(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御弁は、前記油圧アクチュエータに対する圧油の給排を制御し、第1位置に操作されたとき前記油圧アクチュエータからの戻り油を回生ラインに導入し、第2位置に操作されたとき前記油圧アクチュエータからの戻り油をタンクラインに導入し、
前記切換部は、
前記制御弁が前記第1位置に操作された際に、前記第1の切換状態となり、
前記制御弁が前記第2位置に操作された際に、前記第2の切換状態となる請求項1に記載の油圧駆動装置。
前記制御弁は、前記油圧アクチュエータに対する圧油の給排を制御し、第1位置に操作されたとき前記油圧アクチュエータからの戻り油を回生ラインに導入し、第2位置に操作されたとき前記油圧アクチュエータからの戻り油をタンクラインに導入し、
前記切換部は、
前記制御弁が前記第1位置に操作された際に、前記第1の切換状態となり、
前記制御弁が前記第2位置に操作された際に、前記第2の切換状態となる請求項5に記載の油圧駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の油圧駆動装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
実施形態の油圧駆動装置は、主に建設機械に使用されるものである。そこでまず、適用される建設機械の例について先に述べる。
図7は、建設機械として代表的な油圧ショベルの概略構成を示す。
【0009】
図7において、油圧ショベル300は、油圧モータにより駆動される下部走行体301の上に、旋回モータを有する旋回機構302を介して車体本体305及び上部旋回体303を旋回自在に載置している。上部旋回体303には、その前方一側部にキャブ304が設けられ、且つ、前方中央部にブーム311が俯仰可能に取り付けられている。又、ブーム311の先端にアーム312が上下回動自在に取り付けられ、更にアーム312の先端にバケット313が上下回動自在に取り付けられている。符号314はブーム用の油圧シリンダ、315はアーム用の油圧シリンダ、316はバケット用の油圧シリンダである。
【0010】
ところで、ブーム311を駆動する油圧シリンダ314には、ブーム311を含む先端側の負荷が大きな慣性質量として作用する。同様に、旋回機構302や下部走行体301の油圧モータ(旋回モータや走行モータ:図示略)にも、制動時などに同様に大きな慣性質量が作用する。そこで、その慣性質量の位置エネルギーや運動エネルギーを回生するために、実施形態の油圧駆動装置が適用されている。
【0011】
(第1の実施形態)
図1〜
図3は、第1の実施形態の油圧駆動装置の概略構成図である。ここでは、ブーム用の油圧シリンダ(
図7の符号314)の油圧駆動装置を例にして説明する。
【0012】
この油圧駆動装置M1は、負荷(ブーム)を動かす油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)5と、制御弁6と、メインポンプ2と、ポンプ・モータ3と、回生ライン25と、切換弁(切換部)30と、を有する。
【0013】
油圧シリンダ5は、ピストン5pで画成されたロッド側油室5aとヘッド側油室(反ロッド側油室)5bの2つの作動油室を持つ。ロッド側油室5aに圧油を供給するとき、ヘッド側油室5bから戻り油が発生し、油圧シリンダ5は縮む。油圧シリンダ5が縮むと、ブームは下方に回動する。一方、ヘッド側油室5bに圧油を供給するとき、ロッド側油室5aから戻り油が発生し、油圧シリンダ5は伸びる。油圧シリンダ5が伸びると、ブームは上方に回動する。
【0014】
ブーム用の油圧シリンダ5の場合、位置エネルギーを回生する必要があるのは、ブームが上方から下方へ向けて回動するときである。つまり、ロッド側油室5aに圧油を供給して油圧シリンダ5を縮ませるときに、位置エネルギーの大きさを反映して、ヘッド側油室5bから高圧の戻り油が発生する。従って、油圧シリンダ5の縮み動作のときだけ、高圧の戻り油からエネルギーを回生すればよい。反対に、油圧シリンダ5の伸長動作のときには、回生を行おうとすると、消費エネルギーが余分に増えることになるので、エネルギーの回生は行わない。つまり、油圧シリンダ5の片側の動作のときだけ回生を行う。
【0015】
制御弁6は、油圧シリンダ5に対する圧油の給排を制御するもので、中立位置N、A位置(第1位置)及びB位置(第2位置)の3つの位置に位置決めできるように構成されている。
【0016】
外部接続ポートは6a〜6fの6つあり、P1ポート6aには圧油の供給ライン21が接続され、P2ポート6bには圧油の供給ライン21から分岐した分岐供給ライン22がチェックバルブ23を介して接続されている。又、回生ポート6cには回生ライン25が接続されている。
【0017】
一方、Aシリンダポート6dには、油圧シリンダ5のロッド側油室5aに繋がるA給排ライン11が接続され、Bシリンダポート6fには、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bに繋がるB給排ライン12が接続されている。また、タンクポート6eには、タンクTに繋がるタンクライン13が接続されている。
【0018】
制御弁6は、
図1に示すように、中立位置Nにあるとき、P2ポート6bをタンクポート6eに連通させ、他のポートは遮断する。つまり、中立位置Nでは、分岐供給ライン22のみがタンクライン13に接続される。
【0019】
又、制御弁6は、
図2に示すように、A位置(第1位置)にあるとき、P1ポート6aをAシリンダポート6dに連通させると共に、回生ポート6cをBシリンダポート6fに連通させ、他のポートは遮断する。つまり、A位置(第1位置)では、圧油の供給ライン21を油圧シリンダ5のロッド側油室5aに接続すると共に、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bを回生ライン25に接続する。
【0020】
又、制御弁6は、
図3に示すように、B位置(第2位置)にあるとき、P1ポート6aをBシリンダポート6fに連通させると共に、Aシリンダポート6dをタンクポート6eに連通させ、他のポートは遮断する。つまり、B位置(第2位置)では、圧油の供給ライン21を油圧シリンダ5のヘッド側油室5bに接続すると共に、油圧シリンダ5のロッド側油室5aをタンクTに接続する。
【0021】
従って、油圧シリンダ5の戻り油だけに注目すれば、
図2に示すように、制御弁6がA位置(第1位置)に操作されたとき、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bからの戻り油は、回生ライン25に導入される。又、
図3に示すように、制御弁6がB位置(第2位置)に操作されたとき、油圧シリンダ5のロッド側油室5aからの戻り油は、タンクライン13に導入される。
【0022】
メインポンプ2は、制御弁6を介して油圧シリンダ5に圧油を供給するもので、斜板2sの傾斜角の調整で容量を変化させることのできる可変容量油圧ポンプで構成されている。このメインポンプ2は、回転駆動軸の回転により、入口ポート2bがタンクTから吸い込んだ油を、出口ポート2aから圧油として吐出する。出口ポート2aには、圧油の供給ライン21が接続されており、吐出された圧油は供給ライン21上に矢印Y方向に流れる。
【0023】
ポンプ・モータ3は、入口ポート3bと出口ポート3aを有し、回転軸の回転により、入口ポート3bから吸い込んだ油を、出口ポート3aから圧油として吐出するポンプ運転機能と、入口ポート3bへの圧油の供給と出口ポート3aからの油の排出により、回転軸を回転させるモータ運転機能と、の両運転機能を併せ持つ。
【0024】
このポンプ・モータ3も、斜板3sの傾斜角の調整で容量を変化させることのできる可変容量油圧ポンプ・モータで構成されている。このポンプ・モータ3の入口ポート3bは、チェックバルブ28を介してタンクTに接続されている。また、このポンプ・モータ3の入口ポート3bには、回生ライン25が接続されている。回生ライン25とタンクTとの間には、チェックバルブ28があり、回生ライン28の圧油がタンクTに逃げないようになっている。
【0025】
回生ライン25は、制御弁6を介しての油圧シリンダ5のヘッド側油室5bからの高圧の戻り油をポンプ・モータ3の入口ポート3bに供給するための経路である。
【0026】
メインポンプ2の回転駆動軸とポンプ・モータ3の回転軸は、同一のエンジン(原動機)1の回転駆動軸1aに直列(並列でも可)に結合されている。
【0027】
次に切換弁30について説明する。
切換弁30は、ポンプ・モータ3の出口ポート3aに接続されたパイロット油圧式の2位置切換弁で構成されている。
【0028】
この切換弁30は、30a〜30cの3つの外部接続ポートを持ち、第1ポート30aにはポンプ・モータ3の出口ポート3aが接続され、第2ポート30bには圧油供給ライン21に合流する合流ライン26が接続されている。また、第3ポート30cには、タンクTに繋がるタンクライン27が接続されている。
【0029】
この切換弁30は、パイロット油圧が入力されていないとき、
図3に示すように、B位置に保持される。そのB位置に保持された状態(第2の切換状態)で、第1ポート30aを第2ポート30bに連通させ、他のポートは遮断する。従ってこの状態では、ポンプ・モータ3の出口ポート3aが、合流ライン26を介して供給ライン21に接続される。
【0030】
又、この切換弁30は、パイロット油圧が入力されたとき、
図2に示すように、A位置に保持される。そのA位置に保持された状態(第1の切換状態)で、第1ポート30aを第3ポート30cに連通させ、他のポートは遮断する。従ってこの状態では、ポンプ・モータ3の出口ポート3aが、タンクライン27を介してタンクTに接続される。
【0031】
つまり、
図2に示すように、制御弁6がA位置(第1位置)に操作された際に、切換弁30をA位置に保持した状態(第1の切換状態)にする(パイロット油圧を導入した状態にする)ことで、ポンプ・モータ3の出口ポート3aをタンクTに連通させることができる。これにより、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bからの高圧の戻り油が、矢印Y1で示すように、回生ライン25及び入口ポート3bを介してポンプ・モータ3に導入されることになり、ポンプ・モータ3が回生用の油圧モータとして動作する。従って、ポンプ・モータ3の回転軸に取り出された回生トルクが、メインポンプ2を駆動するエンジン1のトルクをアシストする。
【0032】
一方、
図3に示すように、制御弁6がB位置(第2位置)に操作された際に、切換弁30をB位置に保持した状態(第2の切換状態)にする(パイロット油圧を導入しない状態にする)ことで、ポンプ・モータ3の出口ポート3aを、メインポンプ2から吐出される圧油の供給ライン21に連通させることができる。このとき、制御弁6がB位置であることにより、回生ライン25には戻り油が流れないので、ポンプ・モータ3は、矢印Y2で示すように、タンクTから吸い上げた油を出口ポート3aから圧油として吐出する。これにより、ポンプ・モータ3が油圧ポンプとして動作する。ポンプ・モータ3の出口ポート3aから吐出された圧油(矢印Y2の流れの圧油)は、メインポンプ2から吐出された圧油(矢印Yの流れの圧油)に供給ライン21上で合流する。
【0033】
次に、回生時の動作と非回生時の動作について詳しく説明する。
【0034】
回生を実施(回生時)するのは、
図2に示すように、制御弁6がA位置にあるとき、つまり、油圧シリンダ5を縮み動作させて、ブームを上方から下方に回動させるときである。このとき、切換弁30にパイロット油圧を導入する。そうすると、切換弁30がB位置からA位置に切り換わり、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bの高圧の戻り油が、矢印Y1で示すように、回生ライン25を介して、ポンプ・モータ3の入口ポート3bに供給される。
【0035】
その圧油は、タンクライン27に排出されるまでの間に、ポンプ・モータ3の斜板3sの傾斜角に応じたトルクで回転軸を回転させる仕事(回生)をなし、メインポンプ2を回転駆動するエンジン1の動力をアシストする。
【0036】
回生を実施しない(非回生時)のは、
図3に示すように、制御弁6がB位置にあるとき、つまり、油圧シリンダ5を伸長動作させて、ブームを下方から上方に回動させるときである。このとき、油圧シリンダ5のロッド側油室5aの戻り油はタンクTに流れ、回生ライン25に戻り油は流れない。そこで、切換弁30に加えていたパイロット油圧を解除する。そうすると、切換弁30がA位置からB位置に切り換わり、矢印Y2で示すように、ポンプ・モータ3の入口ポート3bがタンクTの油を吸い込んで、出口ポート3aから圧油として吐出する。そして、ポンプ・モータ3の吐出する圧油が、メインポンプ2から吐出される圧油に合流し、合流した圧油が油圧シリンダ5のロッド側油室5aに供給される。
【0037】
従って、非回生時には、メインポンプ2に加えて油圧ポンプが1つ増えたことになり、油圧シリンダ5への圧油の供給量を多く確保することができる。その結果、作業の速度を増加させることができる。あるいは、同じ速度で仕事を行わせる場合は、メインポンプ2の容量を小さくすることができる。
【0038】
以上のように、上述した第1の実施形態の油圧駆動装置M1では、ポンプ・モータ3を、油圧シリンダ5からの戻り油を回生する油圧モータとして運転させたり、メインポンプ2と協働する油圧ポンプとして運転させたりすることができる。そのため、エネルギーの有効な活用を行うことができ、効率的なシステムを実現することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図4〜
図6は、第2の実施形態の油圧駆動装置の概略構成図である。
図1〜
図3に示した第1の実施形態と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
この油圧駆動装置M2の第1の実施形態の油圧駆動装置M1との最大の違いは、回生を行うポンプ・モータとして、2方向流れ式の容量可変ポンプ・モータ103を用いていることである。
【0041】
この2方向流れ式のポンプ・モータ103は、入口と出口が逆転する2方向流れで利用可能な第1ポート103bと第2ポート103aを有している。第1ポート103bは、タンクTに常時連通されている。そして、このポンプ・モータ103は、回転軸の回転により、第1ポート103bがタンクTから油を吸い込んで第2ポート103aから圧油として吐出するポンプ運転機能と、回生ライン25から第2ポート103aへの圧油の供給と第1ポート103bからタンクTへの油の排出により回転軸を回転させるモータ運転機能と、の両運転機能を併せ持つ。
【0042】
このポンプ・モータ103も、斜板103sの傾斜角の調整で容量を変化させることのできる可変容量油圧ポンプ・モータで構成されている。メインポンプ2の回転駆動軸とポンプ・モータ103の回転軸は、同一のエンジン(原動機)1の回転駆動軸1aに直列(並列でも可)に結合されている。
【0043】
本第2の実施形態では、切換弁30のPポート30aにポンプ・モータ103の第2ポート103aが接続され、Aポート30bに圧油供給ライン21に合流する合流ライン26が接続されている。また、Bポート30cには回生ライン25が接続されている。
【0044】
切換弁30は、パイロット油圧が入力されていないとき、
図6に示すように、B位置に保持される。そのB位置に保持された状態(第2の切換状態)で、第1ポート30aを第2ポート30bに連通させ、他のポートは遮断する。従ってこの状態では、ポンプ・モータ103の第2ポート103aが、合流ライン26を介して供給ライン21に接続される。
【0045】
又、この切換弁30は、パイロット油圧が入力されたとき、
図5に示すように、A位置に保持される。そのA位置に保持された状態(第1の切換状態)で、第1ポート30aを第3ポート30cに連通させ、他のポートは遮断する。従ってこの状態では、ポンプ・モータ103の第2ポート3aに回生ライン25が接続される。
【0046】
つまり、
図5に示すように、制御弁6がA位置(第1位置)に操作された際に、切換弁30をA位置に保持した状態(第1の切換状態)にする(パイロット油圧を導入した状態にする)ことで、ポンプ・モータ103の第2ポート103aを回生ライン25に連通させることができる。これにより、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bからの高圧の戻り油が、矢印Y3で示すように、回生ライン25及び第2ポート103bを介してポンプ・モータ103に導入されて、第1ポート103bからタンクTに排出されることになり、ポンプ・モータ103が回生用の油圧モータとして動作する。従って、ポンプ・モータ103の回転軸に取り出された回生トルクが、メインポンプ2を駆動するエンジン1のトルクをアシストする。
【0047】
一方、
図6に示すように、制御弁6がB位置(第2位置)に操作された際に、切換弁30をA位置に保持した状態(第2の切換状態)にする(パイロット油圧を導入しない状態にする)ことで、ポンプ・モータ103の第2ポート103aを、メインポンプ2から吐出される圧油の供給ライン21に連通させることができる。このとき、制御弁6がB位置であることにより、回生ライン25には戻り油が流れない上、切換弁30の第3ポート30cが遮断されているので、ポンプ・モータ3は、矢印Y4で示すように、タンクTから吸い上げた油を第2ポート103aから圧油として吐出する。これにより、ポンプ・モータ103が油圧ポンプとして動作する。ポンプ・モータ103の第2ポート103aから吐出された圧油(矢印Y4の流れの圧油)は、メインポンプ2から吐出された圧油(矢印Yの流れの圧油)に供給ライン21上で合流する。
【0048】
次に、回生時の動作と非回生時の動作について詳しく説明する。
【0049】
回生を実施する(回生時)のは、
図5に示すように、制御弁6がA位置にあるとき、つまり、油圧シリンダ5を縮み動作させて、ブームを上方から下方に回動させるときである。このとき、切換弁30にパイロット油圧を導入する。そうすると、切換弁30がB位置からA位置に切り換わり、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bの高圧の戻り油が、矢印Y3で示すように、回生ライン25を介して、ポンプ・モータ3の第2ポート3bに供給される。
【0050】
その圧油は、タンクTに排出されるまでの間に、ポンプ・モータ103の斜板103sの傾斜角に応じたトルクで回転軸を回転させる仕事(回生)をなし、メインポンプ2を回転駆動するエンジン1の動力をアシストする。
【0051】
なお、本第2実施形態の場合は、制御弁6がA位置にあるときには、油圧シリンダ5のヘッド側油室5bから回生ライン25に流れてくる戻り油を、最終的にタンクTに導入する必要があるので、必ず切換弁30にパイロット油圧を導入してA位置に切り換えておかなければならない。
【0052】
回生を実施しない(非回生時)のは、
図6に示すように、制御弁6がB位置にあるとき、つまり、油圧シリンダ5を伸長動作させて、ブームを下方から上方に回動させるときである。このとき、油圧シリンダ5のロッド側油室5aの戻り油はタンクTに流れ、回生ライン25に戻り油は流れない。そこで、切換弁30に加えていたパイロット油圧を解除する。そうすると、切換弁30がA位置からB位置に切り換わり、矢印Y4で示すように、ポンプ・モータ103が第1ポート103aからタンクTの油を吸い込んで、第2ポート103aから圧油として吐出する。そして、ポンプ・モータ103の吐出する圧油が、メインポンプ2から吐出される圧油に合流し、合流した圧油が油圧シリンダ5のロッド側油室5aに供給される。
【0053】
従って、非回生時には、メインポンプ2に加えて油圧ポンプが1つ増えたことになり、油圧シリンダ5への圧油の供給量を多く確保することができる。その結果、作業の速度を増加させることができる。あるいは、同じ速度で仕事を行わせる場合は、メインポンプ2の容量を小さくすることができる。
【0054】
以上のように、上述した第2の実施形態の油圧駆動装置M2では、ポンプ・モータ103を、油圧シリンダ5からの戻り油を回生する油圧モータとして運転させたり、メインポンプ2と協働する油圧ポンプとして運転させたりすることができる。そのため、エネルギーの有効な活用を行うことができ、効率的なシステムを実現することができる。
【0055】
なお、上述の実施形態では、油圧ショベルのブーム用の油圧シリンダを駆動する装置の場合を例示したが、アーム用の油圧シリンダやバケット用の油圧シリンダを駆動する装置にも同様に適用することができる。ただし、ブームに比べアームやバケットは重量が小さいため、回生エネルギーの回収効果は比較的小さいと考えられる。
【0056】
又、上述の実施形態では、油圧シリンダを駆動する装置の場合を例示したが、走行用や旋回用の油圧モータを駆動する装置にも適用することができる。その場合は、制動時に、油圧モータからの戻り油のエネルギーを回生することになる。これらの場合は、位置エネルギーが大きいブームシリンダと異なり、慣性体である車体本体あるいは旋回体の運動エネルギーを回生することとなるが、各制動の方向は、走行のときは前進・後退、旋回のときは左右回転の如く2種類あるので、それぞれの戻り油に対して回生できるようにする必要がある。
【0057】
又、上述の実施形態では、パイロット油圧式の切換弁30を用いた場合を例示したが、切換弁として電磁弁を用いてもよい。また、切換弁の代わりになるその他の切換部を用いてもよい。
【0058】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ポンプ・モータ3、103を、油圧シリンダ5からの戻り油を回生する油圧モータとして運転させたり、メインポンプ2と協働する油圧ポンプとして運転させたりすることができる。そのため、エネルギーの有効な活用を行うことができ、効率的なシステムを実現することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。