(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の治療液の供給流量は、患者の体液量や体液成分に影響を与えるため、厳格に制御する必要がある。そこで、血液処理装置では、貯留容器に重量計を設け、重量計により測定された貯留容器の重量の変化量から、供給ポンプの実流量を算出し、当該実流量から供給ポンプを厳格に制御することが考えられている。
【0005】
ところで、持続緩除式血液濾過療法では、血液処理装置において長時間連続して血液を処理するため、この血液処理に使用される透析液や補液の治療液を血液処理装置の貯留容器に補充できるとよい。そこで、血液処理装置に透析液作成装置を接続し、当該透析液作成装置で透析液を作成して血液浄化装置に供給することが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上述のような透析液作成装置を用いて血液処理中に貯留容器に治療液を補充しようとすると、貯留容器の重量が、他から補充された治療液により変化し、上述した貯留容器の重量に基づく供給ポンプの流量の制御を行えなくなる。よって、血液処理を行いながら、貯留容器に治療液を補充することは現実的には困難であった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、血液処理中に血液処理装置の貯留容器に治療液を補充しながら、血液処理回路への治療液の供給流量を厳格に制御可能な血液処理システムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため発明者らが鋭意研究した結果、治療液供給回路の貯留容器と治療液補充回路の貯留容器にそれぞれ重量計を設け、治療液供給回路の貯留容器の重量と治療液補充回路の貯留容器の重量の総和の変化量から、供給ポンプを制御することで、血液処理中に血液処理装置の貯留容器に治療液を補充しながら、血液処理回路への治療液の供給流量を厳格に制御できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の一例として下記(1)を提供する。
(1)血液を血液浄化器に供給し、浄化された血液を当該血液浄化器から回収する血液処理回路と、前記血液浄化器で生じる排液を第1の排液ポンプにより排液容器に排出する排液回路と、第2の排液ポンプにより前記排液容器に貯留された排液を外部に排出する外部排液回路と、前記排液容器の重量を測定する重量計と、前記排液容器の排液が前記外部排液回路から外部に排出されていない間は、前記重量計により測定された前記排液容器の重量の変化量から、前記第1の排液ポンプの実流量を算出し、前記第1の排液ポンプを制御して前記実流量と目標流量との流量誤差を補正し、前記排液容器の排液が前記第2の排液ポンプにより前記外部排液回路から外部に排出されている間は、当該排液の排出が開始される直前の前記流量誤差の補正値を用いて前記第1の排液ポンプを制御する排液制御装置と、を有し、前記第2の排液ポンプは、前記排液容器に所定の閾値以上の排液が溜まった場合に作動し、前記排液容器の排液が所定量以下に減少すると停止
し、前記重量計は、前記排液容器の排液が前記第2の排液ポンプにより前記外部排液回路から外部に排出されている間は、前記第1の排液ポンプの流量制御のための前記排液容器の重量の測定を停止する、血液浄化システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、血液処理中に血液処理装置の貯留容器に治療液を補充しながら、血液処理回路への治療液の供給流量を厳格に制御できるので、持続緩除式の血液浄化処理などの長時間の血液処理を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る血液処理システム1の構成の概略を示す説明図である。血液処理システム1は、例えば持続緩除式の血液浄化処理を行うためのものであり、患者に対して血液処理を行う血液処理装置10と、血液処理装置10に透析液や補液の治療液を供給し補充する治療液供給装置11と、制御装置12(排液制御装置を含む)を備えている。
【0013】
血液処理装置10は、患者の血液を血液浄化器20に供給し患者に戻す血液処理回路21を有している。血液処理回路21は、患者の血液を血液浄化器20に供給するための血液供給回路22と、血液浄化器20から患者に血液を戻すための血液返還回路23を有している。
【0014】
また、血液処理装置10は、血液供給回路22および/又は血液返還回路23への補液の供給、又は血液浄化器20への透析液の供給の少なくともいずれかを行う治療液供給回路24と、血液浄化器20で生成される排液を排出するための排液回路25を有している。
【0015】
血液浄化器20は、例えば中空糸膜を内蔵した中空糸モジュールであり、中空糸膜の一次側20aに供給された血液の中の老廃物等を、中空糸膜の二次側20bに通過させて、血液を濾過し浄化することができる。
【0016】
血液供給回路22は、例えば患者に穿刺される針部(図示せず)から血液浄化器20の一次側20aの入口に接続されている。血液供給回路22には、ポンプ30が設けられ、患者の血液を所定の流量で血液浄化器20に供給できる。ポンプ30には、例えば回路を構成するチューブを扱いてチューブ内の液体を送るいわゆるチューブポンプが用いられている。
【0017】
血液返還回路23は、血液浄化器20の一次側20aの出口から針部(図示せず)に接続されている。
【0018】
治療液供給回路24は、第1の貯留容器40から血液供給回路22および/又は血液返還回路23又は血液浄化器20の二次側20bのいずれかに接続されている。治療液供給回路24は、血液浄化処理の種類、例えば持続緩除式血液濾過(CHF:Continuous HemoFiltractrion)、持続緩除式血液透析(CHD:Continuous HemoDiaFiltration)、持続緩除式血液濾過透析(CHDF:continuous HemoDiaFiltration)に応じて血液供給回路22および/又は血液返還回路23に接続するか、血液浄化器20に接続するか或いはそれら複数に接続するかを選択できる。
【0019】
治療液供給回路24には、供給ポンプとしてのチューブポンプ41が設けられ、第1の貯留容器40の透析液や補液の治療液を所定の流量で供給できる。第1の貯留容器40には、当該容器40の重量を測定する第1の重量計42が設けられている。
【0020】
排液回路25は、血液浄化器20の二次側20bから排液容器50に接続されている。排液回路25には、排液ポンプとしてのチューブポンプ51が設けられ、血液浄化器20の排液を所定の流量で排液容器50に排出できる。排液容器50には、当該容器50の重量を測定する第3の重量計52が設けられている。
【0021】
治療液供給装置11は、治療液を生成する治療液生成部60と、治療液生成部60で生成された治療液を第2の貯留容器61に供給するための治療液供給回路62と、第2の貯留容器61の治療液を血液処理装置10の第1の貯留容器40に補充するための治療液補充回路63を備えている。
【0022】
治療液生成部60は、例えば水供給源70と、A原液供給源71と、B原液供給源72を有し、それらの液体を所定の割合で混合して治療液を生成できる。水供給源70の水としては、例えば逆浸透濾過水、限外濾過水等が用いられる。A原液には、例えば重炭酸ナトリウムを含まない溶液原液が用いられ、B原液には、例えば重炭酸ナトリウムを含む溶液原液が用いられる。
【0023】
治療液供給回路62は、治療液生成部60から第2の貯留容器61に接続され、治療液補充回路63は、第2の貯留容器61から血液処理装置10の治療液供給回路24に接続されている。治療液供給回路62には、開閉弁やチューブポンプなどの治療液閉塞手段64が設けられている。治療液補充回路63には、チューブポンプ80が設けられ、第2の貯留容器61の治療液を所定の流量で治療液供給回路24に供給できる。第2の貯留容器61には、当該容器61の重量を測定する第2の重量計81が設けられている。
【0024】
制御装置12は、血液処理システム1全体の動作を制御するコンピュータであり、チューブポンプ30、41、51、80や治療液閉塞手段64等の動作を制御して、血液処理や治療液の補充を実行できる。例えば制御装置12は、後述するように重量計42、81による測定結果に基づいてチューブポンプ41の流量誤差を補正し、血液処理回路21に供給される治療液の流量を制御するプログラムを有する。血液処理装置10と治療液供給装置11はそれぞれ制御コンピュータを有し、有線又は無線による通信により、制御装置12が全体を制御してもよい。
【0025】
次に、以上のように構成された血液処理システム1の動作を説明する。
【0026】
図1に示す血液処理装置10では、患者に対する持続緩除式の血液浄化処理が行われる。例えば持続緩除式血液濾過(CHF)治療が行われる場合、患者の血液がチューブポンプ30により血液供給回路22を通じて血液浄化器20に供給される。血液浄化器20において血液から膜を通じて除去された老廃物等は、チューブポンプ51により排液回路25を通じて排液容器50に排出される。また、チューブポンプ41により第1の貯留容器40の補液が治療液供給回路24を通じて血液供給回路22及び/又は血液返還回路23に供給される。血液浄化器20で浄化された血液は、血液返還回路23を通じて患者に戻される。また、持続緩除式血液透析(CHD)治療が行われる場合には、チューブポンプ41により第1の貯留容器40の透析液が血液浄化器20の膜の二次側20bに供給される。持続緩除式血液濾過透析(CHDF)治療が行われる場合には、チューブポンプ41により補液が血液供給回路22及び/又は血液返還回路23に供給され、透析液が血液浄化器20に供給される。
【0027】
また、治療液供給装置11では、血液処理装置10で血液浄化処理が行われている間、適宜第2の貯留容器61の治療液を血液処理装置10の第1の貯留容器40に供給し補充する。このとき、チューブポンプ80により治療液補充回路63を通じて血液処理装置10の治療液供給回路24に供給される。治療液供給回路24に供給された治療液は、主に第1の貯留容器40に供給され貯留され、場合によって一部血液供給回路22、血液返還回路23又は血液浄化器20の少なくともいずれかに直接供給される。なお、治療液は、治療液供給停止時に治療液生成部60で生成され、予め第2の貯留容器61に貯留されている。治療液供給中は、治療液供給閉塞手段64が閉鎖されており、治療液は第2の貯留容器61に補充されない。なお、例えば第2の貯留容器61から第1の貯留容器40への治療液供給手段はチューブポンプ80の代わりにバルブと落差を用いた送液なども考えられる。しかしながら落差を用いた補充方法の場合、チューブポンプ41が高流量で作動すると、落差よる治療液の補充が間に合わず、第1の貯留容器40内の治療液が早急に空となるため安定した治療液の供給を行うことができない。加えて落差とバルブを用いると場所をとり、血液処理システム1全体の大型化が免れないため、チューブポンプ80を用いることが好ましい。
【0028】
血液浄化処理中、制御装置12により、血液処理回路21への治療液の供給流量が厳格に制御される。例えば血液浄化処理中、第1の重量計42により第1の貯留容器40の重量が継続的に測定され、第2の重量計81により第2の貯留容器61の重量が継続的に測定される。これらの測定結果は、制御装置12に出力され、制御装置12において、第1の貯留容器40の重量と第2の貯留容器61の重量との総和の変化量から、チューブポンプ41により供給されている治療液の実流量Q1を算出する。例えば、第1の貯留容器40の重量と第2の貯留容器61の重量の総和Mの変化量ΔMから、式Q1=ΔM/測定時間により、実流量Q1を算出する。次に、制御装置12は、例えば
図2に示すような、当該チューブポンプ41の実流量Q1と、予め設定されている目標流量Q2との流量誤差p1(Q2−Q1)を補正する。具体的には例えばチューブポンプ41の出力を流量誤差分だけ上げて流量誤差p1を補正する。制御装置12は、このチューブポンプ41のフィードバック制御を連続的或いは断続的に行い、血液処理回路21に供給される治療液の流量を厳格に制御する。
【0029】
また、血液浄化処理中、制御装置12により、血液処理回路21の血液浄化器20から排液容器50への排液流量が厳格に制御される。例えば血液浄化処理中、第3の重量計52により排液容器50の重量が継続的に測定される。この測定結果は、制御装置12に出力され、制御装置12において、排液容器50の重量の変化量から、チューブポンプ51により排出されている排液の実流量Q3を算出する。次に、制御装置12は、例えば
図3に示すような、チューブポンプ51の実流量Q3と、予め設定されている目標流量Q4との流量誤差P2(Q4−Q3)を補正する。具体的には例えばチューブポンプ51の出力を流量誤差分だけ上げて流量誤差p2を補正する。制御装置12は、このチューブポンプ51のフィードバック制御を連続的或いは断続的に行い、血液浄化器20から排出される排液の流量を厳格に制御する。
【0030】
本実施の形態によれば、第1の貯留容器40の重量と第2の貯留容器61の重量を測定し、その総和の変化量ΔMから、チューブポンプ41の実流量Q1を算出し、チューブポンプ41を制御して実流量Q1と目標流量Q2との流量誤差p1を補正するので、血液処理中に血液処理装置10の第1の貯留容器40に治療液が補充されても、貯留容器の治療液の減少に基づくチューブポンプ41の流量制御を行うことができる。よって、血液処理中に血液処理装置10の第1の貯留容器40に治療液を補充しながら、血液処理回路21への治療液の供給流量を厳格に制御できる。
【0031】
上記実施の形態において、
図4に示すように血液処理システム1が、排液容器50に貯留された排液を外部に排出する外部排液回路100をさらに有し、血液処理中に適宜排液容器50の排液を外部に排出するようにしてもよい。
【0032】
かかる場合、例えば外部排液回路100は、排液回路25から治療液供給装置11の排液部110に接続され、チューブポンプ111を備えている。そして、血液処理中に排液容器50に所定の閾値以上の排液が溜まった場合には、チューブポンプ111が作動し、排液容器50の排液が外部排液回路100を通じて排液部110に排出される。このとき血液処理が継続されているため、排液回路25のチューブポンプ51は引き続き稼働している。そして、排液容器50の排液が所定量以下に減少すると、チューブポンプ111が停止され、排液の排出が止められる。
【0033】
このときの排液回路25のチューブポンプ51の流量制御は、次のように行われる。上述のように排液容器50の排液が外部排液回路100を通じて排出されていない時には、第3の重量計52により測定された排液容器50の重量の変化量から、チューブポンプ51の実流量Q3を算出し、チューブポンプ51を制御して実流量Q3と目標流量Q4との流量誤差p2を補正する。そして、
図5に示すように排液容器50の排液が外部排液回路100を通じて排出されている間は、当該外部への排出が開始される直前の流量誤差p2の補正値を用いてチューブポンプ51を制御する。すなわち、排液容器50の排液の排出が開始される直前の流量誤差p2の補正値がc1である場合には、排液中その流量誤差の補正値c1が維持される。排液の排出中は第3の重量計52による排液容器50の重量の計測は止められる。そして、排液容器50の排液が終了すると、再び第3の重量計52による排液容器50の重量の計測が開始され、当該重量に基づいて、チューブポンプ51の実流量Q3を算出し、チューブポンプ51を制御して実流量Q3と目標流量Q4との流量誤差p2を補正する。
【0034】
この実施の形態によれば、血液処理中に排液容器50の排液を排出できるので、血液処理を長期間継続して行うことができる。また、排液容器50に排液が十分に溜まるまで血液処理を長く継続していると、チューブポンプ51の実流量Q3が安定し、その流量誤差p2の補正値c1が安定することから、排液中のチューブポンプ51の制御を、排液の排出が開始される直前の流量誤差p2の補正値c1を用いて行う。こうすることにより、血液処理中に排液の排出を行いながら、血液浄化器20からの排液の排出流量を厳格に制御できる。よって、血液浄化器20による長期間の血液処理が適切に行われる。
【0035】
次に、以上の実施の形態において、血液処理システム1は、
図6に示すように第2の貯留容器61を複数、例えば2つ備え、その第2の貯留容器61A、61B毎に第2の重量計81A、81Bが設けられ、複数の第2の貯留容器61A、61Bの中から順次選択される一つの第2の貯留容器61A、61Bから第1の貯留容器40に治療液が補充されるようにしてもよい。
【0036】
かかる場合、治療液供給回路62は、各第2の貯留容器61A、61Bにそれぞれ接続されるように途中で分岐している。この分岐点には、例えば三方弁120が設けられる。また、治療液補充回路63は、各第2の貯留容器61A、61Bにそれぞれ接続されるように途中で分岐している。この分岐点には、例えば三方弁121が設けられる。
【0037】
血液処理中は、どちらの第2の貯留容器61A、61Bから第1の貯留容器40に治療液が補充されるか選択されており、選択されていない第2の貯留容器61A、61Bには、治療液生成部60から治療液が補充される。例えば第2の貯留容器61Aが選択されている場合には、治療液の補充時に第2の貯留容器61Aから第1の貯留容器40に治療液が補充され、第2の貯留容器61Bには、適宜治療液生成部60から治療液が補充される。また、第2の貯留容器61Bが選択されている場合には、治療液の補充時に第2の貯留容器61Bから第1の貯留容器40に治療液が補充され、第2の貯留容器61Aには、適宜治療液生成部60から治療液が補充される。この第2の貯留容器61Aと第2の貯留容器61Bの選択が交互に行われる。
【0038】
そして、治療液供給回路24のチューブポンプ41の流量制御は、第1の貯留容器40に治療液を補充している(選択されている)一方の第2の貯留容器61の重量と第1の貯留容器40の重量との総和の変化量から、チューブポンプ41の実流量Q1を算出し、チューブポンプ41を制御して実流量Q1と目標流量Q2との流量誤差p1を補正する。
【0039】
この実施の形態によれば、血液処理システム1が複数の第2の貯留容器61を有し、第1の貯留容器40への治療液の補充と、第2の貯留容器61への治療液の補充を交互に行うことができるので、チューブポンプ80の流量をチューブポンプ41に必要とされる流量と同等またはそれ以上であればよいため、ポンプの小型化が可能となる。またそのときのチューブポンプ41の治療液の供給流量の制御も厳格に行うことができる。なお、本実施の形態における第2の貯留容器61の数は、2つに限られず任意に選択できる。
ここで、血液処理システム1は血液処理装置10と治療液供給装置11とから構成されるが、それらは独立していても、一体型であってもよい。しかしながら、治療の実施形態によっては、治療液の供給は治療液供給装置11からではなく、調合された既存の治療液バッグを第1の貯留容器40の代わりに接続することで、治療液供給装置11を用いることなく治療を実施することもある。そのため、治療の実施形態に柔軟性を持たせるために、第1の貯留容器40を血液処理装置10側に、第2の貯留容器61を治療液供給装置11側に設置し、血液処理装置10と治療液供給装置11は独立して構成されていることが好ましい。また、血液処理装置10は市場にすでに存在しており、一体型で開発を行う場合には大きな投資が必要となる。そこで血液処理装置10と治療液供給装置11を独立した機器として設計を行うことで、開発コストを抑えることが可能となると共に、既存の市場へのスムーズな導入が可能となる。血液処理装置10と治療液供給装置11が独立して構成される場合には、それぞれの回路は、治療液補充回路63と治療液供給回路24を連通して接続される。接続は例えばルアーコネクタ等を用いることができるが、それぞれの回路を接続できるものであれば何でもよく、特に限定するものではない。また接続位置としては、治療液補充回路63と治療液供給回路24を直接接続したり、または第1の貯留容器40を介して接続することができるが、治療液を第1の貯留容器40に供給できるものであれば何でもよく、特に限定するものではない。また治療液供給回路24に対する接続部に予め治療液補充回路63が接続されていない場合、治療液の漏れを防ぐために接続部にクランプや逆止弁、ニードルレス混注管などを配置してもよい。また、血液処理装置10と治療液供給装置11が独立して構成される場合には、第1の重量計41と第2の重量計81の測定結果を相互に共有を行って制御をする必要がある。そのためには血液処理装置10と治療液供給装置11が電気的に連動することが必要となるが、その手段は例えばRS232ケーブル、RS422ケーブル、LANケーブル、USBケーブルのような物理的接続や、Blue tooth(登録商標)や赤外線などの無線信号などを挙げることができるが、制御に必要な情報を伝達できるものであれば何でもよく、特に限定するものではない。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0041】
例えば以上の実施の形態では、第2の貯留容器61が治療液供給装置11側にあったが、特にこれに限定されるものではなく、血液処理装置10側にあってもよい。血液処理システム1の回路構成はこれに限られない。制御されるポンプ41、51もチューブポンプでなくてもよい。
【0042】
上記実施の形態では、治療液供給回路24のチューブポンプ41の流量制御を行い、さらに排液回路25のチューブポンプ51の流量制御を行っていたが、チューブポンプ51の流量制御のみを行ってもよい。つまり、排液容器50の排液が外部排液回路100を通じて外部に排出されていない間には、重量計52により測定された排液容器50の重量の変化量から、チューブポンプ51の実流量Q3を算出し、チューブポンプ51を制御して実流量Q3と目標流量Q4との流量誤差p2を補正し、排液容器50の排液が外部排液回路100を通じて外部に排出されている間は、当該排液の排出が開始される直前の流量誤差p2の補正値c1を用いてチューブポンプ51を制御してもよい。また、本発明の血液処理システムは、持続緩除式以外の血液処理装置に治療液を供給する場合にも適用できる。