(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記周波数ごとのレベルの、対応する周波数の前記基準レベルからのズレの変化に基づいて前記異常状態か否かを判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の包装機。
前記基準レベルは、正常状態の包装機で被包装物を包装処理した際に得られる波形信号を周波数分析して得られたサンプルデータに基づくものであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の予防保守を行うためのシステムでは、各種のセンサーを配置し、異なる物理パラメータに基づいて診断を行うので煩雑である。また、様々なセンサーを監視する装置付近に配置し、当該センサーから得られた物理パラメータに基づき診断をするので、診断対象の機器や、異常時の現象が予測できるものに対してしか診断ができない。
【0006】
さらに、予防保守モードで動作させて診断を行うため、予め診断するタイミングを事前に決めておく必要がある。その結果、例えば、そのタイミングが遅いと実際に故障を生じてしまい修理復旧に時間がかかるという問題を生じ、逆にタイミングが早くて頻繁に診断をすると、正規の包装作業が行えず、生産性が低下するという問題を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の包装機は、(1)包装機から発生する振動を検出する振動検出手段と、前記振動検出手段から出力される波形信号を周波数分析して得られた周波数ごとのレベルと、記憶した周波数ごとの基準レベルとに基づいて前記包装機の故障の兆しの有る異常状態か否か判定し、前記異常状態の場合に報知する制御手段を備え
、前記異常状態か否かの判定は、故障発生時の前記基準レベルからのズレよりも少ない状態における前記基準レベルからのズレに基づいて行うようにした。周波数分析は、例えばFFT(高速フーリエ変換)を用いると良い。
【0008】
波形信号は、例えば包装機で発生した、振動(例えば振動検出器で検出)、音(例えばマイクで検出)、装置の特定部位の変位(例えば光学センサで検出)などのアナログ電気信号がある。例えば包装機は、動作に伴い各部で振動を生じる。例えば経年変化・経年劣化などによりスムーズ・滑らかに動かなくなると、その時の振動の状態は初期の正常に動作していたときのものと異なる。振動の異なり具合は、例えば劣化の程度により異なる。稼働中の包装機の振動は、色々な装置で発生する振動の合成であり、ノイズなども含まれるため、単純に振幅でみてもわからない。そこで本発明では、包装機から発生する振動に対応する波形信号を周波数分析して周波数ごとに分け、周波数ごとに基準レベルと比較することで、機械変化の予兆(きざし)すなわち故障の兆しを見つけ、報知するようにした。ユーザは、係る報知に基づき、包装機に対するメンテナンスを行うことで、装置破損による機械ダウンを防止し予防保全をすることができる。本発明によれば、実際に包装処理を行っている際に異常状態の有無の判断ができる。よって、異常状態にならなければ、そのまま継続して通常の包装処理を行うことができ、診断のために包装機を停止する必要も無い。
【0009】
波形信号は、上述したように振動に基づく振動波形信号に限ることはなく、各種のものがある。例えば、包装機が稼働すると、包装機を構成する装置・機器の動きに伴い、各種の音が発生する。当該音を、マイク等の音検出手段で検出し、その音検出手段から音に基づく波形信号が出力される。その波形信号は、所定の周波数成分となる。そして例えば経年変化・経年劣化などにより包装機がスムーズ・滑らかに動かなくなると、発生する音の周波数が変わり、正常状態のときの各周波数成分のレベルと異なっていく。よって、単純に音の大きさではなく、音に基づく波形信号に対しても周波数分析して周波数ごとに分け、周波数ごとに基準レベルと比較することで、機械変化の予兆(きざし)すなわち故障の兆しを見つけ、報知することができる。
【0010】
さらにまた、例えば、上述したように包装機は各部で振動を生じるため、包装機の装置の特定部位が揺れるので、位置の変位として現れる。そこで、変位に基づく波形信号に対して周波数分析し、得られた結果に基づいて異常状態の有無を判断することができる。
【0011】
さらに本発明では、予め異常原因が特定できないものであっても、何かしらの異常状態であることが判定できるので良い。
【0012】
(2)前記制御手段は、前記周波数ごとのレベルの、対応する周波数の前記基準レベルからのズレの変化に基づいて前記異常状態か否かを判定するものとするとよい。例えば基準レベルからのズレ量が徐々に大きくなっている場合には、故障に近づいている状態にあると言え、一方、あまりズレ量に変化がない場合には、その状態で安定していて近い将来故障する恐れが少ない。よって、かかる変化に基づいて異常状態か否かを判断すると、効果的に判定することができるので良い。
【0013】
(3)前記基準レベルは、正常状態の包装機で被包装物を包装処理した際に得られる波形信号を周波数分析して得られたサンプルデータに基づくものとするとよい。同じ包装機であっても、例えばカット寸法や単位時間あたり生産数など、被包装物に伴う包装条件等によって発生する振動も異なる。そこで、実際に被包装物を用いて包装機を動作させ、そのときに得られたサンプルデータに基づいて周波数毎の基準レベルの基準データを生成すると、簡単かつ精度の良い基準レベルを生成することができ、その後の異常状態の検出も精度良く行えるので良い。特に、処理対象の被包装物が変わり、包装条件が比較的頻繁に変わるような場合に、基準データの生成が容易に行えるので好ましい。
【0014】
(4)前記基準レベルからずれたレベルの周波数から異常原因を特定する機能を備えると良い。異常原因が特定できれば、その箇所を集中的に調整や部品交換等のメンテナンスを行うことができ、効率よく作業が行えるので良い。異常原因と周波数の関係は、例えば、異常状態を意図的に発生させた状態で包装機を動作させ、そのときの振動に基づく振動波形信号を周波数分析して得られたデータと、周波数毎の基準レベルとを比較し、ズレが大きくなる周波数を検出することで特定しておくと良い。
【0015】
(5)前記周波数ごとのレベルに基づき、異常動作を検知する機能を備えると良い。異常動作は、例えばシール装置における異物の噛み込みや、シール不良や、部品・機器の破損・損傷や、正規の包装体を製造できない動作である。この発明によれば、予防保全を行いつつ異常動作も検知できるので良い。
【0016】
(6)前記検出手段は、包装機から発生する振動を検出する振動検出手段であり、前記波形信号は、前記包装機の振動に基づく振動波形信号とすると良い。例えば、異常状態になり動きが悪くなると、振動の変化に良く現れるので、振動に基づいて異常状態を判断するようにすると良い。また、例えば包装機のある部位が異常状態になり、発生した振動は、包装機の全体に伝わる。よって、検出手段を設置した箇所に限らず、比較的広範囲のエリアに対して異常状態の有無の監視をできる。よって、波形信号は振動に基づく振動波形信号とするとよい。また、振動に基づいて行うので、様々な種類のセンサーを用意する必要も無いので良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、包装機の故障の兆しを発見し、早目のメンテナンスを促すことで包装機の故障による生産停止を予防する包装機の予防保全を行える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0020】
図1は、本発明に係る包装機の好適な一実施形態を示している。この実施形態では、包装機は、横ピロー包装機である。この横ピロー包装機は、包装機本体1と、その包装機本体1に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置2と、包装機本体1の上流側に配置され、その包装機本体1に対して被包装物3を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置4とを備えている。
【0021】
フィルム供給装置2は、帯状フィルム5をロール状に巻き取った原反ロール6に対し、図示省略する駆動モータ(例えば、サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール6の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体1に供給する。また、原反ロール6から包装機本体1に至る所定位置に各種のローラ7(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール6から送り出された帯状フィルム5は、そのローラ7に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体1に導かれる。本発明では、必ずしも原反ロール6に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0022】
被包装物搬送供給装置4は、搬送面8の下方において前後に配置されたスプロケット9と、その複数のスプロケット9に掛け渡されたエンドレスチェーン10と、そのエンドレスチェーン10に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー11とにより構成される。前後に配置されたスプロケット9の一つ、例えば、被包装物3の搬送方向の前端に配置されたものは、図示省略するサーボモータ等の駆動モータに連係されており、その駆動モータの回転を受けて回転駆動する。押送フィンガー11は、その先端11aが搬送面8の上方に突出した状態で前進移動する。これにより、被包装物3の後面に押送フィンガー11の先端11aが突き当たると、押送フィンガー11の移動に伴い、被包装物3も搬送路上を前進移動する。また押送フィンガー11は、下流側の搬出端に至ると、自転して倒れ、先端11aが搬送面8の下方に位置し、そのまま先端11aが下を向いた姿勢で公転移動する。
【0023】
包装機本体1は、供給される帯状フィルム5を筒状フィルム14に製袋する製袋器15と、その製袋器15の下流側に配置されたセンターシール装置16と、そのセンターシール装置16の下流側に配置された筒状フィルム14を搬送するベルトコンベア17と、ベルトコンベア17の下流側に配置されたトップシール装置20と、トップシール装置20の下流側に配置された搬出コンベア18と、ベルトコンベア17の上方であってトップシール装置20の直前に配置された抑えベルト19を備えている。
【0024】
製袋器15は、フィルム供給装置2から連続して供給される帯状フィルム5を通過させることで、帯状フィルム5の両側端縁部5a同士を接触(重合)させるとともに、筒状となった筒状フィルム14に製袋するものである。本実施形態の製袋器15は、下側が開放されており、帯状フィルム5の両側端縁部5aが下側に位置するように設定されている。
【0025】
また、被包装物搬送供給装置4から包装機本体1に対して順次供給される被包装物3は、製袋器15内に挿入される。これにより、製袋器15に供給された被包装物3は、筒状フィルム14内に所定間隔ごとに配置されることになる。また、このように筒状フィルム14内に被包装物3が内包されることから、ベルトコンベア17は、その被包装物3を内包した筒状フィルム14を搬送する。
【0026】
センターシール装置16は、重合された帯状フィルム5の両側端縁部5aをシールする。このセンターシール装置16は、左右一対のシーラを備え、その一対のシーラにて帯状フィルム5の両側端縁部5aの重合された部位を挟み込んで加熱することで熱シールする。
【0027】
抑えベルト19は、トップシール装置20の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム14内の被包装物3が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。
【0028】
トップシール装置20は、筒状フィルム14の進行方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向に、当該筒状フィルム14をシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物3の間の所定位置である。これにより、トップシール装置20を通過することで、筒状フィルム14の先頭部分は、後続から分離され、包装体12が製造される。
【0029】
トップシール装置20は、筒状フィルム14を挟んで上下に配置された一対の上側回転軸21・下側回転軸22と、上側回転軸21に取り付けた上側トップシーラ23と、下側回転軸22に取り付けた下側トップシーラ24を備える。それらトップシーラは、ヒータを内蔵し、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。上側トップシーラ23のシール面の前後方向の中央部には、カッター刃25が内蔵される。下側トップシーラ24のシール面の前後方向の中央部には受け刃26が内蔵される。一対の上側回転軸21と下側回転軸22ひいては上側トップシーラ23と下側トップシーラ24は同期して回転し、一回転するごとにシール面が噛み合って、上下から筒状フィルム14の所定部位を挟み込んで加熱・加圧して熱シールするとともに、カットする。
【0030】
図2に示すように、上側回転軸21と下側回転軸22は、それぞれその両端が機枠30に軸受け支持され、その両端には、同期ギア31が接続される。上側回転軸21,下側回転軸22に接続された同期ギア31は、互いに噛み合い、同期して回転可能となり、サーボモータ等の駆動モータ32の回転力を受けて回転する。よって、駆動モータ32が回転駆動することで、上側回転軸21,下側回転軸22が同期して回転し、上述したように対をなすトップシーラのそれぞれのシール面は、筒状フィルム14を挟み込で加熱すると共に加圧する。駆動モータ32は、横ピロー包装機,トップシール装置20の奥側に配置する。
【0031】
機枠30の所定位置には、第一振動検出器35を備える。トップシール装置20は、上述したように駆動モータ32の出力軸の回転に伴い同期ギア31,上側回転軸21,下側回転軸22がそれぞれの軸周りに回転し、上側トップシーラ23と下側トップシーラ24は、それぞれが接続された回転軸周りに回転する。それら各部の回転に伴い、各部位から振動が生じ、それらが機枠30に伝わる。よって機枠30は、それら複数の振動発生源からの振動が相乗した状態で振動する。第一振動検出器35は、主にそれらトップシール装置20の動作に起因して生じる振動を検出し、その振動に応じた振動波形信号(アナログ信号)を出力する。
【0032】
また、被包装物搬送供給装置4の所定位置に、第二振動検出器36を備える。被包装物搬送供給装置4は、本実施形態では、フィンガーコンベアであるので、例えば押送フィンガー11が下流側搬出端で倒れることなどにより振動が生じる。また、係る押送フィンガー11の倒れに基づくものに限ることはなく、例えば、スプロケット9の回転や、そのスプロケット9の回転に伴うエンドレスチェーン10の回転、さらには、スプロケット9に連係される駆動モータ並びに動力伝達系統などからも振動が生じる。第二振動検出器36は、主にそれら被包装物搬送供給装置4の動作に起因して生じる振動を検出し、その振動に応じた振動波形信号(アナログ信号)を出力する。
【0033】
図3等に示すように、第一振動検出器35,第二振動検出器36の出力は、制御装置40の制御部41に入力される。制御装置40は、例えば高速PLCで構成される。この制御装置40は、各種制御を司る制御部41と、各種の記憶手段を備える。記憶手段は、本実施形態では、取得した情報や演算結果等を一時的に記憶するワークメモリ42や、判定に必要な基準データを記憶する基準データ記憶部43や、検出結果を記憶する履歴データ記憶部44を備える。また制御部41は、プログラマブル表示器45に接続される。プログラマブル表示器45は、タッチパネルを備え、入力機器としての機能と、液晶ディスプレー等を備え、出力機器としての機能を備える。
【0034】
各振動検出器35,36からは、検出した振動に応じたアナログ信号が出力されるので、制御装置40は、所定の周期でサンプリングし、そこから得たデータを周波数分析する。サンプリング周期は、例えば10μsec〜100msecで可変とする。第一振動検出器35の出力信号に対するサンプリングと、第二振動検出器36の出力信号に対するサンプリングは、同じサンプリング周期で行っても良いし、異なるサンプリング周期としてもよい。また、一つの検出器からの出力信号に対して、異なる複数のサンプリング周期でサンプリングすることで、複数のサンプリングデータを生成すると良い。
【0035】
制御部41は、サンプリングしたデータに対し周波数分析を行い、信号の中のどの周波数成分がどれだけ含まれているかを分析する。周波数分析は、高速フーリエ変換を行い監視する周波数成分のレベルを抽出し、信号の中にどの周波数成分がどれだけ含まれているかを分析するものである。制御部41は、求めた所定の周波数成分のレベルに基づき、故障の兆しがある異常状態か否かを判断し、異常状態の場合に例えばプログラマブル表示器45に異常である旨の出力をする。また、制御部41は、周波数分析して求めた所定の周波数成分のレベルを、周波数毎に時系列で履歴データ記憶部44に格納する。
【0036】
制御部41が判定する異常状態は、実際に故障等を生じているのではないが、このまま使用し続けると故障等を発生するおそれがある状態である。この異常状態か否かの判断は、例えば、制御部41は、求めた各周波数成分のレベルと、基準データ記憶部43に格納していた正常時のそれぞれに対応する周波数成分のレベル(基準レベル)と比較し、どの周波数のレベルにどれほどの変化があったかに基づき行う。この故障の兆しのある異常状態と判定するレベルの変化は、例えば、基準レベルから一定量のズレというように、しきい値処理で行う。係る判定を行う際のしきい値は、故障発生時のレベルよりは基準レベルからのズレ量が少ない所定の値とすると良い。また、変化に基づく判断は、個々の周波数成分毎に独立して行うのではなく、複数の周波数成分のレベルの基準レベルからのズレを数値化し、それらの総和等に基づくようにしてもよい。例えば、特定の器具・部品の破損などではなく、経年劣化等の場合、全体的に状態が徐々に悪くなることがある。係る場合、ある一つの周波数成分が大きく変化するのではなく、個々の周波数成分のレベルの基準レベルからのズレはさほど大きくないが複数の周波数成分でそれぞれズレが生じている場合がある。そこで、各ズレに対応するポイントの総和が一定値を超えると故障の兆しがあり、調整その他のメンテナンスが必要な状態にあると言える。
【0037】
さらにまた、あるタイミングで検出した1回分の所定の周波数成分のレベルに基づいて判定しても良いが、履歴データ記憶部44に格納する過去に検出した各周波数成分のレベルも加味して判定すると良い。過去に検出した各周波数成分のレベルを加味とは、例えば、基準レベルからのズレが大きくなるように変化している場合には異常状態と判断し、仮に基準レベルに対してある程度ズレがあっても、そのズレの程度が一定の範囲内に収まっている場合には異常状態ではないと判断する。これは例えば、経年変化等により徐々に故障に近づいている場合には、検出した振動に基づく周波数成分のレベルの基準レベルとのズレも徐々に拡大していく。そこで、過去のデータと今回のデータを比較し、基準レベルからのズレが大きくなった場合には、異常状態と判定することで、より早期に故障の兆しありと判定することができる。このように早期に故障の兆しを見つけることで、メンテナンス作業も簡単かつ短時間で行えるので良い。一方、基準レベルから多少ズレがあったとしても、故障に至る前のレベルで安定している状態の場合、そのまま継続して使用しても故障を起こす恐れが低い。そこで、過去のレベルから変化が少ない場合には、異常状態とは判定しないことで、メンテナンス実行による運転停止期間の発生を抑制することができるので良い。
【0038】
基準データ記憶部43に格納する基準データは、例えば、初期等のピロー包装機が正常な状態の時に、被包装物3に対して実際に包装処理を実行し、そのときに第一振動検出器35並びに第二振動検出器36から出力される信号を制御部41が周波数分析して取得したデータに基づいて生成すると良い。例えば、同じピロー包装機であっても被包装物3の寸法形状や、カット寸法、単位時間あたりの包装体の生産個数等に伴い、発生する振動は異なる。そこで実際に包装処理を行った時に得られたデータを使用することで、適切な基準データを簡単に取得でき、その後の異常判定を精度良く行えるので良い。
【0039】
また本実施形態では、予防保全を行うことを目的として、故障の兆しありの異常状態を検知し、それを報知する。よって、例えば、具体的な異常箇所と周波数の相関が特定できていないよう場合でも、正常な振動の時に得られる各周波数のレベルからのズレの変化が出てくると、何かしらの異常状態になっていることがわかる。そこで制御部41は、例えば予防保全のため、異常状態にあることのアナウンス・報知をする。そして、係る報知が行われた場合、ピロー包装機の運転を停止し、作業員が具体的な不具合箇所の検証・特定をし、メンテナンス作業を行う。
【0040】
また、第一振動検出器35と第二振動検出器36のどちらの検出信号に基づき判断したかをあわせて報知すると、原因がトップシール装置20側か被包装物搬送供給装置4側のどちらであるかがわかるので良い。さらにより好ましくは、どの周波数成分にどれだけ変化が有ったかを検出し、報知をする契機となるレベルの変化があった周波数等から、異常原因を推定し、それを報知することである。
【0041】
異常原因としては、例えば、トップシール装置20側では以下のものがある。例えば、上側回転軸21或いは下側回転軸22の軸受け部のベアリングの滑り具合の低下、同期ギア31の歯の噛み合わせやグリス量の低下、その他の駆動モータ32からの駆動系の動作の劣化などがある。また、上側トップシーラ23と下側トップシーラ24が筒状フィルム14を挟み込む際のシール面同士間の圧力や、カッター刃25と受け刃26相互の状態などが、初期状態から変化することなどがある。このように、トップシール装置20に基づく異常原因は、トップシーラ同士が筒状フィルム14を挟み込んでシール・カットする区間(以下、「シール区間」と称する)で現象が生じるものと、当該シール区間に関係なく一回転の全区間で発生するものがある。
【0042】
そこで、当該シール区間で発生する振動に基づいては、シール区間でのみ生じる異常原因についての判定を行い、全区間で発生する異常原因についてはシール区間以外の残りの区間で発生する振動に基づいて判定するようにすると良い。これに伴い、基準データ記憶部43には、シール区間用の基準データと、シール区間以外の区間用の基準データを格納する。
【0043】
シール区間とそれ以外の区間でそれぞれ別の異常原因についての判定処理を行うため、本実施形態では、具体的な図示は省略するが、上側回転軸21或いは下側回転軸22の周面の所定位置に、回転方向の基準角度位置を示す基準部位を設け、その基準部位を検知するセンサーを機枠30等に取り付ける。これにより、回転軸が一回転する毎に、当該センサーから検知信号が出力され、その検知信号が出力されてからの回転角度情報により、制御部41は、回転軸が基準角度位置から何度回転しているかを検出する機能を備える。そして制御部41は、係る基準角度位置からの回転角度に基づき、シール区間にあるか否かを判断し、シール区間にある場合には周波数分析して得られた周波数毎のデータとシール区間用の基準データと比較し、シール区間以外の区間にある場合には周波数分析して得られた周波数毎のデータとシール区間以外の区間用の基準データと比較し、判定をする。
【0044】
また、被包装物搬送供給装置4側の異常原因は、例えば、押送フィンガー11の状態がある。例えば、押送フィンガー11は、下流側搬出端にて倒れるが、その倒れ方がスムーズに行われなかったり、不十分であったりすると、その程度が大きくなると、被包装物3の包装機本体1側への供給に支障を生じるなどの故障の原因となる。そこで、係る故障を生じる前段階の故障の兆しを、倒れる際の振動に基づいて検出するようにすると良い。 また、係る倒れる際の振動を検出するための第二振動検出器36は、例えば押送フィンガー毎に設けると、押送フィンガー11の状態をより精度良く検出できるので好ましい。
【0045】
また、係る押送フィンガー11の倒れ具合に限ることはなく、例えば、押送フィンガー11に加わる過負荷等により、スムーズに移動しないことに伴う振動の変化を検知することで、過負荷状態が継続することで、押送フィンガー11或いは被包装物3の損傷等を招くことを未然に防止することができる。
【0046】
また、これら押送フィンガー11に基づく異常状態の検出に限ることはなく、それ以外でも例えばスプロケット9とエンドレスチェーン10の噛み合いや、駆動モータからスプロケット9に至る動力伝達系のギア等において、ギアの歯の摩耗・潤滑油の過不足・ギアの噛み合わせ調整の状況などを検出するようにしてもよい。
【0047】
プログラマブル表示器45の表示は、振動を計測したアナログ信号をそのまま表示しても意味がなく分からないので、例えば、FFTによる周波数分析して得られた各周波数のレベルを棒グラフ等でグラフ表示する。そして、例えば、変化が大きくなっている周波数のレベルを他と異なる表示態様とすると良い。また、正常時のレベルと対比するように表示すると良い。
【0048】
また、制御部41は、FFTして得られたデータから、不要な周波数成分を除去し、残ったデータに対してフーリエ逆変換を行うことで、異常状態の判定に必要・影響を与える振動波形を生成し、それをプログラマブル表示器45に表示するようにすると良い。この場合に、元の振動検出器から出力される振動波形と重ねて表示を行うと良い。
【0049】
上述した実施形態では、予防保全を行う機能を備えるようにしたが、係る機能に加え、例えば、トップシール処理時の異物の噛み込みや、押送フィンガー11が倒れない等の異常動作を検出する機能を備えると良い。
【0050】
例えば、異物の噛み込みがあった場合には、正常時とは異なる振動(レベル・周波数)が発生するので、制御部41はそれに基づき異常動作を検出し、ピロー包装機の動作を停止したり、不良包装品を廃棄したりするなどの所定のNG処理を実行する。係る異常動作の検知は、別途検出手段を配置して行うが、本実施形態では、振動に基づいて検出できるものについては、予防保全と同時・平行して行うことで、異常動作の検知のための別途の検出手段を設けずに装置の簡易化を図ったり、或いは、従前の異常動作の検知とダブルチェックで行うようにしたりしてより信頼性の高い包装機とすることができる。
【0051】
また、例えばトップシール装置20や被包装物搬送供給装置4の駆動モータであるサーボモータに流れる電流でフィードバック制御をするものがあり、動作中の電流値を監視し、その電流値が正常に動作している当初と違うと違う場合に、異常状態であることを検知したり、異常動作を検知したりすることが考えられる。しかし、電流を検知するためには、例えば、CTの一次側コイルに電流を流すことに伴い発生する磁界の変化を二次側コイルで検出するため、振動検出器に比べて応答性が悪い。従って、特に上述した変形例のように、予防保全に加えて異常動作を検知する機能を兼用するようなものに適用するには好ましくないが、本発明では係る問題は生じないのでよい。また、電流に基づく予防保全では、電流値という一つの要素に基づいて行うため、異常状態の検出精度が低く、さらには異常原因の特定まではできないが、本実施形態のように振動をFFTによる周波数分析をして周波数毎に分解することで、より高精度な異常状態の判定を行うことができるので良い。
【0052】
上述した実施形態や変形例では、波形信号を周波数分析して得られた周波数毎のレベルに基づいて異常状態や異常動作を判断するようにしたが、周波数分析して得られたデータに基づく判断手法としては、直接的に利用するものに限らず例えば以下に示すもののように間接的に利用するものとしてもよい。例えば、FFTして得られたデータから、不要な周波数成分を除去し、残ったデータに対してフーリエ逆変換(逆FFT)を行うことで、異常状態の判定に必要・影響を与える波形信号を生成する。係る逆FFTして得られた波形信号に基づいて判定する。この判定手法は、例えば逆FFTして得られた波形信号を境界線とし、所定の基準線との間で囲まれる一定期間の領域の面積を比較し、その変化の状態等に基づいて判断する。比較対象の面積は、正常状態における対応する領域の面積や、包装機の運転中にサンプリングして得られた過去の所定の領域の面積等がある。基準線は、例えば、時間軸と平行な所定のレベルであり、例えば、検出器の出力値が、0からX(正の値)までの範囲で変化するようなものの場合、基準線を0レベルにすると、一定期間における検出器の出力値を積分することで面積を簡単に求めることができるので良い。
【0053】
また、上述した実施形態では、検出したデータは制御装置40内の履歴データ記憶部44に記憶するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、クラウドに保存するようにしても良い。
【0054】
さらにまた、上述した実施形態では、第一振動検出器35をトップシール装置20に設け、第二振動検出器36を被包装物搬送供給装置4に設ける例について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、設置数並びに設置箇所は任意である。トップシール装置20と被包装物搬送供給装置4は、特に振動が発生しやすい装置という点に着目し、少ない振動検出器の設置数で効率よく予防保全を行うようにした。
【0055】
このように比較的大きな振動が発生しやすいという着目点ではなく、例えば、特殊な部品で交換品を取り寄せる場合に納期がかかる装置・機器がある場合、当該納期がかかる装置・機器の近傍に振動検出器を設置し監視を行うようにしてもよい。当該納期がかかる装置・機器の状況を監視・管理することで、故障してから発注して長期に使用できない状態を発生することを未然に防止すると良い。
【0056】
また、本発明では、振動に基づいて異常状態等の判定を行うようにしたため、振動検出器の設置位置から離れた場所に存在する装置・機器に対する予防保全も行えるので良い。すなわち、当該離れた場所に存在する装置・機器の状態が悪くなった場合、それに伴う振動はピロー包装機全体に伝わる。よって、振動検出器の出力に基づいて異常状態の検出が行える。但し、監視対象の装置・機器の近くに振動検出器を配置する方が、より確実に変化する振動を検知できるので良い。
【0057】
上述した実施形態並びに変形例では、振動に基づく振動波形信号を用いて各種の判断を行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば音や変位などの振動以外のものに基づく波形信号を用いて各種の判断を行うようにしても良い。ただし、振動を用いるのが効率的に各種の異常状態等を検出できるので良い。さらに上述した実施形態並びに変形例では、横ピロー包装機としたが、本発明の適用はこれに限るものでは無く、例えば縦ピロー包装機でもよいし、深絞り包装機その他、各種の包装機に組み込むことができる。
【0058】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。