特許第6781523号(P6781523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6781523スイッチから構成されるパワーモジュールの動作を制御するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781523
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】スイッチから構成されるパワーモジュールの動作を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20201026BHJP
   H03K 17/14 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   H02M1/08 A
   H03K17/14
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-501423(P2017-501423)
(86)(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公表番号】特表2017-521989(P2017-521989A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】JP2015005657
(87)【国際公開番号】WO2016084324
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年1月11日
【審判番号】不服2019-12015(P2019-12015/J1)
【審判請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】14194940.4
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンチュク、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】モロヴ、ステファン
【合議体】
【審判長】 田中 秀人
【審判官】 月野 洋一郎
【審判官】 山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/313595(US,A1)
【文献】 米国特許第7834598(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/193542(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/221527(US,A1)
【文献】 特開2009−148032(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/041922(WO,A1)
【文献】 特開2000−116149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H03K 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチから構成されるパワーモジュールの動作を制御するためのシステムであって、各スイッチは、並列に接続される複数のパワーダイから構成され、
システムは、
前記パワーモジュールのパワーダイごとに前記パワーダイの温度を検知する温度センサと、
前記パワーダイの前記検知された温度に基づいて、前記パワーダイの導通時間を短縮する1つのコントローラーと
を備え、
前記1つのコントローラーによって、前記複数のパワーダイのそれぞれの温度検知結果を入力として取得し、前記検知された温度が、前記複数のパワーダイ全てにわたる平均ダイ温度より高いパワーダイに関して前記導通時間を短縮する制御を行う
ことを特徴とする、システム
【請求項2】
前記システムは、
前記パワーダイを通って流れる電流を検知する電流センサと、
検知された前記電流が所定の電流閾値より高い場合には、前記パワーダイに与えられる信号を遮断するゲート遮断回路と
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム
【請求項3】
前記パワーダイの前記導通時間は、前記パワーダイに与えられる信号のデューティサイクルを変更することによって短縮されることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム
【請求項4】
前記信号は、ゲーティング信号であることを特徴とする、請求項3に記載のシステム
【請求項5】
前記システムは、前記検知された温度を変換するアナログ/デジタルコンバーターと、
前記検知された温度をスケーリングするスケーリングデバイスと
をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム
【請求項6】
各パワーダイに与えられる信号は、それぞれの増幅器によって与えられることを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のシステム
【請求項7】
前記1つのコントローラーは、ホストコントローラーによって与えられるデューティサイクルを変更することを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム
【請求項8】
スイッチから構成されるパワーモジュールの動作を制御するための方法であって、
各スイッチは、並列に接続される複数のパワーダイから構成され、
該方法は、1つのコントローラーにより前記パワーモジュールのパワーダイごとに実行され、
前記パワーダイの温度を検知するステップと、
前記パワーダイの前記検知された温度に基づいて、前記パワーダイの導通時間を短縮するステップと
を含み、
前記パワーダイの導通時間を短縮するステップは、前記1つのコントローラーによって、前記複数のパワーダイのそれぞれの温度検知結果を入力として取得し、前記検知された温度が、前記複数のパワーダイ全てにわたる平均ダイ温度より高いパワーダイに関して前記導通時間を短縮する制御を行う
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には、マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチダイパワーモジュールは従来、幾つかの並列に接続されたパワーダイから構成され、単一のパワーダイの電流性能を超えて電流性能を高めるために使用される。
【0003】
例えば、三相コンバーターは、スイッチあたり4つの並列パワーダイから構成され、全部で24個のパワーダイを与える。
【0004】
SiC(炭化ケイ素)トランジスタおよびGaN(窒化ガリウム)トランジスタのような、新生のデバイス技術は通常、ウェハー基板の歩留まりおよびコストに関する制約に起因して、高電流密度、小電力のダイにおいて実現される。
【0005】
より高い電力のSiCベースモジュールを実現するには、多数の並列接続SiCダイが必要である。並列接続モジュールとは異なり、並列接続ダイは、理想的には同じ負荷電流を整流する単一のスイッチを構成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、使用されるダイのタイプ、すなわち、ダイオードが使用されるか、または電圧駆動スイッチ、例えば、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)が使用されるかにかかわらず、負荷電流の均衡の取れた分配を静的にも、動的にも制限する特性がダイ内に存在する。各並列ダイを徐々に加えていくと、結果としてダイが最大限に利用されなくなり、それゆえ、所与の定格電流を達成するために、より多くのダイが並列にされる必要があるので、パワーモジュールの全体的なコストおよび物理的な表面積が増加する。
【0007】
ダイの電気的特性に加えて、パワーモジュール内のダイの物理的配置もダイの信頼性および利用を制限する。1つのそのような例は、隣接するダイからの加熱に起因するモジュール内の不均等な熱分布である。モジュールの設計によって、十分に間隔を置いてダイを配置できるようにし、その結果、パワーモジュールの物理的サイズを大きくしない限り、パワーモジュールの中心に近いダイは、パワーモジュールの周辺に近いダイより高い温度を受ける。
【0008】
別の幾何学的に考慮すべき事柄は、並列ダイの動的性能である。基板上のダイの相互接続のルーティングおよびダイの配置が異なることが不可避であることに起因して、並列ダイは、異なる時点で切り替わり始める可能性があり、それにより振動性の挙動が生じ、各ダイの最大能力に影響を及ぼす可能性がある。この現象は、シリコンを利用するデバイスに比べて切替時間が著しく短い、新生のワイドバンドギャップデバイスの場合に特に問題になる。
【0009】
さらに、例えば、1組のダイに過度の応力を加える結果として、ダイの熱界面が局所的に劣化することに起因して、その1組のダイにわたって局所的な温度上昇が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、モジュール内の熱的な不一致に起因するダイ定格低減を最小化することによって、マルチダイスイッチの切替速度を高めること、およびマルチダイパワーモジュールの最大能力を高めることを目的とする。
【0011】
したがって、本発明は、スイッチから構成されるパワーモジュールの動作を制御するためのデバイスであって、各スイッチは並列に接続される複数のパワーダイから構成され、このデバイスは、パワーモジュールのパワーダイごとに、
パワーダイの温度を検知する温度センサと、
パワーダイの検知された温度が、少なくとも1つのスイッチのパワーダイにわたる平均ダイ温度より高い場合には、ダイの導通時間を短縮するコントローラーと、
を備えることを特徴とする、デバイスに関する。
【0012】
また、本発明は、スイッチから構成されるパワーモジュールの動作を制御するための方法であって、各スイッチは並列に接続される複数のパワーダイから構成され、この方法は、パワーモジュールのパワーダイごとに実行される、
パワーダイの温度を検知するステップと、
パワーダイの検知された温度が少なくとも1つのスイッチのパワーダイにわたる平均ダイ温度より高い場合には、ダイの導通時間を短縮するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0013】
このようにして、マルチダイパワーモジュールの最大能力が高められる。
【0014】
マルチダイパワーモジュールの各ダイを個々に制御することによって、ダイの相互接続のルーティングおよびダイの配置が異なること、マルチダイパワーモジュール内の不均等な熱分布、およびダイパラメーターの自然なばらつきに関連する問題を克服することができる。
【0015】
特定の特徴によれば、デバイスは、
パワーダイを通って流れる電流を検知する電流センサと、
検知された電流が所定の電流閾値より高い場合には、パワーダイに与えられる信号を遮断するゲート遮断回路と、
をさらに備える。
【0016】
特定の特徴によれば、パワーダイの導通時間は、パワーダイによって与えられる信号のデューティサイクルを変更することによって短縮される。
【0017】
このようにして、パワーダイ内の損失が低減され、局所的なダイ温度を下げる。
【0018】
特定の特徴によれば、その信号はゲーティング信号である。
【0019】
このようにして、そのデバイスは、ホストコントローラーに対してトランスペアレントに、ダイの働きを調節するように働く。
【0020】
特定の特徴によれば、デバイスは、検知された温度を変換するアナログ/デジタルコンバーターと、検知された温度をスケーリングするスケーリングデバイスとをさらに備える。
【0021】
特定の特徴によれば、各パワーダイに与えられる信号は、それぞれの増幅器によって与えられる。
【0022】
このようにして、ダイごとに増幅器を設けることによって、ゲートコントローラー寄生ループが低減され、切替速度を高めることができるか、または望ましくない振動を低減することができる。
【0023】
本発明の特性は、実施形態の一例の以下の説明を読むことからさらに明らかになり、その説明は添付の図面を参照しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による、マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのシステムの一例を表す図である。
図2】本発明による、マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのシステムのコントローラーのアーキテクチャーの一例を表す図である。
図3】本発明による、パワーダイの動作を制御するためのデバイスのアーキテクチャーの一例を表す図である。
図4】本発明による、パワーダイの動作を制御するためのデバイスの信号調整モジュールのアーキテクチャーの一例を表す図である。
図5】信号調整モジュールのゲート遮断回路のアーキテクチャーの一例を表す図である。
図6】マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのシステムのコントローラーによって実行されるアルゴリズムを表す図である。
図7】電流および温度検知手段の出力に従ってパワーダイの動作を制御するためのデバイスによって生成されるゲート電圧変動を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による、マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのシステムの一例を表す図である。
【0026】
マルチダイパワーモジュール150の動作を制御するためのシステムは、マルチダイパワーモジュール150内の個々のダイごとに制御電極コマンドを調節するために、熱情報またはオン状態電圧または個々のダイ電圧/電流軌跡のようなパワーダイフィードバック機構を使用する。
【0027】
マルチダイパワーモジュール150の動作を制御するためのシステムは、ダイごとに、熱情報またはオン状態電圧またはダイ電圧/電流軌跡を入手し、入手された情報に従って各ダイを制御する。
【0028】
マルチダイパワーモジュール150の動作を制御するためのシステムは、ダイごとに1つずつの、パワーダイ305の動作を制御するための複数のデバイス102を備える。
【0029】
図1の例では、マルチダイパワーモジュール150の動作を制御するためのシステムは、5つのパワーダイ305a〜305eの動作をそれぞれ制御するための5つのデバイス102a〜102eを備える。
【0030】
パワーダイの動作を制御するための各デバイス102は、マルチダイパワーモジュール150の性能を高め、それにより、各ダイの利用率を上げるために、ダイ情報を使用し、そのダイを制御する。パワーダイの動作を制御するためのデバイス102のアーキテクチャーが図2に開示される。
【0031】
パワーダイの動作を制御するための各デバイス102は、接合部温度を判断し、それゆえ、ダイの最適制御を与えるために使用される種々の健康状態(state of health)特性、例えば、ゲート閾値電圧または他の測定可能な温度依存パラメーターを確定する低コスト回路を含む。パワーダイの動作を制御するための各デバイス102は、コントローラー104が並列な1組のダイ内の温度の均衡を図ることができるようにするために、ダイから入手された情報を用いて、入手された情報を接合部温度のような有用な健康状態測定値に変換する。コントローラー104およびパワーダイの動作を制御するための各デバイス102は、動作効率を改善するために、軽負荷に応答してダイの働きを調節する。
【0032】
パワーダイの動作を制御するための各デバイス102は、故障の場合に動作から除外することができ(不動態化(passivation))、それにより、パワーモジュール150全体の耐故障性を改善することができる。
【0033】
パワーダイの動作を制御するためのデバイス102の不均等な界面劣化に応答して、影響を受けるダイの熱ひずみを低減し、それにより、パワーモジュール150の全体的な信頼性を改善するために、各ダイの負荷を変更することができる。
【0034】
ここで、パワーダイの動作を制御するための各デバイスは単独の電源を必要としないことに留意されたい。
【0035】
コントローラーは図2を参照しながらさらに詳細に開示される。
【0036】
図2は、本発明による、マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのシステムのコントローラーのアーキテクチャーの一例を表す。
【0037】
コントローラー104は、例えば、バス201と、図6において開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とによって互いに接続されるコンポーネントに基づくアーキテクチャーを有する。
【0038】
バス201はプロセッサ200をリードオンリーメモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203および入出力インターフェースI/O205にリンクする。
【0039】
メモリ203は、図6において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数および命令を受信するように意図されたレジスタを含む。
【0040】
プロセッサ200は、情報を受信し、入出力インターフェースI/O205を通してパワーダイの動作を制御するためのデバイス102に転送する。入出力インターフェースI/O205は2つのインターフェースに分割することができ、一方はホストコントローラーとのインターフェースであり、もう一方はパワーダイの動作を制御するためのデバイス102とのインターフェースである。
【0041】
入出力インターフェース205を通して、コントローラー104はホストコントローラーから起動コマンドまたはロードコマンドを受信する。コントローラー104はこの起動コマンドを解釈し、複数のダイにわたる同期制御を与える。
【0042】
コントローラー104は、パワーダイの動作を制御するための各デバイス102に、例えば、デューティサイクルのような情報を与える。
【0043】
リードオンリーメモリ202は、図6において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は、コントローラー104が起動されるときに、ランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0044】
図6に関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)若しくはマイクロコントローラーのようなプログラム可能なコンピューティングマシンによって1組の命令若しくはプログラムを実行することによってソフトウェアにおいて実施することができるか、またはソフトウェアでなければ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)のようなマシン若しくは専用コンポーネントによってハードウェアにおいて実施することができる。
【0045】
換言すれば、コントローラー104は、図6に関して以下で説明するアルゴリズムのステップをコントローラー104に実行させる回路部、または回路部を備えるデバイスを備える。
【0046】
コントローラー104は、例えば、プリプログラムされたCPLD(複合プログラム可能論理デバイス)によって実現することができる。
【0047】
本発明によれば、同期制御パターンから、および検知された温度値から、コントローラー104はデューティサイクルを生成し、デューティサイクルは、検知された温度が所定の温度閾値より高い場合には、同期制御パターンに対応するデューティサイクルとは異なる。
【0048】
例えば、寄生インダクター306が、ダイ305の温度に影響を及ぼす振動性の挙動を引き起こす場合には、温度検知手段303によって検知され、ADC310によって変換され、電圧および/または温度スケーリングデバイス401によってスケーリングされた温度が、所定の温度閾値より高く、コントローラー104は、パワーダイ305の導通時間を短縮するために、パワーダイをドライブする周期的な信号のデューティサイクルを小さくする。
【0049】
図3は、本発明による、パワーダイの動作を制御するためのデバイスのアーキテクチャーの一例を表す。
【0050】
パワーダイの動作を制御するための各デバイス102は、パワーダイ305の接合部温度を検知するための温度検知手段303、および/またはパワーダイ305を通って流れる電流を検知するための電流検知手段304を備える。
【0051】
温度検知手段303は熱電対とすることができるか、または接合部温度を判断するために閾値電圧または他の測定可能な温度依存パラメーターを監視することによって実現することができる。
【0052】
電流検知手段304は、例えば、ドレイン電流のスケーリングされたカレントミラーとして、またはセンサとは別に、例えば、電流変換器として、または電流への既知のオン状態電圧依存性を利用する推定器として、ダイ機能の一部とすることができる。
【0053】
電流検知手段304は、信号調整モジュール312に接続される。電流増幅器308および信号調整モジュール312は、例えば、短絡事象中に電流が所定の電流閾値より高いとき、パワーダイ305への電圧制御を遮断する。電流が所定の電流閾値より低いとき、電流増幅器308および信号調整モジュール312は、コントローラー104によって与えられる電圧制御信号に従ってパワーダイ305に与えられる電流を増幅する。
【0054】
インダクター306は、パワーダイ305と電流増幅器308との間の相互接続のルーティングの寄生インダクタンスを表すか、または何らかの結合ダイ間寄生を表す。
【0055】
温度検知手段303は、アナログ/デジタルコンバーター310に接続され、アナログ/デジタルコンバーターは信号調整モジュール312にデジタル信号を与える。
【0056】
信号調整モジュール312は、図4を参照しながらさらに詳細に開示される。
【0057】
図4は、本発明による、パワーダイの動作を制御するためのデバイスの信号調整モジュールのアーキテクチャーの一例を表す。
【0058】
信号調整モジュール312は、電圧および/または温度スケーリングデバイス401およびゲート遮断回路400を備える。電圧および/または温度スケーリングデバイス401は、ADCによって変換された温度検知手段303のフィードバック信号をコントローラー104のためのスケーリングされた値に変換する。
【0059】
図5は、信号調整モジュールのゲート遮断回路のアーキテクチャーの一例を表す。
【0060】
ゲート遮断回路400は、電流検知手段304から過電流事象が検知された場合に、コントローラー104によって電流増幅器308に与えられる電圧制御信号を遮断する。
【0061】
同期制御パターンが信号調整モジュール312のゲート遮断回路400を通り抜けると、電流増幅器308が、コントローラー104から、周期的な信号のデューティサイクルのような同期制御パターンを受信する。
【0062】
ゲート遮断回路400は、電流検知手段304からの検知された電流を限界値と比較する手段502から構成され、比較する手段は503のパスゲート信号回路を調節する。一例として、比較する手段502は、パスゲート信号503のスイッチを調節するコンパレーターによって実現することができ、それにより、ゲーティング信号を遮断できるようにするか、またはそのパワーデバイスを動作から除外する。
【0063】
図6は、マルチダイパワーモジュールの動作を制御するためのシステムのコントローラーによって実行されるアルゴリズムを表す。
【0064】
ステップS600において、コントローラー104は、入出力インターフェース205を通して、ホストから起動コマンドを受信する。起動コマンドは、デューティサイクル、またはマルチダイパワーモジュール150によって与えられる電流とすることができる。
【0065】
ステップS602において、コントローラー104は、ダイごとに、各モジュール150からのダイの温度を表す情報を入手する。そのステップにおいて、コントローラー104は、温度の平均を計算する。
【0066】
ステップS603において、コントローラー104は、ロードコマンドに従ってデューティサイクルを決定し、各動作ダイのゲーティング信号を同期させる。
【0067】
ステップS604において、コントローラー104は、ダイごとに、ダイの温度をステップ602において求められた平均値と比較する。ダイの温度が平均値より高い場合には、コントローラー104はダイのデューティサイクルを小さくする。
【0068】
ステップS605において、コントローラーは、パワーダイの動作を制御するための各デバイス102に、デューティサイクルを表す情報を転送する。
【0069】
ステップS606において、コントローラー104は、各デバイスの状態監視のためのパラメーター情報を、または各デバイスの健康状態をホストコントローラーに通知することもできる。
【0070】
図7は、電流および温度検知手段の出力に従ってパワーダイの動作を制御するためのデバイスによって生成される電圧変動を表す。
【0071】
700で示される曲線は、電流増幅器308によって与えられ、パワーダイ305に送信されることになる周期的な電圧に対応し、そのデューティサイクルはコントローラー104によって与えられる同期制御パターンに対応する。時点t1およびt2は電流の切替に対応する。
【0072】
示される曲線701は、電流増幅器308によって与えられる周期的な電圧制御信号に対応し、そのデューティサイクルはコントローラー104によって小さくされている。曲線701は、被検知温度が、ダイ間の温度均衡を図るために決定された目標温度より高い場合の動作モードに対応する。時点t1’およびt2は、変更されたデューティサイクルによる電流の切替に対応する。
【0073】
示される曲線702は、時点t3までの、電流増幅器308によって与えられる周期的な電圧制御信号に対応し、そのデューティサイクルは、曲線701と同様に、コントローラー104によって小さくされている。示される曲線702は、時点t3後に、電流が所定の電流または温度閾値より高いときに、電流増幅器308および信号調整モジュール312がパワーダイ305への電流の供給を遮断する場合の動作モードに対応する。
【0074】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
【0075】
本発明のデバイスおよび方法は、多くの種類の分野においてマルチダイパワーモジュールの動作を制御するために適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7