(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781520
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】ケーブルシース固定用スペーサ及びケーブル固定具
(51)【国際特許分類】
H05K 7/02 20060101AFI20201026BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20201026BHJP
G02B 6/46 20060101ALI20201026BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
H05K7/02 Q
F16B2/12 B
G02B6/46 337
H02G3/30
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-120228(P2017-120228)
(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公開番号】特開2019-4123(P2019-4123A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2019年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145954
【氏名又は名称】株式会社昭電
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】釜萢 敦生
(72)【発明者】
【氏名】神尾 彰宏
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−339830(JP,A)
【文献】
実開昭50−028893(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0233373(US,A1)
【文献】
韓国登録特許第10−1620752(KR,B1)
【文献】
特開2003−232317(JP,A)
【文献】
特開平09−311229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/02
F16B 2/12
G02B 6/46
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鬼目ボルトを構成するボルト本体の軸方向一端部の把持部から突設された針状部と、前記鬼目ボルトの締め付けにより固定されるケーブルのケーブルシースと、の間に配置されるケーブルシース固定用スペーサであって、
全体がプラスチックにより形成され、かつ、前記ボルト本体が挿入されるボルト挿入孔を有する基片と、前記基片の両端部から折り曲げて形成された一対の側片と、を備えると共に、前記側片が前記基片から離れる方向の復元力を保有しており、
前記ボルト挿入孔に前記ボルト本体が挿入された前記鬼目ボルトの締め付けにより、前記針状部の先端と前記ケーブルシースの外周面との間に前記側片が圧接されることを特徴とするケーブルシース固定用スペーサ。
【請求項2】
請求項1に記載したケーブルシース固定用スペーサにおいて、
前記側片に切欠きを形成したことを特徴とするケーブルシース固定用スペーサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載したケーブルシース固定用スペーサにおいて、
前記ケーブルが光ケーブルであることを特徴とするケーブルシース固定用スペーサ。
【請求項4】
前記ケーブルが導入されるクロージャの内部の固定金具に、一対の前記鬼目ボルトが前記針状部同士を対向させてそれぞれ配置され、一対の前記鬼目ボルトに、請求項1〜3の何れか1項に記載のケーブルシース固定用スペーサをそれぞれ装着したことを特徴とするケーブル固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロージャ用のケーブル固定具に使用され、肉厚の薄いケーブルシースを有するケーブルの固定時における芯線の損傷を防止するようにしたケーブルシース固定用スペーサ、及び、このスペーサを含むケーブル固定具に関する。詳しくは、例えば、クロージャの内部に導入された光ケーブルの固定に最適なケーブルシース固定用スペーサ及びケーブル固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ケーブル用クロージャにおける光ケーブル固定具としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
図4(a)〜
図4(d)は、特許文献1に記載された光ケーブル固定具の使用状態を示している。
【0003】
図4(a)において、U字型部材40aには、ボルト本体41a及び把持部41bを有する把持ボルト(鬼目ボルト)41が取り付けられている。また、コ字型のフレーム40bの内面には、把持部41bに対向するように把持部42が取り付けられている。
なお、Cは固定対象の光ケーブルを示している。
【0004】
光ケーブルCを固定する手順としては、まず、
図4(b),(c)に示すように、フレーム40bの把持部42により光ケーブルCを抑え付け、U字型部材40aのスリット40cにストッパー43を挿入して把持部42を係止させる。
次に、
図4(d)に示すように、把持ボルト41を光ケーブルC方向にねじ込み、その把持部41bと前記把持部42とによって光ケーブルCの外周面を上下から把持する。
この従来技術によれば、U字型部材40aの内部空間において光ケーブルCを強固に固定することが可能である。
【0005】
ところで、光ケーブルCのケーブルシースの厚さは様々であり、例えば、一般ケーブルでは1.5[mm],1.8[mm]、難燃ケーブルでは2.0[mm]となっている。
しかし、
図4に示した方法で光ケーブルCを固定すると、把持部41b,42の針状の先端部がケーブルシースに食い込むため、ケーブルシースの肉厚が薄い場合には、針状の先端部がケーブルシースを突き破って内部の芯線を傷付ける恐れがある。
【0006】
なお、前述した針状の先端部を有する把持部41b,42を用いないケーブル固定具としては、特許文献2に記載されたものが知られている。
図5は、特許文献2に記載されたケーブル固定具用の把持スペーサ30を示しており、(a)は平面図、(b)は分解平面図、(c)は斜視図である。
【0007】
この把持スペーサ30においては、外径が異なる複数種類のケーブルに適合するように、異なる半径のケーブル圧接面30a1,30b1,30c1を有するスペーサ30a,30b,30cを加除可能に構成されている。
ケーブルを固定する際には、ケーブルの外径に応じて構成した一対の把持スペーサ30をクロージャ(図示せず)の内部に固定し、それぞれのケーブル圧接面によりケーブルの外周面を両側から圧接するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−96667号公報(段落[0025],[0026]、
図6等)
【特許文献2】特許第3914309号公報(段落[0006]〜[0013]、
図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図5に示した把持スペーサ30を使用すれば、ケーブルシースや内部の芯線を損傷せずにケーブルを固定することが可能である。
しかしながら、この従来技術では、ケーブルの外径に応じて複数のスペーサ30a,30b,30cを用意する必要があり、部品数が増加してコスト高になるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明の解決課題は、ケーブルシースの肉厚が薄いケーブルに対しても内部の芯線を損傷する恐れがなく、また、低コストにて製造可能なケーブルシース固定用スペーサ、及び、このスペーサを用いたケーブル固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に係るケーブルシース固定用スペーサは、鬼目ボルトを構成するボルト本体の軸方向一端の把持部から突設された針状部と、前記鬼目ボルトの締め付けにより固定されるケーブルのケーブルシースと、の間に配置されるケーブルシース固定用スペーサであって、
全体がプラスチックにより形成され、かつ、前記ボルト本体が挿入されるボルト挿入孔を有する基片と、前記基片の両端部から折り曲げて形成された一対の側片と、を備えると共に、前記側片が前記基片から離れる方向の復元力を保有しており、
前記ボルト挿入孔に前記ボルト本体が挿入された前記鬼目ボルトの締め付けにより、前記針状部の先端と前記ケーブルシースの外周面との間に前記側片が圧接されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係るケーブルシース固定用スペーサは、請求項1に記載したケーブルシース固定用スペーサにおいて、前記側片に切欠きを形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係るケーブルシース固定用スペーサは、請求項1または2に記載したケーブルシース固定用スペーサにおいて、前記ケーブルが光ケーブルであることを特徴とする
【0014】
請求項4に係るケーブル固定具は、前記ケーブルが導入されるクロージャの内部の固定金具に、一対の前記鬼目ボルトが前記針状部同士を対向させてそれぞれ配置され、一対の前記鬼目ボルトに、請求項1〜3の何れか1項に記載のケーブルシース固定用スペーサをそれぞれ装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るケーブルシース固定用スペーサ及びケーブル固定具によれば、ケーブルシースの肉厚が薄いケーブルを固定する場合でも内部の芯線を損傷することがない。また、ケーブルシース固定用スペーサはプラスチック製のシート部材を加工して簡単に製造可能であるから、低コストにて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るケーブルシース固定用スペーサの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るケーブル固定具の側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るケーブル固定具の斜視図である。
【
図4】特許文献1に記載された光ケーブル固定具の使用状態を示す図である。
【
図5】特許文献2に記載されたケーブル固定具における把持スペーサの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、
図1は本発明の実施形態に係るケーブルシース固定用スペーサ(以下、単にスペーサともいう)10の斜視図である。
【0018】
図1において、スペーサ10は、透明または乳白色のPET(ポリエチレンテレフタレート)等のプラスチック製のシート部材を加工して製造される。ほぼ長方形の基片11の中央部には、後述する鬼目ボルト21,31のボルト本体21a,31aを挿入するためのボルト挿入孔11aが形成され、その周囲には複数の通孔11b,11cが形成されている。
【0019】
基片11の左右の短辺には、折り曲げ加工により側片12,13が連設され、これらの側片12,13には切欠き12a,13aが形成されている。
側片12,13は、矢印aで示すように内側及び外側へ折り曲げ可能であり、その材質や肉厚を適宜、選定することによって矢印b方向に向かう復元力(弾発力)が保有されている。
【0020】
図2はスペーサ10の使用状態を示すケーブル固定具の側面図、
図3は同じく斜視図である。この
図2は、クロージャの内部に引き込まれた光ケーブルCを固定する場合の説明図である。
なお、ケーブル固定具の形状、構造は図示例に何ら限定されず、クロージャの構造等に応じて適宜、変更することができる。
【0021】
スペーサ10を使用する際には、まず、鬼目ボルト21,31のボルト本体21a,31aを一対のスペーサ10のボルト挿入孔11aにそれぞれ挿入し、ボルト本体21a,31aの軸方向一端に形成された把持部21b,31b(針状部21c,31c)同士が対向するように、鬼目ボルト21,31を固定金具20の上顎部20aと下顎部20bとにそれぞれねじ込む。ここで、固定金具20は、クロージャ(図示せず)の内部に設置されている。
【0022】
なお、スペーサ10の基片11には複数の通孔11b,11cが形成されているため、基片11の変形を容易にして鬼目ボルト21,31の把持部21b,31bとの密着性を高めることができる。
【0023】
次に、側片12,13を内側に折り曲げた状態で、固定するべき光ケーブルCを把持部21b,31bの間に位置決めし、その後、鬼目ボルト21,31を、光ケーブルCを挟むように締め付ける。
これにより、スペーサ10の側片12,13は、把持部21b,31bに設けられた大部分の針状部21c,31cにより内面が圧接され、側片12,13の外面が光ケーブルCの外周面(ケーブルシースの外周面)に密着し、圧接される。
【0024】
ここで、スペーサ10の側片12,13は、
図1に矢印bで示した方向に復元力を保有している。
よって、鬼目ボルト21,31の締め付け時には針状部21c,31cがケーブルシースに食い込む力をある程度抑制しながら、側片12,13の外面全体でケーブルシースの外周面を圧接することができる。
【0025】
また、側片12,13に形成された切欠き12a,13aの作用により、側片12,13は容易に変形可能である。よって、側片12,13を適宜変形させてケーブルシースの外周面に密着させることができ、鬼目ボルト21,31の締め付け力と相まって光ケーブルCを確実、強固に固定することができる。
【0026】
なお、ケーブルシースの肉厚は、前述したように1.5[mm],1.8[mm],2.0[mm]等、種々のものが存在する。これに対し、本実施形態では、ケーブルシースの肉厚が仮に1.5[mm]の光ケーブルCであっても、針状部21c,31cがケーブルシースを突き破って内部の芯線を損傷する恐れはない。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、ケーブルシースの肉厚が薄いものから厚いものまで、各種の光ケーブルCの芯線やケーブルシースの損傷を防止しつつ、光ケーブルCを確実に固定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上述した実施形態は、本発明を光ケーブルの固定具に適用した場合のものであるが、本発明は、メタルケーブルの固定具や、光ケーブル及びメタルケーブルを備えた複合ケーブルの固定具にも適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10:ケーブルシース固定用スペーサ
11:基片
11a:ボルト挿入孔
11b,11c:通孔
12,13:側片
12a,13a:切欠き
20:固定金具
20a:上顎部
20b:下顎部
21,31:鬼目ボルト
21a,31a:ボルト本体
21b,31b:把持部
21c,31c:針状部
C:光ケーブル