特許第6782092号(P6782092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6782092
(24)【登録日】2020年10月21日
(45)【発行日】2020年11月11日
(54)【発明の名称】粉体回収容器及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/12 20060101AFI20201102BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20201102BHJP
【FI】
   G03G21/12
   G03G15/08 310
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-90401(P2016-90401)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-218440(P2016-218440A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2019年3月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-102528(P2015-102528)
(32)【優先日】2015年5月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 英明
【審査官】 市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0183050(US,A1)
【文献】 特開2007−199641(JP,A)
【文献】 特開2004−301999(JP,A)
【文献】 特開2011−248131(JP,A)
【文献】 特開2014−115379(JP,A)
【文献】 特開2010−072310(JP,A)
【文献】 特開2010−152239(JP,A)
【文献】 特開2003−337514(JP,A)
【文献】 特開2005−331611(JP,A)
【文献】 特開2009−300635(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0219290(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0080361(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/12
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄デベロッパの受入口と、廃棄トナーの受入口と、前記廃棄デベロッパ受入口と連通する廃棄デベロッパ回収室と、前記廃棄トナー受入口と連通する廃棄トナー回収室と、前記廃棄デベロッパ回収室と前記廃棄トナー回収室とを分離する仕切り板とを有する粉体の回収容器において、
前記仕切り板は、鉛直方向に延びた部位を有し、
前記廃棄デベロッパ回収室、前記仕切り板の鉛直方向に延びた部位によって、前記廃棄トナー回収室と前記回収容器の底面の短手方向に隣接するように形成され
前記仕切り板は、平面視で、前記廃棄トナー回収室側に円弧状乃至は台形状をなす凸状であり、
前記仕切り板の鉛直方向に延びた部位は、前記廃棄デベロッパ回収室の底部もしくは前記廃棄トナー回収室の底部のいずれかとの間に間隙を有するように形成されたことを特徴とする粉体回収容器。
【請求項2】
前記廃棄トナーの受入口は、前記廃棄デベロッパの受入口よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の粉体回収容器。
【請求項3】
それぞれ独立した複数の前記廃棄デベロッパ回収室と、ひとつの前記廃棄トナー回収室と、を有し、
前記複数の廃棄デベロッパ回収室は、それぞれの廃棄デベロッパ回収室と連通する廃棄デベロッパ受入口を有し、
前記廃棄トナー回収室は、前記廃棄トナー回収室と連通する複数の廃棄トナー受入口を有することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の粉体回収容器。
【請求項4】
前記廃棄トナー回収室内に、前記廃棄トナーを均す均し部材を備えた請求項3に記載の粉体回収容器。
【請求項5】
前記廃棄トナー回収室内に、前記廃棄トナーの回収量を計測する計測手段を備えた請求項4に記載の粉体回収容器。
【請求項6】
前記廃棄デベロッパ回収室は、前記廃棄トナー回収室が廃棄トナーで満杯になる予定印刷枚数に達する時点で、印刷枚数に比例した量だけ逐次廃棄される廃棄デベロッパが満杯となる容量を有することを特徴とする請求項3に記載の粉体回収容器。
【請求項7】
前記仕切り板の鉛直方向に延びた部位と前記底部との間隙寸法は、3mmである請求項1に記載の粉体回収容器。
【請求項8】
前記回収容器の底板に、外部と連通する廃棄孔を有する請求項に記載の粉体回収容器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の粉体回収容器と、前記粉体回収容器を筐体に装着した状態で各色の廃棄トナーを前記廃棄トナー回収室の各受入れ部へ排出する各色のトナー排出部と、前記粉体回収容器を前記筐体に装着した状態で各色の廃棄デベロッパを前記廃棄デベロッパ回収室の各受入れ部へ排出する各色のデベロッパ排出部とを備えた画像形成装置
【請求項10】
前記粉体回収容器を前記筐体の側面から着脱できる請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄トナー及び廃棄デベロッパ等の廃棄粉体を回収する粉体回収容器及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二成分現像剤を用いる現像装置では、トナーは現像動作によって消費される一方、キャリアは消費されずに現像装置内に残る。従って、現像装置内でのキャリアの撹拌頻度が増す結果、現像剤の帯電性能が徐々に低下する。そこで、トリクル方式を採用してキャリアを少量ずつ補給しながら、過剰となった現像剤を排出して、劣化デベロッパとして回収容器に廃棄、回収するようにしている。かかる補給と排出とを逐次繰り返すことによって、現像装置内の劣化現像剤が新たに供給されるトナー及びキャリアに置換されて、帯電性能を維持し複写画質の低下を抑えるようにしている。また、画像形成装置では、感光体表面の残留トナーや二次転写部の残留トナーをクリーニングして回収容器に回収するようにしている。劣化デベロッパや残留トナーの回収容器は、画像形成装置の背面側(マシンフロント側)の開閉扉の直ぐ内側に配設されている。劣化デベロッパや残留トナーは、排出経路を経て回収容器に搬出されるようになっている。
【0003】
ところで、トリクル方式を採用している画像形成装置は、高速仕様であることから、劣化デベロッパ及び残留トナーを合流させた後に排出経路を経て1つの回収容器に回収する構成である。一方、例えば小型の中低速仕様の画像形成装置では、背面域に合流路を配置するスペースが充分に取れないといった問題がある。
【0004】
特許文献1には、タンデム方式の画像形成装置において、各色の残留トナーと黒色の劣化デベロッパとを各排出経路を経て1個の回収容器の内部で別々の回収室に回収し、各廃棄孔を介して個別に廃棄可能にした回収容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−72310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の回収容器は、黒色のみを劣化デベロッパの対象とし、各色を対象としたものではないため、各色を廃棄対象とする場合の構造に関しては開示されていない。また、残留トナーと黒色劣化デベロッパの貯留室を上下方向に2段に区切って形成したことで、黒色劣化デベロッパの貯留室の高さ寸法を充分に確保できず、また室内に搬送及び撹拌部をそれぞれ必要としている。さらに、残留トナー及び黒色劣化デベロッパの回収量をそれぞれ検知する検知部を要している。
【0007】
また、残留トナーと黒色劣化デベロッパを外方に廃棄する廃棄孔を個別に備えており、その分だけ構造が複雑になり、廃棄時の作業操作が煩雑になる。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、各色の排出トナー及び各色の劣化デベロッパを回収し得る粉体回収容器及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、廃棄のための構造をより簡素化し、廃棄時の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る粉体回収容器は、廃棄デベロッパの受入口と、廃棄トナーの受入口と、前記廃棄デベロッパ受入口と連通する廃棄デベロッパ回収室と、前記廃棄トナー受入口と連通する廃棄トナー回収室と、前記廃棄デベロッパ回収室と前記廃棄トナー回収室とを分離する仕切り板を有する。前記仕切り板は、鉛直方向に延びた部位を有し、前記廃棄デベロッパ回収室が、前記仕切り板の鉛直方向に延びた部位によって、前記廃棄トナー回収室と前記回収容器の底面の短手方向に隣接するように形成される。
【0011】
本発明によれば、鉛直方向に延びた仕切り板の部位によって、前記廃棄容器の内部空間を前記廃棄容器の底面短手方向に分割するように区切ることができ、前記廃棄容器の高さ方向の空間を有効に活用した廃棄デベロッパ回収室と廃棄トナー回収室を提供できる。
【0012】
また、本発明によれば、前記廃棄トナーの受入口が、前記廃棄デベロッパの受入口よりも高い位置に配置されるため、前記廃棄トナー回収室の回収空間を前記廃棄デベロッパの回収室の回収空間より簡単に広くすることができ、通常、廃棄トナーの量の方が相対的に多いことから、前記粉体回収容器の内部の空間を効率的に配分できる。
【0013】
また、本発明によれば、それぞれ独立した複数の前記廃棄デベロッパ回収室と、ひとつの前記廃棄トナー回収室と、を有し、前記複数の廃棄デベロッパ回収室は、それぞれの廃棄デベロッパ回収室と連通する廃棄デベロッパ受入口を有し、前記廃棄トナー回収室は、前記廃棄トナー回収室と連通する複数の廃棄トナー受入口を有するため、多色現像機構をもつ装置に対しても前記粉体回収容器内部の空間を長手方向に有効に活用できる。
【0014】
更に、大量の廃棄トナーが出る多色現像機構をもつ装置に対しても、前記粉体回収容器の長手方向に複数の受入口を設けることで、前記粉体回収容器内部の空間を有効活用できる。更に、長手方向に前記廃棄トナー回収室を区切らないので、廃棄トナーの量がトナーの色毎に変わったとしても問題なく対応できる。
【0015】
前記廃棄トナー回収室内に、前記廃棄トナーを均す均し部材を備えるので、廃棄トナーの量がトナーの色毎に変わったとしても、前記廃棄トナー回収室の内部空間を有効に活用できる。
【0016】
更に、前記廃棄トナー回収室内に、前記廃棄トナーの回収量を計測する計測手段を備えるので、前記廃棄トナー回収室の内部空間を最後まで有効活用できる。
【0017】
更に、前記廃棄デベロッパ回収室は、前記廃棄トナー回収室が廃棄トナーで満杯になる予定印刷枚数に達する時点で、印刷枚数に比例した量だけ逐次廃棄される廃棄デベロッパが満杯となる容量を有するので、前記粉体回収容器の内部空間を最後まで有効に活用できる。
【0018】
更に、前記仕切り板の鉛直方向に伸びた部位は、前記廃棄デベロッパ回収室の底部もしくは、前記廃棄トナー回収室の底部とのいずれかとの間に間隙を有するように形成されているので、各廃棄デベロッパの回収量が異なった場合でも前記廃棄容器を揺する、もしくは振動を与えることで均一にすることができ、前記粉体回収容器の内部空間を有効活用できる。
【0019】
更に、前記間隙が前記仕切り板と前記底板部との間に形成されるため、回収された廃棄トナーの量が増加しても、回収された廃棄トナーが前記仕切り板によって前記廃棄デベロッパ回収室内に流れ込むことがないので、長期に渡って安定して廃棄デベロッパを回収でき、前記廃棄デベロッパ回収室の容積が満杯になるまで回収が可能となる。
【0020】
また、前記間隙寸法は、数mm以下であることが好ましい。かかる構成によれば、廃棄デベロッパより廃棄量の多い廃棄トナーが、廃棄デベロッパ室に入り込みにくくなるので、前記廃棄デベロッパ回収室の容積を有効活用できるようになる。すなわち、間隙が上部にある場合と比べて、前記廃棄デベロッパ回収室の上空間を有効に活用できる。
【0021】
更に、間隙寸法が3mmであれば、前記作用がより一層好適に行われる。
【0022】
また、粉体回収容器の底面に、外部と連通する廃棄孔を有するので、前記粉体回収容器の内部空間を有効に活用しながら、廃棄時の作業性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記粉体回収容器と、前記粉体回収容器を筐体に装着した状態で各色の廃棄トナーを前記廃棄トナー回収室の各受入れ部へ排出する各色のトナー排出部と、前記粉体回収容器を前記筐体に装着した状態で各色の廃棄デベロッパを前記廃棄デベロッパ回収室の各受入れ部へ排出する各色のデベロッパ排出部とを備えたものである。この構成によれば、構成簡易で、かつ廃棄トナー及び廃棄デベロッパの廃棄作業性が容易な画像形成装置を提供することが可能となる。
【0024】
また、前記画像形成装置は、前記筐体の側面、例えば背面側から前記粉体回収容器を着脱する構成である。この構成によれば、粉体回収容器の着脱作業が容易となる。また、廃棄トナーと廃棄デベロッパの各排出路を合流させて粉体回収容器に導くための合流路が付設できないような、例えば小型の装置に対しても好適に適用可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、各色の廃棄トナー及び廃棄デベロッパを回収し得る、簡易な構成を有する粉体回収容器及び画像形成装置を提供することができる。
【0026】
また、本発明は、間隙及び廃棄孔を設けたことで、廃棄のための構造をより簡素化し、かつ廃棄時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る回収容器が適用される画像形成装置の全体構成の概略を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る回収容器を正面側の斜め上方から見た斜視図である。
図3図2のIII−III線で縦断した状態の回収容器を正面側の斜め上方から見た斜視図である。
図4図2のIV−IV線で横断した状態の回収容器を正面側の斜め上方から見た斜視図である。
図5】廃棄トナー回収室と廃棄デベロッパ回収室との間の仕切り板周辺の概略構造を示す部分図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図6図2のV―V線で縦断した断面図である。
図7】回収容器の前板を省略し、各色の廃棄デベロッパ回収室の仕切り板の形状が見えるようにした、回収容器を正面側の斜め上方から見た縦断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部10、中間転写部20、二次転写部30、定着部40、給紙部50、及び用紙搬送路60を備えている。なお、必要に応じて原稿画像を光学的に読み取る読取部、自動原稿搬送装置が搭載されてもよい。画像形成装置100は、図外の外部装置から入力されたカラー又はモノクロ画像データ、あるいは読取部で読み取った原稿の画像データを用紙にカラー又は単色で画像形成処理を行う。
【0029】
画像形成部10は、タンデム方式が採用されてなり、光ビーム走査ユニット1及びそれぞれ同様な構造を有する各色の画像形成部10A〜10Dを備えている。光ビーム走査ユニット1は、半導体レーザを備え、入力されたカラー原稿に対応するR、G、B色の各画素の画像データをブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の濃度データに変換し、変換後の各濃度データに対応したデューティ比で変調されたレーザ光で画像形成部10A〜10Dの感光体ドラム2A,・・の表面を軸方向(主走査方向)に沿って露光走査して、それぞれの静電潜像を形成する。代表して説明する画像形成部10Aは、ブラック(K)の現像を行うもので、像担持体としての感光体ドラム2Aを備え、その周囲に回転方向(副走査方向)に沿って帯電器3A、現像器4A及びクリーナ部5Aを備えている。現像剤補給装置6Aは現像剤の補給を行うものである。現像器4Aは、トナーを感光体ドラム2Aに供給して、静電潜像をトナー像に顕在化する。クリーナ部5Aは、トナー像が記録用紙に転写された後の感光体ドラム2A上の残留トナーを掻き取るなどしてクリーニングする。なお、図1では、現像器4Aは感光体ドラム2Aの下方に、後述する中間転写部20は感光体ドラム2Aの上方に配置されている。
【0030】
現像器4Aには、トリクル方式では公知技術であるので詳細には説明しないが、印刷枚数単位で予め設定された量のデベロッパを劣化デベロッパ(廃棄デベロッパ)として、図略の排出ローラ等によって現像器4A内から、現像器4Aの下部に設けられた排出部41A側に排出するようにしている。排出部41Aは、奥行き方向(画像形成装置100の背面(マシンフロント)側)に延設された、いずれも図略の筒状の排出経路及び排出された廃棄デベロッパを下流側に搬送する内部スクリュー等を有する。画像形成装置100の背面側には、搬出された廃棄デベロッパを回収する回収容器9(図2他参照、詳細は後述する。)が着脱可能に配設されている。回収容器9は、背面の図略の開閉扉を開成して取り出することができ、回収済みの廃棄デベロッパの廃棄作業を可能にしている。
【0031】
また、クリーナ部5Aには、図面の奥行き方向に回転軸を有するスクリュー等の排出部51Aを有する。排出部51Aは、クリーニングされた残留トナーを背面側の回収容器9に搬送し、廃棄トナーとして回収させる。なお、後述するように回収容器9のうち廃棄トナーの回収室の容量は、印刷枚数と対応付けて設計されている。残留トナーの量は、標準サイズの用紙で、かつ印字率が所定%であると想定して印刷1枚当りの残留トナーの回収量が設定されている。例えば、標準サイズA4で印字率5%として10万枚を印刷した時の予定残留トナー量で満杯になる容量とされている。なお、排出部41A〜41D、排出部51A〜51Dは、色毎に設けられている。
【0032】
中間転写部20は、画像形成部10の上方に配置され、中間転写ベルト21、駆動ローラ22、従動ローラ23、一次転写ローラ24A,・・を備えて、感光体ドラム2A,・・の各周面に形成されたトナー像(現像剤像)を、像担持体としての中間転写ベルト21の表面に一次転写する。二次転写部30は、中間転写ベルト21の表面のトナー像を用紙に二次転写する。中間転写部20は、さらに排出部25を有する。排出部25は、中間転写ベルト21の周回路の適所に対向配置され、定着後に中間転写ベルト21に残留する残留トナーを回収するもので、中間転写ベルト21に当接する公知のクリーニング部材と、図面の奥行き方向に延設されたクリーニング部材を覆う部材と、内部に回転軸を有するスクリュー等を有する。排出部25によって中間転写部20での残留トナーが紙面の奥行き方向の回収容器9に排出される。
【0033】
定着部40は、用紙に転写されたトナー像を加熱して定着し、排紙トレイに排出する。給紙部50は、給紙カセット51や手差しトレイ52を備えており、選択された用紙を用紙搬送路60に給紙する。
【0034】
続いて、図2図7を用いて回収容器9の説明をする。回収容器9は、本実施形態では、ほぼ直方体形状を有し、内部に回収室等の空間を確保するために所定の厚さを有する。回収容器9は、図2における左右方向の寸法が、図1の画像形成部10A〜10Dの左右方向及び排出部25を含む寸法を少なくとも有する。また、高さ方向の寸法は、図1の画像形成部10の現像器4A〜4Dの排出部41A〜41Dの位置から、その上方にあるクリーナ部5A〜5Dの排出部51A〜51Dまで、さらに必要に応じて排出部25までの高さ方向の寸法を有する。
【0035】
回収容器9は、図3図6等に示すように、上下側に底板90d及び天板90uを有し、前後側に背板911及び前板912を有すると共に、それら及び左右側板で囲繞される内部空間90には上下に延設された後述する仕切り板9211〜9241によって前後方向(短手方向)に仕切られる廃棄トナーの回収室91と廃棄デベロッパの回収室92とが形成されている。また、前面(正面)側には、内部空間90と連通する廃棄トナーの受入口93及び廃棄デベロッパの受入口94を備え、底板90dの適所には廃棄孔95(図3図5(A))が穿設されている。
【0036】
廃棄トナーの回収室91は、図3図5(A)に示すように、画像形成部10A〜10Dの配置方向に平行な左右方向(長手方向)に延設された互いに平行な背板911と前板912との間の空間を利用して形成されている。本実施形態では、前板912の下半部は前側に突出した形状を有し、これによって、より広い容量を確保している。
【0037】
廃棄トナーの受入口93は、図3のように、天板90uの上部に各色の受入口931〜934及び受入口935を有する。受入口931〜935は、図1の各色の排出部51A〜51D及び排出部25に対応する背面側位置に設けられ、それぞれに連通されるようになっている。受入口931がK色(モノクロ)のトナーに対応し、受入口932がC色のトナーに対応し、受入口933がM色のトナーに対応し、受入口934がY色のトナーに対応し、受入口935が排出部25からの排出トナーに対応している。受入口931〜935は、所定長を有し、奥側が有底の円筒体で、周面下部に落下孔9311〜9351が穿設されている(図2図6参照)。落下孔9311〜9351は回収室91に連通している。従って、落下孔9311〜9351から落下した廃棄トナーは、回収室91に落下して回収される。
【0038】
次に、廃棄デベロッパの収容構造について、まず廃棄デベロッパの受入口94について説明する。受入口94は、各色の受入口941〜944を有する。受入口941〜944は、図1の各色の排出部41A〜41Dに対応する背面側位置に設けられ、それぞれに連通されるようになっている。受入口941がK色(モノクロ)のデベロッパに対応し、受入口942がC色のデベロッパに対応し、受入口943がM色のデベロッパに対応し、受入口944がY色のデベロッパに対応している。排出部41A〜41Dに対応して設けられる受入口941〜944は、排出部51A〜51D及び排出部25に対応して設けられる受入口931〜935よりも低い位置と設定されている。受入口941〜944は、所定長を有し、奥側が有底の円筒体で、周面下部に落下孔9411〜9441が穿設されている。落下孔9411〜9441は、その下方で、正面側に凸状に形成された受入領域9212〜9242(図2参照)と連通されている。落下孔9411〜9441は、収容部としても機能する受入領域9212〜9242の内部を介して、廃棄デベロッパの回収室92(回収室921〜924、図6図7参照)に連通している。
【0039】
次に、廃棄デベロッパの回収室921〜924を形成する仕切りについて説明する。廃棄デベロッパの回収室92は、本実施形態では、回収室91の領域の一部を仕切ることで形成されている。回収室921〜924は、回収室91の左右方向に沿った4箇所に離間して、すなわち各色に対応して形成されている。回収室921〜924は、図4図5(A)及び図7に示すように、類似した形状を有する。
【0040】
回収室921〜924は、それぞれの受入口941〜944から下方の底面90dに向けて延設された各仕切り板9211〜9241によって形成されている(図3図4図6図7参照)。各仕切り板9211〜9241は、平面視で円弧状乃至は台形状をなす凸状で、かつ左右両端部で回収室91の前板912の内面と当接して設置されている。回収室921〜924は、仕切り板9211〜9241と前板912との間に形成されている。このように、各仕切り板9211〜9241によって、各色の廃棄トナーの受入れ口9311〜9341と連通する廃棄トナー回収室91と、各色の廃棄デベロッパの前記受入れ口941〜944と連通する回収室921〜924とが、別々に構成される。
【0041】
K色のデベロッパの回収室921は、受入口941から下方の底面90dに向けて延設された仕切り板9211によって前板912との間に形成されている。C色のデベロッパの回収室922も、受入口942から下方の底面90dに向けて延設された仕切り板9221によって前板912との間に形成されている。回収室923,924も、仕切り板9231,9241によって回収室922と同一形状で形成されている。
【0042】
また、K色のデベロッパの回収室921は、カラーモード印刷とは別にモノクロ(K色)モード印刷も利用されることから、他の回収室922〜924に比して、その分、相対的に大きな容積に形成されている。回収室921の容積は、前述した標準的な印刷での予定印刷枚数に達した時の廃棄デベロッパの排出量を少なくとも収容可能な、乃至は好ましくは満杯になる容量に形成されている。また、他の回収室922〜924は、前記したように、CMYそれぞれの廃棄デベロッパの排出量を少なくとも収容可能な、乃至は好ましくは満杯になる容量に形成されている。回収室921〜924は、対応する受入口941〜944から排出された廃棄デベロッパを回収する。なお、廃棄トナーの回収室91は、廃棄トナー量が劣化デベロッパの廃棄量より多いことから、図4図6から分かるように、回収室921〜924より大きい容量に設定されている。
【0043】
仕切り板9211,・・は、本実施形態では、回収室91の内壁の一部を形成することとなる。仕切り板9211,・・の左右部位は、平面視(図5(B))で曲線乃至は斜線のテーパ9211aを有しており、これにより、回収室91に貯留された廃棄トナーが、後述する撹拌部96(図4参照)によって左右方向に円滑に移動して均される。
【0044】
また、仕切り板9211,・・は、図3図5(B)に示すように、底板90dまで延設されておらず、底板90dとの間に間隙dLを有する。従って、回収室921〜924に回収された廃棄デベロッパは下方から回収室91に抜け得る。間隙dLの寸法は、回収室921,・・の高さや容量、またデベロッパの粒径等の諸量によって数mm程度が採用可能であり、一方、回収室91側からの廃棄トナーの流入の規制を考慮に入れると、3mm程度が好ましい。
【0045】
また、図3図5(A)に示すように、回収室91内の底板90dの適所には、廃棄孔95が穿設されている。廃棄孔95は、回収容器9の左右方向の一方端側、本実施形態では正面視で左側に設けられている。回収室91及び回収室921〜924に貯まった廃棄トナー及び廃棄デベロッパは廃棄孔95からまとめて廃棄することが可能となる。廃棄孔95は、着脱可能なキャップ等の閉止部材(図示せず)で閉成されている。
【0046】
図4に示すように、回収容器9には回収室91内の廃棄トナーを均すための撹拌部96が配置されている。撹拌部96は、回収室91の所定高さ位置において、回収室91を左右に亘って延設され、回動可能に軸支された撹拌部材が周設された撹拌軸961(図4図6参照)と、撹拌軸961を回転させるモータ等の駆動源962とを備えている。撹拌部96によって、左右に長尺の回収室91に落下した廃棄トナーを撹拌して均すことで、左右方向での高さをより均一化することが可能となり、不均一に部分的に寄り集まることが解消される。なお、駆動源962を画像形成装置100側に配置し、回収容器9が画像形成装置100に装着された際に、撹拌軸961と連結する構成としてもよい。
【0047】
また、駆動源962の回転トルクの大小は廃棄トナー量の貯留量に対応すると考えられる。そこで、第2実施形態として、回転トルクを計測、例えば駆動電流のレベルを計測する計測手段と、回収室91に回収された廃棄トナー量を推測する手段とを有する制御部1A(図1参照)を設けてもよい。また、推測された排出トナー量が所定の量、例えば満杯に達する直前で、その旨を画像形成装置100の報知手段から報知するようにしてもよい。さらに、廃棄デベロッパ貯留量は、廃棄トナーの貯留量から換算推測できるので、廃棄デベロッパ用の貯留量計測手段を不要とすることができる。
【0048】
また、仕切り板9211,・・の下端に底板90dとの間で、間隙dLを設けたが、第3実施形態として、仕切り板9211,・・を底板90dまで延設すると共に、仕切り板9211,・・の下側部分にスリット状の間隙を形成してもよい。スリット状の間隙は仕切り板921,・・の下端縁に沿って形成されたものでよい。
【0049】
これによれば、仕切り板の下部側の取付け位置が安定する。
【0050】
また、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1A 制御部(計測手段)
25,41,51 排出部
9 回収容器
91 回収室(廃棄トナー回収室)
92,921,922,923,924 回収室(廃棄デベロッパ回収室)
9211,9221 仕切り板
9211a,9221a テーパ
93,931,932,933,934,935 受入口(受入れ部)
94,941,942,943,944 受入口(受入れ部)
96 撹拌部(均し部材)
9211 仕切り板
95 廃棄孔
dL 間隙
100 画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7