(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
A.実施例:
A−1:複合機200の構成
次に、実施の形態を実施例に基づき説明する。
図1は、画像処理装置の一例である複合機200の構成を示すブロック図である。複合機200は、画像処理装置を制御するプロセッサであるCPU210と、DRAMなどの揮発性記憶装置220と、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置230と、液晶ディスプレイなどの表示部240と、液晶ディスプレイと重畳されたタッチパネルやボタンを含む操作部250と、ユーザの端末装置100などの外部装置と通信を行うためのインタフェース(通信IF)270と、印刷実行部280と、読取実行部290と、を備えている。
【0020】
読取実行部290は、CPU210の制御に従って、一次元イメージセンサを用いて原稿を光学的に読み取ることによってスキャンデータを生成する。印刷実行部280は、CPU210の制御に従って、複数種類のトナー、具体的には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)のトナーを、色材として用いて、レーザ方式で用紙などの印刷媒体に画像を印刷する。具体的には、印刷実行部280は、感光ドラムを露光して静電潜像を形成し、該静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。印刷実行部280は、感光ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写する。なお、変形例では、印刷実行部280は、色材としてのインクを吐出して、用紙上に画像を形成するインクジェット方式の印刷実行部であっても良い。
【0021】
揮発性記憶装置220は、CPU210が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域を提供する。不揮発性記憶装置230には、コンピュータプログラムPGが格納されている。コンピュータプログラムPGは、CPU210に複合機200の制御を実現させる制御プログラムである。本実施例では、コンピュータプログラムPGは、複合機200の製造時に、不揮発性記憶装置230に予め格納される形態で提供される。これに代えて、コンピュータプログラムPGは、サーバからダウンロードされる形態で提供されても良く、DVD−ROMなどに格納される形態で提供されてもよい。CPU210は、コンピュータプログラムPGを実行することにより、後述する画像処理を実行することができる。
【0022】
A−2:画像処理
図2は、画像処理のフローチャートである。この画像処理は、例えば、ユーザが、読取実行部290の原稿台に、原稿を載置して、コピーの実行指示を入力した場合に実行される。この画像処理は、原稿を、読取実行部290を用いて読み取ることによって生成されるスキャンデータを取得し、該スキャンデータを用いて、原稿を示す印刷データを生成することで、いわゆる原稿のコピーを実現する処理である。
【0023】
S10では、CPU210は、ユーザが原稿台に設置した原稿を、読取実行部290を用いて読み取ることによって、対象画像データとしてのスキャンデータを生成する。原稿は、例えば、複合機200、あるいは、図示しないプリンタによって画像が印刷された印刷物である。生成されたスキャンデータは、揮発性記憶装置220(
図1)のバッファ領域に格納される。スキャンデータは、複数個の画素の値を含み、複数個の画素の値のそれぞれは、画素の色をRGB表色系の色値(RGB値とも呼ぶ)で表す。すなわち、スキャンデータは、RGB画像データである。1個の画素のRGB値は、例えば、赤色(R)と緑色(G)と青色(B)との3個の色成分の値(以下、R値、G値、B値とも呼ぶ)を含んでいる。本実施例では、各成分値の階調数は、256階調である。
【0024】
RGB画像データであるスキャンデータは、RGB表色系を構成する3個の色成分に対応する3個の成分画像データ(R成分画像データ、G成分画像データ、B成分画像データ)を含んでいると言うことができる。各成分画像データは、1種類の色成分の値を、画素の値とする画像データである。
【0025】
図3は、画像処理で用いられる画像の一例を示す第1の図である。
図3(A)には、スキャンデータによって示されるスキャン画像SIの一例が示されている。スキャン画像SIは、複数個の画素を含む。該複数個の画素は、第1方向D1と、第1方向D1と直交する第2方向D2と、に沿って、マトリクス状に配置されている。
【0026】
図3(A)のスキャン画像SIは、原稿の用紙の地色を示す白色の背景Bg1と、3個の文字とは異なるオブジェクトOb1〜Ob3と、4個の文字Ob4〜Ob7と、4個の文字Ob4〜Ob7の背景Bg2と、を含んでいる。文字とは異なるオブジェクトは、例えば、写真や描画である。背景Bg2は、白色とは異なる色を有する均一な画像である。
【0027】
S20では、CPU210は、スキャンデータに対して、画素分類処理を実行する。画素分類処理は、スキャン画像SI内の複数個の画素を、エッジを構成する複数個のエッジ画素と、エッジを構成しない複数個の非エッジ画素と、に分類する処理である。
【0028】
画素分類処理によって、例えば、エッジ画素の値が「1」とされ、非エッジ画素の値が「0」とされた二値画像データが生成される。
図3(B)には、二値画像データによって示される二値画像BIの一例が示されている。この二値画像BIには、スキャン画像SI内のオブジェクトOb1〜Ob7のエッジEg1〜Eg7を構成する複数個のエッジ画素と、背景Bg1と背景Bg2との境界のエッジEg8を構成する複数個のエッジ画素と、が特定されている。このように、エッジは、例えば、主として文字のエッジを含む。また、エッジは、文字とは異なるオブジェクト(例えば、描画や写真)に含まれる細線などのエッジを含む。二値画像データは、画素分類処理による分類結果を示すデータであるので、分類データとも呼ぶ。画素分類処理の詳細は、後述する。
【0029】
S30では、CPU210は、スキャンデータに対して、網点平滑化処理を実行して、平滑化画像を示す平滑化画像データを生成する。具体的には、CPU210は、スキャンデータに含まれる複数個の非エッジ画素の値のそれぞれに対して、ガウスフィルタなどの平滑化フィルタを用いた平滑化処理を実行して、平滑化処理済みの複数個の非エッジ画素の値を算出する。平滑化処理の対象となる非エッジ画素は、S20の分類処理によって生成された分類データを参照して特定される。CPU210は、スキャンデータに含まれる複数個のエッジ画素の値と、平滑化処理済みの複数個の非エッジ画素の値と、を含む平滑化画像データを生成する。
【0030】
図3(C)には、平滑化画像データによって示される平滑化画像GIが示されている。平滑化画像GIは、白色の背景Bg1gと、スキャン画像SI内のオブジェクトOb1〜Ob7、背景Bg2が平滑化されたオブジェクトOb1g〜Ob7g、背景Bg2gを含んでいる。これらのオブジェクトOb1g〜Ob7g、背景Bg2gのエッジ以外の部分(非エッジ部分とも呼ぶ)は、スキャン画像SI内のオブジェクトOb1〜Ob7、背景Bg2と比較して、平滑化されている。
【0031】
S40では、CPU210は、平滑化画像データに対して、エッジ鮮鋭化処理を実行して、処理済み画像データを生成する。具体的には、CPU210は、平滑化画像データに含まれる複数個のエッジ画素の値のそれぞれに対して、アンシャープマスク処理や、鮮鋭化フィルタを適用する処理などの鮮鋭化処理を実行して、鮮鋭化処理済みの複数個のエッジ画素の値を算出する。鮮鋭化処理の対象となるエッジ画素は、S20の分類処理によって生成された分類データを参照して特定される。CPU210は、平滑化画像データに含まれる複数個の非エッジ画素の値(平滑化処理済みの複数個の非エッジ画素の値)と、鮮鋭化処理済みの複数個のエッジ画素の値と、を含む処理済み画像データを生成する。平滑化画像データに含まれる複数個のエッジ画素の値は、平滑化処理の対象ではないので、スキャンデータに含まれる複数個のエッジ画素の値と同じである。したがって、本ステップのエッジ鮮鋭化処理は、スキャンデータに含まれる複数個のエッジ画素の値に対して実行される、とも言うことができる。
【0032】
図3(D)には、処理済み画像データによって示される処理済み画像FIが示されている。処理済み画像FIは、白色の背景Bg1fと、スキャン画像SI内のオブジェクトOb1〜Ob7、背景Bg2に対応するオブジェクトOb1f〜Ob7f、背景Bg2fを含んでいる。これらのオブジェクトOb1f〜Ob7f、背景Bg2fのエッジは、スキャン画像SI内のオブジェクトOb1〜Ob7、背景Bg2のエッジや、平滑化画像GI内のオブジェクトOb1g〜Ob7g、背景Bg2gのエッジと比較して、鮮鋭化されている、すなわち、シャープになっている。
【0033】
以上の説明から解るように、処理済み画像FI内のオブジェクトOb1f〜Ob7f、背景Bg2fは、鮮鋭化されたエッジと、平滑化された非エッジ部分を含む。
【0034】
S50では、CPU210は、処理済み画像データを用いて印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行する。具体的には、RGB画像データである処理済み画像データに対して色変換処理が実行されて、印刷に用いられる色材に対応する色成分(C、M、Y、Kの成分)を有する色値であるCMYK値で画素ごとの色を示すCMYK画像データが生成される。色変換処理は、例えば、公知のルックアップテーブルを参照して実行される。CMYK値画像データに対して、ハーフトーン処理が実行されて、印刷に用いられる色材ごと、かつ、画素ごとに、ドットの形成状態を示すドットデータが生成される。ドットの形成状態は、例えば、ドット有、ドット無の2種類の状態や、大ドット、中ドット、小ドット、ドット無の4種類の状態を取り得る。ハーフトーン処理は、例えば、ディザ法や、誤差拡散法に従って実行される。該ドットデータは、印刷時に用いられる順に並べ替えられ、該ドットデータに、印刷コマンドが付加されることによって、印刷データが生成される。
【0035】
S60では、CPU210は、印刷処理を実行して、画像処理を終了する。具体的には、CPU210は、印刷データを印刷実行部280に供給して、印刷実行部280に処理済み画像を印刷させる。
【0036】
以上説明した画像処理によれば、スキャンデータのうち、特定済みの複数個のエッジ画素の値に対して第1の画像処理(具体的には、エッジ鮮鋭化処理)が実行され(S40)、複数個の非エッジ画素の値に対して第1の画像処理とは異なる第2の画像処理(具体的には、網点平滑化処理)が実行され(S30)、処理済み画像データが生成される。この結果、エッジ画素の値と、エッジ画素とは異なる画素の値と、に対して、互いに異なる画像処理が実行されるので、スキャンデータに対する適切な画像処理を実現できる。なお、変形例では、S40のエッジ鮮鋭化処理が先に実行され、その後に、S30の網点平滑化処理が実行されても良い。
【0037】
より具体的には、鮮鋭化処理済みの複数個のエッジ画素の値と、平滑化処理済みの複数個の非エッジ画素の値と、を含む処理済み画像データが生成される(S30、S40)。この結果、見栄えの良い処理済み画像FIを示す処理済み画像データを生成することができる。
【0038】
例えば、
図3(D)の処理済み画像FIに示すように、処理済み画像データでは、オブジェクトなどのエッジを構成するエッジ画素の値には、鮮鋭化処理済みの値が用いられている。この結果、処理済み画像FIのエッジがシャープに見えるので、例えば、印刷される処理済み画像FIの見栄えを向上することができる。
【0039】
また、処理済み画像データでは、処理済み画像FI内の背景Bg2などの均一な部分や、オブジェクトのエッジとは異なる部分を構成する非エッジ画素の値には、平滑化処理済みの値が用いられている。この結果、処理済み画像FIのエッジとは異なる部分に、例えば、モアレの原因となる網点が表れることを抑制できるので、印刷される処理済み画像FIにモアレなどの不具合が発生することを抑制できる。この結果、印刷される処理済み画像FIの見栄えを向上することができる。
【0040】
例えば、スキャンデータの生成に用いられた原稿は、画像が印刷された印刷物である。このため、例えば、原稿内の白とは異なる色を有する背景Bg2などの均一な部分は、画像を形成するドットレベルでみると、網点を形成している。網点は、複数個のドットと、ドットが配置されていない部分(原稿の地色を示す部分)と、を含む。このために、スキャン画像SI内の背景Bg2を示す領域には、画素レベルでみると、網点が示されている。網点内のドットは、原稿の印刷時に用いられるディザマトリクスなどの影響によって、周期性を持って並んでいる。このためにスキャンデータを用いて印刷を行うと、ハーフトーン処理前の元画像(スキャン画像SI)内に存在している網点のドットの周期成分と、印刷画像を構成する網点のドットの周期成分と、が干渉して、モアレが表れやすい。本実施例の処理済み画像FIでは、平滑化処理によって、元画像(スキャン画像SI)内のエッジとは異なる部分のドットの周期成分が低減される。この結果、処理済み画像データを用いて、処理済み画像FIを印刷する場合に、例えば、印刷される処理済み画像FIにモアレが発生することを抑制できる。
【0041】
特に、上記画像処理では、処理済み画像データを用いて、印刷データが生成される(S50)ので、例えば、印刷される処理済み画像FIに発生しやすいモアレを抑制可能な適切な印刷データを生成することができる。
【0042】
A−3:画素分類処理
図2のS20の画素分類処理について説明する。S22では、CPU210は、対象画像データを用いて、第1の二値画像データ生成処理を実行して、第1の二値画像データを生成する。第1の二値画像データは、エッジ画素と非エッジ画素とを示す二値データである。ここで、第1の二値画像データによって示されるエッジ画素を第1のエッジ画素とも呼び、第1の二値画像データによって示される非エッジ画素を第1の非エッジ画素とも呼ぶ。第1の二値画像データ生成処理の詳細は、後述する。
【0043】
S24では、CPU210は、対象画像データを用いて、第2の二値画像データ生成処理を実行して、第2の二値画像データを生成する。第2の二値画像データは、第1の二値画像データと同様に、エッジ画素と非エッジ画素とを示す二値データである。第2の二値画像データは、第1の二値画像データとは異なる処理によって生成され、第1の二値画像データとは異なるデータである。ここで、第2の二値画像データによって示されるエッジ画素を第2のエッジ画素とも呼び、第2の二値画像データによって示される非エッジ画素を第2の非エッジ画素とも呼ぶ。第2の二値画像データ生成処理の詳細は、後述する。
【0044】
S26では、CPU210は、S22にて生成された第1の二値画像データと、S24にて生成された第2の二値画像データと、を合成する合成処理を実行して、最終的に特定されるエッジ画素と非エッジ画素とを示す二値画像データ(分類データ)を生成する。具体的には、CPU210は、第1の二値画像データと、第2の二値画像データと、の各画素の論理和を取ることによって、分類データとしての二値画像データを生成する。換言すれば、CPU210は、第1の二値画像データによって特定される複数個の第1のエッジ画素と、第2の二値画像データによって特定される複数個の第2のエッジ画素と、を含む画素群であって、第1のエッジ画素とも第2のエッジ画素とも異なる画素を含まない画素群を、最終的に、複数個のエッジ画素として特定する。この結果、スキャン画像SI内のエッジ画素の特定漏れを効果的に低減できる。
【0045】
A−4:第1の二値画像データ生成処理
図2のS22の第1の二値画像データ生成処理について説明する。
図4は、第1の二値画像データ生成処理のフローチャートである。S100では、CPU210は、対象画像データに含まれる3個の成分画像データ、すなわち、R成分画像データ、G成分画像データ、B成分画像データのそれぞれに対して、平滑化処理を実行する。これによって、3個の平滑化済みの成分画像データ、すなわち、平滑化済みのR成分画像データ、平滑化済みのG成分画像データ、平滑化済みのB成分画像データが生成される。
【0046】
平滑化処理は、処理対象の成分画像データによって示される成分画像を平滑化する処理である。本実施例の平滑化処理は、処理対象の成分画像データの各画素の値に対して、所定の平滑化フィルタを適用して、平滑化済みの各画素の値を算出する処理である。
図5は、平滑化フィルタの一例を示す図である。本実施例では、平滑化フィルタとして、
図5(A)のガウスフィルタGFaが用いられる。ガウスフィルタGFaは、縦7画素×横7画素の49個の画素のそれぞれに対応する係数を規定している。すなわち、ガウスフィルタGFaには、中央の注目画素TPに対応する1個の係数と、注目画素TPに対して上下左右に隣接する4個の画素を含む48個の周辺画素に対応する係数と、が規定されている。CPU210は、処理対象の成分画像データにおける注目画素TPと周辺画素とを含むフィルタ範囲内の49個の画素の値に、それぞれ、ガウスフィルタGFaに規定される対応する係数を乗じて、49個の修正値を算出する。CPU210は、該49個の修正値の和を、平滑化済みの注目画素の値として算出する。
【0047】
S110では、3個の平滑化済みの成分画像データのそれぞれに対して、エッジ強調処理を実行して、3個のエッジ強調済みの成分画像データ、すなわち、エッジ強調済みのR成分画像データ、エッジ強調済みのG成分画像データ、エッジ強調済みのB成分画像データを生成する。
【0048】
図6は、エッジ強調処理のフローチャートである。ここでは、平滑化済みのR成分画像データが処理対象であるとして説明する。平滑化済みのG成分画像データおよび平滑化済みのB成分画像データに対しても同様の処理が行われる。
【0049】
S200では、CPU210は、エッジ強調済みのR成分画像データを生成するためのキャンバスデータをメモリ(具体的には、揮発性記憶装置220のバッファ領域)に準備する。キャンバスデータによって示されるキャンバス(初期画像)は、スキャン画像SIと同じサイズの画像、すなわち、同じ画素数の画像である。キャンバスデータの各画素の値は、所定の初期値(例えば、0)である。
【0050】
S205では、CPU210は、平滑化済みのR成分画像データによって示される平滑化済みのR成分画像内の複数個の画素から1個の注目画素を選択する。
【0051】
S210では、CPU210は、注目画素に対応するマスク値MVを算出する。マスク値MVは、注目画素の値TVと、注目画素に対して上下左右に隣接する4個の画素を含む所定個数の周辺画素の値と、を用いて、注目画素の値TVを平滑化する処理によって算出される。このために、マスク値MVを、平滑値とも呼ぶ。具体的には、注目画素を中心とする縦10画素×横10画素の矩形の範囲内の100個の画素の値の平均値が、注目画素に対応するマスク値MVとして算出される。
【0052】
S220では、CPU210は、注目画素の値TVと、注目画素に対応するマスク値MVと、の差分ΔVを算出する(ΔV=(TV−MV))。
【0053】
S230では、CPU210は、差分ΔVは、基準以上であるか否かを判断する。具体的には、差分ΔVが、予め定められた閾値TH以上であるか否かが判断される。閾値THは、成分値が、0〜255の範囲の256階調の値である場合に、例えば、20〜30程度の値である。
【0054】
差分ΔVが基準以上である場合には(S230:YES)、S240にて、CPU210は、注目画素の値TVと、注目画素に対応する差分ΔVと、の和(TV+ΔV)を、処理済みの値として算出する。差分ΔVが基準未満である場合には(S230:NO)、CPU210は、S240をスキップする。
【0055】
S245では、CPU210は、注目画素の値を、S200にて準備されたキャンバスデータに記録する。S240が実行された場合には、S240にて算出された注目画素の値TVと、注目画素に対応する差分ΔVと、の和が、処理済みの値としてキャンバスデータに記録される。S240がスキップされた場合には、平滑化済みのR成分画像データの注目画素の値が、そのまま、キャンバスデータに記録される。
【0056】
S250では、CPU210は、R成分画像内の全ての画素を注目画素として処理したか否かを判断する。未処理の画素がある場合には(S250:NO)、CPU210は、S205に戻って、未処理の画素を注目画素として選択する。全ての画素が処理された場合には(S250:YES)、CPU210は、エッジ強調処理を終了する。この時点でエッジ強調済みのR成分画像データが生成されている。
【0057】
図7は、平滑化済みのR成分画像データと、エッジ強調済みのR成分画像データと、の説明図である。
図7(A)には、
図4のS100の平滑化処理前のR成分画像データを概念的に示すグラフが図示されている。
図7(B)、
図7(C)には、それぞれ、平滑化処理済みのR成分画像データ、および、エッジ強調済みのR成分画像データを概念的に示すグラフが図示されている。各グラフのうち、左側の部分には、網点を示す網点領域が概念的に示され、右側の部分には、文字などのオブジェクトのエッジを示すエッジ領域が概念的に示されている。各グラフの縦軸は、R成分の値を示し、横軸は、所定の方向(例えば、
図3の第1方向D1)の位置を示す。
【0058】
平滑化処理前のR成分画像データには、例えば、網点領域において、複数個の網点と、該網点間の複数個の隙間と、に対応する複数個の谷部C1〜C3と、複数個の山部P1、P2と、が現れる(
図7(A))。このような谷部C1〜C3と、複数個の山部P1、P2と、の間のR成分の値の差が大きいまま残存していると、後述するS150の二値化処理において、該R成分の値の差に起因して、網点を示すエッジ画素が特定されやすい。網点領域は、画素レベルの視点(網点を認識できる程度のミクロの視点)でみれば、網点を含むが、観察者の視点(網点を認識できない程度のマクロの視点)でみれば、均一な領域である。このため、本実施例では、網点領域内において、網点に起因するエッジ画素は、特定されるべきではない。網点領域は、
図2のS30で平滑化されることが好ましく、S40にて、鮮鋭化されるべきではないからである。仮に、網点のエッジが鮮鋭化されると、網点の周期性が目立つために、該画像を印刷する場合に、モアレが目立ちやすくなるからである。例えば、スキャン画像SI内の背景Bg2などの均一な部分や、オブジェクトのエッジとは異なる部分において、エッジ画素は、特定されるべきではない。
【0059】
平滑化済みのR成分画像データでは、平滑化処理によって、例えば、網点領域において、複数個の谷部C1a〜C3aと、複数個の山部P1a、P2aと、のR成分の値の差が、平滑化処理前のR成分画像データと比較して十分に小さくなっている(
図7(B))。
【0060】
ここで、本実施例のエッジ強調処理では、注目画素の値TVと、注目画素に対応するマスク値MVと、の差分ΔVと、が大きいほど、エッジ強調の効果が大きくなる。このために、
図7(B)の網点領域のように、比較的R成分の値の差が小さく平坦になっている領域では、エッジ強調の効果が小さくなる。また、本実施例のエッジ強調処理では、差分ΔVが基準未満である場合には、エッジ強調が行われずに、平滑化済みのR成分画像データの画素の値がそのまま採用される(
図6のS230)。この結果、エッジ強調済みのR成分画像データでは、エッジ強調処理が行われたにも関わらずに、例えば、網点領域において、複数個の谷部C1b〜C3bと、複数個の山部P1b、P2bと、のR成分の値の差は、平滑化処理済みのR成分画像データと比較して大きくなってはいない(
図7(C))。すなわち、平滑化済みのR成分画像データと同様に、エッジ強調済みのR成分画像データでは、複数個の谷部C1b〜C3bと、複数個の山部P1b、P2bと、のR成分の値の差が、平滑化処理前のR成分画像データ(
図7(A))と比較して十分に小さくなっている(
図7(C))。
【0061】
平滑化処理前のR成分画像データには、例えば、文字などのオブジェクトのエッジを示すエッジ領域において、該エッジに対応してR成分の値が急激に変化する変動部E1が現れる(
図7(A))。このような変動部E1において、値の変化が大きいほど、後述するS150の二値化処理において、該R成分の値の差に起因して、オブジェクトのエッジを示すエッジ画素が特定されやすい。
【0062】
平滑化済みのR成分画像データでは、平滑化処理によって、例えば、エッジ領域において、変動部E1aにおける値の変化が、平滑化処理前のR成分画像データと比較して小さくなっている(緩やかになっている)(
図7(B))。
【0063】
しかしながら、文字などのオブジェクトのエッジに対応する変動部E1aにおける値の変化は、網点領域における値の変化よりは十分に大きいので、エッジ強調処理によって、再度、急激な変化に戻される。この結果、エッジ強調済みのR成分画像データでは、エッジ領域において、変動部E1bのR成分の値の変化は、平滑化処理済みのR成分画像データと比較して大きくなっている(
図7(C))。このため、エッジ強調済みのR成分画像データでは、エッジ領域において、変動部E1bにおける値の変化が、平滑化処理前のR成分画像データと比較して、同程度、もしくは、急激になっている(
図7(C))。
【0064】
以上の説明から解るように、本実施例では、各成分画像データに対して、平滑化処理(S100)と、エッジ強調処理(S110)とを、この順序で実行するので、網点のエッジを示すエッジ画素が特定されることを抑制することができ、かつ、文字などのオブジェクトのエッジを示すエッジ画素が特定されることを促進することができる。この結果、スキャン画像SI内の複数個のエッジ画素を適切に特定することができる。
【0065】
R、G、Bの3個の色成分に対応する3個の強調処理済みの成分画像データが生成されると、
図4の120では、該3個の強調処理済みの成分画像データを用いて、輝度画像データを生成する。輝度画像データは、該3個の強調処理済みの成分画像データによって示される強調済画像内の複数個の画素の輝度を示すデータである。具体的には、CPU210は、該3個の強調処理済みの成分画像データから取得される各画素のR値、G値、B値を用いて、各画素の輝度Yを算出する。輝度Yは、例えば、上記3成分の加重平均であり、具体的には、Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式を用いて算出できる。輝度画像データは、1種類の成分値(輝度を示す値)で構成される単成分画像データの一例である。
【0066】
S130では、CPU210は、生成された輝度画像データに対して、当該輝度画像データによって示される輝度画像内のエッジを抽出するエッジ抽出処理を実行して、エッジ抽出データを生成する。具体的には、CPU210は、輝度画像データの各画素の値に、いわゆるソーベルフィルタ(Sobel filter)を適用して、エッジ強度Seを算出する。CPU210は、これらのエッジ強度Seを、複数個の画素の値とするエッジ抽出データを生成する。
【0067】
以下に、エッジ強度の算出式(1)を示す。式(1)の階調値P(x,y)は、輝度画像内の特定の画素位置(x,y)の階調値を表している。位置xは、第1方向D1の画素位置を示し、位置yは、第2方向D2の画素位置を示している。輝度画像内の画素位置(x,y)におけるエッジ強度Se(x,y)は、その画素位置(x,y)を中心とし隣り合う3行3列の9つの画素の値を用いて算出される。算出式の第1項および第2項は、9つの位置の画素の階調値に、対応する係数をそれぞれ乗じた値の和の絶対値である。第1項は、第1方向D1の階調値の微分(すなわち、横方向の微分)であり、第2項は、第2方向D2の階調値の微分(すなわち、縦方向の微分)である。算出されるエッジ強度Se(x,y)は、0〜255の範囲の256階調の値に正規化される。
【0069】
生成されるエッジ抽出データによって示されるエッジ抽出画像では、スキャン画像SIにおけるエッジに対応する位置、すなわち、
図3(B)の二値画像BIにおけるエッジEg1〜Eg8に対応する位置の画素の値が、他の位置の画素の値と比較して大きくなる。
【0070】
S140では、CPU210は、エッジ抽出データに対して、レベル補正処理を実行して、補正処理済みのエッジ抽出データを生成する。レベル補正処理は、エッジ抽出データの画素の値が取り得る階調値の範囲(本実施例では、0〜255の範囲)内の特定範囲を拡大する補正処理である。
【0071】
図8は、レベル補正処理のためのトーンカーブの一例を示す図である。具体的には、CPU210は、エッジ抽出データの各画素に対して、
図8のトーンカーブを適用する。この結果、閾値Vb(例えば、245)以上の値は、全て最大値(255)に変換されるとともに、閾値Va(例えば、10)以下の値は、全て最小値(0)に変換される。そして、閾値Vaより大きく、かつ、閾値Vb未満の範囲は、0から255の範囲に拡大される。
【0072】
S150では、CPU210は、補正処理済みのエッジ抽出データに対して、二値化処理を実行して、二値画像データを生成する。例えば、CPU210は、エッジ画像データにおいて、画素の値(すなわち、エッジ強度)が閾値(例えば、128)以上である画素を、エッジ画素に分類し、画素の値が閾値未満である画素を、非エッジ画素に分類する。二値画像データでは、上述したように、エッジ画素の値は、「1」とされ、非エッジ画素の値は、「0」とされる。
【0073】
S160では、CPU210は、二値画像データに対して、孤立したエッジ画素を除去するとともに、孤立した非エッジ画素を除去する孤立画素除去処理を実行して、孤立画素除去済みの二値画像データを生成する。
【0074】
図9は、孤立画素除去処理の説明図である。具体的には、CPU210は、二値画像データ内の複数個の画素を注目画素TPとして、該注目画素TPを中心とする所定の範囲内の画素の値が、
図9(A)〜(D)の左側に示す特定パターンを有するか否かを判断する。
図9(A)〜(D)おいて、値が「1」の画素は、エッジ画素であることを示し、値が「0」の画素は、非エッジ画素であることを示し、値が「any」の画素は、エッジ画素と非エッジ画素のいずれでも良いことを示す。
【0075】
図9(A)のパターンは、注目画素TPが非エッジ画素であり、注目画素TPに対して上下に隣接する2個の画素がエッジ画素であるパターンである。
図9(B)のパターンは、注目画素TPが非エッジ画素であり、注目画素TPに対して左右に隣接する2個の画素がエッジ画素であるパターンである。
図9(A)または
図9(B)のパターンを有する場合には、CPU210は、
図9(A)または
図9(B)の右側に示すように、注目画素TPを、非エッジ画素から、エッジ画素に変更する。
【0076】
図9(C)のパターンは、注目画素TPがエッジ画素であり、注目画素TPに対して上下左右に隣接する4個の画素が非エッジ画素であるパターンである。
図9(C)のパターンを有する場合には、CPU210は、
図9(C)の右側に示すように、注目画素TPを、エッジ画素から、非エッジ画素に変更する。
【0077】
図9(D)のパターンは、注目画素TPを中心とする縦3画素×横3画素の9画素の範囲の外側に隣接し、該9画素の範囲の周囲を囲む16個の画素の全てが非エッジ画素であるパターンである。
図9(D)のパターンを有する場合には、CPU210は、
図9(D)の右側に示すように、注目画素TPを中心とする縦3画素×横3画素の9画素の全てを、非エッジ画素に設定する。
【0078】
S160にて生成される孤立画素除去済みの二値画像データが、第1の二値画像データ生成処理にて生成される最終的な第1の二値画像データである。
【0079】
以上説明したように、複数個の成分画像データのそれぞれに対して、平滑化処理が実行され、複数個の平滑化済みの成分画像データが生成される(S100)。複数個の平滑化済みの成分画像データのそれぞれに対して、エッジ強調処理が実行され、複数個のエッジ強調済みの成分画像データが生成される(S110)。複数個のエッジ強調済みの成分画像データを用いて、1種類の成分値で構成される単成分画像データである輝度画像データが生成される(S120)。そして、該輝度画像データを用いて、スキャン画像SI内のエッジを構成する複数個のエッジ画素が特定される(S130〜S160、
図2のS26)。この結果、
図7を参照して説明したように、複数個の成分画像データのそれぞれに対して平滑化処理を実行することで、スキャン画像SI内に現れる網点の特徴を低減できる。さらに、
図7を参照して説明したように、複数個の平滑化済みの成分画像データのそれぞれに対して、エッジ強調処理を実行することで、平滑化処理によって平滑化されたスキャン画像SI内のエッジを適切に強調できる。この結果、網点に起因するエッジ画素が特定されることを抑制しつつ、スキャン画像SI内のエッジ画素の適切に特定できる。
【0080】
さらに、単成分画像データとして、輝度画像データが用いられるので、スキャン画像SI内の複数個のエッジ画素をより適切に特定できる。例えば、網点は、印刷に用いられるC、M、Yの原色を有することが多いが、このような複数種の原色間の差は、R、G、Bの各成分画像データにおいて比較的大きくなるが、輝度画像データでは、比較的小さくなる。このために、輝度画像データを用いることで、網点に起因するエッジ画素が特定されることを適切に抑制できる。また、文字の読みやすさのために、文字の色と背景の色とは、輝度に比較的大きな差があることが多い。このために、輝度画像データを用いることで、文字をはじめとするオブジェクトのエッジを示すエッジ画素を適切に特定できる。
【0081】
さらに、
図6のエッジ強調処理では、注目画素に対応するマスク値(平滑値とも呼ぶ)の算出(S210)と、注目画素の値TVと注目画素に対応するマスク値との差分ΔVの算出(S220)と、注目画素の値TVと対応する差分ΔVとの和(TV+ΔV)の算出(S240)と、を含むいわゆるアンシャープマスク処理が実行される。この結果、スキャン画像SIのエッジを適切に強調できるので、特定すべきエッジ画素の特定漏れを抑制できる。この結果、スキャン画像SI内のエッジ画素をより適切に特定できる。
【0082】
さらに、
図6のエッジ強調処理では、スキャン画像SI内の複数個の画素のうち、対応する差分ΔVが基準以上である画素については、処理済みの値として、上述の和(TV+ΔV)が算出されるが、該差分ΔVが基準未満である画素については、上述の和(TV+ΔV)が算出されない(S230、240)。そして、エッジ強調済みの成分画像データの画素の値として、差分ΔVが基準以上である画素については、上述の和(TV+ΔV)が記録され、差分ΔVが基準未満である画素については、元の値(平滑化済みの成分画像データの値)が記録される(S245)。
【0083】
換言すれば、CPU210は、平滑化済みの成分画像データのM個(Mは2以上の整数)の画素の値のうち、対応する差分ΔVが基準以上であるN1個(N1はM未満の整数)の画素の値に対応するN1個の処理済みの値(和(TV+ΔV))を算出する(S245)。そして、CPU210は、N1個の画素の値に対応する処理済みの値と、平滑化済みの成分画像データのM個の画素の値うち、対応する差分ΔVが基準未満であるN2個(N2は、N1+N2=Mを満たす整数)の画素の値と、を含む強調済みの成分画像データを生成する。この結果、
図7を参照して説明したように、スキャン画像SIの網点に起因する画素間の値の差が強調されることをさらに抑制できるので、網点に起因するエッジ画素の特定をさらに抑制できる。そして、文字などのオブジェクトのエッジについては適切に強調できる。したがって、スキャン画像SI像内のエッジ画素をさらに適切に特定できる。
【0084】
さらに、上述の第1の二値画像データ生成処理(
図4)では、エッジ抽出データに対して、レベル補正処理を実行して、補正処理済みのエッジ抽出データが生成され(S140)、補正処理済みのエッジ抽出データを二値化する処理を含むエッジ画素特定処理が実行される(S150、S160)。このように、二値化閾値を含む範囲(
図8の閾値Vaより大きく、かつ、閾値Vb未満の範囲)を拡大してから、二値化処理を行うので、二値化の精度を向上できる。したがって、スキャン画像SI内のエッジ画素の特定精度を向上できる。
【0085】
さらに、エッジ抽出データを二値化する処理(S150)の後に、S160にて、該二値化データに対して、孤立したエッジ画素を除去する処理(
図9(C)、(D))を含む孤立画素除去処理が実行される。換言すれば、S150にて、複数個のエッジ画素の候補となる複数個の候補画素が特定され、S160では、これらの複数個の候補画素から、孤立した候補画素を除去することで、最終的なエッジ画素が特定される。網点に起因するエッジ画素は、例えば、文字などのエッジとは異なり、孤立している可能性が高い。このために、仮に、S150にて生成される二値画像データにおいて、網点に起因するエッジ画素が特定されたとしても、孤立画素除去処理によって、該エッジ画素を適切に除去できる。したがって、スキャン画像SIのエッジ画素をさらに適切に特定することができる。
【0086】
さらに、上記実施例では、孤立画素除去処理は、孤立したエッジ画素を除去する処理に加えて、孤立した非エッジ画素を除去する処理(
図9(A)、(B))を含む。このために、文字などのエッジを構成する部分に、非エッジ画素が混在して、文字などのエッジが途切れることを抑制することができる。
【0087】
A−5:第2の二値画像データ生成処理
図2のS24の第2の二値画像データ生成処理について説明する。
図10は、第2の二値画像データ生成処理のフローチャートである。S300では、CPU210は、スキャンデータを用いて、最小成分データを生成する。具体的には、CPU210は、スキャンデータに含まれる複数個の画素の値(RGB値)のそれぞれから、最小成分値Vminを取得する。最小成分値Vminは、RGB値に含まれる複数個の成分値(R値、G値、B値)のうちの最小値である。CPU210は、これらの最小成分値Vminを複数個の画素の値とする画像データを、最小成分データとして生成する。最小成分データは、スキャン画像SIと同じサイズの画像を示す画像データである。最小成分データに含まれる複数個の画素の値のそれぞれは、スキャンデータの対応する画素の値(RGB値)の最小成分値Vminである。
【0088】
図11は、スキャンデータの最小成分値と最大成分値の説明図である。
図11(A)〜
図11(E)には、RGB値の一例として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、黒(K)、白(W)のRGB値が、棒グラフで図示されている。
図11に示すように、C、M、Y、K、WのRGB値(R、G、B)は、それぞれ、(0、255、255)、(255、0、255)(255、255、0)、(0、0、0)、(255、255、255)である。
【0089】
これらのRGB値の輝度Yは、上述したように、例えば、Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bの式を用いて算出できる。C、M、Y、K、Wの輝度(0〜255の値で表す)は、約186、113、226、0、255であり、それぞれに異なる値となる(
図11)。これに対して、C、M、Y、K、Wの最小成分値Vminは、
図11に示すように、0、0、0、0、255となり、白(W)を除いて同じ値となる。
【0090】
図12は、画像処理に用いられる画像の一例を示す第2の図である。
図12(A)は、スキャン画像SIのうち、上述した網点領域の拡大図である。例えば、
図12(A)の例では、スキャン画像SI内の網点領域は、複数個のMドットMDと、複数個のYドットYDと、を含んでいる。ここでは、説明のために、MドットMDを示す画像は、マゼンタの原色を有する均一な画像であり、YドットYDを示す画像は、イエロの原色を有する均一な画像であるとする。
【0091】
図12(B)には、最小成分データによって示される最小成分画像MNIの一例が示されている。この最小成分画像MNIは、
図12(A)のスキャン画像SIに対応している。最小成分画像MNIでは、スキャン画像SIのYドットMDに対応する領域MDb内の画素の値と、YドットYDに対応する領域YDb内の画素の値と、は互いに同じとなる。
図12(C)には、比較例として、各画素の輝度を示す輝度画像データによって示される輝度画像YIが示されている。この輝度画像YIは、
図12(A)のスキャン画像SIに対応している。輝度画像YIでは、最小成分画像MNIとは異なり、スキャン画像SIのMドットMDに対応する領域MDd内の画素の値と、YドットYDに対応する領域YDd内の画素の値と、は互いに異なる。
【0092】
以上の説明から解るように、最小成分画像MNIでは、スキャン画像SIにおいて、原稿内のC、M、Y、Kドットが形成された部分に対応する複数個の画素の値の間の差が、輝度画像YIよりも小さくなる。そして、最小成分画像MNIでは、スキャン画像SIにおいて、原稿内の地色(用紙の白色)を示す領域に対応する地色領域の画素の値が、ドットが形成された部分に対応する画素の値よりも大きくなる。
【0093】
S310では、CPU210は、生成された最小成分データに対して、該最小成分データによって示される最小成分画像MNIを平滑化する平滑化処理を実行して、平滑化済みの最小成分データを生成する。具体的には、CPU210は、最小成分データの各画素の値に、所定の平滑化フィルタ、本実施例では、
図5(B)に示すガウスフィルタGFbを適用することによって、平滑化済みの各画素の値を算出する。ガウスフィルタGFbは、縦5画素×横5画素の25個の画素のそれぞれに対応する係数を規定している。換言すれば、ガウスフィルタGFbには、注目画素TPに対応する1個の係数と、注目画素TPの上下左右に隣接する4個の画素を含む24個の周辺画素に対応する係数と、が規定されている。CPU210は、注目画素TPと周辺画素とを含むフィルタ範囲内の25個の画素の値に、それぞれ、ガウスフィルタGFbに規定される対応する係数を乗じて、25個の修正値を算出する。CPU210は、該25個の修正値の和を、平滑化済みの注目画素の値として算出する。
【0094】
S320では、CPU210は、平滑化済みの最小成分データに対して、当該平滑化済みの最小成分データによって示される平滑化済みの最小成分画像MNI内のエッジを抽出するエッジ抽出処理を実行して、エッジ抽出データを生成する。具体的には、CPU210は、平滑化済みの最小成分データの各画素の値に、
図4のS130の処理と同一のソーベルフィルタ(Sobel filter)を適用して、エッジ強度Seを算出する。CPU210は、これらのエッジ強度Seを、複数個の画素の値とするエッジ抽出データを生成する。
【0095】
S330では、CPU210は、エッジ抽出データに対して、レベル補正処理を実行して、補正処理済みのエッジ抽出データを生成する。レベル補正処理は、
図4のS140の処理と同一であり、エッジ抽出データの画素の値が取り得る階調値の範囲(本実施例では、0〜255の範囲)内の特定範囲を拡大する補正処理である。
【0096】
S340では、CPU210は、補正処理済みのエッジ抽出データに対して、
図4のS150の処理と同様の二値化処理を実行して、二値画像データを生成する。例えば、CPU210は、エッジ画像データにおいて、画素の値(すなわち、エッジ強度)が閾値(例えば、128)以上である画素を、エッジ画素に分類し、画素の値が閾値未満である画素を、非エッジ画素に分類する。二値画像データでは、上述したように、エッジ画素の値は、「1」とされ、非エッジ画素の値は、「0」とされる。
【0097】
S350では、CPU210は、二値画像データに対して、孤立したエッジ画素を除去するとともに、孤立した非エッジ画素を除去する孤立画素除去処理を実行して、孤立画素除去済みの二値画像データを生成する。孤立画素除去処理は、
図4のS160の処理と同一である。
【0098】
S350にて生成される孤立画素除去済みの二値画像データが、第2の二値画像データ生成処理にて生成される最終的な第2の二値画像データである。
【0099】
以上説明したように、スキャンデータに含まれる複数個の画素の値に対応する複数個の対応値を含む最小成分データが生成され(S300)、該最小成分データに対してエッジ抽出処理が実行され、エッジ抽出データが生成される(S320)。そして、該エッジ抽出データを二値化する処理(S340)を含むエッジ画素特定処理が実行することによって、スキャン画像SIの複数個のエッジ画素が特定される(S330〜S350、
図2のS26)。最小成分データでは、
図12を参照して説明したように、網点領域において、画素間の値の差を抑制できるので、その後に、エッジ画素を特定する際に、網点に起因するエッジ画素が特定されることを抑制できる。したがって、スキャン画像SI内のエッジ画素を適切に特定できる。
【0100】
より具体的に説明すると、網点領域を構成する要素は、C、M、Y、Kの各ドットと、用紙の地色(白)と、の5種類である。最小成分データでは、これらの要素のうち、4種類の要素を示す画素の間の値の差を抑制できる。この結果、最小成分データを用いる場合には、網点のエッジを示すエッジ画素が特定されることを抑制することができる。
【0101】
一方で、文字の色と背景の色とは、一方が、濃い色を有し、他方が薄い色を有する場合が多い。このために、文字と背景のうち、一方は、用紙の地色(白)を示す部分を比較的多く含み、他方は、C、M、Y、Kのドットを示す部分を比較的多く含む場合が多い。
図6に示すように、最小成分データでは、C、M、Y、Kのドットを示す部分の画素の値と、用紙の地色(白)を示す部分の画素の値と、の間で、大きな差がある。このために、最小成分データを用いて、エッジ画素を特定すると、文字のエッジを構成するエッジ画素は、適切に特定できる可能性が高い。特に、イエロ(Y)は、C、M、Kと比較して濃度が低い(輝度が高い)。このために、用紙の地色(白)の背景に、イエロの文字がある場合には、輝度画像データを二値化しても、該イエロの文字のエッジを構成するエッジ画素を、適切に特定できない場合がある。本実施例では、このような場合でも該イエロの文字のエッジを構成するエッジ画素を、適切に特定できる。このために、輝度画像データを用いたエッジ画素の特定に加えて、最小成分データを用いたエッジ画素の特定を実行することで、輝度画像データだけでは、特定できない文字などのエッジ画素を特定し得る。この結果、スキャン画像SI内のエッジ画素の特定精度を向上できる。
【0102】
さらに、最小成分データに対して、平滑化処理が実行され、平滑化済みの最小成分データが生成され、該平滑化済みの最小成分データに対して、エッジ抽出処理が実行される(S320)。この結果、平滑化処理によって、最小成分画像MNI内の網点領域おいて、画素間の値の差を、さらに抑制できる。例えば、スキャン画像SI内の網点領域において、C、M、Y、Kのドットの重なりや、読取実行部290での読取時のぼけなどによって、ドットを示す部分は、必ずしもC、M、Y、Kの原色を有している訳ではない。このために、最小成分画像MNI内では、C、M、Y、Kの各ドットを示す複数個の画素の間の値が、小さくなってはいるものの、ゼロではない。平滑化処理によって、該画素の間の値の差をさらに小さくすることができる。この結果、網点に起因するエッジ画素が特定されることを、さらに抑制できる。
【0103】
また、第2の二値画像データ生成処理においても、第1の二値画像データ生成処理と同様に、レベル補正処理(S330)が実行されるので、第1の二値画像データ生成処理と同様に、スキャン画像SI内のエッジ画素の特定精度を向上できる。また、第2の二値画像データ生成処理においても、第1の二値画像データ生成処理と同様に、孤立画素除去処理(S350)が実行されるので、第1の二値画像データ生成処理と同様に、スキャン画像SIのエッジ画素をさらに適切に特定することができる。
【0104】
以上説明したように、上記実施例では、2種類の単成分画像データ、すなわち、輝度画像データと、最小成分データと、を用いて、最終的にエッジ画素が特定される(
図2のS22〜S26)。このように互いに異なる処理を用いて生成される2種類の単成分画像データを用いて、スキャン画像SI内の複数個のエッジ画素が特定されるので、スキャン画像SI内の複数個のエッジ画素の特定漏れを抑制できる。これは、複数個の単成分画像データのそれぞれで、例えば、エッジを構成する部分の色に応じて、特定できるエッジ画素が異なり得るからである。
【0105】
具体的には、白の背景にイエロの文字がある場合には、白とイエロの輝度の差は比較的小さいので、輝度画像データを用いて、該文字のエッジを構成するエッジ画素を特定することは困難である。これに対して、
図11(C)、(E)から解るように、最小成分データでは、白とイエロとの差が大きく現れるので、白の背景にイエロの文字がある場合には、最小成分データを用いて、該文字のエッジを構成するエッジ画素を特定することは容易である。また、例えば、マゼンタの背景にイエロの文字がある場合には、最小成分データには、マゼンタとイエロとの差が現れないので、最小成分データを用いて、該文字のエッジを構成するエッジ画素を特定することは困難である。これに対して、マゼンタの背景にイエロの文字がある場合には、マゼンタとイエロの輝度の差は、比較的大きいので、輝度画像データを用いて、該文字のエッジを構成するエッジ画素を特定することは容易である。
【0106】
また、輝度画像データに加えて用いられる単成分画像データは、最小成分データであるので、上述の通り、スキャン画像SI内の網点に起因するエッジ画素が特定されることは、抑制できる。
【0108】
(1)上記実施例の
図2の画像処理において、S24の第2の二値画像データ生成処理およびS26の合成処理は省略されても良い。すなわち、第1の二値画像データ生成処理において特定される複数個のエッジ画素が、最終的な分類データであっても良い。
【0109】
(2)
図4の第1の二値画像データ生成処理において用いられる単成分画像データは、上記実施例では、輝度画像データである。これに代えて、スキャンデータの対応する画素のRGB値に含まれる3個の成分値(R値、G値、B値)の平均値を、各画素の値とする平均成分値画像データが用いられても良い。一般的に言えば、第1の二値画像データ生成処理において用いられる単成分画像データに含まれる複数個の画素の値のそれぞれは、スキャンデータの対応する画素のRGB値に含まれる3個の成分値を用いて生成されることが好ましい。
【0110】
(3)上記実施例の第2の二値画像データ生成処理(
図10)では、最小成分データが用いられる(S300)が、これに代えて、最大成分データや反転最小成分データが用いられても良い。
【0111】
最大成分データは、スキャンデータに含まれる複数個の画素に対応する複数個の値を含み、該複数個の値のそれぞれは、スキャンデータの対応する画素の最大成分値Vmaxである。最大成分値Vmaxは、スキャンデータの対応する画素のRGB値に含まれる複数個の成分値(R値、G値、B値)のうちの最大値である。
【0112】
反転最小成分データは、以下のように、取得される。先ず、スキャンデータに含まれる複数個の画素の値(RGB値)のそれぞれについて、複数個の成分値(R値、G値、B値)が反転された反転済みの色値が生成される。反転前のRGB値を(Rin、Gin、Bin)とすると、反転済みのRGB値(Rout、Gout、Bout)は、以下の式(2)〜(4)で表される。
【0113】
Rout=Rmax−Rin …(2)
Gout=Gmax−Gin …(3)
Bout=Bmax−Bin …(4)
【0114】
ここで、Rmax、Gmax、Bmaxは、それぞれ、R値、G値、B値が取り得る値の最大値であり、本実施例では、Rmax=Gmax=Bmax=255である。これらの反転済みのRGB値を複数個の画素の値とする画像データが、反転画像データとして生成される。そして、反転画像データを用いて、反転最小成分データが生成される。具体的には、反転画像データに含まれる複数個の反転済みのRGB値のそれぞれから、反転最小成分値VRminが取得される。反転最小成分値VRminは、該反転済みのRGB値に含まれる複数個の成分値(R値、G値、B値)のうちの最小値である。反転最小成分データは、これらの反転最小成分値VRminを、複数個の画素の値とする画像データである。
【0115】
反転最小成分値VRminは、最大成分値の反転値であり、VRmin=(255−Vmax)の関係が成り立つ。このために、最大成分データと反転最小成分データとは、両方とも、スキャンデータの各画素の値に含まれる複数個の成分値のうちの最大値に基づく値(最大値の反転値、あるいは、最大値そのもの)を、画素の値とする画像データである、と言うことができる。
【0116】
図11に示すように、C、M、Y、K、Wの最大成分値Vmaxは、255、255、255、0、255となり、黒(K)を除いて同じ値となる。したがって、最大成分データや反転最小成分データにおいては、網点領域を構成する5種類の要素、すなわち、C、M、Y、Kの各ドットと、用紙の地色(白)と、のうちの4種類の要素(C、M、Yのドットと、用紙の地色(白))を示す画素間の値の差が抑制される。この結果、最大成分データや反転最小成分データを用いる場合には、最小成分データを用いる場合と同様に、網点に起因するエッジ画素が特定されることを抑制できる。
【0117】
(4)第2の二値画像データ生成処理において、最小成分データに代えて、最大成分データとも反転最小成分データとも異なる単成分画像データが用いられても良い。例えば、RGB画像データであるスキャンデータを、CMYK画像データに変換し、該CMYK画像データの各画素の値を、各画素の濃度を示す値に変換した濃度画像データが、単成分画像データとして用いられても良い。該濃度画像データが用いられる場合には、例えば、第2の二値画像データ生成処理において、第1の二値画像データ生成処理と同様に、濃度画像データが生成される前のCMYK画像データの4個の成分画像データのそれぞれに対して、平滑化処理と、エッジ強調処理と、が実行されても良い。
【0118】
(5)
図4の第1の二値画像データ生成処理のS110のエッジ強調処理は、いわゆるアンシャープマスク処理が行われている。これに代えて、別のエッジ強調処理、例えば、エッジのコントラストを上げて輪郭をはっきりさせるシャープネス処理が用いられても良い。
【0119】
(6)
図6のエッジ強調処理において、S230は省略されて、差分ΔVに関わらずに、全ての注目画素について、S240の処理を行っても良い。この場合であっても、例えば、
図4のS100の平滑化処理にて、十分に網点が平滑化されていれば、エッジ強調処理において、網点のエッジが再度現れることはない。
【0120】
また、
図6のS210において、マスク値MVを算出に用いられる画素の個数は、上記実施例では、縦10画素×横10画素の矩形の範囲内の100個の画素の値が用いられているが、これに限られない。例えば、縦7画素×横7画素の範囲内の49個の画素の値が用いられても良いし、縦11画素×横11画素の範囲内の121個の画素の値が用いられても良い。
【0121】
(7)上記実施例では、スキャンデータの各画素の値は、RGB値であるが、他の表色系の色値であっても良い。例えば、スキャンデータの各画素の値は、C、M、Yの3個の成分値を含むCMY表色系の色値であっても良い。
【0122】
(8)上記各実施例では、エッジ画素に対して、エッジ鮮鋭化処理が実行され(
図2のS40)、非エッジ画素に対して、網点平滑化処理が実行される(
図2のS30)。これに代えて、エッジ画素に対しては、文字の見栄えを向上するためのアンチエイリアス処理が実行されても良い。また、非エッジ画素に対しては、例えば、印刷時の色材の使用量を減らすために、色を飛ばす処理(白に変換する処理)が実行されても良い。一般的には、エッジ画素と、エッジ画素と、に互いに異なる画像処理が実行されることが好ましい。あるいは、エッジ画素と非エッジ画素のいずれか一方に対して、特定の画像処理が実行され、他方に対して、該特定の画像処理が実行されなくても良い。
【0123】
(9)上記実施例では、
図4のS100の平滑化処理では、縦7画素×横7画素のフィルタ範囲のガウスフィルタGFaが用いられている。これに代えて、縦5画素×横5画素や、縦3画素×横3画素のフィルタ範囲のガウスフィルタや平均値フィルタが、用いられても良い。このように、平滑化処理で用いられる周辺画素の個数は、例えば、スキャンデータの解像度や、ぼけの程度などの読取特性などを考慮して、適宜に変更され得る。
図10のS310の平滑化処理についても同様である。
【0124】
(10)上記実施例では、
図4のS130や
図10のS320のエッジ抽出処理において、ソーベルフィルタ(Sobel filter)が用いられている。これに代えて、これらエッジ抽出処理では、ロバーツフィルタや、ラプラシアンフィルタなどの他のエッジ抽出フィルタが用いられても良い。
【0125】
(11)上記実施例では、対象画像データは、スキャンデータであるが、これに限られない。対象画像データは、2次元イメージセンサを備えるデジタルカメラによって印刷物を読み取ることによって生成されても良い。
【0126】
(12)上記実施例では、第1の二値画像データと、第2の二値画像データと、の論理和を取ることによって、最終的な分類データが生成される(
図2のS26)。これに代えて、例えば、第1の二値画像データと、第2の二値画像データと、の論理和を取った後に、論理和を取った後の二値画像データに対して、孤立画素除去処理を行って、孤立画素除去処理済みの二値画像データを、最終的な分類データとしても良い。この場合には、第1の二値画像データと、第2の二値画像データと、の生成処理において、孤立画素除去処理を行わなくても良い。
【0127】
(13)上記実施例では、第1の二値画像データと、第2の二値画像データと、の論理和を取ることによって、最終的な分類データが生成される(
図2のS26)。これに代えて、第1の二値画像データと、第2の二値画像データと、第3の二値画像データと、の論理和を取ることによって、最終的な分類データが生成されても良い。第3の二値画像データには、例えば、上述した最大成分データを用いて生成される二値画像データが用いられても良い。これによって、文字などのエッジの特定漏れをさらに抑制することができる。
【0128】
(14)上記実施例の第1の二値画像データ生成処理(
図4)や第2の二値画像データ生成処理(
図10)は、適宜に変更可能である。例えば、
図4のS140のレベル補正処理、S160の孤立画素除去処理のうちの一部または全部は、省略可能である。また、
図10のS310の平滑化処理、S330のレベル補正処理、S350の孤立画素除去そりのうちの一部または全部は、省略可能である。
【0129】
(15)
図2の画像処理を実現する画像処理装置は、複合機200に限らず、種々の装置であってよい。例えば、スキャナやデジタルカメラが、自身で生成された対象画像データを用いて、プリンタに供給するための印刷データを生成するために、
図2の画像処理を実行しても良い。また、例えば、スキャナやプリンタと通信可能な接続される端末装置(例えば、端末装置100)やサーバ(図示省略)が、スキャナから取得したスキャンデータを用いて、
図2の画像処理を実行して、印刷データを生成し、該印刷データをプリンタに供給しても良い。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数個のコンピュータ(例えば、クラウドサーバ)が、画像処理に要する機能を一部ずつ分担して、全体として、画像処理を実行してもよい。この場合、複数個のコンピュータの全体が、画像処理装置の例である。
【0130】
(16)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、
図4のS100の平滑化処理や、S110のエッジ強調処理は、ASICなどの専用のハードウェアによって、実行されても良い。
【0131】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。