0050】
なお、上述した本発明の第2実施形態による便器製造方法においては、「上型110」及び「下型112」の互いの上下関係については、便宜上、完成品の水洗大便器100が設置された状態の上下関係と対応するように定義している。
したがって、便器製造工程によっては、「上型110」及び「下型112」の互いの上下関係が工程の途中で入れ替わる場合でも適用可能である。
【0051】
つぎに、
図19を参照して、本発明の第3実施形態による便器製造方法について説明する。
図19は、本発明の第3実施形態の便器製造方法により製造される第1水洗大便器、及び、この第1水洗大便器の製造に使用される成形型を示す斜視図である。
図19に示すように、本発明の第3実施形態の便器製造方法においては、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法と同様に、製造すべき水洗大便器200の便器本体202の下方に形成される排出部(図示せず)のみの形状が異なる複数種類の水洗大便器200を製造可能である点で共通する。
しかしながら、本発明の第3実施形態の便器製造方法においては、水洗大便器200の便器本体202の胴部216及びリム部218が成型工程において別々に形成された後、互いに接着される点について、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法の成型工程において便器本体2A,2Bの胴部16A,16B及びリム部18A,18Bが互いに一体に形成されている点と異なっている。
【0052】
具体的には、
図19に示すように、本実施形態の便器製造方法においては、製造すべき水洗大便器200の便器本体202の胴部216及びリム部218のそれぞれについて、成型工程で形成するために、排出部204のみの形状が異なる複数種類の水洗大便器200に対して共通の成形型として、胴部用左側型206、胴部用右側型208、胴部用上型210、リム部用上型214a、及びリム部用下型214bをそれぞれ準備する。
また、これらの共通の成形型206,208,210,214a,214bの準備工程と並行して、排出部204の形状が異なる複数種類の水洗大便器200のそれぞれに対応する複数の便器本体202のそれぞれの内側下方の形状についてそれぞれ画定可能な複数種類の下型の中から、製造すべき便器本体202の胴部216における排出部(図示せず)の形状に応じて水洗大便器200専用に選択した特有の胴部用下型212を準備する。
そして、成型工程において、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法の成型工程と同様に、胴部216については、すべての成形型206,208,210,212によって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき便器本体202の胴部216が形成される。
ここで、
図19に示すように、形成された胴部216については、排出部(図示せず)の形状の種類に関わらず、共通の胴部用側型206,208及び胴部用上型210が用いられるため、胴部216の外側側面の形状S201及び内側上方の形状S202については、排出部(図示せず)の形状の種類に関わらず同一形状となる。
一方、
図19に示すように、胴部216の内側下方の形状S203については、製造すべき便器本体202の胴部216における排出部(図示せず)の形状に応じて水洗大便器200専用に選択した特有の胴部用下型212が用いて形成されているため、選択した特有の排出部(図示せず)の形状に応じたものとなる。
なお、排出部(図示せず)の形状を他の形状の排出部に変更する場合には、この他の形状の排出部(図示せず)に応じて、他の水洗大便器200専用に選択した他の特有の胴部用下型を用いればよい。
【0053】
また、成型工程において、胴部216の形成と並行して、リム部218についても、成形型214a,214bによって囲まれた空間に泥しょうを流し込むことにより、製造すべき便器本体202のリム部218が形成される。
ここで、形成されたリム部218については、胴部216の排出部(図示せず)の形状の種類に関わらず、共通の成形型214a,214bが用いられているため、同一形状S204のリム部218となる。
【0054】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法と同様に、脱型工程において、胴部216の各成形型206,208,210,212を脱型すると共に、リム部218の各成形型214a,214bを脱型した後、接着工程において、胴部216とリム部218とを接着させる。
その後の乾燥工程及び焼成工程については、上述した本発明の第1実施形態による便器製造方法と同様である。
【0055】
ちなみに、本実施形態による便器製造方法においては、胴部216の排出部(図示せず)については、その出口が下方に差し向けられている、いわゆる、「床排水」の形態の水洗大便器の排出部として説明している。
しかしながら、本実施形態による便器製造方法においては、本発明の第2実施形態による便器製造方法でも説明したように、いわゆる、「壁排水」の形態や「床上排水」の形態の水洗大便器を製造する方法にも適用可能である。この方法の場合には、排出部(図示せず)の形状に応じて水洗大便器200専用に選択した特有の一対の胴部用側型を用いると共に、胴部用の上型及び下型については、排出部(図示せず)の形状に関わらず共通の型を用いればよい。
【0056】
上述した本発明の第3実施形態による便器製造方法によれば、胴部216とリム部218とが互いに別体に形成される便器本体202の水洗大便器200を製造する際にも、水洗大便器200の便器本体202の胴部216の排出部(図示せず)の形状に関わらず、共通の成形型として、胴部用左側型206、胴部用右側型208、胴部用上型210、リム部用上型214a、及びリム部用下型214bをそれぞれ準備し、排出部(図示せず)の形状に応じて特有の胴部用下型212のみを取り替えるだけで、製造コストを抑制しつつ、様々な排出部(図示せず)の形状にも対応することができる。よって、様々な排出部(図示せず)の形状に応じた複数種類の形状の水洗大便器200を製造することができる。
また、製造すべき水洗大便器200の便器本体202の胴部216の排出部(図示せず)の形状を変更したとしても、水洗大便器200の外観の意匠性にも影響し易い便器本体202の外側側面の形状S201及び内側上方の形状S202のそれぞれを画定する胴部用側型206,208及び胴部用上型10、並びに、リム部218の形状を画定するリム部用上型214a及びリム部用下型214bのそれぞれについては、胴部216の排出部(図示せず)の形状に関わらず共通化しており、水洗大便器200の外観の意匠性にも影響し難い便器本体202の胴部216の内側下方の形状S203を画定する特有の胴部用下型212のみについて取り替えることになるため、排出部(図示せず)の形状が互いに異なる複数種類の水洗大便器200の異なる形状同士の間で完成品の外観の意匠性が低下することはない。
【0057】
また、上述した本発明の第3実施形態による便器製造方法によれば、成型工程で便器本体202の胴部216及びリム部218を別々に形成した後、互いに接着して便器本体202全体を形成することができるため、胴部216又はリム部218のいずれか一方を変更するだけで、様々な胴部216又はリム部218の形状に応じた様々な種類の水洗大便器を製造することもできる。
【0058】
なお、上述した本発明の第3実施形態による便器製造方法においては、「胴部用上型210」及び「胴部用下型212」の互いの上下関係、並びに、「リム部用上型214a」及び「リム部用下型214b」の互いの上下関係については、便宜上、完成品の水洗大便器200が設置された状態の上下関係と対応するように定義している。
したがって、便器製造工程によっては、「胴部用上型210」及び「胴部用下型212」の互いの上下関係が工程の途中で入れ替わる場合や、「リム部用上型214a」及び「リム部用下型214b」の互いの上下関係が工程の途中で入れ替わる場合でも適用可能である。