(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記物品載置部の前記開口側の端縁は前記一方の側板から前記他方の側板に向かうにしたがって前側に向かうように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の天板付き什器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように天板の下面に吊支された従来の物品収容部では、前側のみに開口が設けられているため、例えば前側の開口から横にずれた位置にいる執務者にとっては収容物品に対するアクセス性および視認性が低下してしまうという問題を有していた。
【0006】
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、物品収容部に収容された物品に対するアクセス性および視認性を良好にする天板付き什器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用している。
すなわち、本発明に係る天板付き什器は、床面上に配置された脚体と、前記脚体によって支持され、下方に利用者の下肢が配置される下肢空間が形成された天板と、前記下肢空間に対して左右方向の一方側に位置ずれして設けられ、前記天板の下面に吊支され、前側に開口が形成された物品収容部と、を備え、前記物品収容部は、前記左右方向に離間して配された一対の側板と、両端が前記一対の側板に連結され、上面に物品が載置される物品載置部と、を有し、前記一対の側板のうち下肢空間側に配置された一方の前記側板における前記開口側の端縁の位置が前記一対の側板のうち他方の前記側板における前記開口側の端縁の位置および前記物品載置部における前記開口側の端縁の位置より後側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
上述の天板付き什器では、一対の側板のうち下肢空間側に配置された一方の側板における開口側の端縁と物品載置部における開口側の端縁によって形成される開口が天板付き什器の利用者側に向けて形成される。このため、利用者は天板付き什器の利用時の位置から移動せずに物品収容部の内部に対して円滑にアクセスすることができる。また、利用者は天板付き什器の利用時の位置から物品載置部における物品の有無や物品が何であるかを容易に視認することができる。このように、物品収容部の開口を天板付き什器の前方から利用者側に向けることで、収容物品に対するアクセス性および視認性を良好にすることができる。
【0009】
本発明に係る天板付き什器では、前記物品載置部の前記開口側の端縁は前記一方の側板から前記他方の側板に向かうにしたがって前側に向かうように形成されていてもよい。
このような天板付き什器では、物品載置部の前側に空間が形成されるので、下肢空間を拡大し、利用者の下肢の可動範囲を広く確保することができる。
【0010】
本発明に係る天板付き什器では、前記物品載置部における前記開口側の端縁は平面視直線状に形成されていてもよい。
このような天板付き什器では、物品載置部における開口側の端縁が平面視直線状に形成されることで、一対の側板のうち下肢空間側に配置された一方の側板の前後方向の長さと他方の側板の前後方向の長さとの差の範囲内における物品載置部を広く確保するとともに、物品載置部の製造容易性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る天板付き什器によれば、物品収容部に収容された物品に対するアクセス性および視認性を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0014】
また、以下の実施形態では、本発明の天板付き什器として、天板昇降式デスクを例に挙げて説明を行う。
なお、以下の説明においては、天板昇降式デスクにおける矩形状の天板の長辺の長さ方向を左右方向、天板の短辺の長さ方向を前後方向と記載する。
【0015】
図1は、本発明に係る天板昇降式デスクの一実施形態の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示した天板昇降式デスクの物品収容部の概略構成を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、天板昇降式デスク(天板付き什器)1は、左右に離間して配置された一対の脚体2,2と、一対の脚体2,2に支持された平板状の天板4と、天板4の下面4bに吊支された物品収容部31を有している。
【0017】
脚体2は、床面上に配置される下部支持体8と、下部支持体8の上方に配置されて天板4の下面を支持する上部支持体9と、これら下部支持体8と上部支持体9との間を伸縮可能に連結する昇降機構ユニット5によって構成されている。一対の脚体2、2がそれぞれ昇降機構ユニット5を備えたことにより、天板4は上下に昇降可能に構成されている。
また、天板昇降式デスク1には、一対の昇降機構ユニット5,5に加えて一対の昇降機構ユニット5,5をともに制御する不図示の制御部と、昇降機構ユニット5に昇降動作信号を入力するための操作部7が設けられている。
【0018】
上部支持体9は、天板4の前後方向に延在して配置されて、天板4の左右方向における側端部の下面を支持している。
下部支持体8は、前後に延在する板状部材によって構成されている。下部支持体8の前端部および後端部のそれぞれには不図示のアジャスターが設けられているので、下部支持体8の床面からの高さは微調整可能になっている。
【0019】
昇降機構ユニット5は、従来公知の構成からなるものである。詳しくは、昇降機構ユニット5は、寸法が異なり、かつ互いに相対移動可能に嵌合している複数の角筒によって構成され、角筒の内部に収容された駆動機構の駆動によって上下方向に伸縮可能になっている。このような構成により、昇降機構ユニット5は下部支持体8と上部支持体9との間を伸縮可能になっている。
【0020】
脚体2,2は、不図示の連結部材によって連結されている。連結部材は、一対の上部支持体9,9に溶接などによって取り付けられ、図示していないが複数の連結片や接続板などによって構成され、空間部を有している。空間部には、昇降機構ユニット5の制御部が設けられている。昇降機構ユニット5の制御部は、一対の脚体2,2のそれぞれに設けられた昇降機構ユニット5、5の昇降動作をともに制御するものであり、不図示の電源ケーブルに接続されるとともに電力が供給されることにより、作動する。
【0021】
天板4は、矩形の板状部材からなる。前述のように天板4は脚体2,2に支持され、天板4の下方には利用者Uの下肢が配置される下肢空間Eが形成されている(
図3参照)。天板4の後側の左右両側部には、天板4の上下面間を貫通する配線挿通孔27が穿設されている。配線挿通孔27は、例えば
図1に二点鎖線で示すように天板4の上に置かれたディスプレイ28の接続配線ケーブル29を天板4の下方に案内するためのものである。
【0022】
天板4の前端縁部の下面4b側には、操作部7が設けられている。操作部7は、昇降機構ユニット5に対して昇降動作信号を入力するための操作ボタンを有したもので、天板4の下面に不図示の取り付け用部材を介して取り付けられている。操作部7は、不図示の電源ケーブルを介して昇降機構ユニット5の制御部に接続されるとともに電力が供給されることにより、作動する。
【0023】
図1および
図2に示すように、物品収容部31は、左右方向に離間して配された一対の側板38,38と、左右の端縁(両端)42d,42dが一対の側板38,38に連結され、上面42aに物品が載置される物品載置部42と、を一体的に有している。具体的には、物品収容部31は、一対の側板38,38と、物品載置部42を構成する連結部37と、一対の側板38,38のそれぞれの上側の端縁38c,38c同士を連結し、天板4の下面4bに当接可能な吊支部40と、を一体的に有する箱状部材45を備えている。箱状部材45を備えた物品収容部31の前側には、開口32が形成されている。
【0024】
一対の側板38,38のそれぞれの後側には、天板4の上に載置されたディスプレイ28の接続ケーブル29を、物品収容部31の内部に載置したPC本体と接続するための配線挿通用孔として使用するための切欠39,39が形成されている。
【0025】
物品収容部31の軸線J31は、天板4の短辺に平行している。また、一対の側板38,38のうち下肢空間E側(
図3参照)に配置された一方の側板38Aの前後方向の長さは、一対の側板38,38のうち下肢空間E側とは反対側に配置された他方の側板38Bの前後方向の長さより短くなっている。このような配置構成により、側板38Aにおける開口32側の端縁38fは、側板38Bにおける開口32側の端縁38fおよび物品載置部42における開口32側の端縁42fより後側に配置されている。
【0026】
物品載置部42の開口32側の端縁42fが平面視直線状に形成されている。
物品収容部31の開口32は、上下方向を中心として、軸線J31から、側板38Aの前後方向の長さと側板38Bの前後方向の長さとの差Lに応じた角度θで下肢空間E側に回転した軸線J32の方向に開口している。一方、箱状部材45の後側には、軸線J31に開口する開口33が形成されている。
【0027】
後述するように、利用者Uの物品収容部31に収容された電子機器、書籍や飲料などの物品Aに対するアクセス性および視認性を良好にするとともに、使用者Uが上下方向を中心として回転移動した際などに下肢空間E(すなわち、下肢ULの可動範囲)をより広く確保する(
図3参照)観点から、側板38Aの前後方向の長さと側板38Bの前後方向の長さとの差Lは、100mm以上であることが好ましく、200mm以上であることが好ましい。ただし、側板38Aの前後方向の長さと側板38Bの前後方向の長さとの差Lを大きくするほど物品載置部42の広さが減少するので、差Lは物品載置部42の広さを良好に確保可能な範囲内で、前述の観点をふまえて適切に設定されることが好ましい。
【0028】
物品収容部31は、一対の側板38,38と、物品載置部42に加え、一対の側板38,38および連結部37においてそれぞれの開口33側の端縁38e,38e,37e同士を連結する連結部41と、を備えている。
【0029】
一対の側板38,38の端縁38e,38eには、互いに近づく方向に向けて突出した突出部48が設けられている。突出部48には上下方向に間隔をあけて複数の貫通孔43が形成されている。
連結部41は、板状に形成されている。連結部41には、一対の側板38,38の端縁38e,38eと連結部41の左右の端縁41g,41gとをそれぞれ揃えて突出部48の後側から連結部41を当接させたときに貫通孔43と対応する位置に、不図示の貫通孔が形成されている。前述のように突出部48の後側から連結部41を当接させ、複数の貫通孔43と連結部41に形成された貫通孔とに不図示のビスを挿通させ、ビス止めすることで、箱状部材45の開口33が連結部41によって閉じられている。
【0030】
吊支部40には、複数の貫通孔44が形成されている。図示していないが、天板4の下面4bにおいて物品収容部31が設置される部分に、複数の貫通孔44の相対位置に対応する位置で凹状のネジ穴が形成されている。天板4の下面4bに吊支部40を当接させ、複数の貫通孔43に不図示のネジを挿通させ、ネジを天板4に形成されたネジ穴に埋め込むことで、物品収容部31が天板4の下面4bに吊支されている。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の天板昇降式デスク1によれば、
図3に示すように、物品収容部31の一対の側板38,38のうち、下肢空間E側に配置された側板38Aにおける開口32側の端縁38fは、他方の側板38Bにおける開口32側の端縁38fおよび物品載置部42における開口32側の端縁42fより後側に配置されている。このため、物品収容部31の前側の開口32を、上下方向を中心として、軸線J31から、側板38Aの前後方向の長さと側板38Bの前後方向の長さとの差Lに応じた角度θで下肢空間E側に回転した軸線J32の方向に向けることができる。すなわち、一対の側板38,38のそれぞれの端縁38f,38fおよび物品載置部42の端縁42fによって形成される開口32を物品収容部31の軸線J31よりも下肢空間E側に向けて形成することが可能である。このように開口32を下肢空間E側に向けて形成することで、利用者Uは物品収容部31の軸線J31から左右にずれた位置にいる場合であっても、従来のように軸線J31上の位置まで回り込まずに、または移動せずに元の位置から、
図3において二点鎖線で例示したように物品収容部31の内部に手を伸ばして物品Aに接触することができるとともに、元の位置から物品収容部31の内部を容易に見ることができる。したがって、利用者Uに対し、物品収容部31に収容された物品Aへのアクセス性および物品Aの視認性を良好にすることができる。
また、開口32が上述のように下肢空間E側に向けて形成されていることで、利用者Uが上下方向を中心として回転移動した際などに下肢ULが物品収容部31に接触してしまうことを防止し、下肢空間Eを充分に確保し、利用者Uに快適な執務作業環境を提供することができる。
【0032】
また、本実施形態の天板昇降式デスク1によれば、物品載置部42の端縁42fは側板38Aから側板38Bに向かうにしたがって前側に向かうように形成されていることで、物品載置部42の前側に空間を確実に形成し、下肢空間E、すなわち利用者Uの下肢ULの可動範囲を確実かつ良好に広く確保することができる。
【0033】
また、本実施形態の天板昇降式デスク1によれば、物品載置部42の端縁42fが平面視直線状に形成されていることで、側板38Aの前後方向の長さと側板38Bの前後方向の長さとの差Lの範囲内における物品載置部42を広く確保するとともに、連結部37を簡易に製造することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0035】
例えば、本発明の天板付き什器は天板昇降式デスク1に限定されるものではなく、昇降式ではないデスクや、デスク以外の他の什器に適用することも可能である。
【0036】
また、物品収容部31は、側板38Aの端縁38fが側板38Bの端縁38fおよび物品載置部42の端縁42fより後側に配置されていれば、上述の実施形態で説明した形状以外の形状を有していても構わない。例えば、側板38Aの端縁38fおよび側板38Bの端縁38fの相対的な位置は
図2に例示したようになっており、かつ下肢空間E側の物品載置部42が前側に延出していても構わない。このような形状を有する物品収容部31によっても、開口32を物品収容部31の軸線J31よりも下肢空間E側に向けて形成し、物品収容部31に収容された物品Aへのアクセス性および物品Aの視認性を良好にすることができる。
【0037】
また、物品収容部31において物品載置部42の端縁42fは、必ずしも平面視直線状に形成されていなくてもよく、
図4に例示したように平面視曲線状に形成されていてもよい。
【0038】
また、
図5に例示したように、物品収容部31の軸線J31に沿った側板38Aの長さと側板38Bの長さとは略等しくなっており、かつ開口32が向いている軸線J32が物品収容部31の軸線J31と重なっていてもよい。このような構成によれば、
図2や
図4に例示した物品収容部31に比べて物品載置部42をさらに広く確保するとともに、連結部37を簡易に製造することができる。
【0039】
また、物品収容部31において、連結部41は省略可能である。