特許第6782007号(P6782007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782007
(24)【登録日】2020年10月21日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】オンボード映像中継システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/238 20110101AFI20201102BHJP
   H04H 20/04 20080101ALI20201102BHJP
   H04H 60/85 20080101ALI20201102BHJP
   H04N 21/2187 20110101ALI20201102BHJP
【FI】
   H04N21/238
   H04H20/04
   H04H60/85
   H04N21/2187
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-178479(P2016-178479)
(22)【出願日】2016年9月13日
(65)【公開番号】特開2018-46354(P2018-46354A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年7月19日
【審判番号】不服2020-9285(P2020-9285/J1)
【審判請求日】2020年7月2日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516276029
【氏名又は名称】株式会社ユナイテッドジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】上山 勝利
【合議体】
【審判長】 千葉 輝久
【審判官】 小池 正彦
【審判官】 曽我 亮司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−117621(JP,A)
【文献】 特開2010−505324(JP,A)
【文献】 特開2002−84215(JP,A)
【文献】 特開2013−38499(JP,A)
【文献】 特開2015−35666(JP,A)
【文献】 特開2015−12063(JP,A)
【文献】 特開2005−19437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04H20/00-20/46
H04H20/51-20/86
H04H20/91-40/27
H04H40/90-60/98
H04N 7/10
H04N 7/14- 7/56
H04N21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レース車両に搭載されたオンボードカメラと、
前記レース車両に搭載された映像送信装置と、
前記レース車両に搭載された複数のデータ通信端末と、
広域IPネットワークに接続された映像受信サーバとを備え、
前記複数のデータ通信端末は、それぞれ、所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に接続し、
前記映像送信装置は、前記オンボードカメラで得られた映像信号を、同一の映像データとして重複的に、前記複数のデータ通信端末でそれぞれ、前記携帯電話通信網および前記広域IPネットワークを介して、前記映像受信サーバへ送信し、
前記映像受信サーバは、前記複数のデータ通信端末から送信されてきた複数系統の前記映像データをそれぞれ受信し、受信した複数系統の前記映像データに基づいて元の前記映像データを復元し、
前記映像受信サーバは、前記複数系統のうちのある系統において欠損している映像データを別の系統の映像データによって補完すること、
を特徴とするオンボード映像中継システム。
【請求項2】
前記複数のデータ通信端末は、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に接続可能なデータ通信端末であることを特徴とする請求項1記載のオンボード映像中継システム。
【請求項3】
前記複数のデータ通信端末は、前記レース車両のフロントウインドウガラス、および前記レース車両の左右の少なくとも一方のクォーターガラスの車内側に分散して設置されることを特徴とする請求項1記載のオンボード映像中継システム。
【請求項4】
前記複数のデータ通信端末は、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に接続可能なデータ通信端末であり、前記レース車両のフロントウインドウガラス、および前記レース車両の左右の少なくとも一方のクォーターガラスの車内側の設置箇所に分散して設置され、
前記設置箇所において、前記複数のデータ通信端末のうち、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に接続可能な少なくとも2つのデータ通信端末が設置されること、
を特徴とする請求項1記載のオンボード映像中継システム。
【請求項5】
前記映像送信装置は、略直方体の筐体を有し、前記レース車両のリアバルクヘッドの傾斜部分上に設置されることを特徴とする請求項1記載のオンボード映像中継システム。
【請求項6】
前記映像送信装置に対して設置される冷却装置と、前記レース車両の電装系のバッテリとは別のバッテリとをさらに備え、
前記レース車両のリアバルクヘッドは、リアエンジンとキャビンとの隔壁であって、
前記筐体は、金属製筐体であって、
前記冷却装置は、ヒートシンクと、前記ヒートシンクと前記金属製筐体とに接触するペルチェ素子と、前記ヒートシンクを冷却する冷却ファンとを備え、
前記バッテリは、前記映像送信装置、前記ペルチェ素子、および前記冷却ファンに電源電力を供給すること、
を特徴とする請求項5記載のオンボード映像中継システム。
【請求項7】
1つのレースを走行する複数のレース車両のそれぞれに対して、前記オンボードカメラ、前記映像送信装置、および前記複数のデータ通信端末が設置され、
前記映像受信サーバは、前記レース車両ごとに、前記複数のデータ通信端末から送信されてきた前記映像データをそれぞれ受信し、受信した複数の前記映像データに基づいて前記映像データを復元すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のオンボード映像中継システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンボード映像中継システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるレース中継システムでは、レース車両に搭載したカメラで得られた映像がインターネットサーバへ中継可能となっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
他方、ある管理システムでは、無線LAN(Local Area Network)を使用して、バスの車内映像を、停留所に設置した無線基地局を経由して取得している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−064511号公報
【特許文献2】特開2004−157819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1では、上述のレース中継システムにおいて、走行中のレース車両から映像を取得する方法について開示されていない。一般的に、フォーミュラ1などのレースでは、専用の無線システムが構築されており、専用の無線システムを使用して得られたオンボードカメラの映像が、TV中継などで放映されている。
【0006】
しかしながら、このような専用の無線システムを構築するにはコストが非常に高いため、予算が限定されている場合には導入できない。また、日本国内では、無線電波の特別使用許可を当局へ申請し当局から許可を受けた後でないと、そのような無線システムの実施ができないため、実施へのハードルが高く、現実的ではない。
【0007】
他方、上述の管理システムのように、無線LANを使用する場合、車載装置自体は比較的安価で設置できるが、無線LANの通信エリアは比較的狭いため、多くの無線基地局を野外に設置する必要がある。その結果、システム導入の費用が高くなるため、このようなシステムをカーレースの中継に導入することは難しい。
【0008】
また、レース車両のオンボードカメラの映像を無線通信で取得しようとした場合、上述のようなバスや一般的な自動車の車載カメラ映像を無線LANで取得する技術をそのまま使用しても、サーキットでのレース車両の高速な移動・旋回に起因する劣悪な無線通信環境では、良好な映像を継続的に得られない可能性が高い。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストでレース車両のオンボードカメラで得られた映像を良好に中継するオンボード映像中継システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るオンボード映像中継システムは、レース車両に搭載されたオンボードカメラと、そのレース車両に搭載された映像送信装置と、そのレース車両に搭載された複数のデータ通信端末と、広域IPネットワークに接続された映像受信サーバとを備える。その複数のデータ通信端末は、それぞれ、所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網に接続する。その映像送信装置は、オンボードカメラで得られた映像信号を、同一の映像データとして重複的に、複数のデータ通信端末でそれぞれ、携帯電話通信網および広域IPネットワークを介して映像受信サーバへ送信する。そして、映像受信サーバは、その複数のデータ通信端末から送信されてきた複数系統の映像データをそれぞれ受信し、受信した複数系統の映像データに基づいて元の映像データを復元する。映像受信サーバは、前記複数系統のうちのある系統において欠損している映像データを別の系統の映像データによって補完する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的低コストでレース車両のオンボードカメラで得られた映像を良好に中継するオンボード映像中継システムが得られる。
【0012】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るオンボード映像中継システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すオンボード映像中継システムにおける、レース車両1内でのオンボードカメラ11、映像送信装置12、および複数のデータ通信端末13−1〜13−Nの設置箇所を説明する図である。
図3図3は、図1に示すオンボード映像中継システムにおける映像送信装置12の構成を説明するブロック図である。
図4図4は、図1に示すオンボード映像中継システムにおける映像受信サーバ41の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
実施の形態1.
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係るオンボード映像中継システムの構成を示すブロック図である。図1に示すオンボード映像中継システムでは、レース車両1のオンボードカメラ11の映像がリモートセンタ4へ中継される。レース車両1は、例えばフォーミュラカー、GTカー、ラリーカーなどであって、レース場、一般道、特設ステージなどといった様々な形式の会場で競技を行うモータースポーツで使用される競技車両(オープンキャビンまたはクローズドキャビン)などである。
【0017】
図1に示すオンボード映像中継システムでは、レース車両1に、オンボードカメラ11と、映像送信装置12と、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nとが搭載されている。
【0018】
オンボードカメラ11は、レース車両1の前方などを撮影し、撮影によって得られた映像信号(動画像信号)を出力する。例えば、オンボードカメラ11は、車内に設置され、ドライバーの視線と略同一の高さに設置される。
【0019】
複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、それぞれ、所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続する無線通信端末である。複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、レース車両1のウィンドウの車内側に設置される。
【0020】
なお、レース場(サーキット)周辺には、互いに異なるキャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mの基地局2a,・・・,2bが設置されており、レース場(サーキット)は、各携帯電話通信網2−i(i=1,・・・,M)の通信エリアに含まれている。
【0021】
映像送信装置12は、オンボードカメラ11で得られた映像信号を、同一の映像データとして、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nでそれぞれ、携帯電話通信網2−1〜2Mおよびインターネット3を介して、後述の映像受信サーバ41へ送信する。ここでは、インターネット3は、広域IP(Internet Protocol )ネットワークの一例である。
【0022】
つまり、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nのうちの1つのデータ通信端末13−iと別のデータ通信端末13−jとは、同一の映像データを送信する。
【0023】
図2は、図1に示すオンボード映像中継システムにおける、レース車両1内でのオンボードカメラ11、映像送信装置12、および複数のデータ通信端末13−1〜13−Nの設置箇所を説明する図である。
【0024】
この実施の形態1では、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続可能なデータ通信端末である。例えば、データ通信端末13−1〜13−6が使用される場合、データ通信端末13−1,13−3,13−5は、携帯電話通信網2−1に接続可能なデータ通信端末とされ、データ通信端末13−2,13−4,13−6は、携帯電話通信網2−2に接続可能なデータ通信端末とされる。
【0025】
また、この実施の形態1では、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、レース車両1のフロントウインドウガラス1a、およびレース車両の左右の少なくとも一方(ここでは両方)のクォーターガラス1b(ここでは、リアクォーターガラス)の車内側に分散して(図2では3箇所に)設置される。
【0026】
さらに、この実施の形態1では、レース車両1のフロントウインドウガラス1a、およびレース車両の左右の少なくとも一方のクォーターガラス1bの車内側の設置箇所のそれぞれにおいて、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nのうち、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続可能な少なくとも2つのデータ通信端末13−i,13−jが設置される。例えば図2に示すように、フロントウインドウガラス1aの上側の隅部(ここでは、図2に示すように運転席とは反対側の隅部)に、データ通信端末13−1,13−2が設置され、右側のクォーターガラス(図示せず)に、データ通信端末13−3,13−4が設置され、左側のクォーターガラス1bに、データ通信端末13−5,13−6が設置される。
【0027】
さらに、この実施の形態1では、映像送信装置12は、略直方体の筐体を有し、レース車両1のリアバルクヘッド(隔壁)1cの傾斜部分上に設置される。なお、リアバルクヘッド1cの傾斜部分上の映像送信装置12と各データ通信端末13−iまとはケーブルで接続される。
【0028】
図3は、図1に示すオンボード映像中継システムにおける映像送信装置12の構成を説明するブロック図である。
【0029】
映像送信装置12は、映像コンバータ部21、ストリーム送信部22、およびインターフェイス部23を備える。
【0030】
映像コンバータ部21は、オンボードカメラ11により得られる所定の形式(HD−SDI、HDMI(登録商標)など)の映像信号を、所定の形式(H.264など)の映像データへ変換する。
【0031】
ストリーム送信部22は、映像コンバータ部21により生成された映像データを、所定のストリーミングプロトコル(MPEG(Moving Picture Experts Group)トランスポートストリーム、RTMP(Real Time Messaging Protocol)など)に従って、複数のデータ通信端末13−1〜13−N(ここでは、N=6)へインターフェイス部23を介して出力する。なお、データ通信端末13−1〜13−Nは6台に限定されない。
【0032】
インターフェイス部23は、所定の周辺機器インターフェイス(ここでは、USB(Universal Serial Bus)で、データ通信端末13−1〜13−Nとのデータ通信を行う。ここでは、USBカードタイプのデータ通信端末がデータ通信端末13−1〜13−Nとして使用される。なお、インターフェイス部23は、USB以外の周辺機器インターフェイスで、データ通信端末13−1〜13−Nとのデータ通信を行うようにしてもよい。
【0033】
さらに、この実施の形態では、レース車両1には、映像送信装置12に固定され映像送信装置12を冷却する冷却装置14と、レース車両1の電装系のバッテリとは別のバッテリ15とが設けられる。
【0034】
この実施の形態では、レース車両1のリアバルクヘッド1cは、リアエンジンとキャビン(ドライバーシートが設置されている車内空間)との隔壁であり、映像送信装置12の筐体は、金属製筐体であり、冷却装置14は、ヒートシンクと、そのヒートシンクと金属製筐体との間に配置されそのヒートシンクと金属製筐体とにそれぞれ接触するペルチェ素子と、そのヒートシンクを冷却する冷却ファンとを備える。
【0035】
そして、バッテリ15は、オンボードカメラ11、映像送信装置12、冷却装置14(つまり、ペルチェ素子および冷却ファン)に電源電力を供給する。なお、ここでは、データ通信端末13−1〜13−Nの電源電力は、映像送信装置12から供給される。ただし、バッテリ15からデータ通信端末13−1〜13−Nへ電源電力を直接供給するようにしてもよい。
【0036】
さらに、図1に示すオンボード映像中継システムでは、リモートセンタ4に、広域IPネットワーク(ここでは、インターネット3)に接続された映像受信サーバ41、映像コンバータ42、AV編集部43、AVコンバータ44、および配信サーバ45が設けられている。
【0037】
映像受信サーバ41は、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nから送信されてきた映像データをそれぞれ受信し、受信した複数の映像データに基づいて元の映像データを復元する。つまり、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nから送信されてきた映像データは、それぞれ異なる無線通信環境(つまり、キャリア(つまり基地局の違い)、基地局に対するデータ通信端末13−iの距離や向きなど)で伝送されるため、例えば、ある映像データが一時的に欠落しても、他の映像データで補完され、元の映像データが復元される。
【0038】
図4は、図1に示すオンボード映像中継システムにおける映像受信サーバ41の構成を説明するブロック図である。なお、図1には示していないが、例えば、映像受信サーバ41とインターネット3との間には、ルーター46が設けられており、映像受信サーバ41と映像コンバータ42とは、LAN47で接続される。
【0039】
図4に示すように、映像受信サーバ41は、ネットワークインターフェイス51、演算処理装置52、および通信装置53を備える。
【0040】
ネットワークインターフェイス51は、ルーター46を介してインターネット3に接続され、ルーター46およびインターネット3を介して、他の装置(ここでは、データ通信端末13−1〜13−N)との間でデータ通信を行う。
【0041】
演算処理装置52は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージなどを備え、CPUで、ROMやストレージに格納されているプログラムをRAMにロードし実行することで、各種処理部として動作する。ここでは、演算処理装置52は、ストリーム受信部61、映像再生部62、および映像出力部63として動作する。
【0042】
ストリーム受信部61は、上述のストリーム送信部22により使用されるストリーミングプロトコルに従って、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nからそれぞれ送信されてくる映像データを受信する。
【0043】
映像再生部62は、ストリーム受信部61により受信されたN系統の映像データから元の映像データを復元する。このとき、ある系統において、無線通信状態の不良に起因してある期間に欠損している映像データが別の系統の映像データによって補完され、欠損のない元の映像データが復元される。
【0044】
映像出力部63は、映像再生部62により復元された映像データを、要求に応じて出力する。この実施の形態では、映像出力部63は、LAN47を介して映像コンバータ42からの要求を受け付けると、LAN47を介して映像コンバータ42へ映像データを出力する。
【0045】
また、通信装置53は、LAN47に接続されるネットワークインターフェイスであって、LAN47を介して映像コンバータ42との間でデータ通信を行う。なお、通信装置53としては、USBなどの周辺機器インターフェイスを代わりに使用してもよい。
【0046】
図1に戻り、映像コンバータ42は、上述の所定の形式(H.264など)の映像データを所定の形式(HD−SDI、HDMI(登録商標)など)の映像信号へ変換する。
【0047】
AV編集部43は、スイッチャやミキサを含み、映像コンバータ42からの映像信号を受け付けるとともに、別のビデオ入力(つまり、別の映像信号)を受け付け可能であって、それらの映像信号のうちの1つを選択し、出力するとともに、1または複数のオーディオ入力(音響信号)を受け付けて、それらの音響信号のうちの1つを選択し、出力する。
【0048】
なお、この実施の形態において、レース車両1内にマイクロフォンを設け、映像信号と同様にして、マイクロフォンで得られた音響信号を音響データに変換し、その音響データを、映像通信装置12およびデータ通信端末13−1〜13−Nから映像受信サーバ41へ送信し、映像受信サーバ41において元の音響データを復元し、映像コンバータ42において、音響データから音響信号へ変換して、その音響信号を、AV編集部43へ、オーディオ入力の1つとして入力するようにしてもよい。同様に、テレメトリデータを併せて中継するようにしてもよい。
【0049】
AVコンバータ44は、AV編集部43により出力される映像信号および音響信号を、インターネット3上で配信可能な形式の映像データおよび音響データへ変換し、配信サーバ45へ出力する。
【0050】
配信サーバ45は、インターネット3を介して要求を受け付けると、その映像データおよび音響データを、その要求元へストリーミング送信する。
【0051】
なお、AV編集部43により出力される映像信号および音響信号を放送設備(図示せず)に提供し、放送設備によって、その映像信号に基づく映像およびその音響信号に基づく音響を(地上波放送、衛星放送、CATVなどで)テレビジョン放送するようにしてもよい。
【0052】
次に、上記オンボード映像中継システムの動作について説明する。
【0053】
レースにおいて、レース車両1のオンボードカメラ11により撮影された映像が映像信号として映像送信装置12へ出力される。
【0054】
映像送信装置12は、映像コンバータ部21でその映像信号を映像データに変換し、ストリーム送信部22で、インターフェイス部23を介して、データ通信端末13−1〜13−Nへその映像データを出力する。
【0055】
各データ通信端末13−iは、データ通信端末13−iのキャリアの携帯電話通信網2−iおよびインターネット3を介して、映像受信サーバ41へ映像データを送信する。なお、映像受信サーバ41には特定のIPアドレスが割り当てられており、各データ通信端末13−iは、そのIPアドレスの特定のポート番号へ映像データを送信する。そして、映像受信サーバ41は、そのポート番号で、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nから映像データを重複して受信する。
【0056】
このとき、レース車両1の位置や向きによっては、データ通信端末13−iと、対応する携帯電話通信網2−jの基地局との間の無線通信状態が不良になって、一時的に、映像データが映像受信サーバ41へ良好に伝送されない場合がある。
【0057】
しかし、例えば図2に示すように、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nが分散して配置されているため、あるデータ通信端末13−iから映像受信サーバ41へ映像データが良好に伝送されない場合でも、別のデータ通信端末13−jから映像受信サーバ41へ映像データが良好に伝送される。そのため、映像受信サーバ41において、元の映像データ(つまり、欠損などのない良好な映像データ)が復元される。
【0058】
映像受信サーバ41は、ネットワークインターフェイス51およびストリーム受信部61で、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nからそれぞれ送信されてくる映像データを受信し、映像再生部62で、受信したN系統の映像データから元の映像データを復元し、映像出力部63で、その映像データを要求に応じて出力する。
【0059】
例えば、1つの番組内で、オンボードカメラ1の映像が使用される場合、映像コンバータ42により映像データが映像信号へ変換され、その映像信号が、ビデオ入力の1つとして、AV編集部43に入力される。AV編集部43には、別のビデオ入力やオーディオ入力として、映像信号や音響信号が入力され、オペレータの操作に従って、映像信号や音響信号が選択され、その番組の映像信号および音響信号が生成され出力される。
【0060】
その番組の映像信号および音響信号は、放送に使用される場合には、放送設備へ供給され、ネット配信に使用される場合には、AVコンバータ44を介して映像データおよび音響データとして配信サーバ45へ供給され、配信サーバ45でネット配信される。
【0061】
以上のように、上記実施の形態1によれば、レース車両1に、オンボードカメラ11と、映像送信装置12と、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nが搭載されており、映像受信サーバ41が、インターネット3に接続されている。複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、それぞれ、所定の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続する。映像送信装置12は、オンボードカメラ11で得られた映像信号を、同一の映像データとして、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nでそれぞれ、携帯電話通信網2−1〜2−Mおよびインターネット3を介して映像受信サーバ41へ送信する。そして、映像受信サーバ41は、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nから送信されてきた映像データをそれぞれ受信し、受信した複数の映像データに基づいて元の映像データを復元する。
【0062】
これにより、レース場(サーキット)周辺に既設の基地局2a,・・・,2bを有する携帯電話通信網2−1〜2−Mを使用できるため、新たに基地局を設置する必要がなく、無線通信で、オンボードカメラ1の映像を中継することができる。また、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nが重複的に映像信号を送信しているため、映像受信サーバ41側で、良好な元の映像信号を復元できる。
【0063】
このように、上記実施の形態1によれば、比較的低コストでレース車両のオンボードカメラで得られた映像を良好に中継するオンボード映像中継システムが得られる。
【0064】
また、上記実施の形態1によれば、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続可能なデータ通信端末である。これにより、異なる位置に配置されている基地局2a,・・・,2bが使用されるため、データ通信端末13−1〜13−Nにより送信される映像信号のすべてが不良になる可能性が低くなる。
【0065】
また、上記実施の形態1によれば、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、レース車両1のフロントウインドウガラス1a、およびレース車両1の左右の少なくとも一方のクォーターガラス1bの車内側に分散して設置される。これにより、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nが異なる向きに配置されるため、データ通信端末13−1〜13−Nにより送信される映像信号のすべてが一時的に不良になる可能性が低くなる。
【0066】
また、上記実施の形態1によれば、フロントウインドウガラス1aおよびクォーターガラス1bの車内側の設置箇所のそれぞれにおいて、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nのうち、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続可能な少なくとも2つのデータ通信端末13−i,13−jが設置される。これにより、さらに、データ通信端末13−1〜13−Nにより送信される映像信号のすべてが一時的に不良になる可能性が低くなる。
【0067】
また、上記実施の形態1によれば、映像送信装置12は、略直方体の筐体を有し、レース車両1のリアバルクヘッド1cの傾斜部分上に設置される。これにより、レース車両1の上下方向の振動に起因する映像送信装置12の故障の可能性を減らすことができる。映像送信装置12内の電子回路の基板などは、略直方体の筐体の面に対して平行または垂直に配置されるため、映像送信装置12が斜めに配置されることで、基板に搭載される電子素子や端子の接触不良などが軽減される。
【0068】
また、上記実施の形態1によれば、リアエンジンとキャビンとの隔壁としてのリアバルクヘッド1c上に映像送信装置12が設置される場合、高温環境下に映像送信装置12が置かれるが、冷却装置14により映像送信装置12が冷却されるため、映像送信装置12は良好に動作する。
【0069】
実施の形態2.
【0070】
実施の形態1では、1台のレース車両1のオンボードカメラ11の映像を中継しているが、実施の形態2では、複数台のレース車両1のオンボードカメラ11の映像を中継することが可能である。
【0071】
実施の形態2では、映像受信サーバ41は、複数のカメラの映像を含む複数系統の映像データを受信し、複数系統の映像データをそれぞれ復元する。そして、映像コンバータ42により、複数系統の映像データのうちの全部または一部が映像信号へ変換される。
【0072】
実施の形態2では、1つのレースを走行する複数のレース車両1のそれぞれに対して、オンボードカメラ11、映像送信装置12、および複数のデータ通信端末13−1〜13−Nが設置され、映像受信サーバ41は、レース車両1ごとに、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nから送信されてきた映像データをそれぞれ受信し、受信した複数の映像データに基づいて映像データを復元するようにしてもよい。また、上述のオンボードカメラ11の映像信号に加え、レース車両以外の定位置のカメラ(例えば、各レース車両1のピッチを撮影するカメラ、レースコースに沿って設置されたカメラなど)により得られた映像信号を、上述のオンボードカメラ11の映像信号と同様に、1系統の映像データとして、映像受信サーバ41へ送信し、映像受信サーバ41において、映像データを復元し、映像コンバータ42が、それらの映像データを映像信号へそれぞれ変換するようにしてもよい。
【0073】
例えば、各レース車両1の映像送信装置12は、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nを使用して、1台の映像受信サーバ41(つまり1つのIPアドレス)へ映像データを送信する際に、その映像データを、他のレース車両1の映像送信装置12の映像データの宛先のポート番号とは異なるポート番号へ送信する。
【0074】
映像受信サーバ41は、複数のレース車両1(つまり、複数のレース車両1の映像送信装置12)に割り当てられているポート番号で、複数のレース車両1の映像送信装置12から送信されてくる映像データを、それぞれ独立に受信する。ストリーム受信部61は、各レース車両1の映像送信装置12から送信されてくるN系統の映像データを所定のプロトコルに従って受信し、映像再生部62は、各レース車両1の映像データを復元し、映像出力部62は、各レース車両1の映像データを要求に応じて出力する。
【0075】
なお、レース車両1ごとにデータ通信端末13−1〜13−Nの数Nは異なっていてもよい。
【0076】
さらに、例えば、映像コンバータ42は、各レース車両1の映像データを映像信号へ変換し、AV編集部43へ出力する。例えば、AV編集部43は、全レース車両1の映像信号のいずれかを選択したり、全レース車両1の映像信号に基づく映像をリストとして含む映像を生成したり、全レース車両1の映像信号からオペレータにより指定された1または複数の映像信号に基づく映像をリストとして含む映像の映像信号を生成したりして出力する。
【0077】
例えば、1つのレースで複数のカテゴリ(例えばGT300とGT500)のレース車両1が走行する場合、AV編集部43は、映像コンバータ42から供給される映像信号をレース車両1にそれぞれ関連付けておき、オペレータなどにより指定されたカテゴリに属するレース車両1の映像信号に基づく映像をリストとして含む映像の映像信号を生成して出力するようにしてもよい。
【0078】
また、映像受信サーバ41は、映像データの宛先のポート番号とレース車両1の属性情報(チーム名、車種、ドライバー名、レースカテゴリなど)とを関連付けてレース車両データとして予め記憶装置(図示せぬ)に記憶しておき、映像出力部63は、映像データの要求において、レース車両1の属性情報で指定された1または複数のレース車両1の映像データを出力するようにしてもよい。
【0079】
なお、実施の形態2に係るオンボード映像中継システムのその他の構成および動作については実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0080】
以上のように、上記実施の形態2によれば、実施の形態1と同様のオンボードカメラ11、映像送信装置12、データ通信端末13−1〜13−Nを、1つのレースで走行する複数のレース車両1にそれぞれ設置することで、1つのレースで走行する複数のレース車両1のオンボードカメラ11で得られた複数の映像をデータセンタ4へ比較的低コストで良好に中継することができる。
【0081】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0082】
例えば、上記実施の形態では、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続可能なデータ通信端末であるが、無線通信環境によっては、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、1つの携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−iに接続可能なデータ通信端末としてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nは、レース車両1のフロントウインドウガラス1a、およびレース車両の左右の少なくとも一方のクォーターガラス1bの車内側に分散して設置されるが、無線通信環境によっては、1箇所に複数のデータ通信端末13−1〜13−Nを設置してもよい。
【0084】
さらに、この実施の形態では、レース車両1のフロントウインドウガラス1a、およびレース車両の左右の少なくとも一方のクォーターガラス1bの車内側の設置箇所のそれぞれにおいて、複数のデータ通信端末13−1〜13−Nのうち、互いに異なる複数の携帯電話キャリアの携帯電話通信網2−1〜2−Mに接続可能な少なくとも2つのデータ通信端末13−i,13−jが設置されるが、無線通信環境によっては、1箇所に1つのデータ通信端末13−iを設置してもよいし、1箇所に同一キャリアの複数のデータ通信端末13−iを設置してもよい。
【0085】
さらに、上記実施の形態では、映像受信サーバ41は、要求に応じて、AV編集部43により編集されていない映像データを、インターネット3(およびルーター46)を介して直接ストリーミング送信するようにしてもよい。
【0086】
その場合、上記実施の形態において、レース場(サーキット)周辺の放送設備(例えば、中継車)へ映像信号を中継するときには、映像受信サーバ41は、要求に応じて、AV編集部43により編集されていない映像データを、インターネット3(およびルーター46)を介して、レース場(サーキット)周辺の端末(つまり、映像コンバータ42と同様の映像コンバータ)へ直接ストリーミング送信し、その端末で映像データを映像信号へ変換し、その映像信号を放送設備へ供給するようにしてもよい。
【0087】
なお、上記実施の形態では、レース車両1として、図2に示すようなクローズドキャビンのレース車両を例示しているが、オープンキャビンのレース車両を、上述のレース車両1としてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、レース車両1として、図2に示すような4輪のレース車両を例示しているが、オートバイレースの2輪のレース車両を、上述のレース車両1としてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、オンボードカメラ11は、1台のみ示しているが、レース車両1の前方を撮影するオンボードカメラ11の他、レース車両1の別の方向(側方、後方など)を撮影するオンボードカメラ11、ドライバーの顔、ステアリング、アクセルワークなどキャビン内を撮影するオンボードカメラ11などといった複数台のオンボードカメラ11をレース車両1に搭載するようにしてもよい。その場合、例えば、1台のオンボードカメラ11につき、1セットの映像送信装置12およびデータ通信端末13−1〜13−Nがレース車両1に搭載される。あるいは、自動スイッチング装置をレース車両1に搭載し、リモートセンタ4などの外部から自動スイッチング装置へ無線通信で制御信号を供給し、その制御信号によって自動スイッチング装置を制御し、その制御信号に従って、自動スイッチング装置に、搭載されている複数のオンボードカメラ11から、映像を中継すべき1または複数のオンボードカメラ11を選択させるようにしてもよい。このように自動スイッチング装置を使用する場合には、搭載されるオンボードカメラ11の数より、映像送信装置12およびデータ通信端末13−1〜13−Nのセット数が少なくてもよい(つまり、少なくとも1セットあれば足りる)。
【0090】
また、上記実施の形態において、レース車両1がフォーミュラカーである場合には、映像送信装置12などの搭載に使用できる空きスペースが狭く排熱が難しいため、レース車両1に専用の空冷ダクトを設け、走行時に空冷ダクトで得られる気流を使用して、映像送信装置12の冷却(空冷)を行うようにしてもよい。また、その場合、オープンキャビンおよび空冷ダクトに起因して映像送信装置12が雨などに晒されるため、映像送信装置12を、防水しつつ排熱が可能な専用ボックス(例えば容器部分と蓋部分との間の気密性や配線口の気密性を高くした金属製のボックスなど)内に収納した上で専用ボックスをレース車両1に設置するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えば、フォーミュラカーレース、GTカーレースなどのカーレースのオンボードカメラの映像の中継に適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 レース車両
2−1〜2−M 携帯電話通信網
3 インターネット(広域IPネットワークの一例)
11 オンボードカメラ
12 映像送信装置
13−1〜13−N データ通信端末
41 映像受信サーバ
図1
図2
図3
図4