(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記操作規制機構は、上記流調操作部により流量調整を行う際の通常の操作とは異なる操作により上記移動規制が解除されるように構成され、上記移動規制の解除により上記流調操作部が上記止水エリアに移動又は回動可能となる請求項1記載の水栓装置。
上記操作規制機構は、上記移動規制を解除する解除操作部を有し、この解除操作部を操作することで上記移動規制が解除されるように構成されている請求項2記載の水栓装置。
上記操作規制機構は、上記流調操作部が上記止水エリアから上記流量調整エリアに移動又は回動される際には、その移動又は回動を規制しないように構成されている請求項3記載の水栓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような水栓装置は、例えば、使用者が水栓装置の操作方法を知らない場合、その使用後に、流量調整と吐止水を一つの弁で行う従来の所謂「シングルレバー水栓」を操作するように流調操作部を回動操作し、流量調整弁を止水状態にしてしまうと、次の使用時に吐水を行おうとして吐水操作(吐水口付近に手指をかざす等)をしても吐水が為されないという不都合が生じ、使用者の使い勝手が悪かった。
【0006】
また、清掃等の際に流量調整弁を止水状態で使用した後に、流調操作部を止水される位置から所定量の吐水が為される位置に戻すことを使用者が忘れてしまった場合にも、流量調整弁が止水状態のままになり、次の使用時に吐水を行おうとして吐水操作をしても吐水が為されないという不都合が生じ、使用者の使い勝手が悪かった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、使用後に流量調整弁が止水状態とされ、次に使用する使用者が吐水操作を行っても吐水が行われないという不具合を回避することができ、使用者の使い勝手のよい水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明は、吐水される湯水の流量を調整可能な水栓装置であって、供給された湯水を吐出させる吐水口が設けられた水栓装置本体と、吐水口に湯水を導く給水流路と、この給水流路に設けられた吐止水弁と、この吐止水弁を開弁及び閉弁させるための吐止水操作手段と、吐止水弁の上流側又は下流側の給水流路に設けられ、通過する湯水の流量を調整すると共に、流量を止水状態まで絞ることが可能な流量調整弁と、使用者の操作に基づいて、流量調整弁が流量調整状態となる流量調整エリアと、流量調整弁が止水状態となる止水エリアの間で移動又は回動可能な流調操作部と、この流調操作部が流量調整エリアから止水エリアに移動又は回動される際に、その移動又は回動を一時停止させるように移動規制する操作規制機構と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された本発明においては、使用者の操作に基づいて、流量調整弁が流量調整状態となる流量調整エリアから流量調整弁が止水状態となる止水エリアに移動又は回動可能な流調操作部と、この流調操作部が流量調整エリアから止水エリアに移動又は回動される際に、それを一時停止させる操作規制機構を備えている。このため、使用者が水栓装置の操作方法を知らない場合に、流調操作部を誤って止水エリアに移動させてしまい、次の使用時に吐水を行おうとして吐止水操作手段を操作しても吐水が為されないという不都合を解消することができる。
【0010】
また、流調操作部は、流量調整エリアから止水エリアに移動する際に、使用者による操作が一時停止するように移動規制されるため、使い方を認識している使用者には、流量調整弁を止水状態まで絞ったことを意識させることができる。このため、流量調整弁を止水状態で使用した後に、流調操作部を止水エリアから流量調整エリアに戻すのを忘れないようにさせることができる。
【0011】
これにより、使用後に流量調整弁が止水状態とされ、次に使用する使用者が吐止水操作手段を操作しても吐水が行われないという不具合を回避することができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、操作規制機構は、流調操作部により流量調整を行う際の通常の操作とは異なる操作により移動規制が解除されるように構成され、移動規制の解除により流調操作部が上記止水エリアに移動可能となる。
【0013】
このように構成された本発明においては、操作規制機構は、流調操作部により流量調整を行う際の通常の操作とは異なる操作により移動規制が解除されるように構成され、移動規制の解除により流調操作部が止水エリアに移動可能となる。このため、流調操作部により流量調整を行う際の通常の操作とは異なる操作で移動規制を解除しようと考えている使用者しか移動規制を解除して流調操作部を止水エリアに移動させることができない。したがって、使用者が水栓装置の操作方法を知らない場合に、移動規制を誤って解除して流調操作部を止水エリアに移動させてしまうことを抑制することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、操作規制機構は、移動規制を解除する解除操作部を有し、この解除操作部を操作することで移動規制が解除されるように構成されている。
このように構成された本発明においては、操作規制機構は、移動規制を解除する解除操作部を有し、この解除操作部を操作することで移動規制が解除されるように構成されているので、使用者が水栓装置の操作方法を認識しており、且つ、移動規制を解除する意図のある場合にのみが流調操作部を止水エリアに移動させることができ、使用者が水栓装置の操作方法を知らない場合に、移動規制を誤って解除して流調操作部を止水エリアに移動させてしまうことをさらに抑制することができる。
【0015】
また、流調操作部は、流量調整エリアから止水エリアに移動する際に、使用者による解除操作部の操作で移動規制が解除されるため、使い方を認識している使用者には、流量調整弁を止水状態まで絞ったことを意識させることができる。このため、流量調整弁を止水状態で使用した後に、流調操作部を止水エリアから流量調整エリアに戻すのを忘れないようにさせることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、操作規制機構は、流調操作部が止水エリアから流量調整エリアに移動又は回動される際には、その移動又は回動を規制しないように構成されている。
【0017】
このように構成された本発明においては、操作規制機構は、流調操作部が止水エリアから流量調整エリアに移動又は回動される際には、その移動又は回動を規制しないように構成されているので、使用者は、流調操作部を止水エリアから流量調整エリアへ戻す際には、その移動又は回動を通常の操作でスムーズに行うことができ、使い勝手がよい。また、流調操作部が一時停止することによる負荷を減らすことができるため、流調操作部の耐久性を向上させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、流調操作部は、使用者に回動操作されるレバーハンドルであり、解除操作部は、レバーハンドルの裏面に設けられている。
このように構成された本発明においては、流調操作部は、使用者に回動操作されるレバーハンドルであり、解除操作部は、レバーハンドルの裏面に設けられているので、解除操作部は、使用者から視認しにくく、使用者が水栓装置の操作方法を知らない場合に、移動規制を誤って解除して流調操作部を止水エリアに移動させてしまうことを抑制することができる。
【0019】
また、流調操作部に解除操作部が設けられているので、流調操作部を止水エリアに移動させたい使用者にとって、移動規制の解除をして流調操作部を止水エリアに移動させやすく、使い勝手がよい。
【0020】
本発明において、好ましくは、さらに、流調操作部が止水エリアにあることを使用者に認知させる認知手段を有し、この認知手段は解除操作部に設けられている。
このように構成された本発明においては、流調操作部が止水エリアにあることを使用者に認知させる認知手段を有し、この認知手段は解除操作部に設けられているので、使用者は、流調操作部が止水エリアにあることを容易に認識することができる。また、認知手段を別体に設けず、解除操作部と兼用することができ、簡単な構成にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の水栓装置によれば、使用後に流量調整弁が止水状態とされ、次に使用する使用者が吐止水操作手段を操作しても吐水が行われないという不具合を回避することができ、使用者の使い勝手のよい水栓装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による水栓装置について説明する。
まず、
図1乃至
図3により、本発明の第1実施形態による水栓装置を備えた洗面化粧台について説明する。
【0024】
図1に示すように、洗面化粧台1は、ボウル2と、このボウル2の上方に配置された本発明の第1実施形態による水栓装置4と、ボウル2の下方に設けられ、ボウル2を支持する下部キャビネット6と、水栓装置4の上方に配置された上部キャビネット8と、を有する。
【0025】
ボウル2は、水栓装置4の吐水口22から吐出された湯水を受けるように配置された概ね矩形のボウルであり、その底面に排水口(図示せず)が設けられている。
【0026】
水栓装置4は、ボウル2から立ち上がった壁面10に取り付けられており、その下面からボウル2へ向けて湯水を吐出する吐水口22が形成されている。水栓装置4の詳細な機能、構造については後述する。
【0027】
下部キャビネット6は、ボウル2の下方に配置され、ボウル2を支持するキャビネットであり、2段の引き出しが設けられている。また、下部キャビネット6の内部には、水道水の吐水、停止を切り換える電磁弁等の機器が収納されている。下部キャビネット6に収納されている機器の詳細については後述する。
上部キャビネット8は、水栓装置4よりも上方の壁面10に設けられた薄型のキャビネットであり、その前面には、鏡が取り付けられている。
【0028】
次に、
図2及び
図3を参照して、洗面化粧台1に備えられている水栓装置4の基本構造を説明する。
図2に示すように、水栓装置4には、棚部12と、吐水部14と、人体検知センサ16と、操作ハンドル20と、が備えられている。
【0029】
棚部12は、壁面10から前方に突出した直方体状に形成され、その上面が平面状に形成されており、小物を置くことができる。そのため、例えば、洗顔の際などに、使用者が眼鏡や化粧品等の小物を置く、いわゆる「ちょい置き動作」を、棚部12の上面を使って行うことができ、使用者の使い勝手がよい。
【0030】
吐水部14は、棚部12の下面に配置されている。この吐水部14は、水栓装置本体であり、洗面、手洗い等に使用する湯水をボウル2に向けて吐出する吐水口22が形成されている。
【0031】
人体検知センサ16は、棚部12の前端部下面に設けられており、手指等の被検知物の、吐水部14への接近を検知するように構成され、吐水部14は、吐水口22の下方にある被検知物の有無に基づいた自動吐水を行うことができる。本第1実施形態においては、人体検知センサ16は、赤外線式のセンサであり、吐水部14に接近した手指等により反射された赤外線を検出して、手指等の接近を検知するように構成されている。接近センサとしては、赤外線式の他、マイクロ波式等、任意の非接触タイプのセンサを使用することができる。本第1実施形態においては、人体検知センサ16が吐止水操作手段として機能する。
【0032】
操作ハンドル20は、棚部12の下面から下方に向けて突出しているレバーハンドルである。操作ハンドル20は、棚部12に内蔵された流調・温調バルブ24に連結されている。操作ハンドル20は、流調操作部であり、前後方向に回動操作することにより吐水部14から吐出される湯水の流量が調整できると共に、流量を止水まで絞ることができる。
また、操作ハンドル20は、左右方向に回動操作することにより湯水の温度を調整することができる。
なお、操作ハンドル20は、流量を止水まで絞る際に操作ハンドル20の回動が移動規制されるようになっている。操作ハンドル20の詳細構造については、後述する。
【0033】
次に、
図3を参照して、本発明の第1実施形態による洗面化粧台1における給水流路を説明する。
図3に示すように、給水源(図示せず)から吐水部14の吐水口22までの給水流路には、給水管26a、給湯管26b、止水栓28a、止水栓28b、水用電磁弁30a、湯用電磁弁30b、流調・温調バルブ24が設けられている。
【0034】
具体的には、給水流路の給水系統には、上流側から順に、給水源から水道水を供給する給水管26aと、水道水を遮断するための止水栓28aと、水道水の、吐水部14からの吐出、停止を切り換える水用電磁弁30aと、が設けられている。同様に、給水流路の給湯系統には、上流側から順に、給水源である湯沸かし器(図示せず)等からの湯を供給する給湯管26bと、湯を遮断するための止水栓28bと、湯の、吐水部14からの吐出、停止を切り換える湯用電磁弁30bと、が設けられている。なお、本第1実施形態において、水用電磁弁30a及び湯用電磁弁30bが吐止水弁として機能する。
【0035】
これらの給水系統及び給湯系統を通って夫々供給された水及び湯は、流調・温調バルブ24を通過し、吐水部14の吐水口22から吐出される。
したがって、本第1実施形態においては、給水流路に設けられた水用電磁弁30a又は湯用電磁弁30bと、流調・温調バルブ24とを通って、湯水が給水源から吐水口22へ通水される。
【0036】
上記のように、流調・温調バルブ24は、操作ハンドル20に連結された所謂「シングルレバー水栓」である。この流調・温調バルブ24は、操作ハンドル20の操作により、給水系統及び給湯系統を通って供給された湯及び水を所定の割合で混合させることができる。また、流調・温調バルブ24は、流量調整弁であり、操作ハンドル20の操作により、混合された湯水の流量を調整することができると共に、流量を止水状態まで絞ることができる。これによって、流調・温調バルブ24が止水状態まで絞られていると、水用電磁弁30a又は湯用電磁弁30bが開弁していても、水道水が吐水口22から吐出されない。
【0037】
水用電磁弁30a及び湯用電磁弁30bは、コントローラー32によって、開弁、閉弁が制御されるように構成されている。また、コントローラー32には人体検知センサ16が接続され、人体検知センサ16が検知した被検知物の有無に基づいて、水用電磁弁30a及び湯用電磁弁30bが開閉制御される。
【0038】
なお、本第1実施形態においては、コントローラー32は、マイクロプロセッサ、メモリ、インターフェイス回路、電磁弁の駆動回路、及びこれらを作動させるソフトウェア等(以上、図示せず)により構成されている。また、コントローラー32は、AC電源(図示せず)から供給される電力により作動される。
【0039】
次に、
図4及び
図5を新たに参照して、本発明の第1実施形態の操作ハンドル20による流調・温調バルブ24の流調・温調の詳細について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態における流調・温調バルブに接続された操作ハンドルの側面図である。
図5は、本発明の第1実施形態における流調・温調バルブに接続された操作ハンドルの正面図である。
【0040】
図4及び
図5に示すように、流調・温調バルブ24は、バルブケース34と、バルブレバー36とを有する。また、バルブレバー36には操作ハンドル20が取り付けられている。
バルブケース34は概ね円筒状のケースであり、このバルブケースの内部には、固定弁体(図示せず)と、この固定弁体の上を摺動する可動弁体(図示せず)とが配置されている。流調・温調バルブ24は、可動弁体を固定弁体に対して摺動させることにより、供給された湯及び水の混合比、及び流出させる湯水の流量を調整することができる、所謂シングルレバーバルブである。
【0041】
バルブレバー36は、バルブケース34から前方へ突出するように配置された棒状部材であり、バルブレバー36を回動させることにより内蔵された可動弁体(図示せず)を摺動させることができる。また、バルブレバー36は、操作ハンドル20と接続されており、操作ハンドル20の動きに連動して可動弁体を摺動させ、流出する湯水の温度及び流量を調整することができる。
【0042】
操作ハンドル20は、下方に屈曲した逆L字状の部材であり、短辺部と、短辺部の先端から下方に延びるように形成された板状の長辺部とから構成される。短辺部の後端には流調・温調バルブ24のバルブレバー36が接続されている。
【0043】
図4に示すように、操作ハンドル20は、使用者の操作により、
図4の紙面に垂直な方向に延びる操作軸線A1を中心に上下方向に回動可能であり、この操作により吐出される湯水の流量を調整することができる。即ち、操作ハンドル20が
図4に示す位置にある状態では、吐出される湯水の流量は最少であり、この位置から操作ハンドル20を前方に回動させる(操作ハンドル20の先端を上方に上げる)ことにより流量が増加し、流量調整を行うことができる。また、
図4に示す状態から、操作ハンドル20を僅かに後方に回動させる(操作ハンドル20の先端を下方に下げる)と止水される。このように、操作ハンドル20は、
図4に示す位置よりも上方の流量調整エリアR2、及び
図4に示す位置よりも下方の止水エリアR1の間で回動することができる。
【0044】
具体的には、操作ハンドル20は、
図4に示す位置から上方に向かって最大で13度まで、下方に向かって最大10度まで回動可能となっている。このように、
図4に示す位置から下方に10度の範囲が止水エリアR1であり、このエリアでは流調・温調バルブ24が止水状態となる。また、
図4に示す位置から上方に13度までの範囲内が流量調整エリアR2であり、流調・温調バルブ24が流量調整状態となり、
図4に示す位置から上方に向かっての回動角度が大きい程、吐出される湯水の流量を大きく設定できる。
【0045】
一方、
図5に示すように、操作ハンドル20は、
図5の紙面に垂直な方向の操作軸線A2を中心に左右方向に所定の範囲内で回動操作可能となっており、この回動角度に応じて吐水口22から吐水される湯水の温度を調節することができる。
【0046】
具体的には、操作ハンドル20は、操作軸線A2を中心に左右方向に100度の範囲で回動させることができ、右方向へ回動させることにより吐水口22から吐出される湯水の温度が低温になり、左方向へ回動させることにより吐水口22から吐出される湯水の温度が高温になる。
【0047】
次に、
図4を参照して、操作ハンドル20の回動の移動規制を説明する。この操作ハンドル20の移動規制は、操作ハンドル20に設けられた操作規制機構40により実現される。
図4に示すように、操作規制機構40は、操作ハンドル20の短辺部の下面に配置されている。また、操作規制機構40は、操作ハンドル20の長辺部によって、前方に位置する使用者から見えない。この操作規制機構40は、基部42と、押圧部44と、ストッパー46から構成される。
【0048】
基部42は、操作ハンドル20の短辺部の下面から下方に突出した円柱状の部材である。
押圧部44は、基部42の周方向及び下方を覆う筒状部材である。この基部42と押圧部44との間には、押圧部44を基部42の軸方向に付勢するバネ(図示せず)が設けられており、押圧部44は、使用者からの押圧により基部42の軸方向に移動し、使用者からの押圧がなくなるとバネの付勢で元の位置に戻る。
【0049】
ストッパー46は、押圧部44の外周面から後方に向けて突出して形成された突起である。このストッパー46は、使用者が押圧部44を押圧すると、押圧部44と共に基部42の軸方向に移動する。
【0050】
一方、バルブケース34にはストッパー受け38が設けられている。このストッパー受け38は、バルブケース34の前端面に取り付けられる凹状のリング状部分38aと、このリング状部分38aから操作規制機構40に向けて延びる突起部38bから構成されている。また、このストッパー受け38は、操作ハンドル20の左右方向の回動に合わせて回動するようになっている。このため、ストッパー受け38の突起部38bは、常に操作規制機構40のストッパー46と対向する位置にある。
【0051】
このため、吐出流量を低下させるために操作ハンドル20を後方に回動させる(操作ハンドル20の先端を下方に下げる)と、
図4に示す一時停止位置で、操作規制機構40のストッパー46とストッパー受け38の突起部38bが当接し、それ以上操作ハンドル20を下方に回動させることができなくなる。即ち、流量調整エリアR2と止水エリアR1の境界となる一時停止位置(
図4に示す位置)に操作ハンドル20があるとき、ストッパー46と突起部38bの先端が当接するようになっている。その結果、操作ハンドル20が流量調整エリアR2から止水エリアR1に回動する際に、一時停止位置において、操作ハンドル20はその回動が一時停止されるように移動規制される。
【0052】
操作ハンドル20を流量調整エリアR2から止水エリアR1に回動させる際は、操作規制機構40の押圧部44を押圧しながら、操作ハンドル20を後方へ回動させる。押圧部44が押圧されて基部42の軸方向にスライドすると、ストッパー46も押圧部44と共に基部42の軸方向にスライドするため、ストッパー46はストッパー受け38の突起部38bと当接しなくなる。その結果、操作ハンドル20を、
図4に示す一時停止位置を越え、
図4に想像線で示すように止水エリアR1まで回動させることが可能になる。本第1実施形態において、押圧部44は解除操作部として機能する。
【0053】
このように、操作ハンドル20は、流量調整を行う通常の操作とは異なる操作(押圧部44を押圧する操作)を行わなければ、止水エリアR1に回動させることができない。これにより、使用者が水栓装置の操作方法を知らない場合に、流調操作部を誤って止水エリアR1に移動させてしまうことを抑制することができる。
【0054】
操作ハンドル20が止水エリアR1内にある状態では、ストッパー46は突起部38bの上面と係合しており、押圧部44は基部42の軸方向に押し込まれたままとなっている。操作ハンドル20を止水エリアR1から流量調整エリアR2に移動させると、ストッパー46と突起部38bの係合が自動的に外れ、押圧部44はバネ(図示せず)の付勢力により元の位置に戻る。この結果、止水エリアR1から流量調整エリアR2に移動させる際には、操作ハンドル20は、
図4に示す一時停止位置において一時停止されることなく、流量調整エリアR2にスムーズに回動することができる。つまり、操作ハンドル20を止水エリアR1から流量調整エリアR2に戻す際には、使用者は、その回動を通常の操作でスムーズに行うことができ、使い勝手がよい。
【0055】
また、一時停止位置を越えて流量調整エリアR2内に操作ハンドル20が回動すると、押圧部44はバネにより元の位置に戻るので、それに合わせてストッパー46も元の位置に戻る。このため、次に使用者が操作ハンドル20を流量調整エリアR2から止水エリアR1に回動させる際には、ストッパー46と突起部38bの先端が当接し、一時停止位置において操作ハンドル20の回動が移動規制される。
【0056】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による水栓装置4における作用について説明する。
まず、本発明の第1実施形態による水栓装置4によれば、使用者の操作に基づいて、流調・温調バルブ24が流量調整状態となる流量調整エリアR2から流調・温調バルブ24が止水状態となる止水エリアR1に回動可能な操作ハンドル20と、この操作ハンドル20が流量調整エリアR2から止水エリアR1に回動される際に、それを一時停止させる操作規制機構40を備えている。このため、使用者が水栓装置4の操作方法を知らない場合に、操作ハンドル20を誤って止水エリアR1に移動させてしまい、次の使用時に吐水を行おうとして人体検知センサ16に使用者の手指等を検知させても吐水が為されないという不都合を解消することができる。
【0057】
また、操作ハンドル20は、流量調整エリアR2から止水エリアR1に移動する際に、使用者による操作が一時停止するように移動規制されるため、使い方を認識している使用者には、流調・温調バルブ24を止水状態まで絞ったことを意識させることができる。このため、流調・温調バルブ24を止水状態で使用した後に、操作ハンドル20を止水エリアR1から流量調整エリアR2に戻すのを忘れないようにさせることができる。
【0058】
これにより、使用後に流調・温調バルブ24が止水状態とされ、次に使用する使用者が人体検知センサ16に使用者の手指等を検知させても吐水が行われないという不具合を回避することができ、使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0059】
また、本発明の第1実施形態による水栓装置4によれば、操作規制機構40は、操作ハンドル20により流量調整を行う際の通常の操作とは異なる操作により移動規制が解除されるように構成され、移動規制の解除により操作ハンドル20が止水エリアR1に移動可能となる。このため、操作ハンドル20により流量調整を行う際の通常の操作とは異なる操作で移動規制を解除しようと考えている使用者しか移動規制を解除して操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させることができない。したがって、使用者が水栓装置4の操作方法を知らない場合に、移動規制を誤って解除して操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させてしまうことを抑制することができる。
【0060】
また、本発明の第1実施形態による水栓装置4によれば、操作規制機構40は、移動規制を解除する押圧部44を有し、この押圧部44を操作することで移動規制が解除されるように構成されているので、使用者が水栓装置4の操作方法を認識しており、且つ、移動規制を解除する意図のある場合にのみが操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させることができ、使用者が水栓装置4の操作方法を知らない場合に、移動規制を誤って解除して操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させてしまうことをさらに抑制することができる。
【0061】
また、操作ハンドル20は、流量調整エリアR2から止水エリアR1に移動する際に、使用者による押圧部44の操作で移動規制が解除されるため、使い方を認識している使用者には、流調・温調バルブ24を止水状態まで絞ったことを意識させることができる。このため、流調・温調バルブ24を止水状態で使用した後に、操作ハンドル20を止水エリアR1から流量調整エリアR2に戻すのを忘れないようにさせることができる。
【0062】
また、本発明の第1実施形態による水栓装置4によれば、操作規制機構40は、操作ハンドル20が止水エリアR1から流量調整エリアR2に回動される際には、その回動を規制しないように構成されているので、使用者は、操作ハンドル20を止水エリアR1から流量調整エリアR2へ戻す際には、その回動を通常の操作でスムーズに行うことができ、使い勝手がよい。
また、操作ハンドル20が一時停止することによる負荷を減らすことができるため、操作ハンドル20の耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、本発明の第1実施形態による水栓装置4によれば、操作ハンドル20は、使用者に回動操作されるレバーハンドルであり、押圧部44は、レバーハンドルの裏面に設けられているので、押圧部44は、使用者から視認しにくく、使用者が水栓装置4の操作方法を知らない場合に、移動規制を誤って解除して操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させてしまうことを抑制することができる。
【0064】
また、操作ハンドル20に押圧部44が設けられているので、操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させたい使用者にとって、移動規制の解除をして操作ハンドル20を止水エリアR1に移動させやすく、使い勝手がよい。
【0065】
次に、
図6により、本発明の第2実施形態を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態における操作ハンドルの側面図である。この第2実施形態において、上述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
【0066】
図6に示すように、本発明の第2実施形態による水栓装置には、操作ハンドル50が備えられており、操作ハンドル50には、その移動を規制する操作規制機構52と、解除操作部である操作ボタン56が設けられている。
【0067】
操作規制機構52は、操作ハンドル50の短辺部の下面に配置されている。この操作規制機構52は、基部53と、移動部材54と、ストッパー46から構成される。移動部材54は、基部53の周方向を覆う筒状部材である。この基部53と移動部材54との間には、移動部材54を基部53の軸方向に付勢するバネ(図示せず)が設けられている。ストッパー46は、移動部材54から後方に向けて突出して形成された突起である。このストッパー46は、流量調整エリアR2と止水エリアR1の境界である、
図6に示す一時停止位置に操作ハンドル50が位置する際に、ストッパー受け38の突起部38bと当接し、操作ハンドル50の回動を規制するようになっている。
【0068】
操作ボタン56は、円柱状のボタンであり、操作ハンドル50の前面に配置されている。この操作ボタン56は、その前面が棚部12に覆われておらず、使用者から常時見える位置にある。操作ボタン56は、一旦押圧されると、
図6に実線で示す位置から、想像線で示す位置に突出するように構成されている。また、操作ボタン56は操作ハンドル50の内部でリンク機構(図示せず)により移動部材54と連結されている。これにより、操作ボタン56が操作され、
図6に想像線で示す位置に突出されると、それに連動して移動部材54がスライドし、ストッパー46も
図6に想像線で示す位置へスライドする。これにより、ストッパー46は、ストッパー受け38の突起部38bと当接しない位置へ移動し、操作ハンドル50は止水エリアR1へ回動可能な状態となる。即ち、操作ハンドル50の移動規制が解除される。
【0069】
また、操作ボタン56は、その外周面の後端が赤色で着色された着色面56aになっている。
図6に実線で示す操作ボタン56が押し込まれた状態(この状態では止水エリアR1へ回動が規制されている)では、この着色面56aは操作ハンドル50の中に引っ込み、見えなくなっている。また、操作ボタン56が操作され、
図6に想像線で示す位置に突出した状態(この状態では止水エリアR1へ回動が可能になっている)では、着色面56aが操作ハンドル20の内部から前方に進出して露出する。
【0070】
したがって、操作ボタン56が押され、移動規制が解除されたことを着色面が露出しているか否かで確認することができる。このように、操作ボタン56の着色面56aは、操作ハンドル50が止水エリアにあることを認知させる認知手段として機能する。
【0071】
これにより、使用者は、操作ハンドル50が止水エリアR1にあることを容易に認識することができる。また、認知手段である着色面56aを特別に設けることなく、解除操作部である操作ボタン56と兼用することができ、簡単な構成にすることができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した第1、第2実施形態においては、本発明の水栓装置を洗面化粧台に適用していたが、台所用、浴室用の水栓装置等、任意の装置に本発明の水栓装置を適用することができる。
【0073】
また、上述した本発明の第1実施形態においては、吐止水弁である水用電磁弁30a及び湯用電磁弁30bの下流側に流量調整弁である流調・温調バルブ24が設けられていたが、流量調整弁の下流側に吐止水弁が接続された水栓装置に本発明を適用することもできる。
【0074】
さらに、上述した第1実施形態では本発明が自動水栓に適用され、吐止水弁である水用電磁弁30a及び湯用電磁弁30bは、吐止水操作手段である人体検知センサ16が使用者の手指等を検知したとき開弁されていた。しかしながら、使用者が手動で吐止水弁を操作する手動の水栓装置に本発明を適用することもできる。この場合には、使用者が吐止水弁を開閉操作するためのボタンや、レバー、ツマミ等が吐止水操作手段として機能する。
【0075】
また、上述した第1実施形態では、流調操作部である操作ハンドル20は回動可能に構成され、止水エリアR1と流量調整エリアR2は所定の角度範囲で分割されていたが、並進移動可能なツマミ等により流調操作部を構成することもできる。この場合には、止水エリアR1と流量調整エリアR2は所定の並進移動範囲で分割される。
【0076】
さらに、上述した第2実施形態では、操作ハンドル50が止水エリアにあることを認知させる認知手段が、操作ボタン56に設けた着色面56aにより構成されていたが、他の構成により認知手段を構成することができる。例えば、流調操作部が止水エリアにある場合に点灯する警告用のランプや、音又は音声を発するスピーカにより認知手段を構成することもできる。
【0077】
また、上述した第1実施形態では、操作ハンドル20が一時停止位置に位置する状態では、操作規制機構40のストッパー46とストッパー受け38の突起部38bが当接し、操作ハンドル20を止水エリアR1に回動させることができない状態にされていた。しかしながら、他の構成により流調操作部を一時停止させても良い。例えば、流調操作部を止水エリアR1から流量調整エリアR2に移動又は回動させるとき、非常に大きな操作力が必要となるように操作規制機構を構成しておき、これにより流調操作部を一時停止させることもできる。