特許第6781517号(P6781517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781517
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】オープンショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20201026BHJP
【FI】
   A47F3/04 L
   A47F3/04 H
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-8456(P2017-8456)
(22)【出願日】2017年1月20日
(65)【公開番号】特開2018-114208(P2018-114208A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】松田 徹
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−116202(JP,A)
【文献】 実開昭52−108675(JP,U)
【文献】 特開平04−278174(JP,A)
【文献】 実開昭56−141986(JP,U)
【文献】 特開平07−027466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状がコの字型に形成され、内部に商品陳列室を有し、前面に開口を有するショーケース本体と、
前記ショーケース本体に設けられ、内部に空気が流れるダクトと、
前記ダクトの上部に設けられ、前記ダクト内を流れた空気が吹出す吹出口と、
前記ダクトの下部に設けられ、前記吹出口から吹出した空気が吸込まれる吸込口と、
前記吸込口に取付けられたフィルタと、
前記商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向にスライド可能な商品陳列体と、
前記商品陳列体に設けられ、この商品陳列体のスライド動作に伴って前記フィルタの上面に摺接するブラシと、
を有することを特徴とするオープンショーケース。
【請求項2】
前記フィルタの手前側に隣接する位置にフレームが設けられ、このフレームには上面側から前面側に向けて下向きに湾曲するR面形状部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のオープンショーケース。
【請求項3】
前記商品陳列体に、この商品陳列体を後方位置にスライドさせた場合に前記吸込口の上方に位置する通風用開口が設けられ、
前記通風用開口に複数の通風用孔を有するプレートが着脱可能に取付けられ、
前記プレートの下面に前記ブラシが取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のオープンショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面に開口が設けられ、その開口を上方から下方へ流れるエアカーテンで覆うようにしたオープンショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、前面に開口を有するオープンショーケースが用いられている。このようなオープンショーケースの一例として、上方から下方へ流れるエアカーテンで開口を覆うようにしたものが知られている。
【0003】
開口をエアカーテンで覆うようにしたオープンショーケースは、ショーケース本体に上下方向に延出するダクトが形成され、ダクトの上部には吹出口が形成され、ダクトの下部には吸込口が形成されている。そして、ダクト内を流れる空気が吹出口から下向きに吹出すことによりエアカーテンが形成され、エアカーテンを形成した空気は吸込口から吸込まれる。
【0004】
このように、ダクトの吹出口から吹出した空気をダクトの吸込口から吸込んで循環させることにより、吹出口から吹出した空気がオープンショーケースの周囲に居る客に当たって不快感を与えるということを防止することができる。さらに、エアカーテンを冷やした空気(冷気)で形成する場合には、その冷気を循環させることにより空気を冷やすために必要なエネルギー使用量を低減することができる。
【0005】
ところで、エアカーテンを形成する空気や冷気を循環させる場合、エアカーテンに巻き込まれた塵や虫を除去することが必要であり、吸込口にフィルタを取付けることによりエアカーテンに巻き込まれた塵や虫をフィルタに付着させて除去することができる。吸込口にフィルタを取付けたオープンショーケースの一例としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−173669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたオープンショーケースは、吸込口に吸込口カバーとフィルタとを着脱可能に取付け、吸込口カバーとフィルタとをそれぞれ個別に着脱可能とするとともに、吸込口カバーとフィルタとを一体的に着脱可能としたものである。このため、エアカーテンに巻き込まれた塵や虫がフィルタに付着した場合には、フィルタを単独で、又は、吸込口カバーと一体に取外した後に付着した塵や虫を除去しており、フィルタに付着した塵や虫を除去する作業に手間がかかっている。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、吸込口に取付けたフィルタに塵や虫が付着した場合、その塵や虫の除去を手間をかけず容易に行うことができるオープンショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るオープンショーケースは、断面形状がコの字型に形成され、内部に商品陳列室を有し、前面に開口を有するショーケース本体と、前記ショーケース本体に設けられ、内部に空気が流れるダクトと、前記ダクトの上部に設けられ、前記ダクト内を流れた空気が吹出す吹出口と、前記ダクトの下部に設けられ、前記吹出口から吹出した空気が吸込まれる吸込口と、前記吸込口に取付けられたフィルタと、前記商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向にスライド可能な商品陳列体と、前記商品陳列体に設けられ、この商品陳列体のスライド動作に伴って前記フィルタの上面に摺接するブラシと、を有する。
【0010】
また、上述のオープンショーケースにおいて、前記フィルタの手前側に隣接する位置にフレームが設けられ、このフレームには上面側から前面側に向けて下向きに湾曲するR面形状部が設けられていることが好ましい。
【0011】
また、上述のオープンショーケースにおいて、前記商品陳列体に、この商品陳列体を後方位置にスライドさせた場合に前記吸込口の上方に位置する通風用開口が設けられ、前記通風用開口に複数の通風用孔を有するプレートが着脱可能に取付けられ、前記プレートの下面に前記ブラシが取付けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
ダクトの空気吹出口から吹き出してエアカーテンを形成した空気がダクトの吸込口から吸込まれる場合に、エアカーテンに巻き込まれた塵や虫はフィルタに付着し、塵や虫がダクト内に入り込んで循環することが防止される。商品陳列体上に商品を載置する場合には、商品陳列体を前方位置にスライドさせ、その位置で商品陳列体上に商品を載置し、商品の載置が終了した後に商品陳列体を後方位置にスライドさせる。このようにして商品陳列体を前後方向にスライドさせる場合、そのスライド時にブラシがフィルタの上面に摺接し、フィルタに付着している塵や虫が除去される。このため、フィルタに付着した塵や虫の除去を手間をかけず容易に行える。
【0013】
また、商品陳列体を前方位置にスライドさせた際にフィルタから除去された塵や虫を、フレームのR面形状部に沿って床に落とすことができる。
【0014】
また、ブラシが汚れた場合には、通風用開口からプレートを取外すことによりブラシを清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】商品陳列体を商品陳列位置である後方側位置にスライドさせた状態のオープンショーケースを示す断面側面図である。
図2】商品陳列体を商品を載置する位置である手前側位置にスライドさせた状態のオープンショーケースを示す断面側面図である。
図3】フィルタとブラシとの部分を拡大して示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1はオープンショーケース1を示す断面側面図である。このオープンショーケース1は、断面形状コの字型のショーケース本体2を有し、ショーケース本体2の内部には商品陳列室3が設けられ、ショーケース本体2の前面には開口4が設けられている。
【0017】
ショーケース本体2には、その内周部に沿ってダクト5が設けられ、このダクト5はショーケース本体2の形状に倣った形状である断面形状コの字型に形成されている。ダクト5の内部には、ダクト5内の空気を冷やす冷却器6と、冷却器6で冷やされた空気(冷気)を送風するファン7とが設けられている。ダクト5の上部にはダクト5内を送風された冷気が吹出す吹出口8が設けられ、吹出口8から吹出した冷気により開口4を覆う冷気のエアカーテンが形成されるようになっている。ダクト5の下部には、エアカーテンを形成した冷気が吸込まれる吸込口9が設けられている。
【0018】
商品陳列室3内には、上下方向に沿って配列された複数段の商品陳列棚10と、これらの商品陳列棚10の下方に位置して前後方向にスライド可能な商品陳列体であるスライドデッキ11とが設けられている。これらの商品陳列棚10とスライドデッキ11とは、販売する商品が載置される部分であり、スライドデッキ11上へ商品を載置する場合には、スライドデッキ11を図2に示すように前方位置へスライドさせて商品陳列室3内から引出し、その引出位置でスライドデッキ11上に商品を載置する。スライドデッキ11上への商品の載置が終了した後に、スライドデッキ11を図1に示した商品陳列室3内の後方位置へスライドさせる。
【0019】
吸込口9には、この吸込口9からダクト5内に塵や虫が入り込むことを防止するためのフィルタ12が取付けられている。
【0020】
ショーケース本体2におけるフィルタ12の手前側に隣接する位置には、フレーム13が設けられている。このフレーム13には、上面側から前面側に向けて下向きに湾曲するR面形状部14が設けられている。
【0021】
スライドデッキ11の前方側端部には、このスライドデッキ11を図1に示した後方位置へスライドさせた場合に、吸込口9の上方に位置する通風用開口15が設けられている。通風用開口15には、複数の通風用孔16を有するプレート17が着脱可能に取付けられ、エアカーテンを形成した冷気は通風用孔16を通って吸込口9から吸込まれるようになっている。
【0022】
プレート17の下面には、ブラシ18が取付けられている。このブラシ18は、スライドデッキ11上へ商品を載置するためにスライドデッキ11を前後方向にスライドさせた際に、フィルタ12の上面に摺接する位置に取付けられている。
【0023】
このような構成において、冷却器6とファン7とを駆動することにより、冷却器6で冷やされた冷気がダクト5内を流れ、ダクト5内を流れた冷気は吹出口8から吹き出し、図1において矢印Aで示すような開口4を覆う冷気のエアカーテンを形成し、商品陳列棚10やスライドデッキ11上に載置されている商品が冷却される。
【0024】
エアカーテンを形成した冷気は、プレート17の通風用孔16と吸込口9とを通ってダクト5内に吸込まれ、ダクト5内において再び冷却器6により冷却される。
【0025】
開口4を覆う冷気のエアカーテンには、塵や虫が巻き込まれる場合があり、エアカーテンに巻き込まれた塵や虫は、冷気が吸込口9から吸込まれる場合にフィルタ12に付着して除去され、塵や虫がダクト5内に入り込むことが阻止される。
【0026】
スライドデッキ11上に商品を載置する場合には、図1に示すように後方位置に位置しているスライドデッキ11を図2に示すように前方位置にスライドさせ、商品陳列室3外に引き出す。そして、その引出位置でスライドデッキ11上に商品を載置し、商品の載置が終了したスライドデッキ11を図1に示す後方位置へスライドさせる。
【0027】
このようにして、スライドデッキ11上に商品を載置するためにスライドデッキ11を前後方向にスライドさせることにより、そのスライド時にブラシ18がフィルタ12の上面に摺接し、フィルタ12に付着している塵や虫が除去される。従って、ユーザはフィルタ12に付着した塵や虫の除去については特に意識する必要がなく、フィルタ12に付着した塵や虫の除去を手間をかけず容易に行うことができる。
【0028】
また、ショーケース本体2におけるフィルタ12の手前側に隣接する位置に設けられているフレーム13には、上面側から前面側に向けて下向きに湾曲するR面形状部14が設けられている。このため、スライドデッキ11を前方位置にスライドさせた際にフィルタ12から除去された塵や虫は、図3において矢印Bで示すようにR面形状部14に沿って床に落ちやすくなっている。従って、フィルタ12から除去された塵や虫を床に落とすことができ、床に落ちた塵や虫は床面清掃時に清掃することができる。従って、フィルタ12から除去された塵や虫の清掃を改めて行う必要がなく、除去した塵や虫の清掃を手間をかけず容易に行うことができる。
【0029】
ブラシ18は、スライドデッキ11の通風用開口15に着脱可能に取付けられたプレート17の下面に取付けられているので、必要に応じてプレート17を通風用開口15から取外すことができる。従って、ブラシ18が汚れた場合には、プレート17を通風用開口15から取外すことによりブラシ18を清掃することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 オープンショーケース
2 ショーケース本体
3 商品陳列室
4 開口
5 ダクト
6 冷却器
7 ファン
8 吹出口
9 吸込口
10 商品陳列棚
11 スライドデッキ(商品陳列体)
12 フィルタ
13 フレーム
14 R面形状部
15 通風用開口
16 通風用孔
17 プレート
18 ブラシ
図1
図2
図3