特許第6781818号(P6781818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781818
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】光学機能層付光学部材
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20201026BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   G02B5/22
   G02B5/30
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-504571(P2019-504571)
(86)(22)【出願日】2018年3月5日
(86)【国際出願番号】JP2018008329
(87)【国際公開番号】WO2018164052
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年4月23日
(31)【優先権主張番号】特願2017-41840(P2017-41840)
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 貴博
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒三
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−031474(JP,A)
【文献】 特開2014−092611(JP,A)
【文献】 特開2012−208145(JP,A)
【文献】 特開2013−068972(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/026211(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色素を含有する光学機能層、並びに前記光学機能層の両面に第1光学部材および第2光学部材を有する光学機能層付光学部材であって、
前記第1光学部材が、ポリビニルアルコール系偏光子を含む厚み100μm以下の偏光フィルム、厚み5〜200μmのセパレータまたは厚み15〜150μmのガラス板であり、かつ、
前記第2光学部材が、ポリビニルアルコール系偏光子を含む厚み100μm以下の偏光フィルム、厚み5〜200μmのセパレータまたは厚み15〜150μmのガラス板であり、
少なくとも前記第1光学部材は、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下であることを特徴とする光学機能層付光学部材。
【請求項2】
前記第1光学部材が厚み5〜200μmのセパレータであることを特徴とする請求項1記載の光学機能層付光学部材。
【請求項3】
前記第1光学部材がポリビニルアルコール系偏光子を含む厚み100μm以下の偏光フィルムであることを特徴とする請求項1記載の光学機能層付光学部材。
【請求項4】
前記第2光学部材は、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下であることを特徴とする特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学機能層付光学部材。
【請求項5】
前記第2光学部材が厚み5〜200μmのセパレータであることを特徴とする請求項3記載の光学機能層付光学部材。
【請求項6】
前記色素が、波長域470〜510nmおよび波長域570〜610nmのいずれか少なくとも一方に極大吸収波長を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学機能層付光学部材。
【請求項7】
前記色素が、テトラアザポルフィリン系色素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学機能層光学部材。
【請求項8】
前記色素を、前記光学機能層の樹脂層を形成するベースポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学機能層付光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学機能層付光学部材に関する。また本発明の光学機能層付光学部材は、液晶パネル、前記液晶パネルを有する液晶表示装置、有機EL表示装置などの画像表示装置に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置などは、その画像形成方式から液晶セルの両面に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フィルムが貼着されている。前記偏光フィルムを液晶セルに貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、偏光フィルムと液晶セルの接着は、通常、光の損失を低減するため、それぞれの材料は粘着剤を用いて密着されている。このような場合に、偏光フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないことなどのメリットを有することから、粘着剤は、偏光フィルムの片面に予め粘着剤層として設けられた粘着剤層付偏光フィルムが一般的に用いられる。
【0003】
また、前記粘着剤層に、染料または顔料を添加して着色することにより、偏光フィルムに任意の色相を与えて高コントラストの液晶表示体を得ることが提案されている(特許文献1)。近年では、画像表示装置に明るさ、鮮やかさ(即ち、広色域化)が求められており有機EL表示装置(OLED)が注目されているが、液晶表示装置に対しても広色域化が求められている。例えば、液晶表示装置を広色域化させる方法として、特定波長(560〜610nm)の範囲に吸収極大波長を示す色素を含有する粘着剤層を介して前記液晶セルの片面または両面に偏光フィルムを積層することが提案されている(特許文献2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登第3052812号明細書
【特許文献2】特開2011−039093号公報
【特許文献3】特開2014−092611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように色素は粘着剤層に含有することができる他に、光学部材に適用されるフィルム層中に含有することもできる。このように、色素をフィルム層又は粘着剤層のような樹脂層中に含有させることで、色素を含有する光学機能層を形成することができる。しかし、前記光学機能層中には色素を含有するために、前記光学機能層のベースとなる樹脂層の透湿性の観点から、前記光学機能層中の色素が経時劣化して、前記光学機能層は徐々に退色する。特に、光学機能層が、色素を含有する粘着剤層である場合には、透湿性の観点から、当該粘着剤層の耐久性が十分ではなく、当初は色素により着色されていた粘着剤層であっても徐々に退色してしまう。このように、光学機能層(特に、粘着剤層)中の色素が経時劣化する場合には、色素による広色域化を維持することが困難であった。
【0006】
本発明は、経時安定性が良好であり、色素による広色域化を維持することができる色素を含有する光学機能層を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記光学機能層付光学部材を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち本発明は、色素を含有する光学機能層、並びに前記光学機能層の両面に第1光学部材および第2光学部材を有する光学機能層付光学部材であって、
少なくとも前記第1光学部材は、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下であることを特徴とする光学機能層付光学部材、に関する。
【0009】
前記光学機能層付光学部材において、前記第1光学部材として、セパレータを用いることができる。また、前記光学機能層付光学部材において、前記第1光学部材として、ポリビニルアルコール系偏光子を含むものを用いることができる。
【0010】
前記光学機能層付光学部材において、前記第2光学部材は、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下であることが好ましい。前記第2光学部材として、セパレータを用いることができる。
【0011】
前記光学機能層付光学部材において、前記色素が、波長域470〜510nmおよび波長域570〜610nmのいずれか少なくとも一方に極大吸収波長を有するものを用いることができる。
【0012】
前記光学機能層付光学部材において、前記色素は、ポルフィリン系色素を用いることができる。
【0013】
前記光学機能層付光学部材において、前記色素を、前記光学機能層の樹脂層を形成するベースポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学機能層付光学部材では、色素を含有する光学機能層を有する。前記光学機能層は、色素によって、一部の波長の光を吸収することにより、液晶表示装置の全体の色相を調整することができ、広色域化によって鮮やかさを向上させることができる。特に、470〜510nmおよび波長域570〜610nmのいずれか少なくとも一方に極大吸収波長を有する色素は、RGB以外の波長域(波長域470〜510nmおよび/または波長域570〜610nm)での色表現に不要な発光を吸収して前記不要な発光を抑えることができ、広色域化に有効である。
【0015】
また、本発明の光学機能層付光学部材では、前記色素を含有する光学機能層の両面に光学部材を有する。このような、光学機能層の両面に光学部材を有する光学機能層付光学部材の構成においても、前記光学機能層における色素が退色していた。当該退色は、酸素が、前記光学部材を透過して前記光学機能層に侵入し、熱によって活性化して色素を攻撃することが原因であることが分かった。本発明の光学機能層付光学部材では、色素を含有する光学機能層の少なくとも片面に、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下の光学部材が積層されている。かかる低酸素透過度の光学部材を用いることにより、光学機能層付光学部材における前記光学機能層への酸素の侵入を防止することで、色素の退色(分解)を抑制して、経時的に安定して広色域化を維持すること光学機能層を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の光学機能層付光学部材の概略を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の光学機能層付光学部材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3】本発明の光学機能層付光学部材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の光学機能層付光学部材の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は、図面の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1に示すように、本発明の光学機能層付光学部材は、色素を含有する光学機能層A、当該光学機能層Aの両面に、第1光学部材B1および第2光学部材B2を有する。第1光学部材B1は前記光学機能層Aの第1片面に、第2光学部材B2は前記光学機能層Aの第2片面に、それぞれ積層される。前記第1光学部材B1は、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下のものが用いられる。前記第1光学部材B1としては、例えば、セパレータ、ポリビニルアルコール系偏光子、ポリビニルアルコール系偏光子を含む積層体等が用いられる。一方、前記第1光学部材B2は、各種材料を用いることができるが、セパレータ等が用いられる。前記第2光学部材B2についても、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下のものが好ましい。本発明の光学機能層付光学部材は、前記第1光学部材B1および第2光学部材B2が組み合わされて用いられる。
【0019】
例えば、図2は、光学機能層Aの両面に、第1光学部材B1としてセパレータ(s)および第2光学部材B2としてセパレータ(s)を積層した、両面セパレータ付の基材レス粘着シートを示す。
【0020】
例えば、図3は、光学機能層Aの第1片面に、第1光学部材B1としてポリビニルアルコール系偏光子を含有する偏光フィルム(p)、および他の第2片面に第2光学部材B2としてセパレータ(s)を積層した、セパレータ付の光学機能層付偏光フィルムを示す。
【0021】
本発明の光学機能層層付光学部材は、色素を含有する光学機能層を有し、前記光学機能層の両面には、第1光学部材および第2光学部材を有する。以下、各部材について説明する。
【0022】
<光学機能層>
本発明の光学機能層は、色素を含む樹脂層であれば特に限定されない。前記樹脂層としては、フィルム層、粘着剤層等が挙げられる。前記光学機能層は、ベースポリマーおよび色素を含有する組成物から形成することができる。
【0023】
<色素>
本発明の光学機能層が含有する色素は、各種色素を使用することができる。色素として、例えば、テトラアザポルフィリン系、ポルフィリン系、シアニン系、アゾ系、ピロメテン系、スクアリリウム系、キサンテン系、オキソノール系、スクアライン系等の各種化合物が挙げられる。前記色素は、広色域化の観点から、テトラアザポルフィリン系色素、ポルフィリン系色素、シアニン系色素、スクアリウム系色素、スクアライン系色素が好ましく、特にテトラアザポルフィリン系色素ら好ましい。前記色素は、具体的には、特開2011-116818号公報等に開示されている。前記色素は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
【0024】
前記色素は、波長域470〜500nmおよび波長域580〜610nmのいずれか少なくとも一方に極大吸収波長を有するものが好ましい。前記波長域に極大吸収波長を有する色素は、色表現に不要な発光を吸収して、その発光を抑えることができ、広色域化に有効である。前記波長域に極大吸収波長を有する色素としては、ポルフィリン系色素を好適に用いることができる。例えば、波長域580〜610nmに極大吸収波長を示す色素としては、山本化成社製のテトラアザポルフィリン系化合物(商品名:PD−320,PD311)、山田化学工業社製のテトラアザポルフィリン系化合物(商品名:FDG−007)等が挙げられる。なお、色素の極大吸収波長の測定は、分光光度計(日本分光社製のV−570)により行ったものである。
【0025】
本発明の光学機能層における色素の含有量は、色素の吸収波長域、吸光係数やベースポリマーの種類によって調整されるが、通常、ベースポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましく、さらには0.05〜3重量部が好ましく、さらには0.1〜1重量部が好ましい。特に、テトラアザポルフィリン系色素を用いる場合に前記範囲は好ましい。
【0026】
<粘着剤層>
本発明の光学機能層としては、色素を含有する粘着剤層が挙げられ、前記粘着剤層は、粘着性のベースポリマーおよび色素を含有する粘着剤組成物から形成することができる。粘着性のベースポリマーの種類について、特に制限はないが、例えば、ゴム系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリビニルピロリドン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルロース系ポリマーなどの各種ポリマーが挙げられる。
【0027】
本発明の粘着剤組成物は、粘着性のベースポリマーを主成分として含む。主成分とは、粘着剤組成物に含まれる全固形分のうち最も含有割合の多い成分を指し、例えば、粘着剤組成物に含まれる全固形分のうち50重量%より多くを占める成分であり、さらには70重量%より多くを占める成分を指す。
【0028】
これら粘着性のベースポリマーなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとして(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく使用される。以下、粘着剤層の形成材料の、アルキル(メタ)アクリレートをモノマー単位として含有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤について説明する。
【0029】
<(メタ)アクリル系ポリマー>
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0030】
前記(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18のものを例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。
【0031】
また、粘着特性、耐久性、位相差の調整、屈折率の調整等の点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのような芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。
【0032】
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有モノマー等が挙げられる。
【0033】
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリン等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、等も改質目的のモノマー例として挙げられる。
【0034】
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー等も使用することができる。さらには、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等が挙げられる。
【0035】
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマー等が挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
また、共重合モノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物等の(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタン等の骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等を用いることもできる。
【0037】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、全構成モノマーの重量比率において、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、(メタ)アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜20%程度、0.1〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0038】
これら共重合モノマーの中でも、接着性、耐久性の点から、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーは併用することができる。これら共重合モノマーは、粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合に、架橋剤との反応点になる。ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー等は分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。ヒドロキシル基含有モノマーはリワーク性の点で好ましく、またカルボキシル基含有モノマーは耐久性とリワーク性を両立させる点で好ましい。
【0039】
前記共重合モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.01〜15重量%が好ましく、0.03〜10重量%がより好ましく、さらには0.05〜7重量%が好ましい。前記共重合モノマーとして、カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、0.05〜10重量%が好ましく、0.1〜8重量%がより好ましく、さらには0.2〜6重量%が好ましい。
【0040】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量が50万〜300万の範囲のものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は70万〜270万であるものを用いることが好ましい。さらには80万〜250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、重量平均分子量が300万よりも大きくなると、塗工するための粘度に調整するために多量の希釈溶剤が必要となり、コストアップとなることから好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0041】
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、UV重合等の放射線重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0042】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
【0043】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
【0044】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2´−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
前記ラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0046】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
【0047】
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0048】
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
【0049】
<架橋剤>
さらに、本発明においては、色素を有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に架橋剤を含有することできる。架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤等が挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等が挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
【0050】
イソシアネート系架橋剤に係る化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーおよびこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。特に好ましくは、ポリイソシアネート化合物であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物である。ここで、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、トリマー型水添キシリレンジイソシアネート、およびポリオール変性イソホロンジイソシアネートなどが含まれる。例示したポリイソシアネート化合物は、水酸基との反応が、特にポリマーに含まれる酸、塩基を触媒のようにして、迅速に進む為、特に架橋の早さに寄与し、好ましい。
【0051】
過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
【0052】
前記過酸化物としては、例えば、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)等が挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)等が好ましく用いられる。
【0053】
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログ等に記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」等に記載されている。
【0054】
前記架橋剤の使用量は、粘着剤組成物中、(メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、さらには0.01〜20重量部が好ましく、さらには0.03〜10重量部が好ましい。なお、前記架橋剤が20重量部より多いと、耐湿性が十分ではなく、信頼性試験などで剥がれが生じやすくなる。
【0055】
さらに、本発明の色素を有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、シランカップリング剤を含有することできる。シランカップリング剤を用いることにより、耐久性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、具体的には、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
【0056】
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は前記(メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.001〜5重量部が好ましく、さらには0.01〜1重量部が好ましく、さらには0.02〜1重量部がより好ましく、さらには0.05〜0.6重量部が好ましい。耐久性を向上させ、液晶セルなどの光学部材への接着力を適度に保持する量である。
【0057】
さらに、本発明においては色素を有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に、ポリエーテル変性シリコーンを配合することができる。ポリエーテル変性シリコーンは、例えば、特開2010−275522号公報に開示されているものを用いることができる。
【0058】
さらに本発明においては色素を有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物中に、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0059】
前記粘着剤組成物により、色素を有する粘着剤層を形成するが、粘着剤層の形成にあたっては、架橋剤の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮することが好ましい。
【0060】
使用する架橋剤によって架橋処理温度や架橋処理時間は、調整が可能である。架橋処理温度は170℃以下であることが好ましい。
【0061】
また、かかる架橋処理は、粘着剤層の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。
【0062】
また、架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定することができるが、通常0.2〜20分間程度であり、0.5〜10分間程度であることが好ましい。
【0063】
色素を有する粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤組成物を剥離処理したセパレータなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に第1または第2光学部材に転写する方法、または第1または第2光学部材に前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を第1または第2光学部材に形成する方法などにより作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0064】
剥離処理したセパレータとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の接着剤組成物を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を過熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
【0065】
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは、10秒〜5分である。
【0066】
また、第1または第2光学部材の表面に、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
【0067】
前記粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
【0068】
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
【0069】
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレータ)で粘着剤層を保護してもよい。
【0070】
<フィルム層>
また、本発明の光学機能層としては、色素を含有するフィルム層が挙げられ、前記フィルム層は、フィルム形成用のベースポリマーおよび色素を含有する組成物から形成することができる。フィルム層を形成するベースポリマーの材料としては、後述の透明保護フィルムを構成する材料と同様のものを例示することができる。特に、前記材料としては、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)等が好ましく用いられる。フィルム層は、適宜に接着剤、粘着剤等を用いて第1光学部材、第2光学部材に適用することができる。
【0071】
色素を含有するフィルム層の形成法は、各種の方法を採用することができる。例えば、前記の樹脂材料のペレットを溶剤に溶解させる際に、色素を混合して組成物を調製し、当該組成物をキャストしたり、押し出ししたりすることによりフィルム層を製造することができる。その際に、フィルム層を適宜の厚さで成形することができる。前記組成物の調製に際しては、適宜に添加剤を配合することができる。
【0072】
前記フィルム層の厚さは、特に制限されず、粘着剤層と同様であり、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
【0073】
<光学部材>
本発明では、各種の光学部材を用いることができる。光学部材としては、例えば、セパレータ、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、ガラス板等が挙げられる。
【0074】
前記セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などを挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0075】
そのプラスチックフィルムとしては、前記光学機能層(特に、粘着剤層)を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0076】
前記セパレータの厚みは、通常1〜500μm、好ましくは5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記光学機能層(特に、粘着剤層)からの剥離性をより高めることができる。
【0077】
前記偏光フィルムは、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0078】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に80μm程度以下である。
【0079】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0080】
また偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。
【0081】
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法による得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断等の不具合なく延伸することが可能となる。
【0082】
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
【0083】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、偏光子の片面には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片面には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性などが十分に発現できないおそれがある。
【0084】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層などの機能層(表面層)を設けることができる。
【0085】
透明保護フィルムの厚さは、偏光フィルムの総厚みが100μm以下となるならば、特に制限されず、例えば、10〜90μm程度である。好ましくは、15〜60μm、より好ましくは20〜50μmである。
【0086】
前記偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせに用いる接着剤は光学的に透明であれば、特に制限されず水系、溶剤系、ホットメルト系、ラジカル硬化型、カチオン硬化型の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤またはラジカル硬化型接着剤が好適である。
【0087】
前記ガラス板としては、光学部材に適用される各種のものと使用できる。前記ガラス板には、フレキシブルガラス板を含む。前記ガラスの厚さは、15〜150μm程度であるのが好ましい。前記ガラスの構成材料は、特に限定されないが、SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、BaO、NaO、LiOなどが挙げられる。これら材料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよく、さらには他の成分を含有してもよい。
【0088】
本発明の第1光学部材は、前記光学部材のなかでも、酸素透過度が1[cm/(m・24h・atm)]以下のものを用いる。第1光学部材の酸素透過度は、0.8[cm/(m・24h・atm)]以下が好ましく、さらには0.6[cm/(m・24h・atm)]以下が好ましく、さらには0.5[cm/(m・24h・atm)]以下が好ましい。また、第2光学部材についても、第1光学部材と同様に酸素透過度は、1[cm/(m・24h・atm)]以下であることが好ましい。
【0089】
前記光学部材の酸素透過度は、材料、厚み等により決定される。光学部材の酸素透過度は、具体的には実施例の記載により測定される。
【0090】
酸素透過度が、1[cm/(m・24h・atm)]以下を満足することができるセパレータとしては、前記のなかでも、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が好ましい。また、当該フィルムの厚さは、前記酸素透過度を満足することができる厚さであれば特に制限はなく、ハンドリングの観点から、通常、1〜500μm、好ましくは1〜200μmのものが用いられる。
【0091】
また、酸素透過度が、1[cm/(m・24h・atm)]以下を満足することができる偏光フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール系偏光子を用いたものが挙げられる。ポリビニルアルコール系偏光子の厚さは、前記酸素透過度を満足することができる厚さであれば特に制限はなく、前記厚さのものを用いることができ、薄型化の観点から、通常、1〜10μmのものが用いることができる。
【0092】
<液晶パネル>
前記本発明の光学機能層付光学部材は、液晶パネルを形成する際に好適に用いることができる。例えば、本発明の光学機能層付光学部材の光学機能層が粘着剤層である、粘着剤層付光学部材の場合には、当該粘着剤層付光学部材(例えば、両面セパレータ付の基材レス粘着シート)における粘着剤層は、液晶セルに偏光フィルムを貼り合わせて液晶パネルを形成する際に好適に用いることができる。また、光学部材として、偏光フィルムを用いた場合には、粘着剤層付偏光フィルムとして、液晶セルのいずれか少なくとも一方の面に貼り合わされて液晶パネルを形成することができる。本発明の粘着剤層付光学部材における粘着剤層または粘着剤層付偏光フィルムは、液晶セルの視認側に好適に用いられる。
【0093】
液晶セルは、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプのものを用いうるが、本発明の液晶パネルには、IPSモードの液晶セルが好適に用いられる。
【0094】
液晶パネルの形成には、前記偏光フィルムの他に、他の光学層を適用することができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶パネルの形成に用いられることのある光学層を、液晶セルの視認側および/または背面側において1層または2層以上用いることができる。
【0095】
<液晶表示装置>
液晶表示装置には、上記液晶パネルが用いられ、必要に応じて照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成される。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。また、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。
【実施例】
【0096】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
【0097】
<(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量の測定>
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。Mw/Mnについても、同様に測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
【0098】
<酸素透過度の測定>
モコン社製、酸素透過率測定装置OX−TRANを用い、23℃、0%RHの条件下にて、JISK 7126−2に従って求めた。
【0099】
<光学部材>
PVA:ポリビニルアルコールフィルム(クラレ社製の商品名PE4500)を用いた。酸素透過度は0.02[cm/(m・24h・atm)]未満であった。
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製の商品名MRF38CK)を用いた。酸素透過度は0.29[cm/(m・24h・atm)]であった。
PMMA:ポリメチルメタクリレートフィルムを用いた。酸素透過度は5[cm/(m・24h・atm)]であった。
COP:環状オレフィンフィルム(日本ゼオン社製の商品名ゼオノアZF16)を用いた。酸素透過度は652[cm/(m・24h・atm)]であった。
ガラス:厚さ1000μmのガラス板(松浪ガラス工業社製 ソーダガラス)を用いた。酸素透過度は0.02[cm/(m・24h・atm)]未満(測定限界未満)であった。
【0100】
なお、上記PMMA(ポリメチルメタクリレートフィルム)は、旭化成ケミカル(株)社製の商品名デルペットを単軸押出機に投入して溶融混合し、Tダイを通してフィルム形成した。得られた押出フィルムを、延伸温度240℃で長さ方向および幅方向にそれぞれ2倍(面倍率4.0)に同時二軸延伸して厚さ40μmのフィルムを得た。延伸速度は、長さ方向および幅方向ともに10%/秒であった。このようにして、上記PMMAを得た。
【0101】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器にアクリル酸ブチル100部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.01部、およびアクリル酸5部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)180万、Mw/Mn=4.1のアクリル系ポリマーの溶液(固形分濃度30重量%)を調製した。
【0102】
実施例1
(粘着剤組成物の調製)
上記で製造したアクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、
ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名ナイパーBMT)を0.3部、
イソシアネート系架橋剤(東ソー社製の商品名コロネートL)を0.6部、および
テトラアザポルフィリン系色素(山本化成社製の商品名PD−320:波長595nmに極大吸収波長を有する)を0.1部、
を配合して、粘着剤組成物を得た。
【0103】
(粘着剤層付光学部材の作製)
前記粘着剤組成物をシリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離基材(三菱樹脂社製MRF38CK)の表面に、アプリケータで均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで2分間乾燥して、前記基材の表面に厚さ20μmの粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層のもう一方の面にも、前記剥離基材を貼り合せて、両面に剥離基材を有する粘着剤シートを得た。
【0104】
次いで、前記粘着剤シートの片面から前記剥離基材を剥離して、露出した粘着剤層面に、第2光学部材として前記ガラスを貼り合わせた。もう一方の片面からも前記剥離基材を剥離して、露出した粘着剤層面に、第1光学部材として前記PVAを貼り合あわせたものをサンプルとした。
【0105】
(退色の評価)
当該サンプルについて透過率(初期)を測定した後、85℃の恒温槽に24時間放置した後に室温(23℃)に戻してから再度、透過率(24時間後)を測定した。
前記透過率から、透過率の変化率=透過率(24時間後)/透過率(初期)×100(%)、を求めた。
透過率の変化率が小さい程、退色が少ないと言える。
【0106】
<透過率の測定>
透過率の測定は、積分球付き分光透過率測定器(村上色彩技術研究所のDot−3c)を用いて測定した。透過率の測定はサンプルが23℃の状態で行った。
【0107】
実施例2〜3、比較例1〜2
実施例1において、サンプルの調製の際に用いた第1、第2光学部材を表1のように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤層付光学部材を作製した。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例では、透過率の変化率は小さく、退色は確認できなかった。
一方、比較例では、透過率の変化率が大きく、退色を確認した。
【符号の説明】
【0110】
A 光学機能層
B1 第1光学部材
B2 第2光学部材

図1
図2
図3