(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薄層プレートDを完全に取り囲み、かつ外部環境から遮断及び隔離されているクロマトグラフィ進行チャンバ1を用いた、薄層クロマトグラフィのための薄層プレートの自動クロマトグラフィ方法であって、内部雰囲気を収容する正面スペース31が前記薄層プレートDの分離層の正面で前記クロマトグラフィ進行チャンバ1内に配置される方法において、
a)活性化工程であって、前記薄層プレートDの前記分離層の湿分の調整を行う活性化工程と、
b)予備コンディショニング工程であって、特定の気相組成による前記内部雰囲気の飽和、及び前記薄層プレートDの前記分離層への特定物質の所定の導入を行う、予備コンディショニング工程と、
c)クロマトグラフィ進行工程とを備え、
これらの工程の少なくとも1つの間、ユーザによって決定された特定の組成のガスのストリームが正面スペース31全体にわたって生成され、前記内部雰囲気全体が停滞又は静止した気相なしに移動される、方法。
前記ガスのストリームが前記正面スペース31内にすでにある前記内部雰囲気を乱流もそれと混合することもなく前記クロマトグラフィ進行チャンバ1から前方に押し出し、それにより前記内部雰囲気は前記ガスのストリームによって完全に更新されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記ガスのストリームの流速は、流動する内部雰囲気が前記正面スペース31内に短時間だけ留まり、それによりその組成は前記クロマトグラフィ進行チャンバ1を流れる間に大幅に変化せず、連続的に更新されるように設定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
前記クロマトグラフィ進行チャンバ1の前記中空部3の前記後壁13が、薄層プレートDの正面側をそれに寄り掛からせることができる隆起したU字形の支持面12を有し、それにより前記正面スペース31は少なくとも3つの側で前記支持面12によって取り囲まれることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
前記入口14が、層化領域1421であって、前記層化領域1421の入口から離れるにつれて短くなるチャネル161を有する層化領域1421を有することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
前記出口15が、前記正面スペース31に開口する少なくとも1つの出口進入開口部151と、少なくとも1つの出口チャネル152と、少なくとも1つの出口退出開口部153とからなり、各出口進入開口部151はそれ自体の出口チャネル152によって前記出口退出開口部153に接続され、各出口チャネル152は同じ長さを有し、特定の出口チャネル152は折り曲げられるかジグザグに成形されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
薄層クロマトグラフィは、以下の2つの本質的なステップからなる液体試料の組成を分析するための分離方法である。
1)薄層プレートの分離層、通常シリカゲル層(いわゆる固定相)への試料の適用、
2)クロマトグラフィの進行、この際、通常、薄層プレートの下端部を、毛管力によって分離層内を一定の速度で上方に移動する溶離液(いわゆる移動相)と接触させる。
【0003】
クロマトグラフィの進行中、試料に含まれる分子は溶離液によって分離層を通して運ばれる。それらの異なる化学的性質のために、試料の異なる分子は分離層中で異なる移動速度を有する。この理由のために、異なる分子は、一定時間後、薄層プレート上で適用位置に相対して異なる距離に位置し、したがって分離され、そして互いに区別することができる。したがって薄層クロマトグラフィは実験的に実施するのが非常に容易であり、複雑な装置及びインフラストラクチャを必要としない。
【0004】
したがって、ほとんどの実験室において、薄層クロマトグラフィは、溶離液が存在する容器中に薄層プレートを適用された試料と共に配置することにより最も単純な手段で行われる。薄層プレートの下端部が溶離液に浸されるとすぐにクロマトグラフィ進行段階が始まる。一定時間後、クロマトグラフィ進行段階を終了するために薄層プレートを容器から取り出して乾燥させる。
【0005】
この単純な方法の主な欠点は、得られたクロマトグラムの再現性が不十分であることであり、これは異なるプレート上及び異なる場所での結果の比較を困難にする。その理由は、クロマトグラフィの進行に影響を与えるパラメータの制御が欠如しているためであり、活性と選択性の観点からの分離層の物理的及び化学的特性に加えて、及び溶媒の組成に加えて、クロマトグラフィを進行させるチャンバの内部雰囲気(チャンバ雰囲気)と薄層プレートとの間の相互作用が同じく存在する。
【0006】
上記の欠点は公知であり、クロマトグラフィ進行の前及び/又はその間にチャンバ雰囲気を制御するためのいくつかの解決法を先行技術において見出すことができる。特許文献1には、クロマトグラフィ進行段階の全体を通して同一の雰囲気条件を維持しなければならないことが説明されている。したがって、制御された雰囲気下でのクロマトグラフィ進行の前の薄層プレートの制御された加湿及び乾燥のためにクロマトグラフィ進行チャンバが作られた。しかしながら、クロマトグラフィ進行の開始前に、内部雰囲気を注意深く調整することは十分ではない。なぜならば、それは特に溶離液の蒸発のために薄層プレートとの界面でクロマトグラフィ進行の間絶えず変化するからである。この理由のために、特許文献1によれば、クロマトグラフィ進行チャンバ内の内部雰囲気の均質化のために攪拌プロペラが提供される。しかしながら、これはかなり大容量で複雑なインフラストラクチャを表し、ここでは無秩序でほとんど制御できないガス流が生成される。さらに、クロマトグラフィ進行プロセスは時間制御され受動的であり、すなわち種々のプロセスステップは固定された所定の時間スケジュールに従って、そしてプロセスの実際の進行を監視することなく行われる。
【0007】
特許文献2には、熱と圧力を加えることによってクロマトグラフィ進行プロセスの成果と速度を改善するためのチャンバが記載されている。チャンバの内部雰囲気を調整するために入口開口部及び出口開口部が設けられており、それを通してチャンバの内部からのガス及び蒸気を、特にプレート表面の近くで均一にかつガスのストリームの強いチャネリングなしに分配又は排出することができる。内部雰囲気は、入口開口部と出口開口部との間の緩衝体積の役割を果たし、これは、クロマトグラフィ進行中に比較的一定の組成を維持することを目的とし、その均質化は化学物質の拡散に基づく。しかしながら、拡散現象は特に遅く、それは、特にプレートと体積の残りの部分との間の界面において、内部雰囲気の組成の不均一性をもたらす可能性がある。ここでは、クロマトグラフィ進行プロセスは同じく時間制御され受動的である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図は以下の記載において説明される可能な実施形態を示している。
本発明の核心は、クロマトグラフィ進行チャンバ1による薄層プレートの自動クロマトグラフィの方法及び装置であり、ここで薄層プレートDが外部環境から遮断され隔離される。薄層プレートDの良好な隔離及び遮断のため、それがクロマトグラフィ進行チャンバ1内で分離層全体及び担持材料によって完全に囲まれることが重要である。クロマトグラフィ進行チャンバ1内の薄層プレートDの隔離により、クロマトグラフィの進行は、外部温度、湿度及び/又は圧力にかかわらず、非常に特定的で調整可能な有利な、とりわけ正確に再現可能な条件のもとで行うことができる。結果として、クロマトグラフィ進行のはるかにより優れた再現性が達成され、これによりクロスプレート及びクロスサイト比較が可能になる。
【0013】
薄層プレートの自動クロマトグラフィの発明的方法及び対応する装置が記載され、それらの利点が以下の記載において説明される。
方法
3つの主要な対策が薄層プレートクロマトグラフィの質及び再現性の改善に寄与する:活性及び選択性の観点からの分離層の調製、クロマトグラフィ進行チャンバ1の内部雰囲気の組成の調製応答的連続調整、及び閉鎖かつ制御された環境におけるこれらのステップの実行、ここで薄層プレートDは環境から良好に隔離され遮断される。これらの対策の1つだけ、又はこれら3つの対策の任意の組み合わせを本発明による方法において使用することができる。分離層を調製するために、及び内部雰囲気の組成を調製応答的に連続調整するために、クロマトグラフィ進行チャンバ1全体を通して生成されかつユーザによって決定される特定の組成を有するガスのストリームによって所望の結果を達成することができる。
【0014】
クロマトグラフィ進行チャンバ1の内部雰囲気の組成はクロマトグラフィ進行の開始前に設定可能であり、及び/又はクロマトグラフィ進行の間に連続的に調整可能である。これを達成するために、クロマトグラフィ進行チャンバ1に入るガスのストリームが、クロマトグラフィ進行チャンバ1内にすでにある内部雰囲気を乱流なしに及びそれとの混合なしに(又はできるだけ少ない混合で)クロマトグラフィ進行チャンバ1から前方へ押し出す。結果として、内部雰囲気は単に撹拌されず、完全に置き換えられる。クロマトグラフィ進行チャンバ1内にすでにある内部雰囲気を、制御された組成を有する流入ガスで完全に置き換えることは、内部雰囲気の組成を制御する簡単な方法である。したがって、内部雰囲気は、望むように及び用途に依存して設定可能であり、それは一定に維持することができる、又はクロマトグラフィ進行の間に経時的に変わることができる。様々な方法ステップが閉鎖かつ制御された環境内で実行されるため、クロマトグラフィ進行チャンバ1を離れるガスのストリームは連続的に再生されなければならず、またその組成はクロマトグラフィ進行チャンバに再導入される前に所望の組成に再現されなければならない。
【0015】
生成された内部雰囲気が薄層プレートDの表面全体にわたってできるだけ均一であることが重要である。これを達成するために、内部雰囲気全体を、停滞又は静止気相なしに動かす必要がある。しかしながら、内部雰囲気の動きは、制御されない乱流と局所的な不均一性を避けるために無秩序であってはならない。したがって、ガスの層状ストリームを生成することは、これが内部雰囲気の規則的な動きを保証するため有利である。平行な流れライン及び均一な流速を有する一方向のガスの層状ストリームが、クロマトグラフィ進行チャンバ1全体に及び分離層の表面全体にわたって生成されると特に有利である。ガスのストリームの流速が、流動する内部雰囲気がクロマトグラフィ進行チャンバ1内に短時間だけ留まるように設定され、その結果、それがクロマトグラフィ進行チャンバ1を通って継続的に更新されるように流れる間にその組成が大きく変化しないようにする場合も有利である。結果として、内部雰囲気の組成は、クロマトグラフィ進行チャンバ1全体で及び分離層全体にわたって可能な限り均一であり、流入するガスのストリームの組成に本質的に一致する。しかしながら、高すぎる流速もまた悪影響を及ぼすため、低すぎる流速と高すぎる流速との間で妥協点を見出さなければならない。厳密に言えば、クロマトグラフィ進行チャンバ内の内部雰囲気の組成の絶対的な均一性は達成されないが、薄層プレートDの上流端と下流端との間の流れ方向における勾配は達成される。これは、互いに比較される薄層プレートDの領域が、ガスのストリームの流れ方向に対して垂直方向に同じ高さにある場合に特に不利であるということはない。薄層プレートDのこれらの領域は、分離層内の溶離液の移動方向に対して垂直方向に同じ高さにある。したがって、本発明の好適な実施形態では、ガスのストリームの方向は、分離層内の溶離液の移動方向に対して0°又は180°の角度を有し、すなわち、ガスのストリームは好適にはその移動方向に又は反対方向に流れる。
【0016】
分離層の調製はクロマトグラフィ進行の開始前に行われるため、分離層は進行の開始時に所望の特性を有する。これを達成するために、クロマトグラフィ進行チャンバ1に入るガスのストリームは分離層に強く作用する。このために、制御されたガスのストリームが内部雰囲気の及び分離層の表面の任意の所与の点で生成されることが確実にされる。本発明によれば、内部雰囲気は、分離層(及びクロマトグラフィ進行中にそこで行われるプロセス)へのその影響が最小にされるべき干渉因子ではなく、分離層の表面に対する正確に規定された組成を有するガスのストリームの直接的かつ制御された作用によって分離層を正確に調製しそしてクロマトグラフィ進行を調整する有利な手段である。
【0017】
活性及び選択性の観点から分離層を調製するために、薄層プレートDはクロマトグラフィ進行の前に2つの重要な調製ステップに通され得る。第1の任意選択的な調製ステップは薄層プレートDの活性化であり、それによって分離層の湿分が調整される。好適には、活性化は、一定量の水分子が固定相に吸収されることを可能にするべきである。いずれにせよ、活性化後に分離層が均一なユーザ決定の湿分を有することが重要である。第2の調製ステップは予備コンディショニングであり、ここで内部雰囲気は所定のガス状組成物で飽和され、そして分離層は所定の方法で所定の物質を導入される。言及されたガス状組成物は、所望の分離を達成するためにその性質が用途に応じて大きく異なり得る溶媒の組み合わせから生成される。分離層に導入される物質もまた、分離される分子に大きく依存し、そしてしばしば移動相と同じである。分離層は必ずしも飽和しているわけではないが、所定の方法で導入され、飽和は導入の特定の形態である。
【0018】
活性化のために、生成されたガスのストリームは所望の湿度を有し、そして予備コンディショニングのためにガスのストリームは所望の溶媒成分で飽和されている。調製された分離層が、その表面全体にわたる活性及び選択性に関する均一な特性、又はガスのストリームの流れ方向における選択性勾配のいずれかを有することが重要である。この目的のために、生成されたガスのストリームは分離層の表面全体に均一に作用しなければならない。上述のように、ガスの層状ストリーム、特に分離層の表面全体にわたって均一な流速を有する一方向のガスの層状ストリームが有利である。ガスのストリームの流速が、流動する内部雰囲気がクロマトグラフィ進行チャンバ1内に短時間だけ残るように設定され、その結果、それがクロマトグラフィ進行チャンバ1を通って流れるときに、及び連続的に更新されるときにその組成が大きく変化しないようにするとまた有利である。これは、分離層の特性がクロマトグラフィ進行チャンバの反対側の端部(ガス入口近く及びガス出口近く)で異なりすぎることを回避する。好適には、活性化及び予備コンディショニングは、単に実験的及び時間的に制御されるのではなく、内部雰囲気の組成(湿分及び/又は溶媒含有量等)を測定及び制御することができる。これらの測定値は温度に依存しているため、これらは精度を高めるために温度測定値で正規化することができる。これらの測定値を用いて、活性化及び予備コンディショニングが完了する正確な瞬間を自動的に決定することができ、そしてプロセスの次のステップをそのあとすぐにそして自動的に開始することができる。
【0019】
活性化、予備コンディショニング及びクロマトグラフィ進行は、本発明による方法の決定的なステップである。しかしながら、可能な実施形態では、方法はまたさらなるステップを含み得る。本発明の有利な態様は、本方法の完全な自動化であり、それにより方法全体が自律的にかつ手動介入なしに実行される。さらに、方法ステップが完了する正確な瞬間又は所望の所定の状態に達する正確な瞬間がセンサによって自動的に決定され、それによって次のステップがそのあと自動的にそしてすぐに開始されることができる場合、特に有利である。したがって、ステップの順序は単純に時間によって制御されるわけではない。純粋に時間によって制御された順序では、各ステップの実際の進行をチェックすることなく、様々なステップが固定された所定のタイムスケジュールに従って実行される。したがって、各方法ステップが次のステップが開始される前に確実に完了されるようにするために、各ステップの期間は意図的に過大評価されている。これは複雑な多ステップ方法において著しい累積的な時間損失をもたらす。したがって、センサによるステップの終了の自動決定及び次のステップの即時の自動トリガは、かなりの時間の増加をもたらし得る。
【0020】
以下は、可能な追加の方法ステップのリストである(ステップの順序を明確にするために、活性化、予備コンディショニング及びクロマトグラフィ進行も記載した):
・クロマトグラフィ進行チャンバ1内への進行されるべき薄層プレートDの自動導入、
・薄層プレートDの導入後のクロマトグラフィ進行チャンバ1の自動閉鎖及び遮断、
・薄層プレートDの自動制御される作動及び湿度調整、
・内部雰囲気及び分離層の自動制御される予備コンディショニング、
・クロマトグラフィ進行の開始時のクロマトグラフィ進行チャンバ1への溶離液の自動導入、
・クロマトグラフィ進行、
・クロマトグラフィ進行中の溶離液液位の自動調整、
・クロマトグラフィ進行中の分離層を通過する溶離液の移動の自動制御、
・クロマトグラフィ進行の終了時のクロマトグラフィ進行チャンバ1からの溶離液の自動排出、
・薄層プレートDの自動乾燥、
・クロマトグラフィ進行チャンバ1の自動開放及び進行された薄層プレートDの取出し、
・クロマトグラフィ進行チャンバ1の自動洗浄及びそれに続く乾燥、
・活性化、予備コンディショニング、クロマトグラフィ進行、乾燥及び/又は洗浄中のクロマトグラフィ進行チャンバ1内の温度及び/又は圧力の自動制御、
・クロマトグラフィ進行チャンバ1を出るガスのストリームの連続再生、及びそれがクロマトグラフィ進行チャンバ1に再導入される前のその組成の所望の組成への復元。
【0021】
本発明による方法では、これらの追加の対策のうちの1つを単独で、又はこれらの対策の任意の組み合わせを使用することができる。以下において、上に列挙した任意選択のステップをここで説明する。
【0022】
クロマトグラフィ進行チャンバ1の自動開閉及び薄層プレートDの導入/取出しにより、本進行方法とそれに対応する装置とをより大きな自動プロセスで統合することができる。例えば、第1のプロセスステップにおいて、試料を薄層プレートDに塗布し、次いで薄層プレートDを本発明による装置に入れ、そしてクロマトグラフィ進行の後に、最終的に別のモジュールに、例えば評価のために送ることができる。
【0023】
クロマトグラフィ進行チャンバ1への溶離液の自動導入及び排出は、正しい時点(クロマトグラフィ進行の前後)で溶離液を自動的に導入及び排出することを可能にする。
クロマトグラフィ進行中に、溶離液の一部は薄層プレートDによって吸収され、別の部分はクロマトグラフィ進行チャンバ1内で蒸発する。この溶離液を交換し、クロマトグラフィ進行の全期間にわたって一定の溶離液液位を確保するために、溶離液はクロマトグラフィ進行チャンバ1内で絶えず再充填されなければならない。溶離液液位の自動調整により、進行時間が短縮され、クロマトグラフィ進行が可能な限り再現可能な条件下で行われることが保証される。
【0024】
溶離液の移動を制御することは特に重要である。それというのも、ほとんどのクロマトグラフィ進行は、所定の移動高さに達すると遅れずに停止しなければならないからである。溶離液の前面が分離層においてユーザによって定められた高さに達するとすぐに、これはユーザに知らせることができ、及び/又は溶離液は自動的にクロマトグラフィ進行チャンバ1から排出されることができ、及び/又は薄層プレートDは自動的に乾燥されることができる。
【0025】
クロマトグラフィ進行後に薄層プレートDを乾燥させるために、クロマトグラフィ進行チャンバ1内に強力な、場合によっては温かいガスのストリームを発生させることができる。薄層プレートDの乾燥の間、残りの溶離液は蒸発し、クロマトグラフィ進行チャンバ1から完全に排出される。これは、溶離液が有害であるためにユーザができるだけそれに晒されないようにする場合に特に有利である。溶離液の乾燥及び蒸発を促進するために、クロマトグラフィ進行チャンバ1内に部分真空を発生させることもできる。乾燥後、薄層プレートDをクロマトグラフィ進行チャンバ1から取り出して分析することができる。
【0026】
持ち越しを回避するために、各クロマトグラフィ進行プロセスの最初及び/又は最後にクロマトグラフィ進行チャンバ1が自動的に洗浄され、クリーニングされると特に有利である。これは、排出される前に一定時間(例えば残留物の溶解のために)その中に残る洗浄液をクロマトグラフィ進行チャンバに導入することによって達成される。これを加速するために、洗浄液をガスのストリームでクロマトグラフィ進行チャンバ1から追い出すことができ、次いでクロマトグラフィ進行チャンバ1をガスのストリームで直ちに乾燥させることもできる。
【0027】
活性化、予備コンディショニング、クロマトグラフィ進行、乾燥及び/又は洗浄の間にクロマトグラフィ進行チャンバ1の内部温度及び/又は内部圧力が自動的に制御及び調節されると特に有利である。例えば、高温は、分離層中の溶離液の移動、溶離液の蒸発、洗浄中の残留物の溶解などのプロセスを加速又は減速させ得る。温度及び圧力の調整はまた、例えばクロスプレート比較及びクロスサイト比較のために、クロマトグラフィ進行チャンバ1内の以前のクロマトグラフィ進行の圧力及び温度条件を人為的に再現するためにも有利である。
装置
本発明による装置は、ドア2を有するクロマトグラフィ進行チャンバ1からなり、ドア2は開位置と閉位置との間で移動可能である(
図1〜3)。閉位置において、内部雰囲気は、クロマトグラフィ進行チャンバ1の中空部3内に密閉され、環境から完全に遮断され隔離される(
図3)。中空部3の完全な遮断は、活性、予備コンディショニング及びクロマトグラフィ進行の間、それをできるだけ外部影響から隔離するために、及びできるだけクロマトグラフィ進行チャンバ1内の再現可能な条件を作り出すために重要である。これは、中空部3内で有害物質を使用する場合に特に有利であり、それによりユーザがこれらの物質にできるだけ暴露されないようにする。中空部3の良好な遮断のために、ドア2及び/又はクロマトグラフィ進行チャンバ1は、例えばゴムなどのエラストマから作られたシール21を備える。
【0028】
クロマトグラフィ進行チャンバ1及び中空部3は、薄層プレートDの挿入のために最適化される。本発明の好適な実施形態において、中空部3は実質的に垂直に向けられ、溶離液トラフ11が中空部3の下端部に設けられる(
図2〜5)。薄層プレートDは、溶離液トラフ11内に、例えばホルダ111上に配置され、それによりそれは中空部3の壁に寄り掛かり、その下端部はクロマトグラフィ進行の間溶離液に浸漬される(
図4,5)。
【0029】
本発明によれば、薄層プレートDがその中で隔離されている中空部3は、できるだけ小さく、内部雰囲気の最小限可能な体積を有し:少量のガスは、はるかにより簡単に調整されることができ、より迅速に変化されることができ、したがって大量のガスよりも均質に維持されることができる。したがって、中空部3の高さ及び幅が、進行される薄層プレートDの高さ及び幅にほぼ一致する場合、これは特に有利である(
図4,5)。
【0030】
内部雰囲気の体積をさらに低減するために、分離層が配置される薄層プレートDの正面側は、薄層プレートDの背面側から隔離される。クロマトグラフィ進行は薄層プレートDの正面側で分離層においてのみ行われるため、内部雰囲気は、分離層の前及びそのすぐ近くに配置された正面スペース31に制限されることができる。正面スペース31は、薄層プレートDの正面側が傾けられる、中空部3の後壁13の隆起したU字形の支持面12によって隔離される(
図1)。したがって、正面スペース31内に閉じ込められたスペースは、薄層プレートDの正面側と中空部3の後壁13との間に配置されたスペースであり、そのスペースは横から支持面12によって囲まれる。本発明の好適な実施形態において、支持面12は、上部121と2つの側部122、122’とからなる(
図4〜6)。支持面12の上部121は後壁13の上端の全長に沿って延び、2つの側部122、122’は後壁13の両方の側端部の全長に沿って延び、それにより正面スペース31は少なくとも3つの側で少なくとも部分的に支持面12によって囲まれる(
図6)。薄層プレートDの下端部がクロマトグラフィ進行の間に浸漬される溶離液は、4番目の下側における正面スペース31の隔離を保証する。正面スペース31及びその中に含まれる内部雰囲気は、したがって、全ての側において少なくとも部分的に範囲を定められる。本明細書において、「分離層の表面全体」へのあらゆる言及(例えば、分離層の表面にわたって、及び均一に作用しなければならないガスのストリームによって均一でなければならない内部雰囲気の文脈における、分離層の表面全体)は、正面スペース31内に配置された内部雰囲気と接触する分離層の表面の中央領域(「関心領域」(ROI)ともよばれる)に言及していると理解するべきである。それというのも薄層プレートDの縁部周辺の分離層の表面の特定領域は、支持面12と接触しているか又は溶離液に浸漬されているからである。
【0031】
薄層プレートDの背面側からの正面スペース31の良好な隔離を達成するために、支持面12は、シール効果を有する材料から作られ得る、又はそのような材料で被覆され得る。しかしながら、支持面がクロマトグラフィ進行チャンバ1と同じ材料から作られ、かつ約1〜2cmの幅を有する場合に適切な隔離が達成されることを試験は示している。より良好な隔離は、例えばドア2の内側に配置されたプレート押さえ機22によって、支持面12に対して薄層プレートDを押し付けることによっても達成され得る(
図4,5,10)。
【0032】
薄層プレートDの背面側は、担持材料、しばしばガラスからなり、その上に分離層が適用される。したがって、薄層プレートDの背面側に配置される背面スペース32の雰囲気は、活性化、予備コンディショニング及びクロマトグラフィ進行の間、重要な役割を担わず、また必ずしも調整も制御もされる必要はない。したがって、以下、「内部雰囲気」という用語は、薄層プレートDの分離層の正面の正面スペース31内に配置された気相を指す。
【0033】
内部雰囲気を調整するために、クロマトグラフィ進行チャンバ1は、少なくとも1つの入口14と少なくとも1つの出口15とを備え、それらを介して気体又は液体を吹込み及び/又は吸引によって正面スペース31へ/から送達することができる(
図2〜3)。少なくとも1つの入口14は、少なくとも1つの入口進入開口部141と、少なくとも1つの入口チャネル142と、正面スペース31に開かれた少なくとも1つの入口退出開口部143とからなる。同様に、少なくとも1つの出口15は、正面スペース31に開かれた少なくとも1つの出口進入開口部151と、少なくとも1つの出口チャネル152と、少なくとも1つの出口退出開口部153とからなる。これらの様々な開口部の配置及び形状ならびに入口及び出口チャネル142、152の内部構造は、正面スペース31全体にわたる強力な連続ガスのストリームを生成するように最適化される。ガスのストリームがクロマトグラフィ進行の間にも生成されることを可能にするために、溶離液トラフが溶離液で満たされているときに、入口退出開口部143及び出口進入開口部151は、溶離液液位より上で溶離液トラフ11の外側に配置されなければならない。
【0034】
ガスのストリームの流れ方向が分離層内の溶離液の移動方向に対して0°又は180°の角度を有する場合、有利である。溶離液トラフ11は、正面スペース31の下端部に一般に配置され、溶離液は溶離液トラフ内の溶離液液位に対して垂直に分離層内を上方へ移動する。このようにして、入口退出開口部143は、正面スペース31の上端部近くに配置可能であり、及び出口進入開口部151は正面スペース31の下端部に配置可能であり、その逆もまた可能であり、両方の開口部は溶離液トラフ11の外側にある。
【0035】
本発明の好適な実施形態において、少なくとも1つの入口退出開口部143は後壁13の上端部近くに配置され、少なくとも1つの出口進入開口部151は後壁13の下端部に存在する。加えて、入口退出開口部143及び出口進入開口部151は、後壁13の幅全体にわたり分散される。あるいは、単一の幅広の入口退出開口部143及び/又は出口進入開口部151を設けることも可能である。
図6の実施形態において、例えば、1つだけの幅広の入口退出開口部143と、4つの均一に離間された出口進入開口部151とが存在する。これらの対策は、固定領域の停滞した又は不十分に更新される内部雰囲気なしに、正面スペース31全体にわたり、真っ直ぐで平行な流れラインを有するガスのストリームを生成することを可能にする(
図4)。
【0036】
本発明の可能な実施形態において、入口チャネル142の内部構造は同じく、正面スペース31に入るガスのストリームが層状にかつ入口退出開口部143の幅全体にわたって分散されるようなものである。このために、入口チャネル142は、2つの部分:入口進入開口部141につながる層化領域1421と、正面スペース31につながる傾斜セグメント1422とからなる(
図2〜5)。層化領域1421は、入口退出開口部143と同じ幅を有し、複数のフィン16を備える。本発明の簡単な実施形態では、フィン16は全て同じサイズを有し、それらは互いに平行にかつ規則的な間隔で配置される(
図7)。フィン16は、層化領域1421の幅全体にわたって入口進入開口部141からのガスの流入するストリームを分散し、それをフィン16の間で真っ直ぐで平行なチャネル161に案内することによってガスの層状のストリームを生成する。ガスのストリームのより良い分散のために、他の実施形態ではフィン16を斜めに(平行ではなく、例えば入口進入開口部141に対して放射方向に)配置することも考えられる。
図8の実施形態では、層化領域1421に入るガスのストリームは、2つの通路162に流され、異なる長さを有する狭い平行なチャネル161に案内される。ガスのストリームを等しく様々なチャネル161に分散するために、それらが層化領域1421の入口から(入口進入開口部141から)離れるにつれて、チャネル161は短くなる。層化領域1421の後ろで、ガスの層状ストリームが傾斜セグメント1422を経由して正面スペース31に導入される。傾斜セグメント1422は、入口退出開口部143と同じ幅を有し、層化領域1421内のガスのストリームの方向に対して特定の傾斜角度を有する(
図2〜5)。この傾斜角度はできるだけ小さくなければならず、それにより流れ方向の変化が乱流を引き起こさず、ガスの層状ストリームができるだけ多く保たれるようにする。傾斜セグメント1422の傾斜角度が最大で45°である場合、特に有利である。
【0037】
本発明の好適な実施形態において、出口チャネル152の内部構造は、ガスのストリームが、均一に様々な出口進入開口部151を通り、正面スペース31の幅全体に広がってクロマトグラフィ進行チャンバ1を離れるようなものである。例えば、各出口進入開口部151は、それ自体の出口チャネル152によって出口退出開口部153に接続され、各出口チャネル152は同じ長さを有する。これを達成するために、特定の出口進入開口部151の出口チャネル152は例えば何度か曲げられ得る、又はジグザグに成形され得る(
図7,8)。
【0038】
入口及び出口チャネル142、152ならびに関連する開口部の上記の配置及び形状は、正面スペース31全体にわたるガスの均一な層状ストリームを生成するために、正面スペース31の一端においてガスの層状ストリームを導入することと、場合により正面スペース31の他端において内部雰囲気を吸い出すこととを可能にする。分離層の表面全体にわたるガスの流入ストリームの層状特性を保つために、正面スペース31の深さd1、すなわち薄層プレートDの正面と中空部3の後壁13との間の距離は、比較的小さくなければならない。正面スペース31の深さd1は、後壁13の上の支持面12の高さに一致し、それは好適には1〜3mm、最適には約2mmである(正面スペース31の下端部における溶離液トラフ11の領域を除く)。3mmを超える深さd1では望ましくない乱流が正面スペース31内に生じること、及び1mm未満の深さd1では毛管力が望ましくない人為的結果を引き起こすことを実験は示している。加えて、正面スペース31の深さd1が傾斜セグメント1422の直径d2よりも小さい場合に有利であり、それにより正面スペース31への進入がガスのストリームの狭小化を構成する(
図9)。これはガスの流入ストリームがすでにクロマトグラフィ進行チャンバ1内にある内部雰囲気を乱流もそれとの混合もなくクロマトグラフィ進行チャンバ1から前方へ同時に押し出すことを保証する。またこのようにして、ガスのストリームの所望の流速及びガスのストリームの分離層の表面への強い作用が達成される。ガスの至るところに存在する一方向の層状ストリームによって、内部雰囲気は簡単に回転されるだけでなく、絶えず及び完全に更新される。
【0039】
中空部3の後壁13は、好適には平坦でありかつ支持面12と平行であり、それにより後壁13は分離層の表面とも平行であり、正面スペース31は均一の深さd1を有する。しかしながら、実施形態に依存して、支持面12及び後壁13は他の形状も有し得る。例えば、後壁13は、ガスのストリームの方向に対して平行に向けられる溝を有することもできる。
【0040】
少なくとも1つの溶離液供給ライン及び1つの溶離液放出ラインがクロマトグラフィ進行チャンバ1に設けられ、それらを介して溶離液トラフ11はクロマトグラフィ進行の前に溶離液で満たされ、続いて排液されることができる。薄層プレートDの最低約5mmが溶離液に浸漬される場合、クロマトグラフィ進行にとって最適である。溶離液トラフ11の完全な排液を可能にするために、溶離液放出ラインは溶離液トラフ11の最も低い地点に有利に配置される。溶離液トラフ11の充填及び排液の自動制御のために、センサ、特に光学センサをクロマトグラフィ進行チャンバ1内に設置することもできる。そのようなセンサはまたクロマトグラフィ進行の間の溶離液液位の連続制御のためにも働き得る。溶離液トラフ11が完全に排液又は充填される正確な瞬間はまた、これらのセンサによって自動的に判定することも可能であり、次の方法ステップをそのあと自動的に及びすぐに開始することができる。
【0041】
クロマトグラフィ進行の間の分離層内の溶離液の移動を制御するために、例えば光学センサ用の1つ又は複数の開口部がクロマトグラフィ進行チャンバ1の後壁13内に又はドア2内に設けられてもよい。ガラスなどの透明担持材料を有する薄層プレートDが使用される場合、開口部23及びセンサは、ドア2に配置され、担持材料を通る分離層内の溶離液の移動を追跡することができる(
図10)。これらのセンサにより、溶離液最前部が所望の移動距離に達した正確な瞬間を自動的に決定することができ、次の方法ステップをそのあと自動的に及びすぐに開始することができる。
【0042】
薄層プレートDの自動クロマトグラフィ用の示される装置は、クロマトグラフィ進行自体だけでなく、以下で説明されるように、上に挙げた追加の方法ステップを実行するのにも良く適している。
【0043】
クロマトグラフィ進行チャンバ1への、及びクロマトグラフィ進行チャンバからの薄層プレートDの自動挿入/取出しのために、プレート搬送手段(例えばコンベヤベルト)及びプレート位置決め手段が提供され得る。例えば、傾斜機構によって、平らに横たわる薄層プレートDを垂直な向きへ傾け、中空部3の後壁13に寄り掛からせることができる。
【0044】
入口14及び出口15は、活性化に要求されるガスのストリームを生成するのに良く適している。入口及び出口チャネル142、152の及び関連する開口部の上記の配置及び形状により、正面スペース31を通して生成されるガスのストリームは、層状である。ガスのストリームの層状の特性は、分離層の均一な加湿を保証する。分離層の表面へのガスのストリームの強力な作用のおかげで、所望の湿分が本明細書による装置によって約5分で達成されるが、これは従来の対策では典型的に約10分かかり得る。ガスのストリームの湿度及び/又は温度を制御するために、本発明による装置はさらに湿分及び/又は温度センサを含み得る。これらのセンサによって、水の所望量が分離層上で達成された正確な瞬間を自動的に判定可能であり、次の方法ステップをそのあと自動的に及びすぐに開始することができる。固定相に水分子を導入することがガスのストリームの相対湿度と平衡状態になるとすぐに、分離層はもはや水分子を吸収しない。
【0045】
同じことが予備コンディショニングにもあてはまる。ここでもまた本発明は大幅な時間の節約を可能にする:内部雰囲気の非常に限定的な体積のおかげで、及び内部雰囲気を乱流もそれと混合することもなく正面スペース31から前に同時に押し出す一方向の層状の流入ガスストリームのおかげで、分離層及び内部雰囲気の所望の導入が極めて迅速に完了される。
【0046】
乾燥のため、ガスの強力な、場合により温かいストリームを、入口14及び出口15を通して又は追加のガス入口及びガス出口を通して生成することができる。薄層プレートDの下縁部と、薄層プレートDが上に配置されるホルダ111との間の接触点は乾燥が難しいことを実験は示している。それらの間に捕捉された溶離液はクロマトグラムの人為的結果を引き起こし得る。本発明の好適な実施形態において、閉鎖されたクロマトグラフィ進行チャンバ1内で薄層プレートDとホルダ111との間の接触はない。これは例えばドア2を閉じるとすぐに又は閉じた後にホルダ111を薄層プレートDの下縁部から離すことによって達成することができる。このようにして、薄層プレートDは、ドア2と支持面12との間にクランプされるためその位置を保持する。1つの可能な実施形態において、ホルダ111は、ドア2を閉じると回転される少なくとも2つの半円筒形ロッド111’、111’’からなる(
図11,12)。
図11は、どのように薄層プレートDが開かれたクロマトグラフィ進行チャンバ1内で半円筒形ロッド111’、111’’の丸い側面に配置されるかを示し、
図12は、ドア2を閉じるとどのように半円筒形ロッドが回転されてそれらの平らな側面が薄層プレートDと接触しないかを示す。
【0047】
中空部3、入口14、出口15及び/又は溶離液トラフ11を洗浄するために、洗浄液を入口14及び出口15を通して又はクロマトグラフィ進行チャンバ1内の別個の追加の開口部を通して導入及び排出することが考えられる。洗浄後にクロマトグラフィ進行チャンバ1を乾燥するために、ガス入口及びガス出口を設けることもできる。
【0048】
クロマトグラフィ進行チャンバ1を離れるガスのストリームは、出口15に接続されかつ調製された緩衝溶剤混合物を含有するボトルに注入することによって連続的に再生される。したがって、ガスのストリームの組成は、クロマトグラフィ進行チャンバ1に再導入される前、所望の組成に復元される。気相を循環するために及びガスのストリームを生成するために、循環ポンプを例えば出口15に導入することができる。
【0049】
本発明による装置は、湿潤環境内での及び高温ガスと一緒の使用に適した、容易に機械加工可能な、機械的抵抗性、腐食抵抗性の、化学的不活性材料から有利に作られる。加えて、材料の表面は、残留物を容易に洗い流すことができるように滑らかでなければならない。本発明的装置が感光性物質の取り扱いにも適しているように、及び光化学的な人為的結果を回避するために、材料が不透明であると同じく有利である。プラスチック、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)又はポリアリルエーテルケトンのグループの他のプラスチック又はテフロン(登録商標)が好適である。
【0050】
圧縮空気によって膨張可能な膨張性シール21が中空部3の特に良好な遮断を保証することを実験は示している。そのようなシールはまた、遮断がドアフレームとクロマトグラフィ進行チャンバ1の対応する開口部との間で半径方向に生じる、したがって、ドア2を大きな力でクロマトグラフィ進行チャンバ1に対して軸方向に押し付ける必要がないという利点を有する。
【0051】
図1〜5,7の実施形態によれば、ドア2はクロマトグラフィ進行チャンバ1の正面側に配置され、開位置と閉位置との間で回転可能であるが、他の可能な実施形態では、クロマトグラフィ進行チャンバの他方側に配置可能であり、及び/又は開位置と閉位置との間で摺動可能であり得る。他の実施形態では、中空部は傾けることができる、又は水平であることさえでき、この際、薄層プレートDは中空部3内に平臥される。
【0052】
本発明は薄層プレートの自動クロマトグラフィ用の方法及び装置に係り、ここで4つの本質的な対策が、再現可能な条件のもとで薄層プレートDのクロマトグラフィ進行を一緒に可能にする:
a)環境からのクロマトグラフィ進行チャンバ1の良好な遮断及び薄層プレートDの完全な分離、
b)薄層プレートDの分離層の前方の内部雰囲気の限定された体積、
c)活性化、予備コンディショニング及び/又はクロマトグラフィ進行の間の内部雰囲気の組成の自動調整、及びセンサによって様々なプロセスを監視することによる調整の適合。これらのセンサによって、所望の所定の状態に達する正確な瞬間を自動的に判定することができ、及び次の方法ステップをそのあと自動的に及びすぐに開始することができる、
d)活性化、予備コンディショニング及び/又はクロマトグラフィ進行の間の薄層プレートの表面にわたる内部雰囲気の更新及びガスのストリームの正確な制御。
【0053】
これにより、活性化、予備コンディショニング及びクロマトグラフィ進行の間のクロマトグラフィ進行チャンバ1の内部雰囲気の組成のより優れた精度及び均一性が保証され、したがって、得られるクロマトグラムのより高い品質及び再現性が保証される。