(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを構成原料として含んでなる縮重合セグメント(X)、及びビニル系単量体(M)を構成原料とする付加重合セグメント(Y)とを構成セグメントとして分子内に含む結晶性樹脂(P)、並びに非結晶性樹脂(R)を含有し、前記有機ポリイソシアネート(B)が炭素数(NCO基中の炭素原子の数を除く。)6〜20の芳香族ジイソシアネート及び/又は、炭素数(NCO基中の炭素原子の数を除く。)2〜18の脂肪族ジイソシアネートからなることを特徴とするトナーバインダーであって、結晶性樹脂(P)の縮重合セグメント(X)と付加重合セグメント(Y)の重量比(X)/(Y)が50/50〜95/5であるトナーバインダー。
結晶性ポリエステル(A)が、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)を含有するアルコール成分(x)と、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)を含有するカルボン酸成分(y)とを構成原料とする結晶性ポリエステルである請求項1に記載のトナーバインダー。
アルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量がアルコール成分(x)の総モル数に基づいて80〜100モル%である請求項2又は3に記載のトナーバインダー。
カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量がカルボン酸成分(y)の総モル数に基づいて80〜100モル%である請求項2〜4のいずれかに記載のトナーバインダー。
付加重合セグメント(Y)がビニル系単量体(M)としてスチレンを含んでなり、スチレンの含有量がビニル系単量体(M)の総モル数に基づいて40〜100モル%である請求項1〜5のいずれかに記載のトナーバインダー。
付加重合セグメント(Y)がビニル系単量体(M)として(メタ)アクリル酸を含んでなり、(メタ)アクリル酸の含有量がビニル系単量体(M)の総モル数に基づいて5〜30モル%である請求項1〜5のいずれかに記載のトナーバインダー。
縮重合セグメント(X)が、結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)以外に、更に数平均分子量が700以下のジオール(D)を構成原料として含んでなる縮重合セグメントである請求項1〜7のいずれかに記載のトナーバインダー。
非結晶性樹脂(R)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項1〜9のいずれかに記載のトナーバインダー。
結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを構成原料とする縮重合セグメント(X)、及びビニル系単量体(M)を構成原料とする付加重合セグメント(Y)を構成セグメントとして分子内に含み、前記有機ポリイソシアネート(B)が炭素数(NCO基中の炭素原子の数を除く。)6〜20の芳香族ジイソシアネート及び/又は、炭素数(NCO基中の炭素原子の数を除く。)2〜18の脂肪族ジイソシアネートからなり、縮重合セグメント(X)と付加重合セグメント(Y)の重量比(X)/(Y)が50/50〜95/5であるトナー用結晶性樹脂(P)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(P)と非結晶性樹脂(R)とを必須成分として含有し、この結晶性樹脂(P)は縮重合セグメント(X)と付加重合セグメント(Y)を分子内に含む。さらに、この縮重合セグメント(X)は結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)を構成原料として反応させて得られるセグメントであり、一方、付加重合セグメント(Y)はビニル系単量体(M)を構成原料として重合させて得られるセグメントである。
【0012】
本発明における縮重合セグメント(X)を構成する結晶性ポリエステル(A)は、アルコール成分(x)とカルボン酸成分(y)を重縮合して得られ、結晶性を示すものであれば特に限定されない。
なお、本発明における「結晶性」とは示差走査熱量計(DSC)測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものを意味する。この測定は、例えば「DSC210」[セイコーインスツル(株)製]を用いて行うことができ、昇温過程における昇温速度は、例えば20℃/分とすることができる。
【0013】
アルコール成分(x)としては、ジオールが挙げられ、必要に応じて3価以上のポリオールを併用してもよい。
ジオールとしては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);ポリブタジエンジオールなどが挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0014】
これらのジオールの中で、結晶性の観点から炭素数2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)が更に好ましい。
また、同様の観点から直鎖型脂肪族ジオールが分岐型脂肪族ジオールより好ましい。
【0015】
炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ジメチルブタン−1,4−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール1,12−ドデカンジオールが好ましい。
【0016】
結晶性の観点から、アルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は、アルコール成分(x)の総モル数に基づいて好ましくは80〜100モル%であり、更に好ましくは85〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
【0017】
必要によりジオールと併用される3価以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
【0018】
結晶性ポリエステル(A)には、前記ジオールに加え、カルボキシル基、スルホニル基、スルファミル基及びホスホニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオールを構成単位としてもよい。
なお、本発明において、カルボキシル基、スルホニル基、スルファミル基及びホスホニル基は、それぞれそれらの塩基も含む。
【0019】
カルボキシル基又はその塩を有するジオールとしては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
【0020】
スルホニル基又はその塩を有するジオールとしては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
【0021】
スルファミル基又はその塩を有するジオールとしては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
【0022】
ホスホニル基又はその塩を有するジオールとしては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
【0023】
これらの酸の塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
【0024】
カルボン酸成分(y)としては、ジカルボン酸が挙げられ、必要に応じて3価以上のポリカルボン酸を併用してもよい。
ジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など)、及び炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸など)等の脂肪族ジカルボン酸、炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。また、これらの酸無水物、又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0025】
これらのジカルボン酸の中で、結晶性の観点から脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)が更に好ましい。
同様の観点から直鎖型脂肪族ジカルボン酸が分岐型脂肪族ジカルボン酸より好ましい。また、後述する付加重合セグメント(Y)の形成の観点から、ラジカル重合性二重結合を(A)中に導入することができるため、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸を併用することも好ましい。
【0026】
炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)としては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸が好ましい。
【0027】
結晶性の観点から、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は、カルボン酸成分(y)の総モル数に基づいて好ましくは80〜100モル%であり、更に好ましくは85〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
【0028】
必要によりジカルボン酸と併用される3価以上のカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)等が挙げられる。これらの酸無水物、又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0029】
結晶性ポリエステル(A)の数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)は、低温定着性の観点から好ましくは800〜8,000、更に好ましくは900〜7,500、特に好ましくは1,000〜7,000である。
【0030】
本発明におけるMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSK GEL GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液(不溶解分をグラスフィルターでろ別したもの)
溶液注入量 :100μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
【0031】
縮重合セグメント(X)は結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)を構成原料として反応させて得られる。
有機ポリイソシアネート(B)としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0032】
芳香族ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素原子の数を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネートが好ましく、具体的には、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−。キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI{粗製ジアミノフェニルメタン[ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0033】
脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートが好ましく、鎖状脂肪族ジイソシアネート及び環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0034】
環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0035】
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
【0036】
これらの有機ポリイソシアネート(B)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0037】
縮重合セグメント(X)は、結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)以外に、更にラジカル重合性二重結合を分子内に有する化合物(C)を構成原料として含むことが好ましい。
【0038】
ラジカル重合性二重結合を分子内に有する化合物(C)としては、不飽和アルコール、不飽和カルボン酸、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
不飽和アルコールとしては、炭素数2〜8の脂肪族不飽和モノオール(ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール等)、炭素数2〜8の脂肪族不飽和ジオール(2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブテンジオール、1−プロペン−1,2−ジオール、2−ヘプテン−1,7−ジオール、3−ヘプテン−1,7−ジオール、2−ヘキセン−1、6−ジオール、3−ヘキセン−1,6−ジオール、1−ペンテン−1,5−ジオール又は2−ペンテン−1,5−ジオール等)等が挙げられる。
【0039】
不飽和カルボン酸としては、炭素数2〜8の脂肪族不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸等)、炭素数2〜8の脂肪族不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等)等、及びこれらの酸の無水物や低級アルキルエステルが挙げられる。
【0040】
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられる。
【0041】
縮重合セグメント(X)への導入の容易さの観点から、これらの化合物(C)のうち好ましいものは、アリルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。また、マレイン酸及びフマル酸の無水物も同様に好ましい。
【0042】
(A)、(B)以外に、更に(C)を構成原料として含む縮重合セグメント(X)を合成する方法としては、次の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
【0043】
(C)が不飽和アルコール及び水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの場合:
(1)(A)及び(C)の混合物と(B)を反応させる方法
(2)(A)と(B)を、末端がイソシアネート基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
(C)が不飽和カルボン酸(無水物や低級アルキルエステルも含む)の場合:
(3)(A)と(B)を、末端が水酸基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
【0044】
縮重合セグメント(X)は、結晶性ポリエステル(A)と有機ポリイソシアネート(B)、ラジカル重合性二重結合を分子内に有する化合物(C)以外に、更に数平均分子量が700以下のジオール(D)を構成原料として含むことがより好ましい。
【0045】
数平均分子量が700以下のジオール(D)としては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、数平均分子量700以下のポリエチレングリコール、数平均分子量700以下のポリプロピレングリコール、数平均分子量700以下のポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのAO(EO、PO、BOなど)付加物(数平均分子量700以下);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(数平均分子量700以下);数平均分子量700以下のポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等)、前述のカルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0046】
トナーの耐熱保存性及び帯電安定性の観点から、これらのうち好ましいものは、炭素数2〜36の脂肪族ジオール、炭素数4〜36の脂環式ジオール、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(数平均分子量700以下)、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオールであり、更に好ましくは、炭素数4〜36の脂環式ジオール、カルボン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するジオールであり、特に好ましくは、カルボン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するジオールであり、最も好ましくは、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸ナトリウム、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウムである。
【0047】
(A)、(B)、(C)以外に、更に(D)を構成原料として含む縮重合セグメント(X)を合成する方法としては、次の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
【0048】
(C)が不飽和アルコール及び水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの場合:
(1)(A)、(C)、(D)の混合物と有機ポリイソシアネート(B)を反応させる方法
(2)(A)、(B)、(D)を、末端がイソシアネート基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
(C)が不飽和カルボン酸(無水物や低級アルキルエステルも含む)の場合:
(3)(A)、(B)、(D)を、末端が水酸基となるように反応させプレポリマーを形成した後、このプレポリマーと(C)を反応させる方法
【0049】
付加重合セグメント(Y)は、ビニル系単量体(M)を重合させて構成される。
ビニル系単量体(M)としては、以下の単量体(m1)〜(m9)等が挙げられる。
【0050】
(m1)重合性二重結合を有する炭化水素:例えば、以下の(m11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素と(m12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
(m11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:例えば、以下の(m111)と(m111)が挙げられる。
(m111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばエチソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(m112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
【0051】
(m12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
【0052】
(m2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
【0053】
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0054】
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0055】
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
【0056】
(m3)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート(例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等);炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
【0057】
なお、塩としては、(m2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
【0058】
(m4)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(m2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
【0059】
(m5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
【0060】
(m6)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
例えば、(m61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(m62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(m63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、(m64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体などが挙げられる。
【0061】
(m61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
【0062】
(m62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(m63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(m64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
【0063】
(m7)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0064】
(m8)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
【0065】
(m9)重合性二重結合を有するエステル、重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
例えば、(m91)重合性二重結合を有する炭素数2〜24のエステル、(m92)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル、(m93)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン、(m94)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物などが挙げられる。
(m91)重合性二重結合を有する炭素数2〜24のエステル:
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール[Mn=300]モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0066】
(m92)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
【0067】
(m93)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(m94)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
【0068】
これらのうち好ましいものは、(m12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素、(m2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩、(m5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体、及びこれらの併用である。
【0069】
トナーの低温定着性及び耐ホットオフセット性の観点から、ビニル系単量体(M)中のスチレン単量体の含有量は、40〜100モル%であることが好ましく、50〜100モル%であることが更に好ましく、60〜100モル%であることが特に好ましい。
【0070】
また、トナーの帯電安定性の観点から、ビニル系単量体(M)中の(メタ)アクリル酸単量体の含有量は、5〜30モル%であることが好ましく、7.5〜27.5モル%であることが更に好ましく、10〜25モル%であることが特に好ましい。
【0071】
重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合等の公知の方法で行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤(例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、及びアゾビスシアノ吉草酸)、及び有機過酸化物系重合開始剤〔例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジクミルパーオキサイド〕等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、及び2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジクミルパーオキサイドである。
ラジカル重合開始剤の使用量は、ビニル系単量体(モノマー)の全量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは0.1〜6重量%である。
【0072】
本発明の結晶性樹脂(P)は縮重合セグメント(X)と付加重合セグメント(Y)を構成単位として分子内に含む。
この結晶性樹脂(P)を合成する方法としては、次の(1)と(2)の方法が挙げられる。
【0073】
(1)縮重合セグメント(X)の存在下に、ラジカル重合開始剤とビニル系単量体(M)を滴下等により投入して重合させる方法。
(2)縮重合セグメント(X)と、別途重合して合成した付加重合セグメント(Y)を結合させる方法。結合させる方法としては、脱水反応、結合剤(例えば多価イソシアネート、多価エポキシ、ラジカル重合開始剤等)による反応等が挙げられる。
【0074】
縮重合セグメント(X)、付加重合セグメント(Y)及び結晶性樹脂(P)を合成する際、必要により水や有機溶剤を使用し、必要により留去することができる。
有機溶剤としては、芳香族炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びテトラリン等);脂肪族炭化水素溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等);ハロゲン溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン及びパークロロエチレン等);エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ピルビン酸メチル及びピルビン酸エチル等);エーテル溶剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等);ケトン溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン及びシクロヘキサノン等);アルコール溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール及びトリフルオロエタノール等);アミド溶剤(ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等);スルホキシド溶剤(ジメチルスルホキシド等);複素環式化合物溶剤(N−メチルピロリドン等)並びにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0075】
耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、縮重合セグメント(X)と付加重合セグメント(Y)の重量比(X)/(Y)は、好ましくは50/50〜95/5であり、更に好ましくは55/45〜90/10であり、特に好ましくは60/40〜85/15である。
ここで、ビニル系単量体(M)であって、結晶性ポリエステル(A)の構成原料であるカルボン酸成分(y)は、重量比(X)/(Y)を計算する際には、(X)の構成原料として計算する。
【0076】
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(P)と非結晶性樹脂(R)とを必須成分として含有する。
非結晶性樹脂(R)としては、非結晶性であれば特に限定されないが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、更に好ましくは、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂であり、特に好ましくは、ポリエステル樹脂及びビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である。
【0077】
ポリエステル樹脂としては、前述のアルコール成分、カルボン酸成分(その酸無水物又は低級アルキルエステルを含む)との重縮合物であって、非結晶性のものが挙げられる。
【0078】
ポリウレタン樹脂としては、前述の有機ポリイソシアネートとアルコール成分との重付加物であって、非結晶性のものが挙げられる。
【0079】
エポキシ樹脂としては、ポリエポキシドとポリアミン、前述のアルコール成分、カルボン酸成分との重付加物であって、非結晶性のものが挙げられる。
ポリエポキシドの具体例としては、芳香族ポリエポキシ化合物及び脂肪族ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族ポリエポキシ化合物としては、多価フェノールのグリシジルエーテル体、芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン及びアミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。
【0080】
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、及びレゾルシンとアセトンの縮合反応により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。
芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル及びテレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
【0081】
脂肪族ポリエポキシ化合物としては、鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物及び環状脂肪族ポリエポキシ化合物等が挙げられる。
【0082】
鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体及びグリシジル脂肪族アミン等が挙げられる。
【0083】
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル及びポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0084】
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート及びジグリシジルピメレート等が挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族ポリエポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル及びグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体等も挙げられる。
【0085】
環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン及びダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
【0086】
ポリアミンとしては、炭素数2〜18の脂肪族ポリアミン及び芳香族ポリアミン(炭素数6〜20)等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリアミンとしては、鎖状脂肪族ポリアミン、これらのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体及び環状脂肪族ポリアミン等が挙げられる。
【0087】
鎖状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
【0088】
鎖状脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数1〜4)又はヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)置換体としては、ジアルキル(炭素数1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン及びメチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。
【0089】
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ポリアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ポリアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
【0090】
芳香族ポリアミン(炭素数6〜20)としては、非置換芳香族ポリアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン等が使用できる。
【0091】
非置換芳香族ポリアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0092】
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0093】
ビニル樹脂としては、前述のビニル系単量体の重合物であって、非結晶性のものが挙げられる。
【0094】
耐ホットオフセット性と低温定着性の両立の観点から、本発明のトナーバインダーの結晶性樹脂(P)と非結晶性樹脂(R)の重量比(P)/(R)は、好ましくは2/98〜50/50であり、更に好ましくは4/96〜45/55であり、特に好ましくは5/95〜40/60である。
重量比(P)/(R)が2/98未満では低温定着性が不良となり、50/50を超えると耐ホットオフセット性が不良となる。2/98〜50/50の範囲で耐ホットオフセット性と低温定着性が両立しえるので、本発明の結晶性樹脂(P)を非結晶性樹脂(R)に添加させることが有益である。
【0095】
本発明のトナーは、本発明のトナーバインダーと着色剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
【0096】
着色剤の含有量は、トナーバインダーを100重量部とした際に、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜15重量部である。
なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。
【0097】
本発明のトナーは、本発明のトナーバインダー、着色剤以外に、必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0098】
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
【0099】
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
【0100】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
【0101】
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
【0102】
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
【0103】
本発明のトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
【0104】
本発明のトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
【実施例】
【0105】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0106】
製造例1
〔結晶性ポリエステル(A−1)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、エチレングリコール396部、アジピン酸799部、及び重合触媒としてテトラブトキシチタネート2.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で冷却して取り出し、結晶性ポリエステル(A−1)を得た。
(A−1)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は100モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は100モル%である。また、Mnは1,000である。
【0107】
製造例2
〔結晶性ポリエステル(A−2)の合成〕
製造例1において、エチレングリコール396部、アジピン酸799部を1,6−ヘキサンジオール435部、セバシン酸684部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、結晶性ポリエステル(A−2)を得た。
(A−2)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は100モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は100モル%である。また、Mnは3,000である。
【0108】
製造例3
〔結晶性ポリエステル(A−3)の合成〕
製造例1において、エチレングリコール396部、アジピン酸799部を1,12−ドデカンジオール541部、ドデカン二酸504部、テレフタル酸40部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、結晶性ポリエステル(A−3)を得た。
(A−3)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は100モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は90モル%である。また、Mnは4,000である。
【0109】
製造例4
〔結晶性ポリエステル(A−4)の合成〕
製造例1において、エチレングリコール396部、アジピン酸799部を1,4−ブタンジオール215部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物261部、ドデカン二酸514部、テレフタル酸79部、フマル酸37部とした以外は、製造例1と同様な操作を行い、結晶性ポリエステル(A−4)を得た。
(A−4)のアルコール成分(x)中の炭素数2〜12の脂肪族ジオール(x1)の含有量は75モル%、カルボン酸成分(y)中の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸(y1)の含有量は74モル%である。また、Mnは6,000である。
【0110】
【表1】
【0111】
製造例5
〔縮重合セグメント(X−1)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−1)409部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート35部、及びHDI92部を入れ、100℃で窒素気流下に8時間反応させ、縮重合セグメント(X−1)を得た。
【0112】
製造例6
〔縮重合セグメント(X−2)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−1)441部、及びHDI59部を入れ、100℃で窒素気流下に8時間反応させた後、無水マレイン酸17部を入れ、さらに3時間反応させ、縮重合セグメント(X−2)を得た。
【0113】
製造例7
〔縮重合セグメント(X−3)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−2)457部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(分子量:131)(D−1)12部、及びメチルエチルケトン(MEK)500部を入れ、80℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にHDI31部を入れ、80℃で7時間反応させた後、無水マレイン酸12部を入れ、120℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、縮重合セグメント(X−3)を得た。
【0114】
製造例8
〔縮重合セグメント(X−4)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−2)461部、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(分子量:226)(D−2)13部、及びMEK500部を入れ、80℃で1時間撹拌し溶液を得た。次いでこの溶液にHDI26部を入れ、80℃で7時間反応させた後、無水マレイン酸10部を入れ、120℃に昇温し4時間反応させた後MEKを留去して、縮重合セグメント(X−4)を得た。
【0115】
製造例9
〔縮重合セグメント(X−5)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−3)465部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(分子量:144)(D−3)5部、及びIPDI30部を入れ、100℃で窒素気流下に12時間反応させた後、無水マレイン酸3部を入れ、さらに3時間反応させ、縮重合セグメント(X−5)を得た。
【0116】
製造例10
〔縮重合セグメント(X−6)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−4)490部、及びMDI10部を入れ、80℃で窒素気流下に8時間反応させ、縮重合セグメント(X−6)を得た。
【0117】
【表2】
【0118】
実施例1
〔結晶性樹脂(P−1)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を入れ、窒素置換後170℃に昇温して十分溶解し、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液を、3時間で滴下して重合した。170℃で30分間保持した後キシレンを留去して、結晶性樹脂(P−1)を得た。
(P−1)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は100モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は0モル%である。
【0119】
実施例2
〔結晶性樹脂(P−2)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−2)300部、及びキシレン600部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン73部、メタクリル酸21部、n−ブチルアクリレート6部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート4部、及びキシレン20部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−2)を得た。
(P−2)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は75モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は25モル%である。
【0120】
実施例3
〔結晶性樹脂(P−3)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−3)300部、及びキシレン600部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン78部、メタクリル酸4部、n−ブチルアクリレート18部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート4部、及びキシレン20部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−3)を得た。
(P−3)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は80モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は5モル%である。
【0121】
実施例4
〔結晶性樹脂(P−4)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−4)320部、及びキシレン640部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン36部、n−ブチルアクリレート44部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート3部、及びキシレン30部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−4)を得た。
(P−4)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は50モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は0モル%である。
【0122】
実施例5
〔結晶性樹脂(P−5)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−5)200部、及びキシレン500部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン186部、アクリル酸14部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート8部、及びキシレン100部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−5)を得た。
(P−5)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は90モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は10モル%である。
【0123】
実施例6
〔結晶性樹脂(P−6)の合成〕
実施例1において、縮重合セグメント(X−1)380部、及びキシレン760部を縮重合セグメント(X−6)360部、及びキシレン720部に、スチレン20部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート1部、及びキシレン4部の混合溶液をスチレン12部、メチルメタクリレート28部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート2部、及びキシレン8部の混合溶液とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、結晶性樹脂(P−6)を得た。
(P−6)のビニル系単量体(M)中の、スチレンモノマーの含有量は30モル%、(メタ)アクリル酸モノマーの含有量は0モル%である。
【0124】
比較例1
〔比較の結晶性樹脂(P’−1)〕
何ら変性しない結晶性ポリエステル(A−1)を、比較の結晶性樹脂(P’−1)とした。
【0125】
比較例2
〔比較の結晶性樹脂(P’−2)〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、結晶性ポリエステル(A−1)441部、及びHDI59部を入れ、100℃で窒素気流下に8時間反応させ、比較の結晶性樹脂(P’−2)を得た。
【0126】
比較例3
〔比較の結晶性樹脂(P’−3)〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,6−ヘキサンジオール248部、1,4−ブタンジオール81部、及びテレフタル酸398部を入れ、160℃に加熱し、スチレン154部、アクリル酸15部、及びジクミルパーオキサイド9部の混合溶液を、1時間で滴下して重合した。160℃で1時間保持した後、2−エチルヘキサン酸錫4部を加えて、210℃に昇温し8時間反応させ、さらに8kPaの減圧下に反応させ、酸価が16になった時点で冷却して取り出し、比較の結晶性樹脂(P’−3)を得た。
【0127】
比較例4
〔比較の結晶性樹脂(P’−4)〕
何ら変性しない縮重合セグメント(X−6)を、そのまま比較の結晶性樹脂(P’−4)とした。
【0128】
【表3】
【0129】
製造例11
〔非結晶性樹脂(R−1、ポリエステル樹脂)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、1,2−プロピレングリコール522部、テレフタル酸468部、アジピン酸90部、安息香酸20部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、170℃で加圧下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、生成する水を留去しながら12時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、軟化点が130℃になった時点で冷却して取り出し、高軟化点の非結晶性樹脂(r−1)を得た。
別の反応槽中に、1,2−プロピレングリコール458部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物40部、テレフタル酸493部、アジピン酸6部、安息香酸70部、無水トリメリット酸46部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、170℃で加圧下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、生成する水を留去しながら12時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、軟化点が105℃になった時点で常圧に戻し、180℃に冷却した。次いで、無水トリメリット酸14部加え1時間反応させた後、冷却して取り出し、低軟化点の非結晶性樹脂(r−2)を得た。
得られた(r−1)と(r−2)の重量比(r−1)/(r−2)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業製FM10B]にて均一化し、非結晶性樹脂(R−1)を得た。
【0130】
製造例12
〔非結晶性樹脂(R−2、ビニル樹脂)の合成〕
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応容器に、キシレン320部を入れ、窒素置換後、185℃まで昇温した。次いで、スチレン240部、n−ブチルメタクリレート60部、メチルメタアクリレート92部、アクリル酸8部、ジ−t−ブチルパーオキサイド1部、及びキシレン140部の混合溶液を、3時間で滴下して重合した。185℃で1時間保持した後キシレンを留去して、非結晶性樹脂(R−2)を得た。
【0131】
実施例7〜12及び比較例5〜9
上記実施例、比較例及び製造例で得られた結晶性樹脂(P−1)〜(P−6)、比較の結晶性樹脂(P’−1)〜(P’−4)、非結晶性樹脂(R−1)、(R−2)を、表4の配合比(重量部)に従い配合し、本発明のトナーバインダー、及び比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。
まず、カーボンブラックMA−100[三菱化学製]8部、カルナバワックス5部、荷電制御剤[「T−77」保土谷化学製]1部を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[池貝製PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業製MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部に外添剤としてコロイダルシリカ(「アエロジルR972」日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー(T−1)〜(T−6)、及び比較のトナー(T’−1)〜(T’−5)を得た。
【0132】
【表4】
【0133】
実施例7〜12で得た本発明のトナー(T−1)〜(T−6)、及び比較例5〜8で得た比較のトナー(T’−1)〜(T’−5)について、低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度を以下に記載の評価方法により評価した。その結果を表4に示す。
【0134】
[評価方法]
低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、画像強度の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
【0135】
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.85mg/cm
2となるよう均一に載せる。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いる。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/秒、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm
2の条件で通した時のコールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。この測定条件では、一般に120℃以下が好ましい。
【0136】
<光沢性>
低温定着性と同様に定着評価を行う。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度(%)を測定した。光沢度が高いほど、光沢性に優れることを意味する。この測定条件では、一般に12%以上が好ましい。
【0137】
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。この測定条件では、一般に180℃以上が好ましい。
【0138】
<流動性>
ホソカワミクロン製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100ml)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。
【0139】
[判定基準]
○:33以上
△:25以上33未満
×:25未満
【0140】
<耐熱保存性>
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
△:一部にブロッキングが発生している。
×:全体にブロッキングが発生している。
【0141】
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿する。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×20分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
【0142】
[判定基準]
○:0.7以上
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
【0143】
<画像強度>
低温定着性の評価で定着した画像を、JIS K5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。一般にはH以上が必要とされる。
【0144】
[判定基準]
○:H以上
△:B〜F
×:2B以下
【0145】
実施例7〜12で得た本発明のトナー(T−1)〜(T−6)はいずれの性能評価項目でも優れた結果が得られた。
一方、本発明の結晶性樹脂(P)を含有しない比較例1で得た比較のトナー(T’−1)は低温定着性が著しく不良であり、光沢性、流動性、耐熱保存性も不良であった。
また、本発明の結晶性樹脂(P)の代わりに(A)を用いた比較例2で得た比較のトナー(T’−2)は、いずれの性能評価項目も不良であり、セグメント(X)は含むがセグメント(Y)を含まない樹脂を用いた比較例3で得た比較のトナー(T’−3)は、低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、帯電安定性が不良であった。
また、セグメント(Y)は含むがセグメント(X)を含まない樹脂〔(A)と(Y)で構成された樹脂〕を用いた比較例4で得た比較のトナー(T’−4)は、低温定着性と光沢性は改善できているが、流動性、耐熱保存性、帯電安定性が不良であった。
また、セグメント(X)を含むがセグメント(Y)を含まない結晶性樹脂を用いた比較例5で得た比較のトナー(T’−5)は、低温定着性、耐ホットオフセット性、流動性、帯電安定性が不良であった。