特許第6781804号(P6781804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6781804複合材料からなるゴルフクラブヘッド及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781804
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】複合材料からなるゴルフクラブヘッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20201026BHJP
   A63B 53/06 20150101ALI20201026BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20201026BHJP
【FI】
   A63B53/04 B
   A63B53/06 E
   A63B53/04 A
   A63B102:32
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-114024(P2019-114024)
(22)【出願日】2019年6月19日
(65)【公開番号】特開2020-6157(P2020-6157A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】107121293
(32)【優先日】2018年6月21日
(33)【優先権主張国】TW
(31)【優先権主張番号】107208315
(32)【優先日】2018年6月21日
(33)【優先権主張国】TW
(31)【優先権主張番号】107146437
(32)【優先日】2018年12月21日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】500066735
【氏名又は名称】大田精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】許 燕吉
(72)【発明者】
【氏名】凌 ▲啓▼文
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−052314(JP,A)
【文献】 特開平06−039941(JP,A)
【文献】 特開平06−270254(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第107847788(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第107249697(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型組立体と、空気圧式成型装置を利用し、該空気圧式成型装置が、開閉式密閉容器と該開閉式密閉容器に取り付けられる気圧発生機構及び加熱機構を含む、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
後端に結合部を有する打撃プレートを準備する、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなる打撃プレートを準備するステップと、
複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けて、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形を成型し、該ヘッド本体は、ヘッド基部とホーゼルとを含み、該ヘッド本体の前端に前記打撃プレートの結合部を嵌合してゴルフクラブヘッドの原形を成型する、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップと、
内部に前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体を袋に入れて前記開閉式密閉容器に入れ、この袋に、前記気圧発生機構によって真空負圧をかけると共に、前記加熱機構によって熱を加えることで、該ゴルフクラブヘッドの原形に用いられる炭素繊維複合材料からなる予浸材を架橋反応によって硬化させ、ゴルフクラブヘッドの半製品を成型ここで、前記加熱機構による加熱の温度は40℃〜250℃の範囲であり、前記気圧発生機構による真空負圧は−0.1mbar〜−1000mbarの範囲であり、真空負圧及び熱は1分から60分加える、空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱を加えるステップと、
前記ゴルフクラブヘッドの半製品のバリを除去して、表面加工を施し、複合材料からなるゴルフクラブヘッドを完成させる、ゴルフクラブヘッドの半製品にバリ取り及び表面加工を施すステップと、を含むことを特徴とする複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記、空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱を加えるステップにおいて、該空気圧式成型装置は、該ゴルフクラブヘッドの原形に加圧することもでき、加圧する際の加圧空気の圧力値が2bar〜100barの範囲であることを特徴とする前記請求項1に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップにおいて、該ヘッド本体のホーゼルに、交換可能なロッドが挿入されることを特徴とする前記請求項1に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップにおいて、該ヘッド本体のホーゼルに、交換可能なロッドが挿入されることを特徴とする前記請求項2に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップにおいて、金属材料からなるオモリが該ゴルフクラブヘッドの原形の内側に設置され、且つ該オモリが該炭素繊維複合材料からなる予浸材に貼り付けられ、または該炭素繊維複合材料からなる予浸材によって包み込まれることを特徴とする前記請求項1に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップにおいて、金属材料からなるオモリが該ゴルフクラブヘッドの原形の内側に設置され、且つ該オモリが該炭素繊維複合材料からなる予浸材に貼り付けられ、または該炭素繊維複合材料からなる予浸材によって包み込まれることを特徴とする前記請求項2に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の製造方法により製造される複合材料からなるゴルフクラブヘッドであって、ヘッド本体と、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなり、該ヘッド本体に設置される打撃プレートとを備え、
該ヘッド本体は、炭素繊維複合材料から一体成型されるヘッド基部と、該ヘッド基部の前端に形成されるホーゼルとを含み、
該打撃プレートは、該ヘッド基部の前端に取り付けられると共に、該ヘッド基部と結合される部位であって、該打撃プレートの後端に形成される結合部を有し、
該打撃プレート上の幾何学中心と、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とを通る直線が、該幾何学中心の接平面と直交することを特徴とする複合材料からなるゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記打撃プレート上には、スイートスポットを有し、該スイートスポットと、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とを通る直線が、該スイートスポットの接平面と直交し、また、該スイートスポットは、前記幾何学中心と重なり合うことを特徴とする前記請求項に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ヘッド本体が、前記ヘッド基部の底部に配置される少なくとも一つの金属製オモリと、前記ホーゼルに挿入される交換可能なロッドとを含むことを特徴とする前記請求項に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
請求項2に記載の製造方法により製造される複合材料からなるゴルフクラブヘッドであって、ヘッド本体と、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなり、該ヘッド本体に設置される打撃プレートとを備え、
該ヘッド本体は、炭素繊維複合材料から一体成型されるヘッド基部と、該ヘッド基部の前端に形成されるホーゼルとを含み、
該打撃プレートは、該ヘッド基部の前端に取り付けられると共に、該ヘッド基部と結合される部位であって、該打撃プレートの後端に形成される結合部を有し、
該打撃プレート上の幾何学中心と、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とを通る直線が、該幾何学中心の接平面と直交することを特徴とする複合材料からなるゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記打撃プレート上には、スイートスポットを有し、該スイートスポットと、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とを通る直線が、該スイートスポットの接平面と直交し、また、該スイートスポットは、前記幾何学中心と重なり合うことを特徴とする前記請求項10に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記ヘッド本体が、前記ヘッド基部の底部に配置される少なくとも一つの金属製オモリと、前記ホーゼルに挿入される交換可能なロッドとを含むことを特徴とする前記請求項10に記載の複合材料からなるゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関し、特に複合材料からなるゴルフクラブヘッド及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドの重心及び慣性モーメントは、打球時に、ボールの飛距離及び方向安定性を左右する重要な要素であることから、ゴルフクラブヘッドの重心及び慣性モーメントの設計自由度を向上させるために、ゴルフクラブの製造業者は、炭素繊維複合材料を使って、ゴルフクラブヘッドの一部または全体を製造する方法を用いている。
【0003】
台湾特許第I307285号公報に開示された炭素繊維複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、金属材料からなるフェイス部と、炭素繊維複合材料からなるクラウン部及びソール部と、高比重金属材料からなるウエイト部材とを備え、該ウエイト部材は、該ソール部に貼り付けられ、該クラウン部とソール部が接着剤を介して結合されてヘッド本体が成型され、該ヘッド本体の前端に該フェイス部が接着剤を介して結合されてウッドタイプのゴルフクラブヘッドが成型される構成である。
【0004】
ゴルフボールの飛距離を伸ばすために、従来技術のクラブヘッドのクラウン部とソール部はそれぞれ、炭素繊維複合材料で作られているが、接着剤によって結合されているクラウン部とソール部、或は該フェイス部とヘッド本体との間の接着強度は十分ではなく、また、従来技術のクラブヘッドにおける、フェイス部、クラウン部、ソール部、及びウエイト部材は個別に製造されていることから、後にそれぞれを接着剤を使って結合させる工程が必要となるので、時間と手間がかかっていた。
【0005】
尚、国際標準に基づき、ゴルフクラブの製造業者は、製品のゴルフクラブヘッドにおける打撃プレートの中心点を測定する必要がある。つまり、ゴルフクラブヘッドの物理的特性について、スイートスポットの位置は、必ずしも打撃プレートの幾何学中心の位置と一致せず、特に、金属材料からなる打撃プレートと炭素繊維複合材料からなるヘッド本体が異なる材料で作られている場合。金属材料は炭素繊維複合材料より重いので、スイートスポットとヘッド本体の幾何学中心の位置が必ずしも重なり合わず、すなわち、スイートスポットの位置が、該幾何学中心からずれてしまい、その結果、使用者がゴルフをする時に、スイートスポットを捉えることが困難となるので、ウエイト部材の配置位置を調整して、スイートスポットとヘッド本体の幾何学中心との位置を重なり合わせる工程を行う必要があり、また、ウエイト部材の位置を変更することによって、スイートスポットの位置を微調整することは非常に難しいので、面倒であり実用性に優れなかった。
【0006】
また、台湾特許第I397437号公報に開示された、付加的な裁量質量を有するゴルフクラブヘッドは、軽量な材料を使用しており、好適なクラウン部の平均高さ或は複数の節点を持つことが特徴である。つまり、当該ゴルフクラブヘッドの優れた切れ長さにより、該付加的な裁量質量が、クラブヘッドにおける、従来より低い位置へ設定することができるので、重心位置及び慣性モーメントを改善して、スイートスポットの位置を、打撃プレートの幾何学中心の位置と一致させることができる。なお、該引用文献の図面10を参照すると、ここでいう「切れ長さ」(例えば、切れ長さ142)とは、クラブヘッドが基準位置にある状態で、地面108に対する垂直距離144において、打球面111と略直交する方向に沿った、仮想垂直線146と、クラブヘッド101の後部148の外面と、の間の水平距離をいい、ここでいう「裁量質量」とは、クラブヘッドの目標質量と、クラブヘッドの形成に必要とされる最小構造質量をいう。
【0007】
前述した、付加的な裁量質量を有するゴルフクラブヘッドは、重心位置及び慣性モーメントを変更することで、スイートスポットの位置を、打撃プレートの幾何学中心の位置と一致させる目的を達成できるが、金属材料からなるクラブヘッドと、非金属の軽量材料からなる他の部材との異種材料を結合する場合は、重量配分や他のパラメータの設定が極めて困難であり、何度も試行錯誤を繰り返す必要があるので、生産性に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許第I307285号公報
【特許文献2】台湾特許第I397437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記の従来技術における、部材が多く、且つ接着剤によって結合されていることから、構造及び剛性に劣り、異なる材料の結合によって重量配分や他のパラメータを設定するのが非常に困難であるとの欠点に鑑みてなされたものであり、部材が少なく、且つ優れた構造及び剛性を有すると共に、単一の材料を用いて成型することによって、形状及び重量の制御がより容易となる複合材料からなるゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、金型組立体と、空気圧式成型装置を利用し、該空気圧式成型装置が、開閉式密閉容器と該開閉式密閉容器に取り付けられる気圧発生機構及び加熱機構を含む、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法であって、後端に結合部を有する打撃プレートを準備する、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなる打撃プレートを準備するステップと、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けて、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形を成型し、該ヘッド本体は、ヘッド基部とホーゼルとを含み、該ヘッド本体の前端に前記打撃プレートの結合部を嵌合してゴルフクラブヘッドの原形を成型する、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップと、内部に前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体を袋に入れて前記開閉式密閉容器に入れ、この袋に、前記気圧発生機構によって真空負圧をかけると共に、前記加熱機構によって熱を加えることで、該ゴルフクラブヘッドの原形に用いられる炭素繊維複合材料からなる予浸材を架橋反応によって硬化させ、ゴルフクラブヘッドの半製品を成型する、空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱を加えるステップと、前記ゴルフクラブヘッドの半製品のバリを除去して、表面加工を施し、複合材料からなるゴルフクラブヘッドを完成させる、ゴルフクラブヘッドの半製品にバリ取り及び表面加工を施すステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法で作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体と、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなり、該ヘッド本体に設置される打撃プレートとを備え、該ヘッド本体は、炭素繊維複合材料から一体成型されるヘッド基部と、該ヘッド基部の前端に形成されるホーゼルとを含み、該打撃プレートは、該ヘッド基部の前端に取り付けられると共に、該ヘッド基部と結合される部位であって、該打撃プレートの後端に形成される結合部を有し、該打撃プレート上の幾何学中心と、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とを通る直線が、該幾何学中心の接平面と直交することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法では、開閉式密閉容器が、金型組立体内に収容されているゴルフクラブヘッドの原形に、真空負圧及び熱をかけることで、該ゴルフクラブヘッドの品質の均一化が可能となり、さらに、ホーゼルとヘッド基部が一体成型されているので、優れた構造及び剛性を有する。
【0013】
前記、空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱をかけるステップにおいては、炭素繊維複合材料からなる予浸材の架橋反応に応じて、圧力値及び加熱温度を、プログラム制御手段を介して調整することができ、つまり、該プログラム制御手段によって、適正なタイミングで加圧と加熱とを施すことにより、炭素繊維複合材料からなる予浸材内における、余った樹脂を炭素繊維から押し出すと共に、炭素繊維複合材料からなる予浸材内に残存する気泡を取り出すことができる。従って、加圧及び加熱の作用により、引き締まり、且つ緻密な固化炭素繊維複合材料を簡単に形成できるので、製造にかかるコストと時間を節約することができる。
【0014】
さらに、本発明の複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体が炭素繊維複合材料のみからなり、単一の材料を用いて形成されることから、ゴルフクラブヘッドの形状及び重量を制御することがより容易であり、さらに、打撃プレートの幾何学中心と炭素繊維複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とが通る直線を、該幾何学中心の接平面と直交させることも容易に実現できる。
【0015】
以下、図面及び本発明の好ましい実施形態において、本発明の目的を達成する技術手段をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法の第1実施形態のフローチャートである。
図2図1に示すフローチャートによって製造されたウッドタイプのゴルフクラブヘッドを示す斜視図である。
図3図2に示すゴルフクラブヘッドの分解図である。
図4図2に示すゴルフクラブヘッドの幾何学中心及び重心の位置を示す側面図である。
図5図2に示すゴルフクラブヘッドの背面図である。
図6】本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法の第2実施形態のフローチャートである。
図7図6に示すフローチャートによって製造されたウッドタイプのゴルフクラブヘッドを示す分解図である。
図8】本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法の第3実施形態のフローチャートである。
図9図8に示すフローチャートによって製造されたウッドタイプのゴルフクラブヘッドを示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す、本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法は、第1実施形態のフローチャートによると、少なくともウッドタイプ或はアイアンタイプのゴルフクラブヘッドの製造に適用可能であり、この製造方法は、金型組立体と空気圧式成型装置によって行われ、該金型組立体は、組み立て可能及び分解可能であり、該空気圧式成型装置は、開閉式密閉容器と該開閉式密閉容器に取り付けられる気圧発生機構及び加熱機構を備えると共に、以下のステップ、すなわち、
後端に結合部を有する打撃プレートを準備する、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなる打撃プレートを準備するステップと、
複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップと、
空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱を加えるステップと、
ゴルフクラブヘッドの半製品にバリ取り及び表面加工を施すステップとを含む。
【0018】
前記、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップにおいては、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けて、ホーゼルを有するゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形を一体成型させてもよく、または、炭素繊維複合材料からなる予浸材を用いたホーゼルを予備形成し、その後、該金型組立体内に入れて、積層された複数の予浸材と結合させて、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形を形成させてもよい。
【0019】
また、前記、複数の炭素繊維複合材料からなる予浸材を積層するように前記金型組立体に貼り付けた後に前記打撃プレートを取り付けてゴルフクラブヘッドの原形を成型するステップにおいては、該ヘッド本体のホーゼルに、交換可能或は角度調整可能なロッドを挿入し、また、金属材料からなるオモリを該ゴルフクラブヘッドの原形内に設置する。具体的には、前記オモリを該炭素繊維複合材料からなる予浸材に貼り付けてもよく、または該炭素繊維複合材料からなる予浸材によって包み込んでもよい。
【0020】
前記、空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱を加えるステップにおいては、その加熱温度を40℃〜250℃の範囲にし、その真空負圧値を−0.1mbar〜−1000mbarの範囲にし、その真空負圧及び熱をかける時間を1分間から60分間とする。尚、圧力釜を、前記空気圧式成型装置として使用する場合においては、該ゴルフクラブヘッドの原形に対して、真空吸引、加熱、空気加圧をすることができ、その加圧空気の圧力値は2bar〜100barの範囲であり、その真空負圧値、加熱温度及び加圧空気の圧力値は、例えば、外形の異なるウッドタイプのゴルフクラブヘッドや、厚さの相違する炭素繊維複合材料からなる予浸材によって調整することができ、さらに、炭素繊維複合材料からなる予浸材の架橋反応に応じて調整することもできる。具体的に述べると、プログラム制御手段によって、適正なタイミングで加圧と加熱とを施すことにより、炭素繊維複合材料からなる予浸材内における、余った樹脂を炭素繊維から押し出すと共に、炭素繊維複合材料からなる予浸材内に残存する気泡を取り出すことができる。従って、加圧及び加熱の作用により、引き締まり、且つ緻密な固化炭素繊維複合材料を簡単に形成できる。
【0021】
本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法によれば、ウッドタイプであっても、アイアンタイプであっても、複数種類のゴルフクラブヘッドの製造に適用することができる。つまり、図2図5に示すように、該複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体10Aと、該ヘッド本体10Aに設置されると共に、炭素繊維複合材料または金属材料のいずれか一つの材料からなる打撃プレート20Aを備え、具体的に述べると、該打撃プレート20Aは、チタン合金或はステンレス鋼からなり、該ヘッド本体10Aは、炭素繊維複合材料から一体成型されたヘッド基部11Aと、該ヘッド基部11Aの前端に形成されるホーゼル12Aとを含み、該打撃プレート20Aは、該ヘッド基部11Aの前端に取り付けられると共に、該ヘッド基部11Aと結合される部位であって、該打撃プレート20Aの後端に形成される結合部21Aと、幾何学中心200とを有し、該幾何学中心200と、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心CGとを通る直線が、該幾何学中心200の接平面と直交し、該重心CGと幾何学中心200とを通る直線が、該打撃プレート20Aにおける、幾何学中心200の接平面と直交する箇所にスイートスポット100が形成され、該打撃プレート20Aの幾何学中心200が、該打撃プレート20Aにおけるスイートスポット100と重なり合うことが好ましい。
【0022】
図2図5に示すように、ウッドタイプのクラブヘッドの例によると、第1実施形態の本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体10Aと打撃プレート20Aとを含む。
【0023】
図2図5に示すように、ヘッド本体10Aは、炭素繊維複合材料から一体成型されていると共に、ヘッド基部11Aとホーゼル12Aを含み、そのうちヘッド基部11Aは、中空構造であって、前側に開口を有し、該ホーゼル12Aは、該ヘッド基部11Aの前端に形成される。尚、本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドのヘッド本体10Aは、一体成型されている、炭素繊維複合材料からなるヘッド基部11A及びホーゼル12Aによって、軽量化を達成している。
【0024】
図2図5に示すように、打撃プレート20Aは、ヘッド本体10Aと同じ炭素繊維複合材料からなるものであってもよく、または金属材料からなるものであってもよい。前記打撃プレート20Aは、幾何学中心200と、該打撃プレート20Aの後端に形成され、ヘッド基部11Aに取り付けられる結合部21Aとを有する。尚、本発明の複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、重心CGを有し、該打撃プレート20Aは、スイートスポット100を有し、該重心CGとスイートスポット100を通る直線は、該スイートスポット100の接平面と直交し、該スイートスポット100が、該打撃プレート20Aの幾何学中心200と重なり合う。
【0025】
前記ヘッド本体10Aは、前記ヘッド基部11Aの底部に配置される少なくとも一つの金属製オモリをさらに備えることによって、本発明の複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心位置を下げることができ、該オモリは、タングステン系金属材料からなってもよく、または鉄系金属材料の比重より大きな比重を有する金属材料からなってもよい。更に、該オモリは、該炭素繊維複合材料からなるヘッド本体10Aの内側に貼り付けてもよく、または、該ヘッド本体10Aに強固に固定するために、該炭素繊維複合材料からなる予浸材によって包み込んでもよく、または、該ヘッド本体10Aに螺合してもよい。尚、前記ホーゼル12Aに、交換可能にロッドが挿入され、該ロッドは、例えば、強度強化部材であってもよく、角度調整可能あるいは長さ調整可能なスリーブであってもよい。
【0026】
図6に示すように、本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法の第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであるが、前記金型組立体が、互いに組み立て可能及び分解可能な上金型と下金型で構成されている点において異なる。つまり、本発明に係る第2実施形態においては、まず、炭素繊維複合材料からなる予浸材を、積層するように該上金型に貼り付けて第1部材を形成し、炭素繊維複合材料からなる予浸材を、積層するように該下金型に貼り付けて第2部材を形成し、該上金型と下金型とを組み立てて、該第1部材と第2部材とを結合させることで、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形を形成する。さらに、予備形成した打撃プレートと組み合わせて、ゴルフクラブヘッドの原形を形成する。
【0027】
次に、内部に前記ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形及び打撃プレートが収容される金型組立体を袋に入れ、この袋を前記開閉式密閉容器に入れて、前記気圧発生機構によって真空負圧をかけると共に、前記加熱機構によって熱を加えることで、該ゴルフクラブヘッドの原形における炭素繊維複合材料からなる予浸材を架橋反応によって硬化させることで、ゴルフクラブヘッドの半製品を形成し、さらに、該ゴルフクラブヘッドの半製品のバリを取って、表面加工を施すことで、複合材料からなるゴルフクラブヘッドが完成する。
【0028】
図7に示すように、第2実施形態の製造方法で作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、炭素繊維複合材料からなるヘッド本体10Bと、該ヘッド本体10Bに取り付けられ、金属材料からなる打撃プレート20Bを備える。
【0029】
第1実施形態の製造方法によって作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドにおいては、該ヘッド本体10Aが単一の部材で一体成型されており、一方、図7に示すように、第2実施形態の製造方法によって作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドにおいては、該ヘッド本体10Bが、第1部材111Bと第2部材112Bを含み、該第1部材111Bと第2部材112Bとを組み合わせて、軽量のヘッド本体10Bを形成する。
【0030】
図8に示すように、本発明に係る複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法の第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであるが、前記金型組立体が、互いに組み立て可能及び分解可能な前金型と後金型で構成されている点において異なる。つまり、本発明に係る第3実施形態においては、まず、炭素繊維複合材料からなる予浸材を、積層するように該前金型に貼り付けて第1部材を形成し、炭素繊維複合材料からなる予浸材を、積層するように該後金型に貼り付けて第2部材を形成し、該前金型と後金型とを組み立てて、該第1部材と第2部材とを結合させることで、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形を形成する。即ち、予備形成した打撃プレートと組み合わせて形成する。
【0031】
次に、内部に前記ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の原形及び打撃プレートが収容される金型組立体を袋に入れ、この袋を前記開閉式密閉容器に入れて、前記気圧発生機構によって真空負圧をかけると共に、前記加熱機構によって熱を加えることで、該ゴルフクラブヘッドの原形における炭素繊維複合材料からなる予浸材を架橋反応によって硬化させることで、ゴルフクラブヘッドの半製品を形成し、さらに、該ゴルフクラブヘッドの半製品のバリを取って、表面加工を施すことで、複合材料からなるゴルフクラブヘッドが完成する。
【0032】
図9に示すように、第3実施形態の製造方法で作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、炭素繊維複合材料からなるヘッド本体10Cと、該ヘッド本体10Cに取り付けられ、金属材料からなる打撃プレート20Cを備える。
【0033】
第1実施形態の製造方法によって作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドにおいては、該ヘッド本体10Aが単一の部材で一体成型されており、一方、図9に示すように、第3実施形態の製造方法によって作られる、複合材料からなるゴルフクラブヘッドにおいては、該ヘッド本体10Cが、第1部材111Cと第2部材112Cを含み、該第1部材111Cと第2部材112Cとを組み合わせて、軽量のヘッド本体10Cを形成する。
【0034】
上述した、複数の、複合材料からなるゴルフクラブヘッドの製造方法においては、開閉式密閉容器によって、金型組立体内に収容されているヘッド本体10Aに、真空負圧及び熱を加えることで、該ヘッド本体10Aに対する品質の均一化を可能とし、また、ホーゼル12Aとヘッド基部11Aを一体に成型することに加え、金型組立体内に収容されているヘッド本体10Aの前端に、該打撃プレート20Aを、結合部21Aを介して嵌合して一体に成型することで、該ヘッド本体10Aに優れた構造及び剛性を具備させる。
【0035】
上述した、空気圧式成型装置を利用して前記ゴルフクラブヘッドの原形が収容される金型組立体に真空負圧及び熱をかけるステップにおいては、炭素繊維複合材料からなる予浸材の架橋反応に応じて、圧力値及び加熱温度を、プログラム制御手段を介して調整することができ、つまり、該プログラム制御手段によって、適正なタイミングで加圧と加熱とを施すことにより、炭素繊維複合材料からなる予浸材内における、余った樹脂を炭素繊維から押し出すと共に、炭素繊維複合材料からなる予浸材内に残存する気泡を取り出すことができる。従って、加圧及び加熱の作用により、引き締まり、且つ緻密な固化炭素繊維複合材料を簡単に形成できるので、製造にかかるコストと時間を節約することができる。
【0036】
さらに、本発明の複合材料からなるゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体が炭素繊維複合材料のみからなり、単一の材料を用いて形成されることから、ゴルフクラブヘッドの形状及び重量を制御することがより容易であり、さらに、打撃プレートの幾何学中心と炭素繊維複合材料からなるゴルフクラブヘッドの重心とが通る直線を、該幾何学中心の接平面と直交させることも容易に実現できる。
【0037】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好ましい実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0038】
10A、10B、10C ヘッド本体
11A ヘッド基部
111B、111C 第1部材
112B、112C 第2部材
12A、12C ホーゼル
20A、20B、20C 打撃プレート
21A、21B、21C 結合部
100 スイートスポット
200 幾何学中心
CG 重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9