特許第6781839号(P6781839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6781839
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】鋳造ノズル
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/06 20060101AFI20201026BHJP
   B22D 11/00 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   B22D11/06 350
   B22D11/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-528619(P2019-528619)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公表番号】特表2019-535528(P2019-535528A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017080429
(87)【国際公開番号】WO2018099834
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年6月3日
(31)【優先権主張番号】102016223720.9
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ベッキング・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フィック・グイード
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−019810(JP,B1)
【文献】 特表2012−519595(JP,A)
【文献】 特開昭54−110931(JP,A)
【文献】 特開昭62−183941(JP,A)
【文献】 特開平04−041053(JP,A)
【文献】 特開昭57−165162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00−11/22
B22D 41/50−41/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属(11)を、無限軌道鋳造機(14)の可動式鋳型(12)内へ給入するための鋳造ノズル(10)であって、
当該鋳造ノズルは、スロット状の流出側(A)を伴う縦長のケーシング体(20)を有し、ケーシング体(20)内に、長手方向(x)に沿って且つ、その幅方向(y)にわたって、複数のオリフィス(22)が形成されていて、これらオリフィスに溶融金属(11)が、流出側(A)の方向において通されることが可能で且つ、そこから、可動式鋳型(12)内に給入可能であって、
ケーシング体(20)が、高さ(z)の方向において、少なくとも2つの部分で形成されていて、且つ少なくとも1つの上部ケース(24)と少なくとも1つの下部ケース(26)を有し、上部ケース(24)と下部ケース(26)が、分離ウェブ(28)によって相互に離間していて、且つ各オリフィス(22)が、分離ウェブ(28)の間で延びる前記鋳造ノズルにおいて、
ケーシング体(20)が、その幅方向(y)において、其々に複数の上部ケース(24)と下部ケース(26)から成り、2つの上部ケース(24)が、相互に隣接する上方結合部(30)で、対向する下部ケース(26)又は、そこに設けられた分離ウェブ(28)が、連続的な領域(31)を有し及び、2つの下部ケース(26)が、相互に隣接する下方結合部(32)で、対向する上部ケース(24)又は、そこに設けられた分離ウェブ(28)が、連続的な領域(33)を有することを特徴とする溶融金属を無限軌道鋳造機の可動式鋳型内に給入するための鋳造ノズル。
【請求項2】
ケーシング体(20)の幅方向(y)において相互に隣接する上部ケース(24)が、少なくとも、それらの辺縁に沿って、其々に1つの分離ウェブ(28)を有し、上部ケース(24)と下部ケース(26)が、共に取り付けられている時、これら分離ウェブ(28)が、上方結合部(30)において、分離ウェブ(28)の脚部範囲(34)でもって、相互に隣接するように、対向する下部ケース(26)上に、又は下部ケース(26)に設けられた分離ウェブ(28)上に着座することを特徴とする請求項1に記載の鋳造ノズル(10)
【請求項3】
ケーシング体(20)の幅方向(y)において、相互に隣接する下部ケース(26)が、少なくとも、その側縁に沿って、其々に、1つの分離ウェブ(28)を有し、これら分離ウェブ(28)は、上部ケース(24)と下部ケース(26)が、共に取り付けられている時、下方結合部(32)において、分離ウェブ(28)の脚部範囲(34)でもって、相互に隣接するように、対向する上部ケース(24)上に、又は上部ケース(24)に設けられた分離ウェブ(28)上に着座することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳造ノズル(10)。
【請求項4】
ケーシング体(20)の全幅(B)が、1000mmを上回ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳造ノズル(10)。
【請求項5】
各分離ウェブ(28)が、ケーシング体(20)の長手方向(x)に完全に沿って延在し、及び各オリフィス(22)が、相互に分離することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋳造ノズル(10)。
【請求項6】
上部ケース(24)と下部ケース(26)が、共に取り付けられている時、分離ウェブ(28)が、完全に上部ケース(24)に、又は完全に下部ケース(26)に形成されていて及び、それらの脚部範囲(34)を伴って、対向するケース(下部ケース(26)又は上部ケース(24))上に着座し及び、そこに固定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳造ノズル(10)。
【請求項7】
上部ケース(24)と下部ケース(26)が、両側で、其々に平らな本体として形成されていて、これらケースが相互に取り付けられている時、分離ウェブ(28)が、別個のエレメントとして設けられていて、上部ケース(24)と下部ケース(26)の間に内設されていて及び、そこに固定されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の鋳造ノズル(10)。
【請求項8】
流出辺(A)に隣接する上部ケース(24)と下部ケース(26)が8〜35mm分、相互に離間するように、分離ウェブ(28)の高さが形成されていて、結果として、鋳造ノズル(10)の生起する鋳造厚さ(D)が、相応して8〜35mmの値を示すことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の鋳造ノズル(10)。
【請求項9】
上部ケース(24)、下部ケース(26)及び分離ウェブ(28)が、耐火性の材料によって、其々に形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋳造ノズル(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念にしたがって、溶融金属を無限軌道鋳造機の可動式鋳型内に給入するための鋳造ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術にしたがって、特にアルミニウム合金の生成のために、水平なブロックキャスターが公知であり、このブロックキャスターは、環回する無限軌道鋳造機の仕様にしたがって機能する。このような鋳造装置は、例えば特許文献1、又は特許文献2によって公知である。この際、鋳造装置の冷却エレメントが、相互に対向して配置された鋳造無限軌道の真っすぐな区間上に、又はローラ間部分上に、可動式鋳型の壁面を形成する。鋳造無限軌道は随時、相互結合された多数の無端冷却ブロックから成り、これら冷却ブロックは、無限軌道の周回軌道に沿って移送される。冷却ブロックは、この目的のために、支持エレメント上に取り付けられていて、これら支持エレメントは、チェーン上に載置され且つ、そうして、チェーンの環のように、柔軟に相互結合されている。
【0003】
溶融金属を、ブロックキャスターの可動の型に給入するためには、例えば欧州特許明細書第0424837号といった先行技術にしたがって、鋳造ノズルが公知であり、これら鋳造ノズルにおいて、縦長のケーシング体が、複数のオリフィスによって貫通されていて、スロット状の流出辺に到り、この流出辺は、可動式鋳型内に向けられている。請求項1の上位概念にしたがう別の標準的鋳造ノズルが、特許文献3によって公知である。
【0004】
先行技術にしたがう上記鋳造ノズルは、約400〜500mmの幅を有することで共通する。相応して、これら鋳造ノズルには、より大きな幅を有する可動式鋳型を用意する際、このような複数のノズルを、並列に接続する必要がある、又は稼働する必要があるという欠点がある。これは、このような鋳造ノズルが、横向きに相互に隣接する領域において、溶融金属の可動式鋳型内への均等な挿入が行われないことに繋がり得、そこから製造された鋳物における品質問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許明細書第1704005号
【特許文献2】国際公開第95/27145号
【特許文献3】独国特許出願公開第2131435号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、つまり溶融金属を可動式鋳型に給入するための鋳造ノズルを創出することであり、この鋳型において、機械的に容易で且つ、確実な手段によって、幅における一層大きな寸法が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する鋳造ノズルによって解決される。本発明の特長的発展様式は、従属請求項中に定義されている。
【0008】
本発明にしたがう鋳造ノズルは、水平なブロックキャスターの可動式鋳型内への、又は無限軌道鋳造機の可動式鋳型内への溶融金属の給入、特に例えばアルミニウム又はアルミニウム合金といった非鉄金属の給入に役立ち且つ、スロット状の流出辺を伴う縦長のケーシング体を有する。ケーシング体内に、その長手方向に沿って且つ、その幅にわたって、複数のオリフィスが、形成されていて、これらオリフィスに、溶融金属が、流出辺の方向において、通されていて且つ、そこから可動式鋳型内に給入され得る。ケーシング体は、高さ方向において、少なくとも2つの部分から形成され且つ、少なくとも1つの上部ケースと少なくとも1つの下部ケースを有する。この際、上部ケースと下部ケースは、取り付けられた状態において、分離ウェブによって相互に離間し、各オリフィスは、分離ウェブ間のケーシング体内において延びる。ケーシング体は、その幅方向において、又は鋳造ノズルの幅方向において、其々に複数の上部ケースと下部ケースから成り、2つの上部ケースが、相互に隣接する上方結合部において、対向する下部ケースが、又はそこに設けられた分離ウェブが、一貫的領域を有する。同じように、2つの下部ケースが、相互に隣接する下方結合部に、対向する上部ケース、又はそこに設けられた分離ウェブが、一貫的領域を有する。
【0009】
本発明には、ケーシング体が、その幅方向において、複数の上部ケースと下部ケースから成り、これら上部ケースと下部ケースが、「突合せ継ぎ目技術」(Stosfugentechnik)の仕様にしたがって、継ぎ合わされているという基本的な認識が根本にある。これは、具体的には上方結合部に、つまり2つの上部ケースが相互に隣接するところで、対向する下部ケース、又はそこに設けられた分離ウェブが、一貫的領域を有することを意味する。同じように、これは、下方結合部に、つまり、2つの下部ケースが相互に隣接するところで、対向している上部ケース、又はそこに設けられた分離ウェブが、同様に一貫する域を有することも意味する。これによって、上記の「突合せ継ぎ目技術」が生起し、したがって、垂直な分割ラインが、相互に隣接する上部ケースと下部ケースの間で形成され、鋳造ノズルの高さ(z−方向)にわたる如何なる位置でも完全には延在しない。これが、幅方向におけるケーシング体の著しい安定性又は剛性に繋がり、及び、これによって既に公知の先行技術に比べて、本発明に係わる鋳造ノズルの全幅の著しい増加を可能にする。本発明に係わる鋳造ノズルのために生起する全幅は、こうして、1000mmを上回り、好ましくは1500mmを上回り、さらに好ましくは2000mmを上回り得る。
【0010】
上に解説された「突合せ継ぎ目技術」の別の利点は、こうして、複数のオリフィスが、同様に形成され、これらオリフィスが、ケーシング体の幅方向に沿って、つまり本発明に係わる鋳造ノズルの全幅にわたって、均等に相互離間していることにある。この「突合せ継ぎ目技術」にしたがって、ケーシング体が、その幅方向において、複数の上部ケースと下部ケースの使用下で形成されている。好ましくは、各オリフィスが、分離ウェブの間で其々に延び、これら分離ウェブを介して、上部ケースと下部ケースが、相互に離間している。こうして、本発明に係る鋳造ノズルの上記の大きな全幅においても、無限軌道鋳造機の可動式鋳型内への溶融金属の均等な挿入が保証されている。
【0011】
本発明の有利な1つの発展形において、各分離ウェブは、完全にケーシング体の長手方向に(x−方向)沿って延在し、これら分離ウェブを介して、ケーシング体の高さ(z−方向)方向に向かって、上部ケースと下部ケースは、相互に離間し且つ、それによって各オリフィスを相互に分離するように設計されていることが可能である。この分離にしたがって、各オリフィスを其々に貫流する溶融金属は、オリフィスから、別の隣接するオリフィスに向かって、横向きに流動し得えない。これによって、調和のとれた且つ、特にスムーズな溶融金属の流動挙動は、ケーシング体内において、ケーシング体の長手方向に沿ってスロット状の流出辺に到達するまで且つ、そうして可動式鋳型内への給入に到るまで保証されている。こうして、本発明は、独国特許出願公開第2131435号にしたがう標準的鋳造ノズルと異なっている。この標準的鋳造ノズルにおいて、このような鋳造ノズルが有する対向するプレート間に配置されている一定のウェブが、この鋳造ノズルの全体の縦広がりに比して、相対的に小さな区間においてのみ形成されている。こうして、この先行技術にしたがう鋳造ノズルにおいて、付属するケーシング体内と、ケーシング体の対向配置されているプレート内で、溶融金属が、流動分割に到り、このことが、溶融金属の流動中の乱流且つ、そうして可動式鋳型内への不均等な給入に繋がり得る。
【0012】
本発明の有利な発展形において、分離ウェブは、上部ケースと下部ケースが共に取り付けられている時、完全に上部ケースに形成されていて且つ、その脚部範囲を伴なって、対向する下部ケース上に着座し且つ、そこに固定されているように設計されている。これに代わって、分離ウェブは、完全に下部ケースに形成されていて、その時、分離ウェブの脚部範囲は、対向している上部ケース上に着座し、且つ鋳造ノズルの取り付けられた状態で、そこに固定されているように設計されていることも可能である。ケースエレメント(上部ケース又は下部ケース)と異なって、このケースエレメントに分離ウェブが、完全に形成されていて、其々に他のケースエレメント(下部ケース又は上部ケース)が、特に両側で、平坦で水平な本体として形成されていて、この本体は、好ましくは平坦な広がりを有する。このような水平な本体の形状におけるケースエレメントは、製造技術的に有利であり、及び特に安価で生成され得る。場合によって、上部ケースと下部ケースは、解説されたように、其々に水平な本体として形成されていて、これらの縦の広がりに沿って、湾曲部も有し得る。
【0013】
本発明の有利な発展形において、両ケースエレメントが、即ち上部ケースと下部ケースが、両側で水平な本体として其々に形成されているように設計されていることが可能である。そうして、この場合のために、分離ウェブが、別個のエレメントとして設けられていて、上部ケースと下部ケースの取り付けの際、その間に内設されていて且つ、上部ケースと下部ケースに固定される。両側が平らな本体として上部ケースと下部ケースを其々に生成することは、作製技術的にも有利であり且つ、より僅かな費用での生成を可能にする。
【0014】
本発明に係わる鋳造ノズルの上記の異形は、複数の上部ケースと複数の下部ケースにも準じて当てはまり、これらケースは、鋳造ノズルの幅に沿って設けられていて且つ、これらケースから、ケーシング体が、その幅方向において成り、これら異形にしたがって、少なくとも1つのケースエレメント(上部ケース又は下部ケース)が、両側が平らな本体として形成されている。これは、上部ケース又は下部ケースが、其々に水平な本体の形でも形成されていることが可能であり、ケーシング体が、その幅方向において、これらケースから形成されていることを意味する。
【0015】
合目的的に、本発明に係わる鋳造ノズルのコンポーネント、つまり上部ケース、下部ケース及び付属する分離ウェブは、其々に耐火性の材料から形成されている。合目的的に、本発明に係わる鋳造ノズルのコンポーネント、つまり上部ケース、下部ケース及び付属する分離ウェブは、其々に耐火性の材料から形成されている。
【0016】
本発明に係わる鋳造ノズルの上記に解説された形状と実施を介して、特にこの鋳造ノズルの複数構造の実施を考慮しつつ且つ、耐火性材料の使用下で、新しい需要への適合が達成される。上記のとおり、本発明に係わる鋳造ノズル内で、流動推移が、各オリフィスによって改良され、これにより、鋳物内の渦流が回避され、且つ場合によって存在する合金エレメントが、特に鋳造ノズルの幅にわたって、より均等に配分され得る。
【0017】
下記において、概略的に簡略化された図面を使って、本発明の有利な実施形態が、詳しく解説されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る鋳造ノズルの側面図
図2】無限軌道鋳造機の可動式鋳型内における図1鋳造ノズルの装入
図3図1鋳造ノズルの上部ケースの斜視図
図4図3矢印A方向にしたがう図1鋳造ノズル流出辺の側面図
図5】取り外された図1鋳造ノズル下部ケースの内部表面俯瞰図
図6図1鋳造ノズル又は図3鋳造ノズルのケーシング体を通る幅Bに沿う断面図
図7図1鋳造ノズル又は図3鋳造ノズルのケーシング体を通る幅Bに沿う断面図
図8図1鋳造ノズル又は図3鋳造ノズルのケーシング体を通る幅Bに沿う断面図
図9図1鋳造ノズル又は図3鋳造ノズルのケーシング体を通る幅Bに沿う断面図
図10図1鋳造ノズルが装入される無限軌道鋳造機の側面図
図11図10無限軌道鋳造機の2つの対向配置された無端周回軌道の側面図
【0019】
図1〜9に関する本発明に係わる鋳造ノズル10の有利な実施形態が、下記に解説されていて、この鋳造ノズルは、溶融金属11を、特に例えばアルミニウム又はアルミニウム合金といった非鉄金属を、無限軌道鋳造機14の可動式鋳型12内へ給入するのに役立つ。図面中における同一の特徴が、同一の参照符号によって其々、記されている。図面は、著しく簡略化され且つ、特に尺度なく示されていることが、ここで特に指摘される。
【0020】
図1は、本発明に係わる鋳造ノズル10の側面図を示し、この鋳造ノズルは、流出辺Eと流出辺Aを伴うケーシング体20を有する。ケーシング体20は、その高さ方向において(図1の垂直方向において)、2つの部分から形成されていて、及びこの際、少なくとも1つの上部ケース24と、少なくとも1つの下部ケース26を有し、これらケースは、分離ウェブ28によって、相互に離間している(例えば図6参照)。この分離ウェブ28の間で、各オリフィスが、流出辺Eから、流出辺Aへ延び、このことは、下記に、より詳細に解説されている。
【0021】
図10は、無限軌道鋳造機14の簡略化された側面図を示し、この無限軌道鋳造機において、本発明に係わる鋳造ノズル10が装入される。無限軌道鋳造機14は、上の無限軌道14.1及び下の無限軌道14.2を有し、これら無限軌道は、其々に、複数の支持エレメント15とそこに固定された冷却ブロック16から形成されている。図11は、2つの案内レール17の側面図を示し、これら案内レールによって、2つの対向配置された無端の周回軌道が、図10の無限軌道鋳造機14のために形成される。この際、各案内レール17に沿って、複数の支持エレメント15は、支持エレメント15の一貫的チェーンが形成されるように、そこに設置された冷却ブロック16と伴に案内されていて、これら複数の支持エレメントは、移送方向Tにおいて、案内レール17に沿って運搬され、又は移送される。上の無限軌道14.1、及び下の無限軌道14.2、及びそこに設置された支持エレメント15の環回は、配設された駆動輪18によって保証される。無限軌道鋳造機14の機能方法の明示のために、図11において、簡略化のために、両案内レール17に、其々に、2つの支持エレメント15のみが、そこに設置された冷却ブロック16と伴に示されている。
【0022】
さらに、図11は、冷却ブロック16間で、鋳型12が、形成され、これら冷却ブロックは、向かい合って、案内レール17の周回軌道Uの真っすぐな区間内に到ることを示す。案内レール17沿う支持エレメント15の移送方向Tを考慮して、この鋳型12において、移動される鋳型のことである。図1の鋳造ノズル10を通して、移動される鋳型12の中へ液状金属を注ぐことによって、鋳物11が生成される。
【0023】
無限軌道鋳造機14における鋳造ノズル10の装入は、図2において、拡大された描写の中で、もう一度示されている。鋳造ノズル10は、それら流出辺Eと伴に、相応しく、溶融タンク13に固定されていて、このタンク内に、溶融金属が収容されている。相応して、溶融金属は、溶融タンク13から、そこに固定された鋳造ノズル10をとおって、鋳造ノズル10の流出辺A(図1参照)への方向に導かれる。
【0024】
図3が、上部ケース24を、斜め右上がりの斜視図において示している。この中で、鋳造ノズル10の比較的大きな全幅Bが認められ、この全幅は、ケーシング体20の長手方向xにおける鋳造ノズルの長さよりもいずれにしても大きい。すでに解説されたように、-画像領域中の右に示された-流出辺Aが形成されていて、この流出辺は、具体的には、スロット状の、薄い、矩形の開口の形状で形成されている。これによって、無限軌道鋳造機14の可動式鋳型12への溶融金属の均等な挿入が、著しい幅にわたっても可能である。
【0025】
鋳造ノズル10のケーシング体20は、複数の上部ケース24と複数の下部ケース26から形成されていて、これらケースは、ケーシング体20の高さ(z−方向)の方向において、分離ウェブ28(図6〜9参照)によって相互に離間して、位置付けられている。
【0026】
図4は、つまり図3矢印A方向にしたがう鋳造ノズル10の側面図を示している。この際、ケーシング体20が、その幅方向(y−方向)において、複数の上部ケース24と複数の下部ケース26から其々に成ることが認められる。この際、本発明の基本的特徴は、上部ケース24と下部ケース26が、ケーシング体20の幅方向yに向かって、其々に、横向きに重層し、及び「突合せ継ぎ目技術」の仕様にしたがって配置されていることにある。これは、つまり2つの上部ケース24が、相互隣接する位置である上方結合部30(図4参照)で、対向する下部ケース26が、一貫的領域31を有することを意味する。同じように、2つの下部ケース26が、下方結合部32で相互隣接して対向する上部ケース24が、一貫的領域33を有する。これは、相互に隣接する上部ケース24の間における、又は下部ケース26の間における上方結合部30で及び、下方結合部32で、垂直な分割ラインが生じて、つまりz−方向におけるケーシング体20の全体の高さにわたっては延在しないという結果に繋がっている。この結果において、ケーシング体20は、その幅方向yにおける安定性が、又は剛性が最適化されていていることで、鋳造ノズル10のための一層大きな全幅B(図3参照)が可能にされる。
【0027】
図4の見方に関して、ここでも、図3矢印A方向にしたがう端面図の単に部分図に関連し得ることが指摘され得る。この場合において、鋳造ノズル10の発生する全幅Bは、ケーシング体20のための図4で、幅方向yにおいて示されている領域を上回る。ケーシング体20は、こと時、つまり幅方向yにおいて、2つの上部ケース24と2つの下部ケース26を、随時に上回って、例えば3つ以上のこのようなケースエレメントから成り、全幅が、解説のように、図4に示された幅を上回る。
【0028】
既に上に記載されたオリフィスは、ケーシング体20内で、単数又は複数の上部ケース24と下部ケース26の間に形成されていて、図4の参照符号「22」によって其々が記されている。これら各オリフィス22は、其々に鋳造ノズル10の流出辺A内に到達し、ケーシング体20の幅方向yに沿って均等に相互離間していている時、可動式鋳型12内への溶融金属の均等な流動挿入のために有利である。
【0029】
図5は、鋳造ノズル10の取り外された状態における下部ケース26の俯瞰図を示し、即ち、鋳造ノズル10の取り付けられた状態における上部ケース24に対向配置されている側面の俯瞰図である。換言すれば、図5は下部ケース26の内部表面の俯瞰図である。下部ケース26の表面に、複数の分離ウェブ28が、形成されていていることが認められ、これら分離ウェブは、ケーシング体20の縦軸xに沿って延びる。上部ケース24と下部ケース26が共に取り付けられている場合、この両ケース24,26の相互離間は、この分離ウェブ28の高さによって、垂直方向(z−方向,図4参照)に画定され、各オリフィス22は、これら分離ウェブ28の間で、つまり鋳造ノズル10の長手方向xの向きに延びる。図5は、各々のオリフィス22が、其々に鋳造ノズル10の流出辺A内に到達することを示す。
【0030】
鋳造ノズル10の取り付けられた状態で、上部ケース24と下部ケース26は、例えば相互に螺合されていることが可能であり、これらケースは、z−方向において、それらの各々の分離ウェブ28によって相互に重置している。この目的のために、ネジが装入され得、これらネジは、z−方向において、上部ケース24と下部ケース26とこの間に設けられた分離ウェブ28を貫通し、及び、これらネジは其々が、図5において、小さな円によって、分離ウェブ28に沿って記されている。
【0031】
図6〜9に関わり、本発明に係わる鋳造ノズル10の様々な実施形態が、下記に解説されていて、これら鋳造ノズルは、分離ウェブ28の発展形に関して異なっている。図6〜9における描写は、鋳造ノズル幅Bに沿う、又はケーシング体20の幅方向yに沿うケーシング体20の断面図を其々示している。
【0032】
図6の実施形態にしたがって、上部ケース24と下部ケース26は共に、其々が分離ウェブ28を有する。これは、図5の俯瞰図にしたがう描写に相応する。この際、分離ウェブ28は、上部ケース24で又は、下部ケース26で、ケーシング体20の幅方向yに向かって、これらケースの辺縁に沿って及び、その真中の領域において形成されている。鋳造ノズル10の取り付けられた状態において、その時、固有の脚部範囲34を伴う分離ウェブ28は、2つの上部ケース24又は2つの下部ケース26が、分離ウェブ28において相互隣接する結合部30,32において着座し、これら分離ウェブは、対向する下部ケース26又は上部ケース24に設けられている。この点で、図6における描写は、図4の描写に相応し、及び相互隣接する上部ケース又は下部ケースの間で、垂直な分割ラインが、結合部30,32にあって、ケーシング体20の高さにわたって完全には、又はz−方向にわたって完全には延在しないことを示す。図6の描写は、各分離ウェブ28が、上部ケース24と下部ケース26其々に形成されていて、鋳造ノズル10が取り付けられた状態で、対向して配置されていて、且つ相互に整合し、結果として、各オリフィス22が、これら分離ウェブ28の間で延びることを、さらに示している。
【0033】
図7は、鋳造ノズル10のために改変された実施形態を示し、この実施形態において、分離ウェブ28は、完全に上部ケース24に形成されている。これと異なって、各下部ケース26は、水平な本体として形成されている。これとは別に、上方結合部30において、分離ウェブ28が、脚部範囲34によって、対向する下部ケース26の一貫的領域31上に着座することに変わりなく、これら分離ウェブは、相互隣接する上部ケース24の辺縁において、其々に形成されている。同じように、2つの相互隣接する下部ケース26は、下方結合部32において、そこに対向しつつ配置された上部ケース24の分離ウェブ28の一貫的領域33に接触している。
【0034】
鋳造ノズル10の別の実施形態が、図8に示されていて、この実施形態は、図7の実施形態の運動学的反転に相応する。これは、図8の実施形態において、分離ウェブ28が、下部ケース26において、すでに其々、形成されていて、上部ケース24が、水平な本体として、其々に形成されていることを意味する。該当する上部ケース24を、又は該当する下部ケース26を上方結合部30と下方結合部32に接合することは、準じて図7の実施形態に相応し、結果として、重複を回避するために、それらの解説が指摘され得る。
【0035】
図6〜8にしたがう実施形態に関して、各分離ウェブ28が、其々の上部ケース24と下部ケース26と一体形成されていることが指摘され得る。こうして、これら上部ケースと下部ケースは、単一部品から成る分離ウェブと結合して、及び例えばフライス加工等によって生成され得る。相応して、上部ケースと下部ケースに分離ウェブを別個に固定する必要はない。
【0036】
鋳造ノズル10のさらに別の実施形態が、図9において示されている。この際、全ての上部ケース24と下部ケース26は、平坦で水平な本体として、其々に形成されていて、ケーシング体20は、幅方向yにおいて、これらケースから形成されている。この際、各分離ウェブ28が、別個のエレメントとして其々に形成されていて、これら各分離ウェブは、鋳造ノズル10が取り付けられた状態で、上部ケース24と下部ケース26の間に設けられている。鋳造ノズル10が取り付けられた状態において、この別個の分離ウェブ28は、解説されたように、例えば図5において小さな円として記されているネジの使用によって、上部ケース24と下部ケース26に固定されていることが可能である。この異形においても、これは、ケーシング体20の幅方向yに沿って設けられている複数の上部ケース24と下部ケース26に関して、解説された「突合せ継ぎ目技術」の原則にあることに変わりなく、したがって、上方結合部30における2つの相互隣接する上部ケースの辺縁が、対向する下部ケース26の一貫的領域31と整合されている。2つの下部ケース26の辺縁に関して、同じ原則が通用し、これら辺縁は、下方結合部32において相互に隣接する。この際、下部ケースは、対向する上部ケース24の一貫的領域33と整合されている。
【0037】
遂には、z−方向における下部ケース26からの上部ケース24の離間及び、それによって生起する鋳造ノズル10(図4参照)の鋳造厚さDが、分離ウェブ28の高さによって画定されることが指摘され得る。本発明に係わる鋳造ノズル10によって、比較的小さな鋳造厚さDが、例えば8〜35mmの値によって実現される。
【符号の説明】
【0038】
10 鋳造ノズル
11 溶融金属又は鋳物
12 鋳型
13 溶融タンク
14 無限軌道鋳造機
14.1 上の無限軌道
14.2 下の無限軌道
15 支持エレメント
16 冷却ブロック
17 案内レール
18 駆動輪
20 ケーシング体
22 (ケーシング体20内の)オリフィス
24 上部ケース
26 下部ケース
28 (単数又は複数の)分離ウェブ
30 上方結合部
31 上部ケース24の(における)一貫的領域
32 下方結合部
33 下部ケース26の(における)一貫的領域
34 (分離ウェブの)脚部範囲
A (鋳造ノズル10の)流出辺
B (ケーシング体20の)幅
D 鋳造厚さ
E (鋳造ノズル10の)流出辺
T (案内レール16に沿う支持エレメント18の)移送方向
U (案内レール17の)周回軌道
x (ケーシング体20の)長手方向
y (ケーシング体20の)幅方向
z (鋳造ノズル10の、又はケーシング体20の)高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11