(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多変量解析処理部は、多変量解析に重回帰分析を行い、前記GM−BHQを推定するためのGM−BHQ用重回帰式係数と、前記FA−BHQを推定するためのFA−BHQ用重回帰式係数を出力するものである、
請求項2に記載の脳情報解析装置。
被験者の脳画像データから複数の灰白質量データを得る灰白質量算出部と、複数の前記灰白質量データの平均値を算出した値であるGM−BHQを出力する平均値演算部と、被験者を一意に識別する被験者IDと、前記GM−BHQとを紐付けて登録するBHQテーブルと、前記被験者IDと前記被験者の健康診断結果を紐付けて登録する健康診断テーブルと、前記BHQテーブルと前記健康診断テーブルを、前記被験者IDにて紐付けた上で多変量解析を行い、前記GM−BHQを推定するための特徴量を出力する多変量解析処理部とを具備する脳情報解析装置が出力した前記特徴量を用いて、任意の被験者の健康診断結果に多変量解析に基づく推定を行い、GM−BHQ推定値を出力する、多変量推定処理部と
を具備する、脳健康指標演算装置。
前記多変量解析処理部は、多変量解析に重回帰分析を行い、前記GM−BHQを推定するためのGM−BHQ用重回帰式係数と、前記FA−BHQを推定するためのFA−BHQ用重回帰式係数を出力するものであり、
前記多変量推定処理部は、前記任意の被験者の前記健康診断結果に、前記GM−BHQ用重回帰式係数及び前記FA−BHQ用重回帰式係数に基づく重回帰式の演算を行い、GM−BHQ推定値及びFA−BHQ推定値を出力するものである、
請求項5に記載の脳健康指標演算装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、本発明の実施形態に係る、脳情報解析装置101の概略図である。
脳情報解析装置101は、大容量の不揮発性ストレージと、所定の演算能力を備えるパソコンあるいはサーバである。
脳情報解析装置101には、(1)被験者の脳をMRI装置102で撮影して得た、MRI画像ファイル群103と、(2)被験者が受診した健康診断の結果を記した、健康診断結果データ104と、(3)被験者が所定の生活環境アンケートに回答した結果を記した、生活環境アンケート結果データ105が入力され、データベースとして蓄積される。MRI画像ファイル群103、健康診断結果データ104、そして生活環境アンケート結果データ105は、全て被験者106を一意に識別する被験者IDによって紐付けされる。特に、MRI画像ファイル群103を保存するために、脳情報解析装置101には大容量の不揮発性ストレージが必要になる。
【0011】
MRI画像ファイル群103とは、MRI装置102が被験者106の脳を撮影した複数の画像ファイルである。被験者106の脳を仮想的に輪切り状態にて撮影した画像ファイルが、頭頂部から首に至る迄、複数枚得られる。この、複数枚の画像ファイルを用いて、被験者106の脳を三次元空間的に解析する。
【0012】
健康診断結果データ104は、通常の健康診断にて得られる診断結果の情報の集合体である。被験者106の年齢、身長、体重、視力、聴力、体脂肪率、BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)、血中中性脂肪値、γGTP(γ-glutamyltransferase:ガンマグルタミルトランスフェラーゼ)等、年に一回実施される健康診断の診断結果の情報である。これらのデータは、被験者106から機械的あるいは化学的な手段で取得される、被験者106の主観が入り込む余地のない、客観的な測定結果である。なお、健康診断に留まらず、被験者106から日常的に計測を行った体重や血圧等の生体計測データ、歩数や活動量等のライフログデータも、この健康診断結果データ104に含めることができる。
【0013】
生活環境アンケート結果データ105は、健康診断の際に設問され、被験者106が回答する種々のアンケートの他に、精神神経系の健康指標を推し量るためのアンケートも含まれる。例えば、以下の様な項目について設問を設け、被験者106に回答させる。
(1)階層帰属意識及び金融不安を含む社会経済的な状況の自覚
(2)生活に関する満足感と生活向上への意識を含む健康で安心なことについての自覚
(3)個人的な価値観、ポスト物質主義(物質や経済的な富よりも精神や心の安寧(リッチネス)を優先させる考え方)及びエピクロス主義(将来の為の準備よりも現在に生きることに優先権を与えて生きる主義)
すなわち、これらのデータは健康診断結果データ104とは異なり、被験者106の主観が混じるアンケート結果等の情報である。
【0014】
脳情報解析装置101は、先ず、MRI画像ファイル群103から所定の画像解析処理を用いて、脳情報を取得する。次に、この脳情報の平均値を算出する。そして、脳情報解析装置101は算出した脳情報の平均値を目的変数として、健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を説明変数として、重回帰分析を行い、重回帰式係数107を算出する。
【0015】
図1Bは、脳情報解析装置101が算出した重回帰式係数107を利用した、脳健康指標演算装置111の概略図である。
脳健康指標演算装置111は、一般的なパソコンで実現できる。また、近年普及しているスマートフォン等の携帯型無線端末や、ワンチップマイコンを使用する体脂肪計等の健康器具でも実現できる。
脳健康指標演算装置111は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を入力されると、脳情報解析装置101が使用していた重回帰式と、脳情報解析装置101が算出した重回帰式係数107を用いて、診断結果112として当該被験者106の脳情報の平均値を推定する。
つまり、脳情報の平均値は、人の健康の指標となる値である。脳情報の平均値は、
図3以降で詳述する。
【0016】
図2は、脳情報解析装置101の、ハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的なパソコンやサーバである脳情報解析装置101は、CPU201、ROM202、RAM203、液晶ディスプレイ等の表示部204、キーボードやマウス等の操作部205、ハードディスク装置等の不揮発性ストレージ206がバス207に接続されている。バス207にはこの他に、MRI画像ファイル群103と、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を受け付けて、不揮発性ストレージ206内に形成するデータベースに登録するための、シリアルポート208やNIC(Network Interface Card)209が接続されている。不揮発性ストレージ206には、OSと、パソコンやサーバを脳情報解析装置101として稼働させるためのプログラムと、
図3にて後述する種々のデータベースが格納されている。
なお、脳情報解析装置101がサーバである場合、NIC209は必須だが、表示部204と操作部205は必ずしも必要ではなく、シリアルポート208は不要である。その場合、ネットワークを通じてサーバを操作する端末が別途用意されていればよい。
図2に示す脳情報解析装置101のブロック図は、ほぼそのまま脳健康指標演算装置111にも共通する。
【0017】
図3は、脳情報解析装置101の、ソフトウェア機能を示すブロック図である。
図1Aにて説明したように、脳情報解析装置101は、MRI画像ファイル群103と、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を受信する。
灰白質量算出部301は、MRI画像ファイル群103を読み込み、脳の特定部位における灰白質の量を示す、灰白質量データ群302を算出する。灰白質量データ群302は、脳の116箇所の部位における灰白質量データの集合体である。
神経線維異方性算出部303は、MRI画像ファイル群103を読み込み、脳の特定部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値を示す、神経線維異方性データ群304を算出する。神経線維異方性データ群304は、脳の48箇所の部位における白質を構成する神経線維の異方性の指標値の集合体である。
【0018】
灰白質量算出部301が算出した灰白質量データ群302と、神経線維異方性算出部303が算出した神経線維異方性データ群304は、被験者106の被験者ID305と共に、脳情報テーブル306に登録される。
脳情報テーブル306は、被験者IDフィールドと、116個の灰白質量データフィールドと、48個の神経線維異方性データフィールドよりなる。すなわち、灰白質量データ群302と神経線維異方性データ群304は、被験者106の被験者ID305に紐付けられて、脳情報テーブル306に登録される。
なお、MRI画像ファイル群103は貴重な画像データの集合体であるので、これも被験者ID305に紐付けられて、大容量の不揮発性ストレージ206に記憶される。本発明の実施形態では、MRI画像ファイル群103をこれ以降の説明では使用しないので、図示及び詳述を略す。
【0019】
脳情報テーブル306に格納された116個の灰白質量データ群302と、48個の神経線維異方性データ群304は、それぞれ平均値演算部307に入力される。
平均値演算部307は、116個の灰白質量データ群302の平均値を算出する。これ以降、灰白質量データ群302の平均値をGM−BHQ(Grey-Matter Brain Healthcare Quotient)と呼ぶ。GM−BHQは単一のスカラ値である。
同様に、平均値演算部307は、48個の神経線維異方性データ群304の平均値を算出する。これ以降、神経線維異方性データ群304の平均値をFA−BHQ(fractional anisotropy Brain Healthcare Quotient)と呼ぶ。FA−BHQもGM−BHQと同様、単一のスカラ値である。
【0020】
平均値演算部307が算出したGM−BHQ及びFA−BHQは、被験者106の被験者ID305と共に、BHQテーブル308に登録される。
BHQテーブル308は、被験者IDフィールドと、GM−BHQフィールドと、FA−BHQフィールドよりなる。すなわち、GM−BHQとFA−BHQは、被験者106の被験者ID305に紐付けられて、BHQテーブル308に登録される。
これら、GM−BHQとFA−BHQが、後述する重回帰式における目的変数となる。
【0021】
一方、健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105は、被験者106の被験者ID305と共に、健康診断テーブル309に登録される。
健康診断テーブル309は、被験者IDフィールドと、項目毎の健康診断結果データフィールドと、項目毎の生活環境アンケート結果データフィールドよりなる。すなわち、健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105は、被験者106の被験者ID305に紐付けられて、健康診断テーブル309に登録される。
これら、健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105が、後述する重回帰式における説明変数となる。
【0022】
重回帰分析処理部310は、BHQテーブル308から目的変数であるGM−BHQを、健康診断テーブル309から説明変数である健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を、それぞれ読み込み、被験者ID305で紐付けた上で、GM−BHQにおける重回帰式の係数を算出し、GM−BHQ推定のための重回帰式係数である、GM−BHQ用重回帰式係数311を出力する。
同様に、重回帰分析処理部310は、BHQテーブル308から目的変数であるFA−BHQを、健康診断テーブル309から説明変数である健康診断結果データ104と生活環境アンケート結果データ105を、それぞれ読み込み、被験者ID305で紐付けた上で、FA−BHQにおける重回帰式の係数を算出し、FA−BHQ推定のための重回帰式係数である、FA−BHQ用重回帰式係数312を出力する。
これら、GM−BHQ用重回帰式係数311及びFA−BHQ用重回帰式係数312が、
図1A及び
図1Bにて説明した、重回帰式係数107である。
【0023】
図4は、脳健康指標演算装置111の、ソフトウェア機能を示すブロック図である。
重回帰式演算処理部401は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を読み込むと、
図3にて説明した、脳情報解析装置101が出力したGM−BHQ用重回帰式係数311を用いて、脳情報解析装置101の重回帰分析処理部310で使用した重回帰式の演算を行い、当該被験者106の、GM−BHQ推定値402を出力する。
同様に、重回帰式演算処理部401は、任意の被験者106の健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105を読み込むと、
図3にて説明した、脳情報解析装置101が出力したFA−BHQ用重回帰式係数312を用いて、脳情報解析装置101の重回帰分析処理部310で使用した重回帰式の演算を行い、当該被験者106の、FA−BHQ推定値403を出力する。
これら、GM−BHQ推定値402及びFA−BHQ推定値403が、
図1Bにて説明した、診断結果112である。
【0024】
図1では理解を容易にするために診断結果112と書いたが、実際には被験者106の脳の健康指標を推定した「推定脳健康指標」という方が正確である。脳健康指標演算装置111に健康診断データとアンケート結果を入力すれば、MRI装置102を使わなくとも、被験者106の脳の健康状態を推定することができる。
【0025】
勿論、重回帰式演算処理部401が読み込む健康診断結果データ104と、生活環境アンケート結果データ105は、脳情報解析装置101が読み込んだ、被験者106達が受診した健康診断やアンケートと同じ内容である必要がある。
すなわち、脳健康指標演算装置111の主要な演算処理は、1次関数である重回帰式の計算を行うだけである。この演算処理に大量のデータ処理等は存在しない。周知のように、重回帰式の計算は四則演算で実現できるので、ワンチップマイコン等、演算能力の乏しい低資源装置と呼ばれる計算機資源でも、十分実用になる。
【0026】
例えば、体重、体脂肪率、内臓脂肪レベル、皮下脂肪率、基礎代謝、骨格筋率、BMI、体年齢等を測定できる体組成計に、本発明の実施形態に係る脳健康指標演算装置111を適用することを考える。体組成計には、利用者の生年月日と身長を登録することが可能である。しかし、健康診断における血液検査にて得られる値を登録することは面倒であるし、毎日使用される体組成計が得る前述の様々な値と測定日時が食い違うため、現実的ではない。そこで、脳情報解析装置101は、体組成計が取得可能な情報だけを使用した、GM−BHQ用重回帰式係数311とFA−BHQ用重回帰式係数312を算出する。この、体組成計用のGM−BHQ用重回帰式係数311とFA−BHQ用重回帰式係数312を用いれば、体組成計も脳健康指標演算装置111として機能することができる。健康診断や生活環境アンケート結果等の全ての情報が揃っている場合と比べると推定精度は落ちるが、有意な健康指標として、体組成計がGM−BHQ推定値402とFA−BHQ推定値403を出力することが可能になる。
【0027】
また、発明者等は、脳情報解析装置101に登録された被験者106のGM−BHQ及びFA−BHQを説明変数に、そして被験者106の年齢を目的変数として重回帰分析を行ったところ、これもまた良好な結果が得られた。このことから、ある被験者106の脳画像データを得ると、重回帰分析にて「脳の年齢」を推定することが可能になる。
【0028】
図5は、被験者106の脳画像データから算出したGM−BHQと年齢との関係を示すグラフと、FA−BHQと年齢との関係を示すグラフである。グラフ中、横軸が年齢で、縦軸がGM−BHQ及びFA−BHQである。これらのグラフは、発明者等が本発明の実施形態に係る脳情報解析装置101及び脳健康指標演算装置111を完成するに至った、多数の被験者106の脳画像データを解析した結果である。
全てのデータの基となる被験者106は、男性80名、女性64名よりなる144名の健常者で、26歳から69歳である。平均年齢は48.5歳、年齢の標準偏差は8.05である。
本発明に関わる調査は、理化学研究所、京都大学、東京大学の倫理委員会によって承認されたものであり、これらの研究機関の規則及びガイドラインに従って実施された。全ての参加者から、参加前に文書による同意を得て行った。
全てのMRI画像データは、理化学研究所、京都大学及び東京大学で32チャンネルのヘッド・アレイ・コイルを用いて、3Tシーメンス・スキャナを使用して収集された。
【0029】
GM−BHQの基となる灰白質質量データを取得するために、構造MRI(sMRI)を用いて、三次元磁化準備高速グラディエント・エコー(MPRAGE)画像を取得した。画像データから灰白質のみをピクセルの濃度範囲を指定することで抽出し、DARTEL(diffeomorphic anatomical registration through exponentiated Lie algebra)による標準化を施した。そして、得られた画像に積分による平滑化処理を施した後、被験者106の頭蓋内容積で除算をすることで、脳の容積の個人差を打ち消して、最終的な灰白質量データを取得した。
【0030】
FA−BHQの基となる神経線維異方性データを取得するために、拡散テンソル画像(DTI:Diffusion Tensor Imaging)の基となる拡散テンソルデータを、SE−EPI(Spin-Echo Echo-Planner Imaging)を用いて取得した。DTIからFA(Fractional anisotropy:拡散の非等方性の程度を表す指標)を取得して、最終的な神経線維異方性データを取得した。
【0031】
GM−BHQのグラフを見ると、年齢とGM−BHQは比較的急峻な負の比例関係にあることが判る。GM−BHQの相関係数Rは0.61であった。なお、グラフ中の破線L501は、重回帰分析による重回帰式よりなる1次関数の線である。破線L501の傾きは−0.6、y切片は131である。この線が年齢に対するGM−BHQ推定値402に相当する。
FA−BHQのグラフを見ると、年齢とFA−BHQは比較的緩やかな負の比例関係にあることが判る。FA−BHQの相関係数Rは0.42であった。なお、グラフ中の破線L502は、重回帰分析による重回帰式よりなる1次関数の線である。破線L502の傾きは−0.2、y切片は109である。この線が年齢に対するFA−BHQ推定値403に相当する。
これら
図5のグラフを見て判るように、GM−BHQ及びFA−BHQは、被験者106の年齢と有意な相関関係が認められる。
大雑把に言い換えると、人は加齢と共に脳の灰白質量が減少することが、このグラフから判る。また、人は加齢と共に脳の白質に含まれる神経線維の密度が低下することが、このグラフから判る。
【0032】
従来、脳科学では116個の灰白質量データと、48個の神経線維異方性データについて、個別に研究を重ねてきた。しかし、基となる脳画像データのサンプル数が少ない状況で、これだけ変数の数が多いと、統計的解析手法に適さない。
発明者等は、この膨大な変数の数を減らす方法を試行錯誤してきた。その結果、単純な平均値にすることで、基となる多数の変数から生じるばらつきが良い具合に平準化され、人の身体及び精神の健康を示す、使い勝手が良い情報として利用可能であることが判った。
116個の灰白質量データと、48個の神経線維異方性データを、それぞれ単一のスカラ値である平均値として変換することで、シンプルな重回帰分析が利用可能になった。
【0033】
なお、本発明の実施形態における脳情報解析装置101及び脳健康指標演算装置111では、多変量解析として重回帰分析を採用したが、周知のように多変量解析は重回帰分析に留まらない。ロジスティック回帰、主成分分析、ベイズ推定、サポートベクターマシン等、種々の多変量解析を適用可能である。但し、脳情報解析装置101にて採用する多変量解析と、脳健康指標演算装置111にて採用する多変量推定は同じものを使用する必要がある。例えば、ベイズ推定の場合は、脳健康指標演算装置111に脳情報解析装置101が作成したデータセットを持たせる必要がある。
すなわち、脳情報解析装置101における重回帰分析処理部310の上位概念は多変量解析処理部であり、多変量解析処理部が出力する重回帰式係数の上位概念は特徴量であり、脳健康指標演算装置111における重回帰式演算処理部401の上位概念は多変量推定処理部である。
【0034】
本発明の実施形態では、脳情報解析装置101及び脳健康指標演算装置111を説明した。
脳情報解析装置101は、被験者106のMRI画像ファイル群103から、116個の灰白質量データと、48個の神経線維異方性データを取得する。そして、灰白質量データの平均値を算出したGM−BHQと、神経線維異方性データの平均値を算出したFA−BHQを目的変数として、被験者106の健康診断結果と生活環境アンケート結果を説明変数として、重回帰分析を行い、係数を算出する。脳健康指標演算装置111は、この係数を用いることで、健康の指標となるGM−BHQ及びFA−BHQを推定することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性あるいは不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。