(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下、異なる図における同一符号は略同一の構成を示しており、重複する説明は適宜省略する。
【0008】
パネル建材Aは、
図1に示すように、透光性を有する板状部材10に、所定のピッチで配置された多数の通気孔11と、これら多数の通気孔11に隣接するとともに前記通気孔11を有さない無孔領域12,13とを有する。
【0009】
板状部材10は、透光性を有する硬質合成樹脂材料から矩形状(
図1に示す一例によれば略正方形状)に形成される。前記硬質合成樹脂材料は、本実施の形態の好ましい一例によれば、無色透明又は有色透明のポリカーボネート材である。
この板状部材10の厚みは、幼児等が手を掛けた際に容易に撓むことのないように適宜に設定されている。
【0010】
多数の通気孔11は、無孔領域12が図形を形成するように、適宜に配置されている。各通気孔11は、板状部材10を貫通する小径(例えば、直径約5mm)の貫通孔である。この通気孔11の貫通方向の両端縁は、それぞれ面取り加工によりバリが除去されている。
【0011】
図1〜
図2に示す好ましい一例によれば、多数の通気孔11は、パネル建材Aの無孔領域12,13以外の部分において、千鳥状に並ぶように一定間隔で配設される。
詳細に説明すれば、横方向一列の複数の通気孔11は、左右に隣接する通気孔11,11の中心線間のピッチPxを、例えば、約8mmの範囲内に設定している。
また、縦方向一列の複数の通気孔11は、上下に隣接する通気孔11,11の中心線間のピッチPyを、前記Pxと略同等に設定している。
【0012】
そして、前記横方向一例の通気孔11に対し、その上方側又は下方側に隣接する横方向一列の通気孔11は、横方向へ半ピッチ(Px/2)ずれて配設されている(
図2参照)。したがって、図示例によれば、上側の一つの通気孔11に対し、その下側に隣接する一つの通気孔11が、下方斜め45度の方向に配置される。
この構成によれば、通気孔11が千鳥状に配置されるため、仮に通気孔11を同ピッチで碁盤目状に配設した場合と比較し、パネル建材Aの強度を増大することができる。
【0013】
パネル建材Aを構成する中央寄りの無孔領域12と、外周寄りの無孔領域13は、それぞれ、板状部材10からなり通気孔11を有さない部分である。この無孔領域12は、通気孔11のピッチPx,Pyよりも長く連続している。
【0014】
無孔領域12は、全通気孔11を有する矩形状の領域の内側に位置し、通気孔11を有さない板状部材10の連続部分により、所定の図柄を形成している。例えば、
図1によれば、無孔領域12が、動物のイラストを形成している。
この無孔領域12(イラスト)の輪郭部分12aは、前記板状部材の周縁寄りに無端環状(図示例によれば、円環状)に連続しており、パネル建材A全体の強度保持に寄与している。
なお、前記図柄の他例としては、図示例以外の動物のイラストや、人のイラスト、キャラクター、文字、図形、模様等とすることが可能である。
【0015】
無孔領域13は、全通気孔11を有する矩形状の領域の外側に位置し、板状部材10の周縁に沿う無端矩形枠状に連続しており、パネル建材A全体の強度保持に寄与している。
この無孔領域13は、パネル建材Aが後述する建具Bを構成する際に、枠体20内に嵌め合せられる嵌合代として用いられる。
【0016】
次に、上記構成のパネル建材Aを具備した建具Bについて説明する(
図3及び
図4参照)。
建具Bは、枠体20と、該枠体20内に固定されているガラス板30と、上述したパネル建材10とを備える。
【0017】
枠体20は、上框21、下框22、左右の縦框23,24等を、矩形枠状に固定したものである。
これら枠体20の内側における屋内寄りには、パネル建材Aの縁部分(図示例によれば無孔領域13)を嵌合する凹溝21a,22a,23a,24aが、各框の長手方向へ連続して設けられる。
【0018】
また、枠体20の内側における屋外寄りには、各框の長手方向へ連続して、嵌合溝21c,22cが設けられる(
図4参照)。嵌合溝21c,22cには、ガラス板30の端部側が挿入され、さらに、この端部側を気密に押さえて固定するように、パッキン25が挿入されている。
なお、ガラス板30を固定する構造は、図示例以外のものとすることも可能である。
【0019】
図4中、符号21bは、図示しないサッシ枠の上縁に嵌り合うガイド溝21bである。他例としては、このガイド溝21bを凸部に置換し、サッシ枠側に該凸部に嵌り合う凹部を設けるようにしてもよい。
図4中、符号22bは、図示しないレールに沿って転動する車輪である。
【0020】
そして、上記構成の建具Bは、パネル建材Aを屋内側へ向けて建物の開口部に設置されたサッシ枠等として用いられる。
【0021】
上記構成のパネル建材A及び建具Bによれば、通常の使用状態においては、無孔領域12による図柄を視覚的に楽しむことができる。
さらに、パネル建材Aを透明材料によって形成しているため、屋外の太陽光を屋内に取り込める上、透明なパネル建材Aを介して内外の物や人等を視認することができる。
また、幼児や物等が、屋内側から建具Bに衝突した場合には、その際の衝撃を、比較的高強度なパネル建材Aによって受けることができ、ガラス板30の破損を防ぐことができる。ひいては、ガラス板30が破損して、幼児が怪我をしたり、ガラス片が落下したりするようなことを防ぐことができる。
【0022】
なお、上記実施の形態によれば、パネル建材Aの外形を略正方形状としたが、他例としては、
図4に示すパネル建材A’のように、外径を横長矩形状にした態様や、外径を矩形以外の形状にした態様とすることも可能である。
図4に示すパネル建材A’は、透光性を有する横長矩形状の板状部材10’に、上述した多数の通気孔11及び無孔領域12,13を有し、上記パネル建材Aと略同等の作用効果を奏する。
【0023】
また、上記実施の形態によれば、特に高強度な構成として、パネル建材Aの周縁側に多数の通気孔11を囲むようにして無孔領域13を設けたが、他例としては、この無孔領域13を省くことも可能である。
【0024】
また、上記実施の形態によれば、特に透視性の良好な態様として、パネル建材Aを透明材料により形成したが、他例としては、すりガラス状の樹脂板や、乳白色の樹脂板など、透光性を有する板材とすることも可能である。
【0025】
また、上記実施の形態によれば、特に好ましい態様として、複数の通気孔11を角度45°の千鳥配置としたが、他例としては、角度60°の千鳥配置や、その他の角度の千鳥配置とすることも可能である。さらに、他例としては、複数の通気孔11を碁盤目状に配置にした態様とすることも可能である。
【0026】
また、上記実施の形態によれば、パネル建材Aを枠体20内の凹溝21a,22aに嵌合する構造としたが、他例としては、パネル建材Aを枠体20の屋内側の面に固定した構造とすることも可能である。この場合の固定手段は、例えば、適宜形状のブラケットを介してパネル建材Aを枠体20に固定した態様や、パネル建材Aを枠体20の屋内側の面に対し直接ネジ止めした態様等とすればよい。
【0027】
また、上記実施の形態によれば、パネル建材Aを枠体20に対し着脱不能に固定したが、他例としては、パネル建材Aの図柄の変更や交換等を容易にするために、パネル建材Aを枠体20に対し、ネジ止めや嵌合等によって着脱可能に固定した態様とすることも可能である。
【0028】
また、上記実施の形態によれば、パネル建材Aの好ましい使用態様としてガラス板30を有する建具Bを構成したが、他例としては、上記建具Bにおいてガラス板30を網に置換した態様とすることも可能である。この態様では、パネル建材Aの多数の通気孔11及び前記網によって屋内外の通気性を確保することができる。
さらに他例としては、パネル建材Aをベランダやバルコニーの柵として用いた態様等とすることも可能である。
【0029】
また、図示例の建具Bは、引戸又は引戸式窓サッシを構成しているが、建具Bの他例としては、開戸や開戸式窓サッシ、はめごろし窓、上下にスライドするサッシ、その他の戸やドア、窓等を構成することが可能である。
【0030】
また、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。