特許第6781835号(P6781835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781835
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】工作物のマーキング方法および工作物
(51)【国際特許分類】
   B21C 51/00 20060101AFI20201026BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B21C51/00 B
   B41J2/01 109
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-517067(P2019-517067)
(86)(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公表番号】特表2020-500712(P2020-500712A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2017073943
(87)【国際公開番号】WO2018065228
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2019年5月9日
(31)【優先権主張番号】102016118842.5
(32)【優先日】2016年10月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハートリング トーマス
【審査官】 中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−130606(JP,A)
【文献】 特公昭51−015456(JP,B1)
【文献】 特開昭59−215216(JP,A)
【文献】 特開昭57−073473(JP,A)
【文献】 特開昭50−127842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 51/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)未加工材(2)を提供するステップと、
B)前記未加工材(2)の複数箇所にマーキング(3)を付与するステップと、
C)前記未加工材(2)を金属体(11)に成形するステップと、
をこの順序で含む工作物(1)のマーキング方法であって、
前記ステップC)における成形が圧延であることから、前記金属体(11)に向かって前記未加工材(2)の厚さ(T)が前記未加工材(2)の幅(B)よりも大きく変化し、
少なくとも前記ステップC)の後まで、前記マーキング(3)は、前記金属体(11)に残るとともに前記成形によって破壊されず、
前記マーキング(3)は、前記未加工材(2)と前記金属体(11)に対して近紫外線のスペクトル領域、可視光のスペクトル領域および/または近赤外線のスペクトル領域のうちの少なくとも一部分において、少なくとも15パーセントの反射率の差異および/または散乱の程度の差異および/またはアルベドの差異を有する、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記ステップC)の後に続くステップD)をさらに含み、
前記ステップD)は、前記金属体(11)を焼戻しまたは焼なましすることで、前記マーキング(3)を有する前記金属体(11)を少なくとも一時間の間に少なくとも350℃の温度にし、
前記ステップC)において、前記マーキング(3)が前記未加工材(2)に完全に押し付けられ、
前記ステップC)の前と前記ステップD)の後において、前記マーキング(3)は、少なくとも近紫外線のスペクトル領域、可視光のスペクトル領域又は近赤外線のスペクトル領域において、機械的に読取可能となる点で前記未加工材(2)および前記金属体(11)とは異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップB)において、前記マーキング(3)は、前記未加工材(2)の少なくとも両端であって且つ前記未加工材(2)の互いに対向する両面に付与され、
前記ステップC)の前と前記ステップD)の後において、前記マーキング(3)は、前記可視スペクトル領域において前記未加工材(2)および前記金属体(11)から機械的に読取可能となる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップB)において、前記マーキング(3)が歪んだ状態で付与されることで、前記マーキング(3)の長手方向の大きさが圧延方向に沿って圧縮され、
前記ステップC)において前記マーキング(3)の歪みが除去されるように、前記ステップC)において前記未加工材の長さの変更および厚さの変更が行われる、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マーキング(3)は、前記反射率の差異および/または前記散乱の程度の差異および/または前記アルベドの差異を引き起こす少なくとも1つの発光物質(33)によって形成されているか、または少なくとも1つの発光物質(33)を含み、
前記マーキング(3)は、少なくとも前記ステップC)の後に前記発光物質(33)を封印する光透過性および無機のマトリックス材料(35)を含み、
前記マーキング(3)は、前記マトリックス材料(35)を介して前記未加工材(2)および前記金属体(1)に取り付けられている、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップC)において、前記マトリックス材料(35)は、部分的に破砕された後に、前記発光物質(33)を封印するためにもう一度溶かされ、
前記発光物質(33)は、前記未加工材(2)、前記金属体(11)、および圧延工具(4)より高い硬さを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップC)において、前記厚さ(T)が少なくとも1.5倍だけ変更されると共に、前記幅(B)が最大1.001倍だけ変更され、
前記ステップC)の後に、前記金属体(11)が少なくとも250mの長さ(L)を有する、請求項1から6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップB)において、前記マーキングは、前記未加工材(2)の全長(L)に亘り一定間隔で付与される、請求項1から7のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記マーキング(3)は、上面視において、最大50μmの平均直径を有する複数の点状および島状の部分領域(38)によって形成され、
前記マーキング(3)は、上面視において、当該部分領域を全部一緒に観察したとき、前記平均直径の少なくとも20倍の平均的大きさを有し、
前記マーキング(3)における前記工作物(1)の表面の平均粗さが、前記表面の残りの領域の平均粗さから最大2倍だけ逸脱する、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マーキング(3)は、少なくとも1つのつながったマーキング領域(39)によって形成されており、
前記少なくとも1つのマーキング領域(39)は、前記マーキング(3)の顔料の平均直径の少なくとも20倍の平均的大きさを有する、請求項1から8のうちいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
工作物のマーキング方法が記載される。さらに、このように製造される工作物が記載される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、金属部品に発光物質マーク(Leuchtstoffmarkierung)が設けられる方法が記載されている。
【0003】
特許文献2から、熱間成形によるマーク付け方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/101001号
【特許文献2】独国特許発明第102015107744号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2549330号明細書
【特許文献4】国際公開第2010/057470号
【特許文献5】独国第60218966号翻訳文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決されるべき課題は、圧延により製造され、かつ識別マークを有する工作物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、特に、独立請求項の特徴を有する方法および工作物により解決される。好ましい展開形態は従属請求項の主題である。
【0007】
少なくとも一実施形態では、方法は、未加工材を提供するステップを包含する。未加工材は、例えばスラブであるか、またはコイルとも呼ばれる金属板ロールである。特に未加工材の材料は、鉄、鉄合金、鋼、鋼合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属、または非鉄金属である。未加工材の重量は、例えば少なくとも0.5tまたは1tまたは5tならびに/あるいは最高20tまたは12tである。
【0008】
少なくとも一実施形態では、方法は、未加工材上に1つまたは複数のマーキング(Kennzeichnung)を付与するステップを包含する。その際、少なくとも1つのマーキングは、未加工材の全面にではなく複数箇所にだけ付与されることが好ましい。本明細書中および以下において「マーキング」は、任意の種類のマーク(Markierung)またはコード(Codierung)を意味し得る。マーキングは、例えば文字列または番号または記号の形態で付与される。マーキングは、例えばバーコードまたは二次元コードの形態の機械可読コードであることが好ましい。マーキングにより、例えば未加工材に一意的な部品番号を与えることが可能である。さらに、例えば未加工材にわたって部分領域の連続番号が付けられることにより未加工材の特定の部分領域を一義的に識別することが可能になり得る。
【0009】
マーキングは、1つまたは複数の種類の顔料を含むことが好ましい。以下において顔料という用語は、発光物質特性のない、すなわち波長を変換する能力のない着色顔料および発光物質の上位概念として使用される。方法が進行している間、顔料が溶けないか、または少なくとも完全には溶けないことが特に好ましい。顔料は粒子として存在することが好ましい。顔料の平均粒径は、例えば少なくとも0.1μmまたは0.3μmおよび/または最大5μmまたは3μmである。
【0010】
方法の少なくとも一実施形態では、未加工材は金属体へと成形される。これは少なくとも圧延により行われる。圧延は、結晶化温度より高い温度で熱間圧延として、またはこれに代えて冷間圧延として行うことができる。特に圧延によって厚さより大きい幅を有し、長さが幅より長い平板製品が作成される。圧延時に未加工材の厚さが未加工材の幅よりも大きく変化することが特に好ましい。
【0011】
少なくとも一実施形態では、圧延によって未加工材から金属体が形成される。その際、金属体が最終製品である必要はない。金属体は、さらなる圧延などのさらなる方法ステップにおいて、さらなる金属体の別の未加工材として用いられることが可能である。
【0012】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、少なくとも未加工材の成形の後まで金属体に残る。未加工材を金属体へ圧延することによって、マーキングは破壊されず、好ましくは読取可能、特に機械的に読取可能のまま保持される。
【0013】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、未加工材に対しても工作物に対しても、近紫外の、可視の、および/または近赤外のスペクトル領域の少なくとも一部分において少なくとも15パーセンテージポイントまたは25パーセンテージポイントまたは50パーセンテージポイントの反射率の差異および/または散乱の程度の差異(Remissionsgradunterschied)および/またはアルベドの差異を有する。
【0014】
換言すると、マーキングは、その光学的特性に基づいて、成形前の未加工材の表面からも成形後の金属体の表面からも、例えばカメラまたは人の目によって明確に区別できる。言い換えると、マーキングは、少なくともマーキングを読み取るために使用される適当な照明条件下で未加工材および金属体の表面に対して高いコントラストを有している。近紫外スペクトル領域は、特に300nm〜420nmの範囲と解され、可視スペクトル領域は、特に420nm〜760nmの波長を示し、近赤外スペクトル領域は、760nm〜1500nmの波長を示す。マーキングを読み取るために、例えば、発光物質の励起波長を遮断する光学フィルタを使用することが可能であり、それにより励起にもとづいた発光物質から生成される発光のみが検出される。特にマーキングはコントラストおよび/または輝度差に関して、直接マーク付けされる部品に対して要求される現在のISO/TEC TR29158規格を満たす。
【0015】
少なくとも一実施形態では、方法は、
A)未加工材を提供するステップと、
B)未加工材の所々にマーキングを付与するステップと、
C)未加工材を金属体へと成形するステップと、を包含し、
−ステップC)における成形が圧延であり、それにより金属体へと未加工材の厚さが未加工材の幅より大きく変化し、
−マーキングが少なくともステップC)の後まで金属体に残るとともに、成形によって破壊されず、
−マーキングは、未加工材と金属体とに対して近紫外の、可視の、および/または近赤外のスペクトル領域の少なくとも一部分において少なくとも15パーセンテージポイントの反射率の差異および/または散乱の程度の差異および/またはアルベドの差異を有する。
【0016】
個々の方法ステップは順次かつ記載された順序で行われることが好ましい。
【0017】
少なくとも一実施形態では、方法は、ステップD)を包含する。ステップD)は、ステップC)の後に続くことが好ましい。ステップD)は、金属体の熱処理である。熱処理は、金属体の焼戻しまたは焼なましであることが好ましい。それは特に再結晶化焼鈍、これに代えて軟化焼鈍、応力除去焼鈍、焼準、粗粒焼鈍、拡散焼鈍、または溶体化焼鈍である。
【0018】
少なくとも一実施形態では、熱処理時の温度は少なくとも350℃または450℃または600℃または700℃または1050℃である。これに代えて、またはこれに加えて、温度は最大1300℃または900℃または750℃または550℃である。特に、温度は、例えば、それぞれ20℃の許容差を有する500℃または650℃または710℃または800℃または1200℃である。
【0019】
少なくとも一実施形態では、熱処理は、少なくとも1hまたは12hまたは一日または3日または一週間続く。これに代えて、またはこれに加えて、熱処理は最大一カ月または二週間または一週間続く。したがって熱処理は、未加工材を金属体へと成形するのに比べて比較的非常に長く続く。
【0020】
少なくとも一実施形態では、未加工材の成形時に、マーキングは未加工材および/または金属体に大部分または完全に押し込まれる。大部分とは、少なくとも50%または80%または95%の割合を意味し得る。特にマーキングは、成形後に金属体から突き出さない。マーキングは金属体の表面と面一に終端し得る。
【0021】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、未加工材を金属体へと成形するステップの前と、熱処理するステップの後とに可読、特に機械可読である。
【0022】
未加工材を金属体へ成形するステップおよび/または熱処理する場合においてマーキングの少なくとも1つの光学的特性が変化することが可能である。その結果、これらのステップの前および後にマーキングの読み取りが異なったスペクトル領域で行われることになり得る。
【0023】
少なくとも一実施形態では、マーキングは未加工材の両端に取り付けられる。特に、その場合、マーキングは、未加工材および/または金属体である金属板ロールの両端にある。これに代えて、またはこれに加えて、マーキングは、未加工材および/またはマーキングの互いに向かい合う2つの面、特に主要面(Hauptseite)にある。マーキングは、未加工材の両端において両面に付与され、成形後に金属体の対応する箇所にまだあることが好ましい。
【0024】
少なくとも一実施形態では、マーキングは歪んだ状態で(verzerrt)付与される。その際、歪率(Verzerrungsfaktor)は、後に成形が続く場合に厚さ変化率および/または長さ変化率に対応することが好ましい。したがってマーキングは、圧延方向に沿って圧縮して(gestaucht)付与されることが好ましい。これによって、未加工材を金属体へと成形するときに、成形時にマーキングの圧縮(Stauchung)が解消され、成形後にマーキングを問題なく読み取ることができる長さおよび/または厚さに変化させることが可能である。
【0025】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、顔料として少なくとも1つの耐熱性の着色材料を有するか、またはそのような材料の1つまたは複数からなる。耐熱性材料、したがって顔料は、未加工材および工作物とは異なる色の、例えばセラミックスである。例えば、セラミックスは白色、彩色、または黒色であり、粒子の形態であることが好ましい。マーキングの範囲内での高いコントラストを保証するために、異なった色を有するマーキングの複数の部分領域が存在してもよい。発光物質とは異なり、セラミックスは、発光の波長変換するようには設定されていない。セラミックスは、例えば酸化アルミニウムまたはチタン酸アルミニウムベースのセラミックス、ケイ化物セラミックス、珪酸塩セラミックス、窒化物セラミックス、またはカオリンである。
【0026】
少なくとも一実施形態では、マーキングは顔料として1つまたは複数の発光物質を有するか、または1つまたは複数の発光物質からなる。その場合、少なくとも1つの発光物質によって、マーキングと未加工材および工作物との間に反射率の差異が生じる。発光物質の反射の程度は、発光物質がフォトルミネセンスにより放出するスペクトル部分領域において100%を超える。したがって、100%を超える反射率は、発光物質により生成された二次光によって引き起こされる。発光物質は、セラミックスに加えて存在してもよい。
【0027】
発光物質または発光物質混合物は、少なくとも1つの下記の発光物質を含むか、または下記の発光物質からなることが好ましい:
(Ca,Sr)AlSiN:Eu2+、Sr(Ca,Sr)SiAl:Eu2+、(Sr,Ca)AlSiNSiO:Eu2+、(Ca,Ba,Sr)Si:Eu2+、(Sr,Ca)[LiAl]:Eu2+など、Eu2+がドープされた窒化物;(Gd,Lu,Tb,Y)(Al,Ga,D)(O,X)12:RE、但しX=ハロゲン化物、Nまたは2価の元素、D=3価または4価の元素、RE=希土類金属、例えばLu(Al1−xGa12:Ce3+、Y(Al1−xGa12:Ce3+など、一般系のザクロ石;(Ca,Sr,Ba)S:Eu2+など、Eu2+がドープされた硫化物;(Ba,Sr,Ca)Si:Eu2+など、Eu2+がドープされたSiONe;LiLnSi12−(m+n)Al(m+n)O16−nなどの系からのSiAlONe;Si6−xAl8−y:RE系からのβ−SiAlONe;AE2−x−aREEuSiO4−x、AE2−x−aREEuSi1−y4−x−2y、但しRE=希土類金属、AE=アルカリ土類金属など、ニトリド−オルトケイ酸塩;(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu2+などのオルトケイ酸塩;CaMg(SiOCl:Eu2+などのクロロ珪酸塩;(Sr,Ba,Ca,Mg)10(POCl:Eu2+などのクロロリン酸塩;BaMgAl1017:Eu2+などのBaO−MgO−Al系からのBAM発光物質;M(PO(Cl、F):(Eu2+,Sb3+,Mn2+)などのハロリン酸塩;(Sr,Ba,Ca)(POCl:Eu2+などのSCAP発光物質である。発光物質として、特許文献3に記載された発光物質を使用することも可能である。使用される発光物質については、この特許文献3の開示内容が参照により援用される。
【0028】
発光物質は、アップコンバージョン(Up Conversion)とも呼ばれる励起放射の波長を短くするように設定されていてもよく、その場合、例えば赤外光を可視光に変換する。これに代えて、発光物質は、短波光を長波光に変換してもよい。発光物質の励起は、近紫外の、可視の、および/または近赤外のスペクトル領域で行われる。発光物質の読み取りは、可視の、または近紫外のスペクトル領域で行われることが好ましい。
【0029】
発光物質を、特に圧延中および/または後に続く熱処理中の温度によってルミネッセンス特性に変化させることが可能である。これによって、熱処理および/または圧延が適切なプロセスパラメータで行われているかどうかの品質管理も実現することが可能である。
【0030】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、ステップB)において、未加工材に直接付与される。マーキングまたはマーキングのための原料の付与は、例えばスクリーン印刷などのアナログ印刷により、またはインクジェットなどのデジタル印刷により行われる。同様にマーキングまたはマーキングのための原料が吹き付けられてもよいし、または電気泳動または電着などの電圧をかける方法により付与されてもよい。例えば、マーキングまたは原料は、インク特性を有するペーストまたは液体として付与される。同様に、マーキングは、特許文献4に記載されているような、例えば色素粉末などのレーザ書き込みにより付与されてもよい。特許文献4の開示内容は、参照により援用される。
【0031】
少なくとも一実施形態では、マーキングは例えばアクリレートベースの有機マトリックス材料を有する。この有機マトリックス材料により、マーキング、特にマーキングの、発光物質などの着色構成要素が少なくともステップB)において未加工材に固着される。マトリックス材料は、着色構成要素のための一種の接着剤として作用する。有機マトリックス材料は、例えば結合剤、有機溶剤、分散剤、および/または軟化剤を含む。特に、特許文献5に記載されるような燐ペーストの組成が使用される。特許文献5の開示内容は、参照により援用される。
【0032】
無機マトリックス材料を有することと同じことを意味するのであれ、マーキングが顔料と未加工材との付着のための無機付着媒介剤を含む場合、付着媒介剤(Haftvermittler)は、圧延および/または熱処理時に軟化することが好ましい。その際、顔料は、方法が進行している間、軟化しないか、またはほとんど軟化しないことが好ましく、顔料と金属体との結合は、付着媒介剤によって、および/または付着媒介剤の埋込みまたは押込みによっておよびそれに結合した顔料によって達成される。これに代えて、顔料は、圧延中に未加工材に押し込まれることによって独力で金属体に付着する。
【0033】
少なくとも一実施形態では、完成したマーキングは顔料の粒子とマトリックス材料とからなる。この場合、マトリックス材料は、例えば二酸化珪素ベースのガラスなどの無機材料であることが好ましい。
【0034】
マーキングが無機付着媒介剤を含まず、無機固体成分としての顔料のみを含む場合、顔料は、方法が進行している間、軟化しないかまたはその表面しか軟化しないのが好ましく、顔料と金属体との結合は、顔料が金属体の材料に直接結合することによって生じる。少なくとも一実施形態では、ステップC)の後に、ステップE)において、マーキングは、成形済の工作物から、例えば切取りまたは打抜きによって除去される。例えばマーキングは切り取られ、それによりステップE)の間に金属体を短くすることができる。
【0035】
少なくとも一実施形態では、マトリックス材料は、成形時に部分的に破砕され(bricht)。すなわち、圧延時に、マトリックス材料は細かく砕かれ得る。その際、顔料粒子は、無傷のままであることが好ましい。
【0036】
特に、マトリックス材料は顔料粒子より低い硬さを有する。
【0037】
少なくとも一実施形態では、圧延時に細かく砕かれたマトリックス材料は、後に続いて溶かされる。新たに溶かすことによって、顔料粒子を包み込むことが好ましい。その結果、顔料粒子が、後に続く熱処理時に、例えば周囲雰囲気からのガスとの反応から保護される封印が生じる。
【0038】
そのようなマトリックス材料に代えて、顔料粒子がコア・シェル構造(Kern−Schale−Aufbau)を有することが可能である。その際、コアは、マーキングのコントラストを担当し、シェルは、例えばコアの化学的破壊を阻止することが好ましい。
【0039】
少なくとも一実施形態では、顔料粒子は、未加工材、金属体および/または圧延のための圧延工具より高い硬さを有する。顔料粒子の硬さは、未加工材の硬さと圧延工具の硬さとの間であることが好ましい。
【0040】
少なくとも一実施形態では、圧延時に、未加工材の厚さが金属体へと少なくとも1.25倍または1.5倍または2倍または3倍だけ変化する。これに代えて、またはこれに加えて、圧延時に、幅は、最大1.001倍または1.0001倍または1.00001倍だけ変化する。換言すると、未加工材の厚さと、したがって長さとは著しく変化するのに対して、未加工材の幅は一定のままである。したがって、圧延時に未加工材の異方性の成形が行われる。
【0041】
少なくとも一実施形態では、未加工材は、提供時に、および/または金属体は、圧延後に少なくとも100mまたは250mまたは0.5kmの長さを有する。これに代えて、またはこれに加えて、この長さは最大30kmまたは10kmまたは5kmである。
【0042】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、未加工材および/または金属体の全長にわたって付与される。例えば、マーキング領域は、一定間隔で(periodisch)、規則的間隔で付与される。隣り合うマーキング領域間の間隔は例えば少なくとも0.1mまたは0.5mおよび/または最大10mまたは2mである。
【0043】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、上から見たとき、複数の点状の、および島状の部分領域を備えている。部分領域は互いに分離され、マーキングの材料によって互いに結合されていない。部分領域の平均直径は、例えば少なくとも0.5μmまたは1μmおよび/または最大50μmまたは20μmまたは10μmである。この場合、マーキングは、上から見たとき、密度変調状態(Dichtemodulation)であってもよい個々の部分領域によって構成されていることが好ましい。その際、マーキングの平均的大きさは、全体として、部分領域の平均直径の少なくとも20倍または50倍であることが好ましい。
【0044】
例えば、顔料は、金属体の表面において均一の、緊密に詰まった(dichtgepackten)、または略緊密に詰まった、特に単一層の分布(einlagigen Verteilung)で存在する。島形成(eine Inselbildung)がされる場合、マーキング領域にわたって島が均一に分布していることが好ましく、それにより裸眼で、または読み取りシステムで観察したときに島がつながって(zusammenhaengend)いるように見える。
【0045】
少なくとも一実施形態では、マーキングは、1つのつながったマーキング領域または複数のつながったマーキング領域によって形成されている。個々のマーキング領域は、例えばバーコードのバー、ポイントコードまたはマトリックスコードのエレメント、あるいは数字、文字、またはシンボルを示す。マーキングはマーキング領域内で工作物を完全に、すきまなく、かつつながるように覆う。少なくとも1つのマーキング領域の平均的大きさは、マーキングの着色顔料(Farbpigmenten)の平均直径の少なくとも20倍、または50倍であることが好ましい。その際、着色顔料は、例えばセラミックの彩色粒子または発光物質粒子である。
【0046】
さらに、工作物が記載される。工作物は、上述の実施形態のうちの1つまたは複数との関連で記載される方法で製造されている。したがって、方法の特徴は、工作物のためにも開示され、かつ工作物の特徴は、方法のためにも開示される。
【0047】
少なくとも一実施形態において、工作物は、少なくとも250mの長さを有する圧延された金属体と、1つまたは複数の異なった顔料を有するマーキングを特に粒子の形態で備えている。顔料は、少なくとも1つの発光物質によっておよび/または少なくとも1つのセラミックスによって形成されている。金属体に焼戻しおよび/または焼きなましが施される。マーキングは、金属体に完全に押し込まれる。マーキングは、金属体の少なくとも両端において互いに対向する金属体の両面に位置する。マーキングは、金属体に対して近紫外の、可視の、および/または近赤外のスペクトル領域の少なくとも一部において、少なくとも15パーセントポイントの反射率の差異および/または散乱の程度の差異および/またはアルベドの差異を有する。
【0048】
金属体が圧延され、焼き戻しまたは焼きなましが施されることは、例えば、組織構造、表面構造および/または結晶粒度分布をもとにして検出することができる。
【0049】
以下、本明細書中に記載される方法、および本明細書中に記載される工作物について実施例をもとに、図面を参照しながら詳しく説明する。その際、個々の図において同じ要素には同じ参照符号を付す。しかし縮尺どおりには描かれず、むしろ理解しやすくするため個々の要素が誇張して大きく描かれていることもある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的斜視図である。
図1B】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図1C】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的斜視図である。
図1D】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図1E】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図1F】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図1G】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的斜視図である。
図1H】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図2A】本明細書中に記載される工作物の実施例を示す模式的斜視図である。
図2B】本明細書中に記載される工作物の実施例を示す模式的斜視図である。
図3A】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図3B】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図3C】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図3D】本明細書中に記載される工作物の本明細書中に記載される製造方法のステップの実施例を示す模式的断面図である。
図4A】本明細書中に記載される工作物の実施例を示す模式的上面図である。
図4B】本明細書中に記載される工作物の実施例を示す模式的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1において、本明細書中に記載される方法の一実施例が示されている。図1Aによれば、未加工材2としてスラブが置かれている。スラブのおおよその寸法は、例えば1m×5m×0.2mである。スラブは、例えば鉄合金である。
【0052】
これに代えて、図1Bによれば、未加工材2として、英語でコイルと呼ばれるロールが用意される。このロールは、例えば図1Aによるスラブを例えば熱間圧延することにより製造されている。巻回された未加工材2の測定値は、例えば1m×3mm×5kmのオーダーである。
【0053】
図1Cによれば、未加工材2には複数箇所にマーキング3が付与されている。マーキング3は、例えばペースト/インクとして印刷されるか、または吹き付けられる。ペースト/インクは顔料粒子を含み、オプションで溶剤および/または結合剤を含む。溶剤は、後に続く方法ステップにおいて残留物なしに蒸発するように設定されている。オプションの結合剤は、顔料粒子が互いに、または未加工材2に固着するように設定されていることが好ましい。顔料粒子は、例えばセラミック粒子、または発光物質粒子であり、異なる種類の顔料粒子が混合物として付与されてもよい。
【0054】
さらに図1Cにおいて、マーキング3が歪んだ状態で付与され、それによってマーキング3の個々の領域の大きさが未加工材2の幅B沿いより長さL沿いのほうがかなり小さいことが示されている。図1Cの未加工材2は、特に図1Aのスラブまたは図1Bのロールである。
【0055】
図1Dの方法ステップにおいて、未加工材2が金属体11へと圧延される。これはただ1つの圧延ローラとして模式的に示される少なくとも1つの圧延工具4を用いて行われる。圧延によって未加工材2の厚さTが金属体11へと著しく低減され、幅Bはそのまま変わらないか、または略変わらない。さらに、圧延によって長さLが著しく変化する。圧延完了後の金属体11の長さLは、数百mであることが好ましい。
【0056】
圧延によって、さらに顔料粒子、特に発光物質33が金属体11に完全に押し込まれる。その際、顔料粒子は、未加工材2および金属体11より高い硬さを有する。図1Dのステップは熱間圧延または冷間圧延である。
【0057】
図1Eにおいて、金属体11の変化が上面図で示されている。矢印で表される圧延によって、長さLと、したがって長さLに沿うマーク(Markierung)3の個々の領域間の間隔も変化する。これに対して幅Bと平行の方向には工作物11およびマーク(Markierung)11は変化しないか、またはさほど変化しない。図1Eから厚さの変化は見て取れない。
【0058】
図1Fにおいて、完成した工作物1が金属体11およびマーキング3とともに示されている。その際、工作物1は、ロールの形に巻回されてある。金属体11の両端に、および金属体11の両主要面にマーキング3のそれぞれ1つが位置する。これによってロールの簡単な識別が可能になる。
【0059】
さらに、図1Fのステップにおいて、熱処理、特に再結晶焼鈍が行われる。熱処理は、例えば約710℃の温度で、1週間から2週間の期間にわたって行われる。熱処理によってマーキングが破壊されることはない。
【0060】
どのような種類であれ、熱処理、特に焼なましは、例えば空気、N雰囲気、またはH雰囲気などのプロセスガス中で行うことができる。この場合、マーキングが、プロセスガスと反応しない、特に酸化または還元しない顔料を含み、それによりコントラスト変化が起こるならば有利である。このようにして合金形成も不可能になる。例えば、一般に使用される顔料であるTiOはH雰囲気中でTiに還元されるであろうし、それによって灰色になるであろうし、場合によっては金属体と金属間相を形成するだろう。このような反応は、顔料およびプロセスガスの選択によって回避されるべきである。
【0061】
図1Gの図において、図1Dでの圧延によって、工作物11だけでなくマーキング3自体も伸張されたことが見て取れる、図1Cを参照。したがって圧延後にマーキングを良好に読み取ることができる。
【0062】
特に圧延後の熱処理時に、炉内には複数の異なったロールが比較的長い時間にわたって入っている。圧延によって破壊されるか、または高温で破壊される有機ベースのインクによる標識を付与する場合とは異なり、マーキング3によってロールを熱処理後も識別することができるのが事実である。
【0063】
オプションでマーキングを発送前に除去することができ、図1Hを参照、結果としてマーキングのない工作物1’になる。その際、マーキングは、例えば打抜きによって跡かたなしに、かつ残留物なしに除去され、マーキングを有する工作物の部分が切り離される。
【0064】
したがって、特に逆追跡を可能にする目的で、本明細書中に記載される方法により未加工材、半製品、および製品の一意的なマーキングが熱処理の間も可能になる。そうでなければ、他のマーキング法がうまく機能しないような厳しいプロセス条件が設定されることから、いくつかの対象物についてはこのようなマーキングの形成が困難である。そのようなマーキングがなければ、とりわけ製鋼工場や圧延工場においてマーキングの取り違え、またはマーキングの紛失が日常的に起きる。本明細書中に記載されるマーキング方式は、工作物1にマーキング3を永続的に取り付けることを可能にする。それゆえマーキング3の取り違えまたは紛失が生じなくなる。
【0065】
したがって本明細書中に記載される方法の中心思想は、インク、ペースト、またはそれに類するものの形態で、特にコードの印刷によって材料表面に直接塗布されるマーキング3を付与することにある。その際、ペーストまたはインクは、好ましくは硬い、専ら無機顔料、特に好ましくはセラミック顔料、ならびに無機の色素および発光物質を含み、これらは圧延プロセスにより金属表面に永続的に押し付けられるか、または押し込まれる。この場合、材料表面への顔料の付着は、圧延工具を使うより良好である。
【0066】
マーキング3によるコードは、例えばバーコードの1D形式で設けられ、それにより圧延方向にコードを伸張することによってコードの可読性が損なわれることはない。2D形式のコードは、コードの圧延方向の伸張が適切なアスペクト比で行われるように選択されることが好ましい。なぜならマーキング3は、まず、圧延前の未加工材2に圧縮された形態で付与されるからである。面積分率(Flaechenanteil)に関する顔料濃度が低い場合でも、特に顔料がセラミック発光物質であり得ることによって、工作物表面と顔料とのコントラストは高い。それにより圧延時の工作物の伸張とそれに伴う顔料の面積濃度の低下とがコードの非可読性をもたらすことはない。それにより、好ましくは裸眼では見えない低濃度の顔料を最初から付与および印刷することができる。表面における顔料の濃度が低いことによって、工作物の機能に関連する他の特性が変化しないか、またはごくわずかしか変化せず、特に塗装などの後続のプロセスおよび計画された部品の使用に支障が及ばない。そのようなセラミック顔料は熱安定的であるため長時間の熱処理も可能である。
【0067】
図2によれば、マーキングは、マーキング3を金属体11上に連続的に、好ましくは繰り返しパターンとして、例えばバーコードの形態で、またはただ単に点の形態で例えば1mの固定間隔で行われることが好ましい。これによって、特に金属体11をロールからほどいたときに、例えば顔料が客先固有の発光物質顔料の混合物であることよって、ロール全体にわたって真正性の識別が可能である。
【0068】
その際、マーキング3のための個々の領域は、金属体11の主要面に、長手軸線に沿って中心に付与されてもよい、図2Aを参照。同様に、マーキング3の個々の領域が金属体11の縁にあってもよい、図2Bを参照。それにより展開した状態でも金属体11の識別が行われる。
【0069】
図3Aの方法では、未加工材2に顔料粒子、特に発光物質33が付与される。続いて、例えば低融点ガラスなどのマトリックス材料35が付与され、オプションで溶かされる。これによって、顔料粒子33をマトリックス材料35中に埋設することができる。
【0070】
図3Bにおける図示の前に圧延が行われる。それにより、粒子33が金属体11に押し込まれる。この場合、圧延時にマトリックス材料35が部分的に破壊および破砕された。しかし、マトリックス材料35は依然として粒子33を取り囲む。
【0071】
次のステップにおいて、マトリックス材料35がもう一度溶かされ、その結果として粒子33が緊密に封印される、図3Cを参照。オプションで、金属体11の表面の、粒子33のない残りの領域からマトリックス材料35が取り除かれる。
【0072】
これに代えて、セラミックコアまたは発光物質コア33の周りに封印35を有するコア・シェル粒子を使用することが、付与するステップにおいてすでに可能である、図3Dを参照。このコア・シェル構造は、好ましくも圧延時に破壊されない。
【0073】
さらに、顔料粒子自体が熱安定的であり、それによりマトリックス材料または封印を省略できることが可能である。
【0074】
マーキング3の個々の顔料粒子によってグループ化された島状の部分領域38が形成されている、図4Aを参照。グループ化された部分領域38は、マーキング3を、例えばバーコードまたは文字列に構成する。部分領域における個々の顔料粒子は、マーキング3の材料によって互いに結合されない。
【0075】
図4Bにおいて、マーキング3が複数の関連するマーキング領域39によって形成されていることが示されている。マーキング領域39の厚さは、例えば少なくとも0.5μmまたは2μmおよび/または最大10μmまたは25μmであり、これに代えて、またはこれに加えて、金属体11のマーキング領域における顔料粒子の占める程度は、他のすべての実施例でもそうであり得るように、少なくとも5%または10%、ならびに/あるいは最大50%または30%である。
【0076】
図4Bのマーキング領域39において、顔料粒子33は緊密に並んでいるか、または略緊密に詰められており、マトリックス材料35は、つながった層を形成することができる。
【0077】
本明細書中に記載される発明は、実施例をもとにした説明に限定されない。むしろ本発明はあらゆる新たな特徴、および特徴のあらゆる組合せを含み、このことは特に、特徴または組合せ自体が特許請求の範囲または実施例に明示的に記載されていなくても、特許請求の範囲における特徴のあらゆる組合せを含む。
【0078】
本特許出願は、独国特許出願第102016118842.5の優先権を主張し、その開示内容が本明細書中に参照により援用される。
【符号の説明】
【0079】
1 工作物
1’ マーキングが除去された工作物
11 金属体
2 未加工材
3 マーキング
33 発光物質
35 マトリックス材料
38 部分領域
39 マーキング領域
4 圧延工具
B 幅
L 長さ
T 厚さ
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B