特許第6781454号(P6781454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6781454-足場板連結具及び足場板の連結構造 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781454
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】足場板連結具及び足場板の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/20 20060101AFI20201026BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   E04G7/20 E
   E04G5/08 B
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-184002(P2016-184002)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2017-145679(P2017-145679A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2019年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-24345(P2016-24345)
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】山田 博
(72)【発明者】
【氏名】青山 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】河合 賢樹
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−085854(JP,U)
【文献】 特開2000−240279(JP,A)
【文献】 特開平11−93402(JP,A)
【文献】 特開2003−301602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00−7/34
E04G 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形で平板状のベース部、該ベース部の一対の側辺それぞれから上方に延出している一対の側壁部、及び一対の該側壁部それぞれの上端から前記ベース部の上方に延出している上壁部を有する連結具本体と、
一対の前記側壁部が離隔している幅方向と直交する前後方向に離隔して対をなし、前記ベース部に貫設されている少なくとも一対の孔部と、
前記ベース部の下方で、前記孔部の一対に対応する位置で前記前後方向に離隔して対をなし、前記幅方向にそれぞれ延びている一対の平板体と、
一対の該平板体それぞれの両端部から、前記連結具本体に向かって延出している立延部と、
一対の前記側壁部において、前記立延部それぞれと同軸上で、少なくとも前記ベース部まで貫通するように形成されており、前記立延部が挿通されているスリットと、
前記平板体を前記ベース部に向かって付勢しているコイルバネと、
一対の前記平板体それぞれから突出しており、前記コイルバネの付勢によって前記平板体が前記ベース部に接近した際に、前記孔部を介して前記ベース部より上方に突出し、前記コイルバネの付勢に抗して前記平板体が前記ベース部から離隔した際に前記孔部の縁より下方に没入する突起部と、を具備し、
前記コイルバネは、前記スリット内でピン状の前記立延部を挿通させており、前記スリットから抜け止めされていると共に、前記立延部を介して前記平板体を付勢している
ことを特徴とする足場板連結具。
【請求項2】
略矩形で平板状のベース部、該ベース部の一対の側辺それぞれから上方に延出している一対の側壁部、及び一対の該側壁部それぞれの上端から前記ベース部の上方に延出している上壁部を有する連結具本体と、
一対の前記側壁部が離隔している幅方向と直交する前後方向に離隔して対をなし、前記ベース部に貫設されている少なくとも一対の孔部と、
前記ベース部の下方で、前記孔部の一対に対応する位置で前記前後方向に離隔して対をなし、前記幅方向にそれぞれ延びている一対の平板体と、
一対の該平板体それぞれの両端部から、前記連結具本体に向かって延出している立延部と、
一対の前記側壁部において、前記立延部それぞれと同軸上で、少なくとも前記ベース部まで貫通するように形成されており、前記立延部が挿通されているスリットと、
前記平板体を前記ベース部に向かって付勢しているコイルバネと、
一対の前記平板体それぞれから突出しており、前記コイルバネの付勢によって前記平板体が前記ベース部に接近した際に、前記孔部を介して前記ベース部より上方に突出し、前記コイルバネの付勢に抗して前記平板体が前記ベース部から離隔した際に前記孔部の縁より下方に没入する突起部と、を具備し、
前記コイルバネは、前記平板体より下方で前記平板体に交差するように前記連結具本体に固定されている平板状の固定板部と、前記平板体との間に介設されて前記平板体を付勢している
ことを特徴とする足場板連結具。
【請求項3】
それぞれの前記突起部は、前記前後方向において前記ベース部に対する外側から内側に向かう方向に、漸次高さが増大するように傾斜している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の足場板連結具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の足場板連結具で、隣接する足場板の端部同士を連結している足場板の連結構造であり、
前記足場板は、
長方形の天面部、及び該天面部の一対の長辺それぞれから延出した一対の側面部によって、長軸方向に直交する方向に切断した断面が下方に開口する略コ字形を形成している足場板本体と、
該足場板本体の両端部それぞれで、長方形の被覆部、該被覆部の一対の長辺の一方から延出した上面部、及び前記被覆部の一対の長辺の他方から延出した下面部によって前記長軸方向に切断した断面が前記長軸方向に開口する略コ字形を形成しており、前記被覆部で前記足場板本体の端部を被覆し、前記上面部を前記天面部に重ね合わせていると共に、前記下面部で一対の前記側面部を連結している端部カバーの一対と、を備えており、
隣接している前記足場板は、それぞれの前記被覆部を対面させた状態で、それぞれの端部を一つの前記足場板連結具における一対の前記側壁部の間に位置させており、
前記突起部の一対のうちの一方が前記孔部から突出しており、隣接している前記足場板の一方の前記下面部と干渉していると共に、前記突起部の一対のうちの他方が前記孔部から突出しており、隣接している前記足場板の他方の前記下面部と干渉している
ことを特徴とする足場板の連結構造。
【請求項5】
一対の前記突起部の間の前記長軸方向の距離は、前記下面部の前記長軸方向の長さの2倍より大きい
ことを特徴とする請求項4に記載の足場板の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場板の端部同士を連結するための足場板連結具、及び、該足場板連結具を使用した足場板の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土木工事や建築工事の現場では、多数の足場板を直列に連設して、作業者や台車等が通行するための通路を形成することがある。これにより、例えば、地面に凹凸があっても、それに影響を受けずに通行することができる。また、シールド工法でトンネルを掘る場合、掘削マシンの後方に形成されるトンネル孔は円筒状であるため、敷設した枕木の上に足場板を架け渡して連設することにより、水平な通路を形成している。
【0003】
このように多数の足場板を直列に連設する場合、従前では、隣接する足場板の端部同士を上下に重ね合わせ、針金を巻回して連結していた。そのため、足場板の連結箇所で通路に段差ができ、歩行者がつまずくおそれがあった。また、台車等の車輪に段差を乗り越えさせる際に、台車を押す作業者の労力負担が大きく、段差を乗り越える際の振動で運搬物の姿勢が不安定となったり落下したりするおそれがあった。更に、多数の足場板を連結するに当たり、連結箇所ごとで針金を巻回する作業に要する手間や時間が、多大であるという問題があった。
【0004】
そこで、連結するための構造を端部に有している足場板も、実施されている。例えば、足場板の両端部にそれぞれ凸部と凹部の一対を備えており、且つ、一方の端部と他方の端部とで凸部と凹部の位置が互い違いとされた足場板が使用されている。このような構成により、隣接する二枚の足場板間で、一方の足場板の凸部を他方の足場板の凹部に嵌め込むことにより、足場板を連結することができる。
【0005】
しかしながら、連結のための特殊な構造を有している足場板は、そのような構造を有している足場板同士でなければ連結することができない。ところが、実際の現場では、特殊な構造を有していない汎用の足場板を、事業者は既に大量に所有しており、工事にも大量の足場板を要するため、その全てを特殊な構造の足場板に切り替えることは実際的ではない。また、レンタル業者から足場板を含む資材を借り受けて工事を行う事業者も多いが、レンタル業者が扱っている足場板は、一般的には、特殊な構造を有していない汎用の足場板である。
【0006】
加えて、隣接する足場板の一方の凸部を他方の凹部に嵌め込んで連結する従来の足場板は、多数を連結した後で、一部の足場板のみを取り外すことができない点で、不便であった。
【0007】
そのため、連結のための構造を端部に有していない汎用の足場板を、端部同士を上下に重ね合わせることなく、簡易に連結することができ、多数の足場板を連結した後でも、一部の足場板のみを取り外すことができる足場板連結具が、要請されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、連結のための構造を端部に有していない汎用の足場板を、端部同士を上下に重ね合わせることなく、簡易に連結することができ、多数の足場板を連結した後でも、一部の足場板のみを取り外すことができる足場板連結具、及び該足場板連結具を使用した足場板の連結構造の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる足場板連結具(以下、単に「連結具」と称することがある)は、
「略矩形で平板状のベース部、該ベース部の一対の側辺それぞれから上方に延出している一対の側壁部、及び一対の該側壁部それぞれの上端から前記ベース部の上方に延出している上壁部を有する連結具本体と、
一対の前記側壁部が離隔している幅方向と直交する前後方向に離隔して対をなし、前記ベース部に貫設されている少なくとも一対の孔部と、
前記ベース部の下方で、前記孔部の一対に対応する位置で前記前後方向に離隔して対をなし、前記幅方向にそれぞれ延びている一対の平板体と、
一対の該平板体それぞれの両端部から、前記連結具本体に向かって延出している立延部と、
一対の前記側壁部において、前記立延部それぞれと同軸上で、少なくとも前記ベース部まで貫通するように形成されており、前記立延部が挿通されているスリットと、
前記平板体を前記ベース部に向かって付勢しているコイルバネと、
一対の前記平板体それぞれから突出しており、前記コイルバネの付勢によって前記平板体が前記ベース部に接近した際に、前記孔部を介して前記ベース部より上方に突出し、前記コイルバネの付勢に抗して前記平板体が前記ベース部から離隔した際に前記孔部の縁より下方に没入する突起部と、を具備する」ものである。
【0010】
そして、本構成において「コイルバネ」は、「前記スリット内でピン状の前記立延部を挿通させており、前記スリットから抜け止めされていると共に、前記立延部を介して前記平板体を付勢している」構成、或いは、「前記平板体より下方で前記平板体に交差するように前記連結具本体に固定されている平板状の固定板部と、前記平板体との間に介設されて前記平板体を付勢している」構成、とすることができる。
【0011】
上記で規定しているように、本書面では、連結具において一対の側壁部が離隔している方向を「幅方向」とし、幅方向に直交している方向を「前後方向」としている。また、「上方」及び「下方」は、足場板が水平となるように連結する場合の連結具における「上方」及び「下方」を指している。
【0012】
上記構成において「孔部」は、前後方向に離隔している二つを一対として「少なくとも一対」が設けられる。一対の平板体は、孔部の一対にそれぞれ対応した位置にあり、平板体から突出している突起部は、孔部を介してベース部より上方に突出する構成である。従って、複数対の孔部を設ける場合は、一対の平板体それぞれにおいて、孔部の対の数と同数の突起部を、孔部と対応する位置に設けると良い。
【0013】
上記構成の連結具で連結する対象の足場板は、連結のための構造を端部に有していない汎用の足場板であり、仮設工業会の基準に則った基本的な構成において共通している足場板である。共通している基本的な構成として、連結対象の足場板は、足場板本体と、足場板本体の両端部それぞれに設けられた一対の端部カバーとを有している。ここで、足場板本体は、長方形の天面部、及び天面部の一対の長辺それぞれから延出した一対の側面部によって、長軸方向に直交する方向に切断した断面が下方に開口する略コ字形を形成している。また、端部カバーは、長方形の被覆部、被覆部の一対の長辺の一方から延出した上面部、及び被覆部の一対の長辺の他方から延出した下面部によって、足場板本体の長軸方向に切断した断面が長軸方向に開口する略コ字形を形成しており、端部カバーの被覆部で足場板本体の端部を被覆し、端部カバーの上面部を足場板本体の天面部に重ね合わせていると共に、端部カバーの下面部で足場板本体の一対の側面部を連結している。
【0014】
上記構成の連結具を使用して、上記構成の汎用の足場板の二枚を、次のようにして直列に連結することができる。まず、連結具において、一対の平板体のうちの一方の両端部から連結具本体に向かってそれぞれ延出している一対の立延部に、コイルバネの付勢に抗して押し下げる力を作用させる。これにより、平板体をベース部から離隔させ、突起部をベース部における孔部の縁より下方に没入させることができる。この状態で、連結対象の二枚の足場板の一方の端部を、連結具においてベース部と一対の側壁部とで形成されている空間内に、前後方向に進入させる。そして、足場板の下面部が、その時点で離隔させている平板体から突出している突起部の位置を超えた段階で、立延部を押し下げている力を除く。これにより、コイルバネの付勢によって平板体がベース部に接近し、突起部が孔部を介してベース部より上方に突出する。
【0015】
同様に、連結具において、一対の平板体のうちの他方の両端部から連結具本体に向かってそれぞれ延出している一対の立延部に、コイルバネの付勢に抗して押し下げる力を作用させ、突起部を孔部の縁より下方まで没入させた状態とし、連結対象の二枚の足場板の他方の端部を、反対方向から連結具内の空間に進入させる。そして、足場板の下面部が、その時点で離隔させている平板体から突出している突起部の位置を超えた段階で、立延部を押し下げている力を除けば、突起部が孔部より上方に突出する。
【0016】
本構成の連結具では、コイルバネが平板体を、ベース部に接近する方向に向かって常に付勢している。換言すれば、突起部は、孔部から上方に突出する方向に常に付勢されている。従って、上記のように連結された二枚の足場板は、どちらを連結具から引き出そうとしても、その足場板の下面部と連結具の突起部との干渉によって引き出せない状態であり、対面させたそれぞれの端部を連結具内の空間に位置させた状態が維持される。つまり、一つの連結具によって、二枚の足場板の端部同士を、しっかりと連結することができる。また、足場板の端部の上方には、連結具の上壁部が存在するため、上方に向かう外力が足場板に作用しても、足場板が連結具から外れることがなく、連結状態が維持される。
【0017】
そして、多数の足場板を同様に連結した後であっても、次のように、一枚の足場板のみを取り外すことができる。すなわち、立延部に対して押し下げる力を作用させることにより、一対の平板体の双方をベース部から離隔させ、双方の平板体から突出している突起部をそれぞれ孔部の縁より下方に没入させる。このようにして、連結具の突起部が足場板の下面部と干渉しなくなった状態とした上で、二枚の足場板の一方に向かって連結具をスライドさせる。取り外したい足場板の両端部の連結具について、その前後方向における端部が足場板の端部を越えて突出しない位置までスライドさせれば、その足場板を取り外すことができる。
【0018】
以上のように、本構成の連結具により、足場板の端部同士を上下に重ね合わせることなく、足場板を連結することができる。また、連結具の突起部と足場板の下面部との干渉による連結であり、連結状態はコイルバネによって突出方向に付勢されている突起部によって維持される。つまり、ボルト等の何らかの部材で連結状態を固定する作業が不要であり、連結の作業が簡易である。加えて、多数の足場板を連結した後でも、一部の足場板のみを、簡易な作業で取り外すことができる。
【0019】
なお、連結具のベース部は「平板状」であり、ベース部に対して下方から離隔接近する構成も「平板体」である。また、平板体の下方に「固定板部」を具備する場合も、その固定板部は平板状である。そのため、連結された足場板によって形成される通路は、連結具に影響を受けることなく平坦となる。
【0020】
本発明にかかる足場板連結具は、上記構成に加え、
「それぞれの前記突起部は、前記前後方向において前記ベース部に対する外側から内側に向かう方向に、漸次高さが増大するように傾斜している」ものとすることができる。
【0021】
コイルバネの付勢によって突起部が孔部から上方に突出している状態で、連結具内の空間に足場板の端部を進入させていくと、足場板の下面部は突起部に当接するが、本構成の突起部は、足場板の進入方向に漸次高さが増すように傾斜している。従って、足場板を進入させる力によって、足場板の下面部が突起部を徐々に押し下げるような力が作用し、コイルバネの付勢に抗して平板体がベース部から徐々に離隔する。
【0022】
そして、更に足場板を押し進めて行くと、足場板の下面部と突起部との接触がなくなった時点で、コイルバネの付勢によって突起部が一気に孔部から突出する。
【0023】
従って、本構成の連結具によれば、手操作で立延部を押し下げ、下面部が突起部を超えたタイミングで押し下げている力を除くという作業を要することなく、足場板の端部を連結具内の空間に押し込むだけの極めて簡易な作業で、足場板を連結することができる。
【0024】
次に、本発明にかかる足場板の連結構造(以下、単に「連結構造」と称することがある)は、
「上記に記載の足場板連結具で、隣接する足場板の端部同士を連結している足場板の連結構造であり、
前記足場板は、
長方形の天面部、及び該天面部の一対の長辺それぞれから延出した一対の側面部によって、長軸方向に直交する方向に切断した断面が下方に開口する略コ字形を形成している足場板本体と、
該足場板本体の両端部それぞれで、長方形の被覆部、該被覆部の一対の長辺の一方から延出した上面部、及び前記被覆部の一対の長辺の他方から延出した下面部によって前記長軸方向に切断した断面が前記長軸方向に開口する略コ字形を形成しており、前記被覆部で前記足場板本体の端部を被覆し、前記上面部を前記天面部に重ね合わせていると共に、前記下面部で一対の前記側面部を連結している端部カバーの一対と、を備えており、
隣接している前記足場板は、それぞれの前記被覆部を対面させた状態で、それぞれの端部を一つの前記足場板連結具における一対の前記側壁部の間に位置させており、
前記突起部の一対のうちの一方が前記孔部から突出しており、隣接している前記足場板の一方の前記下面部と干渉していると共に、前記突起部の一対のうちの他方が前記孔部から突出しており、隣接している前記足場板の他方の前記下面部と干渉している」ものである。
【0025】
これは、連結のための構造を端部に有していない汎用の足場板を、上記構成の連結具で連結している連結構造である。
【0026】
本発明にかかる足場板の連結構造は、上記構成において、
「一対の前記突起部の間の前記長軸方向の距離は、前記下面部の前記長軸方向の長さの2倍より大きい」ものとすることができる。
【0027】
上記のように、本発明の連結構造では、連結具の突起部と足場板の下面部との干渉によって、足場板の端部同士が連結されているが、本構成では、一対の突起部の長軸方向の距離、すなわち連結具において前後方向に離隔している一対の突起部間の距離は、同方向における足場板の下面部の長さの2倍より大きい。従って、二枚の足場板を一つの連結具で連結した状態で、足場板の端部同士の間(端部カバーの被覆部同士の間)に、隙間を設けることができる。
【0028】
そのため、隙間の分だけ、一方の足場板の長軸方向に対して、他方の足場板の長軸方向を傾けることが可能である。これにより、直列方向に連設される足場板により形成される通路を、容易にカーブさせることができる。これは、端部の凸部と凹部とで連結する従来の足場板では実現できなかったことであり、大きな利点である。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明の効果として、連結のための構造を端部に有していない汎用の足場板を、端部同士を上下に重ね合わせることなく、簡易に連結することができ、多数の足場板を連結した後でも、一部の足場板のみを取り外すことができる足場板連結具、及び該足場板連結具を使用した足場板の連結構造を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第一実施形態である足場板連結具について、(a)突起部が孔部から突出している状態の斜視図、及び、(b)突起部が孔部に没入している状態の斜視図である。
図2図1の足場板連結具の底面図である。
図3】(a)図1(a)の状態の側面図、及び、(b)図1(b)の状態の側面図である。
図4】(a)図3(a)におけるA−A線断面図、及び、(b)図3(b)におけるB−B線断面図である。
図5】(a)〜(c)図1の足場板連結具による足場板の連結を説明する図である。
図6】(d)図5に引き続き、図1の足場板連結具による足場板の連結を説明する図、及び、(e)図1の足場板連結具で足場板を連結した構造を示す断面図である。
図7図1の足場板連結具で足場板を連結した構造を示す斜視図である。
図8】連結した足場板の一部を取り外す作業の説明図である。
図9図1の足場板連結具の連結対象の足場板について、(a)端部を上から見た斜視図、及び、(b)端部を下から見た斜視図である。
図10】本発明の第二実施形態である足場板連結具について、(a)突起部が孔部から突出している状態を上方から見た斜視図、及び、(b)同じ状態を下方から見た斜視図である。
図11図10の足場板連結具について、(a)突起部が孔部から突出している状態の断面図、及び、(b)突起部が孔部に没入している状態の断面図である。
図12】(a)図10の足場板連結具による足場板の連結を説明する図、及び、(b)図10の足場板連結具で足場板を連結した構造を示す断面図である。
図13】第一実施形態の変形例である足場板連結具の(a)突起部が孔部から突出している状態の斜視図、及び、(b)突起部が孔部に没入している状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の第一実施形態である足場板連結具1(以下、単に「連結具1」と称する)、及び、連結具1を使用した連結構造について、図1乃至図8を用いて説明する。まず、連結具1の構成について説明する。
【0032】
連結具1は、略矩形で平板状のベース部11、ベース部11の一対の側辺それぞれから上方に延出している一対の側壁部12、及び一対の側壁部12それぞれの上端からベース部11の上方に延出している上壁部13を有する連結具本体10と、一対の側壁部12が離隔している幅方向と直交する前後方向に離隔して対をなし、ベース部11に貫設されている少なくとも一対の孔部15と、ベース部11の下方で、孔部15の一対に対応する位置で前後方向に離隔して対をなし、幅方向にそれぞれ延びている一対の平板体20と、一対の平板体20それぞれの両端部から、連結具本体10に向かって延出している立延部21と、一対の側壁部12において、立延部21それぞれと同軸上で、少なくともベース部11まで貫通するように形成されており、立延部21が挿通されているスリット17と、平板体20をベース部11に向かって付勢しているコイルバネ31と、孔部15の真下で一対の平板体20それぞれから突出している突起部25と、を具備している。
【0033】
第一実施形態の連結具1において、立延部21はピン状である。そして、コイルバネ31は、スリット17内で立延部21を挿通させており、スリット17から抜け止めされていると共に、立延部21を介して平板体20を付勢している。
【0034】
より詳細には、連結具本体10において一対の側壁部12は、それぞれベース部11に対して直角に立ち上がっている。また、上壁部13は一対の側壁部12それぞれの上端からベース部11と平行に延出している。つまり、連結具本体10は、幅方向における両端部側で、ベース部11、側壁部12、及び上壁部13によって、内方に向かって開口したコ字形を呈している。
【0035】
また、本実施形態では、前後方向に離隔して対をなす孔部15を、二対備えている。二対のうちの一対をなす孔部15の一方と、他の対をなす孔部15の一方は、幅方向において同一の線上にあり、その真下に、一対の平板体20のうちの一方が幅方向に延びている。また、二対のうちの一対をなす孔部15の他方と、他の対をなす孔部15の他方は、同じく幅方向において同一の線上にあり、その真下に、一対の平板体20のうちの他方が幅方向に延びている。
【0036】
スリット17は、立延部21に対応して形成される構成であり、立延部21は一対の平板体20ぞれぞれの両端から上方に向かって延出している。そのため、一つの連結具1当たり、立延部21及びスリット17の数は、共に四つである。本実施形態のスリット17は、ベース部11から側壁部12の上端まで貫通しており、ベース部11から中途位置までのスリット幅は、それより上方のスリット幅より狭い。この狭いスリット幅は、ピン状の立延部21の直径より僅かに大きく設定されている。
【0037】
コイルバネ31は圧縮バネであり、スリット幅が広い部分のスリット17内で、立延部21によって挿通されている。コイルバネ31の直径は、狭い部分のスリット幅より大きいため、スリット幅が変化している位置より下方への移動が制限されている。また、コイルバネ31の上端は、立延部21の先端近傍に固定されている。これにより、スリット17から上方へのコイルバネ31の抜け止めがなされている。なお、ここでは、コイルバネ31の上端が立延部21の先端近傍に直接的に固着されている場合を、図示により例示しているが、これに限定されない。例えば、立延部21の先端近傍において周方向に凹部を設け、ここにE型止め輪などのストッパを嵌め込むことにより、スリット17から上方へのコイルバネ31の抜け止めとすることができる。
【0038】
本実施形態では、スリット幅が広い部分のスリット17内で、コイルバネ31より下方においてリング32を立延部21に挿通させている。このリング32の直径は、狭い部分のスリット幅より大きい。このリング32があることにより、立延部21を押し下げるような力が作用したときにコイルバネ31を圧縮させる力が、コイルバネ31に対して均等に作用する。また、コイルバネ31は、平板体20がベース部11に当接している状態で僅かに圧縮されており、元に戻ろうとする力によって、スリット17内を上方に移動させる方向に立延部21を常に付勢している。すなわち、コイルバネ31は、平板体20に対してベース部11に向かう方向に付勢する力を、常に作用させている。
【0039】
突起部25は、孔部15に対応して、一対の平板体20それぞれに二つずつ設けられている。それぞれの突起部25は、前後方向においてベース部11に対する外側から内側に向かう方向に、漸次高さが増大するように傾斜している。本実施形態では、突起部25は側面視で直角三角形であり、前後方向における内側の辺がベース部11に対して直角である。なお、連結具1は、幅方向の中心線に対して対称で、且つ、前後方向の中心線に対して対称な構成である。
【0040】
上記構成により、連結具1に外力が作用していない通常時は、コイルバネ31の付勢によって、図1(a)、図3(a)、及び図4(a)に示すように、平板体20はベース部11に当接しており、突起部25は孔部15を介してベース部11より上方に突出している。一方、コイルバネ31の付勢に抗して、立延部21に対して押し下げるような力が作用すると、図1(b)、図3(b)、及び図4(b)に示すように、平板体20はベース部11から離隔し、突起部25を孔部15の縁より下方に没入させることができる。この状態でコイルバネ31は、スリット幅の狭い部分のスリット17によって下降を規制されたリング32と、立延部21の先端との間で圧縮されており、元に戻ろうとする力によって、ベース部11に向かう方向に付勢する力を平板体20に大きく作用させている。
【0041】
上記構成の連結具1による連結対象の足場板5は、図9に端部近傍を示すように、連結のための構造を端部に有していない汎用の足場板5であり、足場板本体50と、足場板本体50の両端部それぞれに設けられた一対の端部カバー60とを有している。足場板本体50は、長方形の天面部51、及び天面部51の一対の長辺それぞれから延出した一対の側面部52によって、長軸方向に直交する方向に切断した断面が下方に開口する略コ字形を形成している。端部カバー60は、長方形の被覆部62、被覆部62の一対の長辺の一方から延出した上面部61、及び被覆部62の一対の長辺の他方から延出した下面部63によって、足場板本体50の長軸方向に切断した断面が、長軸方向における内方に開口する略コ字形を呈しており、端部カバー60の被覆部62で足場板本体50の端部を被覆し、端部カバー60の上面部61を足場板本体50の天面部51に重ね合わせていると共に、端部カバー60の下面部63で足場板本体50の一対の側面部52を連結している。
【0042】
なお、図9では、足場板本体50が、側面部52の下端から、内側に向けて天面部51と平行に延出している底面部53と、天面部51の裏面に設けられた、強度を補強するためのリブ56とを、更に備える場合を例示している。
【0043】
次に、連結具1による足場板5の連結について、主に図5及び図6を用いて説明する。まず、図5(a)に示すように、連結具1に外力が作用しておらず、コイルバネ31の付勢によって突起部25が孔部15から上方に突出している状態の連結具1の内部空間に、一方の足場板5の端部を進入させていく。足場板5の進入に伴い、図5(b)に示すように、足場板5の下面部63が突起部25に当接する。
【0044】
突起部25は、足場板5の進入方向に漸次高さが増すように傾斜しているため、足場板5を進入させる力によって、突起部25を押し下げるような力が作用する。これにより、図5(b),(c)に示すように、コイルバネ31を圧縮しながら立延部21及び平板体20が下降して、平板体20がベース部11から離隔し、足場板5は下面部63で突起部25を徐々に押し下げながら前進する。
【0045】
そして、更に足場板5を押し進めることにより、図6(d)に示すように、足場板5の下面部63が突起部25の上を通過して両者の接触がなくなると、圧縮されているコイルバネ31が元に戻ろうとする付勢力によって、立延部21及び平板体20が上方に一気に移動し、これに伴って突起部25が一気に孔部15から突出する。これにより、足場板5を連結具1から引き出そうとしても、足場板5の下面部63と連結具1の突起部25との干渉により、引き出せない状態となる。つまり、突起部25が、足場板5の引き出し方向の移動に対するストッパとして作用する。本実施形態では、突起部25の内側の辺がベース部11に対して直角であるため、下面部63との当接が安定しており、ストッパとして安定的に作用する。
【0046】
また、足場板5の端部の上方には、連結具1の上壁部13が存在するため、上方に向かう外力が足場板5に作用しても、足場板5が連結具1から外れることがなく、連結状態が維持される。
【0047】
そして、他方の足場板5についても同様に、連結具1の内部空間に反対側から進入させることにより、図6(e)に示すように、二枚の足場板5の端部同士が一つの連結具1によって連結された状態となる。すなわち、隣接している足場板5は、それぞれの被覆部62を対面させた状態で、それぞれの端部を一つの連結具1における一対の側壁部12の間に位置させており、二対の突起部25それぞれにおいて対をなす突起部25の一方が孔部15から突出して、隣接している足場板5の一方の下面部63と干渉していると共に、対をなす突起部25の他方が孔部15から突出して、隣接している足場板5の他方の下面部63と干渉している足場板5の連結構造、が構築される。
【0048】
このように、二枚の足場板5が連結具1によって連結された状態では、一方の足場板5が連結具1の内部に向かう移動に対しては、他方の足場板5がストッパとして作用する。
【0049】
ここで、本実施形態では、図6(e)に示すように、連結具1における一対の突起部25の間の距離L1が、足場板5の下面部63の長軸方向の長さL2の2倍より、1cm〜3cm大きい設定としている。これにより、連結された足場板5の端部同士の間(被覆部62同士の間)に、(L1−2×L2)の隙間Sが生じる。その結果、その隙間Sの分だけ、一方の足場板5の長軸方向に対して、他方の足場板5の長軸方向を傾けることが可能であり、直列方向に連設される足場板5により形成される通路を、カーブさせることができる。
【0050】
次に、多数の足場板5を連結して長い通路を形成した後に、一部の足場板5を取り外す方法について説明する。まず、連結具1の全ての立延部21に対して、コイルバネ31の付勢に抗して押し下げる方向の力を作用させる。これにより、一対の平板体20の双方がベース部11から離隔し、双方の平板体20に形成されている突起部25を、それぞれ孔部15の縁より下方に没入させることができる。このようにして、連結具1の突起部25が足場板5の下面部63と干渉しなくなった状態とした上で、二枚の足場板5の一方に向かって連結具1をスライドさせる。図8に示すように、連結具1の前後方向における端部が足場板5の端部を越えて突出しない位置までスライドさせ、取り外したい足場板5のもう一方の端部を連結している連結具1についても同様にスライドさせれば、その足場板5を取り外すことができる。
【0051】
以上のように、本実施形態の連結具1により、足場板5の端部同士を上下に重ね合わせることなく、足場板5を連結することができる。また、連結具1の突起部25と足場板5の下面部63との干渉による連結であり、ボルト等の部材で連結状態を固定する作業が不要であるため、連結の作業が簡易である。
【0052】
また、突起部25が、足場板5を進入させる方向に高さが漸次増大する傾斜を有しているため、手操作で立延部21を押し下げ、その力を下面部63が突起部25を越えたタイミングで除くという作業を要することなく、足場板5の端部を連結具1内の空間に押し込むだけの極めて簡易な作業で、足場板5を連結することができる。
【0053】
加えて、多数の足場板5を連結した後でも、連結具1をスライドさせるのみで、一部の足場板5を簡易に取り外すことができる。
【0054】
更に、連結された足場板5の端部同士の間に、敢えて隙間Sが形成されるように、一対の突起部25間の距離L1と足場板5の下面部63の長さL2との関係を設定しているため、足場板5の長軸方向を僅かに傾けることが可能であり、足場板5の連結により形成される通路をカーブさせることができる。
【0055】
次に、本発明の第二実施形態である足場板連結具2(以下、単に「連結具2」と称する)、及び、連結具2を使用した連結構造について、図10乃至図12を用いて説明する。連結具2において連結具1と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。連結具2の構成が連結具1の構成と相違する点は、平板体20をベース部11に向かって付勢しているコイルバネの取り付けに関する構造である。連結具1では、コイルバネ31がピン状の立延部21によって挿通されていたのに対し、連結具2は、平板体20より下方で平板体20に交差するように連結具本体10に固定されている平板状の固定板部40を具備しており、固定板部40と平板体20との間にコイルバネ35が介設されている。
【0056】
また、連結具1の立延部21はピン状であったが、連結具2の立延部21bは平板状であり、平板体20を構成する平板材の両端を上方に屈曲させることにより形成されている。これは、連結具1の立延部21とは異なり、コイルバネ35を立延部21bで挿通させる必要がないためである。
【0057】
より詳細に説明すると、連結具2は固定板部40を一対備えている。それぞれの固定板部40は、細長い平板材の両端部を上方に向かって逆L字状に屈曲させた形状であり、屈曲させた両端部がベース部11の下面に固着されている。それぞれの固定板部40は、前後方向に延びており、平板体20とは直交している。固定板部40からは、平板体20との交差位置で上方に向かってピン41が突設されており、このピン41によってコイルバネ35が挿通されている。ピン41の上端は、平板体20に穿設された貫通孔部27に臨んでいる。本実施形態では、一対の固定板部40は、前後方向に離隔して対をなしている二対の孔部15それぞれを結ぶ直線の真下に位置しており、一対の固定板部40それぞれに対して二つのピン41及びコイルバネ35が、対をなす二つの孔部それぞれの真下に位置するように設けられている。また、ピン41は、貫通孔部27を貫通して更に孔部15に臨んでいるが、孔部15の縁より上方には突出しない高さである。なお、固定板部40は、必ずしも孔部15の真下にある必要はないが、その場合のピン41の長さは、ベース部11に平板体20が当接している状態で、平板体20の上面より突出しない長さに設定される。
【0058】
コイルバネ35は、平板体20より上方に抜け出さないように抜け止めされている。本実施形態では、ピン41が貫通する孔部が上端側でコイルバネ35より小径とされることにより、コイルバネ35の抜け止めがなされている。具体的には本実施形態では、平板をL字形に屈曲させて形成される二つの面の一方で突起部25を構成させており、他方の面である支持面部26が平板体20の上面に重畳している。この支持面部26には、貫通孔部28が穿設されており、貫通孔部27と連通している。そして、平板体20の貫通孔部27はコイルバネ35より大径であるが、支持面部26の貫通孔部28はコイルバネ35より小径である。これにより、コイルバネ35は平板体20と支持面部26との境界より上方に抜け出すことはなく、平板体20と固定板部40との間に介設された状態となる。なお、コイルバネ35の抜け止めは、このような構成に限定されず、単純に貫通孔部27をコイルバネ35より小径としても良い。
【0059】
コイルバネ35は圧縮バネであり、ベース部11に平板体20が当接している状態で僅かに圧縮されていることにより、平板体20に対してベース部11に向かう方向に付勢する力を、常に作用させている。そして、コイルバネ35の付勢に抗して、立延部21bに対して押し下げるような力が作用すると、平板体20が固定板部40に近づくように下降するため、平板体20と固定板部40との間でコイルバネ35が圧縮され、元に戻ろうとする力によって、平板体20に対してベース部11に向かう方向に付勢する力をより大きく作用させる。
【0060】
足場板5を連結具2で連結する際は、連結具1の場合と同様に、連結具2の内部空間に、足場板5の端部を進入させていく。これに伴い、足場板5の下面部63との当接により突起部25が押し下げられ、図11(b)及び図12(a)における右側に示すように、コイルバネ35を固定板部40との間で圧縮しながら平板体20がベース部11から離隔する。足場板5の更なる前進に伴い、下面部63が突起部25の上を通過して両者の接触がなくなると、圧縮されているコイルバネ35が元に戻ろうとする付勢力によって、図12(a)における左側に示すように、平板体20が一気に上昇し、これに伴って突起部25が一気に孔部15から突出する。
【0061】
これにより、図12(b)に示すように、隣接している足場板5が、それぞれの被覆部62を対面させた状態で、それぞれの端部を一つの連結具2における一対の側壁部12の間に位置させており、二対の突起部25それぞれにおいて対をなす突起部25の一方が孔部15から突出して、隣接している足場板5の一方の下面部63と干渉していると共に、対をなす突起部25の他方が孔部15から突出して、隣接している足場板5の他方の下面部63と干渉している足場板5の連結構造、すなわち、第一実施形態の連結具1によって隣接する足場板5が連結された構造と同一の連結構造が構築される。
【0062】
そして、上記の連結構造を構築した後でも、連結具1の場合と同様に、連結具2の全ての立延部21bに対して、コイルバネ35の付勢に抗して押し下げる方向の力を作用させることにより、連結具2を足場板5に対してスライドさせ、一部の足場板5を取り外すことができる。
【0063】
なお、図11は、同一の固定板部40から突出している二つのピン41の中心を通る線に沿って、連結具2を幅方向に切断した断面図であり、図12は、対をなす突起部25を通る線に沿って、連結具2及び足場板5を前後方向に切断した断面図である。
【0064】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0065】
例えば、連結具1,2では、孔部15及び突起部25がそれぞれ二対設けられる場合を例示したが、これに限定されない。孔部15が複数対あれば、足場板5を直線的に連結し易いが、孔部15及び突起部25が一対であっても、一対の側壁部12間の距離が足場板5の幅長さに対して適切であれば、足場板5を直線的に連結することができ、その場合でも、上記のように隣接する足場板5の端部間に隙間Sを設ければ、僅かにカーブするように足場板5を連結することが可能である。
【0066】
また、連結具1,2では、スリット17がベース部11から側壁部12の上端まで貫通している場合を例示したが、少なくともベース部11を貫通していれば、スリット17の上端は側壁部12の中途であっても良い。スリット17が側壁部12の上端まで貫通していれば、連結構造を構築した後で一部の足場板5を取り外すために、立延部21,21bを押し下げる操作がし易いが、スリット17の上端が側壁部12の中途高さであっても、その操作は可能である。
【0067】
更に、第一実施形態として、圧縮バネをコイルバネ31として使用している連結具1を例示したが、第一実施形態の変形例として、図13(a),(b)に示すように、引張バネをコイルバネ31bとして使用している連結具1bとすることができる。連結具1bでは、引張バネであるコイルバネ31bの上端はスリット17の周壁に固定されており、下端は立延部21に固定されている。
【0068】
具体的には、スリット17は全長に亘り、ピン状の立延部21及びコイルバネ31bの直径よりスリット幅が広く、上端側で更にスリット幅が広くなることにより段部が形成されている。一方、コイルバネ31bは、上端に大径部分を有しており、この大径部分がスリット17の段部に固定されている。一方、立延部21は、下端側が不連続に大径となって段部が形成されており、この段部にコイルバネ31bの下端が固定されている。ここで、立延部21に対するコイルバネ31bの下端の固定位置は、図13(a)に示すように、平板体20がベース部11に当接している状態で、スリット17における中途の高さである。また、この状態で、コイルバネ31bは僅かに引き伸ばされた状態にある。このような構成により、コイルバネ31bは、スリット17から抜け止めされていると共に、平板体20に対してベース部11に向かう方向に付勢する力を、常に作用させている。そして、立延部21を押し下げるような力が作用すると、コイルバネ31bの下端は立延部21と共に下降するが、コイルバネ31bの上端はスリット17の周壁に対する固定によって下降が規制されているため、コイルバネ31bは引き伸ばされ、元に戻ろうとする力によって、ベース部11に向かう方向に付勢する力を平板体20に大きく作用させる。
【0069】
足場板5を連結具1bで連結する際は、連結具1の場合と同様に、連結具1bの内部空間に、足場板5の端部を進入させていく。これに伴い、足場板5の下面部63との当接により突起部25が押し下げられ、図13(b)に示すように、コイルバネ31bを引き伸ばしながら立延部21及び平板体20が下降し、平板体20がベース部11から離隔する。足場板5の更なる前進に伴い、下面部63が突起部25の上を通過して両者の接触がなくなると、引き伸ばされているコイルバネ31bが元に戻ろうとする付勢力によって、立延部21及び平板体20が一気に上昇し、突起部25が一気に孔部15から突出する。つまり、立延部21を挿通させたコイルバネが、圧縮バネのコイルバネ31であっても、引張バネのコイルバネ31bであっても、平板体20をベース部11に向かう方向に付勢することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1b,2 連結具(足場板連結具)
5 足場板
10 連結具本体
11 ベース部
12 側壁部
13 上壁部
15 孔部
17 スリット
20 平板体
21,21b 立延部
25 突起部
31,31b,35 コイルバネ
40 固定板部
50 足場板本体
51 天面部
52 側面部
60 端部カバー
61 上面部
62 被覆部
63 下面部
L1 一対の突起部の間の長軸方向の距離
L2 下面部の長軸方向の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13