(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782057
(24)【登録日】2020年10月21日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】D−タガトースの酵素的製造
(51)【国際特許分類】
C12P 19/02 20060101AFI20201102BHJP
C12P 19/24 20060101ALI20201102BHJP
C12P 19/14 20060101ALI20201102BHJP
C12N 9/90 20060101ALN20201102BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20201102BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20201102BHJP
C12N 9/24 20060101ALN20201102BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20201102BHJP
C12N 15/55 20060101ALN20201102BHJP
【FI】
C12P19/02ZNA
C12P19/24
C12P19/14 A
!C12N9/90
!C12N9/16 B
!C12N9/12
!C12N9/24
!C12N9/10
!C12N15/55
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-52309(P2019-52309)
(22)【出願日】2019年3月20日
(62)【分割の表示】特願2018-510466(P2018-510466)の分割
【原出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2019-150026(P2019-150026A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】62/236,226
(32)【優先日】2015年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518059587
【氏名又は名称】ボヌモーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィチェレキー、ダニエル、ジョセフ
【審査官】
北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/016544(WO,A1)
【文献】
特開2014−239651(JP,A)
【文献】
特開2013−143962(JP,A)
【文献】
特表2013−535962(JP,A)
【文献】
E8N0N6,2015年 7月22日,2018年8月16日検索 <https://www.uniprot.org/uniprot/E8N0N6.txt?version=23>
【文献】
E4SEH3,2015年 7月22日,2018年8月16日検索 <https://www.uniprot.org/uniprot/E4SEH3.txt?version=27>
【文献】
I0I507,2015年 7月22日,2018年8月16日検索 <https://www.uniprot.org/uniprot/I0I507.txt?version=15>
【文献】
H1XRG1,2015年 7月22日,2018年8月16日検索 <https://www.uniprot.org/uniprot/H1XRG1.txt?version=11>
【文献】
D2RHV2,2015年 6月24日,2018年8月16日検索 <https://www.uniprot.org/uniprot/D2RHV2.txt?version=38>
【文献】
F2KMK2,2015年 7月22日,2018年8月16日検索 <https://www.uniprot.org/uniprot/F2KMK2.txt?version=24>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/00−19/64
C12N 9/00−9/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース、セルロース誘導体、又はスクロースからなる群から選択される糖類からタガトースを製造する酵素的方法であって、
(i)1又は複数の酵素を用いて、糖類をグルコース1−リン酸(G1P)に変換するステップ;
(ii)フォスフォグルコムターゼ(PGM)を用いて、G1Pをグルコース6−リン酸(G6P)に変換するステップ;
(iii)ホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)を用いて、G6Pをフルクトース6−リン酸(F6P)に変換するステップ;
(iv)フルクトース6−リン酸エピメラーゼ(F6PE)によって触媒されてフルクトース6−リン酸(F6P)をタガトース6−リン酸(T6P)へ変換するステップ;及び
(v)タガトース6−リン酸ホスファターゼ(T6PP)によって触媒されて、生成された該T6Pをタガトースへ変換するステップ
を含み、ステップ(i)〜(v)が、単一のバイオリアクター又は反応容器において遂行される、方法。
【請求項2】
前記1又は複数の酵素が、スクロースホスホリラーゼ、セロデキストリンホスホリラーゼ、セロビオースホスホリラーゼ、及びセルロースホスホリラーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セルロースをセルロース誘導体へ変換するステップを更に含み、該セルロース誘導体がセルラーゼ混合物によって触媒されるセルロースの酵素的加水分解によって、酸によって、又はバイオマスの前処理によって製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
4−グルカントランスフェラーゼ(4GT)が添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
スクロースを該フルクトースへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ及び
フルクトースを前記F6Pへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ
を、更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
スクロースを該グルコースへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ及び
グルコースを前記G6Pへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ
を、更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タガトース6−リン酸ホスファターゼが、配列番号:12と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記タガトース6−リン酸ホスファターゼが、配列番号:13と、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記請求項1のステップ(i)〜(v)が、40℃〜70℃の範囲の温度で、5.0〜8.0の範囲のpHで、及び/又は8時間〜48時間の間遂行される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記請求項1のステップ(i)〜(v)が、ATP不含、NAD(H)不含で、0.1mMから150mMまでのリン酸塩濃度で遂行され、リン酸塩がリサイクルされる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
タガトースを分離するステップを更に含み、前記分離がクロマトグラフィーによるものではない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月2日に出願された米国特許出願第62/236,226号の優先権を主張し、該出願は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は糖D−タガトースの製造に関する。より具体的には、本発明は、糖類(saccharide)(例えば多糖、オリゴ糖、二糖、スクロース、D−グルコース、及びD−フルクトース)をD−タガトースへと酵素的に転換することによって、D−タガトースを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
D−タガトース(以降、タガトース)は、スクロースの甘味の92%を有するがカロリーはたった38%である、低カロリーの天然甘味料である。それは、果物、カカオ、及び乳製品中に少量でのみ存在する、天然に存在する単糖ヘキソースである。タガトースは2003年にFood and Drug Administration(FDA)によって食品添加物として承認され、一般に安全と認められる(GRAS)と指定された。しかしながら、タガトースの高い売値に起因して、甘味料としての使用は限定されている。タガトースは非常に多くの健康上の利益を誇り、それらは、非齲蝕原性であること;低カロリーであること;3という非常に低い血糖インデックスを有すること;グルコースの血糖インデックスを20%減弱させること;平均血糖レベルを低下できること;高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを上昇させることによって、心血管性疾患、卒中、及び他の血管疾患の予防を支援すること;並びに、検証されたプレバイオティックス及び抗酸化物質であること、である。Lu et al.,Tagatose,a New Antidiabetic and Obesity Control Drug,Diabetes Obes.Metab.10(2):109−34(2008)。それゆえ、タガトースは、明らかに医薬産業、生物工学産業、学術産業、食品産業、飲料産業、食物サプリメント産業、及び食品雑貨産業における様々な適用を有する。
【0004】
現在、タガトースは、ラクターゼ又は酸加水分解によってラクトースを加水分解してD−グルコース及びD−ガラクトースを形成することを介して、優先的に生成される(WO2011150556、CN103025894、US5002612、US6057135、及びUS8802843)。次いでD−ガラクトースは、アルカリ性条件下で水酸化カルシウムによって化学的に、又はpH中性条件下でL−アラビノースイソメラーゼによって酵素的に、のいずれかで、D−タガトースへ異性化される。最終産物は濾過及びイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせによって単離される。この製造する方法は複数のタンク又はバイオリアクター中で遂行される。全体として、この方法は、他の糖(例えばD−グルコース、D−ガラクトース、及び非加水分解ラクトース)の費用のかかる分離及び低産物収率のために悩ましい。微生物細胞発酵経由のいくつかの方法は開発されているが、どれも、費用のかかる原料(例えばガラクチトール及びD−プシコース)、低産物収率、及び費用のかかる分離への依存性に起因して、実践的な代替物であるとは証明されていない。
【0005】
該方法のうちの少なくとも1つのステップがエネルギー的に有利な化学反応を包含する、高収率のタガトース生成のための費用効率の高い合成経路を開発する必要性がある。さらに、1つのタンク又はバイオリアクター中で方法のステップを遂行できる、タガトース生成方法のための必要性がある。リン酸塩をリサイクルでき、及び/又は該方法がリン酸塩源としてのアデノシン三リン酸(ATP)の使用を要求しない、比較的低濃度のリン酸塩で遂行できるタガトース生成の方法のための必要性もある。反応ステップのうちの任意のものにおいて費用のかかるニコチン酸アミドアデノシンジヌクレオチド(NAD(H))コエンザイムの使用を要求しない、タガトース生成経路のための必要性もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において記載される発明は、タガトースを製造する方法に関する。様々な態様において、本方法は、エピメラーゼによって触媒されてフルクトース6−リン酸(F6P)をタガトース6−リン酸(T6P)へ変換すること;及び、ホスファターゼによって触媒されてT6Pをタガトースへ変換すること、を包含する。本発明は、本明細書において記載される方法のうちの任意のものによって製造されたタガトースにも関する。
【0007】
本発明のいくつかの態様において、タガトースを製造する方法は、グルコース6−リン酸(G6P)をF6Pへ変換するステップも包含し、このステップはホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)によって触媒される。他の態様において、タガトース合成のための方法は、グルコース1−リン酸(G1P)をG6Pへ変換するステップも包含し、この変換ステップはホスホグルコムターゼ(PGM)によって触媒される。
【0008】
様々な態様において、タガトースを製造する方法は、少なくとも1つの酵素によって触媒されて糖類をG1Pへ変換すること;ホスホグルコムターゼ(PGM)によって触媒されてG1PをG6Pへ変換すること;ホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)によって触媒されてG6PをF6Pへ変換すること;エピメラーゼによって触媒されてF6Pをタガトース6−リン酸(T6P)へ変換すること;及び、ホスファターゼによって触媒されて、生成されたT6Pをタガトースへ変換すること、を包含することができる。
【0009】
本方法のうちの任意のものにおいて使用される糖類は、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、及びスクロースからなる群から選択され得る。デンプン又はその誘導体は、アミロース、アミロペクチン、可溶性デンプン、アミロデキストリン、マルトデキストリン、マルトース、又はグルコースであり得る。本発明のいくつかの態様において、タガトースを製造する方法は、デンプンの酵素的加水分解又は酸加水分解によってデンプンをデンプン誘導体へ変換することを包含する。他の態様において、デンプン誘導体は、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、α−アミラーゼ、又はこれらの酵素の2つ以上の組み合わせによって触媒される、デンプンの酵素的加水分解によって製造され得る。タガトースを製造する方法は、ある特定の態様において、4−グルカントランスフェラーゼ(4GT)を添加することも包含することができる。
【0010】
様々な態様において、タガトースを製造する方法は、少なくとも1つの酵素によって触媒されてフルクトースをF6Pへ変換すること;エピメラーゼによって触媒されてF6Pをタガトース6−リン酸(T6P)へ変換すること;及び、ホスファターゼによって触媒されて、生成されたT6Pをタガトースへ変換すること、を包含することができる。他の実施形態において、タガトース生成方法は、少なくとも1つの酵素によって触媒されてスクロースをフルクトースへ変換すること;少なくとも1つの酵素によって触媒されてフルクトースをF6Pへ変換すること;エピメラーゼによって触媒されてF6Pをタガトース6−リン酸(T6P)へ変換すること;及び、ホスファターゼによって触媒されて、生成されたT6Pをタガトースへ変換すること、を包含する。
【0011】
本発明の他の態様において、タガトースを製造する方法において使用されるG6Pは、少なくとも1つの酵素によって触媒されてグルコースをG6Pへ変換すること、によって生成され得る。そして、少なくとも1つの酵素によって触媒されてスクロースをグルコースへ変換すること、によってグルコースは生成され得る。
【0012】
本発明のいくつかの態様において、F6PをT6Pへ変換するのに使用されるエピメラーゼは、フルクトース6−リン酸エピメラーゼである。フルクトース6−リン酸エピメラーゼは、配列番号:1、3、5、7、9又は10と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされ得る。様々な態様において、フルクトース6−リン酸エピメラーゼは、配列番号:2、4、6、8又は11と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0013】
本発明の様々な態様において、T6Pをタガトースへ変換するのに使用されるホスファターゼは、タガトース6−リン酸ホスファターゼである。タガトース6−リン酸ホスファターゼは、配列番号:12、14又は16と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされ得る。本発明のいくつかの態様において、タガトース6−リン酸ホスファターゼは、配列番号:13、15又は17と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0014】
様々な態様において、本発明の方法は、約40℃〜約70℃の範囲の温度で、約5.0〜約8.0の範囲のpHで、及び/又は約8時間〜約48時間の間遂行される。いくつかの態様において、タガトースを製造する方法のステップは1つのバイオリアクター中で遂行される。他の態様において、ステップは連続してアレンジされた複数のバイオリアクター中で遂行される。
【0015】
本発明の他の態様において、タガトースを製造する方法のステップは、ATP不含、NAD(H)不含で、約0mM〜約150mMのリン酸塩濃度で遂行され、リン酸塩はリサイクルされ、及び/又は本方法のうちの少なくとも1つのステップはエネルギー的に有利な化学反応を包含する。
他の記載との重複もあるが、本発明を以下に示す。
[発明1]
タガトースを製造する方法であって、
エピメラーゼによって触媒されてフルクトース6−リン酸(F6P)をタガトース6−リン酸(T6P)へ変換すること;及び
ホスファターゼによって触媒されて、生成された該T6Pをタガトースへ変換すること
を含む、方法。
[発明2]
グルコース6−リン酸(G6P)を前記F6Pに変換するステップを更に含み、該ステップがホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)によって触媒される、発明1に記載の方法。
[発明3]
グルコース1−リン酸(G1P)を前記G6Pに変換するステップを更に含み、該ステップがフォスフォグルコムターゼ(PGM)によって触媒される、発明2に記載の方法。
[発明4]
糖類を前記G1Pに変換するステップを更に含み、該ステップが少なくとも1つの酵素によって触媒され、該糖類が、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体及びスクロースからなる群から選択される、発明3に記載の方法。
[発明5]
少なくとも1つの酵素が、α−グルカンホスホリラーゼ(αGP)、マルトースホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、セロデキストリンホスホリラーゼ、セロビオースホスホリラーゼ、及びセルロースホスホリラーゼからなる群から選択される、発明4に記載の方法。
[発明6]
前記糖類が、アミロース、アミロペクチン、可溶性デンプン、アミロデキストリン、マルトデキストリン、マルトース、及びグルコースからなる群から選択されるデンプン又はその誘導体である、発明4に記載の方法。
[発明7]
デンプンをデンプン誘導体へ変換するステップを更に含み、該デンプン誘導体がデンプンの酵素的加水分解又はデンプンの酸加水分解によって製造される、発明4又は発明6のいずれか一項に記載の方法。
[発明8]
4−グルカントランスフェラーゼ(4GT)が前記方法へ添加される、発明6に記載の方法。
[発明9]
前記デンプン誘導体が、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、α−アミラーゼ、又はその組み合わせによって触媒されるデンプンの酵素的加水分解によって、製造される、発明7に記載の方法。
[発明10]
フルクトースを前記F6Pへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ;及び
随意に、スクロースを該フルクトースへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ
を、更に含む、発明1に記載の方法。
[発明11]
グルコースを前記G6Pへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ、及び
随意に、スクロースを該グルコースへ変換するステップであって、少なくとも1つの酵素によって触媒される、ステップ
を、更に含む、発明2に記載の方法。
[発明12]
前記エピメラーゼがフルクトース6−リン酸エピメラーゼである、発明1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[発明13]
前記フルクトース6−リン酸エピメラーゼが、配列番号:1、3、5、7、9又は10と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる、発明12に記載の方法。
[発明14]
前記フルクトース6−リン酸エピメラーゼが、配列番号:2、4、6、8又は11と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、発明12に記載の方法。
[発明15]
前記ホスファターゼがタガトース6−リン酸ホスファターゼである、発明1〜14のいずれか一項に記載の方法。
[発明16]
前記タガトース6−リン酸ホスファターゼが、配列番号:12、14又は16と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる、発明15に記載の方法。
[発明17]
前記タガトース6−リン酸ホスファターゼが、配列番号:13、15又は17と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、発明15に記載の方法。
[発明18]
前記方法のステップが、約40℃〜約70℃の範囲の温度で、約5.0〜約8.0の範囲のpHで、及び/又は約8時間〜約48時間の間遂行される、発明1〜17のいずれか一項に記載の方法。
[発明19]
前記方法のステップが、1つのバイオリアクター又は連続してアレンジされた複数のバイオリアクターにおいて遂行される、発明1〜18のいずれか一項に記載の方法。
[発明20]
前記方法のステップが、ATP不含、NAD(H)不含で、約0mM〜約150mMのリン酸塩濃度で遂行され、リン酸塩がリサイクルされ、及び/又は前記方法の少なくとも1つのステップがエネルギー的に有利な化学反応を包含する、発明1〜19のいずれか一項に記載の方法。
[発明21]
発明1〜20のいずれか一項に記載の方法によって製造されるタガトース。
【図面の簡単な説明】
【0016】
これらの図面は、本発明の実施形態のうちのいくつかの特定の態様を例示し、本発明の限定又は規定に使用されるべきではない。
【0017】
【
図1】フルクトース6−リン酸を、タガトース6−リン酸及び次いでD−タガトース(タガトース)へ変換する酵素経路を図示する概略図解である。
【0018】
【
図2】デンプン又はその誘導産物をタガトースへ変換する酵素経路を図示する概略図解である。以下の略語が使用される。αGP、α−グルカンホスホリラーゼ又はデンプンホスホリラーゼ;PGM、ホスホグルコムターゼ;PGI、ホスホグルコイソメラーゼ;F6PE、フルクトース6−リン酸エピメラーゼ;T6PP、タガトース6−リン酸ホスファターゼ;IA、イソアミラーゼ;PA、プルラナーゼ;MP、マルトースホスホリラーゼ;PPGK、ポリリン酸グルコキナーゼ。
【0019】
【
図3】セルロース又はその誘導産物をタガトースへ変換する酵素経路を示す。CDP、セロデキストリンホスホリラーゼ;CBP、セロビオースホスホリラーゼ;PPGK、ポリリン酸グルコキナーゼ;PGM、ホスホグルコムターゼ;PGI、ホスホグルコイソメラーゼ;F6PE、フルクトース6−リン酸エピメラーゼ;T6PP、タガトース6−リン酸ホスファターゼ。
【0020】
【
図4】フルクトースをタガトースへ変換する酵素経路を図示する概略図解である。PPFK、ポリリン酸フルクトキナーゼ;F6PE、フルクトース6−リン酸エピメラーゼ;T6PP、タガトース6−リン酸ホスファターゼ。
【0021】
【
図5】グルコースをタガトースへ変換する酵素経路を図示する概略図解である。PPGK、ポリリン酸グルコキナーゼ;PGI、ホスホグルコイソメラーゼ;F6PE、フルクトース6−リン酸エピメラーゼ;T6PP、タガトース6−リン酸ホスファターゼ。
【0022】
【
図6】スクロース又はその誘導産物をタガトースへ変換する酵素経路を示す。SP、スクロースホスホリラーゼ;PPFK、ポリリン酸フルクトキナーゼ;PGM、ホスホグルコムターゼ;PGI、ホスホグルコイソメラーゼ;F6PE、フルクトース6−リン酸エピメラーゼ;T6PP、タガトース6−リン酸ホスファターゼ。
【0023】
【
図7】タガトースへのグルコース1−リン酸の変換のための生成ギブスエネルギーに基づく中間体の間の反応ギブスエネルギーを示す。
【0024】
本発明は、産物分離費用及びタガトース生成費用を大幅に減少させる一方で、高い産物収率を備えたタガトースの合成のための酵素経路又は方法を提供する。
【0025】
本発明は、タガトースを製造する方法であって、エピメラーゼによって触媒されてフルクトース6−リン酸(F6P)をタガトース6−リン酸(T6P)へ変換すること、及び、ホスファターゼ(例えばタガトース6−リン酸ホスファターゼ、T6PP)によって触媒されて、生成されたT6Pをタガトースへ変換すること、を包含する、該方法に関する。この方法は、
図1中に概論的に示される。ある特定の実施形態において、F6PのT6Pへの変換を触媒するエピメラーゼは、フルクトース6−リン酸エピメラーゼ(F6PE)である。
【0026】
F6PをT6Pへ変換するエピメラーゼは本発明の方法において使用され得る。本発明のいくつかの態様において、F6PをT6Pへ変換する方法における使用のために好適なエピメラーゼは、配列番号:2、4、6、8又は11(以下に示される)のアミノ酸配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するアミノ酸配列を含む。好適なエピメラーゼは、配列番号:1、3、5、7、9又は10(以下に示される)のヌクレオチド配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0027】
本発明は、配列番号:2、4、6、8又は11のアミノ酸配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するアミノ酸配列を含むエピメラーゼにも関する。他の態様において、本発明は、配列番号:1、3、5、7、9又は10のヌクレオチド配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるエピメラーゼに関する。
【0028】
T6Pをタガトース(D−タガトース)へ変換するホスファターゼは本発明の方法において使用され得る。本発明のいくつかの態様において、T6Pをタガトース(D−タガトース)へ変換するのに使用され得るホスファターゼは、配列番号:12、14又は16(以下に示される)のアミノ酸配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するアミノ酸配列を含む。タガトースホスファターゼは、配列番号:13、15又は17(以下に示される)のヌクレオチド配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0029】
本発明は、T6Pをタガトース(D−タガトース)へ変換し、配列番号:12、14又は16のアミノ酸配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するアミノ酸配列を含むホスファターゼにも関する。様々な態様において、本発明は、T6Pをタガトース(D−タガトース)へ変換し、配列番号:13、15又は17のヌクレオチド配列へ、少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、及びさらに最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%又は100%の同一性の程度を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるホスファターゼに関する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明に記載のタガトースを製造する方法は、グルコース6−リン酸(G6P)をF6Pへ酵素的に転換するステップも包含し、このステップはホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)によって触媒される。他の実施形態において、タガトースを製造する方法はグルコース1−リン酸(G1P)をG6Pに変換するステップを追加で包含し、このステップがホスホグルコムターゼ(PGM)によって触媒される。なお更なる実施形態において、タガトース生成方法は、少なくとも1つの酵素によって触媒されて糖類をG1Pへ変換するステップも包含する。
【0031】
したがって、本発明に従ってタガトースを製造する方法は、例えば、以下の、(i)1つ又は複数の酵素を使用して、糖類をグルコース1−リン酸(G1P)へ変換するステップと;(ii)ホスホグルコムターゼ(PGM、EC5.4.2.2)を使用して、G1PをG6Pへ変換するステップと;(iii)ホスホグルコイソメラーゼ(PGI、EC5.3.1.9)を使用して、G6PをF6Pへ変換するステップと;(iv)フルクトース6−リン酸エピメラーゼ(F6PE)によって、F6PをT6Pへ変換するステップと、(v)タガトース6−リン酸ホスファターゼ(T6PP)によって、T6Pをタガトースに変換するステップとを包含することができる。糖類がデンプンである方法の例は
図2中に示される。
【0032】
典型的には、開示される方法において使用される酵素単位の比は、1:1:1:1:1(αGP:PGM:PGI:F6PE:T6PP)である。産物収率の最適化のために、これらの比は任意の数の組み合わせで調整され得る。例えば、3:1:1:1:1の比を使用してリン酸化中間体の濃度を最大化することができ、それは下流の反応の活性増加をもたらすだろう。反対に、1:1:1:1:3の比を使用してαGPのためのリン酸塩のロバストな供給を維持することができ、それはα−1,4−グリコシド結合のより効率的な加リン酸分解性切断をもたらすだろう。例えば3:1:1:1:3の酵素の比を使用して、反応速度を更に増加させることができる。したがって、酵素比(以下に議論される他の随意の酵素が含まれる)を変動させて、タガトース生成の効率を増加させることができる。例えば、特定の酵素は、他の酵素の量と比べて、約2×、3×、4×、5×などの量で存在し得る。
【0033】
本方法の重要な利点のうちの1つは、1つのバイオリアクター又は反応容器中で方法のステップを遂行できるということである。あるいは、ステップは、連続してアレンジされる複数のバイオリアクター又は反応容器中でも遂行できる。
【0034】
特にすべての方法のステップが単一のバイオリアクター又は反応容器中で遂行される場合に、T6PのT6PP脱リン酸化によって生成されたリン酸イオンは、次いで糖類をG1Pへ変換する方法のステップにおいてリサイクルすることができる。開示される方法においてリン酸塩をリサイクルする能力は、リン酸塩の非化学量論的な量が使用されることを可能にし、それは反応リン酸塩濃度を低く維持する。これは全体的な経路及び方法の全体的な速度に影響するが、個別の酵素の活性を限定せず、タガトースを得る方法の全体的効率を可能にする。
【0035】
例えば、反応リン酸塩濃度は、約0mM〜約300mM、約0mM〜約150mM、約1mM〜約50mM、好ましくは約5mM〜約50mM、又はより好ましくは約10mM〜約50mMの範囲であり得る。例えば、反応リン酸塩濃度は、約0.1mM、約0.5mM、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、又は約55mMであり得る。
【0036】
したがって、低いリン酸塩濃度は、低い全リン酸塩及びしたがってリン酸塩除去費用の低下に起因して、生成費用の減少をもたらす。それは、高濃度の遊離リン酸塩によるT6PPの阻害も防止し、リン酸塩汚染についての可能性も減少させる。
【0037】
さらに、本明細書において開示される方法は、リン酸塩源として添加されるATPなしに(すなわちATP不含)遂行できる。この方法は、NAD(H)も添加する必要なしに(すなわちNAD(H)不含)遂行できる。他の利点には、タガトースを作製するための開示される方法のうちの少なくとも1つのステップがエネルギー的に有利な化学反応を包含するという事実も含まれる(
図7)。
【0038】
糖類をG1Pへ変換するのに使用される酵素の例には、α−グルカンホスホリラーゼ(αGP、EC2.4.1.1)、マルトースホスホリラーゼ(MP、EC2.4.1.8)、セロデキストリンホスホリラーゼ(CDP、EC2.4.1.49)、セロビオースホスホリラーゼ(CBP、EC2.4.1.20)、セルロースホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ(SP、EC2.4.1.7)、及びその組み合わせが含まれる。酵素又は酵素の組み合わせの選択は、本方法において使用される糖類に依存する。
【0039】
G1Pの生成のために使用される糖類は、多糖、オリゴ糖、及び/又は二糖であり得る。例えば、糖類は、デンプン、1つ若しくは複数のデンプンの誘導体、セルロース、1つ若しくは複数のセルロースの誘導体、スクロース、1つ若しくは複数のスクロースの誘導体、又はその組み合わせであり得る。
【0040】
デンプンは天然で最も広く使用されるエネルギー貯蔵化合物であり、植物種子中で多くは保存される。天然のデンプンは、直線状アミロース及び分岐状アミロペクチンを含有する。デンプン誘導体の例には、アミロース、アミロペクチン、可溶性デンプン、アミロデキストリン、マルトデキストリン、マルトース、フルクトース、及びグルコースが含まれる。セルロース誘導体の例には、前処理されたバイオマス、再生された非晶性セルロース、セロデキストリン、セロビオース、フルクトース、及びグルコースが含まれる。スクロース誘導体には、フルクトース及びグルコースが含まれる。
【0041】
デンプン誘導体は、デンプンの酵素的加水分解によって、又はデンプンの酸加水分解によって製造され得る。具体的には、デンプンの酵素的加水分解は、α−1,6−グルコシド結合を加水分解する、イソアミラーゼ(IA、EC.3.2.1.68);α−1,6−グルコシド結合を加水分解する、プルラナーゼ(PA、EC.3.2.1.41);短いマルトオリゴ糖のグリコシル転移を触媒してより長いマルトオリゴ糖を与える、4−α−グルカノトランスフェラーゼ(4GT、EC.2.4.1.25);又はα−1,4−グルコシド結合を切断する、α−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)によって、触媒又は促進され得る。
【0042】
さらに、セルロースの誘導体は、セルラーゼ混合物によって触媒されるセルロースの酵素的加水分解によって、酸によって、又はバイオマスの前処理によって、製造され得る。
【0043】
ある特定の実施形態において、糖類をG1Pへ変換するのに使用される酵素はαGPを含有する。このステップにおいて、糖類がデンプンを含む場合に、G1PはαGPによってデンプンから生成され;糖類が可溶性デンプン、アミロデキストリン又はマルトデキストリンを含有する場合に、G1PはαGPによって可溶性デンプン、アミロデキストリン又はマルトデキストリンから生成される。
【0044】
糖類がマルトースを含み、酵素がマルトースホスホリラーゼを含有する場合に、G1Pはマルトースホスホリラーゼによってマルトースから生成される。糖類がスクロースを含み、酵素がスクロースホスホリラーゼを含有するならば、G1Pはスクロースホスホリラーゼによってスクロースから生成される。
【0045】
さらに別の実施形態において、糖類がセロビオースを含み、酵素がセロビオースホスホリラーゼを含有する場合に、G1Pはセロビオースホスホリラーゼによってセロビオースから生成される。
【0046】
追加の実施形態において、糖類がセロデキストリンを含有し、酵素がセロデキストリンホスホリラーゼを含む場合に、G1Pはセロデキストリンホスホリラーゼによってセロデキストリンから生成される。
【0047】
糖類をG1Pへ変換する代替の実施形態において、糖類がセルロースを含み、酵素がセルロースホスホリラーゼを含有する場合に、G1Pはセルロースホスホリラーゼによってセルロースから生成される。
【0048】
本発明によれば、タガトースはフルクトースからも生成することができる。該方法の例は
図4中で示される。例えば、この方法は、ポリリン酸フルクトキナーゼ(PPFK)によって触媒されてフルクトース及びポリリン酸塩からF6Pを生成すること;F6PEによって触媒されてF6PをT6Pへ変換すること;及び、T6PPによって触媒されてT6Pをタガトースへ変換すること、を包含する。フルクトースは、例えばスクロースの酵素的変換によって生成することができる。
【0049】
他の実施形態において、タガトースはスクロースから生成することができる。かかる方法の例は
図6中で示される。この方法は、以下の酵素的ステップ:スクロースホスホリラーゼ(SP)によって触媒されてスクロース及び遊離リン酸塩からG1Pを生成するステップ;PGMによって触媒されてG1PをG6Pへ変換するステップ;PGIによって触媒されてG6PをF6Pへ変換するステップ;F6PEによって触媒されてF6PをT6Pへ変換するステップ;及び、T6PPによって触媒されてT6Pをタガトースへ変換するステップ、が含まれるインビトロの合成経路を提供する。
【0050】
T6Pがタガトースへ変換される場合に生成されるリン酸イオンは、次いでスクロースをG1Pへ変換するステップにおいてリサイクルすることができる。加えて、
図6中で示されるように、PPFK及びポリリン酸塩を使用して、SPによるスクロースの加リン酸分解性切断によって生成されたフルクトースから、F6Pを生成することによって、タガトース収率を増加させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、タガトースを製造する方法には、酵素的加水分解又は酸加水分解によって多糖及びオリゴ糖からグルコースを生成するステップ、少なくとも1つの酵素によって触媒されてグルコースをG6Pへ変換するステップ、酵素的加水分解又は酸加水分解によって多糖及びオリゴ糖からフルクトースを生成するステップ、少なくとも1つの酵素によって触媒されてフルクトースをG6Pへ変換するステップ、が含まれる。多糖及びオリゴ糖の例は上で列挙される。
【0052】
他の実施形態において、G6Pは、ポリリン酸グルコキナーゼによってグルコース及びポリリン酸ナトリウムから生成される。
【0053】
本開示は、糖類(デンプン中の多糖及びオリゴ糖、セルロース、スクロース、及びそれらの誘導産物等)をタガトースに変換する方法を提供する。ある特定の実施形態において、人工的な(非天然の)ATP不含酵素経路は、無細胞酵素混液を使用して、デンプン、セルロース、スクロース、及びそれらの誘導産物をタガトースへ変換するために提供される。
【0054】
上で示されるように、いくつかの酵素を使用してデンプンを加水分解し、G1P収率を増加させることができる。かかる酵素には、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、及びα−アミラーゼが含まれる。トウモロコシデンプンは、αGP作用を妨害する多くの分岐を含有する。イソアミラーゼを使用してデンプンを脱分岐させることができ、直線状アミロデキストリンをもたらす。イソアミラーゼ前処理デンプンは、最終産物中でより高いF6P濃度をもたらし得る。イソアミラーゼ及びプルラナーゼはα−1,6−グリコシド結合を切断し、それはα−グルカンホスホリラーゼによるデンプンのより完全な分解を可能にする。α−アミラーゼはα−1,4−グリコシド結合を切断し、したがって、α−アミラーゼは、タガトースへのより迅速な変換のためにデンプンを断片へ分解するのに使用される。
【0055】
図2中で示されるように、マルトースホスホリラーゼ(MP)を使用して、分解産物マルトースをG1P及びグルコースへと加リン酸分解的に切断することによって、タガトース収率を増加させることができる。あるいは、4−グルカントランスフェラーゼ(4GT)を使用して、分解産物のグルコース、マルトース及びマルトトリオースをより長いマルトオリゴ糖へとリサイクルし;それをαGPによって加リン酸分解的に切断してG1Pを与えることによって、タガトース収率を増加させることができる。
【0056】
加えて、セルロースは最も多量にある生物資源であり、植物細胞壁の主要な構成要素である。非食料品のリグノセルロース系バイオマスは、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンに加えて、他の微量成分を含有する。純粋なセルロース(アビセル
(商標)(微結晶性セルロース)、再生された非晶性セルロース、細菌セルロース、フィルターペーパーなどが含まれる)は、処理のシリーズによって製造され得る。部分的に加水分解されたセルロース系基質には、重合度が7を超える非水溶性セロデキストリン、3〜6の重合度を備えた水溶性セロデキストリン、セロビオース、グルコース、及びフルクトースが含まれる。
【0057】
ある特定の実施形態において、セルロース及びその誘導産物はステップのシリーズを介してタガトースへ変換され得る。かかる方法の例は
図3中で示される。この方法は、セロデキストリンホスホリラーゼ(CDP)及びセロビオースホスホリラーゼ(CBP)によって触媒されてそれぞれセロデキストリン及びセロビオース並びに遊離リン酸塩からG1Pを生成するステップ;PGMによって触媒されてG1PをG6Pへ変換するステップ;PGIによって触媒されてG6PをF6Pへ変換するステップ;F6PEによって触媒されてF6PをT6Pへ変換するステップ;及び、T6PPによって触媒されてT6Pをタガトースへ変換するステップ、を包含するインビトロの合成経路を提供する。この方法において、リン酸イオンは、セロデキストリン及びセロビオースをG1Pへ変換するステップによってリサイクルすることができる。
【0058】
いくつかの酵素を使用して、固体セルロースを水溶性セロデキストリン及びセロビオースへ加水分解することができる。かかる酵素にはエンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼが含まれるが、β−グルコシダーゼ(セロビアーゼ)は含まれない。
【0059】
セルロースの加水分解及びG1P生成の前に、セルロース及びバイオマスを前処理して、それらの反応性を増加させ、セルロース鎖の重合度を減少させることができる。セルロース及びバイオマスの前処理方法には、希酸前処理、セルロース溶媒ベースのリグノセルロース分画、アンモニア繊維爆砕、アンモニア水浸漬、イオン液体処理、及び濃酸(塩酸、硫酸、リン酸及びそれらの組み合わせが含まれる)の使用による部分的加水分解が含まれる。
【0060】
いくつかの実施形態において、
図3中で示されるように、ポリリン酸塩及びポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)を本方法へ添加することができ、したがって、分解産物グルコースのG6Pへのリン酸化によってタガトースの収率を増加させる。
【0061】
他の実施形態において、タガトースはグルコースから生成することができる。かかる方法の例は
図5中で示される。この方法は、ポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)によって触媒されてグルコース及びポリリン酸塩からG6Pを生成するステップ;PGIによって触媒されてG6PをF6Pへ変換するステップ;F6PEによって触媒されてF6PをT6Pへ変換するステップ;及び、T6PPによって触媒されてT6Pをタガトースへ変換するステップ、を包含する。
【0062】
当技術分野において公知の任意の好適な生理的バッファーを、本発明の方法において使用することができる(HEPES、PBS、BIS−TRIS、MOPS、DIPSO、トリズマなど等)。すべての実施形態について、反応バッファーは5.0〜8.0の範囲のpHを有することができる。より好ましくは、反応バッファーのpHは約6.0〜約7.3の範囲であり得る。例えば、反応バッファーpHは、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2又は7.3であり得る。
【0063】
反応バッファーは、重要な金属カチオンも含有することができる。金属イオンの例にはMg
2+及びZn
2+が含まれる。
【0064】
本方法のステップが遂行される反応温度は37〜85℃の範囲であり得る。より好ましくは、ステップは約40℃〜約70℃の範囲の温度で遂行することができる。温度は、例えば約40℃、約45℃、約50℃、約55℃又は約60℃であり得る。好ましくは、反応温度は約50℃である。
【0065】
開示される方法の反応時間は必要に応じて調整することができ、約8時間〜約48時間の範囲であり得る。例えば、反応時間は、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間、約26時間、約28時間、約30時間、約32時間、約34時間、約36時間、約38時間、約40時間、約42時間、約44時間、約46時間、又は約48時間であり得るより好ましくは、反応時間は約24時間である。
【0066】
本発明に記載の方法は、反応全体について非常に有利な平衡定数に起因して高収率を達成することができる。例えば、
図7は、グルコース1−リン酸のタガトースへの変換のための生成ギブスエネルギーに基づく中間体の間の反応ギブスエネルギーを示す。反応ギブスエネルギーはhttp://equilibrator.weizmann.ac.il/を使用して得られた。理論的には、出発材料が完全に中間体に変換されるならば、最大99%の収率を達成することができる。
【0067】
本発明の方法は低コストの出発材料を使用し、原料及び産物分離と関連する費用の減少によって生成費用を低減させる。デンプン、セルロース、スクロース及びそれらの誘導体は、例えばラクトースよりも低い費用の原料である。タガトースがラクトースから生成される場合に、グルコース、ガラクトース及びタガトースはクロマトグラフィーによって分離され、それはより高い生成費用を引き起こす。
【0068】
さらに、T6Pを本発明に記載のタガトースへ変換するステップは、原料にかかわらず、不可逆的ホスファターゼ反応である。したがって、タガトースは、後続の産物分離費用を効果的に最小限にしながら非常に高収率で生成される。
【0069】
細胞ベースの製造方法とは対照的に、本発明は、タガトースの細胞不含製造を包含し、細胞膜(それは多くの場合細胞の中へ及び細胞から外への基質/産物の輸送を減速させる)の排除に起因する比較的高い反応速度を有する。それは、栄養に富む発酵培地/細胞内代謝物のない最終産物も有する。
【実施例】
【0070】
材料及び方法
化学物質
【0071】
トウモロコシデンプン、可溶性デンプン、マルトデキストリン、マルトース、グルコース、フィルターペーパーが含まれるすべての化学物質は、特に断りのない限り、試薬グレード以上のものであり、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、米国)又はFisher Scientific(Pittsburgh、PA、米国)から購入した。制限酵素、T4リガーゼ、及びPhusion DNAポリメラーゼは、New England Biolabs(Ipswich(MA)及び米国)から購入した。オリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA、米国)又はEurofins MWG Operon(Huntsville、AL、米国)のいずれかによって合成された。Ye et al.,Fusion of a family 9 cellulose−binding module improves catalytic potential of Clostridium thermocellum cellodextrin phosphorylase on insoluble cellulose.Appl.Microbiol.Biotechnol.2011;92:551−560.中で記載されるように、酵素精製において使用される、再生された非晶性セルロースを、アビセル
(商標)PH105(FMC BioPolymer、Philadelphia、PA、米国)からの溶解及び再生を介して製造した。Escherichia coli Sig10(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)をDNA操作のための宿主細胞として使用し、E.coli BL21(DE3)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、米国)を組換えタンパク質発現のための宿主細胞として使用した。100mg/Lのアンピシリン又は50mg/Lのカナマイシンのいずれかを含むZYM−5052培地を、E.coli細胞増殖及び組換えタンパク質発現のために使用した。Trichoderma reeseiからのセルラーゼ(カタログ番号:C2730)及びプルラナーゼ(カタログ番号:P1067)を、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、米国)から購入し、Novozymes(Franklinton、NC、米国)によって製造されたものであった。マルトースホスホリラーゼ(カタログ番号:M8284)をSigma−Aldrichから購入した。
【0072】
組換え酵素の生成及び精製
【0073】
タンパク質発現プラスミドを保有するE.coli BL21(DE3)株を、100mg/Lのアンピシリン又は50mg/Lのカナマイシンのいずれかを含有する100mLのZYM−5052培地を備えた1Lのエルレンマイヤーフラスコ中でインキュベーションした。細胞を、220rpmでの回転式振盪により37℃で16〜24時間増殖させた。細胞を12℃で遠心分離によって採取し、50mMのNaCl及び5mMのMgCl
2を含有する20mMのHEPES(pH7.5)(加熱沈殿及びセルロース結合モジュール)、又は300mMのNaCl及び5mMイミダゾールを含有する20mMのHEPES(pH7.5)(Ni精製)のいずれかにより1回洗浄した。細胞ペレットを同じバッファー中で再懸濁し、超音波処理によって溶解した(Fisher Scientific Sonic Dismembrator Model 500;5秒パルスオン及び10秒オフ、50%の振幅で全体で21分間)。遠心分離後に、上清中の標的タンパク質を精製した。
【0074】
3つのアプローチを使用して、様々な組換えタンパク質を精製した。Hisタグ付加タンパク質をProfinity IMAC Ni−Charged Resin(Bio−Rad、Hercules、CA、米国)によって精製した。セルロース結合モジュール(CBM)及び自己切断インテインを含有する融合タンパク質を、大きな表面積の再生された非晶性セルロース上での高親和性吸着を介して精製した。70〜95℃で5〜30分間の加熱沈殿を使用して超耐熱性酵素を精製した。組換えタンパク質の純度を、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって検討した。
【0075】
使用される酵素及びそれらの活性アッセイ
【0076】
Thermotoga maritimaからのα−グルカンホスホリラーゼ(αGP)(Uniprot ID G4FEH8)を使用した。1mMのMgCl
2、5mMのDTT及び30mMのマルトデキストリンを含有する50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)中で50℃で、活性をアッセイした。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)(Vivaproducts,Inc.、Littleton、MA、米国)による酵素の濾過によって、反応を停止した。グルコース1−リン酸(G1P)を、25U/mLのホスホグルコムターゼを補足したグルコースヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキット(Sigma Aldrich、カタログ番号GAHK20−1KT)を使用して測定した。単位(U)はμmol/分として記述される。
【0077】
Thermococcus kodakaraensisからのホスホグルコムターゼ(PGM)(Uniprot ID Q68BJ6)を使用した。5mMのMgCl
2及び5mMのG1Pを含有する50mMのHEPESバッファー(pH7.2)中で50℃で、活性を測定した。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。産物グルコース6−リン酸(G6P)を、ヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキット(Sigma Aldrich(カタログ番号GAHK20−1KT))を使用して決定した。
【0078】
Clostridium thermocellumからのホスホグルコイソメラーゼ(PGI)(Uniprot ID A3DBX9)及びThermus thermophilusからのPGI(Uniprot ID Q5SLL6)の異なる2つの源を使用した。5mMのMgCl
2及び10mMのG6Pを含有する50mMのHEPESバッファー(pH7.2)中で50℃で、活性を測定した。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。産物(フルクトース6−リン酸(F6P))を、フルクトース6−リン酸キナーゼ(F6PK)/ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PK)/乳酸脱水素酵素(LD)共役酵素アッセイ(そこで340nmでの吸光度の減少はF6Pの生成を指摘する)を使用して決定した。この200μL反応物は、50mMのHEPES(pH7.2)、5mMのMgCl
2、10mMのG6P、1.5mMのATP、1.5mMのホスホエノールピルビン酸、200μMのNADH、0.1UのPGI、5UのPK、及び5UのLDを含んでいた。
【0079】
Dictyoglomus thermophilumからのフルクトース6−リン酸エピメラーゼ(F6PE)(Uniprot ID B5YBD7)を使用した。5mMのMgCl
2及び10mMのF6Pを含有する50mMのHEPESバッファー(pH7.2)中で50℃で、活性を測定した。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。産物(タガトース6−リン酸(T6P))を、タガトース6−リン酸ホスファターゼを使用し遊離リン酸塩放出を検出して決定した。遊離リン酸塩放出を検出するために、0.1Mの酢酸亜鉛及び2mMのモリブデン酸アンモニウム(pH5)を含有する500μLの溶液を、50μLの反応物へ添加した。これを混合し、125μLの5%のアスコルビン酸(pH5)が後続した。この溶液を混合し、次いで30℃で20分間インキュベーションした。850nmでの吸光度を読み取って、遊離リン酸塩放出を決定した。
【0080】
Anaerolinea thermophila UNI−1からの好熱性F6PE(Uniprot ID:E8N0N6)
【0081】
ヌクレオチド配列(配列番号:1)
【0082】
ATGTTCGGCTCGCCTGCTCCCCTGCTGGATATGGTCACCGCGCAGAAACAGGGCATGGCGCGGGGTATCCCATCCATTTGTTCGGCACATCCGGTGGTGCTGAGTGCCGCCTGCCATCTTGCCCGCCGGAGCGGCGCGCCCCTGCTCATCGAAACCACCTGCAATCAGGTCAACCACCAAGGTGGGTACAGCGGCATGACCCCCGCCGATTTTGTCCGCTTTCTGCGCGAAATTCTGGAACGGGAAGGTATTCCCCCGCAACAGGTCATCCTGGGCGGGGATCACCTGGGTCCTTACCCCTGGCGGAAAGAGCCTGCCGAAACCGCCATAGCACAAGCGCTGGAAATGGTGCGGGCATACGTGCAGGCAGGCTACACCAAAATTCATCTGGACGCTTCCATGCCCTGCGCCGATGACGACCCCGAGCGTCCCCTGCCGCTGGAGCGCATAGCCCGACGGGCGGCGCAGTTGTGCGCCGCCGCCGAAGCCGCCGCGGGAGCGGTTCAGCCGGTGTACGTAATTGGCAGTGAGGTGCCCCCGCCCGGCGGCGCGCAGGGTCAGGAGGCAAGACTTCACGTCACCACTCCGCAGGAAGCCCAAGCCGCGCTGGATGCCTTTCGGGAAGCCTTTCTGCAGGCAGGCTTGACTCCCGTTTGGGAGCGGGTCATTGCGCTGGTAGTCCAGCCGGGGGTGGAGTTTGGCGTGGACAGCATTCACGCCTATCAGCGCGAAGCCGCCCGCCCGCTGAAGACCTTCATCGAGGGCGTGCCCGGCATGGTGTATGAAGCCCACTCGACCGATTACCAGACCCGTGCCTCCCTGCGTGCGCTGGTGGAAGACCACTTTTCCATTCTCAAGGTTGGTCCGGCACTAACCTTTGCCTACCGCGAAGCCGTGTTCGCCCTGGAACACATCGAACGGGAAATATTGGGCAGGCAGGATATGCCTCTCTCCCGCCTGAGTGAAGTCCTCGACGAGGTGATGCTGAACGATCCACGCCACTGGCAGGGATACTTTGCCGGCGCTCCCGCCGAACAGGCGCTGGCGCGCCGCTACAGTTTCAGCGACCGCATTCGCTATTACTGGCACCATCCCGCCGCGCAGGAAGCCGTGCGGAGACTGCTCGCCAACCTGATCGAAACCCCGCCGCCGCTGAGTTTGCTCAGCCAGTACCTGCCGCGCGAGTATGAGATGGTGCGCGCGGGGGAAATCTCCAGCCACCCGCAGGACCTGATTCGGGCACATATCCAGCACACGCTGGAAGATTACGCTGCGGCGTGCGGGTAA
【0083】
アミノ酸配列(配列番号:2)
【0084】
MFGSPAPLLDMVTAQKQGMARGIPSICSAHPVVLSAACHLARRSGAPLLIETTCNQVNHQGGYSGMTPADFVRFLREILEREGIPPQQVILGGDHLGPYPWRKEPAETAIAQALEMVRAYVQAGYTKIHLDASMPCADDDPERPLPLERIARRAAQLCAAAEAAAGAVQPVYVIGSEVPPPGGAQGQEARLHVTTPQEAQAALDAFREAFLQAGLTPVWERVIALVVQPGVEFGVDSIHAYQREAARPLKTFIEGVPGMVYEAHSTDYQTRASLRALVEDHFSILKVGPALTFAYREAVFALEHIEREILGRQDMPLSRLSEVLDEVMLNDPRHWQGYFAGAPAEQALARRYSFSDRIRYYWHHPAAQEAVRRLLANLIETPPPLSLLSQYLPREYEMVRAGEISSHPQDLIRAHIQHTLEDYAAACG
【0085】
Caldicellulosiruptor kronotskyensisからの好熱性F6PE(Uniprot ID:E4SEH3)
【0086】
ヌクレオチド配列(配列番号:3)
【0087】
ATGAGTCCTCAAAATCCATTGATTGGTTTATTTAAGAATAGAGAAAAAGAGTTTAAGGGTATTATTTCAGTTTGTTCTTCAAATGAAATAGTCTTAGAAGCAGTTTTAAAAAGAATGAAAGATACAAACCTACCAATTATTATTGAAGCCACAGCGAACCAGGTAAATCAATTTGGCGGGTATTCTGGGTTGACACCGTCTCAGTTCAAAGAACGAGTTATAAAAATTGCTCAAAAAGTTGATTTTCCACTTGAGAGAATAATTCTTGGTGGGGACCATCTTGGACCATTTGTGTGGCGTGACCAGGAACCAGAAATTGCTATGGAGTATGCTAAGCAAATGATAAAAGAATACATAAAAGCAGGTTTTACCAAAATTCACATCGACACGAGTATGCCTTTAAAAGGGGAGAACAGCATAGATGATGAAATAATTGCTAAAAGAACTGCTGTGCTCTGCAGGATTGCGGAGGAGTGTTTTGAGAAGATTTCTATAAACAATCCCTATATTACAAGGCCAGTTTATGTGATAGGAGCTGATGTGCCACCTCCCGGCGGAGAGTCTTCTATTTGTCAAACAATTACTACTAAAGATGAATTAGAAAGAAGTTTAGAATATTTCAAAGAAGCATTTAAAAAGGAAGGAATTGAGCATGTATTCGATTATGTAGTTGCTGTTGTTGCAAATTTTGGAGTTGAATTTGGGAGCGATGAAATTGTTGATTTTGATATGGAAAAAGTAAAGCCGCTAAAAGAACTTTTGGCAAAGTACAATATAGTATTTGAAGGCCATTCTACAGATTATCAAACAAAAGAAAACTTAAAAAGAATGGTCGAATGTGGTATTGCAATTTTAAAGGTTGGTCCTGCTCTAACATTTACATTGCGCGAAGCGTTAGTAGCACTTAGTCATATTGAAGAAGAAATTTATAGCAATGAAAAGGAGAAACTGTCAAGATTTAGAGAAGTTTTATTGAATACTATGCTAACATGCAAAGATCACTGGAGTAAATATTTTGATGAGAATGATAAGTTAATTAAGTCAAAGCTCCTATATAGCTATCTTGACAGATGGAGATACTATTTTGAAAACGAGAGTGTGAAAAGTGCTGTTTATTCTCTTATTGGAAATTTAGAGAATGTTAAAATTCCACCTTGGCTTGTAAGTCAGTATTTTCCTTCTCAGTACCAAAAGATGAGAAAAAAAGATTTAAAAAACGGTGCTGCCGACCTAATATTGGATAAAATAGGGGAAGTCATTGACCATTATGTTTATGCGGTAAAAGAATAA
【0088】
アミノ酸配列(配列番号:4)
【0089】
MSPQNPLIGLFKNREKEFKGIISVCSSNEIVLEAVLKRMKDTNLPIIIEATANQVNQFGGYSGLTPSQFKERVIKIAQKVDFPLERIILGGDHLGPFVWRDQEPEIAMEYAKQMIKEYIKAGFTKIHIDTSMPLKGENSIDDEIIAKRTAVLCRIAEECFEKISINNPYITRPVYVIGADVPPPGGESSICQTITTKDELERSLEYFKEAFKKEGIEHVFDYVVAVVANFGVEFGSDEIVDFDMEKVKPLKELLAKYNIVFEGHSTDYQTKENLKRMVECGIAILKVGPALTFTLREALVALSHIEEEIYSNEKEKLSRFREVLLNTMLTCKDHWSKYFDENDKLIKSKLLYSYLDRWRYYFENESVKSAVYSLIGNLENVKIPPWLVSQYFPSQYQKMRKKDLKNGAADLILDKIGEVIDHYVYAVKE
【0090】
Caldilinea aerophilaからの好熱性F6PE(Uniprot ID:I0I507)
【0091】
ヌクレオチド配列(配列番号:5)
【0092】
ATGTCAACACTTCGCCACATCATTTTGCGACTGATCGAGCTGCGTGAACGAGAACAGATCCATCTCACGCTGCTGGCCGTCTGTCCCAACTCGGCGGCGGTGCTGGAGGCAGCGGTGAAGGTCGCCGCGCGCTGCCACACGCCGATGCTCTTCGCTGCCACGCTCAATCAAGTCGATCGCGACGGCGGCTACACCGGTTGGACGCCTGCGCAATTCGTCGCCGAGATGCGTCGCTATGCCGTCCGCTATGGCTGCACCACCCCGCTCTATCCTTGCCTGGATCACGGCGGGCCGTGGCTCAAAGATCGCCATGCACAGGAAAAGCTACCGCTCGACCAGGCGATGCATGAGGTCAAGCTGAGCCTCACCGCCTGTCTGGAGGCCGGCTACGCGCTGCTGCACATCGACCCCACGGTCGATCGCACGCTCCCGCCCGGAGAAGCGCCGCTCGTGCCGATCGTCGTCGAGCGCACGGTCGAGCTGATCGAACATGCCGAACAGGAGCGACAGCGGCTGAACCTGCCGGCGGTCGCCTATGAAGTCGGCACCGAAGAAGTACATGGCGGGCTGGTGAATTTCGACAATTTTGTCGCCTTCTTGGATTTGCTCAAGGCAAGGCTTGAACAACGTGCCCTGATGCACGCCTGGCCCGCCTTCGTGGTGGCGCAGGTCGGCACTGACCTGCATACAACGTATTTTGACCCCAGTGCGGCGCAACGGCTGACTGAGATCGTGCGCCCTACCGGTGCACTGTTGAAGGGGCACTACACCGACTGGGTCGAAAATCCCGCCGACTATCCGAGGGTAGGCATGGGAGGCGCCAACGTTGGTCCAGAGTTTACGGCGGCCGAGTTCGAGGCGCTGGAAGCGCTGGAACGGCGGGAACAACGGCTGTGCGCCAACCGGAAATTGCAGCCCGCCTGTTTTTTGGCTGCACTGGAAGAGGCAGTAGTCGCTTCAGATCGTTGGCGGAAGTGGCTCCAGCCCGATGAGATCGGCAAGCCCTTTGCAGAATTAACGCCCGCACGCCGGCGCTGGCTCGTGCAGACCGGGGCACGCTACGTCTGGACTGCGCCGAAAGTTATCGCCGCACGCGAACAGCTCTATGCGCACCTCTCCCTTGTGCAGGCGGATCCACATGCCTACGTGGTAGAGTCAGTCGCCCGGTCAATCGAGCGCTATATCGATGCCTTCAACTTATACGACGCCGCTACATTGCTTGGATGA
【0093】
アミノ酸配列(配列番号:6)
【0094】
MSTLRHIILRLIELREREQIHLTLLAVCPNSAAVLEAAVKVAARCHTPMLFAATLNQVDRDGGYTGWTPAQFVAEMRRYAVRYGCTTPLYPCLDHGGPWLKDRHAQEKLPLDQAMHEVKLSLTACLEAGYALLHIDPTVDRTLPPGEAPLVPIVVERTVELIEHAEQERQRLNLPAVAYEVGTEEVHGGLVNFDNFVAFLDLLKARLEQRALMHAWPAFVVAQVGTDLHTTYFDPSAAQRLTEIVRPTGALLKGHYTDWVENPADYPRVGMGGANVGPEFTAAEFEALEALERREQRLCANRKLQPACFLAALEEAVVASDRWRKWLQPDEIGKPFAELTPARRRWLVQTGARYVWTAPKVIAAREQLYAHLSLVQADPHAYVVESVARSIERYIDAFNLYDAATLLG
【0095】
Caldithrix abyssiからの好熱性F6PE(Uniprot ID:H1XRG1)
【0096】
ヌクレオチド配列(配列番号:7)
【0097】
ATGAGTCTGCATCCTTTAAATAAATTAATCGAGCGACACAAAAAAGGAACGCCGGTCGGTATTTATTCCGTCTGTTCGGCCAATCCCTTTGTTTTGAAAGCGGCCATGCTACAGGCGCAAAAGGATCAGTCTTTGCTACTTATTGAGGCCACTTCCAACCAGGTAGATCAATTCGGCGGTTACACCGGCATGCGGCCCGAAGATTTTAAAACAATGACGCTTGAACTGGCAGCCGAAAACAATTACGATCCACAGGGATTAATCCTGGGCGGCGACCATCTGGGGCCCAACCGCTGGACAAAACTGAGCGCCTCCCGGGCCATGGACTACGCCAGAGAGCAGATTGCCGCTTATGTTAAAGCCGGCTTTTCCAAAATCCACTTAGACGCCACCATGCCCTTGCAAAACGATGCCACAGATTCCGCCGGCCGCCTTCCAGTCGAAACAATCGCTCAACGTACCGCAGAATTATGCGCCGTGGCCGAACAAACTTACCGGCAGAGCGACCAACTCTTTCCGCCGCCTGTTTACATTGTCGGCAGCGACGTGCCCATCCCGGGCGGCGCGCAAGAAGCGCTGAACCAGATCCATATTACGGAGGTAAAAGAGGTTCAACAGACCATTGATCACGTGCGGCGGGCCTTTGAAAAAAACGGCCTGGAAGCGGCTTACGAAAGAGTTTGCGCCGTTGTCGTGCAGCCAGGCGTTGAATTCGCCGATCAAATCGTTTTTGAATACGCTCCCGACAGAGCGGCGGCCTTAAAAGATTTTATTGAAAGCCATTCGCAGCTGGTTTATGAAGCGCACTCTACTGATTACCAGACCGCACCTCTTTTGCGCCAGATGGTAAAAGATCACTTTGCCATTTTAAAGGTCGGGCCTGCGCTCACCTTTGCCCTGCGCGAAGCCATTTTTGCTCTGGCCTTTATGGAAAAAGAGCTTTTGCCATTGCACAGAGCGCTCAAACCTTCTGCCATTCTGGAAACGCTGGACCAAACGATGGACAAAAACCCTGCTTACTGGCAAAAGCATTACGGCGGAACAAAGGAAGAAGTACGCTTTGCGCAGCGGTTTAGCCTGAGCGACCGCATTCGTTACTACTGGCCGTTTCCAAAGGTTCAAAAGGCCCTGCGCCAATTGCTAAAAAACTTGCAACAAATTTCCATTCCTCTAACTTTGGTAAGCCAGTTCATGCCAGAGGAATACCAACGTATTCGCCAAGGAACGTTAACCAACGATCCGCAGGCGCTGATTTTGAACAAAATTCAAAGCGTATTAAAGCAATACGCGGAGGCGACGCAAATTCAAAACTCTTTGACATTCACGCAAAATCAAAATTCATTAGCAATGGAGCGACTATGA
【0098】
アミノ酸配列(配列番号:8)
【0099】
MSLHPLNKLIERHKKGTPVGIYSVCSANPFVLKAAMLQAQKDQSLLLIEATSNQVDQFGGYTGMRPEDFKTMTLELAAENNYDPQGLILGGDHLGPNRWTKLSASRAMDYAREQIAAYVKAGFSKIHLDATMPLQNDATDSAGRLPVETIAQRTAELCAVAEQTYRQSDQLFPPPVYIVGSDVPIPGGAQEALNQIHITEVKEVQQTIDHVRRAFEKNGLEAAYERVCAVVVQPGVEFADQIVFEYAPDRAAALKDFIESHSQLVYEAHSTDYQTAPLLRQMVKDHFAILKVGPALTFALREAIFALAFMEKELLPLHRALKPSAILETLDQTMDKNPAYWQKHYGGTKEEVRFAQRFSLSDRIRYYWPFPKVQKALRQLLKNLQQISIPLTLVSQFMPEEYQRIRQGTLTNDPQALILNKIQSVLKQYAEATQIQNSLTFTQNQNSLAMERL
【0100】
Dictyoglomus thermophilumからの好熱性F6PE(Uniprot ID:B5YBD7)
【0101】
ヌクレオチド配列(配列番号:9)
【0102】
ATGTGGCTTAGTAAAGATTATTTGAGAAAAAAGGGAGTTTATTCTATATGTAGCTCTAATCCATATGTGATTGAGGCAAGTGTTGAATTTGCTAAGGAGAAGAATGATTATATTTTAATTGAGGCGACACCTCATCAGATAAACCAGTTTGGTGGATATTCAGGTATGACTCCCGAAGATTTTAAAAACTTTGTAATGGGAATAATAAAAGAAAAGGGAATAGAAGAGGATAGGGTGATTCTTGGAGGGGACCATTTAGGCCCTCTCCCTTGGCAAGATGAACCTTCTTCTTCTGCAATGAAAAAGGCAAAAGACCTTATAAGGGCCTTTGTGGAGAGTGGTTATAAGAAGATACACCTTGATTGTAGTATGTCTCTTTCTGATGATCCTGTAGTGCTCTCTCCCGAGAAGATAGCAGAAAGGGAGAGGGAACTTCTTGAGGTTGCAGAAGAGACTGCTAGAAAGTACAATTTTCAGCCTGTGTATGTGGTGGGAACTGATGTACCGGTAGCTGGAGGAGGCGAAGAGGAAGGTATTACCTCAGTGGAGGATTTTAGAGTAGCAATCTCCTCTTTAAAAAAATATTTTGAGGATGTTCCAAGGATATGGGATAGGATAATTGGTTTTGTAATAATGCTTGGTATAGGTTTTAATTATGAAAAAGTGTTTGAGTATGACAGGATTAAGGTGAGAAAAATTTTAGAGGAGGTAAAGAAAGAGAATCTTTTTGTTGAAGGTCACTCTACTGACTATCAGACAAAACGTGCATTGAGAGATATGGTAGAGGATGGAGTAAGAATTCTTAAGGTTGGTCCTGCTTTAACAGCAAGTTTTAGAAGGGGAGTATTTTTATTAAGTAGCATTGAGGATGAGCTTATATCGGAAGATAAAAGGTCTAATATTAAGAAAGTTGTGCTTGAGACTATGTTAAAAGATGATAAATATTGGAGAAAGTATTATAAGGATTCAGAAAGATTAGAATTAGATATTTGGTACAACTTACTTGATAGGATTAGATATTATTGGGAATATAAAGAGATAAAAATAGCTTTAAATAGGCTTTTTGAAAATTTTTCGGAAGGGGTTGATATTAGATACATCTATCAATATTTTTATGATTCGTATTTTAAAGTAAGAGAAGGAAAAATAAGAAATGATCCAAGGGAGCTAATAAAGAATGAAATAAAGAAGGTCTTGGAGGACTATCACTATGCTGTAAACTTATAA
【0103】
コドン最適化ヌクレオチド配列(配列番号:10)
【0104】
ATGTGGCTGAGCAAGGACTACCTGCGTAAGAAGGGCGTTTACAGCATTTGCAGCAGCAACCCGTATGTTATTGAAGCGAGCGTGGAGTTCGCGAAGGAGAAAAACGATTACATCCTGATTGAAGCGACCCCGCACCAGATCAACCAATTTGGTGGCTATAGCGGCATGACCCCGGAGGACTTCAAGAACTTTGTTATGGGCATCATTAAGGAAAAAGGTATCGAGGAAGACCGTGTGATTCTGGGTGGCGATCACCTGGGTCCGCTGCCGTGGCAGGATGAGCCGAGCAGCAGCGCGATGAAGAAAGCGAAAGACCTGATCCGTGCGTTCGTTGAAAGCGGTTACAAGAAAATTCACCTGGATTGCAGCATGAGCCTGAGCGACGATCCGGTGGTTCTGAGCCCGGAGAAGATCGCGGAACGTGAGCGTGAACTGCTGGAAGTTGCGGAGGAAACCGCGCGTAAATACAACTTTCAACCGGTGTATGTGGTGGGTACCGATGTTCCGGTTGCGGGTGGCGGTGAGGAAGAGGGTATCACCAGCGTGGAGGACTTCCGTGTTGCGATTAGCAGCCTGAAGAAATACTTTGAAGACGTTCCGCGTATTTGGGATCGTATCATTGGTTTCGTGATCATGCTGGGCATTGGTTTCAACTACGAGAAGGTGTTTGAATATGATCGTATCAAAGTGCGTAAAATTCTGGAAGAGGTTAAGAAAGAGAACCTGTTTGTGGAAGGCCACAGCACCGACTATCAGACCAAGCGTGCGCTGCGTGACATGGTGGAGGATGGCGTTCGTATCCTGAAAGTGGGTCCGGCGCTGACCGCGAGCTTCCGTCGTGGTGTGTTTCTGCTGAGCAGCATCGAGGACGAACTGATTAGCGAGGATAAACGTAGCAACATTAAGAAAGTGGTTCTGGAAACCATGCTGAAGGACGATAAATACTGGCGTAAGTACTATAAAGACAGCGAGCGTCTGGAACTGGATATCTGGTACAACCTGCTGGACCGTATTCGTTACTACTGGGAGTACAAGGAAATCAAGATTGCGCTGAACCGTCTGTTCGAGAACTTTAGCGAAGGCGTTGATATCCGTTACATCTACCAATACTTCTACGACAGCTACTTCAAAGTGCGTGAGGGTAAAATCCGTAACGACCCGCGTGAACTGATTAAGAACGAGATTAAGAAAGTGCTGGAAGACTACCATTATGCGGTGAACCTGTAA
【0105】
アミノ酸配列(配列番号:11)
【0106】
MWLSKDYLRKKGVYSICSSNPYVIEASVEFAKEKNDYILIEATPHQINQFGGYSGMTPEDFKNFVMGIIKEKGIEEDRVILGGDHLGPLPWQDEPSSSAMKKAKDLIRAFVESGYKKIHLDCSMSLSDDPVVLSPEKIAERERELLEVAEETARKYNFQPVYVVGTDVPVAGGGEEEGITSVEDFRVAISSLKKYFEDVPRIWDRIIGFVIMLGIGFNYEKVFEYDRIKVRKILEEVKKENLFVEGHSTDYQTKRALRDMVEDGVRILKVGPALTASFRRGVFLLSSIEDELISEDKRSNIKKVVLETMLKDDKYWRKYYKDSERLELDIWYNLLDRIRYYWEYKEIKIALNRLFENFSEGVDIRYIYQYFYDSYFKVREGKIRNDPRELIKNEIKKVLEDYHYAVNL
【0107】
Archaeoglobus fugidisからのタガトース6−リン酸ホスファターゼ(T6PP)(Uniprot ID O29805)を使用した。5mMのMgCl
2及び10mMのT6Pを含有する50mMのHEPESバッファー(pH7.2)中で50℃で、活性を測定した。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。F6PEについて記載されるような遊離リン酸塩放出の検出によって、タガトース生成を決定した。
【0108】
Archaeoglobus fulgidusからの好熱性T6PP(Uniprot ID:O29805)
【0109】
ヌクレオチド配列(配列番号:12)
【0110】
ATGTTCAAACCAAAGGCCATCGCAGTTGACATAGATGGCACCCTCACCGACAGAAAGAGGGCTCTGAACTGCAGGGCTGTTGAAGCTCTCCGCAAGGTAAAAATTCCCGTGATTTTGGCCACTGGTAACATATCTTGTTTTGCGAGGGCTGCAGCAAAGCTGATTGGAGTCTCAGACGTGGTAATCTGCGAGAATGGGGGCGTGGTGAGGTTCGAGTACGATGGGGAGGATATTGTTTTAGGAGATAAAGAGAAATGCGTTGAGGCTGTGAGGGTGCTTGAGAAACACTATGAGGTTGAGCTGCTGGACTTCGAATACAGGAAGTCGGAAGTGTGCATGAGGAGGAGCTTTGACATCAACGAGGCGAGAAAGCTCATTGAGGGGATGGGGGTTAAGCTTGTGGATTCAGGCTTTGCCTACCACATTATGGATGCTGATGTTAGCAAGGGAAAAGCTTTGAAGTTCGTTGCCGAGAGGCTTGGTATCAGTTCAGCGGAGTTTGCAGTTATCGGCGACTCAGAGAACGACATAGACATGTTCAGAGTTGCTGGATTCGGAATTGCTGTTGCCAATGCCGATGAGAGGCTGAAGGAGTATGCTGATTTAGTTACGCCATCACCAGACGGCGAGGGGGTTGTTGAGGCTTTGCAGTTTCTGGGATTGTTGCGGTGA
【0111】
アミノ酸配列(配列番号:13)
【0112】
MFKPKAIAVDIDGTLTDRKRALNCRAVEALRKVKIPVILATGNISCFARAAAKLIGVSDVVICENGGVVRFEYDGEDIVLGDKEKCVEAVRVLEKHYEVELLDFEYRKSEVCMRRSFDINEARKLIEGMGVKLVDSGFAYHIMDADVSKGKALKFVAERLGISSAEFAVIGDSENDIDMFRVAGFGIAVANADERLKEYADLVTPSPDGEGVVEALQFLGLLR
【0113】
Archaeoglobus profundusからのT6PP(Uniprot ID D2RHV2_ARCPA)
【0114】
ヌクレオチド配列(配列番号:14)
【0115】
GTGTTCAAGGCTTTGGTAGTTGATATAGACGGAACTTTGACGGATAAGAAGAGGGCAATAAACTGCAGAGCGGTCGAAGCACTTAGAAAACTAAAGATTCCTGTTGTCTTGGCAACCGGAAACATTTCATGCTTTGCAAGGGCTGTAGCTAAGATTATAGGTGTTTCCGATATTGTAATAGCTGAGAACGGAGGTGTTGTCAGATTCAGCTACGACGGAGAGGACATAGTTCTGGGGGATAGAAGTAAATGCTTAAGAGCTTTGGAGACACTTAGAAAACGCTTCAAAGTAGAGCTTCTCGACAACGAATATAGGAAGTCTGAGGTCTGCATGAGGAGGAACTTCCCTATAGAGGAAGCTAGAAAGATACTGCCAAAAGATGTTAGAATAGTCGATACAGGCTTCGCATACCACATAATCGATGCAAATGTCAGCAAGGGGAAGGCTTTGATGTTCATAGCCGATAAGCTTGGCTTGGACGTTAAGGATTTCATTGCGATAGGTGATTCCGAAAACGACATTGAAATGTTGGAAGTTGCAGGTTTTGGCGTTGCAGTTGCGAATGCGGATGAAAAGCTTAAGGAGGTAGCGGATTTGGTCACATCGAAGCCTAATGGAGACGGAGTTGTCGAAGCTCTTGAGTTCTTGGGACTCATTTAG
【0116】
アミノ酸配列(配列番号:15)
【0117】
MFKALVVDIDGTLTDKKRAINCRAVEALRKLKIPVVLATGNISCFARAVAKIIGVSDIVIAENGGVVRFSYDGEDIVLGDRSKCLRALETLRKRFKVELLDNEYRKSEVCMRRNFPIEEARKILPKDVRIVDTGFAYHIIDANVSKGKALMFIADKLGLDVKDFIAIGDSENDIEMLEVAGFGVAVANADEKLKEVADLVTSKPNGDGVVEALEFLGLI
【0118】
Archaeoglobus veneficusからのT6PP(Uniprot ID F2KMK2_ARCVS)
【0119】
ヌクレオチド配列(配列番号:16)
【0120】
ATGCTCCGTCCAAAGGGTCTCGCCATTGACATCGACGGAACCATAACATACAGGAATCGAAGCCTGAACTGTAAGGCCGTTGAAGCTCTCAGGAAGGTAAAAATCCCTGTAGTTCTTGCAACTGGCAACATATCCTGTTTCGCAAGAACTGCTGCAAAGCTTATAGGCGTCTCAGACATTGTTATATGCGAAAATGGAGGTATTGTTCGATTCAGCTACGATGGCGACGACATAGTGCTTGGGGACATAAGCAAATGCCTTAAAGCGGCTGAAATTCTCAAAGAGTACTTTGAAATCGAATTCCTTGACGCTGAGTACAGGAAGTCGGAGGTCTGTCTTCGCAGAAACTTTCCTATTGAAGAGGCGAGGAAAATTCTTCACGATGCAAAGCTTGATGTTAAAATCGTCGATTCAGGTTTTGCGTACCACATAATGGATGCGAAGGTCAGCAAAGGAAGGGCTCTTGAGTACATAGCTGATGAACTTGGTATAAGTCCGAAGGAGTTCGCTGCAATTGGTGATTCTGAGAACGACATAGACCTGATTAAGGCTGCCGGCCTCGGTATTGCCGTTGGAGATGCTGACTTAAAGCTCAAAATGGAGGCCGACGTGGTAGTCTCGAAGAAGAATGGCGATGGAGTTGTTGAAGCACTTGAGCTTCTGGGCTTAATTTAA
【0121】
アミノ酸配列(配列番号:17)
【0122】
MLRPKGLAIDIDGTITYRNRSLNCKAVEALRKVKIPVVLATGNISCFARTAAKLIGVSDIVICENGGIVRFSYDGDDIVLGDISKCLKAAEILKEYFEIEFLDAEYRKSEVCLRRNFPIEEARKILHDAKLDVKIVDSGFAYHIMDAKVSKGRALEYIADELGISPKEFAAIGDSENDIDLIKAAGLGIAVGDADLKLKMEADVVVSKKNGDGVVEALELLGLI
【0123】
C.thermocellumからの組換えのセロデキストリンホスホリラーゼ及びセロビオースホスホリラーゼは、Ye et al.Spontaneous high−yield production of hydrogen from cellulosic materials and water catalyzed by enzyme cocktails.ChemSusChem 2009;2:149−152中で記載される。記載されるように、それらの活性をアッセイした。
【0124】
Thermobifida fusca YXからの組換えポリリン酸グルコキナーゼは、Liao et al.,One−step purification and immobilization of thermophilic polyphosphate glucokinase from Thermobifida fusca YX:glucose−6−phosphate generation without ATP.Appl.Microbiol.Biotechnol.2012;93:1109−1117中で記載される。記載されるように、その活性をアッセイした。
【0125】
Sulfolobus tokodaiiからの組換えイソアミラーゼは、Cheng et al.,Doubling power output of starch biobattery treated by the most thermostable isoamylase from an archaeon Sulfolobus tokodaii.Scientific Reports 2015;5:13184中で記載される。記載されるように、その活性をアッセイした。
【0126】
Thermococcus litoralisからの組換え4−α−グルカノルトランスフェラーゼ(glucanoltransferase)は、Jeon et al.4−α−Glucanotransferase from the Hyperthermophilic Archaeon Thermococcus Litoralis.Eur.J.Biochem.1997;248:171−178中で記載される。記載されるように、その活性を測定した。
【0127】
Caldithrix abyssiからのスクロースホスホリラーゼ(Uniprot H1XT50)を使用した。10mMのスクロース及び12mMの有機リン酸塩を含有する50mMのHEPESバッファー(pH7.5)中で、その活性を測定した。グルコース1−リン酸(G1P)を、25U/mLのホスホグルコムターゼを補足したグルコースヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキットを使用して、α−グルカンホスホリラーゼでのように測定した。
【0128】
各々の実施例中で以下に使用される酵素単位を増加又は減少させて、所望に応じて反応時間を調整することができる。例えば、もし24時間ではなく8時間で実施例9を遂行したければ、酵素の単位は約3倍増加されるであるだろう。反対に、もし24時間ではなく48時間で実施例9を遂行したければ、酵素単位は約2倍減少されるであるだろう。これらの例は、一定の生成性を維持しながら反応時間を増加又は減少させるのに、どのように酵素単位の量を使用できるかを示す。
【0129】
例1
【0130】
デンプンからのフルクトース6−リン酸の酵素的生合成の技術的実行可能性を検証するために、3つの酵素を組換えにより発現させ、それらは、T.maritimaからのα−グルカンホスホリラーゼ(Uniprot ID G4FEH8)、Thermococcus kodakaraensisからのホスホグルコムターゼ(Uniprot ID Q68BJ6)及びClostridium thermocellumからのphosphoisomerase(Uniprot ID A3DBX9)である。組換えタンパク質をE.coli BL21(DE3)中で過剰に発現させ、上記のように精製した。
【0131】
10g/Lの可溶性デンプン、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)、5mMのMgCl
2、0.5mMのZnCl
2、0.01UのαGP、0.01UのPGM、及び0.01UのPGIを含有する0.20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションした。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。産物(フルクトース6−リン酸(F6P))を、上記のように、フルクトース6−リン酸キナーゼ(F6PK)/ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PK)/乳酸脱水素酵素(LD)共役酵素アッセイ(そこで340nmでの吸光度の減少はF6Pの生成を指摘する)を使用して決定した。24時間後のF6Pの最終濃度は3.6g/Lであった。
【0132】
例2
【0133】
実施例1と同じ試験(反応温度以外は)を40〜80℃で実行した。40時間の反応の後に、10g/Lの可溶性デンプンが、40℃で0.9g/LのF6P及び80℃で3.6g/LのF6Pを生成したことが見出された。これらの結果から、酵素のこのセットについて反応温度を増加させることはF6P収率を増加させることが示唆されるが、あまりにも高い温度はある程度の酵素活性を損ない得る。
【0134】
例3
【0135】
80℃で、およそ1:1:1のαGP:PGM:PGIの酵素比は速いF6P生成をもたらすことが見出された。反応時間が十分に長かったならば、酵素比は最終的なF6P濃度に大きく影響を及ぼさなかったことが指摘された。しかしながら、酵素比は、反応速度、及びシステムにおいて使用される酵素の合計の費用に影響する。
【0136】
例4
【0137】
10g/Lのマルトデキストリン、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)、5mMのMgCl
2、0.5mMのZnCl
2、0.01UのαGP、0.01UのPGM、及び0.01UのPGIを含有する0.20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションした。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。産物(フルクトース6−リン酸(F6P))を、上記のように、フルクトース6−リン酸キナーゼ(F6PK)/ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PK)/乳酸脱水素酵素(LD)共役酵素アッセイ(そこで340nmでの吸光度の減少はF6Pの生成を指摘する)を使用して決定した。24時間後のF6Pの最終濃度は3.6g/Lであった。
【0138】
例5
【0139】
アビセル
(商標)からのF6P生成について試験するために、Sigmaセルラーゼを使用して50℃でセルロースを加水分解した。市販のセルラーゼからβ−グルコシダーゼを除去するために、10ろ紙分解活性(filter paper unit)/mLのセルラーゼを、氷水浴で10g/Lのアビセル
(商標)へ10分間混合した。4℃での遠心分離の後に、β−グルコシダーゼを含有する上清をデカントした。エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼを含有するセルラーゼと結合したアビセル
(商標)を、加水分解のためにクエン酸バッファー(pH4.8)中で50℃で3日間再懸濁した。セルロース加水分解物を、10mMのリン酸塩、5mMのMgCl
2及び0.5mMのZnCl
2を含有する100mMのHEPESバッファー(pH7.2)中の、5U/mLのセロデキストリンホスホリラーゼ、5U/Lのセロビオースホスホリラーゼ、5U/mLのαGP、5U/mLのPGM及び5U/mLのPGIと混合した。反応を72時間60℃で遂行し、高濃度のF6Pが見出された(グルコースは少量及びセロビオースはない)。上記の共役酵素アッセイを使用してF6Pを検出した。ヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキットを上記のように使用してグルコースを検出した。
【0140】
例6
【0141】
アビセル
(商標)からのF6P収率を増加させるために、Zhang et al.A transition from cellulose swelling to cellulose dissolution by o−phosphoric acid:evidence from enzymatic hydrolysis and supramolecular structure.Biomacromolecules 2006;7:644−648中で記載されるように、アビセル
(商標)を濃リン酸により前処理して非晶性セルロース(RAC)を生成した。市販のセルラーゼからβ−グルコシダーゼを除去するために、10ろ紙分解活性/mLのセルラーゼを、10g/LのRACと氷水浴で5分間混合した。4℃での遠心分離の後に、β−グルコシダーゼを含有する上清をデカントした。エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼを含有するセルラーゼと結合したRACを、加水分解のためにクエン酸バッファー(pH4.8)中で50℃で12時間再懸濁した。RAC加水分解物を、10mMのリン酸塩、5mMのMgCl
2及び0.5mMのZnCl
2を含有する100mMのHEPESバッファー(pH7.2)中の、5U/mLのセロデキストリンホスホリラーゼ、5U/Lのセロビオースホスホリラーゼ、5U/mLのαGP、5U/mLのPGM及び5U/mLのPGIと混合した。反応を60℃で72時間遂行した。グルコースをF6Pへ変換するために酵素が添加されなかったので、高濃度のF6P及びグルコースが回収された。上記の共役酵素アッセイを使用してF6Pを検出した。ヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキットを上記のように使用してグルコースを検出した。
【0142】
例7
【0143】
RACからのF6P収率を更に増加させるために、ポリリン酸グルコキナーゼ及びポリリン酸塩を添加した。市販のセルラーゼからβ−グルコシダーゼを除去するために、10ろ紙分解活性/mLのセルラーゼを、10g/LのRACと氷水浴で5分間混合した。4℃での遠心分離の後に、β−グルコシダーゼを含有する上清をデカントした。エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼを含有するセルラーゼと結合したRACを、50℃での加水分解のためにクエン酸バッファー(pH4.8)中で再懸濁し、加水分解のためにクエン酸バッファー(pH4.8)中で50℃で12時間インキュベーションした。RAC加水分解物を、50mMのポリリン酸塩、10mMのリン酸塩、5mMのMgCl
2及び0.5mMのZnCl
2を含有する100mMのHEPESバッファー(pH7.2)中の、5U/mLのポリリン酸グルコキナーゼ、5U/mLのセロデキストリンホスホリラーゼ、5U/Lのセロビオースホスホリラーゼ、5U/mLのαGP、5U/mLのPGM及び5U/mLのPGIと混合した。反応を50℃で72時間遂行した。F6Pは高濃度で見出され、ここでは存在するグルコースは少量のみであった。上記の共役酵素アッセイを使用してF6Pを検出した。ヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキットを上記のように使用してグルコースを検出した。
【0144】
例8
【0145】
F6Pからのタガトース生成を検証するために、2g/LのF6Pを、5mMのMgCl
2を含有する50mMのHEPESバッファー(pH7.2)中の、1U/mlのフルクトース6−リン酸エピメラーゼ(F6PE)及び1U/mlのタガトース6−リン酸ホスファターゼ(T6PP)と混合した。反応物を50℃で16時間インキュベーションした。F6Pのタガトースへの100%の変換を、Agilent Hi−Plex H−カラム及び屈折率検出器を使用して、HPLC(Agilent 1100シリーズ)によって観察する。サンプルは、0.6mL/分で5mMのH
2SO
4中で流した。
【0146】
例9
【0147】
マルトデキストリンからのタガトースの生成を検証するために、20g/Lのマルトデキストリン、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)、5mMのMgCl
2、0.05UのαGP、0.05UのPGM、0.05UのPGI、0.05UのF6PE、及び0.05UのT6PPを含有する0.20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションした。Vivaspin 2濃縮器(10,000分子量カットオフ)による酵素の濾過によって、反応を停止した。タガトースを、屈折率検出器と共にAgilent 1100シリーズHPLC及びAgilent Hi−Plex H−カラムを使用して、検出及び定量化した。移動相は5mMのH
2SO
4であり、0.6mL/分で流した。9.2g/Lのタガトースの収率を得た。これは、酵素(イソアミラーゼ又は4−グルカントランスフェラーゼ等)なしのマルトデキストリン分解の制限に起因する理論収率の92%と一致する。タガトースの様々な濃度のスタンダードを使用して、この収率を定量化した。
【0148】
例10
200g/Lのマルトデキストリン、10mMの酢酸バッファー(pH5.5)、5mMのMgCl
2、及び0.1g/Lのイソアミラーゼを含有する反応混合物を、80℃で24時間インキュベーションした。これを使用して、20g/Lのイソアミラーゼ処理マルトデキストリン、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)、5mMのMgCl
2、0.05UのαGP、0.05UのPGM、0.05UのPGI、0.05UのF6PE、及び0.05UのT6PPを含有する0.20mLの別の反応混合物を生成し、50℃で24時間インキュベーションした。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化した。タガトースの収率は、イソアミラーゼによるマルトデキストリンの前処理により16g/Lへ増加した。
【0149】
例11
【0150】
マルトデキストリンからのタガトース収率を更に増加させるために、0.05Uの4−グルカントランスフェラーゼ(4GT)を実施例9中で記載される反応へ添加した。
【0151】
20g/Lのイソアミラーゼ処理マルトデキストリン(実施例9を参照)、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)、5mMのMgCl
2、0.05UのαGP、0.05UのPGM、0.05UのPGI、0.05UのF6PE、0.05UのT6PP、及び0.05Uの4GTを含有する0.2mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションした。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化した。タガトースの収率は、IA処理マルトデキストリンへの4GTの添加により17.7g/Lへ増加した。これは理論収率の88.5%と一致する。
【0152】
例12
【0153】
リン酸緩衝食塩水(PBS)の濃度範囲を決定するために、50g/Lのマルトデキストリン;6.25mM、12.5mM、25mM、37.5mM又は50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2);5mMのMgCl
2;0.1UのaGP;0.1UのPGM;0.1UのPGI;0.1UのF6PE;及び0.1UのT6PPを含有する0.20mLの反応混合物を50℃で6時間インキュベーションした。短い継続時間は完了に到達しなかったことを保証し、したがって、効率における差を明確に見出すことができた。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化した。6.25mM、12.5mM、25mM、37.5mM又は50mMのいずれかのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)を含む反応について、それぞれ、4.5g/L、5.1g/L、5.6g/L、4.8g/L又は4.9g/Lのタガトースの収率が得られた(表1)。これらの結果は、25mMのPBS(pH7.2)の濃度がこれらの特定の反応条件のために理想的であることを指摘する。pH7.2での6.25mMのPBSの使用でさえ、リン酸塩リサイクルに起因する有意なターンオーバーをもたらすことに注目することが重要である。これは、開示されるリン酸塩リサイクル方法が、工業レベルの体積あたりの生産性(例えば200〜300g/Lのマルトデキストリン)ででさえ、低いリン酸塩レベルを維持できることを示す。
【0154】
【表1】
【0155】
例13
【0156】
カスケード反応のpH領域を決定するために、50g/Lのマルトデキストリン;50mMのリン酸緩衝食塩水(pH6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2又は7.3);5mMのMgCl
2;0.02UのαGP;0.02UのPGM;0.02UのPGI;0.02UのF6PE;及び0.02UのT6PPを含有する0.20mLの反応混合物を50℃で16時間インキュベーションした。完了に到達しなかったことを保証するために単位を低下させ、したがって、効率における差を明確に見出すことができた。実施例8中のように、タガトースの生成を定量化した。pH6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2又は7.3の50mMのリン酸緩衝食塩水を含む反応について、それぞれ、4.0g/L、4.1g/L、4.2g/L、4.1g/L、4.4g/L、4.1g/L、3.8g/L又は4.0のg/Lタガトースの収率が得られた(表2)。これらの結果は、このシステムは幅広いpH領域を通して作動するが、6.8のpHがこれらの特定の反応条件のために理想的であることを指摘する。
【0157】
【表2】
【0158】
例14
【0159】
スケールアップを調査するために、50g/Lのイソアミラーゼ処理マルトデキストリン(実施例9を参照)、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.2)、5mMのMgCl
2、10UのαGP、10UのPGM、10UのPGI、10UのF6PE、及び10UのT6PPを含有する20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションした。実施例8中のように、タガトースの生成を定量化した。タガトースの収率は、20mLのスケール及び50g/Lのマルトデキストリンで37.6g/Lであった。これは理論収率の75%と一致する。これらの結果は、より大きな反応容積へのスケールアップが収率の有意な損失をもたらさないことを指摘する。
【0160】
例15
【0161】
マルトデキストリンからのタガトース収率を更に増加させるために、0.05Uのマルトースホスホリラーゼを実施例9中で記載される反応へ添加する。
【0162】
例16
【0163】
マルトデキストリンからのタガトース収率を更に増加させるために、0.05Uのポリリン酸グルコキナーゼ及び75mMのポリリン酸塩を実施例9中で記載される反応へ添加する。
【0164】
例17
【0165】
フルクトースからタガトースを生成するために、10g/Lのフルクトース、50mMのTrisバッファー(pH7.0)、75mMのポリリン酸塩、5mMのMgCl
2、0.05Uのフルクトースポリリン酸キナーゼ、0.05UのF6PE、及び0.05UのT6PPを含有する0.20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションする。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化する。
【0166】
例18
【0167】
グルコースからタガトースを生成するために、10g/Lのグルコース、50mMのTrisバッファー(pH7.0)、75mMのポリリン酸塩、5mMのMgCl
2、0.05Uのグルコースポリリン酸キナーゼ、0.05UのPGI、0.05UのF6PE、及び0.05UのT6PPを含有する0.20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションする。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化する。
【0168】
例19
【0169】
スクロースからタガトースを生成するために、10g/Lのスクロース、50mMのリン酸緩衝食塩水(pH7.0)、5mMのMgCl
2、0.05Uのスクロースホスホリラーゼ、0.05UのPGM、0.05UのPGI、0.05UのF6PE、及び0.05UのT6PPを含有する0.20mLの反応混合物を、50℃で24時間インキュベーションする。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化する。
【0170】
例20
【0171】
スクロースからのタガトースの収率を更に増加させるために、75mMのポリリン酸塩及び0.05のポリリン酸フルクトキナーゼを実施例15における反応混合物へ添加する。実施例9中のように、タガトースの生成を定量化する。