(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インペラを収容する第一ハウジングとモータを収容する第二ハウジングを有するケース本体内に回転可能に軸支された回転子軸に前記インペラ及び前記回転子が各々組み付けられ、前記インペラの回転により前記ケース本体内に軸方向から外気を吸い込んで径方向外側に設けられた吐出口から吐出する送風機であって、
前記第一ハウジングの軸方向中心部に設けられた吸気口と当該吸気口と前記吐出口を連絡する送風路は、前記吸気口に連絡するハウジング側シュラウドと円板状の主板に起立形成されたブレードの外周側端部を連結して環状に一体成形されたインペラ側シュラウドが径方向に隣接することで流路が形成されており、前記インペラ側シュラウドの径方向外周側端部はブレード先端部より前記送風路内に突設され前記第二ハウジングの底部に所要のクリアランスを設けて近接配置されていることを特徴とする送風機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、
図5Bに示すように、送風機を小型化するため、送風路51をモータMから軸方向に離れた位置(トップハウジング52側)に配置することで、モータ直径に関係なくブロワの直径を小さくすることが可能となる。また、インペラ53に作用する軸方向の推力を軽減できるメリットもある。
しかしながら、インペラ53と圧縮空気を送り出す送風路51を仕切るシュラウド54の設置がないと、ブロワ性能が著しく低下しまう。また、シュラウド54を別部品として設ける分、部品点数が増加して組み立て工数や管理工数が嵩む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に述べるいくつかの実施形態は、これらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を減少させつつ出力性能を維持しかつインペラの軸方向に作用する推力を調整できる送風機を提供することにある。
【0007】
以下に述べるいくつかの実施形態に関する開示は、少なくとも次の構成を備える。
インペラを収容する第一ハウジングとモータを収容する第二ハウジングを有するケース本体内に回転可能に軸支された回転子軸に前記インペラ及び前記回転子が各々組み付けられ、前記インペラの回転により前記ケース本体内に軸方向から外気を吸い込んで径方向外側に設けられた吐出口から吐出する送風機であって、前記第一ハウジングの軸方向中心部に設けられた吸気口と当該吸気口と前記吐出口を連絡する送風路は、前記吸気口に連絡するハウジング側シュラウドと
円板状の主板に起立形成されたブレードの外周側端部を連結して環状に一体成形されたインペラ側シュラウドが径方向に隣接することで流路が形成されており、前記インペラ側シュラウドの径方向外周側端部はブレード先端部より前記送風路内に突設され
前記第二ハウジングの底部に所要のクリアランスを設けて近接配置されていることを特徴とする。
【0008】
第一ハウジングの軸方向中心部に設けられた吸気口と当該吸気口と吐出口を連絡する送風路は、吸気口に連絡するハウジング側シュラウドとインペラ側シュラウドが径方向に隣接することで流路が形成されており、インペラとシュラウドの一部が一体に形成されるので、第一ハウジングの吸気口から吸引した外気を吐出口へ導く送風路を形成するシュラウドを別部品として設ける必要がなくなり、送風機の部品点数を減少させつつ出力性能を維持することができる。
【0009】
また、前記インペラ側シュラウドは、円板状の主板に起立形成された複数のブレードの外周側端部を連結して環状に一体成形され、前記第二ハウジングと対向配置されているのが好ましい。
これにより、インペラを樹脂成形する場合、円板状の主板にブレードと共に外周側にインペラ側シュラウドを一体成形することができ、部品点数が減少するのみならず量産性や組み立て性を改善することができる。また、インペラ側シュラウドと主板はブレードの外周側端部を連結して環状に形成されているので、インペラ側シュラウドの強度向上につながる。
【0010】
前記主板上面は前記第二ハウジング底面と径方向に隣接するように配置されているのが望ましい。
これにより、例えば主板上面と第二ハウジング底面とが段付き面ではなく連続面とすることにより空気の流れが良くなる。
【0011】
前記インペラ側シュラウドは、円板状の主板に起立形成されたブレードの外周側端部を連結して環状に一体成形され、前記インペラ側シュラウド外径φDOに対するインペラ主板外径φDLが0.62〜0.70の範囲で形成されていてもよい。
これにより、インペラの回転により吸気口より吸引されたエアーは、ハウジング側シュラウドと主板との間を通過してインペラ側シュラウドと第二ハウジングとの間を介して送風路に送り出される。このとき、インペラ側シュラウドの径方向外端部の突出量を調整することで、インペラの軸方向に作用する推力を適正にコントロールすることができ、軸受寿命を延ばすことができる。
【0012】
前記ハウジング側シュラウド及び前記インペラ側シュラウドの流路に臨む天面部は、連続面となるように形成されているか、或いは前記ハウジング側シュラウドの天面部は、前記インペラ側シュラウドの天面部の反対面部より下方に配置されていることが望ましい。
これにより、吸気口より吸気された空気流はブレートとハウジング側シュラウドの天面部との隙間に還流して空気流が乱れて効率が低下するおそれが無くなる。
【0013】
前記ハウジング側シュラウドと前記インペラ側シュラウドが隣接する径方向切り分け位置は、前記インペラ側シュラウド外径φDOに対するハウジング側シュラウド外径φDHが0.652〜0.739の範囲内で形成されていてもよい。
これにより、ハウジング側シュラウドとインペラ側シュラウドが隣接す
る径方向切り分け位置を変更することで、インペラに作用するスラスト方向の推力(上向き若しくは下向きの力)を適正に調整し、軸受寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0014】
上述した送風機を用いれば、部品点数を減少させつつ出力性能を維持しかつインペラの軸方向に作用する推力を調整して軸受の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る送風機の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。先ず、送風機の概略構成について
図1乃至
図3を参照して説明する。
送風機1は、以下の構成を備える。
図2A,Bに示すように、インペラ2が収容されるトップハウジング(第一ハウジング)3と、固定子4及び回転子5(モータM)が収容されるボトムハウジング(第二ハウジング)6が一体にねじ止め固定され、ボトムハウジング6の底部にブラケット7が一体に組み付けられてケース本体8が形成されている。ケース本体8内に回転可能に軸支された回転子軸9にインペラ2及び回転子5が各々組み付けられている。
【0017】
図2Bに示すように、トップハウジング3の吸気口3aには筒状の軸受保持部3bが放射状に形成された複数の連結梁3cにより一体形成されている。吸気口3aを形成する筒状開口壁3dに連続してハウジング側シュラウド3eが形成されている。ハウジング側シュラウド3eはインペラ2に対応配置され、径方向外側への送風路を形成する。また、ハウジング側シュラウド3eに連続してトップ側湾曲部3fが形成されている。また、トップ側湾曲部3fに対向するボトムハウジング6には、ボトム側湾曲部6aが設けられている。トップ側湾曲部3fとボトム側湾曲部6aが組み合わせて、インペラ2の外周で周回する送風路8aが形成される(
図2A、
図1A〜C参照)。また、ケース本体8に形成された送風路8aを送風された圧縮空気は、吐出口8bより吐出されるようになっている(
図1D,E参照)。
【0018】
図2Bに示すように、軸受保持部3b内には、回転子軸9の一端側を軸支する軸受10が組み付けられている。軸受10は筒状に形成されたすべり軸受(例えば流体動圧軸受など)が好適に用いられる。回転子軸9の一端は軸受10により回転可能に支持され、軸端は軸受保持部3b内の段付き部に設けられたエンドカバー3gに突き当て支持されている。軸受保持部3bの上端は、トップカバー3hにより閉止されている。この場合、転がり軸受に比べて小型化し易く、低騒音、低振動化を実現することができる。また、小型モータを高速回転させても、機械的損失により軸受10が発熱することもないので耐久性が低下することなく、風量を確保することができる。
【0019】
軸受保持部3bの外周にはインペラ2が軸受ハウジング11を介して同軸状に組み付けられている。軸受ハウジング11は、回転子軸9に圧入、接着等により一体に組付けられている。インペラ2は、軸受ハウジング11に対してモールド、接着、圧入等により一体に組み付けられている。インペラ2は、円盤状の主板2aには、中心部から外周方向にわたってブレード2bが複数箇所に起立形成されている(
図3A参照)。ブレード2bの外周側にはインペラ側シュラウド2cが環状に一体成形されている(
図3A,B参照)。インペラ側シュラウド2cは、ブレード2bの外周側上端部を連結して形成され、ボトムハウジング6の底部6bに対向して形成されている。
【0020】
回転子軸9の他端側には回転子5が組み付けられている。具体的には、回転子軸9に回転子ヨーク5aを介して回転子マグネット5bが同心状に装着されている。回転子マグネット5bには周方向にN極及びS極が交互に着磁されている。回転子5は、回転子軸9の端部に組み付けられた回転子ヨーク5a及びバランス修正部12に軸方向に抜け止めされて組み付けられている(
図3B参照)。モータ駆動回路の構成によってバランス修正部12にセンサーマグネットが取り付けられる。
【0021】
図2Bにおいて、ボトムハウジング6内にはモータMが収納されている。具体的には、ボトムハウジング6内には固定子4が組み付けられている。ボトムハウジング6の内壁面6cには環状のコアバック部4bが固定されて固定子コア4aが組み付けられている。環状のコアバック部4bから径方向内側に極歯4cが複数箇所に突設されている。各極歯4cにはコイル4dが巻かれている。固定子コア4aの極歯4cは回転子マグネット5bと対向配置されている。また、ボトムハウジング6の底部には、モータ基板13が設けられており、各コイル4dから引き出されたコイルリードが接続されている。
また、
図2Bに示すように、ボトムハウジング6とブラケット7の端面間に形成された開口部にはグロメット14が装着されている。このグロメット14を貫通して口出し線15外部に取り出されて給電されるようになっている(
図1B,C,E参照)。
【0022】
図2Bに示すように、送風機1は、モータMを起動すると、インペラ2の回転によりトップハウジング3の吸気口3aより軸方向から筒状開口壁3d内に外気を吸い込んで、インペラ2の回転によりブレード2bに沿って主板2aとハウジング側シュラウド3eとの間を径方向内側から外側に圧縮空気が送り出され、環状に形成されたインペラ側シュラウド2cとボトムハウジング6の底部6bとの間を通過して送風路8aに送り込まれる。そして、圧縮空気は送風路8aを周回してケース本体8の吐出口8bより吐出されるようになっている(
図1参照)。インペラ側シュラウド2cとハウジング側シュラウド3eは連続してシュラウドを形成する。またインペラ2の主板2aはボトムハウジング6の底部6bに配置されている。主板2aの上面はボトムハウジング6の底面と径方向に連続面となるように隣接して配置されていることが望ましい。これにより、主板2a上面とボトムハウジング6の底面とが段付き面ではなく連続面となるので空気の流れが良くなる。また、インペラ側シュラウド2cの外縁と主板2cの外縁は一体成形されて連結されているので、インペラ側シュラウド2cの強度向上につながる。
また主板2a上面とボトムハウジング6の底面とが段付き面ではなく連続面となることが望ましいが、製品の構成上段付きとなる構成も考えられる。その場合には主板2a上面がボトムハウジング6の底面よりも上方であることが望ましい。そうすることにより空気の流れが段付き部により妨げられることが無くなるため空気の流れが良くなる。
【0023】
図1Aに示すように、トップハウジング3の吸気口3aに軸受保持部3bが一体形成され、該軸受保持部3b内に回転子軸9を軸支する軸受10が組み付けられているので、軸受保持部3bの外周にインペラ2を同軸状に組み付けることができる。よって、
図2Bに示すように回転子軸9の長さを短くすることができ、送風機1の軸方向寸法小型化することができる。また、回転子軸9を軸支する軸受10を可及的にインペラ2近傍に配置することで回転重心が軸受10に近づくため、インペラ2のアンバランスが荷重負荷として影響し難くなり、回転バランスが改善される。
【0024】
更には、モータMを起動しインペラ2が回転するとトップハウジング3の吸気口3aから軸方向に吸気されるので、軸受10の機械損による発熱が吸気によって冷却されるので、軸受10の温度上昇は抑えられ、オイル劣化抑制に寄与するため耐久性を向上させることができる。尚、軸受10は、吸気口3aに設けられた軸受保持部3bに組み付けられているが、軸受10の配置はこれに限定されるものではなく、例えばインペラ2より軸方向に離間した配置であってもよい。
【0025】
また、
図3Bに示すように、回転子軸9の他端側には回転子5が組み付けられている。具体的には、回転子軸9には回転子ヨーク5aを介して回転子マグネット5bが装着されており、軸端部に設けられたバランス修正部12により抜け止めされている。回転子マグネット5bは、ボトムハウジング6に保持された固定子コア4aの極歯4cと対向配置されている。これにより、モータM側の軸受を省略して回転子軸9の軸長を短くし、かつ回転重心を軸受10に近づけて回転バランスが取りやすくなる。
【0026】
また、トップハウジング3の吸気口3aよりハウジング側シュラウド3eと当該ハウジング側シュラウド3eにインペラ側シュラウド2cが送風路に臨む天面部3e1,2c1(
図6A参照)どうしが径方向に隣接することで流路が形成されている。このように、インペラ2にシュラウドの一部(インペラ側シュラウド2c)が一体に形成されるので、トップハウジング3に吸気口3aと送風路8aを仕切るシュラウドを別部品として設ける必要がなくなり、送風機1の部品点数を減少させつつ出力性能を維持することができる。
【0027】
また、インペラ側シュラウド2cは、ブレード2bの外周端部を環状に連結して主板2aとは離間して環状に一体成形されている。例えば、主板2aの外縁部は、インペラ側シュラウド2cと一体成形可能な型分かれ位置に設けられていることが好ましい。これにより、インペラ2を樹脂成形する場合、主板2a及びブレード2bと共に外周側にインペラ側シュラウド2cを一体成形することができ、部品点数が減少するのみならず量産性や組み立て性を改善することができる。
【0028】
また、インペラ側シュラウド2cの径方向外端部が主板2aの外周端部より径方向外側に所定量突出して形成されていることが好ましい。
これにより、後述するようにインペラ側シュラウド2cの径方向外端部の突出量を調整することで、インペラ2の軸方向に作用する推力を適正にコントロールすることができ、軸受寿命を延ばすことができる。以下、この点を実験例に基づいて説明する。
【0029】
図4A,B,C,D,Eはハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの径方向切り分け位置とインペラ2に作用するスラスト力の関係を示す表図、グラフ図、インペラ平面図及び軸方向断面図である。
インペラ2の形状、とりわけハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの径方向切り分け位置(シュラウド切り位置)の相違によるスラスト力の相違をシミュレーションした結果を
図4Aに示す。
【0030】
図4Aにおいて、寸法DHは、ハウジング側シュラウド3eの外径、寸法DLはインペラ2の主板2aの外径、寸法DOはインペラ側シュラウド2cの外径を各々示す(
図4D,E参照)。流体の流量は0.10m3/minで、回転数を20000rpm,40000rpm,60000rpmに各々変化させてスラスト力Nを測定した。
No.1のサンプルを基準として、No.2のサンプルは、ハウジング側シュラウド切り位置を径方向外側に1mm移動させたもの、No.3のサンプルは、ハウジング側シュラウド切り位置を径方向内側に1mm移動させたもの、No.4のサンプルは、インペラ側シュラウド2cの外径寸法DO(インペラ外径)を径方向内側に2mmだけ小径化したものを示す。
【0031】
図4Bのグラフ図にサンプル毎のスラスト力を示す。上記NO.1のサンプルにおいては、回転数が増加するにしたがって下向きスラスト力が増加することがわかる。上記No.2のサンプルは、No.1よりシュラウド切り位置を径方向外側に1mm移動させたものであるが、回転数が増加するにしたがって上向きスラスト力が増加することがわかる。No.3のサンプルは、No.1よりハウジング側シュラウド切り位置を径方向内側に1mm移動させたものであるが、回転数が増加するにしたがって下向きスラスト力が増加することがわかる。
【0032】
このように、No.1〜No.3のサンプルの対比より、ハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの径方向切り分け位置(シュラウド切り位置)の相違によりスラスト力が著しく異なることが判明した。
また、No.1のサンプルとNo.4のサンプルとの対比からインペラ側シュラウド2cの外径寸法DO(インペラ外径)の相違によりスラスト力が著しく異なることが判明した。
【0033】
更には、
図4Cにグラフ図は、ハウジング側シュラウド3eの外径DHの大きさ(シュラウド切り分け位置)と回転数に応じたスラスト力の変化を示すものである。
DHが30mmでは回転数の増大と共にインペラ2に下向きのスラスト力が増大することがわかる。またDHが32mmに拡大すると回転数が増大してもインペラ2に作用するスラスト力は零に近くほとんど変化しない。またDHの大きさが34mmとなると、回転数の増大と共にインペラ2に上向きのスラスト力が増大することがわかる。
よって、シュラウド切り分け位置の調整により、インペラ2に作用するスラスト力を適正に調整することができることがわかる。
【0034】
図5は異なる送風機の構成別のインペラの径方向位置に作用するスラスト力の大きさの対比説明図である。
図5Aはインペラの外周に送風路を設けた送風機であり、
図5Bはインペラより上方に送風路を設け、シュラウドを別部品としてトップハウジング3に設けた送風機であり、
図5Cは本実施例に係るハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cを径方向に切り分けて設けた送風機である。尚、インペラ2を回転可能に軸支する軸受10は、いずれの実施形態も転がり軸受を用いている。
【0035】
図5A〜
図5Cの下方のグラフ図は、インペラの回転半径位置におけるスラスト力の大きさを示しており、斜線部分の面積S1が上方スラスト力の大きさを表し、斜線部分の面積S2が下方スラスト力の大きさを表している。
図5Aの構成では、上方スラスト力が下方スラスト力より上回る(S1>S2)ためエンドカバー3gの機械損が増えて寿命が短くなるおそれがある。
図5Bの構成では、回転中心からハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの径方向切り分け位置Yまでは上方スラスト力が下方スラスト力を大幅に上回る(S1>S2)が、径方向切り分け位置Yより径方向外側では下方スラスト力が急激に大きくなるが上方スラスト力を超えるまでには至らない(S1<S2)。
【0036】
これに対して、
図5Cの構成では、回転中心からハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの径方向切り分け位置Yまでは上方スラスト力が下方スラスト力を上回る(S1>S2)が、その差はわずかであり、径方向切り分け位置Yより径方向外側では下方スラスト力が急激に大きくなって上方スラスト力を大きく上回る(S1<S2)とがわかる。
【0037】
以上説明したように、インペラ2とシュラウドの一部(インペラ側シュラウド2c)が一体に形成されるので、トップハウジング3に吸気口3aと送風路8aを仕切るシュラウドを別部品として設ける必要がなくなり、送風機1の部品点数を減少させつつ出力性能を維持することができる。
また、ハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウドとの径方向切り分け位置を調整することで、インペラ2に作用するスラスト方向の推力を適正に調整することができる。
【0038】
ここで、ハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの配置構成のバリエーションについて
図6A〜Dを参照して説明する。
図6Aは、上述した実施形態に示したようにハウジング側シュラウド3eの送風路に臨む天面部3e1とインペラ側シュラウド2cの送風路に臨む天面部2c1が1つの連続面を形成するように配置されている場合を示す。この場合、吸気口3a(
図2B参照)より吸気された空気流の還流は生じない。
【0039】
図6Bは、ハウジング側シュラウド3eの送風路に臨む天面部3e1とインペラ側シュラウド2cの送風路に臨む天面部2c1との間に段差が生じている場合を示す。具体的には、ハウジング側シュラウド3eの天面部3e1はインペラ側シュラウド2cの上面部2c2(天面部2c1の反対面部)より下方であるが天面部2c1は上方に配置されている。即ち、ハウジング側シュラウド3eの天面部3e1はインペラ側シュラウド2cの板厚範囲に設けられていてもよい。この場合も、吸気口3a(
図2B参照)より吸気された空気流の還流は生じない。
【0040】
図6Cはハウジング側シュラウド3eの送風路に臨む天面部3e1とインペラ側シュラウド2cの送風路に臨む天面部2c1との間に段差が生じている他例を示す。具体的には、ハウジング側シュラウド3eの天面部3e1はインペラ側シュラウド2cの天面部2c1より下方に配置されている。この場合も、吸気口3a(
図2B参照)より吸気された空気流の還流は生じない。
【0041】
図6Dはハウジング側シュラウド3eの送風路に臨む天面部3e1とインペラ側シュラウド2cの送風路に臨む天面部2c1との間に段差が生じているため不具合が生じる場合を示す。具体的には、ハウジング側シュラウド3eの天面部3e1はインペラ側シュラウド2cの天面部2c1より上方でかつ上面部2c2より上方に配置されている。この場合、吸気口3a(
図2B参照)より吸気された空気流は矢印に示すようにブレート2bとハウジング側シュラウド3eの天面部3e1との間に還流してしまい、空気流が乱れて効率が低下するおそれがある。
なお、この場合には上面部2c2上に還流を防ぐ壁を設けたり、ハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cに重なりを設けたりして、ハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの間に対向距離が狭まる部分を作ることで還流防止対策を取ることができる。
【0042】
以上より、ハウジング側シュラウド3eとインペラ側シュラウド2cの配置構成は、送風路に臨む天面部3e1と天面部2c1が1つの連続面を形成するほかに天面部どうしに段差が生じていてもよい。この場合、少なくともハウジング側シュラウド3eの天面部3e1がインペラ側シュラウド2cの上面部2c2より下方に位置することが望ましいと言える。但し、本実施形態は、
図6A乃至
図6Dのいずれの場合であっても還流防止対策が取れるので採用し得る。
【0043】
尚、軸受10は流体動圧軸受を例示したがこれに限定されるものではなく他のすべり軸受、例えば焼結含油すべり軸受等であってもよい。更には、すべり軸受に限らず、使用用途によって、転がり軸受等他の軸受を用いてもよい。