(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記家畜情報管理部は、前記群体重分布の基となった家畜画像情報の撮像時期と前記給餌情報における給餌時期とが対応するように、前記群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて前記家畜管理情報を生成する、
請求項1に記載の畜産情報管理システム。
前記群体重推計部は、前記家畜画像情報に映る家畜の各個体を示す領域を識別し、この各個体の領域に応じた推定体重を算出し、当該推定体重から前記群体重分布を推計する
請求項1から4のいずれか一項に記載の畜産情報管理システム。
前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域から前記家畜における所定の部位を識別し、識別された部位の中に体重推計に用いるのに必要となる1又は複数の特定部位を含まない個体については、前記群体重分布の推計対象から除外する、
請求項5に記載の畜産情報管理システム。
前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域から前記家畜における所定の部位を識別し、識別された部位の中に体重推計に用いるのに必要となる1又は複数の特定部位を含む個体については、前記識別した個体の領域に前記家畜の外形として欠落部分がある場合に、当該欠落部分を補完して前記推定体重を算出する、
請求項5又は6に記載の畜産情報管理システム。
前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域の広さに相関する値が所定の閾値以上である個体については、前記識別した個体の領域に前記家畜の外形として欠落部分がある場合に、当該欠落部分を補完して前記推定体重を算出する、
請求項5又は6に記載の畜産情報管理システム。
前記家畜情報管理部は、前記群体重分布から異常個体を判定するための異常判定条件を有し、前記群体重推計部により推計された群体重分布が前記異常判定条件を満たした場合には、アラート情報を生成する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の畜産情報管理システム。
前記家畜情報管理部は、前記家畜画像情報取得部が前記家畜画像情報を正常に取得できなかった場合、又は前記給餌情報取得部が前記給餌情報を正常に取得できなかった場合には、アラート情報を生成する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の畜産情報管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、まず、休息エリア、複数の給餌エリアを区画し、境界箇所に撮影装置をそれぞれ設置する必要があり、スペースの確保や大掛かりな設備が必要となり、設備コストが設置台数に応じ増大するという問題がある。また、家畜を境界箇所に誘導するためには、飼養者による誘導作業や家畜への教育等が必要となり対応コストの増大を招き、飼養者及び家畜に対する負担も大きくなる。
【0006】
また、多数の家畜を少人数で飼養する場合には、給餌変更を実施するにも家畜をあるまとまとり(群)として管理していくほうが効率的であり、管理のためにはまとまりとしての体重状態である体重分布を把握するのが有効である。しかし、特許文献1に記載の技術では、境界箇所にて1頭ごとに体重を推定し、推定した体重に応じて給餌エリアの振り分けを行っており、飼養する家畜の頭数が多くなれば長い時間を要す、もしくは機器の多量設置によるコスト増体が生じるため、少人数大規模飼養農家における飼養管理には適さない。
【0007】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたもので、少人数大規模飼養農家においても、コストの増加を抑えつつ容易に家畜の体重及び給餌を管理することができる畜産情報管理システム、畜産情報管理サーバ、畜産情報管理方法、及び畜産情報管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本開示に係る畜産情報管理システムは、
管理群に属する複数の家畜を含む家畜画像情報を取得する家畜画像情報取得部と、前記
管理群に属する複数の家畜への給餌に関する給餌情報を取得する給餌情報取得部と、前記家畜画像情報から
前記管理群に属する複数の家畜の群体重分布を推計する群体重推計部と、前記群体重推計部により推計された群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成
し、個々の家畜ごとの管理をせず前記管理群ごとに管理する家畜情報管理部と、を備える。
【0009】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記家畜情報管理部は、前記群体重分布の基となった家畜画像情報の撮像時期と前記給餌情報における給餌時期とが対応するように、前記群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて前記家畜管理情報を生成してもよい。
【0010】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記家畜情報管理部は、前記群体重分布、及び当該群体重分布と紐づけられた前記給餌情報の時系列に沿った推移情報を生成可能でもよい。
【0011】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記給餌情報には、給餌時期、餌の種類、給餌量、栄養素、添加物、給水時期、給水量のうち少なくとも1つの情報を含めてもよい。
【0012】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記群体重推計部は、前記家畜画像情報に映る家畜の各個体を示す領域を識別し、この各個体の領域に応じた推定体重を算出し、当該推定体重から前記群体重分布を推計してもよい。
【0013】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域から前記家畜における所定の部位を識別し、識別された部位の中に体重推計に用いるのに必要となる1又は複数の特定部位を含まない個体については、前記群体重分布の推計対象から除外してもよい。
【0014】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域から前記家畜における所定の部位を識別し、識別された部位の中に体重推計に用いるのに必要となる1又は複数の特定部位を含む個体については、前記識別した個体の領域に前記家畜の外形として欠落部分がある場合に、当該欠落部分を補完して前記推定体重を算出してもよい。
【0015】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域の広さに相関する値が所定の閾値未満である個体については、前記群体重分布の推計対象から除外してもよい。
【0016】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記群体重推計部は、前記識別した個体の領域の広さに相関する値が所定の閾値以上である個体については、前記識別した個体の領域に前記家畜の外形として欠落部分がある場合に、当該欠落部分を補完して前記推定体重を算出してもよい。
【0017】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記群体重推計部は、前記識別した個体における姿勢を判定し、当該姿勢に応じた推計モデルを用いて、前記
推定体重を算出してもよい。
【0018】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記家畜情報管理部は、前記群体重分布から異常個体を判定するための異常判定条件を有し、前記群体重推計部により推計された群体重分布が前記異常判定条件を満たした場合には、アラート情報を生成してもよい。
【0019】
上記畜産情報管理システムにおいて、前記家畜情報管理部は、前記家畜情報管理部は、前記家畜画像情報取得部が前記家畜画像情報を正常に取得できなかった場合、又は前記給餌情報取得部が前記給餌情報を正常に取得できなかった場合には、アラート情報を生成してもよい。
【0020】
上記した目的を達成するために、本開示に係る畜産情報管理サーバは、
管理群に属する複数の家畜を含む家畜画像情報を取得する家畜画像情報取得部と、前記
管理群に属する複数の家畜への給餌に関する給餌情報を取得する給餌情報取得部と、前記家畜画像情報から
前記管理群に属する複数の家畜の群体重分布を推計する群体重推計部と、前記群体重推計部により推計された群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成
し、個々の家畜ごとの管理をせず前記管理群ごとに管理する家畜情報管理部と、を備える。
【0021】
上記した目的を達成するために、本開示に係る畜産情報管理方法は、家畜画像情報取得部が、
管理群に属する複数の家畜を含む家畜画像情報を取得する家畜画像情報取得ステップと、給餌情報取得部が、前記
管理群に属する複数の家畜への給餌に関する給餌情報を取得する給餌情報取得ステップと、群体重推計部が、前記家畜画像情報から
前記管理群に属する複数の家畜の群体重分布を推計する群体重推計ステップと、家畜情報管理部が、前記群体重推計ステップにて推計された群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成
し、個々の家畜ごとの管理をせず前記管理群ごとに管理する家畜情報管理ステップと、を備える。
【0022】
上記した目的を達成するために、本開示に係る畜産情報管理プログラムは、家畜画像情報取得部が、
管理群に属する複数の家畜を含む家畜画像情報を取得する家畜画像情報取得ステップと、給餌情報取得部が、前記
管理群に属する複数の家畜への給餌に関する給餌情報を取得する給餌情報取得ステップと、群体重推計部が、前記家畜画像情報から
前記管理群に属する複数の家畜の群体重分布を推計する群体重推計ステップと、家畜情報管理部が、前記群体重推計ステップにより推計された群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成
し、個々の家畜ごとの管理をせず前記管理群ごとに管理する家畜情報管理ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0023】
上記手段を用いる本開示によれば、コストの増加を抑えつつ容易に家畜の体重及び給餌を管理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
【0026】
なお、以下で説明する本開示の実施形態は、家畜として主に豚を例として説明を行う。畜産において豚は、1つの農場で飼養する頭数が数千から数万頭単位となる場合があり、膨大な数の家畜の管理負荷が大きいものである。
【0027】
豚は、主に繁殖用豚と、非繁殖用豚に分けられる。繁殖用豚は、子豚を産むために飼養される豚であり、非繁殖用豚は、成長後に出荷するために飼養される豚(肉豚)である。非繁殖用豚は、繁殖用豚に比較して頭数が多いため、個々の豚毎に管理を行うことが難しく、そのため複数の豚を群として管理することが一般的である。以下で説明する豚は、主に非繁殖用豚(肉豚)を対象とするものである。なお、以下の説明において日齢、週齢、月齢とは、それぞれ離乳日を基準日とした経過日数、週数、月数を示すものとする。日齢は、出生日を基準とした経過日数を用いても構わない。
【0028】
日本国内で流通する豚の売却価格は各中央卸売市場・地方食肉市場にて需要と供給量の関係に加え、供給された豚個体の体重・肉質等により決定される格付及び等級単位に卸売価格(kg当たり単価)を乗じて決定される。等級は、屠畜され枝肉となった豚肉の枝肉半丸重量が定められた範囲内にあるか否かを前提条件とし定まる。更に肉等の規定された取引規格の適用条件によって、等級は、「極上」「上」「中」「並」の4段階で分類され、さらに等級に該当しない「規格外」が分類される。そのため、収益を増大させるには、豚の体重がこの等級の範囲内(適正重量帯)に入るように飼養を行うことが望まれる。さらに「上」や「極上」の上位の等級とするためには少なくとも体重を、適正重量帯とすることで、さらに収益性を高めることが期待できるものである。
【0029】
豚は、農場の中の建造物である畜舎の中に構成される複数に区画された豚房で飼養されることが一般的である。豚房は、数十頭単位で豚を飼養する環境である。また、豚房に入れられた数十頭の豚を管理群として扱う。
【0030】
<構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る畜産情報管理サーバ111を含む畜産情報管理システム1を示すシステム構成図である。本実施形態では、管理する家畜を豚、特に群管理される肉豚を対象として説明する。
図1で示すように、本開示の実施形態に係る畜産情報管理システム1は、畜産情報管理サーバ111と、豚が飼養されている畜舎・豚房(以下、畜舎という)101及び飼養者の情報端末201とが、インターネット、LAN、VPN(Virtual Private Network)等のネットワークNWを介して通信可能に接続されている。説明の簡略化のため、1つの畜舎101及び1つの情報端末201のみを示しているが、畜産情報管理サーバ111はネットワークNWを介して複数の畜舎101及び複数の情報端末201と接続可能である。なお、畜産情報管理サーバ111は、クラウドコンピューティングにおけるいわゆるクラウドサーバであってもよい。
【0031】
図2は本実施形態における畜舎101の内部の一例を示す概略図であり、
図1、2に基づき畜舎101について詳しく説明する。
【0032】
図2に示すように、畜舎101の内部は、例えば中央の通路を挟んで2つの区画a及び区画bに分かれており、区画a、bにはそれぞれ4つの豚房105a〜105d、105e〜105h(以下、これらをまとめて豚房105とも称する)が一列に並んで形成されている。各豚房105には、数頭から数十頭単位で肉豚が飼養されており、1つの豚房105が1つの管理群として管理されている。
【0033】
また、畜舎101には、区画a及び区画bのそれぞれの天井に、各豚房105a〜105d、105e〜105hの上方を跨るようにレール106a、106bが架け渡されている。そして、各レール106a、106bにそれぞれ1つのカメラ102a、102b(以下、これらをまとめてカメラ102とも称する)がレール106a、106bに沿って移動可能に設けられている。
【0034】
カメラ102は、例えば、可視光カメラであり、被写体から反射される光を検出して画像(静止画又は動画)情報を生成する機能を有している。なお、カメラ102は、夜間撮影撮像も可能なように、上記可視光カメラに加えて、赤外線カメラと赤外線ライトの組み合わせを併用してもよい。
【0035】
本実施形態におけるカメラ102は、下向きに指向しており、レール106a、106bに沿って移動しながら、
図2において点線で示すように一定の撮像範囲Vで、豚房105ごとに1枚又は複数の画像を定期的に撮像する。カメラ102は、豚房105の家畜を映した家畜画像と撮像時期情報や位置情報を含めた家畜画像情報を生成可能である。この撮像時期には年月日及び時刻の情報が含まれる。また、この位置情報は豚房105に対応しており、当該位置情報から家畜画像がどの豚房105を撮影したものか判別可能である。
【0036】
また、畜舎101には、豚房105a〜104hごとに給餌器103a〜105h(以下、まとめて給餌器103とも称する)が設けられている。給餌器103は、豚に餌や水を与えるための装置である。当該給餌器103は、豚房105ごとに定められた時期に、所定の種類の餌及び水を所定量、自動的に供給可能である。また、給餌器103は、豚房105ごとに供給した、餌の種類及び量(給餌量)、水の量(給水量)、供給時期、等の情報を含む給餌情報を生成可能である。
【0037】
さらに、畜舎101には、
図2に図示しないが、温湿度、空気流量、光量、臭気、音等の環境状況情報を取得可能な環境状況取得器104が設けられている。具体的には、環境状況取得器104は、畜舎101の温湿度を検出する温湿度センサ、畜舎101内の空気流量を検出する空気流量センサ、畜舎101の光量を検出する光量センサ、畜舎101内の臭気を検出する臭気センサ、畜舎101の音を検出する集音機(マイク)等が統合されたセンサユニットである。なお、環境状況取得器104は、豚房105ごとに設けられてもよく、その場合は豚房105ごとの環境状況情報を検出可能である。
【0038】
畜舎101は、上述したカメラ102により生成された家畜画像情報、給餌器103により生成された給餌情報、環境状況取得器104により取得された環境状況情報を、ネットワークNWを介して畜産情報管理サーバ111に定期的に送信可能である。なお、畜舎101におけるこれらの情報は、必ずしもカメラ102、給餌器103、及び環境状況取得器104自体により生成される必要はなく、カメラ102、給餌器103、及び環境状況取得器104により生成された情報に基づいて畜舎101に設けられた情報端末等のコンピュータを介して生成されてもよい。また、畜舎101から送信される各情報には、対象となる畜舎及び豚房を識別するための畜舎ID、豚房IDが付されているものとする。
【0039】
畜産情報管理サーバ111は、プログラムに基づき処理を実行する1又は複数のサーバ(コンピュータ)からなり、各種演算部及び記憶部を有している。畜産情報管理サーバ111は、機能的には主に、家畜画像情報取得部112、家畜画像データベース113、給餌情報取得部114、給餌データベース115、群体重推計部116、飼養管理データベース117、及び家畜情報管理部118を備える(以下、データベースはDBと称する)。
【0040】
ここで、
図3には各DB113、115、117に記憶される情報の一例が、
図4には家畜画像の一例が、
図5には
図4の家畜画像に対する個体識別処理の結果の一例が、
図6には代表点識別の説明図が、それぞれ示されている。以下、
図1と
図3から
図6に基づき畜産情報管理サーバ111の詳しい構成について説明する。
【0041】
家畜画像情報取得部112は、畜舎101のカメラ102により生成された家畜画像情報を取得し、家畜画像DB113に記憶する機能を有している。家畜画像DB113には、
図3に示すように、家畜画像情報として、家畜画像の他に、当該家畜画像に対応する畜舎ID、豚房ID、撮像した位置情報、撮像時期、等の情報が蓄積されている。なお、1つの豚房105に対して連続して複数回撮像を行っている場合、つまり撮像時期が近接し略同時期に撮像された家畜画像情報については、一つの画像情報群として関連付けられて記憶されているものとする。
【0042】
給餌情報取得部114は、畜舎101の給餌器103により生成された給餌情報を取得し、給餌DB115に記憶する機能を有している。給餌DB115には、
図3に示すように、給餌情報として、給餌対象の畜舎ID及び豚房ID、給餌時期、餌の種類、給餌量、給水時期、給水量、等の情報が蓄積されている。また、複数の餌が混合されている場合には、給餌量として、餌の種類ごとの量又は配合比に関する情報も含まれている。さらに、給餌情報には、餌の栄養素情報、添加物情報等も含まれていてもよい。
【0043】
群体重推計部116は、家畜画像情報から豚房105にて飼養されている複数の豚の群体重分布を推計する機能を有している。当該群体重分布の推計は、家畜画像から豚の各個体を示す領域を識別し、各個体の領域に応じた推定体重を算出し、これらの推定体重を統計処理して群体重分布を推計する。
【0044】
詳しくは、群体重推計部116は、推計対象となる豚房105の家畜画像情報を家畜画像DB113から取得して、画像処理により家畜画像から豚の各個体を示す領域を識別する。例えば、取得した家畜画像が
図4に示すような家畜画像である場合、画像内には豚P1〜P11だけでなく、豚房105の床X1や、豚房105に設置された餌箱X3、すのこX2等も映り込んでいる。これに対して、群体重推計部116は、画像解析により豚の個体を識別することで、
図5においてハッチングで示すように、豚P1〜P11の個体を示す領域が識別され、一方で豚以外の物は除外される。なお、略同時期に撮像された家畜画像を用いることで深度情報も含めた3次元解析が可能となり、高低差も含めた個体識別が可能となる。従って、例えば
図4、5に示す上下重なりあった豚P1、P2、P3のうちP2が最も上側に位置していることが判別可能である。
【0045】
そして、群体重推計部116は、
図5のようにして識別された各豚P1〜P11の個体を示す領域に対して、推定体重を算出する。詳しくは、群体重推計部116は、各個体を示す領域の広さに相関する値を算出する。この領域の広さに相関する値としては、例えば当該領域の面積、又はピクセル数を用いる。群体重推計部116は、予め家畜画像上での面積又はピクセル数に応じて豚の推定体重を算出する計算式を有しており、当該計算式を用いて推定体重を算出する。当該計算式は、例えば豚の成長度合い(例えば日齢)に応じた推定体重を算出可能に設定されている。なお、当該計算式は必ずしも成長度合いに応じたものでなくてもよい。また、計算式に代えて、個体の領域の広さに相関する値から推定体重を算出することを機械学習(例えばディープニューラルネットワーク)した体重算出用AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いてもよい。
【0046】
さらに、群体重推計部116は、群体重推計の精度向上のため、豚の姿勢判定や、家畜画像上において映っていない部分(欠落部分)がある個体の除外又は補完処理を行う機能を有している。
【0047】
具体的には、群体重推計部116は、識別した個体ごとに、豚における各部位を代表する点(以下、代表点という)を識別する。代表点は、例えば
図6に示すように、豚の頭部、耳、鼻、眼、前肢、後肢、肩、関節、背部、腹部、臀部、尻尾等の豚の主要部位に設定される。代表点として設定される各部位は、豚の日齢に依存しない点が選択されている。代表点の識別は、例えば、上述した3次元情報を含めたパターンマッチングや、ディープラーニング等による学習モデルを用いた画像解析手法により行われる。
【0048】
群体重推計部116は、個体ごとに識別された代表点の配置から、当該個体の姿勢を判定し、各個体の姿勢情報を生成する。なお、姿勢情報は、代表点の配置情報自体を姿勢情報としてもよい。姿勢情報としては、例えば立ち情報、座り状態、及び横たわり状態が含まれる。そして、群体重推計部116は、姿勢情報に応じた推定モデルを用いて、推定体重を算出する。
【0049】
群体重推計部116は、個体ごとに識別された代表点に基づいて、当該個体を群体重推計の対象に含めるか否かの判定を行う。具体的には、群体重推計部116は、識別された代表点のうち、推定体重の算出に必要となる1又は複数の特定部位を含まない個体については群体重分布の推計対象から除外し、特定部位をすべて含む個体については群体重分布の推計対象に含めるよう判定する。この推定体重の算出に必要となる1又は複数の特定の部位とは、例えば背部、腹部、臀部のような体積の大きい部分、つまり体重に占める割合が大きい部位に設定される。
【0050】
また、群体重推計部116は、家畜画像上での個体の領域の広さに相関する値(面積又はピクセル数)に基づいて、当該個体を群体重分布の推計対象に含めるか否かの判定も可能である。具体的には、群体重推計部116は、個体の領域の面積又はピクセル数が、所定の閾値(所定面積、所定ピクセル数)未満である個体については群体重分布の推計対象から除外し、所定の閾値以上である個体については群体重分布の推計対象に含めるよう判定する。この所定の閾値は変動値であり、例えば日齢等の豚の成長度合いに応じて数値が大きくなるよう設定されている。
【0051】
さらに、群体重推計部116は、群体重分布の推計対象に含める個体については、識別した個体の領域に豚の外形として欠落部分がある場合に、当該欠落部分を補完した上で、推定体重の算出を行う。当該補完は、例えば群体重推計部116が、予め部位別テンプレートを有しており、欠落部分に対応する部位別テンプレートを用いて欠落部分を補完する。この部位別テンプレートは、豚の姿勢及び成長度合いに応じて用意されている。補完の具体的手法はこれに限られず、例えば豚の外形を機械学習(例えばディープニューラルネットワーク)した補完用AIを用いて補完を実行してもよい。なお、例えば体重の影響度が低い部位が欠落している場合には補完は要しない等、欠落部分の部位や大きさに応じて、補完の要否を判定してもよい。
【0052】
群体重推計部116は、群体重分布の対象となる個体の推定体重が全て算出されると、統計処理を行って群体重分布を推計する。例えば、群体重分布は体重毎の豚の頭数を示す度数分布(ヒストグラム)として示すことが可能である。推計した群体重分布は、対応する畜舎ID、豚房ID、推計時期、等を含めた群体重分布情報として飼養管理DB117に記憶される。なお、当該群体重分布情報には、各個体の推定体重の算出の際に用いた各個体の姿勢情報や、除外された個体、欠落部分補完した個体に関する情報等も含まれている。
【0053】
飼養管理DB117には、
図3に示すように、群体重分布情報の他にも、畜舎101の環境状況取得器104により生成された環境状況情報や、家畜情報、家畜管理情報が記憶されている。環境状況情報としては、畜舎ID及び豚房IDと、検出された温湿度、空気量、光量、臭気、音の情報、これらの環境状況の検出時期の情報が蓄積されている。家畜情報としては、畜舎ID、豚房ID、豚房ごとの肉豚の品種、性別、頭数、出自、日齢、健診結果、疾病罹患履歴、投薬履歴、等の情報が蓄積されている。家畜管理情報としては、畜舎ID、豚房IDと、後述する家畜情報管理部118において互いに紐づけられた群体重分布と給餌情報及びそれらの推移情報、過去のアラート履歴、等の情報が蓄積されている。
【0054】
家畜情報管理部118は、群体重推計部116により推計された群体重分布と給餌DB115に記憶されている給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成する機能を有する。この群体重分布と給餌情報との紐付けは、群体重分布の基となった家畜画像情報の撮影時期と給餌情報における給餌時期とが対応するように行われる。撮影時期と給餌時期との対応関係は、飼養者等が任意に設定可能であり、例えば給餌時期(給餌器103による餌の供給時)と同時期の撮影時期の家畜画像情報と紐付けたり、給餌時期から体重に反映されるまでの所定期間(例えば24時間)後の撮影時期などの家畜画像情報と紐付けたり、する。
【0055】
また家畜情報管理部118は、家畜管理情報として、群体重分布、及び当該群体重分布と紐づけられた給餌情報の時系列に沿った推移情報を生成可能である。
【0056】
ここで
図7には、群体重分布と給餌情報が紐づけられた推移グラフの一例が示されている。
図7の推移グラフは、群体重分布の推移を上段に、給餌情報の推移を下段に示している。
図7の横軸は、母豚等(哺乳器であってもよい)からの離乳日を起算とした日数(日齢)であり、上段の縦軸は体重を、下段の縦軸は給餌量を示している。なお、
図7では説明を簡略化するため、日数(横軸)に対して群体重分布及び給餌情報のプロットを間隔あけて表記しているが、実際には例えば毎日、又はさらに細かく群体重分布及び給餌情報を取得する。
【0057】
図7の上段で示すように、肉豚(非繁殖用豚)は、体重増加フェーズと、肉質向上フェーズを経て出荷される。体重増加フェーズは、離乳後に所定期間において体重を増加させるフェーズである。また、肉質向上フェーズは、所定期間終了後に過度な体重増加を抑制し個々の豚の体重のばらつきを収束させ体重分布を所定の範囲内に収めるためのフェーズである。離乳日から日齢dcまでが体重増加フェーズであり、日齢dcから出荷日齢である日齢dsまでが肉質向上フェーズとなる。豚は、前述したように群管理されるため、管理群に属する豚の体重は群体重分布として表される。
図7の群体重分布は、管理群に属する複数の豚の群体重分布の日齢推移を箱ひげ図で示している。当該グラフの生成時期は、群体重分布125が推計された日齢日以降、かつ日齢dsより前とする。実線の箱ひげ図は、本実施形態に係る群体重推計部116によって推計された群体重分布であり、121、123、125の記号がついているものには、群体重分布を表す度数分布のイメージ図を併記している。
【0058】
図7の下段に示すように、豚は、主に体重に基づいて定まる育成フェーズごとに飼料が切り替えられる。豚は、離乳日から日齢d1までは飼料A、日齢d1から日齢d2までは飼料B、日齢d2から日齢d3までは飼料C、日齢d3から日齢ds(出荷日)までは飼料Dを与えられる。給餌量については、
図7の飼養標準線141で示される飼養標準を目安に、体重に対する割合で、子豚では6〜8%、育成期で4〜5%、肥育期で3.6〜4%程度の飼料が給与される。群管理される豚に群として給与される給餌量の実測値は
図7の下段の三角記号でプロットされている。実測給餌量は群体重分布と紐づいており、連携して情報を扱えるようになっている。図示しないが、給水量のグラフも同様にして生成可能である。
【0059】
また、家畜情報管理部118は、群体重分布及び給餌情報に加えて、環境状況情報も追加して紐付けてもよい。例えば
図7における推移グラフの日数に対応して、各時期における対象となる豚房の温湿度、空気量、光量、臭気、音、等の情報も表記することで、群体重分布に対する環境状況の影響を認識することが可能となる。
【0060】
また、家畜情報管理部118は、群体重分布から異常個体を判定するための異常判定条件を有し、群体重分布が当該異常判定条件を満たした場合にアラート情報を生成可能である。異常判定条件としては、例えば、群体重分布において平均推定体重に対する差が所定値以上のいわゆる外れ値の中でも、一定期間推定体重が変動してない個体が存在する場合や、群体重分布の全体的な推移とは異なる傾向を示している個体が存在する場合、等がある。このような異常判定条件を満たした場合に生成されるアラート情報は、例えば当該異常判定条件を満たす群体重分布の豚房に、疾病、怪我、死亡、等の異常をきたした豚が存在することを示唆する通知情報を含む。
【0061】
さらに、家畜情報管理部118は、家畜画像情報取得部112が家畜画像情報を正常に取得できなかった場合、又は給餌情報取得部114が給餌情報を正常に取得できない場合にも、アラート情報を生成可能である。家畜画像情報又は給餌情報を正常に取得できなかった場合とは、所定期間又は所定回数連続して畜舎101からの家畜画像情報又は給餌情報が取得できなかった場合、取得した家畜画像情報又は給餌情報が壊れていた場合、等である。この場合に生成されるアラート情報は、例えば対象となる豚房のカメラ102又は給餌器103が故障している可能性があることを示唆する通知情報を含む。
【0062】
家畜情報管理部118は、生成した家畜管理情報、アラート情報を飼養管理部DB117に記憶するとともに、情報端末201からのリクエストに応じて、又は定期的に上記
図7で示したような家畜管理情報を送信可能である。また、家畜情報管理部118は、アラート情報を生成した際には、直ちに該当する情報端末201にアラート情報の送信を行う。
【0063】
情報端末201は、例えばPCや、スマートフォン、タブレットPC、及び携帯電話のような装置である。情報端末201は、情報端末201にインストールされた専用のアプリケーションソフトウェアによって畜産情報管理サーバ111にアクセスしてもよい。また、畜産情報管理サーバ111が提供する動作環境(API(アプリケーションプログラミングインタフェース)、プラットフォーム等)を利用して畜産情報管理サーバ111にアクセスしてもよい。
【0064】
入力部211は、例えば、キーボードや、マウス、タッチパッド等のユーザが操作することにより情報の入力や選択が可能な機能を有する。また、スマートフォンやタブレット、PCにおける液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示部212と一体であるタッチパネルでもよい。入力部211は、音声入力装置であっても構わない。
【0065】
表示部212は、情報等をユーザに表示する機能を有するディスプレイ装置等である。情報端末201と独立したディスプレイ装置であっても構わないし、スマートフォンやタブレットにおける液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置であっても構わない。表示部212は、畜産情報管理サーバ111から受信した、上述した互いに紐づいた群体重分布と給餌情報、上記
図7で示したような推移情報を表示することも可能である。
【0066】
なお、情報端末201は、畜産情報管理サーバ111とネットワークNWを介さず一体として構成されていても構わない。
【0067】
<処理の流れ>
図8、9には、本開示の実施形態に係る畜産情報管理システム1の畜産情報管理サーバ111において実行される家畜管理情報生成ルーチンを示すフローチャートが示されており、以下、同フローチャートを沿って畜産情報管理方法について説明する。なお、当該フローチャートは一例であり、家畜管理情報生成ルーチンは当該フローチャートの処理に限られるものではない。
【0068】
図8のステップS101において、畜産情報管理サーバ111の群体重推計部116は、家畜画像情報を家畜画像情報取得部112又は家畜画像DB113から取得し(家畜画像情報取得ステップ)、ステップS102へ進む。
【0069】
ステップS102において、群体重推計部116は、取得した家畜画像情報の家畜画像から画像処理により豚の個体を識別し、ステップS103へ進む。
【0070】
ステップS103において、群体重推計部116は、識別した個体における各部位の代表点を識別し、ステップS104へ進む。
【0071】
ステップS104において、群体重推計部116は、代表点の配置から個体の姿勢を判定し、ステップS105へ進む。なお、代表点の配置情報自体を姿勢情報とした場合には、当該ステップS104を省略してもよい。
【0072】
ステップS105において、群体重推計部116は、識別された代表点の中に推定体重の算出に必要となる特定部位を含んでいるか、及び/又は、家畜画像上での個体の領域の広さ(面積又はピクセル数)が所定の閾値以上であるか、を判定する。当該判定結果が偽(No)である場合、即ち代表点の中に推定体重の算出に必要となる特定部位を含まない場合、及び/又は、個体の領域の広さが所定の閾値未満である場合は、ステップS106へ進む。
【0073】
ステップS106において、群体重推計部116は、上記ステップS102で識別した個体を群体重分布の推計対象から除外する。
【0074】
一方、上記ステップS105の判定結果が真(Yes)であった場合、即ち代表点の中に推定体重の算出に必要となる特定部位を含む場合、及び/又は、個体の領域の広さが所定の閾値以上である場合は、ステップS107へ進む。
【0075】
ステップS107において、群体重推計部116は、ステップS102で識別した個体に領域に豚の外形として欠落部分があるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)である場合、即ち識別された個体に欠落部分がある場合には、ステップS108へ進む。一方、当該判定結果が偽(No)である場合、即ち識別された個体に欠落部分がない場合には、ステップS108を飛ばしてステップS109へ進む。
【0076】
ステップS108において、群体重推計部116は、欠落部分に対応する部位別テンプレートを用いて欠落部分を補完し、ステップS109へ進む。
【0077】
ステップS109において、群体重推計部116は、個体の領域に応じた推定体重を算出し、ステップS110へ進む。
【0078】
ステップS110において、群体重推計部116は、上記ステップS101にて取得した家畜画像情報の中から識別した全個体の推定体重を算出したか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)である場合、即ち未だ推定体重を算出していない個体がある場合は、ステップS103に戻り、次の個体における代表点の識別を行い、それ以降は上述したステップの処理を繰り返す。一方、ステップS110の判定結果が真(Yes)である場合、即ち全個体の推定体重を算出が完了した場合には、
図9のステップS111へ進む。
【0079】
図9のステップS111において、群体重推計部116は、全個体の推定体重に対して統計処理を行い、群体重分布を推計して(群体重推計ステップ)、ステップS112へ進む。
【0080】
ステップS112において、畜産情報管理サーバ111の家畜情報管理部118は、ステップS111にて推計された群体重分布と対応する給餌情報を給餌情報取得部114又は家畜画像DB115から取得し(給餌情報取得ステップ)、ステップS113へ進む。
【0081】
ステップS113において、家畜情報管理部118は、ステップS111にて推計された群体重分布とステップS112にて取得した給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成し(家畜情報管理ステップ)、ステップS114へ進む。
【0082】
ステップS114において、家畜情報管理部118は、家畜管理情報として、群体重分布、及び当該群体重分布と紐づけられた給餌情報の時系列に沿った推移情報を更新して、当該ルーチンをリターンする。なお、ステップS113にて紐づけられた群体重分布及び給餌情報と、S114にて更新された推移情報は飼養管理DB117に記憶される。
【0083】
畜産情報管理サーバ111は、以上のような家畜管理情報生成ルーチンを、定期的に行うことで、飼養管理DB117の家畜管理情報を更新し、飼養者は情報端末201を介して更新された家畜管理情報を閲覧可能である。
【0084】
以上のように、畜産情報管理システム1では、家畜画像情報から複数の家畜の群体重分布を推計し、推計された群体重分布と給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成している。この群体重分布は家畜画像情報から推計することで、1頭1頭の豚を個別に体重測定する必要はなく、設備コストや、飼養者及び豚への負担を抑えつつ、群での体重分布を容易に推計することができる。そして、このように推計された群体重部分に対して給餌情報を紐づけることで、豚の成長と給餌との関係性を容易に認識することができる。
【0085】
このように本実施形態によれば、少人数大規模飼養農家においても、コストの増加を抑えつつ容易に家畜の体重及び給餌を管理することができる。
【0086】
さらに、群体重分布、及び当該群体重分布と紐づけられた給餌情報の時系列に沿った推移情報も生成することで、豚の成長と給餌との関係性をより容易に認識することができるようになる。このようなことから、飼養者による給餌内容の最適化も容易且つ正確に行うことができるようになり、豚の飼養コストの軽減も実現することが可能となる。
【0087】
また、給餌情報には、給餌時期、餌の種類、給餌量、栄養素、添加物、給水時期、給水量のうち少なくとも1つの情報が含まれていることで、給餌情報と群体重分布との関係性が明確となり、飼養者がより適切な給餌内容の最適化を図ることができるようになる。
【0088】
また、群体重推計部116は、家畜画像情報に映る豚の各個体を示す領域を識別し、この各個体の領域に応じた推定体重を算出し、当該推定体重から群体重分布を推計している。このように、家畜画像情報に映る個体ごとの推計体重から群体重分布を推計することで群体重分布を正確に推計することができる。
【0089】
また、群体重推計部116は、各個体の所定の部位に対応する代表点を識別し、体重推計に用いるのに必要となる代表点(特定部位)を含まない個体や、個体の領域の広さに相関する値(面積やピクセル数)が所定の閾値未満である個体については、群体重分布の推計対象から除外する。このように、正確に推定体重を算出するのが困難な個体については群体重分布の推計対象から除外することで、群体重分布の精度を向上させることができる。
【0090】
一方で、体重推計に用いるのに必要となる代表点(特定部位)を含む個体や、個体の領域の広さに相関する値(面積やピクセル数)が所定の閾値以上である個体については、欠落部分があっても欠落部分を補完して推定体重を算出することで、群体重分布の精度をさらに向上させることができる。
【0091】
さらに群体重推計部116は、識別した個体における姿勢を判定し、当該姿勢に応じた推計モデルを用いて、推計体重を算出することで、姿勢に応じた誤差を軽減し、群体重分布の精度を向上させることができる。
【0092】
また、家畜情報管理部118は、群体重分布が前記異常判定条件を満たした場合には、アラート情報を生成して、飼養者に注意喚起することで、異常が生じた豚を早期に発見することができ、より効率的な飼養を実現することができる。
【0093】
さらに、家畜情報管理部118は、家畜画像情報や給餌情報を正常に取得できなかった場合にアラート情報を生成することで、畜舎101の機器故障を早期に発見することができ、より効率的な飼養を実現することができる。
【0094】
<プログラム>
図10は、コンピュータ801の構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ801は、CPU802、主記憶装置803、補助記憶装置804、インタフェース805を備える。CPU802はGPUであっても構わない。
【0095】
ここで、実施形態に係る畜産情報管理サーバ111を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0096】
畜産情報管理サーバ111は、コンピュータ801に実装される。そして、畜産情報管理サーバ111の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶されている。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読み出して主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、上記した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置803に確保する。
【0097】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801において家畜画像情報取得部が、管理群に属する複数の家畜を含む家畜画像情報を取得する家畜画像情報取得ステップと、給餌情報取得部が、前記管理群の家畜への給餌に関する給餌情報を取得する給餌情報取得ステップと、群体重推計部が、前記家畜画像情報から複数の家畜の群体重分布を推計する群体重推計ステップと、家畜情報管理部が、前記群体重推計ステップにより推計された群体重分布と前記給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成する家畜情報管理ステップと、を実現するプログラムである。
【0098】
なお、補助記憶装置804は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース805を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークNWを介してコンピュータ801に配信される場合、配信を受けたコンピュータ801が当該プログラムを主記憶装置803に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0099】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置804に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)
であってもよい。
【0100】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。また、実施形態の説明では家畜として、1つの農場で飼養する頭数が数千から数万頭単位となることから他の家畜よりも本開示における効果が顕著となる豚を例として説明したが、牛や鳥のように他の家畜に畜産情報管理システム1を適用することも可能である。その際には、家畜の種類によって推計モデルを適宜設定することができる。
【0101】
また、上記実施形態では、家畜画像を豚房105の上方に設けられたレール106a、106bを移動するカメラ102a、102bにより撮像しているが、カメラの設置方法や家畜画像の撮像方向はこれに限られるものではなく、例えば各豚房の壁に設置したカメラにより横から撮像してもよいし、その他複数の方向から撮像してもよい。
【課題】少人数大規模飼養農家においても、コストの増加を抑えつつ容易に家畜の体重及び給餌を管理することができる畜産情報管理システム、畜産情報管理サーバ、畜産情報管理方法、及び畜産情報管理プログラムを提供すること。
【解決手段】畜産情報管理システム1であって、管理群に属する複数の家畜を含む家畜画像情報を取得する家畜画像情報取得部112と、管理群の家畜への給餌に関する給餌情報を取得する給餌情報取得部114と、家畜画像情報から複数の家畜の群体重分布を推計する群体重推計部116と、群体重推計部により推計された群体重分布と給餌情報とを紐づけて家畜管理情報を生成する家畜情報管理部118と、を備える。