特許第6781444号(P6781444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781444
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】特にロボットアーム用の運動伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 27/04 20060101AFI20201026BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20201026BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   F16H27/04 Z
   B25J17/00 E
   F16H1/32 A
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-567552(P2017-567552)
(86)(22)【出願日】2016年3月14日
(65)【公表番号】特表2018-512550(P2018-512550A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】FR2016050562
(87)【国際公開番号】WO2016146927
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月14日
(31)【優先権主張番号】1500512
(32)【優先日】2015年3月16日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1570050
(32)【優先日】2015年10月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517325250
【氏名又は名称】エムイペ ロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フランク オリビエ ロリオ
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第19515132(DE,A1)
【文献】 中国特許出願公開第85106692(CN,A)
【文献】 特開平06−241290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 27/04
B25J 17/00
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動伝達装置において、
長手軸線を中心として回転するように組付けられた第1のシャフト(4)と、
少なくとも1つの一連のノッチを有する可動機構(1;11)であって、前記可動機構が、その中心軸(8)を中心にして回転するように組付けられ、その上には円周方向にノッチが配置されているホイール(1)であるか、又は、その中心軸を中心にして回転するように組付けられ、その内部には円周方向にノッチが配置されているクラウン(11)である、可動機構(1;11)と、
前記第1のシャフト(4)と前記可動機構(1;11)の間の運動を共同して伝達するための少なくとも3つのアーム(2.1、2.2、2.3)とを含む装置であって、
各アームが前記可動機構(1;11)のノッチと協働するために少なくとも1つの歯(7)を具備しており、
各アームが、第1の軸(9)との関係において偏心している第1の軸受(3.1;3.2;3.3)上に連接されており、この第1の軸を中心として軸受が回転するように組付けられており、前記第1の軸受及び前記第1のシャフト(4)は、同期的に回転するように互いに結合されており、
前記可動機構(1;11)及び各アームは、
アームが連接されている第1の軸受の回転毎に、アームが一回の周期運動を描くように、及び、
前記可動機構のノッチとアームの少なくとも1つの歯の係合により周期運動の少なくとも一部分の間、アームが可動機構と嵌合して、一方の移動が他方の移動を駆動することになるように、機械的に案内されており、
前記第1の軸受(3.1;3.2;3.3)は、前記第1のシャフト(4)の回転角度の如何に関わらず、可動機構と嵌合状態にあるアーム(2.1、2.2、2.3)が少なくとも1つ存在するように配置されており、各アームはさらに、第2の軸(10)との関係において偏心している第2の軸受(3’)上に連接されており、この第2の軸を中心として第2の軸受が、前記第1のシャフト(4)の回転角度の如何に関わらずアームをそれ自体に平行な状態に維持する目的で、回転するように取付けられており、
前記第1の軸受(3.1;3.2;3.3)が前記第1のシャフト(4)上に配置され、前記第2の軸受(3’)が同様の第2のシャフト(5)上に配置されており、
前記運動伝達装置は外部の機械的エネルギー源によって駆動され、前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の一方のみが前記外部の機械的エネルギー源が接続される駆動シャフト(4)として使用され、前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の他方のシャフト(5)は、前記少なくとも3つのアーム(2.1、2.2、2.3)が前記駆動シャフト(4)の回転運動を伝達する二次シャフトとして使用されることが意図されており、
前記可動機構が、その中心軸(8)を中心にして回転するように組付けられ、その上には円周方向にノッチが配置されているホイール(1)であり、歯の機能が、内部歯面と相補的でより少ない数の歯を有するホイールと噛合わさるクラウンを含む減速機の機能に類似したものとなるように、アームの各々が複数の歯を有している、又は、
前記可動機構が、その中心軸(8)を中心にして回転するように組付けられ、その上には円周方向にノッチが配置されているホイール(1)であり、各アームが、可動機構のノッチと協働するために内部周囲全体にわたり歯が分布している歯付きクラウンを含み、各々の歯は、アームの周期運動の際に可動機構のノッチ内に連続的に係合し、次に脱係合する、運動伝達装置。
【請求項2】
各アーム(2.1、2.2、2.3)の周期運動が、アームが可動機構との嵌合から解放されている段階を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
それぞれ第1の軸受(3)及び第2の軸受(3’)が、そのそれぞれの回転軸線(9;10)を中心に互いに角度的にずらされており、それぞれ任意の連続する2つの第1の軸受及び任意の連続する2つの第2の軸受の間の角度的ずれが180°未満である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
それぞれ第1の軸受あるいは第2の軸受が、そのそれぞれの回転軸線(9;10)を中心にして互いに規則的な形で角度的にずらされている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
アームの少なくとも1つの歯が、同じ一連のノッチと協働する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
可動機構が、並んで配置された複数の一連のノッチ(1.1、1.2、1.3)を有し、各連のノッチは他の連のノッチとの関係においてずらされており、各アーム(2.1、2.2、2.3)の少なくとも1つの歯が別の一連のノッチと協働する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
アームが、ボールベアリング、ローラーベアリング又はニードルベアリングあるいは滑りリングあるいは滑り軸受により第1の軸受上又は第2の軸受上に組付けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
入力端である前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の一つを有し、好ましくは少なくとも1/50の減速比を有する減速機を形成している、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
各アームが連接されている偏心軸受の数は2つである、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記可動機構(1;11)に加えられるトルクによって前記駆動シャフト(4)が回転させられるように可逆性がある、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記運動伝達装置は外部の機械的エネルギー源によって駆動され、前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の一方のみが前記外部の機械的エネルギー源が接続される駆動シャフト(4)として使用され、前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の他方のシャフト(5)は、前記少なくとも3つのアーム(2.1、2.2、2.3)が前記駆動シャフト(4)の回転運動を伝達する二次シャフトとして使用される、請求項1〜1のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項12】
ロボットアームの関節に対してモータの回転運動を伝達するため、又はモータの回転運動から機械の要素を移動させるための装置であって、
前記モータは、駆動シャフト(4)として使用される、前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の一方のみに接続され、前記第1のシャフト(4)及び前記第2のシャフト(5)の内の他方のシャフト(5)は、前記少なくとも3つのアーム(2.1、2.2、2.3)が前記駆動シャフト(4)の回転運動を伝達する二次シャフトとして使用される、請求項1〜1のいずれか1項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にロボットアーム用の運動伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータとロボットアームの間の減速比は、3000回転/分、つまり50回転/秒のモータ速度に対して0.5回転/秒のアーム速度で、およそ1/100(典型的には1/50〜1/200)である。
【0003】
現在のロボットは大部分がクラウン歯車内に組付けられ、例えば歯数80と歯数79などの極めて近い数の歯を有する歯付きホイール有するサイクロイドタイプの減速機を使用している。クラウンは、内歯面を有し、ホイールは外歯面を有する。可逆的で遊びが少なく、耐摩耗性を有する減速機を得るためには、歯面は、極めて硬質の金属製でなければならず、高い精度で機械加工されなければならない。内歯面を有するクラウンは、機械加工が極めて困難であり、莫大なコストをもたらす。ロボットの販売価格が高いのは、主として減速機のコストに原因があり、標準的なロボットは6基の減速機で構成されている。
【0004】
さらに、ある特許文献において、クラウンの内部でシャフトの同じ偏心ローブ上に組付けられた4本のアーム及び内歯面付きクラウンを含む減速機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。アームは、クラウンの内部で規則的に分布しており、偏心軸とは反対側のその端部に、クラウンの歯面と協働するための少なくとも1つの歯を有している。それぞれの枢動レバーが各アームに連接されて、シャフトが回転するときに楕円形の周期運動をその歯に描かせており、このレバーは角度的に揺動し、アームに対し周期運動を課し、この周期運動の間にアームは向きを変える。楕円形の周期運動に際して、アームの歯は、クラウンの歯面を係合し、このクラウンを所与の方向に回転させ、その後、脱係合して後方に戻り、運動はこのように続いていく。アームは、同じ偏心ローブ上に組付けられクラウンの内部で規則的に分布しているため、連続的にクラウンの歯面と係合する。別の特許文献は、類似の装置を記載しているが(例えば、特許文献2参照。)、該特許の場合、各アームは、枢動レバーにより誘導されるのではなく固定点との関係における摺動及び枢動について誘導される。
【0005】
上記の2つの特許文献に記載の装置には特に、アーム端部の楕円形の周期運動が、インターフェースレベルでのアーム及びクラウンの歯の形状の定義と同時にそれらの機械加工を複雑化させるという欠点がある。その上、これらの装置は同様に、内歯面付きのクラウンを使用する。
【0006】
さらに、別の特許文献より、円周上に規則的に分布したノッチを備えた2つのクラウンと、3本の半径方向アームを備え駆動シャフトによって駆動される偏心輪上に組付けられた1つの回転子とを含む減速機も知られている(例えば、特許文献3参照。)。各アームは、それぞれのクラウンのノッチと連続的に協働するためのピンを含んでおり、1つのクラウンは、対応するピンにより別のクラウンを枢動駆動するため対応するピン用の支承機構を画定しており、各々のアームは、クラウンのノッチとのピン対の係合及び脱出の周期運動の際に向きを変更する。回転子の軸を中心としたアームの規則的な分布のため、クラウンのノッチとの各アームのピン対の係合及び脱出の周期運動は、他のアームのピン対との関係においてずらされている。同様に、駆動シャフトと一体化した別の偏心輪上に各々組付けられた3つのアームの付いた複数の回転子があり、偏心輪が駆動シャフトを中心にして互いに角度的にずらされていることも想定されている。この装置には、2つのクラウンと1つ以上の3本のアーム付き回転子を必要とするために、極めて複雑で費用がかかるものであるという欠点がある。さらに、ピンと、クラウンのノッチの間には大きな摩擦が存在し、有害である。その上、運動の伝達において遊びを削減するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,351,568号
【特許文献2】独国特許第312164号
【特許文献3】欧州特許出願第155497号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に補正することを目的とする。本発明は、一態様によると、運動の伝達における小さな遊びによる優れた精度並びに制限された摩擦を提供する可逆的でかつ好ましくは減速比が1/50超の減速機の形態をとることが最も多い運動伝達装置を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明は、運動伝達装置において、
長手軸線を中心として回転するように組付けられたシャフトと、
少なくとも1つの一連のノッチを有する可動機構と、
シャフトと可動機構の間の運動を共同して伝達するための少なくとも3つのアームと、
を含む装置であって、
各アームが可動機構のノッチと協働するために少なくとも1つの歯を具備しており、
各アームが、第1の軸との関係において偏心している第1の軸受上に連接されており、この第1の軸を中心として軸受が回転するように組付けられており、第1の軸受及びシャフトは、同期的に回転するように互いに結合されており、
可動機構及び各アームは、
アームが連接されている第1の軸受の各回転毎に、アームが一回の周期運動を描くように、及び、
可動機構のノッチとアームの少なくとも1つの歯の係合により周期運動の少なくとも一部分の間、アームが可動機構と嵌合して、一方の移動が他方の移動を駆動することになるように、機械的に案内されており、
第1の軸受は、シャフトの回転角度の如何に関わらず、可動機構と嵌合状態にあるアームが少なくとも1つ存在するように配置されており、各アームはさらに、第2の軸との関係において偏心している第2の軸受上に連接されており、この第2の軸を中心として第2の軸受が、シャフトの回転角度の如何に関わらずアームをそれ自体に平行な状態に維持する目的で、回転するように取付けられている、運動伝達装置を提案する。
【0010】
各アームについて、第1の軸及び第2の軸が平行でかつ互いに離れており、第1の軸受と第2の軸受がそのそれぞれの回転軸線との関係において同じ偏心率を有することが分かる。このため、シャフトが回転する場合、各アームの全ての点は、その軸受の偏心率を理由に円形軌道を描く。円形軌道の半径は、そのそれぞれの回転軸線に対するその軸受の偏心距離に対応する。各アームの少なくとも1つの歯の軌道が円形であるということは、アームの恒常な向きと併せて、インターフェースレベルひいては機械加工レベルにおけるアームと可動機構の歯の形状を有利にも簡略化し、運動伝達における遊びの削減並びに摩擦の制限を理由として、より優れた精度を提供する。
【0011】
好ましくは、第1の軸受及び第2の軸受は全て、そのそれぞれの回転軸線との関係において同じ偏心率を有する。
【0012】
従属請求項は、本発明の他の好ましい実施形態を定義している。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、一例として添付図面を参照して提供されている本発明の好ましい実施形態についての以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。歯7がホイールのノッチ内に完全に係合されている位置にあるアームを表わす。
図2】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。歯7がホイールのノッチから完全に脱出している位置にあるアームを表わす。
図3】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。シャフト4の軸を中心とした周期運動においてアームが取る異なる位置を表わす。シャフト4の軸を中心とする運動の間、アームの歯7は漸進的にノッチ内に係合し、そこから脱出する。
図4】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。シャフト4の軸を中心とした周期運動においてアームがとる異なる位置を表わす。シャフト4の軸を中心とする運動の間、アームの歯7は漸進的にノッチ内に係合し、そこから脱出する。
図5】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。シャフト4の軸を中心とした周期運動においてアームがとる異なる位置を表わす。シャフト4の軸を中心とする運動の間、アームの歯7は漸進的にノッチ内に係合し、そこから脱出する。
図6】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。シャフト4の軸を中心とした周期運動においてアームがとる異なる位置を表わす。シャフト4の軸を中心とする運動の間、アームの歯7は漸進的にノッチ内に係合し、そこから脱出する。
図7】ノッチ付きホイールの場合における本発明の作動原理を例示する。シャフト4の軸を中心とした周期運動においてアームがとる異なる位置を表わす。シャフト4の軸を中心とする運動の間、アームの歯7は漸進的にノッチ内に係合し、そこから脱出する。
図8】3つのアーム2.1、2.2、2.3(以下ではこれらのアームは同様に、無差別に参照番号2によっても参照指示されている)及びノッチ付きホイールを伴う、本発明の一実施形態を表わしており、周囲上のノッチの位置は、3つのアームの位置に対応する3つのレベルでずらされている。
図9】ノッチが整列し、反対にアーム2の歯7は互いにずれている、ノッチ付きホイールを伴う別の実施形態を表わす。
図10図9のものと同様、整列したノッチを伴うホイールと共に使用する場合の3つのアーム2を例示する。アーム2の歯7は、互いにずらされている。この配置では、シャフト4の軸及び二次シャフト5の軸は、ホイール1の回転軸線8と同じ平面内にある。
図11】互いに角度的にずらされた偏心軸受3.1、3.2、3.3(以下では同様に、無差別に参照番号3によっても参照指示されている)を伴うシャフト4を例示する。
図12】各アームの歯7が、もう一方の側に配置されている、図9の実施形態の一変形形態を示す。
図13】内部ノッチ付きのクラウンを伴う本発明の一実施形態を例示する。
図14】シャフトが1回転する場合、アームの歯がホイールの同じノッチ内に係合せず、図19に表示されるように、ホイールの円周上の隣接する又は離隔したノッチ内に係合する、一実施形態を例示する。この実施形態は、歯の面及びノッチの面の間の接触表面を増大させるという利点を示し、したがって大きい接触表面を保ちながらより小さい厚みのホイールを利用する可能性を提供する。
図15図14により例示された実施形態における部品の形状を例示する。
図16図14により例示された実施形態における部品の形状を例示する。
図17図14により例示された実施形態における部品の形状を例示する。
図18図14により例示された実施形態における部品の形状を例示する。
図19図19は、3つの歯がホイールの3つの隣接するノッチに対面している状態を示す。
図20】ラックを伴う本発明の一実施形態を例示する。
図21】アーム2.1、2.2、2.3が、1つのアームにつき多くの歯、ここでは44個の歯を含んでいる一実施形態を例示する。いつ何時であれ、一部の歯はノッチ内に部分的に係合され、少なくとも1つの歯は完全に係合されていることから、各アーム上の歯の数が多いことにより運動伝達のより優れた漸進性が可能になる。
図22】3つのアームの歯が見えるような形でホイール見えなくした状態で、図21の実施形態を再度取り上げている。
図23】軸受の偏心性及びシャフト4及び5上の軸受の配置を示すため、シャフト4及び5並びにその軸受のみを示して、図21の実施形態を再度取り上げている。
図24】アーム2.1、2.2、2.3が多くの歯を有するという意味で図21の実施形態と類似している一実施形態を示す。この場合、アームは可動機構を中心にして完全なクラウンを形成する。2つのアーム4及び5は、可動機構の両側に配置されている。
図25】アーム上の歯の配置を示すため可動機構を見えない状態にして、図24の実施形態を再び取り上げている。
図26】アーム2の歯が、規定の方向に維持されている本発明の別の態様を例示する。アーム2は、シャフト4の軸受上に連接されていることから、可動機構1及びシャフト4の軸との関係において固定した突起14上を摺動できる溝を有している。図面を容易に理解できるようにするため図26中には唯一のアームのみが表現されているが、他の図に関連して説明された装置の場合と同様、シャフト4の周りのそれぞれの軸受の角度的ずれのため、ホイールのノッチ内に係合された歯が常に少なくとも1つ存在するように、各々最低1つの歯を伴って重ね合わされた少なくとも3つのアームが存在する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜7を参照して、外周に設けられたノッチ付きのホイールの場合における本発明の基礎にある原理を説明するが、この原理は同様に、内部円周表面上に設けられたノッチ付きのクラウンの場合、さらにはラックの場合にも有効である。図1を見れば分かるように、減速機は、出力シャフト(図1〜7には図示せず)、シャフト4、及びシャフト4とホイール1の間の運動伝達用アーム2を備えたホイール1を含む。ホイール1は、その外表面内に一連のノッチを含む。ノッチの数は、求められる減速比に応じて異なり、例えば減速比が1/80の場合、ノッチ数は80である。アーム2は、好ましくはボールベアリング6又は滑りリングを介してシャフト4の円筒形軸受3上に取付けられる。円筒形軸受3は、シャフト4の回転軸線との関係においてわずかな偏心率を有する。部品2は、ホイール1のノッチ内に係合する1つの歯7を含む。部品2は、好ましくは同様にボールベアリング6又は滑りリングを介して、二次シャフト5の円筒形軸受3’上に取付けられている。二次シャフト5の回転軸線10は、シャフト4の回転軸線9に対して平行である。二次軸5のこの円筒形軸受3’は、円筒形軸受3と同じ偏心率を有する。シャフト4及び軸5が同期的に回転する場合、部品2は常に同じ方向に配向されることになる。図1の場合においては、部品2は常に、その基部に位置する歯7と同じ垂直方向に配向される。シャフト4が回転すると、部品2の全ての点は、円筒形軸受3の偏心率を理由として、円形軌道を描き、円形軌道の半径は円筒形軸受3からシャフト4の回転軸線までの偏心距離に対応する。
【0016】
ホイール1は、このホイールの中心に位置する軸8を中心にして回転できるように組付けられている。シャフト4が1回転する場合、部品2の歯7は、ホイール1のノッチ内に再進入し、シャフト4との関係における部品3の偏心直径よりも少し短い周辺距離にわたりホイールを回転駆動する。シャフト4が回転する間に部品2の歯は、ノッチから脱出する。
【0017】
図2〜7は、ホイール1のノッチとの関係における歯7の異なる位置を示す。円筒形軸受3がその偏心のためホイール1とは反対側にある場合、歯7はノッチから完全に脱出する(図2参照)。漸進的に、シャフト4が回転すると、歯は、垂直であり続けながら、ホイールに接近しノッチ内に再進入する(図3及び4参照)。シャフト4が180°回転し、軸受3がホイール1に向かって配向された時点で、歯7はノッチ内に最大限進入する(図5参照)。この時点で、軸4の回転は、円形ではあるもののホイール1の回転軸線上に心合せされた仮想円に対して接線方向である円形軌道上でアーム2の運動を誘発することになる、ということを指摘することができる。歯7の円形運動及びホイール1のノッチの円形運動は、両方共ほぼ一体となっている。したがって歯7によるホイール1の駆動は、極めてわずかな摩擦しか伴わず、したがって機械的効率はほぼ100%である。同様に、この伝達がほとんど摩擦を伴わないこと及びシャフト4のレベルにボールベアリング他又は滑り軸受が存在することにより、シャフト4が自由に回転でき、ホイールに対しトルクを加えた場合、歯7に対するノッチの縁部の押圧力はシャフト4の回転を誘発することになるということも指摘できる。この特徴は、運動の可逆性を可能にする。すなわちホイール1を回転させることでシャフト4を回転させる可能性を提供する。このとき、回転速度はホイール1のノッチ数だけ倍増される。
【0018】
シャフト4が回転する間に、歯7はノッチから脱出する(図6及び7参照)。この場合、ホイール1は、もはやアーム2により駆動されず、したがって、ホイールはその軸8を中心に自由に回転し得ると考えられる。これを回避するため、そして、ホイール1が、そのノッチの1つの中に係合した少なくとも1つの歯により常に精確に位置付けされるように、同じ軸上に組付けられ剛性的に組立てられたノッチ付きの少なくとも3つのホイール、及び各々少なくとも1つの歯7を含みシャフト4によって駆動される少なくとも3つのアーム2を積み重ね、シャフト4の回転がいかなる点にあっても、ホイール1のノッチ内に係合された歯7が少なくとも1つ存在するような形で、これらを配置することが有利である。
【0019】
図8は、このような配置を示す。ホイールは、固定的に共に組立てられた3つの部分1.1、1.2、1.3を含む。このホイールは、その軸8を中心にして回転することができるように組付けられている。3つの部分1.1、1.2、1.3のノッチはずらされている。シャフト4とホイール1の間の運動伝達アーム2.1、2.2、2.3(つまり、前述の3つのアーム2)は、各々1つの歯7を含み、各々シャフト4のそれぞれの偏心した軸受3上に組付けられる。これらの軸受3は、好ましくは規則的にシャフト4の回転軸線を中心にして角度的にずらされている。こうして、これらの軸受は、3つの歯と3つのホイール1の付いたシステムの場合には約120°だけずらされ、4つの歯7と4つのホイール1の付いたシステムの場合には90°だけ、といった具合にずらされる。シャフト4の回転軸線に対する偏心率の値は、異なる軸受について同じである。したがってシャフト4は、図11に例示されている通り、少なくとも3つの軸受3.1、3.2、3.3を伴うクランク軸の形を有する。これは、二次シャフト5の場合にも同様である(これは、シャフト5の軸受に3’.1、3’.2、3’.3の参照番号が付されている図23中の別の実施形態について見ることができる)。シャフト4の回転の際に、各歯は、それに対応するホイールのノッチ内に再進入する。1つの歯がそのノッチから脱出すると、別の部品の別の歯が、それに対面するホイールのノッチ内に係合される。例えば、軌道が120°ずらされた3つの歯の付いたシステムでは、1つのホイールのノッチ内に係合された歯が常に1つ存在するよう保証することができる。そして、対応するホイールのノッチ内に係合された歯が常に1つあることから、3つのホイール全体が常に、決まった形で位置付けされることになる。シャフトが1回転した場合、3つのホイール全体は、1ノッチの値だけ回転したことになる。ホイールが、シャフト4の一回転について100個のノッチを各々含む場合、ホイールは、1ノッチの値だけ、つまり1/100回転だけ回転することになる。このとき、装置は1/100の減速比を有する回転減速機として挙動する。
【0020】
アーム2.1、2.2、2.3が、同じ角度だけずらされたクランク軸の軸受上に組付けられることから、シャフト4と二次シャフト5は、機械的に連結され、アーム2の恒常な向きを保証する外部装置無しで共に同期的に回転することになる。なお、2つのシャフトのいずれか一方を駆動シャフトとして、他方を二次シャフトとして無差別に使用することが可能である。
【0021】
シャフト4上及び二次軸5上のクランク軸の軸受の偏心値は、歯が、ホイールと接触する時点でノッチのちょうど正面に来るように、精確に計算される。偏心率は非常に小さく、直径100mmのノッチ付きのホイールで1/100の比の減速機について例えば0.6mmであるが、可動部品がボールベアリング、ローラーベアリング又はニードルベアリング又は滑りリング又は滑り軸受を用いて組付けられることで摩擦は除去され、可逆性が可能となる。すなわち、ホイール1上にトルクを加えた場合、当然シャフトの運動に抗うものが何もなければ、シャフトの回転が誘発されることになる。
【0022】
シャフト4の軸受3上に組付けられると同時に二次シャフト5の軸受3’上にも組付けられる少なくとも3つのアーム2の存在は、2つの軸受が2つのシャフト上で同一の偏心を示し、これらの軸受が180°未満の角度で互いに角度的にずらされており、これらの角度的ずれがシャフト4及び二次シャフト5上で同一であることから、シャフト4と二次シャフト5間の運動伝達を実現できるようにする。
【0023】
図8の配置以外の部品配置も可能である。
【0024】
図9は、ホイール1が上から下に整列させられた一連のノッチを有している一実施形態を例示する。常に少なくとも1つの歯がノッチ内に係合されているようにするためには、アーム2の歯7は、図10上に示されている通り、それらの軸受3の位置に応じて側方にずらされる。
【0025】
図12及び13では、明確さを期して、1つのホイール、1つの歯及びこの歯を担持する1つのアームしか描かれていないが、実際には、重ね合わされたものが少なくとも3つ存在する。
【0026】
図12上で、シャフト4及び二次シャフト5は、ホイールから同じ距離のところに配置されている。ホイール1の軸8との関係におけるシャフト4及び5の位置は、作動に影響を及ぼさず、任意のものであってよい。
【0027】
図13では、ノッチは中空であるクラウン11の内部にあり、駆動シャフト及び二次シャフトは前記クラウンの内部に位置する。
【0028】
あらゆる場合において、シャフト及び二次シャフトは、1つ以上の歯7を担持するアーム2の恒常な向きを保証するため同期的に回転する。そして、常に1つのノッチ内に1つの歯が係合されているように、少なくとも3つの歯と3つのホイールを伴う重ね合わされた少なくとも3つの部品2が存在する。
【0029】
切削作業は一種だけであり、容易にアクセスできるホイールの外部上で行なわれることから、このタイプの減速機の製造はより容易で、ひいてはより経済的なものとなる。
【0030】
もう1つの考えられる構造は、図14〜19によって例示されている実施形態の場合のように、厚みがアーム2の合計厚みより小さい、より薄いホイール1を使用することにある。この場合、3つ以上のアーム2の歯7は、ホイール1に隣接する又は隣り合うノッチ内に再進入する。図19中に歯及びホイールの配置を見ることができる。図15は、分解組立図を示しており、部品は所定の場所にないが互いとの関係において適正に配向されている。各アーム2はそれぞれ7.1、7.2、7.3と参照番号が付された1つの歯を含む。図16は、減速機内におけるその所定の場所にある同じ部品を示し、ここでその歯は、3つの歯がホイールのノッチのちょうど正面に来るような形で組み込まれている。作動原理は同一のままである。アーム2は常に、ベアリングの軸受により誘導されて、回転状態にある。3つのアーム2の歯は、少なくとも1つの歯が常にホイールのノッチ内に係合されるような形で、ホイールのノッチ内に進入する。図17は、側方アーム2の1つを示しており、歯はこの場合上に向かってはみ出している。図18は、組立てられた3つのアーム2を示しており、中央部分すなわち中央の部品2.2の厚みを含むゾーン内に、3つの歯が存在している。歯がホイールのノッチ内に再進入するのは、このゾーン内においてである。図19は、3つの歯がホイールの3つの隣接するノッチに対面している状態を示す。より薄いホイールを伴うこの構造は、より製造が簡単であり、したがってより安価である。これは同様により軽量でもある。
【0031】
より一般的には、装置は以下のような好ましい特徴を有する。シャフト4及び二次シャフト5は、同じ偏心率を有する少なくとも3つの軸受3を有し、軸受は、そのシャフトの回転軸線を中心として180°未満の角度だけ互いに離隔されており、シャフト4から二次シャフト5への回転運動の伝達を可能にしている。シャフト4及び二次シャフト5は、それらの軸が平行になりそれらがその軸を中心として回転できるような形で、ボールベアリング、ローラーベアリング又はニードルベアリングあるいは滑りリング又は滑り軸受により同じ機械的アセンブリ内で既定の位置に維持され、シャフト4は1つの機械的エネルギー源に連結され、二次シャフト5はアーム2によりシャフト4にしか連結されていない。減速機は、少なくとも3つのアームを含み、これらのアームの歯の隆起した形態は、可動機構のノッチのくぼんだ形状に対応する。減速機は少なくとも3つのアーム2を含み、その歯7は可動機構1のノッチ内に係合でき、そのシャフト4及び二次シャフト5の軸受の角度的ずれは、シャフト4のあらゆる回転角度について、アーム2の少なくとも1つの歯が可動機構1のノッチ内に係合されることを意味している。別の実施形態によると、ホイール1は、図20に例示されているように、ラックによって置換されている。この場合、シャフト4の回転運動は、ラックの直線運動へと変換される。シャフト4が一回転すると、クランク軸との関係におけるモータの相対的位置は、ラックの2つのノッチ間の距離の値だけずらされる。
【0032】
図21〜23に例示されている別の実施形態によると、アーム(参照番号2.1、2.2、2.3参照)は、ホイール1のノッチに対応する多くの歯を含むことができる。以上の実施形態の場合と同様に、アームの歯は、ホイールのノッチ内に漸進的に係合し、ホイールの位置付けの連続性を保証する。アーム上の歯の位置は、歯が円形に配置されるようなものであり、これは、可動機構の直径よりもわずかに大きい直径(好ましくは各アームについて同一)を有するクラウンの一部分に対応すると考えられる。例えば、ここではホイールとしての体裁をとる可動機構がその周囲に60個のノッチを有する場合には、アームの歯は、60分の61の比率でホイールの直径よりもわずかに大きい直径上に配置された61の歯を有するクラウンの一部分を形成すると考えられる。この場合、装置は1/60の減速比を有する。駆動シャフトが一回転するとき、ずれが発生し、同じ歯がホイールの同じノッチ内に再係合することはなく、当初に比べて1つ以上のノッチ分だけずらされた別のノッチ内に再係合する。ずれの方向は、シャフト4及び5の回転方向に結び付けられる。図21は、シャフト4及び5の上に組付けられ、その多数の歯が一定の位置においてホイール1のノッチ内に係合している3つのアーム2.1、2.2、2.3を表わす。図22は、シャフト4及び5上に組付けられた3つのアーム2.1、2.2、2.3を表わしているが、ここでは、アーム上の複数の歯を見せるように、ホイールは表現されていない。図23は、シャフト4の軸受3.1、3.2、3.3及び軸受3’.1、3’.2、3’.3の偏心率及びシャフト3及び5上における軸受の同一の配置を示すため、ホイール1もアーム2も無しで、シャフト4及び5を表わしている。この実施形態における歯の作動は、わずかに少なめの歯数を有するホイールと噛合う内歯面を伴う完全なクラウンを含む減速機のものと類似である。この場合、最も適切な歯の形状は、インボリュート形の歯車装置のものに似通っているが、一方で、アームが唯一の歯しか有していない場合、それらの形状は、好ましくは正方形である。多くの歯を伴うこの実施形態の利点は、以下の通りである。
複数の歯が同じ瞬間にその対応するノッチと接触していることから、応力の伝達の漸進性がより優れたものである。
あらゆる瞬間において、完全にそのノッチ内に係合されている歯が1つ存在し、この時点でその軌道は接線方向であることから、摩擦が制限される。
歯が1つしか付いていない減速機の場合には、歯の軌道及びノッチの軌道がその接触時点で接線方向でない一方で歯がノッチ内に完全に係合された場合にはそれらの軌道は接線方向であることから、歯がそのノッチと再び接触に入る瞬間と歯が完全に係合されている瞬間の間にはわずかな伝達比の差が存在するのに対して、この場合伝達は同速度である。
サイクロイド減速機に比べて、上述の減速機では、大きい直径の中空出力軸を使用できることから、ケーブル及び管を通過させることが可能となり、これらのケーブル及び管は、回転軸線から遠く離れて設置された場合に比べて減速機の出力シャフトの回転の際に受ける運動がより小さい。
この実施形態においては、完全なクラウンの場合では不可能である、研削用砥石などの場所をとる工具のアクセスが可能であることから、アームの歯の機械加工作業は、容易である。
【0033】
同様に、完全なクラウンを実現するまでアームの歯数を増大させることも可能である。この実施形態は、図24及び25に例示されている。このとき、最も有利な配置は、ホイール1の各々の側にシャフト4及び5を互いに離して設置することからなる。シャフト間の大きな距離は、優れた安定性を保証する。この実施形態においては、アーム2.1、2.2、2.3は常にホイール1と嵌合している。この実施形態は、図21の実施形態のものと同じ利点をより一層顕著にもたらす。すなわち、
非常に優れた漸進性、
各アームの歯が常時係合されていることによる、非常に優れた耐摩耗性、
同速度の伝達、
大直径の中空軸、
駆動シャフト及び二次シャフトは、出力シャフトの軸から離れており、これらのシャフトをその2つの端部で軸受により支持することが可能であり、こうしてそれらの剛性は増大する。このことは、外部クラウンがベルの形をしているサイクロイドタイプの減速機の場合、不可能である。
【0034】
偏心軸受を伴ってシャフト上に組付けられた1つ又は2つのアームを有する装置が知られている。例えば、仏国特許出願第2,833,673号は、2つの偏心輪上に組付けられその同期的運動が3つの歯付きホイールによって確保されている1つのクラウンしかない装置を開示している。構造上その作動に必要な遊びを有している歯付きホイールを利用することで、減速機は全体として比較的大きい遊びを有することになる。本発明の利点は、歯付きホイール又はホイールやベルトによる動力伝達装置などの補足的装置無く2つのシャフト間の運動の同一性を保証しかつベアリング又は軸受にしか由来しないことから非常に小さいものであり得る作動の遊びと理由として優れた精度を有する180°未満ずらされた軸受と3つ以上のアームとを利用するということに由来する。
【0035】
図24及び25と比べて逆の形である別の実施形態において、アームは各々、内部でノッチが円周方向に分布しているクラウンの形で実現された可動機構のノッチと係合するため、その外周全体に分布した歯を有する歯付きホイールで構成されている。したがって各ホイールは、シャフト4、5の回転角度の如何に関わらず、それ自体に平行であり続けるような形で、シャフト4の第1の偏心軸受及びシャフト5の第2の偏心軸受の上に組付けられる。
【0036】
一般に、アームについても可動機構(これはこのとき歯車又はクランク軸の形をしていてよい)についても歯付きクラウンを全く利用しない実施形態は、極めて容易に製造できるということが指摘される。この製造の容易さは、アーム2が各々唯一の歯7又は限定数の歯7しか有していない場合にさらに増大する。
【0037】
当然のことながら、本発明は、説明され図示された実施例及び実施形態に限定されず、当業者にとっては理解しやすい多くの変形形態の対象となり得る。
【0038】
別の態様によると、本発明は同様に、運動伝達装置において、
長手軸線を中心として回転するように組付けられたシャフトと、
一連のノッチを有する可動機構と、
シャフトと可動機構の間の運動を共同して伝達するための複数のアームと、
を含む装置であって、
各アームが可動機構のノッチと協働するために少なくとも1つの歯を具備しており、
各アームが、軸との関係において偏心している軸受上に連接されており、この軸を中心として軸受が回転するように組付けられており、この軸受及びシャフトは、同期的に回転するように互いに結合されており、
可動機構及び各アームは、アームが連接されている偏心軸受の回転毎に、アームが一回の周期運動を描くように機械的に案内されており、この周期運動には、
アームのいくつかの歯が可動機構との嵌合から解放されている段階と、
一方の移動が他方の移動を駆動するように可動機構のノッチとアームの少なくとも1つの歯の係合によりアームの上記の歯が可動機構と嵌合した状態にある段階と、
が連続的に含まれており、ここで、偏心軸受は、シャフトの回転角度の如何に関わらず可動機構と嵌合しているアームが少なくとも1つ存在するように、互いとの関係においてそれらの軸を中心として角度的にずらされており、かつ、ここで、各アームは、周期運動全体にわたりアームが組付けられている軸受と同時にアームを機械的に誘導するのに役立つ要素を有している、運動伝達装置をも提案している。
【0039】
偏心軸受に角度的ずれがあること、そして組付けられている軸受と同時の周期運動全体にわたり機械的にアームを誘導するのに役立つアームの同じ要素を援用することには、複数の利点がある。こうして欧州特許第155497号の場合のような3つの半径方向のアームの存在を必要としないことによって、シャフトと可動機構の間の運動伝達機構を特に簡略化することが可能になる。さらに、可動機構は、米国特許第5,351,568号、独国特許第312164号及び欧州特許第155497号の場合がそうであるように、可動機構は、内歯面付きクラウン以外のものであってもよい。
【0040】
好ましい実施形態によると、本発明は、以下の特徴をさらに含む。
各アームは、周期運動全体にわたりスリット又は溝の中を摺動する突起によって、機械的に誘導される。
偏心軸受は、シャフト上に配置されている。
任意の2つの連続する軸受間の角度的ずれは180°未満である。
軸受は、その回転軸線を中心にして規則的な形で互いに角度的にずらされている。
アームの少なくとも1つの歯は、同じ一連のノッチと協働する。
可動機構は、並んで配置された複数の一連のノッチを有し、各連のノッチは他の連のノッチとの関係においてずらされており、各アームの少なくとも1つの歯は別の一連のノッチと協働する。
アームは、ボールベアリング又はニードルベアリングあるいは滑りリングにより軸受上に組付けられている。
可動機構は、並進誘導されるラックである。
可動機構は、その中心軸を中心にして回転するように組付けられ、その上には円周方向にノッチが配置されているホイールである。
可動機構は、その中心軸を中心にして回転するように組付けられ、その上には円周方向にノッチが配置されているクラウンである。
装置は、入力端であるシャフトを有し、好ましくは少なくとも1/50の減速比を有する減速機を形成している。
【0041】
この態様にしたがった本発明の装置は、ロボットアームの関節に対してモータの回転運動を伝達するため、又はモータの回転運動から機械の要素を移動させるためにも同様に使用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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