(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、部材点数が増加するため、当該部材を組み立てる組立工数が増加してしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、外観品質を向上させつつ、組立工数を削減することができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、フレーム材を備えた建具であって、前記フレーム材の少なくとも一部は、互いに異なる領域にそれぞれ設けられたラミネートシート及び塗膜により加飾され、前記ラミネートシート及び前記塗膜が隣接する境界領域では、当該ラミネートシート及び当該塗膜が重なり合っていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、フレーム材の少なくとも一部は、互いに異なる領域にそれぞれ設けられたラミネートシート及び塗膜により加飾されている。このため、ラミネートシート及び塗膜により建具の外観品質を向上させることができる。また、フレーム材において、例えば、ラミネートシートを貼り付けることが困難なものとなる凹凸部位には塗膜を形成し、その他の部位にはラミネートシートを貼り付けることができる。すなわち、凹凸部位をフレーム材とは別体で構成する必要がなく、部材点数及び組立工数を削減することができ、結果として、製造コストを低減することができる。また、凹凸部位をフレーム材とは別体で構成した場合には強度等の品質にバラつきが生じ易いところ、凹凸部位をフレーム材に一体形成することができるため、当該品質のバラつきを抑制することができる。
また、本発明では、ラミネートシート及び塗膜が隣接する境界領域では、当該ラミネートシート及び当該塗膜が重なり合っている。このため、境界領域において、ラミネートシートと塗膜とが離間してフレーム材における下地の色合いが見えてしまうことがない。すなわち、建具の外観品質をさらに向上させることができる。
【0008】
また、本発明は、上述した建具において、前記塗膜は、着色された着色層と、前記着色層よりも高い耐候性を有し、当該着色層上に積層された透明保護層とを備え、前記境界領域では、前記着色層上に前記ラミネートシートが重なり合い、当該ラミネートシート上に前記透明保護層が重なり合っていることを特徴とする。
ところで、透明保護層は、一般的に、耐候性、耐薬品性、耐擦傷性を上げるため、樹脂架橋密度を高くして塗膜表面を安定化させて、外部からの影響を受け難くするために用いられる。このため、透明保護層上には、ラミネートシートを貼り付けるための接着剤も接着し難いものとなる。すなわち、境界領域において、透明保護層上にラミネートシートを重ね合わせた場合には、当該透明保護層からラミネートシートが剥がれ、建具の外観品質が損なわれる虞がある。
本発明では、境界領域では、着色層上にラミネートシートが重なり合い、当該ラミネートシート上に透明保護層が重なり合っている。このため、境界領域での上述したラミネートシートの剥がれが生じることがなく、建具の外観品質を良好に維持することができる。
また、着色層は、塗装(例えば、吹き付け塗装)により形成されるため、エッジ部分において色むらが生じる虞がある。一方、ラミネートシートは、シートであるため、エッジ部分においても色むらが生じない。このため、境界領域において、着色層上にラミネートシートを重ねることにより、着色層におけるエッジ部分の上述した色むらをラミネートシートで覆い隠すことができ、建具の外観品質をさらに向上させることができる。
【0009】
また、本発明は、上述した建具において、前記塗膜は、着色された着色層と、前記着色層よりも高い耐候性を有し、当該着色層上に積層された透明保護層とを備え、前記境界部分では、前記ラミネートシート上に前記塗膜が重なり合っていることを特徴とする。
本発明では、境界領域では、ラミネートシート上に塗膜が重なり合っている。このため、境界領域での上述したラミネートシートの剥がれが生じることがなく、建具の外観品質を良好に維持することができる。
また、フレーム材を製造する際には、境界領域でラミネートシート上に塗膜が重なるように、当該フレーム材に対して、ラミネートシートを貼り付ける設備で当該ラミネートシートを貼り付けた後、塗膜を形成する設備で当該塗膜を形成する。すなわち、着色層及び透明保護層を一度に形成することができるため、フレーム材を最低限の工程で製造することができ、結果として、製造コストを低減することができる。
【0010】
また、本発明は、上述した建具において、前記塗膜は、着色された着色層と、前記着色層よりも高い耐候性を有し、当該着色層上に積層された透明保護層とを備え、前記境界領域では、前記着色層上に前記ラミネートシートが重なり合うとともに、当該着色層上における当該ラミネートシートを避けた領域に前記透明保護層が積層されていることを特徴とする。
本発明では、境界領域では、着色層上にラミネートシートが重なり合うとともに、当該着色層上における当該ラミネートシートを避けた領域に透明保護層が積層されている。このため、境界領域での上述したラミネートシートの剥がれが生じることがなく、建具の外観品質を良好に維持することができる。また、境界領域において、着色層上にラミネートシートを重ねることにより、着色層におけるエッジ部分の上述した色むらをラミネートシートで覆い隠すことができ、建具の外観品質をさらに向上させることができる。
また、フレーム材を製造する際には、着色層の一部が透明保護層からはみ出るように、当該フレーム材に対して、塗膜を形成する設備で当該塗膜を形成する。この後、当該はみ出した着色層上にラミネートシートが重なるように、ラミネートシートを貼り付ける設備で当該ラミネートシートを貼り付ける。すなわち、着色層及び透明保護層を一度に形成することができるため、フレーム材を最低限の工程で製造することができ、結果として、製造コストを低減することができる。
【0011】
また、本発明は、上述した建具において、当該建具は、建物の開口部の縁部に沿って設けられた窓枠と、前記窓枠内に配置され、第1框部材にて面材の外周縁部を支持した外障子と、前記窓枠内において、前記外障子に対して室内側に配置され、第2框部材にて面材の外周縁部を支持した内障子とを備え、前記フレーム材は、前記窓枠、前記第1框部材、及び前記第2框部材であり、前記窓枠には、前記外障子及び前記内障子の外周縁部がそれぞれ収容される収容溝と、前記収容溝の底部から突出し、前記外障子を移動可能に支持する第1レール部と、前記収容溝の底部から突出し、前記内障子を移動可能に支持する第2レール部とが設けられ、前記第1レール部及び前記第2レール部の少なくとも一方は、前記塗膜のみにより加飾されていることを特徴とする。
【0012】
ところで、ラミネートシートと塗膜とを比較した場合に、ラミネートシートの厚み寸法は、塗膜の厚み寸法よりも大きいものである。そして、例えば、第1レール部をラミネートシートにより加飾した場合には、当該ラミネートシートの厚み寸法分、外障子と第1レール部との隙間が小さくなり、外障子を移動する際の開閉力が増加してしまう。
本発明では、第1,第2レール部の少なくとも一方は、ラミネートシートよりも厚み寸法が小さい塗膜のみにより加飾されている。このため、上述した隙間を大きく確保することができ、上述した開閉力の増加を回避することができる。
【0013】
また、本発明は、上述した建具において、前記第1レール部及び前記第2レール部間は、カバー部材が取り付けられることにより加飾されていることを特徴とする。
本発明によれば、ラミネートシートや塗膜を設けることが困難な第1,第2レール部間についてもカバー部材により加飾することができ、建具の外観品質をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る建具によれば、外観品質を向上させつつ、組立工数を削減することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0017】
(実施の形態1)
〔建具の概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る建具1を室内側から見た図である。
図2は、
図1に示したII-II線の端面図である。
図3は、
図1に示したIII-III線の端面図である。
図4は、
図1に示したIV-IV線の端面図である。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、
図2ないし
図4の矢印Arで示すように、建具1の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については、見付け面と称する場合がある。
建具1は、窓枠2と、外障子3と、内障子4と、網戸5とを備える。すなわち、本実施の形態1に係る建具1は、引違い窓で構成されている。
【0018】
窓枠2は、本発明に係るフレーム材に相当する。この窓枠2は、上枠21、下枠22、
図1,
図4中、左側に位置する左縦枠23、及び
図1,
図4中、右側に位置する右縦枠24を四周枠組みすることによって構成され、建物の開口部Op(
図1)の縁部に沿うように取り付けられる。
これら各枠部材21〜24は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂製、またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0019】
上枠21は、基体211と、室外側壁部212と、室内側壁部213と、第1,第2固定用ヒレ部214,215とを備える。
基体211は、開口部Opの縁部に沿って延在した角筒形状を有する。
室外側壁部212及び室内側壁部213は、基体211における室外側の端部及び室内側の端部からそれぞれ下方側に突出した部分である。
ここで、室外側壁部212と、室内側壁部213と、基体211の下方側の見込み面とで形成される断面視U字状の収容溝216には、外障子3及び内障子4の上端部がそれぞれ収容される。また、収容溝216の底部分(基体211の下方側の見込み面)には、当該底部分から下方側にそれぞれ突出し、見込み方向に並設される第1,第2壁部217,218が設けられている。
第1固定用ヒレ部214は、基体211の上方側の見込み面から上方側に突出し、ネジSc1により建物の躯体(図示略)に固定される部分である。
第2固定用ヒレ部215は、室内側壁部213の室内側の見付け面から室内側に突出し、窓枠2に対して室内側に並設される内装材(図示略)に対してネジSc2により固定される部分である。
【0020】
下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24は、上枠21とそれぞれ同様の構成を有する。このため、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24の構成については、上枠21と同様の構成に同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、下枠22において、第1,第2壁部217,218の先端には、レール部217a,218aがそれぞれ取り付けられている。また、下枠22において、基体211の下方側の見込み面には、ブラケット(図示略)が係止される係止片219が形成されている。当該ブラケットは、窓枠2を支持するピース状の部材であり、下枠22における第1固定用ヒレ部214とともにネジSc1により建物の躯体に固定される。
【0021】
外障子3は、内障子4に対して室外側に位置し、窓枠2に対して
図1,
図4中、左右方向に移動可能に取り付けられている。この外障子3は、ガラス材等で構成された面材31と、第1框部材32とを備える。
第1框部材32は、本発明に係るフレーム材に相当する。この第1框部材32は、上框33と、下框34と、戸先框35と、召合せ框36とを框組みすることにより構成され、内部で面材31の外周縁部を保持する。
これら各框部材33〜36は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂製、またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0022】
上框33は、基体331と、面材保持部332と、室外側ヒレ部333と、室内側ヒレ部334とを備える。
基体331は、上框33の長手方向に沿って延在する角筒形状を有する。この基体331において、下方側の見込み面の室外側には、上方側に窪む押縁係合溝335が形成されている。そして、押縁係合溝335には、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂製の押縁336が取り付けられる。
面材保持部332は、基体331において、下方側の見込み面の室内側の縁部から下方側に突出した部分である。
そして、面材31の上端部は、面材保持部332と、押縁336と、基体331の下方側の見込み面とで形成される断面視U字状の溝部337に配置された状態で保持される。
室外側ヒレ部333及び室内側ヒレ部334は、基体331において、上方側の見込み面の室外側及び室内側の各縁部から上方側にそれぞれ突出した部分である。これら室外側ヒレ部333及び室内側ヒレ部334において、先端側で互いに対向する各位置には、止水材Seがそれぞれ取り付けられている。
【0023】
下框34、戸先框35、及び召合せ框36は、上框33とそれぞれ同様の構成を有する。このため、下框34、戸先框35、及び召合せ框36の構成については、上框33と同様の構成に同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、召合せ框36において、室外側ヒレ部333及び室内側ヒレ部334は、省略されている。また、召合せ框36において、基体331の室内側の見付け面には、第1係合部338が形成されている。この第1係合部338は、当該見付け面の
図4中、右側の縁部から室内側に突出した第1突出部338aと、当該第1突出部338aの先端から戸先側に屈曲して延在した第1屈曲部338bとを備え、断面視L字形状を有する。
【0024】
そして、上框33において、室外側ヒレ部333と、室内側ヒレ部334と、基体331の上方側の見込み面とで形成される断面視U字状の溝部339には、上枠21に形成された第1壁部217の先端部分が挿入される。また、下框34の溝部339には、下枠22に形成された第1壁部217の先端部分が挿入される。さらに、当該第1壁部217の先端部分に形成されたレール部217aは、下框34の基体331に取り付けられた戸車部(図示略)に当接する。そして、上下一対の第1壁部217は、外障子3を
図1,
図4中、左右方向に移動可能に支持する。すなわち、上下一対の第1壁部217は、本発明に係る第1レール部に相当する。また、外障子3を閉じた状態では、当該外障子3は、戸先框35の溝部339に右縦枠24に形成された第1壁部217の先端部分が挿入され、当該第1壁部217に係合する。
【0025】
内障子4は、ガラス材等で構成された面材41と、第2框部材42とを備え、窓枠2に対して
図1,
図4中、左右方向に移動可能に取り付けられている。
第2框部材42は、本発明に係るフレーム材に相当する。この第2框部材42は、第1框部材32と同様の構成を有する。このため、第2框部材42の構成については、第1框部材32と同様の構成に同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
なお、内障子4の召合せ框36には、第1係合部338の代わりに第2係合部330が設けられている。第2係合部330は、基体331の室外側の見付け面から室外側に突出した第2突出部330aと、当該第2突出部330aの先端から戸先側に屈曲して延在した第2屈曲部330bとを備え、断面視L字形状を有する。
【0026】
そして、内障子4において、上框33の溝部339には、上枠21に形成された第2壁部218の先端部分が挿入される。また、下框34の溝部339には、下枠22に形成された第2壁部218の先端部分が挿入される。さらに、当該第2壁部218の先端部分に形成されたレール部218aは、下框34の基体331に取り付けられた戸車部(図示略)に当接する。そして、上下一対の第2壁部218は、内障子4を
図1,
図4中、左右方向に移動可能に支持する。すなわち、上下一対の第2壁部218は、本発明に係る第2レール部に相当する。また、内障子4を閉じた状態では、当該内障子4は、戸先框35の溝部339に左縦枠23に形成された第2壁部218の先端部分が挿入され、当該第2壁部218に係合する。さらに、外障子3及び内障子4を閉じた状態では、第1,第2係合部338,330が互いに係合し、クレセントCR(
図1)によってロック可能となる。当該クレセントCRによりロックすることにより、外障子3及び内障子4は、開口部Opを閉塞した状態に保持される。
【0027】
網戸5は、外障子3に対して室外側に位置し、窓枠2に対して
図1,
図4中、左右方向に移動可能に取り付けられている。この網戸5は、網51と、網戸框52とを備える。
網戸框52は、本発明に係るフレーム材に相当する。この網戸框52は、上框53と、下框54と、一対の縦框55,56とを框組みすることにより構成され、内部で網51を保持する。そして、網戸框52は、上枠21及び下枠22に形成された室外側壁部212に係合しつつ、
図1,
図4中、左右方向に移動可能とする。
これら各框部材53〜56は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂製、またはアルミニウム等の金属製の押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
【0028】
本実施の形態では、上述した窓枠2、第1,第2框部材32,42、及び網戸框52において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時での室外側からの見え掛かり部分は、略同一の色合いであるラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8により加飾されている。なお、窓枠2及び第1,第2框部材32,42の下地の色合いは、略同一である。また、網戸框52の下地の色合いは、窓枠2及び第1,第2框部材32,42の下地の色合いとは異なり、ラミネートシート6と略同一の色合いを有する。すなわち、本実施の形態では、ラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8により、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時での室内側からの見え掛かり部分の色合い(窓枠2及び第1,第2框部材32,42の下地の色合い(以下、内観色と記載))と室外側からの見え掛かり部分の色合い(以下、外観色と記載)とを異なるものとしている。
以下、ラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8の構成について説明する。
【0029】
〔ラミネートシート、塗膜、及びカバー部材の構成〕
ラミネートシート6は、例えば、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、あるいはアクリル樹脂等で構成され、内観色とは異なる外観色の色合いを有するシートであり、例えば0.2mm程度の厚み寸法を有する。そして、ラミネートシート6は、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂からなる接着剤を介して、窓枠2、第1,第2框部材32,42、及び網戸框52における室外側からの見え掛かり部分に貼り付けられている。
【0030】
具体的に、窓枠2には、以下の位置にラミネートシート6が貼り付けられている。
ラミネートシート6は、基体211の外周側の見込み面における第1固定用ヒレ部214より室外側の位置から室外側壁部212の室内側の見付け面における内周側の位置まで連続し、上枠21、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24の全長に亘って貼り付けられている。なお、ラミネートシート6は、下枠22において、係止片219の位置で一部不連続になっている。
ここで、窓枠2で用いた上記「外周側」とは、窓枠2の外周側であって、上枠21であれば上方側を意味し、下枠22であれば下方側を意味し、左縦枠23であれば
図1,
図4中、左側を意味し、右縦枠24であれば
図1,
図4中、右側を意味する。また、窓枠2で用いた上記「内周側」とは、窓枠2の内周側であって、上枠21であれば下方側を意味し、下枠22であれば上方側を意味し、左縦枠23であれば
図1,
図4中、右側を意味し、右縦枠24であれば
図1,
図4中、左側を意味する。
【0031】
また、第1框部材32には、以下の位置にラミネートシート6が貼り付けられている。
ラミネートシート6は、上框33、下框34、及び戸先框35において、室外側ヒレ部333の外周側の見込み面における室内側の位置から押縁336の内周側の位置まで連続し、上框33、下框34、及び戸先框35の全長に亘って貼り付けられている。また、ラミネートシート6は、召合せ框36において、第1突出部338aの外周側の面における室内側の位置から押縁336の内周側の位置まで連続し、召合せ框36の全長に亘って貼り付けられている。
ここで、第1框部材32で用いた上記「外周側」とは、第1框部材32の外周側であって、上框33であれば上方側を意味し、下框34であれば下方側を意味し、戸先框35であれば
図1,
図4中、左側を意味し、召合せ框36であれば
図1,
図4中、右側を意味する。また、第1框部材32で用いた上記「内周側」とは、第1框部材32の内周側であって、上框33であれば下方側を意味し、下框34であれば上方側を意味し、戸先框35であれば
図1,
図4中、右側を意味し、召合せ框36であれば
図1,
図4中、左側を意味する。
【0032】
また、第2框部材42には、以下の位置にラミネートシート6が貼り付けられている。
ラミネートシート6は、上框33、下框34、及び戸先框35において、室外側ヒレ部333の外周側の見込み面における室内側の位置から押縁336の内周側の位置まで連続し、上框33、下框34、及び戸先框35の全長に亘って貼り付けられている。また、ラミネートシート6は、召合せ框36において、基体331の室外側の見付け面における外周側の位置から第2屈曲部330bの室外側の面における内周側の位置まで連続し、召合せ框36の全長に亘って貼り付けられている。さらに、ラミネートシート6は、召合せ框36において、基体331の室外側の見付け面における第2突出部330aの内周側の位置から押縁336の内周側の位置まで連続し、召合せ框36の全長に亘って貼り付けられている。
ここで、第2框部材42で用いた上記「外周側」とは、第2框部材42の外周側であって、上框33であれば上方側を意味し、下框34であれば下方側を意味し、戸先框35であれば
図1,
図4中、右側を意味し、召合せ框36であれば
図1,
図4中、左側を意味する。また、第2框部材42で用いた上記「内周側」とは、第2框部材42の内周側であって、上框33であれば下方側を意味し、下框34であれば上方側を意味し、戸先框35であれば
図1,
図4中、左側を意味し、召合せ框36であれば
図1,
図4中、右側を意味する。
【0033】
また、網戸框52には、以下の位置にラミネートシート6が貼り付けられている。
ラミネートシート6は、上框53、下框54、及び一対の縦框55,56における室外側の各見付け面の全面に貼り付けられている。
【0034】
塗膜7は、例えば、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル系樹脂等の塗料を吹き付け塗装により形成された塗膜であり、40〜80μm程度の厚み寸法を有する。この塗膜7は、顔料により外観色の色合いに着色された着色層71と、当該着色層71よりも高い耐候性を有し、当該着色層71上に積層された透明保護層72とで構成される(
図5参照)。そして、塗膜7は、窓枠2における室外側からの見え掛かり部分に形成されている。
具体的に、塗膜7は、室外側壁部212の室内側の見付け面における基端側の位置から先端側の位置まで連続し、上枠21、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24の全長に亘って形成されている。また、塗膜7は、第1壁部217の室内側の見付け面における基端側の位置から室外側の見付け面の基端側の位置まで連続し、上枠21、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24の全長に亘って形成されている。なお、下枠22における第1壁部217に形成された塗膜7は、レール部217aにて一部不連続になっている。
【0035】
そして、ラミネートシート6及び塗膜7が設けられた窓枠2は、以下に示すように製造される。
形材に対して、ラミネートシート6を貼り付ける設備において、当該ラミネートシート6を貼り付ける(ラミネートシート貼付工程)。同様に、形材に対して、塗装を行う設備において、塗膜7を形成する(塗膜形成工程)。次に、ラミネートシート貼付工程及び塗膜形成工程を経た形材を切断し、上枠21、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24を構成する(切断工程)。そして、これら枠部材21〜24を四周枠組みすることにより窓枠2を構成する(枠組み工程)。
なお、ラミネートシート6がそれぞれ設けられた第1,第2框部材32,42や網戸框52も上述したラミネート貼付工程、切断工程、及び枠組み工程により製造される。
【0036】
また、本実施の形態では、ラミネートシート6及び塗膜7が隣接する境界領域Re(
図2〜
図4)では、当該ラミネートシート6及び塗膜7が互いに重なり合っている。なお、当該境界領域Reの詳細については後述する。
【0037】
カバー部材8は、第1カバー部材81と、第2カバー部材82とを備える。
第1カバー部材81は、上枠21に取り付けられる第1上カバー部材811と、下枠22に取り付けられる第1下カバー部材812と、左縦枠23に取り付けられる第1左カバー部材813と、右縦枠24に取り付けられる第1右カバー部材814とを備える。
これら各カバー部材811〜814は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂製、またはアルミニウム等の金属製の外観色の色合いを有する部材であり、全長に亘って略一様な断面視L字形状を有する。また、これら各カバー部材811〜814は、上枠21、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24の全長とそれぞれ略同一の長さ寸法を有する。
そして、各カバー部材811〜814は、室外側壁部212と第1壁部217との間に位置する収容溝216の底部分をそれぞれ覆うように、上枠21、下枠22、左縦枠23、及び右縦枠24に対してそれぞれ取り付けられる。
【0038】
第2カバー部材82は、上枠21に取り付けられる第2上カバー部材821と、下枠22に取り付けられる室内用下カバー部材822及び室外用下カバー部材823と、右縦枠24に取り付けられる第2右カバー部材824とを備える。
これら各カバー部材821〜824は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂製、またはアルミニウム等の金属製の部材であり、全長に亘って略一様な断面視U字形状を有する。また、室内用下カバー部材822は、内観色の色合いを有する。一方、第2上カバー部材821、室外用下カバー部材823、及び第2右カバー部材824は、外観色の色合いを有する。さらに、第2上カバー部材821は、上枠21の全長の略半分の長さ寸法を有する。また、室内用下カバー部材822及び室外用下カバー部材823は、同一の外形形状を有し、下枠22の全長の略半分の長さ寸法をそれぞれ有する。さらに、第2右カバー部材824は、右縦枠24の全長と略同一の長さ寸法を有する。
【0039】
そして、第2上カバー部材821は、第1,第2壁部217,218の間に位置する収容溝216の底部分において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時に室外側からの見え掛かり部分となる当該内障子4の室外側の部分を覆うように、上枠21に対して取り付けられる。また、室内用下カバー部材822は、第1,第2壁部217,218の間に位置する収容溝216の底部分において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時に室内側からの見え掛かり部分となる当該外障子3の室内側の部分を覆うように、下枠22に対して取り付けられる。さらに、室外用下カバー部材823は、第1,第2壁部217,218の間に位置する収容溝216の底部分において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時に室外側からの見え掛かり部分となる当該内障子4の室外側の部分を覆うように、下枠22に対して取り付けられる。また、第2右カバー部材824は、第1,第2壁部217,218の間に位置する収容溝216の底部分を覆うように、右縦枠24に対して取り付けられる。
【0040】
〔ラミネートシート及び塗膜が隣接する境界領域〕
図5は、ラミネートシート6及び塗膜7が隣接する境界領域Reを示す図である。
本実施の形態1では、境界領域Reでは、着色層71上にラミネートシート6が重なり合い、当該ラミネートシート6上に透明保護層72が重なり合うように構成されている。
すなわち、本実施の形態1では、窓枠2を製造する際、境界領域Reで着色層71上にラミネートシート6が重なるように、形材に対して、塗膜形成工程により一旦、着色層71を形成した後、ラミネートシート貼付工程によりラミネートシート6を貼り付ける。次に、境界領域Reでラミネートシート6上に透明保護層72が重なるように、改めて塗膜形成工程を行うことで、透明保護層72を形成する。そして、切断工程及び枠組み工程を行うことにより、窓枠2が製造される。
【0041】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、本実施の形態2に係る境界領域Reを示す図である。
本実施の形態2に係る境界領域Reでは、ラミネートシート6上に塗膜7(着色層71及び透明保護層72)が重なり合うように構成されている。
すなわち、本実施の形態2では、窓枠2を製造する際、境界領域Reでラミネートシート6上に塗膜7が重なるように、形材に対して、ラミネートシート貼付工程によりラミネートシート6を貼り付けた後、塗膜形成工程により塗膜7を形成する。そして、切断工程及び枠組み工程を行うことにより、窓枠2が製造される。
【0042】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、本実施の形態3に係る境界領域Reを示す図である。
本実施の形態3に係る境界領域Reでは、着色層71上にラミネートシート6が重なり合うとともに、当該着色層71上における当該ラミネートシート6を避けた領域に透明保護層72が積層されている。
すなわち、本実施の形態3では、窓枠2を製造する際、着色層71の一部が透明保護層72からはみ出るように、形材に対して、塗膜形成工程により塗膜7を形成する。次に、当該はみ出した着色層71上にラミネートシート6が重なるように、ラミネート貼付工程によりラミネートシート6を貼り付ける。そして、切断工程及び枠組み工程を行うことにより、窓枠2が製造される。
【0043】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜3によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1〜3では、本発明に係る建具を引違い窓に採用していたが、これに限らない。例えば、3枚以上の障子が左右方向にスライドする引違い方式の窓や両袖片引き窓や引き分け窓、枠体内の領域が縦骨により区分けされ、区分けされた一方の領域がFIX窓や壁をなす片引き窓、障子が上下方向にスライド移動する上げ下げ窓、障子が見込み方向に開閉するすべり出し窓、1枚の障子をはめ殺したはめ殺し窓、勝手口ドア、玄関ドア、あるいは、カーテンウォール等、各種の建具に本発明を採用しても構わない。
【0044】
上述した実施の形態1〜3では、室外側壁部212と第1壁部217との間に位置する収容溝216の底部分を第1カバー部材81により加飾していたが、これに限らず、塗膜7により加飾しても構わない。
上述した実施の形態1〜3では、窓枠2及び第1,第2框部材32,42における下地の色合いを内観色とし、ラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8を外観色としていたが、これに限らず、以下の構成を採用しても構わない。
すなわち、窓枠2及び第1,第2框部材32,42において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時での室内側からの見え掛かり部分をラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8により加飾する。そして、当該ラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8を内観色とする。また、窓枠2、第1,第2框部材32,42、及び網戸框52における下地の色合いを外観色とする。
また、建具1において、外障子3及び内障子4にて開口部Opを閉塞した時での室内側からの見え掛かり部分と室外側からの見え掛かり部分との双方をラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8により加飾する。そして、室内側からの見え掛かり部分に設けられたラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8を内観色とする。また、室外側からの見え掛かり部分に設けられたラミネートシート6、塗膜7、及びカバー部材8を外観色とする。