(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記技術では、スクリーンマスクの弾性率を、例えば、感光性乳剤のエマルジョン厚みを変えることで設定するようにしている。このため、感光性乳剤の調整や塗布が難しい上、必ずしも所望の弾性率が精度良く得られるわけではなく、実際上、印刷膜厚を確実には均一化できない。
【0008】
また、感光性乳剤による層が、スクリーンメッシュで被印刷物側の面に感光性乳剤を塗布して印刷パターン孔が形成された層(以下、「印刷パターン層」とする)と、この印刷パターン層で被印刷物と対向する面とは反対側の面に設けられ、内部にスクリーンメッシュの少なくとも一部が張設されると共に、印刷パターン孔に対応する位置に設けられたメッシュ側パターン孔が形成された層(以下、「メッシュ側パターン層」とする)との二層構造である場合、印刷パターン孔を狭くする際は、印刷パターン孔、メッシュ側パターン孔の両孔は、平面視でほぼ重なる形状に形成されると共に、これらが形成された印刷パターン層、メッシュ側パターン層の両層とも、できるだけ薄く形成されている。これは、メッシュ側パターン孔から印刷パターン孔にかけて形成される印刷ペーストの流路長をできるだけ短くして、スキージによる押出し力が作用しやすくし、印刷ペーストの押出し量を増加させて充分な印刷膜厚を確保するためである。
【0009】
しかしながら、印刷パターン層が薄いと、スクリーンメッシュから、印刷パターン孔で印刷ペーストが押し出される開口部(以下、「押出し口」とする)までの距離が短くなり、スクリーンメッシュを構成する経糸や緯糸によって印刷ペーストの流れが乱れる等し、印刷ペーストの押出し量にばらつきが生じやすい。このため、印刷膜厚が不均一となって印刷精度が低下する。
【0010】
更に、メッシュ側パターン層が薄いと、スクリーンメッシュの細線化が避けられない。このため、スクリーンメッシュが破損しやすくなり、スクリーンマスクの寿命が悪化すると共に、スクリーンメッシュの目が細かくなって高価となり、製造コストが増加する。
【0011】
加えて、印刷パターン孔の幅が狭いと、スクリーンマスク製造時の現像作業において、現像液で未硬化領域を洗い流して印刷パターン孔を形成する際、未硬化領域に近接するために硬化が不充分な孔内壁が、現像液を吸って膨潤して孔内に膨出し、膨出部が互いに当接して接着する場合があった。このため、印刷パターン孔で閉塞される部分が発生し、印刷精度が低下する。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、簡単で安価な構造でありながら耐久性に優れ、高精度な印刷を確実に実現可能とするスクリーンマスクと、現像作業中における印刷パターン孔の閉塞を確実に防止可能なスクリーンマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明のスクリーンマスクは、被印刷物に転写する印刷パターン孔が形成された印刷パターン層と、印刷パターン層で被印刷物と対向する面とは反対側の面に設けられ、内部にスクリーンメッシュの少なくとも一部が張設されると共に、印刷パターン孔に対応する位置で印刷パターン孔よりも幅広のメッシュ側パターン孔が形成されたメッシュ側パターン層とを備えている。
【0014】
そして、被印刷物に転写する印刷パターン孔が形成された印刷パターン層を備えることによって、印刷パターン孔に従った印刷パターンを被印刷物上に印刷することが可能となる。すなわち、印刷ペーストが印刷パターン孔を通ってそのまま被印刷物上に導かれるため、印刷パターンに応じて、印刷ペーストを被印刷物上の所定位置に所定の形状で定着させることができる。
【0015】
更に、メッシュ側パターン層が、印刷パターン層で被印刷物と対向する面とは反対側の面に設けられ、内部にスクリーンメッシュの少なくとも一部が張設されることによって、印刷精度を向上させることができる。すなわち、メッシュ側パターン層は、内部に張り巡らされたスクリーンメッシュによって強固に支持され、これにより、印刷パターン層も安定して支持されるため、印刷時に、印刷ペーストがメッシュ側パターン孔から印刷パターン孔を通って被印刷物上に導かれる際に、印刷パターン孔の位置ずれが起こりにくい。
【0016】
加えて、メッシュ側パターン層に、印刷パターン孔に対応する位置で印刷パターン孔よりも幅広のメッシュ側パターン孔が形成されることによって、印刷精度、耐久性の向上、製造コストの低減を図ることができる。すなわち、印刷ペーストの流路が、断面積が被印刷物に向かって減少する先絞り形状に形成されるため、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速が大きくなり、たとえ印刷ペーストの流路長が長くても、印刷ペーストの押出し量を充分に確保することができる。
【0017】
これにより、印刷パターン層、メッシュ側パターン層を薄くする必要がなくなる。そこで、印刷パターン層を厚くすることが可能となり、スクリーンメッシュから印刷パターン孔の押出し口までの距離を長くして、スクリーンメッシュの影響を軽減することができ、印刷ペーストの押出し量が安定化して印刷膜厚が均一となる。更に、メッシュ側パターン層を厚くすることが可能となり、スクリーンメッシュの太線化を行うことができ、破損しにくくなってスクリーンマスクの寿命が延びると共に、太線化により、安価な目が粗いスクリーンメッシュを使用することができ、部品コストが低下する。
【0018】
また、メッシュ側パターン孔の幅を、印刷パターン孔の2倍以上に設定する場合は、メッシュ側パターン孔で印刷ペーストが押し込まれる開口部(以下、「押込み口」とする)の幅を、印刷パターン孔の押出し口の幅に比べて充分に拡大することができる。これにより、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速を充分に大きくし、印刷ペーストの押出し量を更に充分な量確保することができ、印刷精度、耐久性の向上、製造コストの低減を確実に図ることができる。
【0019】
そして、メッシュ側パターン孔の幅が印刷パターン孔の2倍未満では、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速が充分には大きくできず、印刷ペーストの粘性等の特性や印刷パターン孔、メッシュ側パターン孔の形状によっては流速が低くなりすぎ、印刷ペーストの安定した押出し量を確保するのが難しくなる。
【0020】
また、メッシュ側パターン孔が、印刷パターン層側に向かって縮幅するテーパ部を有する場合は、印刷ペーストを、テーパ部に沿うようにして、メッシュ側パターン孔の押込み口から流路内に緩やかに流入させることができる。これにより、流路内への印刷ペーストの流入時における空気の混入を抑制すると共に、メッシュ側パターン孔内への印刷ペーストの残留を抑制して劣化した印刷ペーストの使用等を防ぐことができ、印刷品質の向上や更なる印刷膜厚の均一化を図ることができる。
【0021】
また、印刷パターン孔の幅を30〜80μmで、スクリーンメッシュの線径を20μm以上に設定する場合は、スクリーンメッシュの太線化の影響を最小限に抑えた上で、印刷ペーストの安定した押出し量を確保することができる。これにより、印刷精度を高く維持しつつ、スクリーンメッシュが破損しにくくなってスクリーンマスクの寿命を延ばすと共に、安価な目が粗いスクリーンメッシュを使用して部品コストを低下させることができる。
【0022】
そして、印刷パターン孔の幅が30μm未満では、線径20μm以上の太いスクリーンメッシュによる影響で印刷ペーストの流れが大きく乱れ、印刷ペーストの押出し量がばらついて断線等のトラブルが発生する。印刷パターン孔の幅が80μm超えでは、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速を充分には大きくできず、印刷ペーストの粘性等の特性や印刷パターン孔、メッシュ側パターン孔の形状によっては流速が低くなりすぎ、印刷ペーストの安定した押出し量を確保するのが難しくなる。
【0023】
更に、スクリーンメッシュの線径が20μm未満では、スクリーンメッシュの寿命はそれほど改善されず、スクリーンメッシュの太線化の効果が充分には得られないからである。
【0024】
また、印刷パターン層の厚みを、印刷パターン孔の幅のうちの最小幅の0.5倍以上に設定する場合は、スクリーンメッシュから印刷パターン孔の押出し口までの距離を充分に長くすることができる。これにより、スクリーンメッシュの影響を軽減することができ、印刷ペーストの押出し量が安定化して印刷膜厚が均一となる。なお、最小幅とは、設けられた複数の印刷パターン孔の幅が異なる場合には、その中で最も小さい幅を示す。
【0025】
そして、印刷パターン層の厚みが、印刷パターン孔の幅のうちの最小幅の0.5倍未満では、スクリーンメッシュから印刷パターン孔の押出し口までの距離が不充分であり、印刷ペーストがスクリーンメッシュの影響を受けて押出し量が安定化しない。
【0026】
また、印刷パターン層が、メッシュ側パターン層よりも軟質である場合は、印刷パターン層の一面をメッシュ側パターン層によって支持しつつ、印刷パターン層の他面を被印刷物に接触させることができる。これにより、印刷パターン層が被印刷物の表面形状に沿って変形するようになり、スクリーンマスクの被印刷物への追従性が高まり、印刷精度を更に向上させることができる。
【0027】
また、印刷パターン層が、被印刷物側に、シリコン系乳剤から成る硬質層を有する場合は、印刷時に、印刷パターン層と被印刷物との間に硬い保護層を介設することができ、被印刷物上やその周辺に存在する異物、被印刷物自体の凸部等が印刷パターン層に接触しても損傷されにくくなると共に、スクリーンマスクの洗浄時に、洗浄液や手拭きとの間にも硬い保護層を介設することができ、洗浄液や手拭きによる機械的な損傷も防ぐことができる。これにより、スクリーンマスクの寿命が延びて耐久性を更に向上させることができる。
【0028】
また、印刷パターン層が、被印刷物側に、印刷パターン層のアセタール化合物から成る硬質域を有する場合は、印刷時に、印刷パターン層で被印刷物と対向する面(以下、「対向面」とする)の近傍に、硬い保護域を設けることができ、被印刷物上やその周辺に存在する異物、被印刷物自体の凸部等が印刷パターン層に接触しても損傷されにくくなると共に、スクリーンマスクの洗浄時に、洗浄液や手拭きとの間にも硬い保護域を介設することができ、洗浄液や手拭きによる機械的な損傷も防ぐことができる。これにより、スクリーンマスクの寿命が延びて耐久性を更に向上させることができる。更に、この硬質域は簡単な改質操作によって形成することができる。これにより、新たな乳剤を準備する必要がなく、スクリーンマスクの製造時間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
上記の目的を達成するために、本発明のスクリーンマスクの製造方法は、枠体内にスクリーンメッシュを張設する第1工程と、スクリーンメッシュに、メッシュ側パターン層となる感光性乳剤から成る第1乳剤層を設け、メッシュ側パターン層に、印刷パターン層となる感光性乳剤から成る第2乳剤層を設け、所定の露光作業によって、第1乳剤層を、メッシュ側パターン孔となる未硬化領域を有するメッシュ側パターン層に形成し、第2乳剤層を、メッシュ側パターン孔に対応する印刷パターン孔となる未硬化領域を有する印刷パターン層に形成する第2工程と、メッシュ側パターン孔となる未硬化領域が印刷パターン孔となる未硬化領域よりも幅広に形成された状態で、メッシュ側パターン層、印刷パターン層を洗浄して両未硬化領域を洗い流すことにより、印刷パターン孔よりも幅広のメッシュ側パターン孔を形成する第3工程とを備えている。
【0030】
そして、枠体内にスクリーンメッシュを張設する第1工程によって、スクリーンマスクの基礎部を形成することができる。
【0031】
更に、スクリーンメッシュに、メッシュ側パターン層となる感光性乳剤から成る第1乳剤層を設け、メッシュ側パターン層に、印刷パターン層となる感光性乳剤から成る第2乳剤層を設け、所定の露光作業によって、第1乳剤層を、メッシュ側パターン孔となる未硬化領域を有するメッシュ側パターン層に形成し、第2乳剤層を、メッシュ側パターン孔に対応する印刷パターン孔となる未硬化領域を有する印刷パターン層に形成する第2工程によって、メッシュ側パターン孔に従ったメッシュ側パターンをメッシュ側パターン層に形成することができ、印刷パターン孔に従った印刷パターンを被印刷物に転写可能な印刷パターン層に形成することができる。
【0032】
加えて、第3工程において、メッシュ側パターン層、印刷パターン層を洗浄して両未硬化領域を洗い流すことにより、印刷パターン孔よりも幅広のメッシュ側パターン孔を形成することによって、印刷精度、耐久性の向上、製造コストの低減が可能なスクリーンマスクを形成することができる。すなわち、印刷パターン孔と幅広のメッシュ側パターン孔によって、断面積が被印刷物に向かって減少する先絞り形状の流路が形成され、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速が大きくなり、たとえ印刷ペーストの流路長が長くても、印刷ペーストの押出し量を充分に確保することができる。これにより、印刷パターン層、メッシュ側パターン層を薄くする必要がなくなる。そこで、印刷パターン層を厚くすることが可能となり、スクリーンメッシュから印刷パターン孔の押出し口までの距離を長くして、スクリーンメッシュの影響を軽減することができ、印刷ペーストの押出し量が安定化して印刷膜厚が均一となる。更に、メッシュ側パターン層を厚くすることが可能となり、スクリーンメッシュの太線化を行うことができ、破損しにくくなってスクリーンマスクの寿命が延びると共に、安価な目が粗いスクリーンメッシュを使用することができ、部品コストが低下する。
【0033】
更に、第3工程において、メッシュ側パターン孔となる未硬化領域が印刷パターン孔となる未硬化領域よりも幅広に形成された状態で、メッシュ側パターン層、印刷パターン層を洗浄して両未硬化領域を洗い流すことにより、印刷パターン孔よりも幅広のメッシュ側パターン孔を形成することによって、洗浄液の吸液に伴う孔内壁の孔内方への膨出により印刷パターン孔が閉塞するのを確実に防止し、印刷精度の更なる向上を図ることができる。すなわち、幅狭の印刷パターン孔の未硬化領域と幅広のメッシュ側パターン孔の未硬化領域とが連設されているため、洗浄中に、印刷パターン孔を形成する硬化済みの孔内壁がたとえ洗浄液を吸液して膨潤しても、その膨潤による体積増加分は、印刷パターン層からメッシュ側パターン孔内に突き出た自由端部分に集中し、印刷パターン孔の孔内方への膨出を軽減することができる。
【0034】
また、スクリーンマスクの製造方法において、メッシュ側パターン孔の幅を、印刷パターン孔の2倍以上に設定する場合は、押込み口の幅を、印刷パターン孔の押出し口の幅に比べて充分に拡大することができる。これにより、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速を充分に大きくし、印刷ペーストの押出し量を更に充分な量確保することができ、印刷精度、耐久性の向上、製造コストの低減を確実に図ることができる。
【0035】
そして、メッシュ側パターン孔の幅が印刷パターン孔の2倍未満では、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速が充分には大きくできず、印刷ペーストの粘性等の特性や印刷パターン孔、メッシュ側パターン孔の形状によっては流速が低くなりすぎ、印刷ペーストの安定した押出し量を確保するのが難しくなる。
【0036】
また、スクリーンマスクの製造方法において、メッシュ側パターン孔が、印刷パターン層側に向かって縮幅するテーパ部を有する場合は、印刷ペーストを、テーパ部に沿うようにして、メッシュ側パターン孔の押込み口から流路内に緩やかに流入させることができる。これにより、流路内への印刷ペーストの流入時における空気の混入を抑制すると共に、メッシュ側パターン孔内への印刷ペーストの残留を抑制して劣化した印刷ペーストの使用等を防ぐことができ、印刷品質の向上や更なる印刷膜厚の均一化を図ることができる。
【0037】
また、スクリーンマスクの製造方法において、印刷パターン孔の幅を30〜80μmで、スクリーンメッシュの線径を20μm以上に設定する場合は、スクリーンメッシュの太線化の影響を最小限に抑えた上で、印刷ペーストの安定した押出し量を確保することができる。これにより、印刷精度を高く維持しつつ、スクリーンメッシュが破損しにくくなってスクリーンマスクの寿命を延ばすと共に、安価な目が粗いスクリーンメッシュを使用して部品コストを低下させることができる。
【0038】
そして、印刷パターン孔の幅が30μm未満では、線径20μm以上の太いスクリーンメッシュによる影響で印刷ペーストの流れが大きく乱れ、印刷ペーストの押出し量がばらついて断線等のトラブルが発生する。印刷パターン孔の幅が80μm超えでは、押出し口から押し出される印刷ペーストの流速を充分には大きくできず、印刷ペーストの粘性等の特性や印刷パターン孔、メッシュ側パターン孔の形状によっては流速が低くなりすぎ、印刷ペーストの安定した押出し量を確保するのが難しくなる。
【0039】
更に、スクリーンメッシュの線径が20μm未満では、スクリーンメッシュの寿命はそれほど改善されず、スクリーンメッシュの太線化の効果が充分には得られないからである。
【0040】
また、スクリーンマスクの製造方法において、印刷パターン層の厚みを、印刷パターン孔の幅のうちの最小幅の0.5倍以上に設定する場合は、スクリーンメッシュから印刷パターン孔の押出し口までの距離を充分に長くすることができる。これにより、スクリーンメッシュの影響を軽減することができ、印刷ペーストの押出し量が安定化して印刷膜厚が均一となる。
【0041】
そして、印刷パターン層の厚みが印刷パターン孔の幅のうちの最小幅の0.5倍未満では、スクリーンメッシュから印刷パターン孔の押出し口までの距離が不充分であり、印刷ペーストがスクリーンメッシュの影響を受けて押出し量が安定化しない。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係わるスクリーンマスクは、簡単で安価な構造でありながら耐久性に優れ、高精度な印刷を確実に実現可能とするものであり、スクリーンマスクの製造方法は、現像作業中における印刷パターン孔の閉塞を確実に防止可能なものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、スクリーンマスクおよびその製造方法に関する本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、
図1の矢印Uで示す方向を上方とし、矢印Rで示す方向を右方とし、以下で述べる各部の位置や方向等はこの上方と右方を基準とするものである。
【0045】
まず、本発明を適用したスクリーンマスクの一例であるスクリーンマスク1の全体構成について、
図1、
図2により説明する。なお、スクリーンマスク1において印刷時に被印刷物6と対向する側を印刷側、その反対側であって印刷ペースト10が供給される側を反印刷側とする。
【0046】
図1に示すように、スクリーンマスク1は、フレーム2と、このフレーム2内に張設されたスクリーンメッシュ3と、このスクリーンメッシュ3に形成された印刷パターン層4、メッシュ側パターン層5とを備えている。そして、印刷時には、スクリーンマスク1において、被印刷物6が印刷パターン層4に対向して配置される一方、所定量の印刷ペースト10が、印刷パターン層4の対向面4aとは反対側の面(以下、「反対面」とする)4b上に設けられたメッシュ側パターン層5の上に供給される。
【0047】
この状態で、前述したスキージ11を、メッシュ側パターン層5の反印刷側の面(以下、「ペースト面」とする)5aに当接させながら、矢印12に示す方向に移動させることにより、メッシュ側パターン層5から印刷パターン層4にかけて形成された流路7を通って印刷ペースト10が被印刷物6上に導かれ、定着されて印刷が行われる。
【0048】
このうちのフレーム2は、所望の大きさの矩形状の開口2aが形成された枠体として形成され、アルミダイキャストによるものやアルミパイプ製のものが使用される。
【0049】
そして、このフレーム2には、スクリーンメッシュ3の外周縁3aが合成ゴム等の図示せぬ接着剤により張設状態で固定されると共に、フレーム2は、所定量の印刷ペースト10をスクリーンマスク1の反印刷側に保持するための枠としても機能する。なお、このフレーム2の形状や大きさは、対象となる被印刷物6や、スクリーンマスク1を設置する印刷機械の種類により適宜変更される。
【0050】
また、スクリーンメッシュ3は、後述する所定のパターン孔が形成された印刷パターン層4、メッシュ側パターン層5をフレーム2に支持する部材であって、ステンレス鋼、タングステン等の金属繊維、ポリエステル等の合成繊維を編んで形成される。
【0051】
そして、このスクリーンメッシュ3は、平面視で印刷ペースト10が通過可能な孔部が多数開口されたメッシュ状に形成されている。
【0052】
以上のような構成のフレーム2とスクリーンメッシュ3とによって、スクリーンマスク1の基体が形成される。
【0053】
また、印刷パターン層4は、スクリーンメッシュ3の印刷側に塗布された感光性乳剤が、感光して硬化し板状に形成されたものであって、前述の被印刷物6に転写するための印刷パターン孔8が、印刷側に向かって貫通するように形成されている。
【0054】
これにより、印刷ペースト10が印刷パターン孔8を通ってそのまま被印刷物6上に導かれるため、印刷パターンに応じて、印刷ペースト10を被印刷物6上の所定位置に所定の形状で定着させることができ、印刷パターン孔8に従った印刷パターンを被印刷物6上に印刷することが可能となる。
【0055】
なお、印刷パターン孔8とは、前述の流路7の反印刷側の開口部である押込み口7aから流入した印刷ペースト10が、下半部を通過して押出し口7bから流出して被印刷物6の表面に導かれ、回路や基板のパターン等を描画させる部分となっている。このため、印刷パターン孔8は複数あって孔形状や溝形状に形成されており、貫通するものであればよく、その数、形状、大きさ等は特に限定されるものではない。
【0056】
そして、この印刷パターン層4を構成する感光性乳剤は、ランプやレーザー照射等による露光作業によって硬化する性質を有しており、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の光硬化性の樹脂組成物が用いられる。この露光作業によって硬化した硬化領域が、印刷ペースト10が通過できずに被印刷物6の表面に定着しない部分となる。
【0057】
また、メッシュ側パターン層5は、前述の印刷パターン層4の反対面4b上に設けられ、内部にスクリーンメッシュ3の少なくとも一部が張設されると共に、印刷パターン層4と同様、感光性乳剤が感光して硬化し板状に形成されたものである。更に、印刷ペースト10を流路7内に押し込むと共に、印刷パターン層4をフレーム2に支持するためのメッシュ側パターン孔9が、印刷パターン孔8と連通するように形成されている。
【0058】
これにより、メッシュ側パターン層5は、内部に張り巡らされたスクリーンメッシュ3によって強固に支持され、これにより、印刷パターン層4も安定して支持されるため、印刷時に、印刷ペースト10がメッシュ側パターン孔9から印刷パターン孔8を通って被印刷物6上に導かれる際に、印刷パターン孔8の位置ずれが起こりにくく、印刷精度が向上する。
【0059】
なお、印刷パターン層4とメッシュ側パターン層5が重なった状態で、反印刷側からの平面視で、印刷パターン孔8とメッシュ側パターン孔9の中心位置が略一致するように形成されており、これら印刷パターン孔8とメッシュ側パターン孔9より、前述した印刷ペースト10の通る流路7が形成されている。
【0060】
そして、このメッシュ側パターン層5を構成する感光性乳剤も、印刷パターン層4と同様、ランプやレーザー照射等による露光作業によって硬化する性質を有しており、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の光硬化性の樹脂組成物が用いられる。
【0061】
次に、前述した印刷パターン層4、メッシュ側パターン層5の詳細構成について、
図1乃至
図3により説明する。
【0062】
図1、
図2に示すように、メッシュ側パターン層5のメッシュ側パターン孔9は、印刷パターン層4の印刷パターン孔8よりも幅広に形成され、これにより、前述の印刷ペースト10の流路7は、その断面積が被印刷物6に向かって減少する先絞り形状に構成されている。
【0063】
すると、押込み口7aから流入した印刷ペースト10は、押出し口7bから押し出される際に流速が大きくなり、たとえ印刷ペースト10の流路長13が長くなっても、印刷ペースト10の押出し量が確保可能となるため、印刷パターン層4、メッシュ側パターン層5を薄くする必要がなくなる。
【0064】
従って、本実施例のスクリーンマスク1のように、印刷パターン層4を厚くすることができ、スクリーンメッシュ3から押出し口7bまでの距離14が長くなって、スクリーンメッシュ3の影響が軽減され、印刷ペースト10の押出し量が安定化して印刷膜厚を均一にすることができる。
【0065】
同様に、メッシュ側パターン層5も厚くすることができ、スクリーンメッシュ3の太線化が可能となって、破損しにくくスクリーンマスク1の寿命が延びると共に、太線化により、安価な目が粗いスクリーンメッシュ3を使用することができ、部品コストが低下する。
【0066】
この際、メッシュ側パターン孔9の幅15は、印刷パターン孔の幅16の2倍以上に設定するのが好ましい。ここで、メッシュ側パターン孔9の幅15とは、押込み口7aの幅であり、印刷パターン孔8の幅16とは、押出し口7bの幅である。
【0067】
これにより、押出し口7bから押し出される印刷ペースト10の流速を充分に大きくし、印刷ペースト10の押出し量を更に充分な量確保することができる。この際、メッシュ側パターン孔の幅15が印刷パターン孔の2倍未満になると、押出し口7bから押し出される印刷ペースト10の流速が充分ではなく、印刷ペースト10の粘性等の特性や印刷パターン孔8、メッシュ側パターン孔9の形状によっては流速が低くなりすぎ、印刷ペースト10の安定した押出し量を確保するのが難しくなる。
【0068】
更に、メッシュ側パターン孔9には、印刷パターン層4側に向かって縮幅するテーパ部9a1、9a2を設けるのが好ましい。上テーパ部9a1は、メッシュ側パターン孔9の孔内壁9aで、押込み口7aから印刷側に向かって狭まるように形成されると共に、下テーパ部9a2は、この上テーパ部9a1の下端から印刷パターン孔8との連通縁9bに向かって、上テーパ部9a1よりも緩やかな傾斜で狭まるように形成されている。
【0069】
これにより、印刷ペースト10を、上テーパ部9a1から下テーパ部9a2に沿うようにして、メッシュ側パターン孔9の押込み口7aから流路7内に緩やかに流入させることができ、流路7内への印刷ペースト10の流入時における空気の混入を抑制することができる。しかも、メッシュ側パターン孔9内には、液が留まりやすい隅部が形成されにくくなり、メッシュ側パターン孔9内への印刷ペースト10の残留を抑制し、劣化した印刷ペースト10の使用等を防ぐことができ、印刷品質の向上や更なる印刷膜厚の均一化を図ることができる。
【0070】
また、
図1、
図2に示すように、印刷パターン層4は、その厚み17を、印刷パターン孔8の幅16のうちの最小幅の0.5倍以上に設定するのが好ましい。
【0071】
これにより、スクリーンメッシュ3から印刷パターン孔8の押出し口7bまでの距離14を充分に長くすることができ、スクリーンメッシュ3の影響が軽減され、印刷ペースト10の押出し量が安定化して印刷膜厚を均一にすることができる。この際、印刷パターン層4の厚み17が印刷パターン孔8の幅16のうちの最小幅の0.5倍未満では、スクリーンメッシュ3から印刷パターン孔8の押出し口7bまでの距離14が不充分であり、印刷ペースト10がスクリーンメッシュ3の影響を受けて押出し量が安定化しない。なお、できれば、印刷パターン層4の厚み17を、印刷パターン孔8の幅16のうちの最小幅の1倍以上に設定するのがより好ましい。これは、前述の距離14が更に充分に長くなるため、スクリーンメッシュ3の影響が軽減されるのに加え、印刷パターン孔8内での印刷ペースト10の流れの整流化が進み、印刷ペースト10の押出し量が一層安定化するからである。
【0072】
更に、印刷パターン孔の幅を30〜80μmで、スクリーンメッシュの線径3bを20μm以上に設定するのが好ましい。
【0073】
これにより、スクリーンメッシュ3の太線化の影響を最小限に抑えた上で、印刷ペースト10の安定した押出し量を確保することができるため、印刷精度を高く維持しつつ、スクリーンメッシュ3が破損しにくくなってスクリーンマスク1の寿命を延ばすと共に、安価な目が粗いスクリーンメッシュ3を使用して部品コストを低下させることができる。
【0074】
この際、印刷パターン孔8の幅16が30μm未満では、線径20μm以上の太いスクリーンメッシュ3による影響で印刷ペースト10の流れが大きく乱れ、印刷ペースト10の押出し量がばらついて断線等のトラブルが発生する。印刷パターン孔8の幅16が80μm超えでは、押出し口7bから押し出される印刷ペースト10の流速を充分には大きくできず、印刷ペースト10の粘性等の特性や印刷パターン孔8、メッシュ側パターン孔9の形状によっては流速が低くなりすぎ、印刷ペースト10の安定した押出し量を確保するのが難しくなる。スクリーンメッシュ3の線径が20μm未満では、スクリーンメッシュ3の寿命はそれほど改善されず、スクリーンメッシュ3の太線化の効果が充分には得られない。
【0075】
加えて、印刷パターン層4は、メッシュ側パターン層5よりも軟質であるのが好ましい。
【0076】
これにより、印刷パターン層4の一面である前述の反対面4bを、より硬質のメッシュ側パターン層5によって支持しつつ、印刷パターン層4の他面である対向面4aを被印刷物6に接触させることができ、印刷パターン層4が被印刷物6の表面形状に沿って変形するようになり、スクリーンマスク1の被印刷物6への追従性が高まり、印刷精度を更に向上させることができる。
【0077】
なお、本実施例では、印刷パターン層4、メッシュ側パターン層5の硬軟は、感光によって硬化した感光性乳剤から幅50mm、平行部の長さ200mmのサンプルを作製し、張り試験を行って応力ひずみ線図を求め、同一応力におけるひずみ量で比較した。これ以外に、引っかき硬度(JIS K 5600−5−4)で測定しても良く、測定方法としては両層間の硬軟を相対比較できる方法であればよく、特に限定されるものではない。
【0078】
また、以上のような構成の印刷パターン層4の別形態について説明する。
図3(a)に示す印刷パターン層4Aは、前述の印刷パターン層4の被印刷物6側の表面に、シリコン系乳剤から成る硬質層18を設けて構成されるものであり、スクリーンマスク1Aの耐久性向上を図ったものである。
【0079】
ここで、シリコン系乳剤は通常の感光性乳剤よりも硬質に硬化するため、層厚が薄くても高い下地保護性を有する。具体的には、液状のシリコン系乳剤を印刷パターン層4の対向面4aに塗布し、前述の如く露光、現像する等して、硬質層18が設けられる。
【0080】
これにより、印刷時に、従来の印刷パターン層4と被印刷物6との間に、硬質層18を硬い保護層として介設することができ、たとえ、被印刷物6上やその周辺に存在する異物、被印刷物6自体の凸部等が印刷パターン層4Aに接触しても、印刷パターン層4Aが損傷されにくくなる。更に、スクリーンマスク1Aの洗浄時に、洗浄液や手拭きとの間にも、硬質層18を硬い保護層として介設することができ、洗浄液や手拭きによる機械的な損傷を防ぐことができる。従って、スクリーンマスク1Aの寿命が延びて耐久性を更に向上させることができる。
【0081】
図3(b)に示す印刷パターン層4Bは、前述の印刷パターン層4の被印刷物6側に、印刷パターン層4のアセタール化合物から成る硬質域19を設けて構成されるものであり、スクリーンマスク1Bの耐久性向上等を図ったものである。
【0082】
ここで、アセタール化合物とは、OH基を有する感光性乳剤にグルタルアルデヒド等を加え、脱水反応を起こさせたものであり、脱水前の印刷パターン層4よりも硬質となって、高い下地保護性を有する。具体的には、グルタルアルデヒド、塩酸から成る処理液を印刷パターン層4の対向面4aに塗布し表層部で反応させるようにして、硬質域19が形成される。なお、このアセタール化反応は無触媒でも進行するものの、反応を促進すべく、本実施例では塩酸を酸触媒として用いた。なお、このような酸触媒としては、塩酸を含め、例えば、硫酸、燐酸、硝酸、塩酸、ホウ酸等の無機酸およびその塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の有機酸およびその塩、陽イオン交換樹脂、シリカアルミナ、ゼオライト、活性白土等の固体酸などが挙げられるが、その種類は特に限定されるものではない。
【0083】
これにより、印刷時に、従来の印刷パターン層4の対向面4aの近傍に、硬い保護域を設けることができ、たとえ、被印刷物6上やその周辺に存在する異物、被印刷物6自体の凸部等が印刷パターン層4Bに接触しても、印刷パターン層4Bが損傷されにくくなる。更に、スクリーンマスク1Bの洗浄時に、洗浄液や手拭きとの間にも、硬質域19を硬い保護域として介設することができ、洗浄液や手拭きによる機械的な損傷を防ぐことができる。従って、スクリーンマスク1Bの寿命が延びて耐久性を更に向上させることができる。加えて、この硬質域19は、上述したような簡単な改質操作によって形成することができ、新たな乳剤を準備する必要がなく、スクリーンマスク1Bの製造時間の短縮や製造コストの低減を図ることができる。
【0084】
次に、以上のような構成のスクリーンマスク1の製造方法について、
図4乃至
図7により説明する。なお、本発明を適用したスクリーンマスク1の製造方法は、以下に記載する内容に限定されるものではなく、適宜変更しうるものである。
【0085】
[第1工程S1(張設作業)]
まず、
図4(a)に示すように、フレーム2を枠平面が略水平となるように設置して洗浄した後、スクリーンメッシュ3の外周縁3aを、所定の張力をかけながら接着剤によりフレーム2に固定する。これにより、スクリーンメッシュ3をフレーム2内に張設し、スクリーンマスク1の基礎部を形成することができる。
【0086】
[第2工程S2における塗布過程S2a(感光性乳剤の塗布作業)]
続いて、
図4(b)に示すように、スクリーンメッシュ3をメッシュ面が略鉛直となるように立設した上で、液状の感光性乳剤21を入れたバケット20の先部20aを、スクリーンメッシュ3の印刷側下端に当接し、その後、
図4(c)に示すように、バケット20を下方から上方に向かって移動させる。これにより、スクリーンメッシュ3に、メッシュ側パターン層5となる感光性乳剤21から成る第1乳剤層21aを設ける。
【0087】
そして、この感光性乳剤21の塗布と乾燥を何度も繰り返すことにより、感光性乳剤21の膜厚(以下、「乳剤膜厚」とする)を所定の厚さに設定する。この塗布作業は、塗布用の機械による自動の塗布作業、人の手を介した手動の塗布作業のいずれであってもよい。
【0088】
この際、バケット20の上方移動時に、バケット20の先部20aで感光性乳剤21の表面を平らに均しながら塗布するようにしている。これにより、第1乳剤層21aを均一な乳剤膜厚を有する平板状に形成することができる。
【0089】
なお、本実施例では、液状の感光性乳剤21をスクリーンメッシュ3に塗布して第1乳剤層21aを形成しているが、所望の乳剤膜厚を有するシート状の感光性乳剤をスクリーンメッシュ3に貼付するようにしてもよい。これにより、できあがったメッシュ側パターン層5の層厚のばらつきを低減することができる。
【0090】
そして、このシート状の感光性乳剤の貼付は、鉛直に立設したスクリーンメッシュ3に液状の感光性乳剤21を薄く塗布した後、その塗布面に下方から感光性乳剤のシートを貼り付けるようにして行う。
【0091】
[第2工程S2における露光過程S2b(第1乳剤層の露光作業)]
その後、
図5(a)に示すように、塗布過程S2aで設けた感光性乳剤21から成る第1乳剤層21aに、メッシュ側パターン層5用の第1フォトマスク22を重ね、その上方に配置した照明23から光線を照射することにより、メッシュ側パターン孔9となる未硬化領域24を有するメッシュ側パターン層5を設ける。これにより、メッシュ側パターン孔9に従ったメッシュ側パターンを、メッシュ側パターン層5に形成することができる。なお、光線とは、紫外線のみならず可視光も含む。
【0092】
詳しくは、第1フォトマスク22では、ガラス、PETフィルム等の光線が透過する部材の中でメッシュ側パターン孔9に対応する位置に、光線が透過しないフォトマスクパターン部22aが形成されている。
【0093】
そこで、照明23から光線を照射すると、フォトマスクパターン部22aでは光線が透過せず、第1乳剤層21aでこのフォトマスクパターン部22aの下方に位置する部分には、光線が照射されずに、
図5(b)に示すように、そのまま前述の未硬化領域24となる。それ以外の領域では、光線が第1フォトマスク22を透過し、第1乳剤層21aに光線が照射され、光線が照射された感光性乳剤21が硬化して硬化領域25となる。
【0094】
[第2工程S2における塗布過程S2c(感光性乳剤の塗布作業)]
続いて、塗布過程S2aと同様、
図5(c)に示すように、露光過程S2bでメッシュ側パターン層5を設けたスクリーンメッシュ3を略鉛直となるように立設した上で、液状の感光性乳剤26を入れたバケット20の先部20aを、メッシュ側パターン層5の印刷側下端に当接し、その後、
図5(d)に示すように、バケット20を下方から上方に向かって移動させる。これにより、メッシュ側パターン層5に、印刷パターン層4となる感光性乳剤26による第2乳剤層26aを設ける。
【0095】
なお、ここで使用する感光性乳剤26は、第1乳剤層21aを形成するのに使用した感光性乳剤21と同一のものであっても、異なるものであってもよい。ただし、前述の如く、印刷パターン層4をメッシュ側パターン層5よりも軟質とするような場合は、両パターン層4、5の機械的特性に大きな差異を設やすいように、異なる種類のものが好ましい。
【0096】
そして、この塗布過程S2cにおいても、感光性乳剤26の塗布と乾燥を何度も繰り返すことにより、感光性乳剤26の乳剤膜厚を所定の厚さに設定すると共に、この塗布作業は、塗布用の機械による自動の塗布作業、人の手を介した手動の塗布作業のいずれであってもよい。更に、所望の乳剤膜厚を有するシート状の感光性乳剤をメッシュ側パターン層5に貼付してもよい。
【0097】
[第2工程S2における露光過程S2d(第2乳剤層の露光作業)]
その後、露光過程S2bと同様、
図6(a)に示すように、塗布過程S2cで設けた感光性乳剤26による第2乳剤層26aに、印刷パターン層4用の第2フォトマスク27を重ね、その上方に配置した照明23から光線を照射することにより、メッシュ側パターン孔9に対応する印刷パターン孔8となる未硬化領域28を有する印刷パターン層4を設ける。これにより、印刷パターン孔8に従った印刷パターンを、被印刷物6に転写可能な印刷パターン層4に形成することができる。
【0098】
詳しくは、露光過程S2bと同様、第2フォトマスク27には、印刷パターン孔8に対応する位置に、光線が透過しないフォトマスクパターン部27aが形成されており、照明23から光線を照射すると、フォトマスクパターン部27aでは光線が透過せず、第2乳剤層26aでこのフォトマスクパターン部27aの下方に位置する部分には光線が照射されない。
【0099】
このため、
図6(b)に示すように、そのまま未硬化領域28となり、それ以外の領域では、光線が第2フォトマスク27を透過して第2乳剤層26aに光線が照射され、光線が照射された感光性乳剤26が硬化して硬化領域29となる。
【0100】
[第3工程S3(現像作業)]
続いて、露光過程S2dまでで形成されたメッシュ側パターン層5、印刷パターン層4を洗浄し、各層に形成された未硬化領域24、28を洗い流す。これにより、前述したような印刷パターン孔8よりも幅広のメッシュ側パターン孔9を形成することができる。
【0101】
詳しくは、
図6(c)に示すように、露光過程S2dで形成し未硬化領域24、28が残る状態のスクリーンマスク1を上下反転し、幅広の未硬化領域24が上にくるようにしてから、洗浄液としての水をスクリーンマスク1全体にかける。
【0102】
すると、
図6(d)に示すように、上半部の未硬化領域24を溶かした洗浄水が、そのまま下半部の未硬化領域28を溶かして、両未硬化領域24、28が一緒に洗い流される。そして、未硬化領域24の流出跡にメッシュ側パターン孔9が形成され、未硬化領域28の流出跡に印刷パターン孔8が形成される。一方、硬化領域25、29は、そのまま層を構成する部分となる。続いて乾燥すると、メッシュ側パターン層5、印刷パターン層4となって、スクリーンマスク1が完成する。
【0103】
更に、このような印刷パターン孔8よりも幅広のメッシュ側パターン孔9を形成する際は、
図7(a)に示すように、メッシュ側パターン孔9となる未硬化領域24の幅15aが、印刷パターン孔8となる未硬化領域28の幅16aよりも大きく、すなわち、未硬化領域24が未硬化領域28よりも幅広に形成された状態で、メッシュ側パターン層5、印刷パターン層4を同時に洗浄して両未硬化領域24、28を洗い流すようにしている。
【0104】
この際、
図7(b)に示すように、上方から流れ落ちる洗浄水により、連設されている未硬化領域24から未硬化領域28にかけては短時間で溶解し、未硬化領域28の下部から即座に流下排出されるが、硬化領域25、29で未硬化領域24、28に近接する境界近傍部25a、29aは、硬化が不充分なため洗浄水を吸って著しく膨潤する。なお、この境界近傍部25a、29aは、
図7(b)(c)に示すように、それぞれ、最終的にはメッシュ側パターン孔9、印刷パターン孔8を構成する各孔内壁9a、8aを構成する。
【0105】
しかし、本実施例のメッシュ側パターン層5においては、未硬化領域24が溶け落ちた後の空間であるメッシュ側パターン孔9が充分に大きくなるため、左右の境界近傍部25a、25aが膨出しても、互いに当接することはない。
【0106】
一方、印刷パターン層4においては、未硬化領域28が溶け落ちた後の空間である印刷パターン孔8は狭いものの、左右の境界近傍部29aの上端角部29a2、29a2はメッシュ側パターン孔9内に突き出た自由端部分となっている。このため、左右の境界近傍部29a、29aの膨出部29a1、29a1の大部分は、メッシュ側パターン孔9内に向かって上斜め内方に膨出し、狭い印刷パターン孔8内を内方に向かって膨出することがない。
【0107】
すなわち、幅狭の印刷パターン孔8の未硬化領域28と幅広のメッシュ側パターン孔9の未硬化領域24とが連設されているため、水洗中に、印刷パターン孔8を形成する硬化済みの孔内壁8aがたとえ洗浄水を吸水して膨潤しても、その膨潤による体積増加分は、印刷パターン層4からメッシュ側パターン孔9内に突き出た自由端部分である上端角部29a2に集中し、印刷パターン孔8の孔内方への膨出が軽減される。
【0108】
これに対し、従来の如く、メッシュ側パターン層5にある未硬化領域が、
図7(a)に示す領域30のように、印刷パターン層4にある未硬化領域28と略同じ幅で同じ線上に形成されている場合には、メッシュ側パターン層5、印刷パターン層4のいずれにおいても、空間が小さい上に、自由端が少なくて膨潤による境界近傍部の膨出の逃げ代がほとんどない。このため、境界近傍部25a、29aからの膨出部が狭い空間内に向かって膨出し互いに当接して接着する。すると、洗浄後に乾燥しても、左右の膨出部が空間内に橋設された状態となって、メッシュ側パターン孔、印刷パターン孔が共に閉塞される。
【0109】
このようにして、洗浄水の吸水に伴う孔内壁8a、9aの孔内方への膨出により印刷パターン孔8が閉塞するのを確実に防止し、印刷精度の更なる向上を図ることができる。なお、本実施例では、メッシュ側パターン孔となる未硬化領域の幅15a、印刷パターン孔となる未硬化領域の幅16aは、それぞれ、メッシュ側パターン孔の幅15、印刷パターン孔の幅16と略同幅としているが、異なる幅であってもよく、幅15aが幅16aよりも幅広であれば特に限定されるものではない。
【0110】
以上のように、本発明を適用したスクリーンマスクは、簡単で安価な構造でありながら耐久性に優れ、高精度な印刷を確実に実現可能とするものとなっている。
また、本発明を適用したスクリーンマスクの製造方法は、現像作業中における印刷パターン孔の閉塞を確実に防止可能なものとなっている。