特許第6781497号(P6781497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6781497
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】端面入射型半導体受光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20201026BHJP
【FI】
   H01L31/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-545380(P2020-545380)
(86)(22)【出願日】2020年6月4日
(86)【国際出願番号】JP2020022097
【審査請求日】2020年9月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000161862
【氏名又は名称】株式会社京都セミコンダクター
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】磯村 尚友
(72)【発明者】
【氏名】大村 悦司
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−241746(JP,A)
【文献】 特開2003−142699(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/021362(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
G02B 6/12−6/138、6/42−6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面側に受光部を有し、前記主面に対して平行に入射する光を反射させて前記受光部に入射させる端面入射型半導体受光素子において、
前記半導体基板は、入射する光を吸収するIV族半導体基板であり、
前記半導体基板の光の入射側端部から光の入射方向に沿って、前記受光部を露出させるように形成された導光部と、
記導光部の光の入射方向端部に、前記主面に対して所定の交差角を有するように形成れた反射部と、
前記半導体基板の前記主面に対向する裏面側に、前記導光部に臨むマウント基板反射部を備えたマウント基板とを有し、
前記反射部が入射した光を前記マウント基板反射部に向けて反射させ、前記マウント基板反射部が前記反射部で反射された光を前記受光部に向けて反射させるように構成した
ことを特徴とする端面入射型半導体受光素子。
【請求項2】
前記反射部は、前記半導体基板の(111)面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の端面入射型半導体受光素子。
【請求項3】
前記受光部は、前記導光部に臨む側に反射防止膜を有することを特徴とする請求項1に記載の端面入射型半導体受光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面実装式の受光素子モジュールに好適な端面入射型半導体受光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野では、通信量の急激な増加に対応するため、伝送速度を高速化する開発が行われている。光通信は、送信側から光ファイバケーブル等を介して光信号を送信し、受信側では受光モジュールの半導体受光素子が受信した光信号を電気信号に変換している。受光モジュールは、光ファイバケーブルと半導体受光素子との位置合わせが正確且つ容易であることが好ましく、正確且つ容易な位置合わせを実現可能な平面実装式の受光モジュールが有用である。平面実装式の受光モジュールは、光ファイバケーブルからの入射光が半導体受光素子のマウント基板に平行になるように構成されている。
【0003】
平面実装式の受光モジュールに適した半導体受光素子として、例えば特許文献1のように、半導体基板の表面側に光信号を電気信号に変換する受光部を有し、半導体基板の端面から入射した入射光を反射又は屈折させて受光部に入射させる端面入射型半導体受光素子が知られている。端面入射型半導体受光素子は、半導体基板の主面側を光ファイバケーブルに向けて固定するためのサブマウント基板を用いることなくマウント基板に固定できるので、平面実装式の受光モジュールの製造が容易且つ製造コストを低減可能であり有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3152907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、光通信の光信号には、半導体受光素子の半導体基板に吸収されない概ね1000nm以上の波長の赤外光だけでなく、半導体基板に吸収される1000nm未満の波長の光も使用される。言い換えると、半導体基板は、概ね1000nm以上の長い波長の光に対しては透明であるが、1000nm未満の短い波長の光に対して不透明であり、この短い波長の光を半導体受光素子が受信する場合がある。
【0006】
しかし、特許文献1のような端面入射型半導体受光素子は、半導体基板中を光が進行するように構成されている。それ故、半導体基板に吸収される波長の光を使用する場合には、不透明な半導体基板によって光が減衰して受光部に到達しないので、端面入射型半導体受光素子を利用することができない。
【0007】
本発明の目的は、半導体基板が入射する光に対して不透明な場合でも利用できる端面入射型半導体受光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の端面入射型半導体受光素子は、半導体基板の主面側に受光部を有し、前記主面に対して平行に入射する光を反射させて前記受光部に入射させる端面入射型半導体受光素子において、前記半導体基板は、入射する光を吸収するIV族半導体基板であり、
前記半導体基板の光の入射側端部から光の入射方向に沿って、前記受光部を露出させるように形成された導光部と、記導光部の光の入射方向端部に、前記主面に対して所定の交差角を有するように形成れた反射部と、前記半導体基板の前記主面に対向する裏面側に、前記導光部に臨むマウント基板反射部を備えたマウント基板とを有し、前記反射部が入射した光を前記マウント基板反射部に向けて反射させ、前記マウント基板反射部が前記反射部で反射された光を前記受光部に向けて反射させるように構成したことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、IV族半導体基板に吸収される波長の光に対して、反射部とマウント基板反射部で反射させて受光部に入射させるまで、導光部によって光の吸収を防ぐことができる。従って、半導体基板に吸収される波長の光に対しても端面入射型半導体受光素子を利用することができる。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項の発明の端面入射型半導体受光素子は、請求項の発明において、前記反射部は、前記半導体基板の(111)面に形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、反射部の傾斜角度が自動的に定まり、高い反射率を備えた平滑な反射部を形成できるので、受光感度を向上させることができる。
【0013】
請求項の発明の端面入射型半導体受光素子は、請求項の発明において、前記受光部は、前記導光部に臨む側に反射防止膜を有することを特徴としている。
上記構成によれば、光が導光部から受光部に入射する際の反射を反射防止膜によって低減して、入射した光の大部分を受光部に到達させることができ、受光感度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の端面入射型半導体受光素子によれば、半導体基板が入射する光に対して不透明な場合でも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の参考例に係る端面入射型半導体受光素子の外観図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】エッチングマスク形成工程後の半導体基板裏面を示す図である。
図4図3のIV−IV線断面図である。
図5図1の端面入射型半導体受光素子の変形例を示す図である。
図6】本発明の実施例に係る端面入射型半導体受光素子の外観図である。
図7図6のVII−VII線断面図である。
図8】エッチングマスク形成工程後の半導体基板裏面を示す図である。
図9図8のIX−IX線断面図である。
図10図6の端面入射型半導体受光素子の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【参考例】
【0017】
図1図2は、半導体基板10としてIII−V族化合物半導体基板であるGaAs基板を用いた端面入射型半導体受光素子1Aを示している。端面入射型半導体受光素子1Aは、半導体基板10の(100)面を主面10aとして、主面10a側に光信号を電気信号に変換する受光部11を有する。
【0018】
また、端面入射型半導体受光素子1Aは、主面10a側の表面10bに受光部11で変換された電気信号を外部に取り出すための1対の電極12,13を有する。半導体基板10は、主面10aに対向する裏面10c側がマウント基板14に固定されている。
【0019】
受光部11は、半導体基板10の主面10aにn−AlGaAs層15、i−GaAs層16、n−AlGaAs層17を順に形成し、n−AlGaAs層17の一部にp型拡散領域17aを形成して構成されたフォトダイオードである。また、受光部11のn−AlGaAs層15、p型拡散領域17aに電気的に接続する電極12,13が夫々形成されている。
【0020】
端面入射型半導体受光素子1Aには、表面10bと裏面10c以外の4つの端面のうちの1つの端面10d側の光ファイバケーブルから出射された光が、主面10aに対して平行に入射する。この出射点をPとする。この出射点Pに臨む半導体基板10の端面10d(入射側端部)から光の入射方向に沿って、半導体基板10aの一部が除去された導光部18が形成されている。
【0021】
導光部18の光の入射方向端部には、主面10aに対して所定の交差角θ1を有する反射部19aが形成されている。反射部19aは、導光部18の形成によって露出した半導体基板10の(111)面19に、例えば主としてAu膜を含む金属膜を反射面とした反射膜によって形成されている。露出した半導体基板10の(111)面19は、V族元素のAsによって構成された平滑面であり、主面10aに対して所定の交差角θ1=125.3°の鈍角に連なる。それ故、反射部19aは、平滑な反射面により高い反射率を有する共に、主面10aに対して所定の交差角θ1を有する。
【0022】
受光部11のn−AlGaAs層15は、導光部18の形成によって導光部18に露出する。反射部19aは、露出した受光部11のn−AlGaAs層15に向けて、入射した光を反射させるように構成されている。そして、受光部11のn−AlGaAs層15に向けて反射された光の大部分が受光部11に到達するように、導光部18に臨むn−AlGaAs層15に入射する際の反射を防ぐための反射防止膜20が、露出したn−AlGaAs層15を覆うように形成されている。反射防止膜20は、例えばSiN膜であり、入射する光の波長の1/4の厚さ(例えば850nmの波長の光に対して210nm程度の厚さ)を有する。尚、反射防止膜20を省略することもできる。
【0023】
出射点Pから主面10aに対して平行に出射された光は、矢印付きの折れ線で示すように広がりながら導光部18を通って反射部19aに到達し、反射部19aによって受光部11向けて反射されて受光部11に到達する。端面入射型半導体受光素子1Aの受光部11までの光路には、光を吸収する半導体基板10がないので、半導体基板10に吸収される波長の光に対しても端面入射型半導体受光素子1Aを利用することができる。
【0024】
次に、導光部18の形成方法について、図3図4に基づいて説明する。
主面10a側に受光部11及び電極12,13が形成され、適切な厚さ(例えば150μm)に加工された半導体基板10の表面10bに、保護層21として例えばフォトレジスト層を形成する(保護層形成工程)。この半導体基板10には、直線L1に対して対称に2つの受光部11が形成されている。
【0025】
また、半導体基板10の裏面10cに、エッチングマスクとして誘電体層22(例えばSiO2層、SiN層)を形成し、半導体基板10の裏面10cの所定の領域(2つの受光部11の間に対応する領域)を露出させる矩形状の開口部22aを形成する(エッチングマスク形成工程)。ここで、2つの受光部11の並ぶ方向を適切に選択することによって、開口部22aから半導体基板10をエッチングして半導体基板10の(111)面を受光部11に臨むように形成することができる。
【0026】
エッチング液として例えば臭化水素とメタノールの混合液を用いる異方性エッチングによって、線L2で示すように開口部22aから半導体基板10の一部を除去する。これにより受光部11のn−AlGaAs層15と半導体基板10の(111)面19を露出させ、導光部18となる空間を形成する(基板エッチング工程)。エッチングの深さはエッチング時間によって制御できる。
【0027】
導光部18に臨む半導体基板10の(111)面19に反射部19aを形成し(反射部形成工程)、導光部18に露出させたn−AlGaAs層15に反射防止膜20を形成する(反射防止膜形成工程)。例えば、導光部18に露出させたn−AlGaAs層15に保護層を形成した状態で、半導体基板10の(111)面19に誘電体膜(SiO2膜)、金属反射膜(Au膜)の順に成膜して反射部19aを形成する。そして保護層を除去後、導光部18に露出させたn−AlGaAs層15に反射防止膜20(SiN膜)を形成する。
【0028】
最後に、裏面10cの誘電体層22及び表面10bの保護層21を夫々除去した半導体基板10を直線L1に沿って分割し(ダイシング工程)、マウント基板14に夫々固定する(マウント工程)ことにより、図1図2の端面入射型半導体受光素子1Aが得られる。尚、マウント基板14には、半導体基板10の裏面10c側を固定しているが、表面10b側を固定することもできる。また、反射部形成工程と反射防止膜形成工程は、ダイシング工程とマウント工程の間であってもよい。
【0029】
端面入射型半導体受光素子1Aに対して出射点Pの位置に図示外の光ファイバケーブルの出射端が固定される。このとき光ファイバケーブルの位置ずれを防止するために、光ファイバケーブルから反射部19aまで、入射光に対して透明な合成樹脂を導光部18に充填するようして固定してもよい。尚、図5に示すように、半導体基板10の入射側端部全体に導光部18を形成してもよく、図示を省略するが受光部11を入射方向に沿って片側から支持するように半導体基板10の入射側端部の一部を除去して導光部18を形成してもよい。
【実施例】
【0030】
図6図7は、半導体基板30としてIV族半導体基板であるn−Si基板を用いた端面入射型半導体受光素子1Bを示している。端面入射型半導体受光素子1Bは、半導体基板30の(100)面を主面30aとして、主面30a側に光信号を電気信号に変換する受光部31を有する。
【0031】
半導体基板30の表面30b(主面30a)には、受光部31で変換された電気信号を外部に取り出すための1対の電極32,33を備えている。半導体基板30は、主面30aに対向する裏面30c側がマウント基板34に固定されている。マウント基板34は例えばセラミック基板であり、半導体基板30が固定される表面に鏡面加工されたマウント基板反射部34aを有する。マウント基板反射部34aは、例えば主としてAu膜を含む金属膜を反射面とした反射膜によって形成されている。
【0032】
受光部31は、半導体基板30の表面30b側に、表面30bから所定の深さ範囲に例えばP(リン)等をドープしたn+拡散層35が形成されている。また、n+拡散層35よりも表面30b側のn−Si層36の一部領域に、例えばB(ホウ素)等をドープしたp型拡散領域36aが形成されている。受光部31は、これらn+拡散層35とn−Si層36とp型拡散領域36aによって構成されたフォトダイオードである。また、受光部31のn+拡散層35、p型拡散領域36aに電気的に接続する電極32,33が夫々形成されている。
【0033】
端面入射型半導体受光素子1Bには、表面30bと裏面30c以外の4つの端面のうちの1つの端面30d側の光ファイバケーブルから出射された光が、主面30aに対して平行に入射する。この出射点をPとして、出射点Pに臨む半導体基板30の端面30d(入射側端部)から光の入射方向に沿って、半導体基板30の一部が除去された導光部38が形成されている。
【0034】
導光部38の光の入射方向端部には、主面30aに対して所定の交差角θ2を有する反射部39aが形成されている。反射部39aは、導光部38の形成により露出した半導体基板30の(111)面39に、例えば主としてAu膜を含む金属膜を反射面とした反射膜によって形成されている。露出した半導体基板30の(111)面39は平滑面であり、主面30aに対して所定の交差角θ2=54.7°で交差し、裏面30cに125.3°の鈍角に連なる。それ故、反射部39aは、平滑な反射面により高い反射率を有する共に、主面30aに対して所定の交差角θ2を有する。
【0035】
受光部31のn+拡散層35は、導光部38の形成によって導光部38に露出する。反射部39aは、露出した受光部31とは反対側のマウント基板反射部34aに向けて、入射した光を反射させるように構成されている。そして、受光部31のn+拡散層35に向けて反射された光の大部分が受光部31に到達するように、導光部38に臨むn+拡散層35に入射する際の反射を防ぐための反射防止膜40が、露出したn+拡散層35を覆うように形成されている。反射防止膜40は、例えばSiN膜であり、入射する光の波長の1/4程度の厚さ(例えば850nmの波長の光に対して210nm程度の厚さ)を有する。
【0036】
出射点Pから主面30aに対して平行に出射された光は、矢印付きの折れ線で示すように広がりながら導光部38を通って反射部39aに到達し、反射部39aによって受光部31と反対側のマウント基板反射部34aに向けて反射される。そして、反射部39aで反射された光は、マウント基板反射部34aによって受光部31向けて反射され、受光部31に到達するように構成されている。端面入射型半導体受光素子1Bの受光部31に到達する光路には、光を吸収する半導体基板30がないので、半導体基板30に吸収される波長の光に対しても端面入射型半導体受光素子1Bを利用することができる。
【0037】
次に、導光部38の形成方法について、図8図9に基づいて説明する。
主面30a側に受光部31及び電極32,33が形成され、適切な厚さ(例えば150μm)に加工された半導体基板30の表面30bに、保護層41として例えばフォトレジスト層を形成する(保護層形成工程)。この半導体基板30には、直線L3に対して対称に2つの受光部31が形成されている。
【0038】
また、半導体基板30の裏面30cに、エッチングマスクとして誘電体層42(例えばSiO2膜、SiN膜)を形成し、半導体基板30の裏面30cの所定の領域(2つの受光部31及びこれらの間に対応する領域)を露出させる矩形状の開口部42aを形成する(エッチングマスク形成工程)。ここで、2つの受光部31の並ぶ方向を適切に選択することによって、開口部42aから半導体基板10をエッチングして半導体基板30の(111)面を受光部31と反対側に臨むように形成することができる。
【0039】
エッチング液として例えばKOH水溶液を用いた異方性エッチングによって、線L4で示すように開口部42aから半導体基板30の一部を除去する。これにより受光部31のn+拡散層35と半導体基板30の(111)面39を露出させ、導光部38となる空間を形成する(基板エッチング工程)。エッチングの深さはエッチング時間によって制御できる。
【0040】
導光部38に臨む半導体基板30の(111)面39に反射部39aを形成し(反射部形成工程)、導光部38に露出させたn+拡散層35に反射防止膜40を形成する(反射防止膜形成工程)。例えば、導光部38に露出させたn+拡散層35に保護層を形成した状態で、半導体基板30の(111)面39に誘電体膜(SiO2膜)、金属反射膜(Au膜)の順に成膜して反射部39aを形成する。そして保護層を除去後、導光部38に露出させたn+拡散層35に反射防止膜40(SiN膜)を形成する。尚、反射防止膜40を省略することもできる。
【0041】
最後に、裏面30cの誘電体層42及び表面30bの保護層41を夫々除去した半導体基板30を直線L3に沿って分割し(ダイシング工程)、マウント基板34に夫々固定する(マウント工程)ことにより、図6図7の端面入射型半導体受光素子1Bが得られる。尚、反射部形成工程と反射防止膜形成工程は、ダイシング工程とマウント工程の間であってもよい。
【0042】
端面入射型半導体受光素子1Bに対して出射点Pの位置に図示外の光ファイバケーブルの出射端が固定される。このとき光ファイバケーブルの位置ずれを防止するために、光ファイバケーブルから反射部39aまで、入射光に対して透明な合成樹脂を導光部38に充填するようして固定してもよい。尚、図10に示すように、半導体基板30の入射側端部全体に導光部38を形成してもよく、図示を省略するが受光部31を入射方向に沿って片側から支持するように半導体基板30の入射側端部の一部を除去して導光部38を形成してもよい。
【0043】
上記端面入射型半導体受光素子1Bの作用、効果について説明する。
端面入射型半導体受光素子1Bの入射した光が通る導光部38は、受光部31が露出しており半導体基板30がないので光が吸収されず減衰しない。そして、導光部38の光の入射方向端部には、受光部38に光を導くために主面30aに対して所定の交差角θ2を有する反射部39aを有する。従って、入射した光の大部分を反射部39aで反射させることができるので、光の減衰を抑えて受光部31に光を導くことができ、吸収される波長の光に対しても端面入射型半導体受光素子1Bを利用することができる。
【0044】
【0045】
端面入射型半導体受光素子1Bは、IV族半導体基板に吸収される波長の光に対して、反射部39aとマウント基板反射部34aで反射させて受光部31に入射させるまで、導光部38によって光の吸収を防ぐことができる。従って、半導体基板30吸収される波長の光に対しても端面入射型半導体受光素子1Bを利用することができる。
【0046】
反射部39aは、前記半導体基板30の(111)面39に形成されたので、主面30aに対する反射部の39aの傾斜角度が自動的に定まると共に、高い反射率を備えた平滑な反射部39aを形成できる。従って、傾斜角度ずれによる光の入射位置ずれが低減され、反射率が高い反射部39aを形成できるので、受光感度を向上させることができる。
【0047】
受光部31は、導光部38に臨む側に反射防止膜40を有するので、光が導光部38を進んで受光部31に入射する際の反射を反射防止膜40によって低減することができる。従って、入射した光の大部分を受光部31に到達させることができ、受光感度を向上させることができる。
【0048】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
B :端面入射型半導体受光素子
0 :半導体基板
0a :主面
0b :表面
0c :裏面
0d :端面
1 :受光部
2,33:電極
4 :マウント基板
8 :導光部
9 :(111)面
9a :反射部
0 :反射防止膜
1 :保護層
2 :誘電体層
2a :開口部
34a :マウント基板反射部
35 :n+拡散層
36 :n−層
36a :p型拡散領域
【要約】
【課題】半導体基板が入射する光に対して不透明な場合でも利用できる端面入射型半導体受光素子を提供すること。【解決手段】半導体基板(10)の主面に対して平行に入射する光を反射させて主面側の受光部(11)に入射させる端面入射型半導体受光素子(1A)において、半導体基板(10)の光の入射側端部から光の入射方向に沿って受光部(11)を露出させるように形成された導光部(18)と、導光部(18)に入射する光を受光部(11)に導くために、導光部(18)の光の入射方向端部に、主面に対して所定の交差角を有する反射部(19a)を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10