特許第6781858号(P6781858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6781858
(24)【登録日】2020年10月20日
(45)【発行日】2020年11月4日
(54)【発明の名称】ジフルオロメチルオルニチンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 249/02 20060101AFI20201026BHJP
   C07C 251/24 20060101ALI20201026BHJP
   C07C 253/30 20060101ALI20201026BHJP
   C07C 255/50 20060101ALI20201026BHJP
   C07C 227/18 20060101ALI20201026BHJP
   C07C 229/26 20060101ALI20201026BHJP
【FI】
   C07C249/02
   C07C251/24CSP
   C07C253/30
   C07C255/50
   C07C227/18
   C07C229/26
【請求項の数】16
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-501496(P2020-501496)
(86)(22)【出願日】2018年9月24日
(86)【国際出願番号】EP2018075724
(87)【国際公開番号】WO2019057951
(87)【国際公開日】20190328
【審査請求日】2020年3月26日
(31)【優先権主張番号】17192830.2
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/562,546
(32)【優先日】2017年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】18151701.2
(32)【優先日】2018年1月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】18194996.7
(32)【優先日】2018年9月18日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・グートマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ベルジエ
(72)【発明者】
【氏名】パウル・ハンゼルマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・オリヴェル・カッペ
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・ケッキンガー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ホーン
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4330559(US,A)
【文献】 米国特許第4413141(US,A)
【文献】 米国特許第6998502(US,B1)
【文献】 Green Chemistry,2017年10月30日,20,108−112
【文献】 Org. Process Res. Dev.,2018年10月29日,22,1553−1563
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 249/02
C07C 227/18
C07C 229/26
C07C 251/24
C07C 253/30
C07C 255/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】
の化合物の製造方法であって、式(I)
【化2】
の化合物をリチウムビス(トリメチルシリル)アミドの存在下でCHFと反応させる反応REAC1を含み、
ここで、R1はC1−4アルキルまたはベンジルであり;
R2およびR3は同一または異なり、H、C1−4アルコキシ、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、OHおよびC1−4アルキルからなる群から選択される、
前記方法。
【請求項2】
R1がメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチルまたはベンジルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R2およびR3がH、C1−4アルコキシ、F、Cl、Br、CN、CFおよびC1−4アルキルからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
REAC1が溶媒SOLV1中で行われ、SOLV1がリチウムビス(トリメチルシリル)アミドと適合性の溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
REAC1が連続的に行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物が、式(V)の化合物を式(IV)の化合物と反応させる反応REAC0により製造され;ここでR1、R2およびR3は請求項1で定義されている通りである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【化3】
【請求項7】
REAC0が塩基BASE0の存在下で行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
BASE0が(C1−4アルキル)アミンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
REAC0が溶媒SOLV0中で行われる、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
SOLV0がクロロホルムまたはジクロロメタンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(3)
【化4】
の化合物の製造方法であって、REAC1および式(II)の化合物の脱保護を含み;ここで、REAC1および式(II)の化合物は請求項1に定義されている通りである、
前記方法。
【請求項12】
脱保護が水の存在下で酸を用いて行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
脱保護に使用される酸がACID2であり、ACID2がHCl、HSOまたは酢酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
脱保護が連続的に行われる、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
REAC1および脱保護が両方とも連続的に逐次的に行われる、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
式(2−4−Cl)の化合物、式(2−4−Br)の化合物および式(2−4−CF)の化合物。
【化5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CHFおよびLiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド)を用いたジベンザルジイミン(dibenzaldimine)オルニチンエステルのジフルオロメチル化による、保護されたジフルオロメチルオルニチンの製造方法を開示し、これはその後の酸性条件下水の存在下での脱保護により脱保護されたジフルオロメチルオルニチンオルニチンの塩に変換することができる。
【背景技術】
【0002】
ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)またはエフロルニチンとも呼ばれる2−ジフルオロメチル−2,5−ジアミノペンタン酸は、有機体においてポリアミン生成に関与する酵素であるオルニチンデカルボキシラーゼの阻害剤である。エフロルニチンは、睡眠病であるアフリカトリパノソーマ症を治療するのに使用される薬剤である。
【0003】
特許文献1は、実施例5で、その場でリチウムジイソプロピルアミドを提供するブチルリチウムおよびジイソプロピルアミンを用いたオルニチンジベンザルジイミンメチルエステルの脱プロトン化、およびそれに続くクロロジフルオロメタン(HCFC−22またはR−22)との反応によるその塩酸塩一水和物の形態のDFMOの製造を開示しており;その塩酸塩一水和物の形態のDFMOは水性HClによる脱保護および加水分解後に提供される。報告された反応時間はクロロジフルオロメタンとの反応に対して3時間、そして12N HClによる脱保護に対して16時間である。収率は37%であった。
【0004】
特許文献2は、実施例3で、その場でリチウムジイソプロピルアミドを提供するブチルリチウムおよびジイソプロピルアミンを用いたジベンジリデンオルニチンメチルエステルの脱プロトン化、およびそれに続くクロロジフルオロメタン(HCFC−22またはR−22)との反応によるその塩酸塩一水和物の形態のDFMOの製造を開示しており;DFMOの塩酸塩一水和物の形態は水性HClによる脱保護および加水分解の後に提供される。報告された反応時間はクロロジフルオロメタンとの反応に対して3時間、そして12N HClによる脱保護に対して16時間である。収率は40%であった。
【0005】
非特許文献1は、例9bで、リチウムジイソプロピルアミドを用いたオルニチンジベンザルジイミンメチルエステルの脱プロトン化と、それに続くクロロジフルオロメタン(HCFC−22またはR−22)との反応による2−(ジフルオロメチル)−2,5−ビス(ベンジリデンアミノ)ペンタン酸メチルの製造を開示している。
【0006】
R−22はそのもはや許容できないオゾン破壊係数が知られており、この理由からR−22はモントリオール議定書で規制され、EUおよびUSで廃止されようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,330,559号
【特許文献2】米国特許第4,413,141号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Philippe Beyら、J.Org.Chem.、1979年、44、2732−2742
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
モントリオール議定書に該当する物質を必要とせず、高い収率を有するDFMOの製造方法を見出す必要があった。
【0010】
この必要性はモントリオール議定書により規制されないCHFを用いる方法により満たされる。この方法は米国特許第4,330,559号または米国特許第4,413,141号に開示されている収率と比較して70%超、更には80%超より高い収率を示し、反応時間はかなり低減する。CHFはR−22と異なる反応性を有し、米国特許第4,330,559号の実施例5、米国特許第4,413,141号の実施例3またはPhilippe Beyら、J.Org.Chem.、1979年、44、2732−2742の例9bの反応条件下で反応しない。従って、CHFはR−22と異なる反応条件を必要とし、その結果本発明の方法は開示されている方法と異なるものとなった。
【0011】
特に断らなければ次の省略形を使用する:
DFMO ジフルオロメチルオルニチン、エフロルニチン、MW 182g/mol、式(3)の化合物
HCFC−22 クロロジフルオロメタン
LiHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
Me−THF 2−メチルテトラヒドロフラン
R−22 クロロジフルオロメタン
RT 室温
THF テトラヒドロフラン
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主題は、式(II)
【化1】
の化合物の製造方法であって、式(I)
【化2】
の化合物をLiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド)の存在下でCHFと反応させる反応REAC1を含み;
ここで、R1はC1−4アルキルまたはベンジルであり;
R2およびR3は同一または異なり、H、C1−4アルコキシ、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、OHおよびC1−4アルキルからなる群から選択される、
方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】式(II)の化合物を連続的に製造するのに使用することができる代表的な反応器セットアップを示す図である。
図2】式(3)の化合物を連続的に製造するのに使用することができる代表的な反応器セットアップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましくは、式(I)の化合物は式(I−CHIR)
【化3】
の化合物であり、ここで、R1、R2およびR3は本明細書で定義されている通りであり、またその全ての実施形態を含む。
【0015】
好ましくは、R1はメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチルまたはベンジルであり;
より好ましくは、R1はメチルまたはエチルであり;
更により好ましくは、R1はメチルである。
【0016】
好ましくは、R2およびR3はH、C1−4アルコキシ、F、Cl、Br、CN、CFおよびC1−4アルキルからなる群から選択され;
より好ましくは、R2およびR3はH、メトキシ、エトキシ、Cl、Br、CN、CF、メチルおよびエチルからなる群から選択され;
更により好ましくは、R2およびR3はH、メトキシ、Cl、Br、CN、CFおよびメチルからなる群から選択され;
殊に、R2およびR3はH、Cl、Br、またはCFであり;
より殊に、R2およびR3はHまたはClである。
【0017】
好ましくは、R2およびR3は同一であるか、または少なくともR3はHである。
【0018】
好ましくは、R2はパラ位にあり;
より好ましくは、R2はパラ位にあり、R3はHである。
1つの実施形態において、R2およびR3はHである。
別の実施形態において、R2またはR3の少なくとも1つはHではない。
【0019】
式(II)の化合物の特定の実施形態は式(II−H)の化合物、式(II−3−OMe)の化合物、式(II−4−OMe)の化合物、式(II−3−Cl)の化合物、式(II−4−Cl)の化合物、式(II−2−3−Cl)の化合物、式(II−4−CN)の化合物、式(II−4−Br)の化合物、式(II−4−CF)の化合物および式(II−4−Me)の化合物;
より特定的には式(II−H)の化合物、式(II−4−Cl)の化合物、式(II−4−Br)の化合物および式(II−4−CF)の化合物;
更により特定的には式(II−H)の化合物および式(II−4−Cl)の化合物からなる群から選択され;
R1は本明細書で定義されている通りであり、またその全ての実施形態を含み、好ましくはR1はメチルである。
【0020】
【化4】
【化5】
【化6】
【0021】
式(I)の化合物の特定の実施形態は式(I−H)の化合物、式(I−3−OMe)の化合物、式(I−4−OMe)の化合物、式(I−3−Cl)の化合物、式(I−4−Cl)の化合物、式(I−2−3−Cl)の化合物、式(I−4−CN)の化合物、式(I−4−Br)の化合物、式(I−4−CF)の化合物および式(I−4−Me)の化合物;
より特定的には式(I−H)の化合物、式(I−4−Cl)の化合物、式(I−4−Br)の化合物および式(I−4−CF)の化合物;
更により特定的には式(I−H)の化合物および式(I−4−Cl)の化合物からなる群から選択され;
R1は本明細書で定義されている通りであり、またその全ての実施形態を含み、好ましくはR1はメチルである。
【0022】
【化7】
【化8】
【化9】
【0023】
式(II)の化合物の具体的な実施形態は式(2−H)の化合物、式(2−4−Cl)の化合物、式(2−4−Br)の化合物および式(2−4−CF)の化合物;
好ましくは、式(2−H)の化合物および式(2−4−Cl)の化合物である。
【0024】
【化10】
【0025】
式(I)の化合物の具体的な実施形態は式(1−H)の化合物、式(1−4−Cl)の化合物、式(1−4−Br)の化合物および式(1−4−CF)の化合物;
好ましくは、式(1−H)の化合物および式(1−4−Cl)の化合物である。
【0026】
【化11】
【0027】
好ましくは、式(I)の化合物のいずれも、カルボキシ残基に隣接するアルファC原子が式(I−CHIR)の化合物のカルボキシ残基に隣接するアルファC原子と類似の立体化学を有する。
【0028】
好ましくは、REAC1におけるCHFのモル量は式(I)の化合物のモル量の1〜20倍、より好ましくは1.5〜15倍、更により好ましくは2〜15倍である。
【0029】
別の実施形態において、REAC1におけるCHFのモル量は式(I)の化合物のモル量の1〜20倍、より好ましくは1〜15倍、更により好ましくは1〜10倍、殊に1〜5倍、より殊に1〜3.5倍、更により殊に1〜2倍、特に1〜1.5倍、より特定的には1〜1.2倍、更により特定的には1〜1.1倍である。
【0030】
好ましくは、REAC1におけるLiHMDSのモル量は式(I)の化合物のモル量の1〜20倍、より好ましくは1.5〜15倍、更により好ましくは1.75〜10倍、殊に1.75〜5倍である。
【0031】
REAC1は溶媒SOLV1中で行うことができ、SOLV1はLiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド)と適合性の溶媒であり、適合性とはLiMHDSと反応しない、即ちLiHMDSに対して不活性であることを意味し;
好ましくは、SOLV1はTHF、ジオキサン、メチル−THFおよびトルエンからなる群から選択され;より好ましくはSOLV1はTHFまたはメチル−THFであり、更により好ましくはSOLV1はメチル−THFである。
好ましくは、メチル−THFは2−メチル−THFである。
好ましくは、REAC1におけるSOLV1の重量は式(I)の化合物の重量の1〜100倍、より好ましくは2〜50倍、更により好ましくは3〜30倍、殊に4〜20倍、より殊に4〜15倍である。
【0032】
好ましくは、REAC1の反応温度は−70〜100℃、より好ましくは−50〜80℃、更により好ましくは−30〜60℃、殊に−20〜50℃、より殊に−20〜40℃である。
【0033】
好ましくは、REAC1の反応時間は1分〜1時間、より好ましくは2分〜45分、更により好ましくは3分〜30分である。
【0034】
REAC1が行われる圧力は、単に、REAC1が行われる選ばれた反応温度における反応混合物の蒸気圧であることができる。REAC1はまた昇圧下で行うこともでき、これは窒素もしくはアルゴンのような不活性ガスを使用することにより、またはそれぞれの圧力でCHFを仕込むことにより適用することができる。連続反応設定の場合、昇圧は背圧調整装置に抗して反応物質を供給することによって実現することもでき、または昇圧はこれらの手段の組合せによって実現することができる。
【0035】
適切な背圧調整装置は当業者に公知であり、例えばSwagelok Company(Solon,Ohio,US)またはZaiput Flow Technologies(Scottsdale,Arizona,US)のような会社から市販されている。小さいデッドボリューム、正確な圧力制御および詰まることなく滑らかな流れを確実にするのに十分大きいチャンネル幅を有する背圧調整装置であるべきである。
【0036】
好ましくは、REAC1は大気圧または昇圧下で、例えば大気圧〜500バールで行われ;より好ましくは、REAC1は2バール〜500バール、更により好ましくは3バール〜250バール、殊に5バール〜100バールの圧力で行われる。
【0037】
好ましくは、REAC1は連続的に行われる。式(I)の化合物、LiHMDSおよびCHFはそれぞれの連続的に作動する混合装置MIXDEVを通してそれぞれの供給口にポンプで供給することができ、好ましくはこのポンプによる供給はMIXDEV内の圧力を一定のレベルに保つ背圧調整装置に抗して行われる。
【0038】
好ましくは、式(I)の化合物をLiHMDSと混合し、この混合にも連続的に作動する混合装置を使用することができ、次いでこの混合物を、好ましくはMIXDEV内で、CHFと混合した後REAC1を行う。
【0039】
MIXDEVは、流体を混合するかまたは反応条件下でCHFが気体状態である場合流体を気体と混合するのに使用することができるあらゆる適切な装置または設備であることができ;共通分岐継手、例えばTもしくはYピース、静的混合装置または微小反応器のような適切な装置または設備は当技術分野で公知であり、好ましくはMIXDEVは静的混合装置または微小反応器である。
【0040】
静的混合装置、例えば静的ミキサーは十分に確立されており、化学プロセス技術のあらゆる分野に広く普及している。特徴として、静的混合装置の場合、動力学的混合装置と対照的に、混合される媒質のみが動く。液体または気体がポンプエネルギーのみで混合され、一方静的混合装置内の幾何学的に強く定義された混合エレメントは適所に留まる。Fluitec(Seuzachstrasse,8413 Neftenbach,Switzerland)、またはSulzer Ltd(Neuwiesenstrasse 15,8401 Winterthur,Switzerland)のような会社はとりわけかかる静的混合装置の周知の供給業者である。
【0041】
微小構造反応器とも呼ばれる微小反応器は、典型的な横寸法が1mm未満の閉じ込め空間内で化学反応が行われる装置であり;かかる閉じ込め空間の最も代表的な形態はマイクロチャンネルである。微小反応器は連続流反応器である。それらは実験室、パイロットおよび生産規模に満足に適用されている。例えば、Fraunhofer Institute for Chemical Technology ICT(Joseph−von−Fraunhofer Strasse 7,76327 Pfinztal,Germany)はかかる微小反応器を開発し、提供している。
【0042】
好ましくは、静的混合装置は、反応混合物の流れに対して障害物を提供する手段を含有し、それにより成分の混合を達成する管またはプレートの形態を有する。
【0043】
好ましくは、微小反応器は、成分の混合を達成するように配置されたマイクロチャンネルを含有する。
【0044】
MIXDEVの幾何学、成分の流れの速さおよび結果として生じる反応混合物がMIXDEV内にある滞留時間に応じて、MIXDEVを出て行く反応混合物はその混合後に追加の滞留時間を提供する管のようなさらなる装置を通過することができ、それによりREAC1が起きることができる追加の滞留時間、すなわち追加の反応時間を実現することができる。
【0045】
REAC1後、式(II)の化合物は、それ自体が当業者に公知である、揮発性成分の蒸発、好ましくは減圧下での蒸留、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、クロマトグラフィーおよびこれらの任意の組合せのような標準的な方法によって単離することができる。
【0046】
好ましくは、式(I)の化合物は、式(V)の化合物を式(IV)の化合物と反応させる反応REAC0によって製造され;ここで、R1、R2およびR3は本明細書で定義されている通りであり、またその全ての実施形態を含む。
【化12】
【0047】
好ましくは、式(V)の化合物はオルニチンのそれぞれのエステルである。
【0048】
好ましくは、式(V)の化合物はその二塩酸塩の形態で使用される。
【0049】
好ましくは、REAC0における式(IV)の化合物のモル量は式(V)の化合物のモル量の2〜10倍、より好ましくは2〜5倍、更により好ましくは2〜4倍、殊に2〜3倍である。
【0050】
好ましくは、REAC0は塩基BASE0の存在下で行われ;BASE0は好ましくは(C1−4アルキル)アミンであり、より好ましくはBASE0はトリエチルアミンである。
【0051】
好ましくは、REAC0におけるBASE0のモル量は式(V)の化合物のモル量の2〜5倍、より好ましくは2〜4倍、更により好ましくは2〜3倍である。
【0052】
より好ましくは、式(V)の化合物はその二塩酸塩の形態で使用され、REAC0はBASE0の存在下で行われる。
【0053】
REAC0は溶媒SOLV0中で行うことができ;
好ましくは、SOLV0はクロロホルムまたはジクロロメタンであり、より好ましくはSOLV0はジクロロメタンである。
【0054】
好ましくは、REAC0におけるSOLV0の重量は式(V)の化合物の重量の4〜100倍、より好ましくは5〜50倍、更により好ましくは5〜40倍である。
【0055】
好ましくは、REAC0の反応温度は−10〜50℃、より好ましくは−5〜40℃、更により好ましくは−5〜30℃である。
【0056】
好ましくは、REAC0の反応時間TIME0は1〜48時間、より好ましくは5〜24時間、更により好ましくは10〜24時間である。
【0057】
好ましくは、REAC0は大気圧下で行われる。
【0058】
好ましくは、REAC0は窒素またはアルゴン雰囲気のような不活性雰囲気下で行われる。
【0059】
好ましくは、REAC0がBASE0の存在下で行われるとき、BASE0は式(IV)の化合物と式(V)の化合物の混合物と混合される。
【0060】
より好ましくは、式(IV)の化合物および式(V)の化合物の混合物とBASE0との前記混合は混合時間MIXTIME0内に行われ、MIXTIME0は1分〜5時間、より好ましくは5分〜2.5時間、更により好ましくは5分〜2時間である。
【0061】
別の実施形態において、MIXTIME0は45分〜5時間、より好ましくは45分〜2.5時間、更により好ましくは45分〜2時間、殊に45分〜1.5時間である。
【0062】
好ましくは、MIXTIME0はTIME0の一部であり;より好ましくは、前記混合はTIME0の初めに行われる。
【0063】
好ましくは、前記混合中、すなわちMIXTIME0中の反応温度は−10〜5℃、より好ましくは−5〜5℃、更により好ましくは−5〜2℃、殊に−2〜1℃であり;より好ましくは、MIXTIME0後、すなわち残りのTIME0の間、反応温度は室温に上げられる。
【0064】
本発明によるREAC0は低含量の式(LACT)の化合物を提供し、ここでR2およびR3は本明細書で定義されている通りであり、またその全ての好ましい実施形態を含む。
【化13】
【0065】
好ましくは、式(LACT)の化合物はREAC1に対して要望通り置換され;式(LACT)の化合物の実施形態は式(LACT−4−H)の化合物および式(LACT−4−Cl)の化合物である。
【化14】
【0066】
REAC0の後、式(I)の化合物は溶媒の蒸発、REAC0中に生成したBASE0の塩の除去、好ましくは沈殿およびろ過による前記除去、真空中での生成物の濃縮、結晶化のような当業者に公知の標準的な方法によって単離することができる。
【0067】
式(II)の化合物は式(II)の化合物の脱保護によって;
好ましくは水の存在下における酸による式(II)の化合物の脱保護によって式(3)の化合物に変換することができる。
【0068】
従って、本発明のさらなる主題は、REAC1および式(II)の化合物の脱保護を含む式(3)
【化15】
の化合物の製造方法であり;ここで、REAC1および式(II)の化合物は本明細書で定義されている通りであり、またその全ての実施形態を含む。
【0069】
好ましくは、脱保護は水の存在下で酸を用いて行われ;
好ましくは、脱保護に使用される酸はACID2であり、ACID2はHCl、HSOまたは酢酸であり;
より好ましくは、ACID2はHClである。
【0070】
式(3)の化合物は、式(III−1ACID2)の化合物、式(III−2ACID2)の化合物、特に式(3−1HCl)の化合物、式(3−2HCl)の化合物のような、1または2当量のACID2との塩として得られる。
【化16】
【0071】
式(3)の化合物、式(III−1ACID2)の化合物および式(III−2ACID2)の化合物はまた、例えば一水和物または二水和物として、例えば式(3−1HCl−1H2O)の一塩酸塩一水和物化合物として、といったように水和物として結晶化することもできる。
【化17】
【0072】
好ましくは、脱保護された式(II)の化合物がREAC1によって製造されている。
【0073】
式(II)の化合物は3つの保護残基、すなわちエステル残基および2つのベンジリデン残基により保護されている。これら3つの保護残基の脱保護による除去は2つまたは3つの逐次的な脱保護反応で逐次的に行うことができ、保護基の逐次的な除去に対する一例はR1がベンジルであり、R2およびR3がベンジリデン残基である状況であり、この場合R1は触媒によって除去することができ、一方R2およびR3は酸加水分解により除去することができ、または3つ全ての保護残基の脱保護を1つの脱保護反応で行うことができ、例えばR1がC1−4アルキル残基であり、R2およびR3が前記ベンジリデン残基であるとき、3つ全ての保護基は酸加水分解によって同時に除去することができる。そこで、式(II)の化合物の脱保護はエステル残基中のアルコキシ残基R1−O−の除去によりそれぞれの酸残基を提供することを含んでおり、アミノ残基からの2つのベンジリデン残基の除去を含む。
【0074】
好ましくは、脱保護は1つの反応REAC2で行われ、すなわち、全ての保護残基がこの1つの反応REAC2で同時に除去される。
【0075】
好ましくは、脱保護のためのACID2のモル量は式(II)の化合物のモル量の少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、更により好ましくは少なくとも4倍である。
【0076】
好ましくは、脱保護のための水のモル量は式(II)の化合物のモル量の少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも4倍、更により好ましくは少なくとも5倍である。
【0077】
好ましくは、ACID2は水性ACID2の形態で使用され;
好ましくは、脱保護に使用される水性ACID2は少なくとも1N、より好ましくは少なくとも2N、更により好ましくは少なくとも3Nの水性ACID2であり;
好ましくは、脱保護に使用される水性ACID2は1〜13N、より好ましくは2〜13N、更により好ましくは3〜13Nの水性ACID2である。
【0078】
ACID2がHClである場合には、好ましくは35wt%の水性HClまたは12Nの水性HClのような濃HClが使用される。
【0079】
好ましくは、脱保護の反応温度は50〜200℃、より好ましくは75〜180℃、更により好ましくは95〜160℃である。
【0080】
別の実施形態において、脱保護の反応温度は好ましくは50〜200℃、より好ましくは75〜180℃、更により好ましくは95〜180℃、殊に110〜180℃、より殊に130〜180℃、更により殊に140〜180℃、特に140〜170℃であり;好ましくはこれらの範囲の反応温度は脱保護が連続的に行われるときに適用される。
【0081】
好ましくは、脱保護の反応時間は1分〜48時間、より好ましくは10分〜24時間、更により好ましくは30分〜12時間、殊に30分〜6時間、より殊に30分〜2時間である。
【0082】
好ましくは、脱保護は大気圧〜500バールのような大気圧または昇圧下で;より好ましくは例えば大気圧〜500バール、更により好ましくは例えば大気圧〜250バール、殊に例えば大気圧〜100バールで行われる。
【0083】
昇圧は窒素またはアルゴンのような不活性ガスを使用することによって適用することができる。
【0084】
脱保護、特にREAC2は、脱保護が1つの反応REAC2で行われるとき、連続的に行うことができる。REAC1および脱保護の両方を連続的および逐次的に行うことができ、これはREAC1からの反応混合物を脱保護のための供給材料として直接使用して行うことができる。
【0085】
脱保護が行われる圧力は、選ばれた温度における反応混合物の蒸気圧であることができ、または、脱保護が連続的に行われるとき、殊にREAC1および脱保護が連続的に逐次的に行われるとき、脱保護が行われる圧力は背圧調整装置により設定された選ばれた圧力であることができ、本明細書中に記載されているように供給材料はこの背圧調整装置に抗してポンプで供給される。
【0086】
脱保護の後、式(3)の化合物は、それ自体が当業者に公知である、揮発性成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、クロマトグラフィーおよびこれらの任意の組合せのような標準的な方法により単離することができる。
【0087】
本発明のさらなる主題は式(2−4−Cl)の化合物、式(2−4−Br)の化合物および式(2−4−CF)の化合物である。
【実施例】
【0088】
L−オルニチンメチルエステル二塩酸塩:Fluorochem Ltdから購入、www.fluorochem.co.uk、カタログ番号429762、(S)−2,5−ジアミノペンタン酸メチル二塩酸塩、CAS 40216−82−8
4−クロロベンズアルデヒド:97%純度、Sigma Aldrich
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド:THF中1M溶液、Sigma Aldrich
フルオロホルム:99.995%純度、Messer Group GmbH(Bad Soden, Germany)
2 メチルテトラヒドロフラン無水物:≧99%純度、阻害剤フリー、Acros Organics BVBA(Belgium)
テトラヒドロフラン無水物:≧99%、Acros Organics BVBA(Belgium)
濃HCl:水中35%、VWR International Ltd.(UK)
ジクロロメタン:>98%純度、VWR International Ltd.(UK)
クロロホルム:99.2%純度、VWR International Ltd.(UK)
トリメチルアミン:≧99%、Riedel de Haen(Honeywell Specialty Chemicals Seelze GmbH(Germany))
【0089】
一般
Hおよび13C NMRスペクトルは300MHz装置に記録した。化学シフト(デルタ)は内部標準としてのTMSからのppm低磁場で表す。文字s、d、t、q、およびmはそれぞれ一重項、二重項、三重項、四重項、および多重項を意味して使用される。トリフルオロトルエンは19F NMRに対する内部標準として使用した。
【0090】
実施例1
(S)−2,5−ビス((ベンジリデン)アミノ)ペンタン酸メチル、式(1−H)の化合物
磁気撹拌棒を有する乾燥した20mLの容器に1.530g(7.00mmol、1.0eq)のL−オルニチンメチルエステル二塩酸塩を仕込み、密封し、アルゴンで三回フラッシした。7mLのCHClを加えて1M溶液を得た後1.42mL(13.93mmol、1.99eq)のベンズアルデヒドを加えた。得られた撹拌された溶液を0℃に冷却した。2.13mL(15.4mmol、2.2eq)のトリエチルアミンを10分にわたって加えた後、混合物を徐々に室温まで温め、RTで24h撹拌した。反応混合物をNaSOに通してろ過し、得られた淡黄色のろ液を真空下で濃縮し、EtOで処理してEtN・HClを沈殿させた。生成した無色の沈殿をろ取し、得られたろ液を真空中で濃縮して式(1)の化合物を得た。
収率:2.2136g(6.87mmol、98%)、黄色の粘稠な油。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.68-7.56 (m, 4H), 7.47-7.29 (m, 12H), 7.20-7.08 (m, 4H), 4.10 (dd, 3JHH = 8.0 Hz, 3JHH = 5.2 Hz, 1H), 3.71 (s, 3H), 3.33 (t, 3JHH= 6.8 Hz, 2H), 2.07-1.88 (m, 2H), 1.79-1.54 (m, 2H).
【0091】
実施例2
アルファジフルオロメチルオルニチン二塩酸塩(DFMO)、式(3−2HCl)の化合物
図1は、式(II)の化合物を連続的に製造するのに使用することができる代表的な反応器セットアップを示す。
【0092】
図1に示した反応器セットアップ全体を、ポンプP1および250マイクロリットル/分の流量FR1で、そしてポンプP2および250マイクロリットル/分の流量FR2で、それぞれの注入ループFL1(0.8mm内径、1.59mm外径、内容積2.0mL)およびFL2(0.8mm内径、1.59mm外径、内容積2.5mL)に通し、第1のY形コネクターYSC1を介して第1の滞留ループRL1(1/16インチ外径;0.8mm内径;2.0mL滞留容積)および前方へ、第2の滞留ループRL2(1/16インチ外径;0.8mm内径;6.1mL滞留容積)、第3の滞留ループRL3(1/8インチ外径;1.6mm内径;2.0mL滞留容積)および背圧調整のための装置BPRを通して、乾燥THFをポンプで供給することにより純粋な溶媒でフラッシし、さらにRL1とRL2との間で第2のY形コネクターYSC2を介して加圧瓶から8.3mL/分の流量FR3で、セットアップの内圧が12バールに達するまでCHFを流れの中に供給した。このプロセスには約10分かかった。
【0093】
実施例1に従って製造した式(1)の化合物(1.00mmol)を正味のTHFに溶かし、THFで2.00mL(0.5mol/L、1eq)に希釈し、ポンプP1を介して供給材料FEED1として使用した。
【0094】
THF中のLiHMDS溶液(1.0mol/L、2.5mL、2eq)を、ポンプP2を介して供給材料FEED2として使用した。
【0095】
FEED1のポンプによる供給はFEED2の1分前に開始した。両方の供給材料はそれぞれのFL1およびFL2に介して−30℃の温度の冷却槽内に配置されたYSC1を通してポンプで供給した。
【0096】
流量FR1および流量FR2は250マイクロリットル/分であった。
【0097】
合わせた混合物を次いで、−30℃の温度を有する冷却槽内に配置されたRL1に通した。得られた反応混合物の流れを、CHFであり、8.3mL/分(標準状態の気体流;3eqのCHFに対応する)のFR3で、−15℃の温度を有する冷却槽内に配置されたYSC2中に供給された第3の供給材料FEED3と接触させ、得られた反応混合物流を次いで、−15℃の温度を有する冷却槽内に配置されたRL2に通し、TR2を出て行く反応混合物の流れを次いで、25℃の温度を有する槽内に配置されたRL3に通すことによって温め、セットアップ内圧力を12バールに保っているBPRに通した後集めた。BPRを通った後にこの反応混合物中の19F−NMRで決定された収率は>95%であった。
【0098】
TR1、TR2およびTR3の寸法ならびに流量FR1、FR2、FR3から、TR1内の滞留時間RES1は4分、TR2内の滞留時間RES2は12分、TR3内の滞留時間RES3は4分であった。
【0099】
式(2)の化合物を含む反応混合物を真空中で乾燥し、10mLのEtOで希釈した。ろ過後ろ液を真空中で濃縮し、10mLの6N HClで処理した。反応混合物をマイクロ波反応器(Biotage Initiator+ 単一モードマイクロ波装置)で150℃に45分加熱し、EtOで洗浄した(20mLで2回)。水性層を活性炭と混合し、活性炭はその後ろ過して除いた。粗生成物を真空中で濃縮した後MeOH/EtOHから再結晶した。
式(3−2HCl)の化合物の収率:194mg(0.76mmol、76%) 無色の粉末
mp 228℃
1H-NMR (300.36 MHz, D2O): δ = 6.33 (t, 2JHF= 53.2 Hz, 1H), 3.02 (t, 3JHH = 7.6 Hz, 2H), 2.16-1.53 (m, 4H)
13C NMR (75 MHz, D2O): δ = 168.8(d, 3JCF= 5.9 Hz), 114.9 (dd, 1JCF = 248.4 Hz, 1JCF= 246.0 Hz), 65.1 (dd, 2JCF = 21.3 Hz, 2JCF= 16.6 Hz), 38.7, 27.7 (d, 3JCF = 5.0 Hz), 20.9
19F NMR (282 MHz, D2O): δ = 126.83 (dd, 2JFF= 281.6 Hz, 2JHF = 52.6 Hz), -132.39 (dd, 2JFF= 281.6 Hz, 2JHF = 53.8 Hz)
【0100】
実施例3〜8
表1に掲げる差をつけて実施例2を繰り返した。BPRを通過した後に集めた反応混合物の収率を19F−NMRで決定した。
【0101】
【表1】
【0102】
実施例9
様々なビスイミンで保護オルニチンメチルエステル、式(I)の化合物
オルニチンメチルエステルのNH−残基に対する様々な保護基がいろいろなベンズアルデヒド類似体を用いて適用された。得られたビスイミンはクロマトグラフィーに対して安定ではなかったので、収率および純度はニトロメタンを内部標準として用いたH NMRによって決定した。
【0103】
一般的な実験手順:
磁気撹拌棒を備えた乾燥した10mLの丸底フラスコに(S)−2,5−ジアミノペンタン酸メチル二塩酸塩(0.50g、2.282mmol)および対応するベンズアルデヒド誘導体、式(IV)の化合物(2当量、4.564mmol)を仕込み、密封し、アルゴンで三回フラッシした。クロロホルム(5mL)を加え、撹拌し、無色の反応混合物を0℃に冷却した。10分にわたるトリエチルアミン(632マイクロリットル、4.564mmol、2当量)の添加後反応混合物を室温まで温め、18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。淡黄色の残留物をEtOで処理してEtN・HClを沈殿させた。生成した無色の沈殿をろ過して除き、得られたろ液を真空中で濃縮した。残留物の収率および純度をH NMRで検査した。結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
実施例10
4−クロロベンズアルデヒド保護オルニチンメチルエステル、式(1−4−Cl)の化合物
磁気撹拌棒を備えた乾燥した2Lの丸底フラスコに(S)−2,5−ジアミノペンタン酸メチル二塩酸塩(25.0g、114mmol)および4−クロロベンズアルデヒド(24.2g、240mmol)を仕込み、密封し、アルゴンで三回フラッシした。無水のジクロロメタン(750mL)を加えた後、反応混合物を撹拌した。無色の反応混合物を0℃に冷却した。1時間にわたるトリエチルアミン(33.2mL、240mmol)の添加後、反応混合物を室温まで温め、18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。オフホワイトの残留物をEtOで処理してEtN・HClを沈殿させた。生成した無色の沈殿をろ過して除き、得られたろ液を真空中で濃縮した。得られたオフホワイトの残留物を石油エーテル/EtOAcから再結晶して所望の式(1−4−Cl)の化合物を無色の結晶性固体(41.1g、105mmol、92%収率)として得た。
mp.89−92℃
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.26 (dd, J = 11.6, 5.6 Hz, 2H), 7.75-7.70 (m, 2H), 7.67-7.63 (m, 2H), 7.43-7.35 (m, 4H), 4.06 (dd, J = 8.4, 5.3 Hz, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.65 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.16 - 2.07 (m, 1H), 2.06 - 1.94 (m, 1H), 1.81 - 1.66 (m, 2H) ppm
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 172.4, 162.2, 159.9, 137.3, 136.6, 134.7, 134.2, 129.8, 129.3, 129.0, 128.9, 73.3, 61.2, 52.3, 31.3, 27.4 ppm
【0106】
式(1−4−Cl)の化合物の安定性を決定するために、8つのNMR管に100mgの式(1−4−Cl)の化合物および内部標準としての10mgのCH3NO2を仕込み、キャップで密封し、−30℃で保存した。次いでサンプルの純度をH NMRにより10日間にわたって決定した。式(1−4−Cl)の化合物の顕著な分解は検出されなかった。
【0107】
従って、式(1−4−Cl)の化合物はアルゴン下低温(−30℃)で分解することなく長時間保存することができ、室温で少なくとも2週間ベンチ安定であった。
【0108】
水含量をMetrohm Coulometerで「Aquaster Combi Coulomat fritless」を用いてKarl Fischer滴定により決定したところ、1475ppm HOの濃度が見出された。
【0109】
実施例11
アルファジフルオロメチルオルニチン一塩酸塩一水和物(DFMO)、式(3−1HCl−1H2O)の化合物
図2は、式(3)の化合物を連続的に製造するのに使用することができる代表的な反応器セットアップを示す。
【0110】
図2の反応器セットアップは、2−MeTHF中の式(1−4−Cl)の化合物の溶液(FEED1)、LiHMDSの市販溶液(THF中1.0M、Sigma−Aldrich)(FEED2)および濃HCl(水中35wt%)(FEED4)を導入するために3つの連続的に作動する注射器ポンプ(2×Asia Syrris、即ちポンプP1およびポンプP2、1×HighTec Zang Syrdos、すなわちポンプP4)からなっていた。FEED1、FEED2およびFEED4は注射器ポンプを介して直接供給した。実験を開始するために、乾燥2−MeTHFをFEED1の流量=0.8mL/分およびFEED2=1.2mL/分でポンプにより供給することによって全部の反応器セットアップをフラッシした。HClはFEED4=1mL/分で導入した。フルオロホルムはBronkhorstの較正質量流制御器(MFC)を用いて9.23mL/分(1.05当量)の流量で反応器に導入した。反応器の内圧はおよそ10分後12バールの標的圧力に達した。
【0111】
式(1−4−Cl)の化合物(100mmol)を生の2−MeTHFに溶かし、2つの容量フラスコ中2−MeTHFで200mLに希釈した(FEED1、0.5M)。THF中LiHMDS溶液(1.0M、800mL)をFEED2として使用した。注射器ポンプを介して直接供給したFEED1およびFEED2を冷却槽(−30℃)内のY形コネクターYSC1(Y Assembly PEEK 1/4−28 0.040in)で合わせた。合わせた混合物を−30℃の第1の滞留ループRL1(外径1/8in、内径0.8mm;滞留容積V1=4.0mL)に通した後、混合物をSyrris Asiaガラス静的ミキサーM1(内容積1mL)内でフルオロホルムと合わせた。次いで混合物を25℃で第2の滞留ループRL2(外径1/8in;内径0.8mm;滞留容積V2=14mL)に通し、T−形コネクターTSC1(T Assembly PTFE 1/4−28 0.040in)内でFEED4と混合した。合わせた流れを次いで160℃の第3の滞留ループRL3(外径1/8in;内径0.8mm;滞留容積V3=40mL)に通し、流れ系を調節可能な背圧調整器BPR(Zaiput BPR−10)に通した。
【0112】
実験は24mmol/時のスループットで4時間行った。
【0113】
使用した背圧は12バールから15バールに上昇した。
【0114】
全反応器セットアップ内の滞留時間は23分であった。
【0115】
二相の反応混合物を3.5時間(84mmol)収集し、水性相をEtOで洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物を小量のHOに溶かし、EtNを用いてpHを4に調節した。得られたスラリーをろ過し、冷たい無水EtOHおよびCHClで洗浄した。残留物をEtOH/HOで再結晶してアルファジフルオロメチルオルニチン一塩酸塩一水和物を無色の粉末として得た(17.05g、72.3mmol、86%収率)。
Mp.228℃
1H NMR (300.36 MHz, D2O): δ = 6.46 (t, 2JHF = 52.8 Hz, 1H), 3.05 (t,3JHH = 7.6 Hz, 2H), 2.25-1.97 (m, 2H), 1.96-1.79 (m, 1H), 1.76-1.59 (m, 1H) ppm
13C NMR (75 MHz, D2O): δ = 167.8 (d, 3JCF = 6.4 Hz), 114.0 (dd, 1JCF = 249.7 Hz, 1JCF = 247.0 Hz), 64.5 (dd, 2JCF = 20.4 Hz, 2JCF = 18.7 Hz), 38.8 (d, 3JCF = 7.3 Hz), 31.6 (d, 4JCF = 3.2 Hz), 20.8 ppm
19F NMR (282 MHz, D2O): δ = -126.28 (dd, 2JFF = 283.5 Hz, 2JHF = 52.4 Hz), -131.76 (dd, 2JFF = 283.5 Hz, 2JHF = 52.4 Hz) ppm
【0116】
式(2−4−Cl)の化合物からその完全に脱保護された類似体への変換率を、H NMRにより乾燥した残留物の式(2−4−Cl)の化合物およびその完全に脱保護された類似体のベースラインで分離されたCHFピークの積分によって測定した。変換率>99%。
【要約】
本発明は、CHF3およびLiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド)を用いたジベンザルジイミンオルニチンエステルのジフルオロメチル化による、保護されたジフルオロメチルオルニチンの製造方法を開示し、保護されたジフルオロメチルオルニチンはその後の酸性条件下水の存在下での脱保護により脱保護されたジフルオロメチルオルニチンの塩に変換することができる。
図1
図2